有価証券報告書-第1期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/28 16:12
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有報資料

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、経営理念として「ペットと人とが共に健やかに暮らせる社会をつくる」を、また経営ビジョンとして「ペットと人の幸せを考え続ける会社」を掲げております。当社グループは、ペット保険、オンラインペット健康相談事業を通じ、ペットの健康に貢献することはもちろんのこと、ペットと共に暮らすことで人も心身ともに健康でいられるように、また、ペットを飼育している人もそうでない人も健やかに共存できる社会を実現できるように、当社グループの事業を通じて貢献してまいりたいと考えております。今後はペット保険事業を主軸としつつ、グループシナジーの創出を通じて、経営理念、経営ビジョンの実現と、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
(2)経営環境等
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う混乱により世界経済が減速し、景気の先行きは不透明な状況のなか、経済全体の活動水準が低く、依然として厳しい状態が続いております。ペット業界においては、矢野経済研究所が2021年1月に発行した「ペットビジネスマーケティング総覧 2021年版」によると、2019年度ペット関連総市場規模は小売金額ベースで前年度比1.7%増の1兆5,705億円であったのに対し、2020年度は前年度比3.4%増の1兆6,242億円と見込まれており、さらなる成長がみられました。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、全国の犬の飼育頭数の推計は近年減少傾向にあり、2020年には8,489千頭、猫の飼育頭数の推計は微減に転じ2020年には9,644千頭となっています。一方、2020年の犬・猫の飼育頭数推計の合計値(18,133千頭)は15歳未満の総人口(15,105千人、2020年5月1日現在(確定値)、総務省統計局 人口推計)を超えており、日本の世帯においてペットの位置付けが大きくなっていることがうかがえます。ペットを大切な家族の一員と考える飼い主さまが増えていることを背景に、ペット一頭あたりへの支出が増加しており、今後もペット関連市場は拡大していくものと予測されております。
この中でペット保険市場は、前述の矢野経済研究所の資料によると、2019年度には841億円だった市場規模が2020年度には993億円へと18.1%増の成長が見込まれています。日本のペット保険市場は、アイペット損保、2020年10月に当社の非連結子会社となったペッツファースト少短を含めて15社(少額短期保険事業者を含む)が参入する競争の激しい市場ではありますが、その中で、アイペット損保の保有契約件数のシェアは2019年12月末の25.4%から2020年12月末には26.7%へ拡大し(「2021年ペット関連市場マーケティング総覧」、株式会社富士経済)、市場において確固たる位置づけを築いてまいりました。海外の市場と比べても、ペット保険の普及率はスウェーデンで約65%、イギリスで約25%であるのに対し、日本では約12%と、拡大はしているものの依然として成長余地が大きい市場であり、当社グループは、この成長市場においてさらに存在感を発揮し、ペットと人とが共に健やかに暮らせる社会の実現に寄与してまいります。
また、2020年1月以降に顕在化した新型コロナウイルス感染拡大に伴い、世界経済が減速し、景気の先行きは不透明な状況となっており、当社グループの業績予想でも、新型コロナウイルス感染拡大の影響を一定考慮しておりますが、現時点で当社グループの業績に対して大きな影響を与えるような状況は生じておりません。緊急事態宣言下においては、主要チャネルであるペットショップのうち、ショッピングモール等の一部の店舗は休業となり、新規契約が減少するリスクがあった一方で、インターネットチャネルでの新規契約は堅調に推移しており、緊急事態宣言解除後においては、ペットショップチャネルも急激に回復してきていることから、収入保険料や経常収益に大きく影響を与えるリスクは少ないと考えております。
なお、新型コロナウィルス感染症に対して当社グループでは、お客さまや取引先、従業員の安全を第一に考え、厚生労働省の提唱する「新しい生活様式」をいち早く取り入れております。具体的には、従業員に対して感染リスクを低減するため可能な限り人との接触機会を削減するべく、テレワーク(在宅勤務)・時差通勤の制度化、ローテーション勤務を実施しており、出社の際もソーシャルディスタンスの確保に努めるとともに、打合せ等はWeb会議を推奨し、出張や営業等での外出も必要最小限にすることとしています。また、マスクの着用、手洗い、消毒の徹底などの対応も実施しております。
今後、事態がさらに深刻化、長期化した場合には、この影響をしっかりと見極めつつ、状況に応じて必要な対策を講じてまいります。
(3)経営戦略等
