有価証券報告書-第10期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)業績等の概要
① 業績
第10期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当事業年度における我が国経済は、世界的なIT需要の拡大や設備投資の回復を背景とする輸出・生産が堅調に推移し回復基調が続いております。世界経済についても、各国の政策や地政学リスクに引き続き留意が必要なものの、緩やかな回復基調にあります。
このような経営環境のもと、当社におきましては、①システムの安定運用とサービス向上、②総合物流情報プラットフォームの構築、③第6次NACCSへの円滑な移行、④新規事業の推進、⑤経営基盤の強化、⑥企業の社会的責任(CSR)、⑦株主還元という7つの重点計画を策定して事業運営に取り組んでまいりました。また一方で、一般競争入札の徹底や経費の節減等効率的な経営にも努めた結果、当事業年度の売上高は、8,844百万円(前事業年度比6.1%減)、営業利益は767百万円(同54.8%増)、経常利益は668百万円(同46.8%増)、当期純利益は424百万円(同48.2%増)となりました。
各取組の詳細は以下のとおりであります。
イ システムの安定的運用とサービス向上
(イ)本事業年度は、システム障害の予兆となり得る事象・現象の段階で横並び点検を行うなど予防措置を講ずるインシデント管理を実施し、システムの障害発生を未然に防ぐなど、24時間365日、システムの安定運用に努めた結果、NACCSのシステム稼働率は100%を維持いたしました。
また、平成30年3月には、「システム総点検」を行い、システムが安定的に稼働するよう、保守・運用に努めてまいりました。
その他、平成29年6月、7月及び11月には「災害対応訓練」、過去の大規模なシステム障害の教訓から同年12月には「システム障害発生時の対応訓練」を実施し、システム障害や大規模災害等によるシステム停止に対し、システムの迅速な復旧を確保するよう努めてまいりました。
(ロ)ヘルプデスクでは、お客様からのお問い合わせに24時間365日で対応いたしました。
また、お客様のニーズを把握し、サービスの向上を図るため、平成29年11月から12月にかけて全国16地区でNACCS地区協議会を開催したほか、NACCSの操作方法や機能などを説明する講習会や第6次NACCSの導入に向けた説明会を開催いたしました。
NACCS地区協議会委員様宛に「NACCS地区協議会通信」をメール配信し、NACCS関連情報を随時提供するとともに、システム更改前後に第6次NACCS更改に関するアンケートを、更改後にNACCS掲示板の改善に向けたアンケートを実施するなど、意見等の集約に努めてまいりました。
その他、第6次NACCSの更改過渡期におけるお問合せへ適切に対応するため、ヘルプデスク体制と社内体制を整備して総合運転試験から特別体制で臨みました。
(ハ)NACCSは、官民共同システムであり、多くのお客様にNACCSを利用していただくことが、国際物流の効率化と進展につながることから、関係省庁とも連携をとりつつ、国際物流に携わる方々に対して加入促進を図ってまいりました。
(ニ)平成30年3月末現在、NACCS参加事業所数は海上10,927事業所、航空7,157事業所となり、平成29年3月末時点と比べて海上で702事業所、航空で1,826事業所増加しております。(なお、「海空共用」の事業所は、海上及び航空の両事業所に含めております。)
ロ 総合物流情報プラットフォームの構築
第6次NACCSへの円滑な移行及びシステムの機能向上に継続的に取り組むとともに、最新技術の動向を踏まえつつ、新規事業の推進による周辺サービスの拡大を図ることで、港湾・空港における利便性・信頼性の高い、簡易で効率的な「総合物流情報プラットフォーム」を構築するため、第6次NACCSの開発や新規事業の導入といったシステムの機能向上、多角的サービスの提供等の取組みを推進いたしました。
ハ 第6次NACCSへの円滑な移行
第6次NACCSについては、平成28年3月に確定した詳細仕様に基づき開発を進めるとともに、関係省庁及び民間のお客様のご協力をいただきながら円滑な導入に向けた準備を進めた結果、平成29年10月8日に稼働を開始することができました。
(イ)総合運転試験説明会等の実施
より多くのお客様に万全の体制で総合運転試験に参加いただくため、すべてのお客様を対象に、平成29年4月から6月に全国40地区において総合運転試験説明会を、第6次NACCSへ円滑に移行していただくため、同年9月に全国39地区において移行説明会をそれぞれ実施いたしました。
(ロ)総合運転試験の実施
より多くの利用者の参加を得て本番と同じ環境で性能試験を行うとともに、お客様に一連の業務及び端末操作などの確認・習熟いただくため、平成29年7月から10月に総合運転試験を実施いたしました。
ニ 新規事業の推進
(イ)NACCSで処理された情報を活用し、お客様の業務処理状況を分析する業務状況等分析業務について、目的達成業務として、平成29年3月31日付で財務大臣の認可を取得し、同年4月1日よりサービスの提供を開始いたしました。
