有価証券報告書-第11期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループの業績や財政状況等に関する変動要因のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、主に以下のようなものがある。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、今後のエネルギー政策や電気事業制度の見直し等の影響を受ける可能性がある。
(1) その他の関係会社等との関係に係るリスク
①東京電力フュエル&パワー株式会社及び中部電力株式会社との資本関係
東京電力フュエル&パワー株式会社と中部電力株式会社は、有価証券報告書提出日現在において、それぞれ当社発行済株式の50%を所有する株主であり、両株主は、2017年6月8日に締結した合弁契約書において、当社グループの事業活動を制約しない措置の詳細ルールについて合意している。
しかしながら、想定外の事態が生じた際に、その対応方針を巡って両株主が合意に至らない場合には、当社グループの事業計画や業務運営、業績、財政状態は影響を受ける可能性がある。
②東京電力ホールディングス株式会社、中部電力株式会社及びそのグループ会社との取引
当社グループは東京電力ホールディングス株式会社のグループ会社である東京電力エナジーパートナー株式会社及び中部電力株式会社のグループ会社である中部電力ミライズ株式会社(2020年4月1日付で中部電力株式会社の権利義務及び電力供給等の契約上の地位を中部電力ミライズ株式会社が承継)への電力供給等の取引を行っている。取引条件については、市場実勢等を参考に、案件ごとに交渉の上で決定している。
第11期連結会計年度における当社グループと東京電力エナジーパートナー株式会社、及び中部電力ミライズ株式会社との間の主たる取引は下表のとおりである。
第11期連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
当該各社との契約・取引内容等に変化が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。なお、2026年度の電力受給契約及びガス需給契約は既に当該各社と締結済である。期中に予期せぬ状況が発生した場合は、当該各社と協議していく。
(2) 外部環境に係るリスク
①経済状況及び天候状況
販売電力量は景気動向や気温の変動等によって増減するため、これらの状況によって当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用拡大や賃金上昇を背景とした個人消費の伸びなどにより、緩やかな回復基調を維持した。設備投資にも緩やかな持ち直しがみられ、非製造業を中心として企業収益に改善傾向が見られている。
一方で、イランを巡る中東情勢の不安定化に伴う地政学リスクをはじめ、インフレの加速や為替、金利の動向などのわが国の経済への影響には十分注意する必要がある。今後、これらの影響期間、影響範囲の拡大等の状況によっては、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。これらの動向については、引き続き、注視していく。
この他、厳冬・猛暑による急激な需要増が発生した場合には、発電所の増出力運転や補修期間の調整、休止火力の再稼働による供給力確保の検討等、あらゆる対応を実施していく。
②燃料価格の変動等
LNG、石炭等の燃料費は、市場価格及び為替相場の変動により影響を受けるが、当社は主要な販売先との間で燃料調達に係る市況の変動を適宜反映することとしているため、当社グループの業績や財政状態への影響は限定的である。
しかしながら、急激な市況の変動等があった場合、これに伴う燃料費の変動分を料金に反映させるまでにタイムラグ(「期ずれ」)があるため、一時的に当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。また、燃料の需給状況、燃料調達先の設備・操業トラブルや輸送上のトラブル、政治情勢の変動等により燃料が円滑に調達できない場合には、燃料費の増減等により、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。
とりわけ2026年2月に発生した米国・イスラエルとイランとの武力衝突に伴うホルムズ海峡の封鎖により、LNGの安定的な調達・輸送に直接的な影響を及ぼし得る状況となっているほか、原油やLNGをはじめとした各種燃料の市場価格は大きく高騰しており、今後の動向を注視する必要がある。
③競争環境の変化
