公開買付届出書

【提出】
2021/02/09 16:35
【資料】
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脚注、表紙

(注1) 本書中の「公開買付者」とは、サカイ繊維株式会社をいいます。
(注2) 本書中の「対象者」とは、サカイオーベックス株式会社をいいます。
(注3) 本書中の記載において、計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は計数の総和と必ずしも一致しません。
(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注5) 本書中の「令」とは、金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注6) 本書中の「府令」とは、発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成2年大蔵省令第38号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注7) 本書中の「本公開買付け」とは、本書提出に係る公開買付けをいいます。
(注8) 本書中の「株券等」とは、株式等に係る権利をいいます。
(注9) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。
(注10) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。

対象者名

サカイオーベックス株式会社

買付け等をする株券等の種類

(1) 普通株式
(2) 新株予約権
① 2014年6月20日開催の対象者取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(以下「第1回新株予約権」といいます。)(行使期間は2014年7月26日から2044年7月25日まで)
② 2015年6月19日開催の対象者取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(以下「第2回新株予約権」といいます。)(行使期間は2015年7月25日から2045年7月24日まで)
③ 2016年6月24日開催の対象者取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(以下「第3回新株予約権」といいます。)(行使期間は2016年7月23日から2046年7月22日まで)
④ 2017年6月23日開催の対象者取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(以下「第4回新株予約権」といい、第1回新株予約権、第2回新株予約権、第3回新株予約権及び第4回新株予約権を総称して以下「本新株予約権」といいます。)(行使期間は2017年7月29日から2047年7月28日まで)

買付け等の目的

(1) 本公開買付けの概要
公開買付者は、対象者の普通株式(以下「対象者株式」といいます。)及び本新株予約権の取得及び所有を主たる目的として、対象者の代表取締役社長である松木伸太郎氏(以下「松木氏」といいます。)により2021年1月15日付で設立された株式会社で、本書提出日現在、松木氏が、公開買付者の発行済株式の100%を所有し、代表取締役を務めております。なお、本書提出日現在、公開買付者は対象者株式及び本新株予約権を所有しておりません。
今般、公開買付者は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)市場第一部に上場している対象者株式(本新株予約権の行使により交付される対象者株式は含みますが、対象者が所有する自己株式を除きます。)及び本新株予約権の全てを取得し、対象者株式を非公開化させ、対象者の株主を公開買付者のみとするための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決定しました。本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注1)に該当し、松木氏は、本取引後も継続して対象者の経営にあたることを予定しております。なお、公開買付者は、対象者のその他の取締役(監査等委員を含みます。)との間で本公開買付け後の役員就任について特段の合意をしている事項はありません。
本公開買付けに際して、公開買付者は、対象者の第3位(注2)の株主であるNIPPON ACTIVE VALUE FUND PLC(ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンド、以下「NAVF」といいます。)(所有株式数:389,800株、所有割合(注3):6.30%)との間で、2021年2月8日付で、NAVFが所有する対象者株式の全て(以下、NAVFが所有する対象者株式を「本応募合意株式」といいます。)について本公開買付けに応募する旨の契約(以下「本応募契約(NAVF)」といいます。)を締結しております。さらに、公開買付者は、NAVFとの間で、2021年2月8日付で、NAVFに対し、対象者の株主を公開買付者のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)の完了をもって、公開買付者のB種種類株式(注4)を割当てる旨の契約(以下「本投資契約(NAVF)」といいます。)を締結しており、上記合意の他、NAVFと協議の上、株主間契約を別途締結する予定ですが、本書提出日現在において、具体的な契約締結の時期及び契約内容は未定です。
なお、これらの契約の概要については、下記「(6) 本公開買付けに関する重要な合意」の「① 本応募契約(NAVF)」、「② 本投資契約(NAVF)」及び「③ その他」をご参照ください。
(注1) 「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、一般に、買収対象会社の経営陣が、買収資金の全部又は一部を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提として買収対象会社の株式を取得する取引をいいます。
(注2) 対象者が2020年11月12日に提出した第128期第2四半期報告書(以下「対象者四半期報告書」といいます。)における2020年9月30日現在の大株主の状況に記載されたNAVFが所有する対象者株式は300千株で、対象者の第4位の株主に該当する内容となっています。一方で、NAVFが2021年1月14日に提出した大量保有報告書の変更報告書によると、NAVFが所有する対象者株式は387,900株となっており、当該株式数は対象者四半期報告書における2020年9月30日現在の大株主の状況に照らすと対象者の第3位の株主に該当すると推定されることから、本書においては、NAVFを対象者の第3位の株主として記載することとします。
(注3) 「所有割合」とは、対象者が2021年2月9日に公表した「令和3年3月期第3四半期決算短信[日本基準](連結)」(以下「対象者四半期決算短信」といいます。)に記載された2020年12月31日現在の発行済株式総数(6,436,258株)に、公開買付者が対象者から2021年1月13日に報告を受けた2020年12月31日現在の本新株予約権313個(注5)の目的となる対象者株式の数の合計(31,300株)を加算した株式数(6,467,558株)から、対象者四半期決算短信に記載された2020年12月31日現在の対象者が所有する自己株式数(275,932株)を控除した株式数(6,191,626株、以下「本基準株式数」といいます。)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。以下、所有割合の記載について同じです。
(注4) B種種類株式は無議決権株式であり、優先配当権、残余財産優先分配請求権及び取得請求権(B種種類株主が自ら主導して、公開買付者に対して普通株式又は金銭等を対価としてB種種類株式を取得することを請求する権利)は定められておりません。また、公開買付者は、以下の理由により、B種種類株式をNAVFに割当てる行為が、公開買付価格の均一性(法第27条の2第3項)の趣旨に抵触しないと考えております。
(ⅰ)上記のとおり、B種種類株式は無議決権株式であり、優先配当権、残余財産優先分配請求権及び取得請求権(B種種類株主が自ら主導して公開買付者に対して普通株式又は金銭等を対価としてB種種類株式を取得することを請求する権利)は定められておりません。また、公開買付者は、NAVFに対し、今後必要に応じて積極的な経営資源の投入を促す目的から、公開買付者とNAVFの間で株主間契約を締結する予定ですが、当該株主間契約においても、B種種類株主が他の株主に先んじて剰余金の配当又は残余財産の分配を受け取ることができる権利、若しくは、B種種類株主が自ら主導して公開買付者に対して普通株式又は金銭等を対価としてB種種類株式を取得することを請求する権利はいずれも定められない予定です。
B種種類株式の払込条件(払込価額を含む。以下本項において同じ。)は、松木氏の保有する公開買付者普通株式の払込条件に比して有利な条件は設定されておりません。また、B種種類株式の内容として、いわゆる劣後株式(剰余金の配当または残余財産の分配について、普通株式に後れてしか剰余金の配当または残余財産の分配を受け取れない株式)とはされていませんので、B種種類株主は普通株主と同順位で剰余金の配当または残余財産の分配を受け取ることは可能となりますが、後述の本銀行融資に係る融資契約では、借入人である公開買付者に余剰のキャッシュ・フローが生じた場合には優先して本銀行融資の返済に充当するとともに、普通株式に対する剰余金の配当を行うには貸付人の事前の書面による承諾を得る必要があると定められる予定です。このように、普通株式及びB種種類株式に対する剰余金の配当は、本取引の実行後の中長期的な経営が奏功し、本銀行融資の完済が完了して初めて公開買付者の判断によって行うことが可能になるものであり、さらに、当該株主間契約においても、B種種類株主が自ら主導して配当を請求することができる旨は定められない予定です。また、残余財産の分配に関しては、公開買付者及び松木氏としては、公開買付者を解散する意向は一切有していない上、当該株主間契約においても、B種種類株主が自ら主導して解散を請求することができる旨は定められない予定です。
以上のとおり、B種種類株式は、B種種類株式を取得する機会を得ることをもって何らかの利益が確保されるものではありません(なお、下記「8 買付け等に要する資金」の「(2) 買付け等に要する資金に充当しうる預金又は借入金等」の「③ 届出日以後に借入れを予定している資金」に記載のとおり、本公開買付けが成立した場合、本公開買付けに係る決済に要する資金を、株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)から172億700万円を限度とした借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)に係る融資契約上、本銀行融資の返済は最終的に2027年3月29日までに行うことが予定されており、少なくともその時点までは剰余金の配当は想定されておりません。また、本取引の実行後は、短期的な収益の悪化及び一定のリスクを伴う対象者の事業構造の抜本的な改革を実施することが予定されているところ、万が一かかる事業構造の抜本的な改革が奏功せず、経営破綻に至る場合には、当然ながらB種種類株式も無価値となるものであり、B種種類株式への投資は相応のリスクを伴う投資であると考えられ、かかるリスクも併せ考えた場合、本取引の実行後のNAVFの経営支援も相まって対象者の中長期的な経営が奏功して、本銀行融資の完済が完了した後に配当がなされ得ること自体は、B種種類株式を取得する機会を得ることをもって直ちに確保される利益ではないと考えております。)。
また、公開買付者は、NAVFに対し、今後必要に応じて積極的な経営資源の投入を促す目的から、公開買付者とNAVFの間で株主間契約を締結する予定です。当該株主間契約において、NAVFは、対象者取締役1名の選任権を有すること、B種種類株式を保有している期間中自己及びその関連当事者の経営資源を無対価で公開買付者及び対象者に提供し公開買付者及び対象者の企業価値向上を支援すること、公開買付者又は対象者の事業運営に関するNAVFへの事前通知事項・事前承諾事項は定めないことについて公開買付者と合意する予定です。さらに、NAVFからは松木氏の経営方針に賛同する旨の意向を口頭で示されており、併せて企業価値向上を支援する旨の意向を口頭で示されております。また、公開買付者は、NAVFに対しては、当該株主間契約において、公開買付者及び対象者が経営破綻に至ることが懸念される場合等、公開買付者において資金調達が必要となる場合には、NAVFが増資に応じることを検討する義務を課すことを要請しており、NAVFからはこの義務を受け容れる意向を口頭で示されております(かかる義務はあくまで検討することの義務にとどまり、増資に応じることの義務ではありませんが、NAVFとしては、公開買付者及び対象者が経営破綻に至ることが懸念される場合等、公開買付者において資金調達が必要となる場合において、NAVFが増資に応じることによって公開買付者及び対象者の経営を維持できる場合には、B種種類株式が無価値となる事態を回避できることから、かかる状況に至った場合の具体的状況にはよるものの、NAVFに増資に係る具体的な検討を求めることにはそもそも一定の意義があると考えられ、さらに、本取引自体が公表されていることを踏まえると、NAVFのレピュテーションの観点からも一定の積極的な検討を期待し得るものと考えております。)。なお、公開買付者とNAVFとの間で、現時点でNAVFがB種種類株式以外の出資を行うことを検討している事実はありません。
(ⅱ) 公開買付者は、公開買付者及び対象者が保有していない経営資源の提供を受けることができるという意味において、NAVFの有する経営資源を活用することを期待しております。具体的には、下記「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」で後述するとおり、NAVFは、対象者が属する業界や対象者の事業環境の分析を通じ、対象者の財務面や事業面の潜在的な成長余地に着目してきたことから、本公開買付け後も中長期的な投資を通じた対象者との関係を維持すること及び対象者への財務政策や企業ガバナンス改善アドバイス等の提供により中長期的な企業価値向上を支援したいとの意向を有していること、更に、公開買付者からの要請に応じ、事業戦略やM&Aに関し豊富な経験を持つ専門家の対象者への派遣も含むサポート体制の構築を手助けする用意があること、また、NAVFは、Rising Sun Management Ltd(以下「RSM」といいます。)を投資顧問としており、日本国内外のコンサルティング会社やプライベート・エクイティファンド等に幅広いネットワークを持ち、それら専門家の紹介を含む経営・財務アドバイスを行うことが可能であること、NAVF自身は、日本国内の上場会社20社程度に投資した実績を持ち、資本政策や企業ガバナンス改善を通じた経営改善に関する知見を有していることから、公開買付者としては、NAVFに公開買付者又は対象者に対する積極的な経営資源の投入による対象者の企業価値向上を期待しております。B種種類株式は、B種種類株式を取得する機会を得ることをもって何らかの利益が確保されるものでないことは上記(ⅰ)のとおりである一方、公開買付者としては、NAVFによる上記のような企業価値向上の支援を通じてメリットを得られるものと判断しております。なお、公開買付者は、NAVFとの間の対象者株式の応募に係る協議において、NAVFから、B種種類株式への出資は、対象者株式への応募の可否と独立して検討を行っており、当該出資がない場合であっても、対象者株式の応募を行う旨の回答を得ております。
(注5) 本新株予約権313個の内訳は以下の表のとおりです。なお、本新株予約権の所有者(以下「本新株予約権者」といいます。)は、対象者の取締役及び幹部従業員で、本新株予約権の行使の条件として、本新株予約権の権利行使期間内において、対象者の取締役又は理事の地位を喪失した日の翌日以降、割り当てを受けた新株予約権を行使することができる旨の定めが設けられております。
新株予約権の名称2020年12月31日現在の個数(個)目的となる対象者株式の数(株)
第1回新株予約権616,100
第2回新株予約権606,000
第3回新株予約権969,600
第4回新株予約権969,600
合計31331,300