(ロ)NACCSで処理された情報を活用し、当該情報の自動保管や検索機能による取り出し等、お客様の利便性の向上に貢献可能な貿易関連文書の電子保管サービスの提供について、目的達成業務として、平成30年3月29日付で財務大臣の認可を取得いたしました。
(ハ)第6次NACCSにおいて、損害保険会社を利用者に加え、損害保険(包括保険関係)に係る業務をNACCSの機能に追加いたしました。
(ニ)netNACCSの利用者を、インターネット経由のセキュリティトラブルに巻き込まれる被害から守るための対策サービスの提供について検討いたしましたが、収支において黒字化の見通しが立たないことから、事業化に向けた検討を終了することといたしました。
(ホ)平成28年11月にヤンゴン地区で稼働開始したMACCSの導入支援に関し、MACCSの運用改善とミヤワディ地区への地方展開に関する技術支援を実施しております。
その他、平成29年3月にJICAと契約を締結した「カンボジア国ナショナル・シングル・ウィンドウ構築に向けた通関手続き及び通関電子システムの改善提案のための情報収集・確認調査」について、同年6月に最終報告書を提出いたしました。
(ヘ)PAA(Pan Asian e-Commerce Alliance)における対話、出港前報告を電子的に行う体制を整備した際にNACCSと接続した海外のサービス・プロバイダーとの連携等を通じた国境を越えた電子情報交換及び海外システムとの連携の検討を推進するため、平成29年5月の第55回PAA台湾会合及び同年11月の第56回PAAフィリピン会合に出席いたしました。また、同年6月ジョージアで開催されたWCO(World Customs Organization)IT Conference等の場を活用し、NACCSの広報活動を行うとともに、税関分野におけるIT利用のトレンドについて情報収集を行ってまいりました。
※ PAAとは、アジア各国・地域において、貿易・税関関連システムの運用を担う事業体の集まりであり、日本代表の当社を含め、アジア主要国・地域を代表する11社が加盟しています。PAAでは、アジア域内の手続き電子化・ペーパーレス化を通じた貿易円滑化の推進を目的とした活動を進めています。
※ WCO(世界税関機構)とは、各国の税関制度の調和・統一及び国際協力の推進により、国際貿易の発展に貢献することを目的として、昭和27年に設立された国際機関(本部:ブリュッセル(ベルギー))です。平成29年5月現在で、182か国・地域がメンバーとなっており、我が国は昭和39年に加入しました。
ホ 経営基盤の強化
(ロ)お客様に信頼していただける会社であり続けるため、社員一人ひとりが、法令はもとより社内規程や企業倫理等を遵守するよう、社員研修の充実等コンプライアンスの徹底に取り組んでまいりました。
(ハ)調達手続の透明性を確保し、コストの削減に努めるとともに、経営の効率化を図り、安定的な経営の維持及び向上に努めてまいりました。
(ニ)安定的収益を確保しつつ経済性の高いシステムとなるよう、多角的な観点から利用料金の見直しを検討いたしました。
(ホ)平成26年8月に災害対策基本法に基づく指定公共機関に指定されたことを踏まえ、万一大規模災害が発生した場合であっても、NACCSの早期復旧を図れるよう、平成29年6月、7月及び11月に災害対応訓練を実施するなど、万全な対応に努めてまいりました。また、当社を取り巻くリスクについて定期的に見直しを行い的確に把握した上で、それらを適切に管理することで、リスク管理の徹底に努めてまいりました。
(ヘ)定期的にセキュリティ監査や自己点検を実施するとともに、情報セキュリティに関する意識の向上及び知識の習得を図るための研修を実施する等、情報セキュリティの強化に努めてまいりました。
(ト)システムの安定的運用や新規事業の推進のためには、社員の能力を向上させ、最大限発揮していくことが必要不可欠なことから、システムの専門知識を有する社員、貿易・物流実務に精通した社員及びグローバルに活躍できる社員を育成するため、研修の充実に努めてまいりました。
また、仕事と子育ての両立を図るための研修を実施する等、女性社員の活躍推進に取り組んでまいりました。
(チ)当社ホームページ等、当社の業務内容に関する積極的な情報公開を行ってまいりました。また、提供する情報について、拡充を図ってまいりました。
(リ)情報処理運営協議会、NACCS地区協議会をはじめとしたお客様との定期会合等を活用し、社会ニーズの把握に努めてまいりました。
ヘ 企業の社会的責任(CSR)
NACCSによる電子化等を通じたペーパーレス化の推進によるCO₂の削減はもとより、災害対策基本法に基づく指定公共機関としての国や地方自治体との連携強化や、事業所周辺の清掃活動等による地域への貢献活動を実施してまいりました。
ト 株主還元
株主の皆様との建設的な対話を通じて、NACCSの安定的運用とサービスの向上に努めるとともに、配当を含めた株主の皆様の負託にも応えられる企業を目指し、NACCSと親和性の高い新規事業等の実施・検討を進めるなど、持続的な成長を通じた中長期的な企業価値の向上に努めてまいりました。
② キャッシュ・フローの状況