エネルギー事業を取り巻く環境は、緩やかな経済成長と人口減少が続く中で、生成AIの普及に伴うデータセンターの増設等の電力需要の増加要因と、省エネルギーの進展等の需要抑制要因が併存しておりエネルギー需給の見通しがより複雑化している。また、GX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)に基づく排出量取引制度(GX-ETS)の本格運用に向けた制度設計が進展するなど、カーボンプライシングをめぐる環境変化が進んでいる。更に、稼働停止中の原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの導入拡大が進展することで、供給側にも構造的変化が見られる。これらの需要と供給の両面での変化が相まって、エネルギーの需給構造は今後、大きく変化する可能性がある。
こうした需給構造の変化に対応するため、当社は競争力と柔軟性を備えた燃料調達ポートフォリオを確立することで需給変動や市場環境の変化に強い供給体制を構築している。更に、水素・アンモニアへの燃料転換による低炭素火力発電や、老朽化設備のリプレースによる高効率化を推進している。これらの施策により、需給の変動や脱炭素化に伴う競争環境の変化に対するリスク低減を図っているが、市場環境の急激な変動や制度変更等により、発電コストや燃料調達コストに見合った収益を確保できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
④脱炭素社会への適応
当社グループは、国内火力発電業界を代表する事業者の一つとしてエネルギー基本計画にて示されているエネルギー・環境政策を尊重し、自ら主体的に脱炭素技術の開発に取り組むとともに、再生可能エネルギーの開発も積極的に推進することで、持続可能な環境・社会・経済の実現を目指してCO2排出量削減に向けた取組みを進めていく。
具体的には、上述の日本版ロードマップの詳細化とともに、他の国や地域に最適なロードマップを展開していくことで、事業機会の創出へ繋げていく。
こうした取組みを進める一方で、規制環境の変化にも留意が必要である。具体的には、2023年6月30日に施行されたGX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)に基づき、脱炭素に向けた制度が段階的に具体化されており、2026年4月からは排出量取引制度(GX‑ETS)が法的義務として本格的に開始されている。また、同法に限らず、地球温暖化対策に係る新たな法的規制や制度の導入・強化が進む可能性もある。これらの制度設計の内容次第では、当社の事業計画や業務運営に大幅な変更等が生じる可能性があり、その場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼすおそれがある。
将来的な事業環境の不確実性に対応するため、当社グループは、火力電源にとって事業機会が縮小されるリスクケースも含めた将来の電力市場環境に係る複数のシナリオ設定の上、新規電源の開発及び既存電源の保有に係る計画の策定を行っており、戦略の柔軟性とレジリエンスを確保している。将来の電力需要や制度環境を踏まえつつ、経年化した既存設備と最新鋭の高効率設備への入れ替えを図りながら、採算性のない火力電源の開発・保有(いわゆる座礁資産化)の回避とともに収益の最大化を図っていく。
⑤為替の変動
当社の海外事業への投資については、円高が進行すると在外営業活動体の換算価額を通じて自己資本が減少するリスクがある。今後、海外事業への投資が大きく増加していく場合、当社連結ベースの財政状態は影響を受ける可能性がある。このリスクに対しては、主に社債及び借入金の外貨建負債の保有により、当該リスクを一部低減している。
⑥金利の変動
当社グループの有利子負債残高は、2026年3月末時点で2兆7,760億円であり、総資産の27.7%に相当する。当社グループは今後、国内外での新たな事業への投資や既存の債務の償還等のための資金調達を必要とする見通しであるが、金融情勢、当社の信用状態又はその他の要因のために調達金利が変動した場合、支払利息が増減するため、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。
ただし、有利子負債残高のほとんどは社債・長期借入金で占められており、その大部分は固定金利で調達しているため、当社グループの業績や財政状態への影響は限定的である。
(3) 事業活動に係るリスク
①燃料事業
当社グループは、世界最大級の燃料取扱規模を梃子に燃料調達・上流の最適ポートフォリオを形成し、事業環境の変化に強い体制を構築するとともに、自社輸送船団や海外燃料市場を活用した燃料トレーディング事業の拡大により最適な燃料運用を追求している。
これらの燃料バリューチェーンに係る事業の大部分は国内発電事業による燃料消費に裏打ちされたものであり、事業上のリスクは限定的と考えられるが、商品価格の変動リスクや、取引先の信用リスク(カウンターパーティーリスク)等が発生する場合があり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。
