有価証券報告書-第17期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/07/28 10:42
【資料】
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【項目】
94項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(経営方針)
当社は、高品質な住宅に対し、「良質で安心な住宅ローンを安定的に供給」し、お客様の豊かな住生活実現の「夢の懸け橋」となることを基本方針としております。「当社の事業は社会貢献である」と位置づけ、お客様のご意見・ご要望を広く取り入れながら、お客様の満足度を最優先とするきめ細かい金融サービスのご提供に努めております。
住宅ローンは長期に亘るため、当社も永続的な発展を目指し、そのために、リスク管理能力を高めるとともに、新築向けの住宅ローンだけではなく、リフォームローンや、リバースモーゲージといった分野でも、常に「革新的なビジネスモデルの担い手」であるために挑戦を続けてまいります。
(経営環境)
当社は、複数の住宅事業者(以下、提携ハウスメーカー)を主たる株主として、設立以来、住宅購入者に対するフラット35の提供を通じ、提携ハウスメーカーの住宅販売促進に役立つため、住宅ローン及び付帯サービスを提供する目的で設立されました。提携ハウスメーカーが当社を活用することで、他のハウスメーカーと住宅ローンの面で差別化され、その結果として住宅受注に繋がるようなサービスを提供できるよう、「差別化戦略」については重点的な取り組みを行ってまいりました。
具体的には、審査スピード早期化、ローン案件に係るコンサルティング機能強化、販売促進のためのキャンペーン実施、事務手続の簡便化等をこれまで実現してきております。また、フラット35に付随する独自のローン商品やリバースモーゲージ型の商品を導入し、提携ハウスメーカーに対して新たな資金計画提案ノウハウを提供することで、当社事業が成長してきたと考えております。
今後住宅ローンビジネスを取り巻く環境は、新型コロナウイルスの感染拡大が国内経済及び住宅ローン需要、ローン延滞率、ローン回収費用に与える影響もあり、ますます厳しいものになることが予想されますが、当社においては、次の項目を優先的に対処すべき課題と位置付け、消費者や提携ハウスメーカーへのサービスレベル向上を図ってまいります。
(優先的に対処すべき課題)
(1) スマートフォンをメインプラットフォームとするビジネスモデルの活用強化
2019年度に構築したスマートフォンをメインとする当社のビジネスモデルが、提携ハウスメーカーに広く活用されるよう、利用促進や活用強化を推進してまいります。
具体的には、MCJアプリを提携ハウスメーカーに対する情報伝達のメイン手段と位置付け、コンテンツの工夫を通
じて、積極的に利用促進を図ります。また、新型コロナウイルス感染症への感染防止のための「新しい生活様式」
も踏まえ、お客様や提携ハウスメーカー営業担当者が完全非対面のままで手続が完結できるスキームの実現にも取
り組んでまいります。
(2) 特色ある住宅ローン商品を活用したマーケットの拡大
① “極”30を活用した優良顧客層の拡大
2020年1月に取り扱いを開始したフラット(保証型)商品である“極”30の商品競争力やメリットを、提携ハウスメーカーに広く周知し、優良な顧客層への提供に取り組んでまいります。
フラット35(買取型)では機構から提示される買取レートが全金融機関で一律であるため金利の差別化が難しい一方、フラット35(保証型)では金融機関独自の金利設定が可能なため、フラット35(買取型)よりも低金利での貸出を実現することが可能です。“極”30は、返済負担率が30%以下の優良顧客向け商品で、フラット35(保証型)商品の中では、唯一全ての融資割合に対応が可能であるほか、金利水準は最も低く、団信にも全疾病特約が付帯されるなど、極めて高い競争力を有しています。
今後は、提携ハウスメーカーに更なる周知を行い、利用可能顧客に対する徹底訴求に取り組むことで、優良顧客層の捕捉を通じた利用件数の伸長に努めてまいります。
② フラット50を活用した若年顧客層の拡大
2019年10月から単独での利用が可能となったフラット50は、希望する金融機関だけが取り扱うことができるフ
ラット商品です。毎月返済額の軽減や借入可能額の増加を通じ、提携ハウスメーカーが若年顧客層の住宅販売商
談を成立させるための提案ツールとして活用いただけるよう、提携ハウスメーカーに積極的な周知を継続してま
いります。
③ MCJご自宅活用ローン“家の恩返し”を活用したシニア層の拡大
機構の住宅融資保険制度を利用したリバースモーゲージ制度は、担保となる自宅の評価額の原則50%まで借入
が可能ですが、従来の担保評価方法では建物価格が充分に評価されないため、当社では提携ハウスメーカー施工
の建物が本来持つ価値を適正に評価することができる独自モデルを採用いたしました。また、元本返済は据え置
き、借入期間中の返済を分割手数料(金利相当分)のみとしておりますので、月々の返済負担は通常の住宅ローン
よりも小さく、定年退職後の方にもご利用しやすいローンです。
これらの特徴に加え、当社では、ノンリコース化や年齢要件の緩和などの機構による制度変更にいち早く対応
し、従来のリバースモーゲージより競争力が高い商品として、シニア層の需要を喚起するため、提携ハウスメー
カーに積極的な周知を継続してまいります。
(3) コーポレートガバナンスの強化及びコンプライアンスの徹底
当社のビジネスモデルは、お客様、提携ハウスメーカー、機構をはじめとするステークホルダーから成り立っており、業務遂行にあたっての法令遵守や適切な業務の体制などを整えることは重要な課題となります。このため、コーポレートガバナンスの強化や内部管理体制の整備について、従来から取り組んでおりますが、2020年3月に取締役を1名増員し、更なる充実を図ってまいります。
(4) リスク管理体制の強化
当社の取扱い商品は、フラット35が中心であり、証券化によりリスクは限定されておりました。今後法令の改正や新商品の開発及び保有資産の実態に即して、統合的リスク管理をよりきめ細かく行う必要があり、リスク管理体制について更に高度化するよう取り組んでまいります。
また、昨今の個人情報や機密情報を含む「情報資産」の保護に関する社会的要請が高まる中で、当社の情報資産管理体制を整えることは重要な課題となります。今後当社が保有する個人情報等の情報資産に対し、サイバーセキュリティ対策をはじめとする各種セキュリティ管理体制をより一層強化すべく努めてまいります。
(5) 財務上の課題
当社は住宅ローン事業に関する資金を、債権譲渡や証券化、金融機関からの借入、社債、CPにより調達を行っております。
したがって当社の業績や財政状態の悪化が生じた場合や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、当社を取り巻く社会・金融環境の変化により、当社の想定した条件での資金調達が困難となった場合や資金調達コストが上昇した場合においては、当社の業務を円滑に運営することができず、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度において、上記の資金流動性リスクを極小化するため、新たに地方銀行5行と契約し、新規借入を行いました。今後も引き続き証券化を主要な資金調達手段としつつ、より効率的かつ安定的な資金調達を行うため、債権譲渡や証券化、金融機関からの借入による間接調達並びにCP及び社債発行による直接調達をバランスよく組み入れていく方針です。