本公開買付けにおいて、公開買付者は、対象者株式(本新株予約権の行使により交付される対象者株式は含みますが、対象者が所有する自己株式を除きます。)及び本新株予約権の全てを取得し、対象者株式を非公開化させ、対象者の株主を公開買付者のみとすることを目的としているため、買付予定数の下限を4,127,800株(所有割合:66.67%)に設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限(4,127,800株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行いません。一方、本公開買付けは、上記と同様の理由により、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(4,127,800株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行います。なお、買付予定数の下限(4,127,800株)は、本基準株式数(6,191,626株)に3分の2を乗じた株式数の1単元(100株)未満に係る数を切り上げた株式数(4,127,800株)に設定しております。これは、本取引においては対象者株式を非公開化させ、対象者の株主を公開買付者のみとすることを目的としているところ、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」の「② 株式併合」に記載された株式併合の手続を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされているため、当該要件を充足できるように設定したものです。また、買付予定数の下限(4,127,800株)は、本基準株式数(6,191,626株)から本応募合意株式の数(389,800株)及び本書提出日現在における松木氏の所有株式数の合計(注6)(47,210株)を控除した株式数(5,754,616株)の過半数に相当する株式数(2,877,309株。これは、公開買付者と重要な利害関係を有さない対象者の株主の皆様が所有する対象者株式の数の過半数、すなわち、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」に相当する数にあたります。)に、本応募合意株式の数(389,800株)及び本書提出日現在における松木氏の所有株式数の合計(47,210株)を加算した株式数(3,314,319株、所有割合:53.53%)を上回るものとなります。これにより、公開買付者と重要な利害関係を有さない対象者の株主の皆様の過半数の賛同が得られない場合には、対象者の少数株主の皆様の意思を重視して、本公開買付けを含む本取引を行わないこととしております。
(注6) 松木氏が所有する対象者株式(35,510株)は、対象者の取締役として割り当てられた譲渡制限付株式報酬として所有する譲渡制限付株式(5,500株)及び松木氏が対象者の役員持株会を通じて間接的に所有する株式(410株、小数点以下を切り捨て。)が含まれます。さらに、松木氏は本新株予約権を所有しており、その内訳は、第1回新株予約権27個(目的となる対象者株式の数:2,700株、所有割合:0.04%)、第2回新株予約権22個(目的となる対象者株式の数:2,200株、所有割合:0.04%)、第3回新株予約権34個(目的となる対象者株式の数:3,400株、所有割合:0.05%)及び第4回新株予約権34個(目的となる対象者株式の数:3,400株、所有割合:0.05%)で、目的となる対象者株式の数の合計は11,700株(所有割合の合計:0.19%)となり、対象者株式(35,510株)と合わせて合計で(47,210株)相当を所有しています。
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより、対象者株式の全て(本新株予約権の行使により交付される対象者株式は含みますが、対象者が所有する自己株式を除きます。)及び本新株予約権を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しております。
公開買付者は、下記「8 買付け等に要する資金」の「(2) 買付け等に要する資金に充当しうる預金又は借入金等」の「③ 届出日以後に借入れを予定している資金」及び「④ その他資金調達方法」に記載のとおり、本公開買付けが成立した場合、本公開買付けに係る決済に要する資金を、本銀行融資及びみずほアフターコロナ事業承継アシストファンド投資事業有限責任組合(以下「みずほ事業承継ファンド」といいます。)から公開買付者のA種優先株式の引受けによる10億円を上限とした出資により賄うことを予定しております。本銀行融資に関する融資条件の詳細については、みずほ銀行と別途協議の上、本銀行融資に係る融資契約において定めることとされておりますが、本銀行融資に係る融資契約では、松木氏が所有する公開買付者の発行済株式及び公開買付者が本公開買付けにより取得する対象者株式が担保に供されるとともに、本スクイーズアウト手続の完了後、対象者及びその子会社が保有する対象者グループの株式、預金債権その他対象者及びその子会社の一定の資産が担保に供され、かつ、対象者及びその子会社が公開買付者の連帯保証人となることが予定されています。また、みずほ事業承継ファンドの引き受けるA種優先株式は、公開買付者の株主総会の決議事項の全部について議決権を有さない種類株式による出資を予定しております。なお、A種優先株式においては、公開買付者の普通株式を対価とする取得請求権は定められておりません。他方で、公開買付者又は対象者の事業運営に関する一定の事項について、みずほ事業承継ファンドへの事前通知事項・事前承諾事項(注7)が投資契約(以下「本投資契約(みずほ事業承継ファンド)」といいます。)において規定される予定ですが、いわゆるメザニン出資として一般的な内容のものであり、また、A種優先株式は公開買付者の買付け等に要する資金の調達手法であり、みずほ事業承継ファンドが公開買付者又は対象者の経営権を確保することを目的としておりません。
(注7) 公開買付者がみずほ事業承継ファンドと締結する投資契約では、事前通知事項として、対象者からの松木氏の退任が、また主たる事前承諾事項として、(a)公開買付者以外の普通株式への配当及び配当類似行為、(b)一定金額以上の役員報酬又は賞与の支給、(c)あらかじめ許容されたもの以外の債務負担行為、(d)担保又は保証提供、(e)一定の金額以上の投資制限、(f)本スクイーズアウト手続のために必要となる場合を除く定款変更や組織再編等、(g)松木氏による追加出資、A種優先株式、B種種類株式及び本スクイーズアウト手続に伴うものを除く株式、新株予約権又は社債の発行、(h)対象者の事業運営上重要な契約の変更が定められる予定です。
なお、対象者が2021年2月9日付で公表した「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(以下「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象者は、同日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨、一方、本新株予約権の所有者の皆様に対しては、本公開買付けにおける本新株予約権1個当たりの買付け等の価格(以下「本新株予約権買付価格」といいます。)が1円とされていることから、本新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨の決議を行ったとのことです。
上記対象者の取締役会決議の詳細については、対象者プレスリリース及び下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「④ 対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」をご参照ください。
(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針
公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針は、以下のとおりです。なお、以下の記載のうち対象者に関する記述は、対象者から受けた説明及び対象者が公表した情報に基づくものです。
① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程
対象者プレスリリースによると、本書提出日現在、対象者グループは、対象者並びに対象者の連結子会社16社及び持分法適用関連会社1社(以下、総称して「対象者グループ」といいます。)により構成されているとのことです。対象者は、1890年代より、「酒井商店」との屋号で、麻や絹を主原料とした織物、撚糸の製造・販売を行う繊維販売業を当初営んでおりましたが、福井県内で精練事業の再編が起こったことを契機に、1929年12月に精練染色加工業を目的として酒伊精練加工場を立ち上げたとのことです。その後、1934年10月に初代社長である酒井伊四郎氏が三井物産株式会社との共同出資により織物、撚糸の製造、販売を目的に、対象者の前身である酒伊織産株式会社を設立し、1937年4月には商号を酒伊繊維工業株式会社に変更し、酒伊精練加工場を吸収合併することにより、対象者は織布と精練染色加工の一貫生産体制を実現させ、北陸最大の繊維加工会社となったとのことです。1949年には株式を証券会員制法人東京証券取引所(現、東京証券取引所)市場第一部及び証券会員制法人大阪証券取引所(現、株式会社大阪取引所)市場第一部(なお、2003年5月に上場廃止。)に、同年7月には株式会社京都証券取引所(2001年3月に株式会社大阪証券取引所と合併。)に上場したとのことです。1952年には、東洋レーヨン株式会社(現、東レ株式会社、以下「東レ」といいます。)と賃織契約を締結し、その地位を確固たるものとしたとのことです。その後、対象者グループは、ナイロン織物を加工するナイロン工場(現、福井市花堂工場)や、ポリエステル繊維の一種であるテトロン織物を加工するテトロン工場(現、福井市合繊工場)を建設するなど、取扱製品のバリエーション拡充、生産能力の強化に努めてきたとのことです。
しかしながら、1980年代に入ると、繊維製品の輸出の減少、海外からの安価な繊維製品の輸入の増加や、納品先企業により近い立地での生産や安価な労働力を目的に、対象者グループの取引先を含む川下企業の海外現地生産が増加し、国内に主力の生産設備を持つ対象者グループの競争力は低下していき、第86期(1978年4月1日~1979年3月31日)には約374億円であった売上高が、第92期(1984年4月1日~1985年3月31日)には約222億円にまで減少したとのことです。対象者グループは、このような繊維業界の事業構造の変化に対応するため、事業多角化による経営安定化策を模索し始め、1986年4月には、ソフトウェアの開発、設計の製造・販売、情報処理サービスを目的とする、株式会社酒伊エルコム(現、株式会社サカイエルコム、以下「サカイエルコム」といいます。)を設立、電子関連事業の操業を開始し、制御盤装置製造業へ参入しました。なお、対象者は、1992年4月に商号を酒伊繊維工業株式会社から現商号に変更したとのことです。
本書提出日現在、対象者グループは、染色加工事業、繊維販売事業、制御機器事業及びその他の事業(主に織布事業、水産資材事業、複合部材事業、縫製事業、建設不動産事業及びヘルスケア事業の6事業により構成)を行っており、各事業の概要は次のとおりとのことです。
(ⅰ)染色加工事業
対象者、対象者の連結子会社である株式会社サカイナゴヤ、二日市興業株式会社及び朝日包装株式会社、並びに対象者の持分法適用関連会社である東麗酒伊織染(南通)有限公司において、各種繊維品の染色・整理加工・包装等を行っており、対象者と株式会社サカイナゴヤとの間で染色加工の一部受委託を行っています。
(ⅱ)繊維販売事業
対象者、対象者の連結子会社である株式会社安井及び酒伊貿易(上海)有限公司において、各種繊維製品の企画・製造・販売を行っており、対象者と株式会社安井との間で繊維製品の売買を行っています。
(ⅲ)制御機器事業
対象者の連結子会社であるサカイエルコム及び攝津電機工業株式会社(以下「攝津電機工業」といいます。)において、各種制御盤、配電盤の設計・製作・販売・施工、ソフトウェアの開発・保守・販売、電気工事の設計・施工等を行っており、対象者及び対象者の連結子会社とサカイエルコムとの間で各種システム開発、情報機器、設備工事等の発注を行っています。
(ⅳ)その他の事業
(a) 織布事業
対象者の連結子会社であるマルイテキスタイル株式会社、鯖江合繊株式会社及び織田織物株式会社、並びに対象者の持分法適用関連会社である東麗酒伊織染(南通)有限公司において、各種織編物の製造・販売を行っており、マルイテキスタイル株式会社、鯖江合繊株式会社及び織田織物株式会社と対象者の間で、織布(布を織ること)・編立(1本の糸から編目を作りながら輪をつなぎあわせる生地の製造)等に関する受発注を行っています。
(b) 水産資材事業
対象者において、魚群を誘導し集めることを目的とした浮魚礁の設計・製造・販売を中心に行っています。
(c) 複合部材事業
対象者において、炭素繊維関連複合部材の製造・販売を行っています。
(d) 縫製事業
対象者の連結子会社であるイタバシニット株式会社及び上海板橋時装有限公司において、縫製品の企画・製造・販売を行っており、対象者は縫製品の発注を行っています。
(e) 建設不動産事業
対象者の連結子会社であるサカイ建設不動産株式会社において、建設、土木の設計・施工、不動産の売買等を行っており、対象者及び連結子会社も建設工事等の発注を行っています。
(f) ヘルスケア事業
対象者の連結子会社である株式会社リムフィックスにおいて、医療用繊維製品の企画、販売を行っています。
対象者グループは、染色加工事業を中核としつつ、これまで培ってきたテキスタイル関連の繊維加工技術と他産業の電子機器・情報システム技術をより発展させることにより、人間の生活、文化を豊かに創造し、かつ地球環境にやさしい高品位生活を構築する企業を目指しているとのことです。また、「事業を通じて社会に貢献する」を経営理念に掲げ、経済活動のみならず企業としての社会的責任を果たしつつ、企業価値を最大限に高めるための経営を徹底しているとのことです。そして、対象者グループでは、さらなる事業革新を進めることで、環境変化に柔軟に対応できる経営基盤の確立に努めるとともに、競争力のある企業体質を構築し、企業価値の一層の向上に取り組んでいるとのことです。基幹事業である染色加工事業においては、競争力強化により事業環境の変化に左右されない、より強靭な事業への変革を目指しているとのことです。具体的には、優位性のある分野での事業強化による差別化・特化の推進、生産力の高度化、戦略的な設備投資の実行、調達改革の推進によるコスト競争力強化、環境・省エネ対応の推進に取り組んでいるとのことです。また、染色加工事業、繊維販売事業及び制御機器事業においては、拡大・成長分野、優位性のある分野へ経営資源を重点投入することにより、重点分野での事業強化によるシェア拡大、対象者グループでの連携事業の拡大、将来を見据えた新規事業・成長事業の創出、収益力の向上に向けた商品企画、素材調達機能の強化に取り組んでいるとのことです。
また、対象者の中期経営計画(2017年4月1日~2020年3月31日、以下、「対象者前中期経営計画」といいます。)においては、「変革と挑戦で更なる飛躍へ~新たな成長への事業構造改革~」を全社方針として掲げ、「基幹事業の競争力強化」「拡大・成長分野での事業拡大」「グループ連携の強化による事業拡大」「海外展開の推進」「経営基盤の変革」の5つの基本戦略のもと、各種施策の遂行に努め、より強靭で、収益力のある企業グループを目指し、中核事業や周辺事業の強化を推進するとともに、財務体質の向上に努めるなど、これまで一定の成果を出してきました。これを受け、2020年度(2020年4月1日~2021年3月31日)を初年度とする中期経営計画を策定し、取り組む予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大による経営環境や事業環境の大きな変化が想定されるため、社内における経営基盤の抜本的な見直しを最優先の課題として中期経営計画の策定を延期している状況となっているとのことです。
対象者グループを取り巻く経営環境としては、対象者グループの主力事業である染色加工事業が属している染色整理(注1)業界、そして繊維販売事業が属している繊維業界は、衣料品市場の低迷や安価な輸入製品の増加により国内市場が縮小しており、経済産業省の工業統計(産業編)によると、両業界の製造品出荷額合計は、1998年(暦年ベース)の1兆5,769億円から2018年(暦年ベース)の6,414億円へと半分以下にまで落ち込んでいるとのことです。更に、少子高齢化の進行等により、全体的な国内需要が減少している昨今において、このような国内市場規模の縮小は今後も継続することが想定されるとのことです。加えて、2018年度以降は米中間の貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大により国内外の経済に与える影響が懸念されており、今後の国内経済の先行きは予断を許さない極めて不透明な状況にあるとのことです。外出自粛要請や休業要請による衣料品をはじめとした繊維製品の販売低迷は、対象者のような繊維加工事業者の受注数量に影響を及ぼすことが当分の間見込まれるとともに、原材料価格や物流コストの慢性的な上昇は継続しており、対象者グループを取り巻く環境は、更に厳しさを増すことが予想されるとのことです。特に、新型コロナウイルスの感染拡大が国内外の経済に与える影響は大きく、対象者グループの主力業界である繊維業界は、長期的な消費の低迷やサプライチェーンの寸断による生産供給活動の停滞、コスト増など、甚大な影響を受ける可能性があるとのことです。
対象者グループにおいても、染色加工事業は2021年3月期第2四半期の累計売上高が前年同期比22.9%の減収、繊維販売事業は2021年3月期第2四半期の累計売上高が前年同期比33.2%の減収と、如実にその影響を受けております。特に、染色加工事業は対象者グループの全体の売上高の約44%を占めることから、早急に対応を迫られる状況にあるとのことです。また、制御機器事業におきましては、業績は堅調に推移しているものの、対象者グループの全体の売上高に占める割合は約10%と少なく、対象者グループの主力事業とは言い難い状況であります。染色加工事業及び繊維販売事業が伸び悩む現状においては、制御機器事業を対象者グループの主力事業へ成長させる必要があるとのことです。
このような厳しい経営環境の中で、対象者グループは、市場や事業構造の変化を踏まえた事業戦略や事業資産構成の再構築に取り組むとともに、経営の効率化やサプライチェーンの最適化などに努めているとのことです。一方、持続的な成長を図るため、優位性を最大限に発揮できる領域の拡大と強みを活用できる成長事業の創出を更に進め、企業競争力の強化に取り組むとともに、中長期的な視点でのモノづくり力を高めるため、高品質でコスト競争力をもった生産販売体制の構築に注力し、災害や感染症などへのリスク管理やクライシスマネジメント体制の整備を進めているとのことです。
(注1)「染色整理」とは、糸や生地などの繊維・繊維製品に付着している天然不純物、汚れ、油剤などをアルカリ類と界面活性剤を用いて除去・溶解・分解する「精練」と呼ばれる前工程を経て、糸や生地などの繊維・繊維製品に染色加工などの処理を行うことをいいます。
対象者グループでは、こうした経営環境の中、以下のような経営課題に取り組んでいく必要があると考えているとのことです。
(ⅰ)染色加工事業
顧客である繊維販売業者との関係を更に深化させることで、顧客ニーズの主導的な掘り起しや提案営業による製品開発を加速させ、事業の安定的な成長を図るとともに、改善改良活動に地道に取り組むことで、現場力の向上を更に進め、最適な品質、コスト、納期を実現し、生産体制の基盤強化に努めていくこと。
(ⅱ)繊維販売事業
競争力のある市場への拡販を更に強力に推進するほか、テキスタイル(注2)、アパレル両事業の連携をより高度化し、企画機能を付加した対象者独自のサプライチェーンを再構築することで、商流の多様化や販路拡大に努めるとともに、海外生産拠点の最大活用を図ることで、コスト低減や為替変動の影響を受けにくい体制を整え、収益構造の抜本的な改善を図ること。
(注2)「テキスタイル」とは、対象者グループが営む織布、染色事業から生産される布製品を製造する事業のことをいいます。
(ⅲ)制御機器事業
社会インフラ基盤の構築を支える事業として、機械の自動制御装置及びFAシステム(生産工程の自動化を図るシステム)の設計・製造、電力工事等の顧客開拓に注力する一方、新たな事業エリアの拡大に向けて営業体制を再構築するなど、更なる規模の拡大を目指すこと。
また、事業展開を推進する中核人材の育成や多能な人材が活躍できる風土の醸成を行うほか、設備投資、M&Aなどの事業投資にも注力し、成長戦略を着実に推進し、更に、人員構成の適正化に取り組み、収益力の抜本的な改善に取り組んでいく必要があると考えているとのことです。
こうした状況下、松木氏は、既に成熟産業となってしまっている染色加工事業や繊維販売事業をコアとする対象者グループの事業内容に鑑み、対象者前中期経営計画がスタートした2017年頃から、市場縮小に比例する形で対象者グループの事業規模も縮小する事態を避け、工場の生産効率・稼働率を維持する観点からも新規取引先の獲得のみならず既存取引先からの売上を増加させることは漠然とした経営課題として認識しておりましたが、対象者前中期経営計画が終了する直前の2020年1月から2月にかけて新型コロナウイルス感染症の感染拡大による上記事業への経済的悪影響が顕在化したことから抜本的な事業構造改革の必要性を再認識し、対象者グループの組織体制・経営体制などに対する問題意識を高めていたところ、2020年4月下旬から、対象者グループの今後の中長期的な企業価値向上策について検討を開始しました。
松木氏において、代表取締役社長として対象者の事業を管掌する立場から、当該検討を進めていたところ、2020年11月中旬、対象者は、NAVF(2020年11月17日提出の大量保有報告書によれば所有株式数は321,900株で、所有割合にすると5.20%)の投資顧問であるRSMより、対象者の事業戦略に関する議論を目的とした面談の申入れを受け、同社とのビデオ会議形式による面談を実施しました。対象者は、同面談においてRSMからMBOが対象者にとって検討しうる戦略になると考えている旨のコメントを受領したとのことですが、この際、RSMよりNAVFが保有する対象者株式の買取りを求められた事実はないとのことです。
松木氏は、2020年4月下旬以降に検討を進めていた今後の中長期的な企業価値向上策の検討に加え、NAVFとの上記面談を契機に、経営戦略としてMBOによる非公開化の有効性の検討に着手し、2020年11月中旬、対象者グループを取り巻く厳しい経営環境に対応するためには、現在の経営方針を実現しつつ、既に成熟産業である染色加工事業や繊維販売事業の激化する事業環境にも対応し、中長期的な視点で対象者の事業構造の改革を推進していくことは避けられないとの認識を持つに至りました。対象者の事業構造の改革については、対象者前中期経営計画に基づき事業構造の充実と転換に現在取り組んでいるものの、松木氏としては、対象者は短期的な収益の悪化やそれに伴う株価の下落等の悪影響の回避を意識するあまり、大規模な設備投資や一時的な利益の悪化を伴う施策を避ける保守的な戦略を取ってきており、上場会社においては、四半期ごとに業績の開示が義務付けられているため、顧客に対して受託者責任を負う機関投資家を含む幅広い株主から、中長期的な企業価値向上とともに短期的な利益確保を求められる側面もあるところ、その要求に応えながらこれらの事業構造の改革に取り組むことには限界があることから、短期的な収益や株価動向にとらわれることなく、一定の事業リスクを伴う対象者の事業構造の抜本的な改革を実施する必要があるとの認識を持つに至りました。また、松木氏は、相応のプレミアムを付した価格で公開買付けを実施することにより、対象者の少数株主に対象者株式を一定の価格で売却する機会を設けることで、少数株主の利益を図ることができると判断いたしました。そして、事業構造の改革の具体策として、以下の施策(以下「本事業構造改革策」といいます。)を実施する必要があるとの認識を持つに至りました。
(ⅰ)染色加工事業及び繊維販売事業における販路拡大と新規海外生産・調達拠点の設置
対象者グループは、染色加工事業において、中国に東レとの合弁会社である東麗酒伊織染(南通)有限公司を2000年12月に設立し、繊維販売事業において、酒伊貿易(上海)有限公司を2011年8月に設立するなど、これまで積極的な中国進出策を進めておりましたが、特に酒伊貿易(上海)有限公司においては、現地における新規取引先の開拓に苦戦している状況にあります。松木氏は、国内市場が縮小傾向にある昨今おいては海外販路の拡大は急務であると認識しております。したがって、対象者グループには、現地企業に対するM&Aによる事業拡大等も視野に入れた、抜本的な販売力強化策を実施する必要があると考えております。