これらのリスクに対しては、新規投資実行時には、分野別投資戦略との整合性を確認した上で、「投資評価委員会」等による審査を実施することで長期的に投資適格性が確保できていることを確認しており、また、投資実行後は、定期的なモニタリングの実施及び撤退基準の設定により、リスクの適切な評価、管理を実施している。また、燃料トレーディング事業においては、商品価格の変動リスクや取引先の信用リスク等に関してそれぞれリスク枠が設定されその枠内で取引が実施されると共に、遵守状況が常にモニタリングされ、リスクが上限に近づくような場合は状況の確認と対応の検討がなされる。
この他、当社グループが上流事業に参画している豪州や米国では、各国内における政治動向の影響により気候変動対策の政策や法令が大きく変動するリスクが顕在化している。これに対しては、必要となる対策を十分に講じることでコンプライアンスを確保すると同時に、日本政府やローカルパートナーを通じて、継続的にプロジェクト運営ができるよう事業環境の安定化を追求していく。
②海外・再エネ発電事業
海外発電については、当社グループは世界10カ国以上に約30件とグローバルで海外発電プロジェクトを運営している。これまで主に、IPP(独立系発電事業者)プロジェクトへの取組みを進めており、IPPプロジェクトの大半は安定的な収益が見込める長期電力販売契約を締結し、国内外において、多数・大規模な発電所を開発・運営してきたノウハウを活かしながら事業展開している。この他、特にアジア地域においては、当該国においてプラットフォーム企業となり得る主要なエネルギー企業と連携することで、発電インフラ開発に加えて、LNGの安定供給や脱炭素を推進する取り組みを進めている。
再生可能エネルギーについては、事業拠点として2024年にJERA Nex、2025年に洋上風力発電事業に特化した会社JERA Nex bpが発足した。JERA Nex bpは競争力の高い案件開発の推進、及び統合された洋上風力発電案件のポートフォリオ最適化を目指している。JERA Nexは株主としてJERA Nex bpのガバナンスに関与し、経営を支援するとともに、陸上再生可能エネルギーの開発に引き続き注力していく。グローバルな専門知識とローカルの事業開発能力を活用したグローカル体制を構築する一方で、安全かつ効率的な資産運用とプラットフォーム投資の効果的な管理を最優先に進めていく。
しかしながら、これらの事業は、需要や市場環境の変化、規制の変更等の予期せぬ事態の発生により、当社グループが期待したほどの収益を生まない可能性がある。また、これらの事業の中には第三者との合弁形態で運営されているものがあり、事業環境の変化に伴う合弁形態の見直しや、当社グループが少数株主であるために重要な経営判断に関与できない事態等が生じた場合、合弁事業の結果が、必ずしも当社グループの業績に有益な貢献をもたらさない可能性がある。更に、事業計画の変更、事業・発電所建設の取り止め等があれば、これに伴う関連費用の発生、追加資金拠出等が発生する可能性がある。この他、主に再生可能エネルギー事業に関係するものとして、開発・建設段階においては、人件費の高騰や金利上昇に加え、地政学的リスク発現等に起因するサプライチェーンの混乱により発電設備等の資材調達コストが高騰するリスクや計画的な調達が阻害されるリスク、また、運転開始後においては、風況悪化や日射量の低下に伴い、風力・太陽光の発電量が想定よりも減少するリスクが挙げられる。
加えて、海外での事業については、為替リスクに加えて当該国の政情不安等によるリスク(カントリーリスク)が存在し、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。
これらのリスクに対しては、新規投資実行時には、分野別投資戦略との整合性を確認した上で、「投資評価委員会」等による審査を実施することで長期的に投資適格性が確保できていることを確認しており、また、投資実行後は、定期的なモニタリングの実施及び撤退基準の設定により、リスクの適切な評価、管理を実施している。
③国内火力・ガス事業
国内火力発電では変動する需要に対して柔軟に発電量を調整し、安定して電力を供給することが求められる。当社グループは、国内最大規模の発電設備を有する発電事業者であり、長年培われてきた発電設備の運営技術により、経済的かつ安定的な電力供給を実現している。また、脱炭素社会へのニーズの高まりに対しても燃焼時にCO2を排出しない燃料へのトランジションを推進している。
加えて、大規模な燃料契約を主軸に、これまでの火力発電の運用実績・経験に基づく供給能力で、お客さまの多様なニーズに応え、電力・ガスを販売している。更に、電力トレーディング事業を行う株式会社JERA Global Marketsは、トレーディングに関する知見等を活かし、着実に実績を積み上げている。
