有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/11/12 15:00
【資料】
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【項目】
97項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営方針、経営戦略等
当社グループは、安定かつ持続的成長を実現するための計画として、2019年度から2021年度の中期経営計画を策定いたしました。その中で、当社の使命を「お客様に対して常に新しい価値を提供し続ける」と定義し、社名と同様にIT業界の「ベース」つまり基礎となるべく「モノづくり」・「運用保守」領域をメインターゲットと定めました。「モノづくり」・「運用保守」領域での競争力を高めるために、以下の3点に取り組んでまいります。
① 業界の最先端を行く技術力の強化
② お客様の要望に素早く応えられる機動力・動員力の強化
③ 安心を実感して頂ける品質・サービスレベルの強化
この3点に加え、④安定性の強化と⑤売上の拡大を重点戦略として策定しております。
<重点戦略>① 業界の最先端を行く技術力の強化
IoT、クラウド、RPA(Robotic Process Automation、ロボットによる業務の自動化)、FinTech等、最新の技術に対する研究・習得を推進してまいります。また、技術力の高い中国人技術者が多く在籍するという優位性を最大限に活かし、既存技術に関してもより高いレベルを目指し、生産性向上に繋げてまいります。
② お客様の要望に素早く応えられる機動力・動員力の強化
会社に対する帰属性向上の取り組みと、株式上場によって得られる社会的信頼度向上やファイナンス手法を活用し、規模の拡大を目指します。並行して、組織をフラット化し、現場にいる幹部社員の裁量で迅速な意思決定を可能にすることで、お客様にスピードを感じて頂ける企業を目指します。
③ 安心を実感して頂ける品質・サービスレベルの強化
意識教育の徹底と、プロジェクトの管理手法、マネジメント手法に関する教育を強化し、品質管理の方法や、問題が発生した際のリカバリ手法を実践することで、品質向上に繋げてまいります。
④ 安定性の強化
運用保守案件や社員支援サービス等の継続的な受注が見込めるストックビジネスの比率を高めていくことで、外部環境に比較的影響を受けにくい安定した事業基盤の構築を目指します。
⑤ 売上の拡大
売上の拡大余地の大きい大手システムインテグレータとの取引比率を上げることで、成長可能な基盤を整え、新規領域の案件に参画することで売上拡大に繋げてまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、高い収益性の維持と、売上の拡大を経営上の目標としております。そのための指標として、2021年12月期までの3ヶ年は、13%以上の売上高営業利益率の維持と、毎年7%以上の売上拡大を計画数値とし、更なる成長を目指してまいります。
(3)経営環境
2017年6月に成長戦略「未来投資戦略2017」が閣議決定され、それによれば、IoT、AI、ビッグデータ等による第四次産業革命の社会実装を実現し、一人ひとりのニーズに合わせたサービス提供による社会課題の解決を図るとしています。また、「働き方改革」に向けた取り組みも各企業で加速しており、そのためにはITによる業務の自動化・効率化は不可欠と考えております。
社会的にITへのニーズ・期待が高まっているため、経営環境としては領域拡大のチャンスがあると分析しております。FinTech、AI、オープンソース、クラウド、RPA等をキーワードに、技術力を高め、それを武器に社会的なニーズに対応していく考えであります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
事業上及び財務上の対処すべき課題としては以下の事項を認識しております。
① 新規主要顧客(第4の柱)の早期確立
安定した持続的な成長を続けるためには、売上拡大に繋がる新規主要顧客の確立が必要だと考えています。現在の主要顧客である富士通グループ、みずほ証券、野村総合研究所は3本の柱として確立できていると考えておりますが、更なる成長と、顧客毎の売上比率のリバランスのために、第4の柱を構築したいと考えております。第4の柱としては、売上拡大が見込める大手システムインテグレータをターゲットに要員の集中投入などを図り、早期に4本目の柱となる顧客の確立を目指してまいります。
② 品質・サービスレベルの向上
継続して受注を得るには、常に安定した品質とサービスを提供し、お客様に安心して頂くことが重要になります。品質・サービスレベルの向上に向けて、意識教育の徹底や品質管理方法の教育を強化してまいります。加えて、受注前の見積り審査や受注後のプロジェクト進捗確認等のアシュアランス機能をもったシステム企画部を設置することで、現場のみではなく、第三者によるチェックを通じて、品質・サービスレベルの向上を図ります。
③ 人材採用の強化
当社グループ事業を継続的に拡大していくためには、専門性を有する優秀な人材を安定的、かつ機動的に確保することが必要不可欠と考えています。採用に注力し、日本新卒採用、中国新卒採用、日本中途採用、中国中途採用それぞれに対してターゲット別に最適な戦略を講じてまいります。当社グループ事業の源泉は人材であるため、採用予算を増額し、優秀な人材確保に努めます。
④ 最新技術の習得
当社グループ事業を取り巻く環境は急速に変化しており、お客様に対して、常に新しい価値を提供するためには、最新の技術を含めた専門性を有する優秀な人材が必要と認識しています。技術動向などを常にウォッチし、AWS(Amazon Web Services、Amazon.comが提供するクラウドコンピューティングサービス)、SAP、RPA、証券業務など高付加価値に繋がる技術・業務知識に的を絞って教育に注力し、関連資格取得者数の増加も図ります。
⑤ リーダー層の育成
売上拡大に伴い、案件数や大型案件も増加し、ビジネスパートナーの活用も大幅に増加しています。そのため、マネジメントスキルを持ったリーダー層の育成が急務となっています。これまでの教育研修制度にプラスし、リーダーを目指す社員に特化した研修及び現場でのマネジメント経験をさせる取り組み等を通して、リーダー層を充実させてまいります。
⑥ 経営管理・内部管理体制の強化
経営に対する公平性及び透明性の担保、また、会社経営を脅かす問題・違反を防止し、法令・企業理念が遵守できる組織にするために、経営管理体制・内部管理体制の強化が重要と認識しております。上場を見据え、外部講師による教育等も含めて、引き続き公平性と透明性、効率性、並びに、健全性を保てる組織を維持するために、コーポレート・ガバナンスの体制強化に取り組んでまいります。
⑦ 働き方改革の推進
働きやすい環境を整え、社員のワーク・ライフ・バランスやモチベーションの向上を図ることは、結果として社員の生産性や帰属性を高め、優秀な人材の確保に繋がると考えているため、働き方改革の推進は重要課題と認識しております。「社員を大事に」のスローガンのもと、取り組みを行った結果、2018年には、大手シンクタンクの客観的な診断に基づき、大手金融機関より「働き方改革のグロース企業」として評価頂きました。引き続き従業員主体のキャリア構築の仕組づくりを行い、有給休暇取得率の向上、長時間労働の抑制等に注力してまいります。