また、中国が急速な経済発展を遂げ、同国の給与水準が上昇している昨今においては、海外生産・調達拠点を東南アジアに移す企業が増えており、それに伴い東南アジア地域における市場規模は急速に拡大しつつあります。したがって、これらの拡大する市場の需要を掴むためにも、タイやベトナムを始めとした東南アジアにおいて生産・販売拠点の新設を検討すべきと考えております。
(ⅱ)染色加工事業及び繊維販売事業における研究開発の促進
対象者グループの染色加工事業及び繊維販売事業が属する繊維業界では、新興国からの安価な輸入製品の増加などにより競争環境が激化しております。また、環境意識の高まりを受け、SDGs(Sustainable Development Goalsの略で持続可能な開発目標)に配慮した生産設備や生産工程を遵守する企業との取引を優先的に検討する企業が増加しつつあります。松木氏は、今後、激化する市場環境の中で競争優位性を保つためには、SDGsに配慮しつつも従前以上の品質を達成するため、研究職職員の採用や二酸化炭素を排出せずに染色加工ができるSDGsに対応した設備の導入を含めた研究開発を積極的に促進し、高い技術力を維持する必要があると認識しております。
(ⅲ)繊維販売事業におけるPBブランドの販売促進
対象者グループの繊維販売事業では、商品企画から参画し、素材調達、パターン作成、縫製、在庫、納品までの全工程を網羅する「ソフト付きOEM(他社ブランドの製品製造)」を展開しており、そのノウハウを活用し、売上を増加させていくためには、テキスタイル分野による自社ブランドの立ち上げが必要だと考えております。新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりOEM製造の需要が減少している昨今においては、EC(電子商取引)サイトでの流通拡大、広告宣伝の強化を通じて、立ち上げた自社ブランド認知度や売上を向上させる必要があると考えております。
(ⅳ)制御機器事業におけるM&A等による成長促進
対象者グループの制御機器事業は、業績は堅調に推移しているものの、対象者グループ全体の業績に占める割合は依然として低く、主力事業とは言い難い状況にあります。また、同事業に属するサカイエルコム及び攝津電機工業については、大型プラント向け制御装置の設計及びシステム構築を主業とするサカイエルコム、公共向け及び小型プラント向け制御装置の製造・施工を主業とする攝津電機工業と、得意とする事業領域が異なっており、両社のシナジーが発現されにくい状況にあります。染色加工事業及び繊維販売事業が伸び悩み、早急に制御機器事業を主力事業へ成長させる必要がある対象者グループにおいては、子会社2社間のギャップを解消できるような企業に対してM&A等を実施し、未実現のシナジーを発現させ、制御機器事業の成長を促進させる必要があると考えております。
(ⅴ)積極的な人材育成と採用への投資
松木氏は、昨今のサービス重視の潮流を踏まえると、今後も対象者グループの競争力を維持していくためには、扱う製品の製造技術に明るい営業人材が必要となると想定しております。そのため、社内の教育・人事制度を刷新し、現在の営業人材に、製造技術を習得させる機会を提供する必要があると考えております。
また、採用においては、対象者グループは、一般的には染色加工事業を営む企業とも認知されていることもあり、化学系の技術に精通した人材からの応募が多く、他方で、工場の保守や制御機器事業に必要な電気系・機械系の技術に深い知識をもつ人材が不足しております。したがって、求人サイトを始め様々な広告媒体を通じて情報発信を行う等の積極的な採用戦略を採る必要があると考えております。
本事業構造改革策を並行して実施することについて、松木氏は、多額の初期投資や継続的な投資によるキャッシュ・フローの悪化により、短期的には対象者グループの財務状況や業績に大きな影響を与えるリスクがあることに加え、期待される収益を生むかどうかは不明確であり、資本市場から十分な評価が得られない可能性があるため、対象者株式の株価の下落が生じ、対象者の株主の皆様に対して利益を還元することができないおそれがあると考えております。しかしながら、現在の対象者グループの状況に鑑みれば、本事業構造改革策をはじめとする多額の初期投資や継続的な投資を要する施策を行わずに、対象者グループの中長期的な企業価値の向上を図ることは困難であり、かつ、本事業構造改革策の実施にあたっては、その短期的な効果に捉われず、中長期的な視点から抜本的かつ機動的な意思決定を迅速かつ果敢に実践することが必要であるとともに、そのような意思決定を可能とする経営体制を構築する必要があると考えております。
さらに、松木氏は、近年、対象者における株式の上場を維持するために必要なコスト(有価証券報告書等の継続的な情報開示に要する費用、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用等)は増加しており、今後当該コストは対象者グループの経営上のさらなる負担となる可能性があると考えております。対象者グループは、1949年の東京・大阪両証券取引所市場第一部への上場以来、知名度の向上による優れた人材の確保、社会的な信用の向上等、上場会社として様々なメリットを享受してきました。他方、松木氏は、当面の通常の営業活動を行うために必要な資金が確保できている現在の対象者グループの財務状況及び昨今の間接金融における低金利環境においては、当面は対象者グループにおけるエクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は高くなく、また、近年はブランド力や社会的な信用も事業活動を通じて維持・獲得される部分がより大きくなっていることから、今後も継続して対象者株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあると考えております。
以上のような検討を踏まえ、松木氏は、本事業構造改革策を通じて対象者グループの企業価値向上を図るためには、対象者株式を非公開化することで、対象者の株主の皆様に対して発生する可能性がある本事業構造改革策の実行に伴う株価の下落等の悪影響を回避しつつ、中長期的な視点から抜本的かつ機動的な意思決定を迅速かつ果敢に実践することを可能とする経営体制を構築することが適切であり、また、松木氏が対象者グループの事業内容を最も熟知していることからすれば、そのような経営体制を構築するためには、松木氏の主導によりマネジメント・バイアウト(MBO)を実施し、対象者グループの所有と経営を一定の範囲で一致させ、松木氏がその経営を担うことが最も有効な手段であると考えるに至り、2020年11月中旬、対象者に、本取引の実施に向けた協議・交渉の申し入れを行いました。
一方、2020年11月26日、金融関係のニュースが配信されるホームページ上で、RSMが、NAVFの一部出資を含む支援のもとで対象者の経営陣によるMBOを検討する旨の打診を同日付で対象者に送付した旨の記事が配信されました。当該配信後、松木氏は、2020年11月27日に、RSMより、デュー・ディリジェンスの完了及び資金の確保等を条件に、RSMが招聘する他の投資家、NAVFの一部出資を含む支援のもとで対象者の経営陣によるMBOを検討する旨の打診(以下「MBO検討に係る打診(RSM)」といいます。)を受領しました。MBO検討に係る打診(RSM)は、対象者株式の非公開化を目的とし、その条件は対象者株式1株あたり2,350円とするものです。なお、これは2020年11月25日の東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値2,100円に対して11.90%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じとします。)のプレミアムを加えた価格です。2020年12月8日、松木氏はRSMよりMBO検討に係る打診(RSM)に関連する新たな書簡を受領しましたが、2020年4月下旬以降に検討を進めてきた施策を進めるべく、対象者に対して、2020年12月9日付で、松木氏自身が主導するマネジメント・バイアウト(MBO)に関する正式な提案書を提出しました。他方で、2020年12月18日、松木氏はRSMに対して、今後の対象者の事業戦略や経営戦略に資する情報が得られる可能性にも着目し、RSMが打診するMBOを検討する前提として、RSMへの理解を深める目的でRSMの過去のMBO又は類似案件の実績、RSMの対象者と同一又は類似の事業を営む企業への投資実績、RSMの日本国内で事業を営む企業への投資実績、RSMの考えるMBO検討に係る打診(RSM)の目的・理由、対象者の経営環境に対する考え、RSMがMBO後に想定する対象者の事業上の施策等を記載した質問状を送付しました。その後、2021年1月15日、松木氏は本公開買付けによる対象者株式及び本新株予約権の取得及び所有を主たる目的として、公開買付者を設立しました。
2021年1月20日、松木氏はRSMと秘密保持契約を締結し、2021年1月22日に実施したRSMとの面談を通じて2020年12月18日に送付した質問状に対する回答を口頭で受けました。同面談で、松木氏は、RSMから、RSMは2019年10月に設立されたケイマン諸島法人の投資顧問業者であり、NAVFの投資顧問であるためRSM自身は投資実績を有しないものの、国内外のコンサルティング会社やプライベート・エクイティファンド等に幅広いネットワークを持ち、それら専門家の紹介を含む経営・財務アドバイスを行うことが可能であり、RSMを投資顧問として起用しているNAVFにおいては、日本国内の上場会社20社程度に投資した実績を持ち、資本政策や企業ガバナンス改善を通じた経営改善に関する知見を有している旨の説明を受けました。これに対し、松木氏は、同面談で、自身が考える対象者の事業環境や経営環境、MBOの目的をRSMに伝え、MBO検討に係る打診(RSM)については一旦留保し、松木氏自身が主導するMBOを進めるべく、NAVFが所有する対象者株式の全てを本公開買付けに応募することを要請したところ、RSMからは、当該要請について検討することは可能である旨の回答を得た上、さらに、RSMから、NAVFが所有する対象者株式の全てを本公開買付けに応募するか否かの検討とは別個の協議事項として、NAVFが、2020年3月以降、対象者が属する業界や対象者の事業環境の分析を通じ、対象者の財務面や事業面の潜在的な成長余地に着目してきたことから、本公開買付け後も対象者又は公開買付者に対する出資を実施し、中長期的な投資を通じた対象者との関係を維持したいとの希望を有している旨、及び対象者への財務政策や企業ガバナンス改善アドバイス等の提供により中長期的な企業価値向上を支援したいとの意向が伝えられるとともに、更に、公開買付者からの要請があれば、事業戦略やM&Aに関し豊富な経験を持つ専門家の対象者への取締役としての派遣も含むサポート体制の構築を手助けする用意がある旨を松木氏は確認しました。
その間、松木氏は、本公開買付けにおける対象者株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を含む本取引の諸条件等の検討を進め、対象者に対して2020年12月中旬から2021年1月中旬まで実施したデュー・ディリジェンスを踏まえ、2021年1月14日、対象者に対して本公開買付価格を2,500円とする初回提案を行いました。公開買付者の設立後である、2021年1月19日、公開買付者は、対象者から本公開買付価格を再検討するよう要請を受けました。他方で、本新株予約権については、権利行使の条件として対象者の取締役又は理事の地位を喪失した日の翌日以降、割り当てを受けた新株予約権を行使することができるとされており、公開買付者が本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないと解されることから、2021年1月19日、公開買付者は、本新株予約権買付価格を1円とする提案を対象者に対して実施しました。
また、公開買付者は、上記対象者との交渉と並行して、2021年1月22日付のRSMとの面談後、NAVFに対しても、本公開買付けにおける対象者株式の売却の打診を行っており、NAVFとの間で本応募契約(NAVF)締結に向けて本公開買付価格を含む契約条件についての協議を継続しました。そして、2021年1月26日に、公開買付者が、NAVFに対し、NAVFのMBO検討に係る打診(RSM)として提示した買付価格2,350円を上回る水準の買付価格である2,850円を本公開買付価格とすることを検討している旨伝えたところ、NAVFより当該金額であれば本公開買付けに応募する余地があるとの回答を得、また、2021年1月27日において、本公開買付けに応募することを決定した場合はMBO検討に係る打診(RSM)を撤回する旨の回答、公開買付価格を2,850円とする本公開買付けに係る本応募契約(NAVF)の締結に応じる方向で検討する旨の回答、及び当該回答は、公開買付者への再出資を前提としない旨の回答を得ました。更に、同日、公開買付者は、NAVFから再度、NAVFが希望している対象者又は公開買付者に対する中長期的な投資を通じた対象者との関係維持や、対象者への財務政策や企業ガバナンス改善アドバイス等の提供により中長期的な企業価値向上の支援を実現するスキームとして、本公開買付け後にNAVFが公開買付者へ出資する提案を受領しました。なお、当該提案は、NAVFによる対象者株式の応募とは全く別の協議事項であり、公開買付価格を2,850円とする本公開買付けに係る本応募契約(NAVF)の締結に応じる方向で検討することとは関連しない旨の回答を得ております。そして、2021年1月28日、公開買付者は、NAVFから、公開買付価格が2,850円以上であれば、本公開買付けに係る本応募契約(NAVF)に締結する意向である旨の回答を得ました。なお、当該回答において、NAVFの公開買付者への再出資は条件とされておりません。
また、同日、公開買付者は検討を重ね、RSM及びNAVFが持つ経営改善に関する知見、専門性の高いネットワークは、松木氏が考えるMBOの目的を阻害するものでなく、公開買付者及び対象者が保有していない経営資源の提供を受けることができるという意味において、NAVFが公開買付者へ出資することは、むしろ事業構造改革を加速させるに資するものであると判断するに至りました。
一方、2021年1月29日、公開買付者は、対象者に対して本公開買付価格を2,850円とする旨の最終提案を実施したところ、2021年2月4日、公開買付者は、対象者から、本公開買付価格の妥当性に関して、対象者における協議を継続している旨の連絡を受領しました。また、当該交渉と並行して、公開買付者は、NAVFとの間で、対象者の企業価値向上に係る施策についての協議を継続しており、NAVFが松木氏の経営方針に賛同し、対象者の企業価値向上を支援する旨、及び公開買付者又は対象者の事業運営に関するNAVFへの事前通知事項・事前承諾事項は定めない方針であることを、2021年2月4日に確認し、NAVFに無議決権株式を割当てることを内容とする本投資契約(NAVF)を締結する方向で正式検討するに至りました。
以上の経緯及び協議を経て、公開買付者は、2021年2月9日、本取引の一環として、本公開買付価格を2,850円、本新株予約権買付価格を1円として本公開買付けを実施することを決定しました。また、2021年2月8日、公開買付者は、NAVFとの間で、本応募契約(NAVF)を締結し、また、同日、本投資契約(NAVF)を締結いたしました。
なお、公開買付者は、本投資契約(NAVF)を締結し、B種種類株式をNAVFに割当てる行為は、上記「(1) 本公開買付けの概要」(注4)記載の理由により、公開買付価格の均一性(法第27条の2第3項)の趣旨に抵触しないと考えております。
また、公開買付者は、対象者が開示している財務情報等の資料、対象者に対して2020年12月中旬から2021年1月中旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果、及び直近10年間に実施された同種のMBO案件におけるプレミアム率の実例、対象者との協議・交渉を踏まえ、本公開買付価格を決定したことから、第三者算定機関からの株式価値算定書は取得しておりません。また、公開買付者は、本新株予約権買付価格の決定にあたり、第三者算定機関からの算定書は取得しておりません。
② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
対象者プレスリリースによれば、対象者は、上記「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載のとおり、2020年11月中旬に、松木氏より、本取引の実施に向けた協議・交渉の申し入れられたことを受け、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、2020年12月10日に、松木氏、公開買付者、対象者及びNAVF(以下「公開買付関連当事者」と総称します。)から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社KPMGFAS(以下「KPMG」といいます。)をそれぞれ選任したとのことです。さらに、対象者は、対象者において本取引の是非につき審議及び決議するに先立ち、本取引に係る対象者の意思決定に慎重を期し、対象者取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2020年12月10日付で、特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「③ 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置し、本取引を検討するための体制を構築したとのことです。
上記の体制の下、対象者は、本取引の目的、本取引後の経営方針、本公開買付価格を含む本取引の諸条件について、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における本特別委員会からの意見・指示・要請等に基づいて、TMI総合法律事務所及びKPMGの助言を受けながら、公開買付者との間で複数回にわたる協議・検討を重ねたとのことです。
その結果、対象者は、以下の点等を踏まえると、本取引が対象者グループの企業価値向上に資するものであると考えるに至ったとのことです。
(ⅰ)公開買付者が志向する上記「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載の本事業構造改革策は、中長期的な観点より、対象者グループにおける収益力の抜本的な改善を企図するものである上、その内容も合理的であると認められ、上記「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載の対象者グループにおける経営課題の解決に資する可能性が高いと考えられること
(ⅱ)一方、本事業構造改革策はいずれも多額の初期投資や継続的な投資を必要とするものであり、対象者が上場を維持したままこれらを並行して実施することは、短期的にはキャッシュ・フローの悪化が生じるリスクを孕むものである上、中長期的にも収益力の抜本的な改善を図ることが確実であるか否か必ずしも明確ではなく、資本市場から十分な評価が得られずに対象者株式の株価の下落を通じて対象者の株主の皆様の利益を損なうおそれがあることからすれば、本事業構造改革策を実施するために対象者株式を非公開化することは合理的と考えられること
(ⅲ)また、対象者株式の非公開化の方法として、対象者グループの事業内容を最も熟知している松木氏の主導によりマネジメント・バイアウト(MBO)を実施し、対象者の所有と経営を一定の範囲で一致させ、松木氏がその経営を担うことは、本事業構造改革策の実効性を高める観点から有用であると考えられること
(ⅳ)一般に、株式の非公開化に伴うデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなることや、知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを以後享受できなくなることが挙げられるものの、エクイティ・ファイナンスによる資金調達については、対象者グループの現在の財務状況及び昨今の間接金融における低金利環境等を考慮すると、少なくとも当面の間その必要性は高くなく、また、知名度や社会的信用の向上についても、真摯な事業遂行により実現することが可能なものであることからすれば、対象者グループにおける株式の非公開化に伴うデメリットは限定的と考えられること
(ⅴ)上記「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載のNAVFの知見及び意向等を踏まえれば、NAVFが公開買付者に対してB種種類株式を通じて出資することは、上記(ⅰ)乃至(ⅳ)の事項を妨げるものではないと考えられること
また、対象者は、以下の点等を考慮した結果、本公開買付価格は対象者の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは合理的な対象者株式の売却の機会を提供するものであると判断するに至ったとのことです。
(ⅰ)本公開買付価格が、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「① 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のKPMGによる対象者株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果の上限を上回るものであり、かつ、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果のレンジの中央値を上回るものであること
(ⅱ)本公開買付価格が、本公開買付けの公表日の前営業日である2021年2月8日の東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値2,183円に対して30.55%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値2,125円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じとします。)に対して34.12%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値2,117円に対して34.62%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値2,082円に対して36.89%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であり、直近5年間に実施された同種の公開買付けの事例(いわゆるMBOの一環として行われた公開買付けの事例)におけるプレミアム水準との比較においても相応のプレミアムが付されていると考えられること
(ⅲ)本公開買付価格が、MBO検討に係る打診(RSM)における提案価格である2,350円を上回っていること
(ⅳ)本公開買付価格は、対象者の2020年12月31日現在の連結簿価純資産から算出した1株当たり純資産額(3,699円)を下回っているものの、対象者は本取引後も継続企業として事業を継続することを予定しており、対象者の株式価値を検討するに際して純資産額を重視することは合理的でない上、仮に対象者の解散・清算を前提としたとしても、資産売却等の困難性や清算に伴う相当な追加コストの発生等を考慮すると、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、1株当たり純資産額が対象者株式の公正価値の最低価格を画するとの考え方も採用し難いこと
(ⅴ)本公開買付価格の決定に際しては、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が採られており、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること
(ⅵ)本公開買付価格が、上記措置が採られた上で、対象者と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が行われ、真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として提案された価格であること
(ⅶ)下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「③ 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、対象者が本特別委員会から2021年2月9日付で取得した答申書(以下「本答申書」といいます。)においても、本公開買付価格を含む本取引の取引条件が妥当である旨判断されていること