当社グループは、中核子会社であるアイペット損保およびアイペット損保の100%子会社であるペッツファースト少短を傘下に、2020年10月1日に純粋持株会社として設立されました。2021年3月15日には、ペッツオーライ株式会社(以下「ペッツオーライ」といいます。)を100%子会社とし、グループの事業構成はペット保険事業とオンラインペット健康相談事業に拡大いたしました。これにより、今後は、グループとしての事業領域の拡大や、シナジーの創出、収益力の強化をみこんでおります。
①アイペット損保について
アイペット損保では、中期経営計画を前年度の成果をもとに毎年次の3か年計画にアップデートしておりますが、当事業年度においては、2020年度からの3か年を対象期間とする中期経営計画のもとで、着実な進捗がみられました。新型コロナウイルス感染症の影響による旺盛なペット需要も背景に、アイペット損保の新規契約件数は好調に推移し、2021年1月には保有契約件数が過去最速で10万件増加して、60万件を突破しました。2021年3月末には、保有契約件数は622,069件となり、対前年度比22.4%と大きく増加いたしました。ペットショップチャネルでは、当事業年度においては静岡営業所(2021年4月に支店に昇格)・新潟支店の新設、東西ブロック制の導入による営業接点の強化を実施し、各地域で代理店の支援を強め、販売強化に注力してまいりました。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた外出自粛の流れを背景として、インターネットチャネルでの新規契約の申込みも成長しております。なお、第一生命ホールディングス株式会社との業務提携により、第一生命保険会社のウェブサイト・営業員(生涯設計デザイナー)によるペット保険販売については、新型コロナウイルス感染症対策の影響を受け、一部活動を自粛したケースもございましたが、次年度に向けて更なる拡販の準備を進めております。アイペット損保の強みの一つである、動物病院の窓口で保険証を提示すると、その場で自己負担分のみのお支払いで診療を受けられる「アイペット対応動物病院制度」については、対応動物病院数は順調に拡大し、2021年3月末時点で5,297病院となり、ご契約者さまの利便性向上に引き続き取り組んでおります。また、2021年5月には保険料改定を行い、ペットの高齢化によるニーズに対応すべく、高年齢層の保険料を引き下げ、保険料に一定の年齢での上限を設定するなどの対応をいたしました。これにより、ご契約者さまがペットのためにアイペット損保の保険を継続していただきやすくなると考えております。加えて、お問合わせに迅速に対応するためのAIチャットボットの導入や帳票類の電子化、CRM施策の推進や基幹システムのインフラ更改など、お客さまサービスの向上、事業基盤の強化に向けたデジタライゼーションの取組みも推進しております。
②ペッツオーライについて
2021年3月に子会社となったペッツオーライは、オンラインでペットの健康に関し、獣医師、ドッグトレーナー、ホリスティックケア・カウンセラーに相談できるサービスを提供しております。今後は、当社グループの強みであるペットショップチャネルを活かして新規契約の獲得を推進し収益を拡大するとともに、ペットライフを豊かにする様々なサービスの提供を行うことにより、アイペット損保の継続率の向上にも貢献する等のシナジーの創出を目指します。
③DXプロジェクトについて
当社グループの事業は順調に成長してきた一方、当連結会計年度において、約7億円の最終赤字を計上いたしました。これは、ソフトウェア仮勘定約14億円を固定資産処分損として特別損失に計上したことに伴うものです。これまでアイペット損保では基幹システムの開発を進めており、その過程で約24億円の投資を行いました。2020年12月には、システムの基盤を更改し、2021年5月の保険料改定に向けたシステム開発を無事に完了いたしました。一方で、2020年度は保有契約件数が大きく伸び、今後は保険金支払い等の事務負担もこれまで以上に大きくなることが予想されます。ペット保険市場の成長性、そして2020年度の当社グループの急成長を踏まえ、事業基盤をより強固なものとすべく、自社開発から主にSaaSを利用した基幹システムの開発へと方針を変更することといたしました。これに伴い、上述のとおり、今後活用が見込まれないソフトウェア仮勘定約14億円について特別損失を計上いたしました。今後は、新たなシステム開発をアイペット損保のDXプロジェクトと位置付け、全社一丸となってその完遂に向けて努力し、将来の更なる成長に向けた事業基盤の強化に努めてまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、「経常収益」及び「保有契約件数(注1)」を主な経営指標としております。また、当社グループが扱う事業はストック型のビジネスモデルであるため、当事業年度より、KPI(Key Performance Indicators)として「1契約換算あたりLTV(注1)」、「1契約換算あたりPAC(注1)」及び「グループIRR(注1)」を重視し、中長期的な収益性向上に努めてまいります。当社グループの中期経営計画(2021-2023年度)では、2023年度(2024年3月期)において、経常収益373億円、保有契約件数884,000件を目標として設定しております。