しかしながら、これらの事業は、需要や市場環境の変化、規制の変更等の予期せぬ事態の発生により、当社グループが期待したほどの収益を生まない可能性がある。更に、事業計画の変更、事業・発電所建設の取り止め等があれば、これに伴う関連費用の発生、追加資金拠出等が発生する可能性がある。
これらのリスクに対しては、新規投資実行時には、分野別投資戦略との整合性を確認した上で、「投資評価委員会」等による審査を実施することで長期的に投資適格性が確保できていることを確認しており、また、投資実行後は、定期的なモニタリングの実施及び撤退基準の設定により、リスクの適切な評価、管理を実施している。
また、電力・ガス販売については、長期相対取引に加え、短期相対取引や国内市場も活用し、優れた電力・ガス販売ポートフォリオを構築することで、対応している。
④自然災害や不測の事故等
上記各事業に一部共通するが、自然災害、人為的なミス、テロ、又はその他の不測の事態により、当社グループの設備又はこれらの設備を運転制御する情報システム等に重大な事故があった場合、また、戦争や暴動により燃料供給の中断があった場合、当社グループの業務運営に支障を来たす可能性がある。
当社グループでは、良質な電気を経済的かつ安定的にお届けするために、最適な設備の形成・保全に努めるとともに、災害に強い設備形成を実現するために、大規模地震対策等も実施している。しかしながら、事故等のために当社グループの設備が操業を停止した場合には、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。
(4) その他のリスク
①コンプライアンス
当社グループは、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取組みに努めているが、法令違反等の企業倫理に反した行為が発生した場合、当社グループの社会的信用が低下し、業務運営や業績、財政状態は影響を受ける可能性がある。
②情報管理
当社グループは、お客様情報をはじめ、業務上の重要な情報を保有している。社内規程の整備や、従業員教育等を通じ情報の厳正な管理に留意しているが、これらの情報の漏えい等が発生した場合には、対応に要する直接的な費用が発生するほか、当社グループの社会的信用が低下し、業務運営や業績、財政状態は影響を受ける可能性がある。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、今後のエネルギー政策や電気事業制度の見直し等の影響を受ける可能性がある。
(1) その他の関係会社等との関係に係るリスク
①東京電力フュエル&パワー株式会社及び中部電力株式会社との資本関係
東京電力フュエル&パワー株式会社と中部電力株式会社は、有価証券報告書提出日現在において、それぞれ当社発行済株式の50%を所有する株主であり、両株主は、2017年6月8日に締結した合弁契約書において、当社グループの事業活動を制約しない措置の詳細ルールについて合意している。
しかしながら、想定外の事態が生じた際に、その対応方針を巡って両株主が合意に至らない場合には、当社グループの事業計画や業務運営、業績、財政状態は影響を受ける可能性がある。
②東京電力ホールディングス株式会社、中部電力株式会社及びそのグループ会社との取引
当社グループは東京電力ホールディングス株式会社のグループ会社である東京電力エナジーパートナー株式会社及び中部電力株式会社のグループ会社である中部電力ミライズ株式会社(2020年4月1日付で中部電力株式会社の権利義務及び電力供給等の契約上の地位を中部電力ミライズ株式会社が承継)への電力供給等の取引を行っている。取引条件については、市場実勢等を参考に、案件ごとに交渉の上で決定している。
第11期連結会計年度における当社グループと東京電力エナジーパートナー株式会社、及び中部電力ミライズ株式会社との間の主たる取引は下表のとおりである。
第11期連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
| 取引先 | 取引内容 | 金額(百万円) |
| 東京電力エナジーパートナー株式会社 | 電気・ガスの販売 | 1,998,054 |
| 中部電力ミライズ株式会社 | 電気・ガスの販売 | 1,380,298 |
当該各社との契約・取引内容等に変化が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。なお、2026年度の電力受給契約及びガス需給契約は既に当該各社と締結済である。期中に予期せぬ状況が発生した場合は、当該各社と協議していく。
(2) 外部環境に係るリスク
①経済状況及び天候状況