以上より、対象者は、2021年2月9日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨、本新株予約権者の皆様に対しては、本新株予約権買付価格が1円とされていることから、本新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨の決議をしたとのことです。
③ 本公開買付け後の経営方針
本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、松木氏は対象者の代表取締役社長として本公開買付け終了後も継続して対象者の経営にあたることを予定しており、上記「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載の経営を推進することを検討しております。なお、公開買付者と対象者のその他の取締役(監査等委員を含みます。)との間には、本公開買付け後の役員就任について特段の合意はなく、本公開買付け実施後の対象者の役員構成を含む経営体制の詳細については、本公開買付けの成立後、対象者と協議しながら決定していく予定です。また、公開買付者は、みずほ事業承継ファンドとの間で締結する投資契約において、公開買付者又は対象者の事業運営に関するみずほ事業承継ファンドへの事前通知事項・事前承諾事項を定めていますが、公開買付者又は対象者の経営に積極的に関与することは予定されておらず、松木氏の経営方針に賛同いただける予定である旨を口頭で確認しております。一方で、公開買付者は、NAVFに対し、今後必要に応じて積極的な経営資源の投入を促す目的から、公開買付者とNAVFの間で株主間契約を締結する予定です。当該株主間契約において、NAVFは、対象者取締役1名の選任権を有すること、B種種類株式を保有している期間中自己及びその関連当事者の経営資源を無対価で公開買付者及び対象者に提供し公開買付者及び対象者の企業価値向上を支援すること、公開買付者又は対象者の事業運営に関するNAVFへの事前通知事項・事前承諾事項は定めないことについて公開買付者と合意する予定であり、さらに、NAVFからは松木氏の経営方針に賛同する旨の意向を口頭で示されており、併せて企業価値向上を支援する旨の意向を口頭で示されております。また、公開買付者は、NAVFに対しては、当該株主間契約において、公開買付者及び対象者が経営破綻に至ることが懸念される場合等、公開買付者において資金調達が必要となる場合には、NAVFが増資に応じることを検討する義務を課すことを要請しており、NAVFからはこの義務を受け容れる意向を口頭で示されております。公開買付者とNAVFとの間で、現時点でNAVFがB種種類株式以外の出資を行うことを検討している事実はありません。なお、本スクイーズアウト手続が完了した後、公開買付者は、対象者との合併は予定しておりません。
(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
公開買付者及び対象者は、本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBO)のための本取引の一環として行われるものであり、類型的に構造的な利益相反の問題や情報の非対称性の問題が生じうることを踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。
なお、以下の記載のうち、対象者において実施した措置については、対象者から受けた説明に基づくものです。
① 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
② 対象者における独立した法律事務所からの助言
③ 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
④ 対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認
⑤ マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)に相当する数を上回る買付予定数の下限の設定
⑥ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
以上の詳細については、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」をご参照ください。
(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、上記「(1) 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、対象者株式の全て(本新株予約権の行使により交付される対象者株式は含みますが、対象者が所有する自己株式を除きます。)及び本新株予約権の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の一連の手続により、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しています。
① 株式等売渡請求
公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者が所有する対象者の議決権の合計数が対象者の総株主の議決権の90%以上となり、会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、対象者の株主(公開買付者及び対象者を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する対象者株式の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)するとともに、本新株予約権者(公開買付者を除きます。)の全員(以下「売渡新株予約権者」といいます。)に対し、その所有する本新株予約権の全部を売り渡すことを請求(以下「新株予約権売渡請求」といい、「株式売渡請求」とあわせて「株式等売渡請求」といいます。)する予定です。株式売渡請求においては、対象者株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付すること、新株予約権売渡請求においては、本新株予約権各1個当たりの対価として、本新株予約権買付価格と同額の金銭を売渡新株予約権者に対して交付することを定める予定です。この場合、公開買付者は、その旨を、対象者に通知し、対象者に対し株式等売渡請求の承認を求める予定です。対象者がその取締役会の決議により株式等売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主及び売渡新株予約権者の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、株式等売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主からはその所有する対象者株式の全部を、売渡新株予約権者からはその所有する本新株予約権の全部を取得します。そして、公開買付者は、売渡株主がそれぞれ所有していた対象者株式1株当たりの対価として、売渡株主に対し、対象者株式1株当たり本公開買付価格と同額の金銭を、売渡新株予約権者がそれぞれ所有していた本新株予約権1個当たりの対価として、売渡新株予約権者に対し、本新株予約権買付価格と同額の金銭を交付する予定です。なお、対象者プレスリリースによれば、対象者取締役会は、公開買付者より株式等売渡請求がなされた場合には、公開買付者による株式等売渡請求を承認する予定とのことです。
上記手続に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、会社法第179条の8その他関係法令の定めに従って、売渡株主及び売渡新株予約権者は、裁判所に対してその所有する対象者株式及び本新株予約権の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。なお、これらの申立てがなされた場合における、対象者株式及び本新株予約権の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
② 株式併合
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより公開買付者が所有する対象者の議決権の合計数が対象者の総株主の議決権の90%未満である場合には、会社法第180条に基づき対象者株式の併合を行うこと(以下「株式併合」といいます。)及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を2021年5月下旬を目途に開催することを対象者に要請する予定です。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定です。本臨時株主総会において株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、株式併合がその効力を生ずる日において、対象者の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた株式併合の割合に応じた数の対象者株式を所有することとなります。株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた対象者の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する対象者株式を対象者又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する対象者株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった対象者の各株主(公開買付者及び対象者を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを対象者に対して要請する予定です。また、対象者株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者が対象者株式の全て(対象者が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった対象者の株主(公開買付者及び対象者を除きます。)の所有する対象者株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定です。
上記手続に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、対象者の株主は、対象者に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して対象者株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。上記のとおり、株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった対象者の株主(公開買付者及び対象者を除きます。)の所有する対象者株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、株式併合に反対する対象者の株主は、上記申立てを行うことができることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合における、対象者株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなります。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における対象者の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。
また、公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者が所有する対象者の議決権の合計数が対象者の総株主の議決権の数の90%未満である場合であって、本公開買付けにおいて本新株予約権の全てを取得できず、かつ、本新株予約権が行使されず残存した場合には、対象者に対して、本新株予約権の取得及び消却、又は本新株予約権者に対して本新株予約権の放棄の勧奨その他本取引の実行に合理的に必要な手続を実施することを要請する予定です。
上記①及び②の各手続については、関係法令の改正、施行、当局の解釈等の状況によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があります。ただし、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募されなかった対象者の各株主(公開買付者及び対象者を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定です。また、本公開買付けに応募されなかった本新株予約権者(公開買付者を除きます。)に対して金銭を交付する場合には、本新株予約権買付価格に当該新株予約権者がそれぞれ所有していた本新株予約権の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定です。以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、対象者と協議の上、決定次第、対象者が速やかに公表する予定です。
また、上記の各手続により、本スクイーズアウト手続が2021年6月30日までに完了することが見込まれる場合、公開買付者は、対象者に対して、本スクイーズアウト手続の完了を条件として、対象者の2021年3月期に係る第128回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)で権利を行使することのできる株主を、本スクイーズアウト手続の完了後の株主とするため、本定時株主総会の議決権の基準日の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを要請する予定です。そのため、対象者の2021年3月31日の株主名簿に記載又は記録された株主であっても、本定時株主総会において権利を行使できない可能性があります。
なお、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、対象者の株主及び本新株予約権者の皆様が自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
(5) 上場廃止となる見込み及びその理由
対象者株式は、本書提出日現在、東京証券取引所市場第一部に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従って、対象者株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、上記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本スクイーズアウト手続が実施された場合には、対象者株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、対象者株式を東京証券取引所市場第一部において取引することはできません。
(6) 本公開買付けに関する重要な合意
① 本応募契約(NAVF)
公開買付者は、対象者の第3位の株主であるNAVFとの間で、2021年2月8日付で、本応募契約(NAVF)を締結し、NAVFが所有する対象者株式389,800株(所有割合:6.30%)について本公開買付けに応募する旨の合意をしております。本応募契約(NAVF)においては、NAVFによる応募の前提条件として、(a)公開買付者の表明保証(注1)が重要な点において真実かつ正確であること、(b)公開買付者が本応募契約(NAVF)上の義務(注2)を重要な点において全て履行又は遵守していること、(c)対象者取締役会において、本公開買付けに対して賛同し、対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見表明決議が行われ、これが公表され、かつ、かかる表明が変更又は撤回されていないこと、(d)本公開買付けが適法に開始しており、かつ撤回されていないこと、及び(e)司法・行政機関等に対して、本公開買付け又はNAVFによる応募を制限又は禁止することを求める旨のいかなる申立て、訴訟又は手続も係属しておらず、かつ、本公開買付け又はNAVFによる応募を制限又は禁止する旨のいかなる法令等又は司法・行政機関等によるいかなる命令、処分若しくは判決も存在していないことが規定されております。なお、NAVFが本投資契約(NAVF)を締結することその他B種種類株式の出資に関連する事項は、応募の前提条件として規定されておりません。ただし、上記前提条件の一部又は全部が充足されない場合においても、NAVFが自らの判断において当該前提条件を放棄し、本公開買付けに応募することは制限されていません。
(注1) 本応募契約(NAVF)では、(a)設立及び存続の有効性、(b)本応募契約(NAVF)の締結及び履行に必要な権利能力の保有、必要な手続の履践、(c)強制執行可能性、(d)公開買付者による本応募契約(NAVF)の締結及び履行に関して、締結時及び履行時までに取得又は実施すべき司法・行政機関等からの許認可等の取得、(e)本応募契約(NAVF)の締結及び履行と、法令等、定款並びに公開買付者の内部規則及び契約等との抵触の不存在、(f)反社会的勢力等の関係の不存在が公開買付者の表明保証事項とされております。
(注2) 本応募契約(NAVF)では、公開買付者は、NAVFに対する義務として、(a)補償義務及び(b)秘密保持義務を負っております。
なお、本応募契約(NAVF)において、NAVFは、本公開買付けに応募し、かつ、当該応募により成立する対象者株式の買付けに係る契約を解除しないものとされていますが、本応募契約(NAVF)の締結日以降、対象者株式について、第三者より本公開買付価格を上回る金額を買付価格とする公開買付けが開始された場合、NAVFは、本公開買付けに応募せず、又は本公開買付けへの応募を撤回することができるとされています。
また、本応募契約(NAVF)において、NAVFは、NAVFが公開買付者の代表取締役である松木氏に対して本応募契約(NAVF)締結日以前に行ったMBO検討に係る打診(RSM)を撤回したことを確認しております。
② 本投資契約(NAVF)
公開買付者及びNAVFは、2021年2月8日付で、本投資契約(NAVF)を締結し、本公開買付けの完了及びその他一定の事項の充足を条件に、本スクイーズアウト手続の完了をもって、NAVFが、公開買付者が割り当てるB種種類株式450株を合計4,950,000円(1株当たり11,000円)で引き受ける旨合意しており、松木氏が本公開買付けの決済の開始日の2営業日前までに予定している49,990千円の追加出資(普通株式)における普通株式の払込条件に比して有利な条件とはなっておりません。NAVFによる払込みの前提条件として、(a)公開買付者の表明保証(注3)が重要な点において真実かつ正確であること、(b)公開買付者が本投資契約(NAVF)上の義務(注4)を重要な点において全て履行又は遵守していること、(c)本公開買付けが完了していること、及び(d)本公開買付けの実施に必要な司法・行政機関等の許認可を得ており、取り消されていないこと、また、B種種類株式の発行又は本公開買付けの実施の全部又は一部の変更又は中止の勧告又は命令その他の処分を受けていないことが規定されております。
(注3) 本投資契約(NAVF)では、(a)設立及び存続の有効性、(b)本投資契約(NAVF)の締結及び履行に必要な権利能力の保有、必要な手続の履践、(c)強制執行可能性、(d)公開買付者による本投資契約(NAVF)の締結及び履行に関して、締結時及び履行時までに取得又は実施すべき司法・行政機関等からの許認可等の取得、(e)本投資契約(NAVF)の締結及び履行と、法令等、定款並びに公開買付者の内部規則及び契約等との抵触の不存在、(f)反社会的勢力等の関係の不存在が公開買付者の表明保証事項とされております。
(注4) 本投資契約(NAVF)では、公開買付者は、NAVFに対する義務として、(a)B種種類株式を発行する義務の他、(b)補償義務及び(c)秘密保持義務を負っております。
③ 本投資契約(みずほ事業承継ファンド)
公開買付者及びみずほ事業承継ファンドは、公開買付期間の末日の翌日までに、本投資契約(みずほ事業承継ファンド)を締結し、みずほ事業承継ファンドが、公開買付者が割り当てるA種優先株式を合計1,000,000,000円を上限として引き受ける旨合意しております。みずほ事業承継ファンドによる払込みの主な前提条件として、(a)公開買付者の表明保証(注5)が重要な点において真実かつ正確であること、(b)対象者の資産、経営、財務状態その他の状態又は将来予想に重大な悪影響を及ぼす事象及びその具体的なおそれの不存在及び(c)A種優先株式の発行のために必要な手続の適法かつ有効な完了していることが規定されております。詳細は、本書に添付される、みずほ事業承継ファンドより取得した出資証明書をご覧ください。
また、みずほ事業承継ファンドの引き受けるA種優先株式は、公開買付者の株主総会の決議事項の全部について議決権を有さない種類株式による出資を予定しております。なお、A種優先株式においては、公開買付者の普通株式を対価とする取得請求権は定められておりません。他方で、本投資契約(みずほ事業承継ファンド)では、公開買付者又は対象者の事業運営に関する一定の事項について、みずほ事業承継ファンドへの事前通知事項・事前承諾事項(注6)が規定される予定ですが、いわゆるメザニン出資として一般的な内容のものであり、また、A種優先株式は公開買付者の買付け等に要する資金の調達手法であり、みずほ事業承継ファンドが公開買付者又は対象者の経営権を確保することを目的としておりません。
(注5) 本投資契約(みずほ事業承継ファンド)では、主に(a)設立及び存続の有効性、(b)本投資契約(みずほ事業承継ファンド)の締結及び履行に必要な権利能力の保有、必要な手続の履践、(c)強制執行可能性、(d)公開買付者による本投資契約(みずほ事業承継ファンド)の締結及び履行に関して、締結時及び履行時までに取得又は実施すべき許認可等の取得、(e)本投資契約(みずほ事業承継ファンド)の締結及び履行と、法令等、定款並びに公開買付者の内部規則及び契約等との抵触の不存在、(f)反社会的勢力等の関係の不存在その他出資証明書記載の事項が公開買付者の表明保証事項とされる予定です。詳細は、本書に添付される、みずほ事業承継ファンドより取得した出資証明書をご覧ください。
(注6) 本投資契約(みずほ事業承継ファンド)では、事前通知事項として、対象者からの松木氏の退任が、また事前承諾事項として、(a)公開買付者以外の普通株式への配当及び配当類似行為、(b)一定金額以上の役員報酬又は賞与の支給、(c)あらかじめ許容されたもの以外の債務負担行為、(d)担保又は保証提供、(e)一定の金額以上の投資制限、(f)本スクイーズアウト手続のために必要となる場合を除く定款変更や組織再編等、(g)松木氏による追加出資、A種優先株式、B種種類株式及び本スクイーズアウト手続に伴うものを除く株式、新株予約権又は社債の発行、(h)対象者の事業運営上重要な契約の変更、(i)対象者及びその関連会社の役員及び従業員との直接の取引が定められる予定です。
④ その他
公開買付者は、上記合意の他、NAVFに対し、今後必要に応じて積極的な経営資源の投入を促す目的から、本書提出日現在においても、NAVFとの間で株主間契約の締結に向けた協議を継続しております。当該株主間契約において、NAVFは、対象者取締役1名の選任権を有すること、B種種類株式を保有している期間中自己及びその関連当事者の経営資源を無対価で公開買付者及び対象者に提供すること、公開買付者又は対象者の事業運営に関するNAVFへの事前通知事項・事前承諾事項は定めないことについて公開買付者と合意する予定であり、さらに、NAVFからは松木氏の経営方針に賛同する旨の意向を口頭で示されており、併せて企業価値向上を支援する旨の意向を口頭で示されております。また、公開買付者は、NAVFに対しては、当該株主間契約において、公開買付者及び対象者が経営破綻に至ることが懸念される場合等、公開買付者において資金調達が必要となる場合には、NAVFが増資に応じることを検討する義務を課すことを要請しており、NAVFからはこの義務を受け容れる意向を口頭で示されております。公開買付者とNAVFとの間で、現時点でNAVFがB種種類株式以外の出資を行うことを検討している事実はありません。その他の内容については、本書提出日現在においては未定であり、今後も継続して公開買付者及びNAVFの間で協議を進める予定です。
また、公開買付者は、みずほ事業承継ファンドとの間で締結する投資契約において、公開買付者又は対象者の事業運営に関するみずほ事業承継ファンドへの事前通知事項・事前承諾事項を定めていますが、公開買付者又は対象者の経営に積極的に関与することは予定されておらず、松木氏の経営方針に賛同いただける予定であることを口頭で確認しております。