第10期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ2,009百万円増加し、5,304百万円となりました。
当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は3,044百万円(前事業年度は3,601百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果増加した資金は1,582百万円(前事業年度は422百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は2,618百万円(前事業年度は2,842百万円の支出)となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
② 受注実績
受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
③ 販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.当社の事業セグメントは、電子情報処理組織の運営に関する業務のみの単一セグメントとしているため、セグメント別の記載に代えて、当社が提供する業務の種類別の販売実績を記載しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項については、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。なお、この財務諸表の作成にあたっては、一部の箇所に過去の実績や状況等を基に、合理的と考えられる見積り及び判断を用いておりますが、実際の結果は見積りの不確実性によりこれらの見積りと異なる可能性があります。
② 財政状態の分析
第10期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
イ 資産の部
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ10,750百万円増加し、20,119百万円となりました。
流動資産は、主として未収消費税等の増加により、前事業年度末に比べ691百万円の増加となりました。
固定資産は、主としてリース資産及びソフトウエアの増加により、前事業年度末に比べ10,059百万円の増加となりました。
ロ 負債の部
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ10,368百万円増加し、14,181百万円となりました。
流動負債は、主として未払金の増加により、前事業年度末に比べ1,042百万円の増加となりました。
固定負債は、主としてリース債務及び長期未払金の増加により、前事業年度末に比べ9,326百万円の増加となりました。
ハ 純資産の部
当事業年度末の純資産合計は、利益剰余金の増加により、前事業年度末に比べ381百万円増加し、5,937百万円となりました。
③ 経営成績の分析
第10期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
イ 売上高
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ574百万円減少し、8,844百万円となりました。これは主として国からのシステム使用料の減少によるものであります。
ロ 売上原価及び一般管理費
当事業年度の売上原価及び一般管理費は、前事業年度に比べ846百万円減少し、8,076百万円となりました。これは主としてシステム更改に伴い旧システムに係る資産の減価償却費が減少したことによるものであります。
ハ 営業外損益
当事業年度の営業外収益は、前事業年度に比べ1百万円増加し、7百万円となりました。営業外費用は、前事業年度に比べ60百万円増加し、107百万円となりました。これは主としてシステム更改に伴う新システムに係るリース債務等残高の増加に伴う支払利息の増加によるものであります。
ニ 当期純損益
以上の結果、当事業年度の当期純利益は、前事業年度に比べ138百万円増加し、424百万円となりました。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
第10期事業年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は3,044百万円(前事業年度は3,601百万円の収入)となりました。これは主に税引前当期純利益668百万円、減価償却費2,880百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果増加した資金は1,582百万円(前事業年度は422百万円の支出)となりました。これは主に有価証券の償還による収入2,000百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は2,618百万円(前事業年度は2,842百万円の支出)となりました。これは主にリース債務の返済による支出1,783百万円によるものであります。
