有価証券報告書-第5期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 9:18
【資料】
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【項目】
148項目
<戦略>当社グループは、企業理念「なによりも健やかな暮らしのために」及び中核企業である沢井製薬の企業理念「なによりも患者さんのために」のもと、ジェネリック医薬品の製造販売を主たる事業として展開しています。人々の生命と健康に深く関わる事業を担う企業として、医薬品やヘルスケアサービスの安定供給を果たしつつ、気候変動リスクにも対応していくことが極めて重要な責務であると認識しています。
一方、事業活動の拡大に伴い、当社グループにおける温室効果ガスの排出量も増加傾向にあります。当社では、短期的には原単位ベースでの排出量削減、中長期的には再生可能エネルギーの導入なども含めた排出量削減の取り組みを進めており、気候変動への対応と事業の持続的成長の両立を図っています。
こうした認識のもと、当社グループではサステナビリティ課題への対応を経営の重要テーマと位置づけ、日本国のNDCも念頭に2030年度及び2050年に向けたCO2排出量削減目標を中期経営計画に明記しております。これらの目標に向けた具体的施策として、省エネルギー設備への更新や、再生可能エネルギー電力の活用検討、また排出量の削減効果を定量的に把握し投資判断に活かすため、ICPを設定し、省エネ投資に反映する仕組みを整えています。ICPは国際エネルギー機関(IEA)のネットゼロシナリオを達成するために必要な2050年時点の予想炭素価格を参考とし、WACC及び社内為替レートをもとに毎年算出・設定しています。これにより、CO2排出量に価格を付けて将来的なコストとして見積もることで、省エネ設備の導入によりどれだけのCO2排出量の削減効果が見込めるかを比較評価して投資判断材料として活用します。
また、当社ではIEAやIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提示するシナリオを参照し、気温上昇が1.5℃に抑えられるケース(脱炭素が進む社会)と、対策が進まず平均気温が4℃程度まで上昇するケース(物理的リスクが顕在化する社会)の両シナリオを想定し、短期(1年~3年)、中期(4年~9年)、長期(10年以上)の3期に分類した分析を実施しています。これにより、規制強化に伴うコスト増加(例:カーボンプライシング)や、災害リスクの増大によるサプライチェーンへの影響など、多様なリスクを検討し、当社グループが想定する主なリスク及び機会について、以下のとおり整理しています。
区分リスクの種類ビジネス・戦略・財務計画への影響影響度当社グループの対応
1.5℃
シナリオ
4℃
シナリオ


移行リスク政策・法規制リスクカーボンプライシング(炭素税、排出量取引制度)の導入や負担の増加・当社グループが負担するカーボンプライシングによる負担が発生
・GHG排出量の多い原材料サプライヤーへのカーボンプライシング負担分の当社グループ購買価格への転嫁が発生
・当社グループがGHG排出量削減のための必要な省エネ設備投資負担が発生
・再生エネルギー導入の検討
・廃棄品の減少を含む生産効率化の検討・実施
移行リスク人口・経済・地政学リスク人口増加、気温上昇による生物由来の原材料の価格高騰・新興国を中心に増加する人口に伴い、食料や飼料へ穀物(でんぷん、ショ糖、とうもろこし等)の価格上昇が発生し、医薬品の添加剤原料価格上昇が発生・購買先の分散
・代替技術の検討
移行リスク水害リスク(急性)台風・豪雨・洪水・大雪等の増加・当社グループ事業所の被災リスクが増加
・当社グループのサプライヤー事業所の被災リスクが増加
・製品在庫周辺への土嚢積み上げ
・損害保険によるカバー
・当社グループ及びサプライチェーンにおけるBCP整備
機会現状では気候変動により当社グループの事業に影響を及ぼす機会のうち、戦略や財務状況に重要な影響を与えるものは分析・評価の結果、特定されませんでした。

なお、移行リスクのうちカーボンプライシングに伴う炭素コストは、1トンあたり14,500円と想定した場合、当社グループの2025年度のScope1とScope2の排出量に対して、理論上は最大で年間およそ10億円規模のコスト影響が生じる可能性があります。これはエネルギーコストや製造原価への影響が大きいため、経営判断における重要な評価項目と位置付けています。実際、操業への影響を考慮し、一度にすべての設備を更新することはできません。そのため、事業拡大や設備の老朽化に合わせて、計画的かつ段階的に設備更新を進めています。2024年度には先行事例として沢井製薬関東工場へ排熱回収ヒートポンプを導入しましたが、2025年度からはICPの運用開始に伴い、他工場への横展開における投資判断において、炭素コストの削減効果を評価項目へ追加いたしました。今後も省エネ効果の高い設備更新を中心にICPを有効活用し、脱炭素化に向けた取り組みを加速させてまいります。また、当面は省エネ設備への投資に限ってICPを活用する予定です。さらに、クリーン電気や非化石証書の購入によって、理論上の単価よりも低いコストで削減効果を得られる場合もあります。これらを踏まえると、気候変動対応の取り組みが財務に与える影響は、毎年1億円未満にとどまる見込みであり、これが今後緩やかに増加していくと考えられます。
なお、製薬業界においては気候変動が直接的な事業機会に結びつく例は多くありませんが、例えば温暖化に伴い感染症の流行範囲が変化する可能性や、災害時の医薬品供給体制の強化といった面で、社会的な役割の拡大が求められる可能性もあります。当社グループは、こうした社会的要請を機会ととらえ、医薬品の安定供給体制やBCPの強化といった取り組みの検討を継続してまいります。
今後も当社グループは、気候関連リスクと事業成長の両立を図りながら、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを着実に進めてまいります。

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