届出当初の期間

買付け等の期間2021年2月9日(火曜日)から2021年3月24日(水曜日)まで(30営業日)
公告日2021年2月9日(火曜日)
公告掲載新聞名電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。
(電子公告アドレス https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/)

買付け等の価格

株券普通株式1株につき 金2,850円
新株予約権証券第1回新株予約権 1個につき1円
第2回新株予約権 1個につき1円
第3回新株予約権 1個につき1円
第4回新株予約権 1個につき1円
新株予約権付社債券
株券等信託受益証券
( )
株券等預託証券
( )
算定の基礎① 普通株式
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、対象者が開示している財務情報等の資料、対象者に対して2020年12月中旬から2021年1月中旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果を踏まえ、対象者の事業及び財務の状況を総合的に分析しました。また、公開買付者は、対象者株式が金融商品取引所を通じて取引されていることに鑑みて、本公開買付けの公表日の前営業日である2021年2月8日の東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値(2,183円)、同日までの直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値単純平均値(2,125円、2,117円及び2,082円)の推移を参考にしました。さらに、公開買付者は、直近10年間に実施された同種のMBO案件におけるプレミアム率の実例、対象者との協議・交渉の結果、対象者の取締役会による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けの成立の見通しを総合的に勘案し、最終的に2021年2月9日に本公開買付価格を2,850円とすることを決定しました。公開買付者は、上記のとおり、対象者が開示している財務情報等の資料、対象者に対して2020年12月中旬から2021年1月中旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果、及び直近10年間に実施された同種のMBO案件におけるプレミアム率の実例、対象者との協議・交渉を踏まえ、本公開買付価格を決定したことから、第三者算定機関からの株式価値算定書は取得しておりません。
なお、本公開買付価格である2,850円は、本公開買付けの公表日及び本書提出日の前営業日である2021年2月8日の東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値2,183円に対して30.55%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値2,125円に対して34.12%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値2,117円に対して34.62%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値2,082円に対して36.89%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となります。
② 本新株予約権
本新株予約権は、いずれも対象者の取締役及び理事に対してストックオプションとして発行されたもので、権利行使の条件として対象者の取締役又は理事の地位を喪失した日の翌日以降、割り当てを受けた新株予約権を行使することができるとされており、公開買付者が本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないと解されることから、公開買付者は、2021年2月9日、本新株予約権買付価格は1個につきいずれも1円と決定しました。なお、公開買付者は、上記のとおり、本新株予約権買付価格を決定したことから、第三者算定機関からの算定書は取得しておりません。

算定の経緯(本公開買付価格及び本新株予約権買付価格の決定に至る経緯)
上記「3 買付け等の目的」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載のとおり、松木氏は、本事業構造改革策を通じて対象者グループの企業価値向上を図るためには、対象者株式を非公開化することで、対象者の株主の皆様に対して発生する可能性がある本事業構造改革策の実行に伴う株価の下落等の悪影響を回避しつつ、中長期的な視点から抜本的かつ機動的な意思決定を迅速かつ果敢に実践することを可能とする経営体制を構築することが適切であり、また、松木氏が対象者グループの事業内容を最も熟知していることからすれば、そのような経営体制を構築するためには、松木氏の主導によりマネジメント・バイアウト(MBO)を実施し、対象者グループの所有と経営を一定の範囲で一致させ、松木氏がその経営を担うことが最も有効な手段であると考えるに至り、2020年11月中旬、対象者に、本取引の実施に向けた協議・交渉の申し入れを行いました。
一方、2020年11月26日、金融関係のニュースが配信されるホームページ上で、RSMが、NAVFの一部出資を含む支援のもとで対象者の経営陣によるMBOを検討する旨の打診を同日付で対象者に送付した旨の記事が配信されました。当該配信後、松木氏は、2020年11月27日に、RSMより、MBO検討に係る打診(RSM)を受領しました。MBO検討に係る打診(RSM)は、対象者株式の非公開化を目的とし、その条件は対象者株式1株あたり2,350円とするものです。なお、これは2020年11月25日の東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値2,100円に対して11.90%のプレミアムを加えた価格です。2020年12月8日、松木氏はRSMよりMBO検討に係る打診(RSM)に関連する新たな書簡を受領しましたが、2020年4月下旬以降に検討を進めてきた施策を進めるべく、対象者に対して、2020年12月9日付で、松木氏自身が主導するマネジメント・バイアウト(MBO)に関する正式な提案書を提出しました。他方で、2020年12月18日、松木氏はRSMに対して、今後の対象者の事業戦略や経営戦略に資する情報が得られる可能性にも着目し、RSMが打診するMBOを検討する前提として、RSMへの理解を深める目的でRSMの過去のMBO又は類似案件の実績、RSMの対象者と同一又は類似の事業を営む企業への投資実績、RSMの日本国内で事業を営む企業への投資実績、RSMの考えるMBO検討に係る打診(RSM)の目的・理由、対象者の経営環境に対する考え、RSMがMBO後に想定する対象者の事業上の施策等を記載した質問状を送付しました。その後、2021年1月15日、松木氏は本公開買付けによる対象者株式及び本新株予約権の取得及び所有を主たる目的として、公開買付者を設立しました。
2021年1月20日、松木氏はRSMと秘密保持契約を締結し、2021年1月22日に実施したRSMとの面談を通じて2020年12月18日に送付した質問状に対する回答を口頭で受けました。同面談で、松木氏は、RSMから、RSMは2019年10月に設立されたケイマン諸島法人の投資顧問業者であり、NAVFの投資顧問であるためRSM自身は投資実績を有しないものの、国内外のコンサルティング会社やプライベート・エクイティファンド等に幅広いネットワークを持ち、それら専門家の紹介を含む経営・財務アドバイスを行うことが可能であり、RSMを投資顧問として起用しているNAVFにおいては、日本国内の上場会社20社程度に投資した実績を持ち、資本政策や企業ガバナンス改善を通じた経営改善に関する知見を有している旨の説明を受けました。これに対し、松木氏は、同面談で、自身が考える対象者の事業環境や経営環境、MBOの目的をRSMに伝え、MBO検討に係る打診(RSM)については一旦留保し、松木氏自身が主導するMBOを進めるべく、NAVFが所有する対象者株式の全てを本公開買付けに応募することを要請したところ、RSMからは、当該要請について検討することは可能である旨の回答を得た上、さらに、RSMから、NAVFが所有する対象者株式の全てを本公開買付けに応募するか否かの検討とは別個の協議事項として、NAVFが、2020年3月以降、対象者が属する業界や対象者の事業環境の分析を通じ、対象者の財務面や事業面の潜在的な成長余地に着目してきたことから、本公開買付け後も対象者又は公開買付者に対する出資を実施し、中長期的な投資を通じた対象者との関係を維持したいとの希望を有している旨、及び対象者への財務政策や企業ガバナンス改善アドバイス等の提供により中長期的な企業価値向上を支援したいとの意向が伝えられるとともに、更に、公開買付者からの要請があれば、事業戦略やM&Aに関し豊富な経験を持つ専門家の対象者への取締役としての派遣も含むサポート体制の構築を手助けする用意がある旨を松木氏は確認しました。
その間、松木氏は、本公開買付価格を含む本取引の諸条件等の検討を進め、対象者に対して2020年12月中旬から2021年1月中旬まで実施したデュー・ディリジェンスを踏まえ、2021年1月14日、対象者に対して本公開買付価格を2,500円とする初回提案を行いました。公開買付者の設立後である、2021年1月19日、公開買付者は、対象者から本公開買付価格を再検討するよう要請を受けました。他方で、本新株予約権については、権利行使の条件として対象者の取締役又は理事の地位を喪失した日の翌日以降、割り当てを受けた新株予約権を行使することができるとされており、公開買付者が本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないと解されることから、2021年1月19日、公開買付者は、本新株予約権買付価格を1円とする提案を対象者に対して実施しました。