販売電力量は景気動向や気温の変動等によって増減するため、これらの状況によって当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用拡大や賃金上昇を背景とした個人消費の伸びなどにより、緩やかな回復基調を維持した。設備投資にも緩やかな持ち直しがみられ、非製造業を中心として企業収益に改善傾向が見られている。
一方で、イランを巡る中東情勢の不安定化に伴う地政学リスクをはじめ、インフレの加速や為替、金利の動向などのわが国の経済への影響には十分注意する必要がある。今後、これらの影響期間、影響範囲の拡大等の状況によっては、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。これらの動向については、引き続き、注視していく。
この他、厳冬・猛暑による急激な需要増が発生した場合には、発電所の増出力運転や補修期間の調整、休止火力の再稼働による供給力確保の検討等、あらゆる対応を実施していく。
②燃料価格の変動等
LNG、石炭等の燃料費は、市場価格及び為替相場の変動により影響を受けるが、当社は主要な販売先との間で燃料調達に係る市況の変動を適宜反映することとしているため、当社グループの業績や財政状態への影響は限定的である。
しかしながら、急激な市況の変動等があった場合、これに伴う燃料費の変動分を料金に反映させるまでにタイムラグ(「期ずれ」)があるため、一時的に当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。また、燃料の需給状況、燃料調達先の設備・操業トラブルや輸送上のトラブル、政治情勢の変動等により燃料が円滑に調達できない場合には、燃料費の増減等により、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。
とりわけ2026年2月に発生した米国・イスラエルとイランとの武力衝突に伴うホルムズ海峡の封鎖により、LNGの安定的な調達・輸送に直接的な影響を及ぼし得る状況となっているほか、原油やLNGをはじめとした各種燃料の市場価格は大きく高騰しており、今後の動向を注視する必要がある。
③競争環境の変化
エネルギー事業を取り巻く環境は、緩やかな経済成長と人口減少が続く中で、生成AIの普及に伴うデータセンターの増設等の電力需要の増加要因と、省エネルギーの進展等の需要抑制要因が併存しておりエネルギー需給の見通しがより複雑化している。また、GX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)に基づく排出量取引制度(GX-ETS)の本格運用に向けた制度設計が進展するなど、カーボンプライシングをめぐる環境変化が進んでいる。更に、稼働停止中の原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの導入拡大が進展することで、供給側にも構造的変化が見られる。これらの需要と供給の両面での変化が相まって、エネルギーの需給構造は今後、大きく変化する可能性がある。
こうした需給構造の変化に対応するため、当社は競争力と柔軟性を備えた燃料調達ポートフォリオを確立することで需給変動や市場環境の変化に強い供給体制を構築している。更に、水素・アンモニアへの燃料転換による低炭素火力発電や、老朽化設備のリプレースによる高効率化を推進している。これらの施策により、需給の変動や脱炭素化に伴う競争環境の変化に対するリスク低減を図っているが、市場環境の急激な変動や制度変更等により、発電コストや燃料調達コストに見合った収益を確保できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
④脱炭素社会への適応
当社グループは、国内火力発電業界を代表する事業者の一つとしてエネルギー基本計画にて示されているエネルギー・環境政策を尊重し、自ら主体的に脱炭素技術の開発に取り組むとともに、再生可能エネルギーの開発も積極的に推進することで、持続可能な環境・社会・経済の実現を目指してCO2排出量削減に向けた取組みを進めていく。
具体的には、上述の日本版ロードマップの詳細化とともに、他の国や地域に最適なロードマップを展開していくことで、事業機会の創出へ繋げていく。
こうした取組みを進める一方で、規制環境の変化にも留意が必要である。具体的には、2023年6月30日に施行されたGX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)に基づき、脱炭素に向けた制度が段階的に具体化されており、2026年4月からは排出量取引制度(GX‑ETS)が法的義務として本格的に開始されている。また、同法に限らず、地球温暖化対策に係る新たな法的規制や制度の導入・強化が進む可能性もある。これらの制度設計の内容次第では、当社の事業計画や業務運営に大幅な変更等が生じる可能性があり、その場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼすおそれがある。