⑤ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、国内外の経済状況に伴う国際物流の動向のほか、自然災害及びシステム障害の発生、新規事業の展開等があります。
国内外の経済状況による国際物流の動向については、景気動向によりNACCS利用件数が減少した場合は当社のNACCS利用料収入が減少する恐れがありますが、現状は各国の貿易戦略及び地政学リスクに留意は必要なものの、緩やかな回復基調にあります。しかし、今後、国内消費増税影響やオリンピック・パラリンピックの影響等は不透明であり、AI・IoTといった先端技術の導入による産業構造の変化による影響も引き続き留意が必要であると認識しています。このような状況の中、当社は最新技術の動向を踏まえつつ、業務運営の効率化・適切なNACCS利用料金の設定等により経営の安定性を確保し、NACCSを通じて国際貿易と国際物流の発展に寄与してまいります。
自然災害及びシステム障害の発生については、NACCS利用料収入の減少などの影響が考えられますが、業務継続計画(BCP)を必要に応じて見直し、大規模災害対策訓練を実施するなどの対応を行うとともに、システム障害の発生についても、ハードウェア等の定期点検を実施するほか、バックアップセンター運用を含め、万一の際のNACCSの早期復旧体制を維持してまいります。
新規事業の展開については、外部環境の変化等により、サービス提供開始時期の変更や予定売上が未達成となる可能性もありますが、持続的な成長により中長期的な企業価値を向上することは重要な経営課題と認識しております。このため、新規事業のリスク分析や事前調査を外部の知見も活用して丁寧に行い、さらに、新規事業の推進やシステムの安定運用に社員の能力向上も重要との観点から、人材育成、組織の活性化を図ってまいります。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要のうち主なものはシステム運営管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、主にNACCSのソフトウェアへの投資によるものであります。
当社は現在、資金調達について自己資金の他、リース及び割賦取引で賄っており、流動性については資金収支見込みを作成して管理しております。
① 業績
第10期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当事業年度における我が国経済は、世界的なIT需要の拡大や設備投資の回復を背景とする輸出・生産が堅調に推移し回復基調が続いております。世界経済についても、各国の政策や地政学リスクに引き続き留意が必要なものの、緩やかな回復基調にあります。
このような経営環境のもと、当社におきましては、①システムの安定運用とサービス向上、②総合物流情報プラットフォームの構築、③第6次NACCSへの円滑な移行、④新規事業の推進、⑤経営基盤の強化、⑥企業の社会的責任(CSR)、⑦株主還元という7つの重点計画を策定して事業運営に取り組んでまいりました。また一方で、一般競争入札の徹底や経費の節減等効率的な経営にも努めた結果、当事業年度の売上高は、8,844百万円(前事業年度比6.1%減)、営業利益は767百万円(同54.8%増)、経常利益は668百万円(同46.8%増)、当期純利益は424百万円(同48.2%増)となりました。
各取組の詳細は以下のとおりであります。
イ システムの安定的運用とサービス向上
(イ)本事業年度は、システム障害の予兆となり得る事象・現象の段階で横並び点検を行うなど予防措置を講ずるインシデント管理を実施し、システムの障害発生を未然に防ぐなど、24時間365日、システムの安定運用に努めた結果、NACCSのシステム稼働率は100%を維持いたしました。
また、平成30年3月には、「システム総点検」を行い、システムが安定的に稼働するよう、保守・運用に努めてまいりました。
その他、平成29年6月、7月及び11月には「災害対応訓練」、過去の大規模なシステム障害の教訓から同年12月には「システム障害発生時の対応訓練」を実施し、システム障害や大規模災害等によるシステム停止に対し、システムの迅速な復旧を確保するよう努めてまいりました。
(ロ)ヘルプデスクでは、お客様からのお問い合わせに24時間365日で対応いたしました。
また、お客様のニーズを把握し、サービスの向上を図るため、平成29年11月から12月にかけて全国16地区でNACCS地区協議会を開催したほか、NACCSの操作方法や機能などを説明する講習会や第6次NACCSの導入に向けた説明会を開催いたしました。
NACCS地区協議会委員様宛に「NACCS地区協議会通信」をメール配信し、NACCS関連情報を随時提供するとともに、システム更改前後に第6次NACCS更改に関するアンケートを、更改後にNACCS掲示板の改善に向けたアンケートを実施するなど、意見等の集約に努めてまいりました。
その他、第6次NACCSの更改過渡期におけるお問合せへ適切に対応するため、ヘルプデスク体制と社内体制を整備して総合運転試験から特別体制で臨みました。
(ハ)NACCSは、官民共同システムであり、多くのお客様にNACCSを利用していただくことが、国際物流の効率化と進展につながることから、関係省庁とも連携をとりつつ、国際物流に携わる方々に対して加入促進を図ってまいりました。