また、公開買付者は、上記対象者との交渉と並行して、2021年1月22日付のRSMとの面談後、NAVFに対しても、本公開買付けにおける対象者株式の売却の打診を行っており、NAVFとの間で本応募契約(NAVF)締結に向けて本公開買付価格を含む契約条件についての協議を継続しました。そして、2021年1月26日に、公開買付者が、NAVFに対し、NAVFのMBO検討に係る打診(RSM)として提示した買付価格2,350円を上回る水準の買付価格である2,850円を本公開買付価格とすることを検討している旨伝えたところ、NAVFより当該金額であれば本公開買付けに応募する余地があるとの回答を得、また、2021年1月27日において、本公開買付けに応募することを決定した場合はMBO検討に係る打診(RSM)を撤回する旨の回答、公開買付価格を2,850円とする本公開買付けに係る本応募契約(NAVF)の締結に応じる方向で検討する旨の回答、及び当該回答は、公開買付者への再出資を前提としない旨の回答を得ました。更に、同日、公開買付者は、NAVFから再度、NAVFが希望している対象者又は公開買付者に対する中長期的な投資を通じた対象者との関係維持や、対象者への財務政策や企業ガバナンス改善アドバイス等の提供により中長期的な企業価値向上の支援を実現するスキームとして、本公開買付け後にNAVFが公開買付者へ出資する提案を受領しました。なお、当該提案は、NAVFによる対象者株式の応募とは全く別の協議事項であり、公開買付価格を2,850円とする本公開買付けに係る本応募契約(NAVF)の締結に応じる方向で検討することとは関連しない旨の回答を得ております。そして、2021年1月28日、公開買付者は、NAVFから、公開買付価格が2,850円以上であれば、本公開買付けに係る本応募契約(NAVF)に締結する意向である旨の回答を得ました。なお、当該回答において、NAVFの公開買付者への再出資は条件とされておりません。
また、同日、公開買付者は検討を重ね、RSM及びNAVFが持つ経営改善に関する知見、専門性の高いネットワークは、松木氏が考えるMBOの目的を阻害するものでなく、公開買付者及び対象者が保有していない経営資源の提供を受けることができるという意味において、NAVFが公開買付者へ出資することは、むしろ事業構造改革を加速させるに資するものであると判断するに至りました。
一方、2021年1月29日、公開買付者は、対象者に対して本公開買付価格を2,850円とする旨の最終提案を実施したところ、2021年2月4日、公開買付者は、対象者から、本公開買付価格の妥当性に関して、対象者における協議を継続している旨の連絡を受領しました。また、当該交渉と並行して、公開買付者は、NAVFとの間で、対象者の企業価値向上に係る施策についての協議を継続しており、NAVFが松木氏の経営方針に賛同し、対象者の企業価値向上を支援する旨、及び公開買付者又は対象者の事業運営に関するNAVFへの事前通知事項・事前承諾事項は定めない方針であることを、2021年2月4日に確認し、NAVFに無議決権株式を割当てることを内容とする本投資契約(NAVF)を締結する方向で正式検討するに至りました。
以上を踏まえ、公開買付者は、最終的に2021年2月9日、本公開買付価格を2,850円、本新株予約権買付価格は1個につきいずれも1円と決定しました。
(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)
公開買付者及び対象者は、本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBO)のための本取引の一環として行われるものであり、類型的に構造的な利益相反の問題や情報の非対称性の問題が生じうることを踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。

なお、以下の記載のうち、対象者において実施した措置については、対象者から受けた説明に基づくものです。
① 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
対象者プレスリリースによれば、対象者は、本公開買付けを含む本取引に係る対象者取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関としてKPMGを選任し、KPMGから、2021年2月9日付で対象者株式価値算定書を取得しているとのことです。なお、KPMGは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことです。また、KPMGは、本取引の成否にかかわらず、KPMGのファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてのサービスに対する固定額の報酬を受領する予定とのことです。
なお、本特別委員会は、対象者が選任した第三者算定機関につき、独立性及び専門性に問題がないことから、対象者の第三者算定機関として承認し、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しているとのことです。
KPMGは、複数の株式価値分析手法の中から対象者株式の株式価値の分析にあたって採用すべき算定手法を検討の上、対象者が継続企業であるとの前提の下、対象者株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、対象者株式が東京証券取引所市場第一部に上場しており市場株価が存在することから市場株価法を、対象者の将来の事業活動の状況を評価に適切に反映するためにDCF法を用いて対象者株式の1株当たりの株式価値の分析を行い、対象者は、2021年2月9日付でKPMGより株式価値算定書(以下「対象者株式価値算定書」といいます。)を取得したとのことです。なお、KPMGは、対象者株式の価値評価の算定手法として、事業内容や収益性の対象者との類似性における制約に鑑み、類似会社比較法は採用しておらず、また、対象者が継続企業としてその事業を継続していくことを企図していることから、純資産法は採用していないとのことです。なお、対象者は、KPMGから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
上記各手法に基づいて算定された対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりとのことです。
市場株価法2,082円から2,183円
DCF法2,647円から3,036円

市場株価法においては、2021年2月8日を基準日として、東京証券取引所市場第一部における対象者株式の基準日終値2,183円、直近1ヶ月間の普通取引終値の単純平均値2,125円、直近3ヶ月間の普通取引終値の単純平均値2,117円、直近6ヶ月間の普通取引終値の単純平均値2,082円を基に、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,082円から2,183円までと算定しているとのことです。
DCF法では、対象者が作成した2021年3月期から2024年3月期までの事業計画における収益や投資計画、対象者の2021年3月期第2四半期における財務情報、及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、対象者が2021年3月期第3四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて対象者の企業価値や株式価値を評価し、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,647円から3,036円までと算定しているとのことです。割引率は9.3%から10.3%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、永久成長率を-0.5%から+0.5%として算定しているとのことです。
KPMGがDCF法に基づく算定の前提とした対象者の事業計画に基づく財務予測は以下のとおりとのことです。以下の財務予測には大幅な増減益を見込んでいないとのことです。また、本取引実行により実現することが期待される各種施策の効果については、現時点で収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、以下の財務予測においては加味していないとのことです。具体的な事業計画は下記のとおりとのことです。
(単位:百万円)
2021年3月期
(6ヶ月)
2022年3月期2023年3月期2024年3月期
売上高10,97622,86023,40824,390
営業利益3971,0431,1761,393
EBITDA6661,6091,7331,940
フリー・キャッシュ・フロー1,4297171,3021,179

KPMGは、対象者株式の株式価値の算定に際して、対象者から受けた情報、ヒアリングにより聴取した情報、一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの資料及び情報が全て正確かつ完全なものであること、かつ、対象者株式の株式価値の算定に重大な影響を与える可能性がある事実でKPMGに対して未開示の事実はないことを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っていないとのことです。また、KPMGは、対象者及びその子会社の資産又は負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)について個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者算定機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っていないとのことです。KPMGによる対象者株式の株式価値の算定は、2021年2月5日までの情報及び経済条件等を反映したものであり、KPMGがDCF法による評価に使用した対象者の事業計画については、対象者の経営陣により当該基準日時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としているとのことです。ただし、KPMGは、算定の基礎とした対象者の事業計画について、複数回、対象者と質疑応答を行い、その作成経緯及び対象者の現状を把握した上で、それらに不合理な点がないかという限りにおいて、対象者の事業計画の合理性を確認しているとのことです。
なお、本新株予約権買付価格に関しては、対象者は第三者算定機関から算定書も意見書(フェアネス・オピニオン)も取得していないとのことです。
② 対象者における独立した法律事務所からの助言
対象者プレスリリースによれば、対象者は、本公開買付けを含む本取引に係る対象者取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任し、同事務所から、本取引に関する諸手続を含む対象者取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けているとのことです。なお、TMI総合法律事務所は、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことです。また、TMI総合法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず時間単位の報酬のみとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれていないとのことです。
本特別委員会は、対象者が選任したリーガル・アドバイザーにつき、独立性及び専門性に問題がないことから、対象者のリーガル・アドバイザーとして承認し、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しているとのことです。
③ 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
対象者プレスリリースによれば、対象者は、本公開買付けを含む本取引に係る対象者の意思決定に慎重を期し、対象者取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2020年12月10日付で、公開買付関連当事者から独立した委員によって構成される本特別委員会を設置したとのことです。本特別委員会の委員としては、対象者の社外取締役であり監査等委員でもある池田功夫氏(国立大学法人福井大学名誉教授)及び河村伸哉氏(DBJアセットマネジメント株式会社常勤監査役)並びに外部の有識者である小久保崇氏(弁護士、小久保法律事務所)の3名を選定しているとのことです。池田功夫氏は大学教授として技術研究に長年携わり対象者の事業分野における高い見識を有していることから、河村伸哉氏は金融機関出身で幅広い財務知識を有していることから、小久保崇氏は弁護士としてM&A取引に関する知見が豊富であることから、それぞれ本特別委員会の委員に選定したとのことです。なお、対象者は、当初からこの3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はないとのことです。また、対象者は、本特別委員会の設置に際し、本取引に関する決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、本公開買付けに賛同しないことをあらかじめ決定しているとのことです。なお、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず固定額の報酬を支払うものとされ、池田功夫氏及び河村伸哉氏に対する報酬は、社外取締役及び監査等委員としての報酬とは別に支払うものとされているとのことです。
そして、対象者は、本特別委員会に対し、(a)本取引の目的の合理性(本取引が対象者の企業価値の向上に資するかを含みます。)に関する事項、(b)本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含みます。)に関する事項、(c)本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含みます。)に関する事項及び(d)上記(a)乃至(c)その他の事項を踏まえ、対象者の取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含みます。)を決定することが少数株主に不利益か否か(以下(a)乃至(d)の事項を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問したとのことです。

本特別委員会は、2020年12月17日より2021年2月8日まで合計7回開催され、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行ったとのことです。具体的には、公開買付者から、本取引の目的・理由、本取引実行後の経営方針・投資計画等に関する事項等について説明を受け、質疑応答を行ったとのことです。また、対象者から、対象者グループの事業の内容、外部環境、現在の経営課題、KPMGによる株式価値算定の前提とした事業計画の内容、公開買付者の提案内容等に関する事項等に関する説明を受け、質疑応答を行い、その合理性を検証したとのことです。さらに、公開買付者と対象者との間における本取引に係る協議・交渉について、対象者からその経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、本特別委員会において協議し、対象者をして、本特別委員会が承認した交渉方針に従って交渉を行わせるなどして、公開買付者との交渉過程に関与したとのことです。加えて、KPMGから対象者株式の株式価値の算定方法及び結果に関する説明を受け、当該算定方法及び結果に対し財務的見地から質疑応答を行い、その合理性を検証したほか、TMI総合法律事務所から本取引において利益相反を軽減又は防止するために採られている措置及び本取引に関する説明を受け、当該措置の十分性等に関して質疑応答を行うとともに、対象者から本取引の諸条件の交渉経緯及び決定過程等に関する説明を受け、質疑応答を行ったとのことです。これらの内容を踏まえ、本特別委員会は本諮問事項について協議・検討を行ったとのことです。
本特別委員会は、このように本諮問事項について慎重に協議及び検討した結果、2021年2月9日付で、対象者取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出したとのことです。
(a) 本取引の目的の合理性(本取引が対象者の企業価値の向上に資するかを含む。)について
本特別委員会は、本取引の目的及び本取引により向上することが見込まれる対象者グループの企業価値の具体的内容等について、対象者及び公開買付者に対してヒアリングを行い、上記「3 買付け等の目的」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の内容の説明を受け、その具体的な内容の確認に加えて、本事業構造改革策の実施に伴うリスクの程度や実現可能性、既存事業の強化や既存の経営資源を活用した企業価値向上の可能性等を対象者及び公開買付者に対するヒアリングによって確認した上で、詳細な検討を実施した。
その結果、本取引が対象者グループの企業価値向上に資するという対象者及び公開買付者の判断内容に不合理な点は認められず、本取引の目的は合理的であると判断するに至った。
(b) 本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)について
(ⅰ) KPMGによる株式価値算定書
対象者が、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関であるKPMGから取得した対象者株式価値算定書によれば、対象者株式の1株当たり株式価値は、市場株価法によると2,082円から2,183円、DCF法によると2,647円から3,036円、とされているところ、本公開買付価格は、市場株価法による算定結果の上限値を超え、かつ、DCF法による算定結果のレンジの中央値を上回る金額である。
そして、本特別委員会は、KPMGから株式価値評価に用いられた算定方法等について詳細な説明を受けるとともに、KPMG及び対象者に対して評価手法の選択、DCF法による算定の基礎となる対象者の事業計画、当該事業計画に基づく財務予測、割引率の算定根拠、継続価値の算定方法の選択、余剰現預金や有価証券を含む事業外資産等の取扱いに関する質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。
加えて、本公開買付価格(2,850円)は、対象者株式の2021年2月8日の東京証券取引所市場第一部における終値2,183円に対して30.55%、2021年2月8日までの直近1ヶ月間の終値の単純平均値2,125円に対して34.12%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値2,117円に対して34.62%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値2,082円に対して36.89%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であって、かかるプレミアムの水準は、同種他社事例(いわゆるMBOの一環として行われた公開買付けの事例)における平均的なプレミアム水準と照らして不合理な水準ではないことを確認した。
また、KPMGによる対象者株式価値の算定にあたっては、類似会社比準法が採用されていないところ、KPMGによれば、SPEEDA(株式会社ユーザベースが運営する企業財務データベース)を用いて「繊維加工(染色加工)」を営む上場会社を抽出し、対象者と協議のうえで比較的対象者の事業と類似する事業を営む類似会社を選定したものの、いずれの会社もその財務状況や事業特性等を踏まえると、類似会社比準法において対象者の類似上場会社とするには適切ではないとのことであり、類似会社比準法を採用しないことについて不合理な点は認められなかった。

また、本公開買付価格は、松木氏に対して、本取引とは独立してなされたMBO検討に係る打診(RSM)における提案価格である2,350円を上回っている。
なお、本公開買付価格は、対象者の2020年12月31日現在の連結簿価純資産から算出した1株当たり純資産額(3,699円)を下回っているものの、対象者が本取引後も継続企業として事業を継続することを予定していることからすると、対象者の株式価値を検討するに際して純資産額を重視することは合理的ではなく、さらに、仮に対象者の解散・清算を前提としたとしても、資産売却等の困難性や清算に伴う相当な追加コストの発生等を考慮すると、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、1株当たり純資産額が対象者株式の公正価値の最低価格を画すると考えることも難しいと考えられる。
(ⅱ) 交渉過程の手続の公正性
下記(c)のとおり、本公開買付けを含む本取引に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、本公開買付価格は、かかる交渉の結果も踏まえて決定されたものであると認められる。
(ⅲ) 本公開買付け後の手続において交付される対価
本公開買付けに応募しなかった少数株主は、本公開買付けの後に実施される予定の本スクイーズアウト手続において、最終的に金銭が交付されることになるところ、当該手続において交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定される予定である旨が、プレスリリース等で明示される予定である。
(ⅳ) 新株予約権の対価
本新株予約権は、いずれも対象者の取締役(社外取締役及び監査等委員である取締役を除く)及び理事に対してストックオプションとして発行されたもので、権利行使の条件として対象者の取締役又は理事の地位を喪失した日の翌日以降、割り当てを受けた新株予約権を行使することができるとされており、公開買付者が本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないと解されることから、公開買付者は、本新株予約権買付価格をいずれも1円と決定している。
上記のとおり、本新株予約権は、公開買付者の立場からすれば、本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないものと解される上、本新株予約権者の立場からしてみても、本新株予約権の内容として、対象者が消滅会社となる合併等が行われる場合には対象者が無償で本新株予約権を取得することができる旨の無償取得条項が定められており、本新株予約権の行使前に対象者が上場廃止となった場合には、本新株予約権を行使して対象者株式を取得することができないことが前提となっていたものと考えられるため、本新株予約権買付価格が1円とされていることが不合理であるとはいえない。
(ⅴ) 対価の種類
本取引の対価は金銭とされているところ、公開買付者が非上場会社であることを踏まえると、対価の種類は妥当と認められる。
(ⅵ) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引により対象者の少数株主に交付される対価及びその種類を含む本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。
(c) 本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)について
(ⅰ) 対象者による検討方法
対象者は、本取引がいわゆるMBOの一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在することを踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本取引について検討するにあたっては、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関及びフィナンシャル・アドバイザーとしてKPMGを、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所をそれぞれ選任し、さらに、対象者の独立社外取締役(監査等委員)2名及び独立した外部有識者1名からなる本特別委員会を設置し、本取引を検討するための体制を構築した。そのうえで、KPMG及びTMI総合法律事務所から助言・意見等を得ながら、対象者グループの企業価値向上ひいては株主共同の利益の観点から、本公開買付価格をはじめとする本公開買付けの買付条件の妥当性及び本取引の一連の手続の公正性といった点について慎重に検討を行ってきた。
本特別委員会は、KPMG及びTMI総合法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認し、対象者の第三者算定機関及びフィナンシャル・アドバイザー並びにリーガル・アドバイザーとして承認し、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けた。