将来的な事業環境の不確実性に対応するため、当社グループは、火力電源にとって事業機会が縮小されるリスクケースも含めた将来の電力市場環境に係る複数のシナリオ設定の上、新規電源の開発及び既存電源の保有に係る計画の策定を行っており、戦略の柔軟性とレジリエンスを確保している。将来の電力需要や制度環境を踏まえつつ、経年化した既存設備と最新鋭の高効率設備への入れ替えを図りながら、採算性のない火力電源の開発・保有(いわゆる座礁資産化)の回避とともに収益の最大化を図っていく。
⑤為替の変動
当社の海外事業への投資については、円高が進行すると在外営業活動体の換算価額を通じて自己資本が減少するリスクがある。今後、海外事業への投資が大きく増加していく場合、当社連結ベースの財政状態は影響を受ける可能性がある。このリスクに対しては、主に社債及び借入金の外貨建負債の保有により、当該リスクを一部低減している。
⑥金利の変動
当社グループの有利子負債残高は、2026年3月末時点で2兆7,760億円であり、総資産の27.7%に相当する。当社グループは今後、国内外での新たな事業への投資や既存の債務の償還等のための資金調達を必要とする見通しであるが、金融情勢、当社の信用状態又はその他の要因のために調達金利が変動した場合、支払利息が増減するため、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。
ただし、有利子負債残高のほとんどは社債・長期借入金で占められており、その大部分は固定金利で調達しているため、当社グループの業績や財政状態への影響は限定的である。
(3) 事業活動に係るリスク
①燃料事業
当社グループは、世界最大級の燃料取扱規模を梃子に燃料調達・上流の最適ポートフォリオを形成し、事業環境の変化に強い体制を構築するとともに、自社輸送船団や海外燃料市場を活用した燃料トレーディング事業の拡大により最適な燃料運用を追求している。
これらの燃料バリューチェーンに係る事業の大部分は国内発電事業による燃料消費に裏打ちされたものであり、事業上のリスクは限定的と考えられるが、商品価格の変動リスクや、取引先の信用リスク(カウンターパーティーリスク)等が発生する場合があり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。
これらのリスクに対しては、新規投資実行時には、分野別投資戦略との整合性を確認した上で、「投資評価委員会」等による審査を実施することで長期的に投資適格性が確保できていることを確認しており、また、投資実行後は、定期的なモニタリングの実施及び撤退基準の設定により、リスクの適切な評価、管理を実施している。また、燃料トレーディング事業においては、商品価格の変動リスクや取引先の信用リスク等に関してそれぞれリスク枠が設定されその枠内で取引が実施されると共に、遵守状況が常にモニタリングされ、リスクが上限に近づくような場合は状況の確認と対応の検討がなされる。
この他、当社グループが上流事業に参画している豪州や米国では、各国内における政治動向の影響により気候変動対策の政策や法令が大きく変動するリスクが顕在化している。これに対しては、必要となる対策を十分に講じることでコンプライアンスを確保すると同時に、日本政府やローカルパートナーを通じて、継続的にプロジェクト運営ができるよう事業環境の安定化を追求していく。
②海外・再エネ発電事業
海外発電については、当社グループは世界10カ国以上に約30件とグローバルで海外発電プロジェクトを運営している。これまで主に、IPP(独立系発電事業者)プロジェクトへの取組みを進めており、IPPプロジェクトの大半は安定的な収益が見込める長期電力販売契約を締結し、国内外において、多数・大規模な発電所を開発・運営してきたノウハウを活かしながら事業展開している。この他、特にアジア地域においては、当該国においてプラットフォーム企業となり得る主要なエネルギー企業と連携することで、発電インフラ開発に加えて、LNGの安定供給や脱炭素を推進する取り組みを進めている。
再生可能エネルギーについては、事業拠点として2024年にJERA Nex、2025年に洋上風力発電事業に特化した会社JERA Nex bpが発足した。JERA Nex bpは競争力の高い案件開発の推進、及び統合された洋上風力発電案件のポートフォリオ最適化を目指している。JERA Nexは株主としてJERA Nex bpのガバナンスに関与し、経営を支援するとともに、陸上再生可能エネルギーの開発に引き続き注力していく。グローバルな専門知識とローカルの事業開発能力を活用したグローカル体制を構築する一方で、安全かつ効率的な資産運用とプラットフォーム投資の効果的な管理を最優先に進めていく。