(ニ)平成30年3月末現在、NACCS参加事業所数は海上10,927事業所、航空7,157事業所となり、平成29年3月末時点と比べて海上で702事業所、航空で1,826事業所増加しております。(なお、「海空共用」の事業所は、海上及び航空の両事業所に含めております。)
ロ 総合物流情報プラットフォームの構築
第6次NACCSへの円滑な移行及びシステムの機能向上に継続的に取り組むとともに、最新技術の動向を踏まえつつ、新規事業の推進による周辺サービスの拡大を図ることで、港湾・空港における利便性・信頼性の高い、簡易で効率的な「総合物流情報プラットフォーム」を構築するため、第6次NACCSの開発や新規事業の導入といったシステムの機能向上、多角的サービスの提供等の取組みを推進いたしました。
ハ 第6次NACCSへの円滑な移行
第6次NACCSについては、平成28年3月に確定した詳細仕様に基づき開発を進めるとともに、関係省庁及び民間のお客様のご協力をいただきながら円滑な導入に向けた準備を進めた結果、平成29年10月8日に稼働を開始することができました。
(イ)総合運転試験説明会等の実施
より多くのお客様に万全の体制で総合運転試験に参加いただくため、すべてのお客様を対象に、平成29年4月から6月に全国40地区において総合運転試験説明会を、第6次NACCSへ円滑に移行していただくため、同年9月に全国39地区において移行説明会をそれぞれ実施いたしました。
(ロ)総合運転試験の実施
より多くの利用者の参加を得て本番と同じ環境で性能試験を行うとともに、お客様に一連の業務及び端末操作などの確認・習熟いただくため、平成29年7月から10月に総合運転試験を実施いたしました。
ニ 新規事業の推進
(イ)NACCSで処理された情報を活用し、お客様の業務処理状況を分析する業務状況等分析業務について、目的達成業務として、平成29年3月31日付で財務大臣の認可を取得し、同年4月1日よりサービスの提供を開始いたしました。
(ロ)NACCSで処理された情報を活用し、当該情報の自動保管や検索機能による取り出し等、お客様の利便性の向上に貢献可能な貿易関連文書の電子保管サービスの提供について、目的達成業務として、平成30年3月29日付で財務大臣の認可を取得いたしました。
(ハ)第6次NACCSにおいて、損害保険会社を利用者に加え、損害保険(包括保険関係)に係る業務をNACCSの機能に追加いたしました。
(ニ)netNACCSの利用者を、インターネット経由のセキュリティトラブルに巻き込まれる被害から守るための対策サービスの提供について検討いたしましたが、収支において黒字化の見通しが立たないことから、事業化に向けた検討を終了することといたしました。
(ホ)平成28年11月にヤンゴン地区で稼働開始したMACCSの導入支援に関し、MACCSの運用改善とミヤワディ地区への地方展開に関する技術支援を実施しております。
その他、平成29年3月にJICAと契約を締結した「カンボジア国ナショナル・シングル・ウィンドウ構築に向けた通関手続き及び通関電子システムの改善提案のための情報収集・確認調査」について、同年6月に最終報告書を提出いたしました。
(ヘ)PAA(Pan Asian e-Commerce Alliance)における対話、出港前報告を電子的に行う体制を整備した際にNACCSと接続した海外のサービス・プロバイダーとの連携等を通じた国境を越えた電子情報交換及び海外システムとの連携の検討を推進するため、平成29年5月の第55回PAA台湾会合及び同年11月の第56回PAAフィリピン会合に出席いたしました。また、同年6月ジョージアで開催されたWCO(World Customs Organization)IT Conference等の場を活用し、NACCSの広報活動を行うとともに、税関分野におけるIT利用のトレンドについて情報収集を行ってまいりました。
※ PAAとは、アジア各国・地域において、貿易・税関関連システムの運用を担う事業体の集まりであり、日本代表の当社を含め、アジア主要国・地域を代表する11社が加盟しています。PAAでは、アジア域内の手続き電子化・ペーパーレス化を通じた貿易円滑化の推進を目的とした活動を進めています。
※ WCO(世界税関機構)とは、各国の税関制度の調和・統一及び国際協力の推進により、国際貿易の発展に貢献することを目的として、昭和27年に設立された国際機関(本部:ブリュッセル(ベルギー))です。平成29年5月現在で、182か国・地域がメンバーとなっており、我が国は昭和39年に加入しました。
ホ 経営基盤の強化
| (イ)重要な経営判断と業務執行の監督を行う取締役会(社外取締役2名を含む)と、取締役会から独立した監査役会、さらには取締役会の諮問機関である第三者委員会の「経営諮問委員会」により経営の適法性・妥当性が確保されるコーポレート・ガバナンスの実現に努めてまいりました。 |
(ロ)お客様に信頼していただける会社であり続けるため、社員一人ひとりが、法令はもとより社内規程や企業倫理等を遵守するよう、社員研修の充実等コンプライアンスの徹底に取り組んでまいりました。