(ⅱ) 対象者による協議・交渉
対象者は、本特別委員会が事前に承認した交渉方針に従い、本公開買付価格について、少数株主の利益保護の観点からその公正性を確保するための実質的な協議・交渉を公開買付者との間で複数回にわたって行っている。具体的には、対象者はKPMGを通じて、本特別委員会が承認した交渉方針に従った価格交渉を、公開買付者のフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券株式会社を介して実施した。
そして、その交渉の結果として、2,850円という本公開買付価格の決定に至るまでには、対象者株式1株当たり2,500円とする公開買付者の当初の提案より、350円の価格引上げを引き出している。
(ⅲ) 本取引の交渉過程における特別利害関係人の不関与
対象者を代表して本取引を検討・交渉する取締役には、本取引に特別な利害関係を有する者は含まれておらず、その他、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、公開買付者その他の本取引に特別な利害関係を有する者が対象者側に不当な影響を与えたことを推認させる事実は認められない。
(ⅳ) マジョリティ・オブ・マイノリティを上回る買付予定数の下限の設定
本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を設定し、応募株券等の総数が買付予定数の下限に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わない予定であるところ、買付予定数の下限は、公開買付者と利害関係を有さない対象者の株主が所有する対象者株式の数の過半数、すなわち、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」に相当する数に、本応募合意株式の数及び松木氏の所有する対象者株式の数を加算した株式数を上回るものとなる。
これにより、対象者の少数株主の意思を重視して、公開買付者の利害関係者以外の株主の過半数の賛同が得られない場合には、本公開買付けを含む本取引を行わないことにより、本公開買付けの公正性の担保について配慮されている。
(ⅴ) 対抗的な買付け等の機会を確保していること
①本公開買付けに関しては、公開買付期間が法令に定められた最短期間(20営業日)よりも長期である30営業日に設定される予定であるとともに、②公開買付者と対象者とは、公開買付者以外の者による公開買付け等の機会が不当に制限されることがないよう、対象者が公開買付者以外の対抗的買収提案者と接触することを制限するような合意は一切行っておらず、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付けの機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保について配慮されている。
(ⅵ) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正であると判断するに至った。
(d) 対象者の取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含む。)を決定することが少数株主に不利益か否かについて
上記(a)乃至(c)その他の事項を踏まえると、対象者の取締役会が本取引の実施を決定することは対象者の少数株主にとって不利益であるとはいえない。
なお、上記意見は、対象者の取締役会が、①本公開買付けに賛同する意見を表明とするとともに、対象者の株主に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨、一方、本新株予約権者に対しては、本新株予約権に関して本公開買付けへ応募するか否かを本新株予約権者の判断に委ねる旨の決議を行うこと、及び②本公開買付け後に株式併合又は株式等売渡請求の方法を用いた本スクイーズアウト手続を実施することを決定することについても、対象者の少数株主にとって不利益なものであるとはいえないことを含むものである。

④ 対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認
対象者プレスリリースによれば、対象者は、KPMGより取得した対象者株式価値算定書、TMI総合法律事務所から得た法的助言を踏まえつつ、本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の諸条件について慎重に検討したとのことです。
その結果、対象者取締役会は、本公開買付けを含む本取引により対象者株式を非公開化することが対象者グループの企業価値の向上に資するものであると判断するとともに、本公開買付価格は対象者の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは合理的な対象者株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2021年2月9日開催の対象者取締役会において、審議及び決議に参加した対象者の取締役(取締役合計12名のうち、松木氏、松木純氏及び衡田正行氏を除き、監査等委員である取締役4名(うち社外取締役3名)を含む取締役9名。すなわち、土田雅幹氏、塚本博巳氏、西本賢氏、本夛健一氏、角野和夫氏、小出誠氏、池田功夫氏、河村伸哉氏及び高島悠輝氏。)の全員一致で、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨、本新株予約権者の皆様に対しては、本新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨の決議をしたとのことです。
なお、対象者の代表取締役社長である松木氏は、公開買付者の代表取締役かつ株主であり、本公開買付け終了後も継続して対象者の代表取締役社長として経営にあたることを予定していることから、対象者の取締役である松木純氏は、松木氏の長男であることから、対象者の取締役である衡田正行氏は、対象者の第2位の株主である東レ(所有株式数:464,530株、所有割合:7.50%)の従業員であることから、利益相反の疑いを回避する観点より、当該取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、対象者の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加していないとのことです。
⑤ マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)に相当する数を上回る買付予定数の下限の設定
本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を4,127,800株(所有割合:66.67%)に設定しており、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(4,127,800株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行いません。買付予定数の下限(4,127,800株)は、本基準株式数(6,191,626株)に3分の2を乗じた株式数の1単元(100株)未満に係る数を切り上げた株式数(4,127,800株)に設定しておりますが、これは、本取引においては対象者株式を非公開化させ、対象者の株主を公開買付者のみとすることを目的としているところ、上記「3 買付け等の目的」の「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」の「② 株式併合」に記載された株式併合の手続を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされているため、当該要件を充足できるように設定したものです。また、買付予定数の下限(4,127,800株)は、本基準株式数(6,191,626株)から本応募合意株式の数(389,800株)及び本書提出日現在における松木氏の所有株式数の合計(47,210株)を控除した株式数(5,754,616株)の過半数に相当する株式数(2,877,309株。これは、公開買付者と重要な利害関係を有さない対象者の株主の皆様が所有する対象者株式の数の過半数、すなわち、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」に相当する数にあたります。)に、本応募合意株式の数(389,800株)及び本書提出日現在における松木氏の所有株式数の合計(47,210株)を加算した株式数(3,314,319株、所有割合:53.53%)を上回るものとなります。これにより、公開買付者と重要な利害関係を有さない対象者の株主の皆様の過半数の賛同が得られない場合には、対象者の少数株主の皆様の意思を重視して、本公開買付けを含む本取引を行わないこととしております。
⑥ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、対象者との間で、対象者が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が対象者との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。また、公開買付者は、本公開買付けの買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)を法令に定められた最短期間である20営業日より長い30営業日に設定しております。このように、公開買付者は、公開買付期間を比較的長期に設定することにより、対象者の株主及び本新株予約権者の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、対象者株式及び本新株予約権について公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、もって本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。

買付予定の株券等の数

買付予定数買付予定数の下限買付予定数の上限
6,191,626(株)4,127,800(株)―(株)

(注1) 応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(4,127,800株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行いません。応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(4,127,800株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行います。
(注2) 本公開買付けにおいては、買付予定数の上限を設定しておりませんので、買付予定数は本公開買付けにおいて公開買付者が買付け等を行う対象者株式の最大数である本基準株式数(6,191,626株)を記載しております。
(注3) 単元未満株式についても、本公開買付けの対象としております。なお、会社法に従って株主による単元未満株式買取請求権が行使された場合には、対象者は法令の手続に従い公開買付期間中に自己の株式を買い取ることがあります。
(注4) 公開買付期間の末日までに本新株予約権が行使される可能性がありますが、当該行使により交付される対象者株式についても、本公開買付けの対象としております。
(注5) 本公開買付けを通じて、対象者が所有する自己株式を取得する予定はありません。

買付け等を行った後における株券等所有割合

区分議決権の数
買付予定の株券等に係る議決権の数(個)(a)61,916
aのうち潜在株券等に係る議決権の数(個)(b)313
bのうち株券の権利を表示する株券等信託受益証券及び株券等預託証券に係る議決権の数
(個)(c)
公開買付者の所有株券等に係る議決権の数(2021年2月9日現在)(個)(d)
dのうち潜在株券等に係る議決権の数(個)(e)
eのうち株券の権利を表示する株券等信託受益証券及び株券等預託証券に係る議決権の数
(個)(f)
特別関係者の所有株券等に係る議決権の数(2021年2月9日現在)(個)(g)472
gのうち潜在株券等に係る議決権の数(個)(h)117
hのうち株券の権利を表示する株券等信託受益証券及び株券等預託証券に係る議決権の数
(個)(i)
対象者の総株主等の議決権の数(2020年9月30日現在)(個)(j)61,477
買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合
(a/j)(%)
100.00
買付け等を行った後における株券等所有割合
((a+d+g)/(j+(b-c)+(e-f)+(h-i))×100)(%)
100.00

(注1) 「買付予定の株券等に係る議決権の数(個)(a)」は、本公開買付けにおける買付予定数(6,191,626株)に係る議決権の数を記載しております。
(注2) 「aのうち潜在株券等に係る議決権の数(個)(b)」は、買付予定の株券等に係る議決権のうち、本新株予約権の目的となる対象者株式の数の合計(31,300株)に係る議決権の数を記載しております。
(注3) 「特別関係者の所有株券等に係る議決権の数(2021年2月9日現在)(個)(g)」は、特別関係者(ただし、特別関係者のうち法第27条の2第1項各号における株券等所有割合の計算において府令第3条第2項第1号に基づき特別関係者から除外される者を除きます。)が所有する株券等に係る議決権の数の合計を記載しております。なお、特別関係者が所有する株券等についても買付け等の対象としているため、「買付け等を行った後における株券等所有割合」の計算においては、「特別関係者の所有株券等に係る議決権の数(2021年2月9日現在)(個)(g)」は分子に加算しておりません。
(注4) 「対象者の総株主等の議決権の数(2020年9月30日現在)(個)(j)」は、対象者四半期報告書に記載された2020年9月30日現在の総株主等の議決権の数(1単元の株式数を100株として記載されたもの)です。ただし、単元未満株式(ただし、対象者が所有する単元未満の自己株式を除きます。)及び本新株予約権の行使により交付される対象者株式についても買付け等の対象としているため、「買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合」及び「買付け等を行った後における株券等所有割合」の計算においては、本基準株式数(6,191,626株)に係る議決権数(61,916個)を分母として計算しております。
(注5) 「買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合」及び「買付け等を行った後における株券等所有割合」は、小数点以下第三位を四捨五入しております。

脚注、買付け等を行った後における株券等所有割合

(注1) 「買付予定の株券等に係る議決権の数(個)(a)」は、本公開買付けにおける買付予定数(6,191,626株)に係る議決権の数を記載しております。
(注2) 「aのうち潜在株券等に係る議決権の数(個)(b)」は、買付予定の株券等に係る議決権のうち、本新株予約権の目的となる対象者株式の数の合計(31,300株)に係る議決権の数を記載しております。
(注3) 「特別関係者の所有株券等に係る議決権の数(2021年2月9日現在)(個)(g)」は、特別関係者(ただし、特別関係者のうち法第27条の2第1項各号における株券等所有割合の計算において府令第3条第2項第1号に基づき特別関係者から除外される者を除きます。)が所有する株券等に係る議決権の数の合計を記載しております。なお、特別関係者が所有する株券等についても買付け等の対象としているため、「買付け等を行った後における株券等所有割合」の計算においては、「特別関係者の所有株券等に係る議決権の数(2021年2月9日現在)(個)(g)」は分子に加算しておりません。
(注4) 「対象者の総株主等の議決権の数(2020年9月30日現在)(個)(j)」は、対象者四半期報告書に記載された2020年9月30日現在の総株主等の議決権の数(1単元の株式数を100株として記載されたもの)です。ただし、単元未満株式(ただし、対象者が所有する単元未満の自己株式を除きます。)及び本新株予約権の行使により交付される対象者株式についても買付け等の対象としているため、「買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合」及び「買付け等を行った後における株券等所有割合」の計算においては、本基準株式数(6,191,626株)に係る議決権数(61,916個)を分母として計算しております。
(注5) 「買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合」及び「買付け等を行った後における株券等所有割合」は、小数点以下第三位を四捨五入しております。

応募の方法

① 公開買付代理人
みずほ証券株式会社 東京都千代田区大手町一丁目5番1号
② 本公開買付けに応募される方(株主及び新株予約権の保有者をいい、以下「応募株主等」といいます。)は、所定の「公開買付応募申込書」に所要事項を記載し、公開買付期間の末日の15時までに、公開買付代理人の本店又は全国各支店において応募してください。なお、オンライントレードである「みずほ証券ネット倶楽部」においては応募の受付けは行いません。
③ 本公開買付けに係る応募の受付けにあたっては、応募株主等が、公開買付代理人に証券取引口座を開設した上、応募する予定の株券等を当該証券取引口座に記録管理している必要があります。本公開買付けにおいては、公開買付代理人以外の金融商品取引業者等を経由した応募の受付けは行われません。また、本公開買付けにおいては、対象者指定の特別口座の口座管理機関である三井住友信託銀行株式会社に設定された特別口座に記録されている株券等をもって本公開買付けに応募することはできません。応募する予定の株券等が、公開買付代理人以外の金融商品取引業者等に開設された証券取引口座又は特別口座の口座管理機関に設定された特別口座に記載又は記録されている場合は、応募に先立ち、公開買付代理人に開設した証券取引口座への振替手続を完了していただく必要があります。(注1)
④ 本公開買付けに係る本新株予約権の応募の受付けにあたっては、本新株予約権には譲渡制限が付されておりますので、上記「公開買付応募申込書」とともに、本新株予約権者の請求により対象者によって発行される「新株予約権譲渡承認通知書」をご提出ください。また、本新株予約権者であることの確認書類として、本新株予約権者の請求により対象者によって発行される「新株予約権原簿記載事項証明書」及び本公開買付けの成立を条件とする新株予約権原簿の名義書換えの請求に必要な書類をご提出ください。
⑤ 公開買付代理人に証券取引口座を開設しておられない応募株主等は、新規に証券取引口座を開設していただく必要があります。証券取引口座を開設される場合には、個人番号(マイナンバー)又は法人番号及び本人確認書類(注2)が必要になるほか、ご印鑑が必要になる場合があります。
⑥ 上記③の応募株券等の振替手続及び上記⑤の口座の新規開設には一定の日数を要する場合がありますのでご注意ください。
⑦ 外国の居住者である株主(法人株主を含みます。以下「外国人株主」といいます。)の場合、日本国内の常任代理人を通じて応募してください。
⑧ 日本の居住者である個人株主の場合、買付けられた株券等に係る売却代金と取得費等との差額は、一般的に株式等の譲渡所得等に関する申告分離課税の適用対象となります。(注3)
⑨ 応募の受付けに際し、公開買付代理人より応募株主等に対して、公開買付応募申込みの受付票が交付されます。
(注1) 対象者指定の特別口座の口座管理機関に設定された特別口座から公開買付代理人の証券取引口座に株券等の記録を振り替える手続について
対象者指定の特別口座の口座管理機関に設定された特別口座から公開買付代理人の証券取引口座に株券等の記録を振り替える手続を公開買付代理人経由又は特別口座の口座管理機関にて行う場合は、特別口座の口座管理機関に届け出ている個人情報と同一の情報が記載された「口座振替申請書」による申請が必要となります。詳細については、公開買付代理人又は特別口座の口座管理機関にお問合せくださいますようお願い申し上げます。
(注2) 個人番号(マイナンバー)又は法人番号及び本人確認書類の提出について
公開買付代理人において新規に証券取引口座を開設される場合、又は日本国内の常任代理人を通じて応募する外国人株主の場合には、次の本人確認書類等が必要になります。番号確認書類及び本人確認書類の詳細につきましては、公開買付代理人へお問合せください。
個人株主の場合 次の表の①から③のいずれかの個人番号確認書類及び本人確認書類が必要になります。なお、個人番号(マイナンバー)をご提供いただけない方は、公開買付代理人であるみずほ証券株式会社にて口座開設を行うことはできません。また、公開買付代理人において既に証券取引口座を開設している方であっても、氏名、住所、個人番号(マイナンバー)を変更する場合には個人番号確認書類及び本人確認書類が必要になります。





個人番号カード
(両面)
顔写真付き
通知カード個人番号が記載された住民票の写し
又は
住民票記載事項証明書
(※当該書類は本人確認書類の1つになります。)
+++





a. 以下のいずれかの書類1つ(顔写真付き確認書類)a. 以下のいずれかの書類1つ(顔写真付き確認書類)
・運転免許証
・運転経歴証明書
・旅券(パスポート)
・在留カード
・療育手帳
・身体障害者手帳等
・運転免許証
・運転経歴証明書
・旅券(パスポート)
・在留カード
・療育手帳
・身体障害者手帳等
又は又は
b. 以下のいずれかの書類2つ(a.の提出が困難な場合)b. 以下のいずれかの書類1つ(a.の提出が困難な場合)
・住民票の写し
・住民票の記載事項証明書
・国民健康保険被保険者証などの各種健康保険証
・印鑑登録証明書
・国民年金手帳等
・国民健康保険被保険者証などの各種健康保険証
・印鑑登録証明書
・国民年金手帳等