なお、当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する当社グループ内指標(以下「Non-GAAP指標」といいます。)及び日本基準に基づく指標(以下「J-GAAP指標」といいます。)の双方によって、経営成績を開示しております。両者の差異は、責任準備金の計算方法によるもので、Non-GAAP指標は未経過保険料方式、J-GAAP指標は初年度収支残方式に基づいております。また、未経過保険料方式に異常危険準備金影響額を加味した調整後経常利益及び調整後当期純利益を開示しております。詳細については、「(注2)普通責任準備金及び異常危険準備金の取扱いについて」をご参照ください。
(注1)用語の定義・前提
KPIの定義及び計算方法は以下の通りです。
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(注2)普通責任準備金及び異常危険準備金の取扱いについて
損害保険会社は、保険業法施行規則第70条第1項第1号に基づき、未経過保険料残高と初年度収支残高の大きい方を責任準備金として負債計上し、当事業年度の残高と前事業年度の残高の差分を繰入額として当期に費用計上します。
当社グループの中核子会社であるアイペット損保では、初年度収支残高が未経過保険料残高を上回って推移しており、現状、財務会計上は初年度収支残高によっていますが、当社グループは社内管理用の指標として未経過保険料方 式による損益を重要視しております。理由としまして、未経過保険料方式により算定された利益は、発生主義による 利益と同額となるため、期間比較が可能となり当社グループの経営実態を適切に反映していると考えております。一 方で、初年度収支残高方式は、収支相等の原則に立脚しており、当年度に係る保険料から保険金、事業費を差し引いた残額が、翌年度以降の保険金支払い等の原資になるという考え方であり、初年度収支残高方式により算出された利 益は、発生主義による利益とならないことから期間比較が出来ないと考えております。また、上場企業のうち、初年 度収支残方式に基づく損害保険会社が存在しないため、競合他社との比較の観点からも、投資家が当社グループの業 績を評価する上で有用な情報として未経過保険料方式に基づき業績予想の開示を行っております。なお、これらの数 値は金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査又は四半期レビューの対象とはなっておりません。
また、異常危険準備金は、異常災害による損害の填補に備えるため、収入保険料の一定割合を毎期積み立てる責任 準備金の一種であり、大蔵省告示第232号第2条の別表で記載されている損害率を超える場合に、その損害率を超える 部分に相当する金額を取崩すこととされています。アイペット損保は損害率が基準よりも低いため、収入保険料に 3.2%を乗じた金額を毎期積み立てております。
当社グループにおける未経過保険料方式に異常危険準備金を加味した調整後経常利益及び調整後当期純利益は、競合他社の同指標あるいは類似の指標と算定方法が近似するものであり、比較可能性を高めるものであります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、中期経営計画に基づく経営を推進するにあたり、以下のような優先的に対処すべき課題について取組みを行ってまいります。
①ペット保険事業の基盤の強化
アイペット損保のペット保険事業では、当連結会計年度は旺盛なペット需要を背景に保有契約件数が当初の計画以上に成長しました。これにより、オペレーションコストも計画以上に増加し、利益を圧迫する要因となっています。前述のように、ペット保険事業は成長余地が大きい市場であり、アイペット損保も更なる成長が見込まれています。今後更なる成長を目指し、より多くのお客さまの契約を高い業務品質をもって支えるために、一層の事業基盤、オペレーションの強化や生産性の向上を図る必要があります。2021年度から3年間の新中期経営計画においては、将来の成長に向けて事業基盤を強化するために、事務・システムへの投資や事業費の合理化を含む生産性向上に向けた取組みを掲げております。
②グループシナジーの創出
当社グループの経営理念を実現するため、グループでのシナジーを創出するための取組みを推進してまいります。グループ各社のリソース、データなどを活用して事業の効率化や新たなサービスの提供、付加価値向上などに向けた取組みを行うとともに、将来的には、グループの強みを活かし、お客さまのニーズに合致し、社会的課題の解決にも資するような事業の創出を目指します。
③ESG経営の推進
当社グループは、ESGの取組みを通じて、ペット保険会社を中核子会社とするグループとしての社会的責任を果たしつつ、事業を更に強固にし、成長につなげていくことを目指しております。ESGを経営課題と捉え、投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまにより信頼していただけるよう、これまでに行ってきた取組みの継続、進化、新たな取組みへの挑戦などを行ってまいります。

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