(ハ)調達手続の透明性を確保し、コストの削減に努めるとともに、経営の効率化を図り、安定的な経営の維持及び向上に努めてまいりました。
(ニ)安定的収益を確保しつつ経済性の高いシステムとなるよう、多角的な観点から利用料金の見直しを検討いたしました。
(ホ)平成26年8月に災害対策基本法に基づく指定公共機関に指定されたことを踏まえ、万一大規模災害が発生した場合であっても、NACCSの早期復旧を図れるよう、平成29年6月、7月及び11月に災害対応訓練を実施するなど、万全な対応に努めてまいりました。また、当社を取り巻くリスクについて定期的に見直しを行い的確に把握した上で、それらを適切に管理することで、リスク管理の徹底に努めてまいりました。
(ヘ)定期的にセキュリティ監査や自己点検を実施するとともに、情報セキュリティに関する意識の向上及び知識の習得を図るための研修を実施する等、情報セキュリティの強化に努めてまいりました。
(ト)システムの安定的運用や新規事業の推進のためには、社員の能力を向上させ、最大限発揮していくことが必要不可欠なことから、システムの専門知識を有する社員、貿易・物流実務に精通した社員及びグローバルに活躍できる社員を育成するため、研修の充実に努めてまいりました。
また、仕事と子育ての両立を図るための研修を実施する等、女性社員の活躍推進に取り組んでまいりました。
(チ)当社ホームページ等、当社の業務内容に関する積極的な情報公開を行ってまいりました。また、提供する情報について、拡充を図ってまいりました。
(リ)情報処理運営協議会、NACCS地区協議会をはじめとしたお客様との定期会合等を活用し、社会ニーズの把握に努めてまいりました。
ヘ 企業の社会的責任(CSR)
NACCSによる電子化等を通じたペーパーレス化の推進によるCO₂の削減はもとより、災害対策基本法に基づく指定公共機関としての国や地方自治体との連携強化や、事業所周辺の清掃活動等による地域への貢献活動を実施してまいりました。
ト 株主還元
株主の皆様との建設的な対話を通じて、NACCSの安定的運用とサービスの向上に努めるとともに、配当を含めた株主の皆様の負託にも応えられる企業を目指し、NACCSと親和性の高い新規事業等の実施・検討を進めるなど、持続的な成長を通じた中長期的な企業価値の向上に努めてまいりました。
② キャッシュ・フローの状況
第10期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ2,009百万円増加し、5,304百万円となりました。
当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は3,044百万円(前事業年度は3,601百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果増加した資金は1,582百万円(前事業年度は422百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は2,618百万円(前事業年度は2,842百万円の支出)となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
② 受注実績
受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
③ 販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
| 業務の種類 | 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 本来業務(百万円) | 8,664 | 93.3 |
| 目的達成業務(百万円) | 176 | 137.5 |
| その他(百万円) | 3 | 372.9 |
| 合計(百万円) | 8,844 | 93.9 |
(注)1.当社の事業セグメントは、電子情報処理組織の運営に関する業務のみの単一セグメントとしているため、セグメント別の記載に代えて、当社が提供する業務の種類別の販売実績を記載しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 東京税関 | 4,565 | 48.5 | 4,077 | 46.1 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項については、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。なお、この財務諸表の作成にあたっては、一部の箇所に過去の実績や状況等を基に、合理的と考えられる見積り及び判断を用いておりますが、実際の結果は見積りの不確実性によりこれらの見積りと異なる可能性があります。
② 財政状態の分析
第10期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
イ 資産の部
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ10,750百万円増加し、20,119百万円となりました。
流動資産は、主として未収消費税等の増加により、前事業年度末に比べ691百万円の増加となりました。