しかしながら、これらの事業は、需要や市場環境の変化、規制の変更等の予期せぬ事態の発生により、当社グループが期待したほどの収益を生まない可能性がある。また、これらの事業の中には第三者との合弁形態で運営されているものがあり、事業環境の変化に伴う合弁形態の見直しや、当社グループが少数株主であるために重要な経営判断に関与できない事態等が生じた場合、合弁事業の結果が、必ずしも当社グループの業績に有益な貢献をもたらさない可能性がある。更に、事業計画の変更、事業・発電所建設の取り止め等があれば、これに伴う関連費用の発生、追加資金拠出等が発生する可能性がある。この他、主に再生可能エネルギー事業に関係するものとして、開発・建設段階においては、人件費の高騰や金利上昇に加え、地政学的リスク発現等に起因するサプライチェーンの混乱により発電設備等の資材調達コストが高騰するリスクや計画的な調達が阻害されるリスク、また、運転開始後においては、風況悪化や日射量の低下に伴い、風力・太陽光の発電量が想定よりも減少するリスクが挙げられる。
加えて、海外での事業については、為替リスクに加えて当該国の政情不安等によるリスク(カントリーリスク)が存在し、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。
これらのリスクに対しては、新規投資実行時には、分野別投資戦略との整合性を確認した上で、「投資評価委員会」等による審査を実施することで長期的に投資適格性が確保できていることを確認しており、また、投資実行後は、定期的なモニタリングの実施及び撤退基準の設定により、リスクの適切な評価、管理を実施している。
③国内火力・ガス事業
国内火力発電では変動する需要に対して柔軟に発電量を調整し、安定して電力を供給することが求められる。当社グループは、国内最大規模の発電設備を有する発電事業者であり、長年培われてきた発電設備の運営技術により、経済的かつ安定的な電力供給を実現している。また、脱炭素社会へのニーズの高まりに対しても燃焼時にCO2を排出しない燃料へのトランジションを推進している。
加えて、大規模な燃料契約を主軸に、これまでの火力発電の運用実績・経験に基づく供給能力で、お客さまの多様なニーズに応え、電力・ガスを販売している。更に、電力トレーディング事業を行う株式会社JERA Global Marketsは、トレーディングに関する知見等を活かし、着実に実績を積み上げている。
しかしながら、これらの事業は、需要や市場環境の変化、規制の変更等の予期せぬ事態の発生により、当社グループが期待したほどの収益を生まない可能性がある。更に、事業計画の変更、事業・発電所建設の取り止め等があれば、これに伴う関連費用の発生、追加資金拠出等が発生する可能性がある。
これらのリスクに対しては、新規投資実行時には、分野別投資戦略との整合性を確認した上で、「投資評価委員会」等による審査を実施することで長期的に投資適格性が確保できていることを確認しており、また、投資実行後は、定期的なモニタリングの実施及び撤退基準の設定により、リスクの適切な評価、管理を実施している。
また、電力・ガス販売については、長期相対取引に加え、短期相対取引や国内市場も活用し、優れた電力・ガス販売ポートフォリオを構築することで、対応している。
④自然災害や不測の事故等
上記各事業に一部共通するが、自然災害、人為的なミス、テロ、又はその他の不測の事態により、当社グループの設備又はこれらの設備を運転制御する情報システム等に重大な事故があった場合、また、戦争や暴動により燃料供給の中断があった場合、当社グループの業務運営に支障を来たす可能性がある。
当社グループでは、良質な電気を経済的かつ安定的にお届けするために、最適な設備の形成・保全に努めるとともに、災害に強い設備形成を実現するために、大規模地震対策等も実施している。しかしながら、事故等のために当社グループの設備が操業を停止した場合には、当社グループの業績や財政状態は影響を受ける可能性がある。
(4) その他のリスク
①コンプライアンス
当社グループは、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取組みに努めているが、法令違反等の企業倫理に反した行為が発生した場合、当社グループの社会的信用が低下し、業務運営や業績、財政状態は影響を受ける可能性がある。
②情報管理
当社グループは、お客様情報をはじめ、業務上の重要な情報を保有している。社内規程の整備や、従業員教育等を通じ情報の厳正な管理に留意しているが、これらの情報の漏えい等が発生した場合には、対応に要する直接的な費用が発生するほか、当社グループの社会的信用が低下し、業務運営や業績、財政状態は影響を受ける可能性がある。