固定資産は、主としてリース資産及びソフトウエアの増加により、前事業年度末に比べ10,059百万円の増加となりました。
ロ 負債の部
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ10,368百万円増加し、14,181百万円となりました。
流動負債は、主として未払金の増加により、前事業年度末に比べ1,042百万円の増加となりました。
固定負債は、主としてリース債務及び長期未払金の増加により、前事業年度末に比べ9,326百万円の増加となりました。
ハ 純資産の部
当事業年度末の純資産合計は、利益剰余金の増加により、前事業年度末に比べ381百万円増加し、5,937百万円となりました。
③ 経営成績の分析
第10期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
イ 売上高
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ574百万円減少し、8,844百万円となりました。これは主として国からのシステム使用料の減少によるものであります。
ロ 売上原価及び一般管理費
当事業年度の売上原価及び一般管理費は、前事業年度に比べ846百万円減少し、8,076百万円となりました。これは主としてシステム更改に伴い旧システムに係る資産の減価償却費が減少したことによるものであります。
ハ 営業外損益
当事業年度の営業外収益は、前事業年度に比べ1百万円増加し、7百万円となりました。営業外費用は、前事業年度に比べ60百万円増加し、107百万円となりました。これは主としてシステム更改に伴う新システムに係るリース債務等残高の増加に伴う支払利息の増加によるものであります。
ニ 当期純損益
以上の結果、当事業年度の当期純利益は、前事業年度に比べ138百万円増加し、424百万円となりました。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
第10期事業年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は3,044百万円(前事業年度は3,601百万円の収入)となりました。これは主に税引前当期純利益668百万円、減価償却費2,880百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果増加した資金は1,582百万円(前事業年度は422百万円の支出)となりました。これは主に有価証券の償還による収入2,000百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は2,618百万円(前事業年度は2,842百万円の支出)となりました。これは主にリース債務の返済による支出1,783百万円によるものであります。
⑤ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、国内外の経済状況に伴う国際物流の動向のほか、自然災害及びシステム障害の発生、新規事業の展開等があります。
国内外の経済状況による国際物流の動向については、景気動向によりNACCS利用件数が減少した場合は当社のNACCS利用料収入が減少する恐れがありますが、現状は各国の貿易戦略及び地政学リスクに留意は必要なものの、緩やかな回復基調にあります。しかし、今後、国内消費増税影響やオリンピック・パラリンピックの影響等は不透明であり、AI・IoTといった先端技術の導入による産業構造の変化による影響も引き続き留意が必要であると認識しています。このような状況の中、当社は最新技術の動向を踏まえつつ、業務運営の効率化・適切なNACCS利用料金の設定等により経営の安定性を確保し、NACCSを通じて国際貿易と国際物流の発展に寄与してまいります。
自然災害及びシステム障害の発生については、NACCS利用料収入の減少などの影響が考えられますが、業務継続計画(BCP)を必要に応じて見直し、大規模災害対策訓練を実施するなどの対応を行うとともに、システム障害の発生についても、ハードウェア等の定期点検を実施するほか、バックアップセンター運用を含め、万一の際のNACCSの早期復旧体制を維持してまいります。
新規事業の展開については、外部環境の変化等により、サービス提供開始時期の変更や予定売上が未達成となる可能性もありますが、持続的な成長により中長期的な企業価値を向上することは重要な経営課題と認識しております。このため、新規事業のリスク分析や事前調査を外部の知見も活用して丁寧に行い、さらに、新規事業の推進やシステムの安定運用に社員の能力向上も重要との観点から、人材育成、組織の活性化を図ってまいります。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要のうち主なものはシステム運営管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、主にNACCSのソフトウェアへの投資によるものであります。
当社は現在、資金調達について自己資金の他、リース及び割賦取引で賄っており、流動性については資金収支見込みを作成して管理しております。