・個人番号カード(両面)をご提出いただく場合、別途本人確認書類のご提出は不要です。
・通知カードは、通知カードに記載された氏名、住所等が住民票に記載されている事項と一致している場合に限り、個人番号確認書類としてご利用になれます。
・氏名、住所、生年月日の記載のあるものをご提出ください。
・本人確認書類は有効期限内のもの、期限の記載がない場合は6ヶ月以内に作成されたものをご提出ください。
法人株主の場合 「法人番号指定通知書」の写し、又は、国税庁法人番号公表サイトから印刷した法人番号が印刷された書面及び本人確認書類(登記事項証明書(6ヶ月以内に作成されたもので名称及び本店又は主たる事務所の所在地並びに事業内容を確認できるもの))が必要になります。なお、法人自体の本人確認書類に加え、取引担当者(当該法人の代表者が取引する場合はその代表者)個人の本人確認書類が必要となります。また、公開買付代理人において既に証券取引口座を開設している法人であっても、法人名称及び所在地を変更する場合には法人番号確認書類及び本人確認書類が必要になります。
外国人株主の場合 日本国政府の承認した外国政府又は権限ある国際機関の発行した書類その他これに類するもので、居住者の上記本人確認書類に準じるもの等(本人確認書類は、自然人の場合は、氏名、住所、生年月日の記載のあるもの(※1)、法人の場合は、名称及び本店又は主たる事務所の所在地並びに事業内容の記載のあるもの(※2)が必要です。また、当該本人確認書類は、自然人及び法人ともに6ヶ月以内に作成されたもの、又は有効期間若しくは期限のある書類は有効なものに限ります。)及び常任代理人との間の委任契約に係る委任状又は契約書の写し(※3)が必要となります。
(※1) 外国に居住される日本国籍を有する株主の方は、原則として旅券(パスポート)の提出をお願いいたします。
(※2) 法人の場合、当該法人の事業内容の確認が必要であるため、本人確認書類に事業内容の記載がない場合は、別途事業内容の確認ができる書類(居住者の本人確認書類に準じる書類又は外国の法令の規定により当該法人が作成されることとされている書類で事業内容の記載があるもの)の提出が必要です。
(※3) 当該外国人株主の氏名又は名称、国外の住所地の記載のあるものに限り、①常任代理人による証明年月日、②常任代理人の名称、住所、代表者又は署名者の氏名及び役職が記載され、公開買付代理人の証券取引口座に係る届出印により原本証明が付されたもの。
(注3) 日本の居住者の株式等の譲渡所得等に関する申告分離課税について(個人株主の場合)
日本の居住者である個人株主の方の場合、株式等の譲渡所得等には、原則として申告分離課税が適用されます。本公開買付けへの応募による売却につきましても、通常の金融商品取引業者を通じた売却として取り扱われることとなります。税務上の具体的なご質問等につきましては、税理士等の専門家にご確認いただき、ご自身でご判断いただきますようお願い申し上げます。

契約の解除の方法

応募株主等は、公開買付期間中においては、いつでも本公開買付けに係る契約を解除することができます。契約の解除をする場合は、公開買付期間の末日の15時までに、応募受付けをした公開買付代理人の本店又は全国各支店に公開買付応募申込みの受付票を添付の上、本公開買付けに係る契約の解除を行う旨の書面(以下「解除書面」といいます。)を交付又は送付してください。契約の解除は、解除書面が公開買付代理人に交付され、又は到達した時に効力を生じます。したがって、解除書面を送付する場合は、解除書面が公開買付期間の末日の15時までに公開買付代理人に到達しなければ解除できないことにご注意ください。
解除書面を受領する権限を有する者
みずほ証券株式会社 東京都千代田区大手町一丁目5番1号
(その他みずほ証券株式会社全国各支店)

株券等の返還方法、応募及び契約の解除の方法

応募株主等が上記「(2) 契約の解除の方法」に記載の方法により本公開買付けに係る契約の解除を申し出た場合には、解除手続終了後速やかに後記「10 決済の方法」の「(4) 株券等の返還方法」に記載の方法により応募株券等を返還いたします。

株券等の保管及び返還を行う金融商品取引業者・銀行等の名称及び本店の所在地

みずほ証券株式会社 東京都千代田区大手町一丁目5番1号

買付け等に要する資金等

買付代金(円)(a)17,646,134,100
金銭以外の対価の種類
金銭以外の対価の総額
買付手数料(b)85,000,000
その他(c)8,600,000
合計(a)+(b)+(c)17,739,734,100

(注1) 「買付代金(円)(a)」欄には、本公開買付けにおける買付予定数(6,191,626株)に、本公開買付価格(2,850円)を乗じた金額を記載しております。
(注2) 「買付手数料(b)」欄には、公開買付代理人に支払う手数料の見積額を記載しております。
(注3) 「その他(c)」欄には、本公開買付けに関する公告に要する費用及び公開買付説明書その他必要書類の印刷費その他諸費用につき、その見積額を記載しております。
(注4) 上記金額には消費税等は含まれていません。
(注5) その他公開買付代理人に支払われる諸経費及び弁護士報酬等がありますが、その額は本公開買付け終了後まで未定です。

金融機関、届出日以後に借入れを予定している資金

借入先の業種借入先の名称等借入契約の内容金額(千円)
1
2銀行株式会社みずほ銀行
(東京都千代田区大手町一丁目5番5号)
買付け等に要する資金に充当するための借入れ(注)
(1) タームローンA
弁済期:2027年3月29日(分割返済)
金利:全銀協日本円TIBORに基づく変動金利
担保:対象者株式等
(2) タームローンB
弁済期:2027年3月29日(期限一括返済)
金利:全銀協日本円TIBORに基づく変動金利
担保:対象者株式等
(3) ブリッジローン
弁済期:2021年9月29日又は本スクイーズアウト手続の完了日のいずれか早い方の日(期限一括返済)
金利:みずほ銀行が公表する短期プライムレートに基づく変動金利
担保:対象者株式等
(1) タームローンA
5,400,000
(2) タームローンB
8,600,000
(3) ブリッジローン
3,207,000
計(b)17,207,000

(注) 公開買付者は、上記金額の融資の裏付けとして、みずほ銀行から、17,207,000千円を限度として融資を行う用意がある旨の融資証明書を2021年2月5日付で取得しております。なお、当該融資の貸付実行の前提条件として、本書の添付書類である融資証明書記載のものが定められる予定です。

その他資金調達方法

内容金額(千円)
みずほ事業承継ファンドによるA種優先株式の引受による出資1,000,000
計(d)1,000,000

(注) 公開買付者は、上記金額に相当する出資の裏付けとして、2021年2月5日付で、みずほキャピタル株式会社(以下「みずほキャピタル」といいます。)が無限責任組合員であるみずほ事業承継ファンドより、公開買付者に対して1,000,000千円を限度として出資を行う用意がある旨の出資証明書を取得しております。なお、当該出資に係る投資契約において、当該出資の実行の前提条件として、本書の添付書類である出資証明書に記載のものが定められる予定です。みずほ事業承継ファンドは、投資事業有限責任組合契約に関する法律に基づき設立された投資事業有限責任組合です。
また、公開買付者は、みずほ事業承継ファンドより、以下の説明を受けております。すなわち、みずほ事業承継ファンドは、無限責任組合員であるみずほキャピタルのほか、国内の金融機関を有限責任組合員としているとのことです。みずほ事業承継ファンドの有限責任組合員は、一定額を上限額としてみずほ事業承継ファンドに金銭出資を行うことを約束しており、みずほ事業承継ファンドの無限責任組合員から出資要請通知を受けた場合には、有限責任組合員は、無限責任組合員が指定した日までに、各自の上限額から既にその有限責任組合員が出資した金額を控除した額の範囲内で、一定金額を金銭出資する義務を負っているとのことです。また、みずほ事業承継ファンドは、有限責任組合員につき、直近の貸借対照表その他の財務資料を確認する方法によりその資力を確認しているとのことです。その結果、みずほ事業承継ファンドの組合員の資力及び出資義務の履行能力には懸念はなく、上記出資について各組合員から出資を受けられることが確実であると判断しているとのことです。
また、公開買付者は、上記の説明に加え、みずほ事業承継ファンドの過去の投資実績等から、みずほ事業承継ファンドにおいて、各組合員から出資を受けた上で、上記出資証明書に基づく出資を行うことができると判断しております。

買付け等に要する資金に充当しうる預金又は借入金等の合計

18,207,000千円((a)+(b)+(c)+(d))

買付け等の決済をする金融商品取引業者・銀行等の名称及び本店の所在地

みずほ証券株式会社 東京都千代田区大手町一丁目5番1号

決済の開始日

2021年3月30日(火曜日)

決済の方法

公開買付期間終了後遅滞なく、本公開買付けによる買付け等の通知書を応募株主等(外国人株主の場合はその常任代理人)の住所宛に郵送いたします。買付けは、現金にて行います。買付けられた株券等に係る売却代金を応募株主等(外国人株主の場合はその常任代理人)の指示により、決済の開始日以後遅滞なく、公開買付代理人から応募株主等(外国人株主の場合はその常任代理人)の指定した場所へ送金するか、公開買付代理人の応募受付けをした応募株主等の口座へお支払いします。

株券等の返還方法、決済の方法

下記「11 その他買付け等の条件及び方法」の「(1) 法第27条の13第4項各号に掲げる条件の有無及び内容」又は「(2) 公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法」に記載の条件に基づき応募株券等の全部を買付けないこととなった場合には、公開買付代理人は、返還することが必要な株券等を本公開買付けの終了後に速やかに返還します。
株式については、公開買付期間末日の翌々営業日(本公開買付けの撤回等を行った場合は撤回等を行った日)以後、速やかに応募が行われた時の状態に戻すことにより、本新株予約権については、決済の開始日以後、本新株予約権の応募に際して提出された書類(上記「7 応募及び契約の解除の方法」の「(1) 応募の方法」④に記載した書類)をそれぞれ応募株主等の指示により応募株主等への交付又は応募株主等の住所への郵送により、返還します。

法第27条の13第4項各号に掲げる条件の有無及び内容

応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(4,127,800株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行いません。応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(4,127,800株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行います。

公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法

令第14条第1項第1号イ乃至リ及びヲ乃至ソ、第3号イ乃至チ及びヌ、並びに同条第2項第3号乃至第6号に定める事項のいずれかが発生した場合は、本公開買付けの撤回等を行うことがあります。なお、令第14条第1項第3号ヌに定める「イからリまでに掲げる事実に準ずる事実」とは、対象者が過去に提出した法定開示書類について、重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項の記載が欠けていることが判明した場合であって、公開買付者が当該虚偽記載等があることを知らず、かつ、相当の注意を用いたにもかかわらず知ることができなかった場合をいいます。
撤回等を行おうとする場合は、電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。ただし、公開買付期間の末日までに公告を行うことが困難な場合は、府令第20条に規定する方法により公表を行い、その後直ちに公告を行います。

買付け等の価格の引下げの条件の有無、その内容及び引下げの開示の方法

法第27条の6第1項第1号の規定により、対象者が公開買付期間中に令第13条第1項に定める行為を行った場合は、府令第19条第1項に定める基準により買付け等の価格の引下げを行うことがあります。
買付け等の価格の引下げを行おうとする場合は、電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。ただし、公開買付期間の末日までに公告を行うことが困難な場合は、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。買付け等の価格の引下げがなされた場合、当該公告が行われた日以前の応募株券等についても、引下げ後の買付け等の価格により買付け等を行います。

応募株主等の契約の解除権についての事項

応募株主等は、公開買付期間中においては、いつでも本公開買付けに係る契約を解除することができます。契約の解除の方法については、上記「7 応募及び契約の解除の方法」の「(2) 契約の解除の方法」に記載の方法によるものとします。
なお、公開買付者は応募株主等による契約の解除があった場合においても、損害賠償又は違約金の支払いを応募株主等に請求しません。また、応募株券等の返還に要する費用も公開買付者の負担とします。解除を申し出られた場合には、応募株券等は当該解除の申出に係る手続終了後速やかに上記「10 決済の方法」の「(4) 株券等の返還方法」に記載の方法により返還します。

買付条件等の変更をした場合の開示の方法

公開買付者は、公開買付期間中、法第27条の6第1項及び令第13条により禁止される場合を除き、買付条件等の変更を行うことがあります。買付条件等の変更を行おうとする場合は、その変更内容等につき電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。ただし、公開買付期間の末日までに公告を行うことが困難な場合は、府令第20条に規定する方法により公表を行い、その後直ちに公告を行います。買付条件等の変更がなされた場合、当該公告が行われた日以前の応募株券等についても、変更後の買付条件等により買付け等を行います。

訂正届出書を提出した場合の開示の方法

訂正届出書を関東財務局長に提出した場合(ただし、法第27条の8第11項ただし書に規定する場合を除きます。)は、直ちに訂正届出書に記載した内容のうち、公開買付開始公告に記載した内容に係るものを府令第20条に規定する方法により公表します。また、直ちに公開買付説明書を訂正し、かつ、既に公開買付説明書を交付している応募株主等に対しては、訂正した公開買付説明書を交付して訂正します。ただし、訂正の範囲が小範囲に止まる場合には、訂正の理由、訂正した事項及び訂正後の内容を記載した書面を作成し、その書面を応募株主等に交付する方法により訂正します。

公開買付けの結果の開示の方法

本公開買付けの結果については、公開買付期間の末日の翌日に、令第9条の4及び府令第30条の2に規定する方法により公表します。

その他、その他買付け等の条件及び方法

本公開買付けは、直接間接を問わず、米国内において若しくは米国に向けて行われるものではなく、また、米国の郵便その他の州際通商若しくは国際通商の方法・手段(ファクシミリ、電子メール、インターネット通信、テレックス及び電話を含みますが、これらに限りません。)を利用して行われるものでもなく、更に米国の証券取引所施設を通じて行われるものでもありません。上記方法・手段により、若しくは上記施設を通じて、又は米国内から本公開買付けに応募することはできません。
また、本書又は関連する買付書類は、米国内において若しくは米国に向けて、又は米国内から、郵送その他の方法によって送付又は配布されるものではなく、かかる送付又は配布を行うことはできません。上記制限に直接又は間接に違反する本公開買付けへの応募はお受けできません。
本公開買付けへの応募に際し、応募株主等(外国人株主の場合は常任代理人)は公開買付代理人に対し、以下の表明及び保証を行うことを求められることがあります。
応募株主等が応募の時点及び公開買付応募申込書送付の時点のいずれにおいても米国に所在していないこと。本公開買付けに関するいかなる情報(その写しを含みます。)も、直接間接を問わず、米国内において若しくは米国に向けて、又は米国内から、これを受領したり送付したりしていないこと。買付け等若しくは公開買付応募申込書の署名交付に関して、直接間接を問わず、米国の郵便その他の州際通商若しくは国際通商の方法・手段(ファクシミリ、電子メール、インターネット通信、テレックス及び電話を含みますが、これらに限りません。)又は米国内の証券取引所施設を使用していないこと。他の者の裁量権のない代理人又は受託者・受任者として行動する者ではないこと(当該他の者が買付け等に関する全ての指示を米国外から与えている場合を除きます。)。

会社の沿革

年 月沿 革
2021年1月商号をサカイ繊維株式会社、本店所在地を福井県福井市花堂中二丁目15​番1​号、資本金を1万円とする株式会社として設立

会社の目的及び事業の内容、公開買付者の状況

(会社の目的)
1.会社の株式等の有価証券又は持分を所有することにより、当該会社の事業活動を支配、管理する業務
2.前号に付帯関連する一切の業務
(事業の内容)
公開買付者は、対象者株式及び本新株予約権を取得及び所有し、対象者の事業活動を支配・管理することを事業の内容としております。

資本金の額及び発行済株式の総数

2021年2月9日現在
資本金の額発行済株式の総数
10,000円1株

(注) 公開買付者は、本公開買付けの決済の開始日の2営業日前までに、上記「第1 公開買付要項」の「8 買付け等に要する資金」の「(2) 買付け等に要する資金に充当しうる預金又は借入金等」の「④ その他資金調達方法」に記載のとおり、みずほ事業承継ファンドから1,000,000千円を上限とした出資を受ける予定であり、これにより公開買付者の資本金の額は最大で500,000千円増加する予定です。また、公開買付者は、本公開買付けの決済の開始日の2営業日前までに、松木氏より49,990千円の追加出資(普通株式)を受ける予定ですが、当該追加出資は、本公開買付けにおける買付け等に要する資金等に充当されるものではございません。

大株主、公開買付者の状況

2021年2月9日現在
氏名又は名称住所又は所在地所有株式数
(株)
発行済株式(自己株
式を除く。)の総数
に対する所有株式
数の割合(%)
松木 伸太郎福井県福井市1100.00
1100.00

役員の職歴及び所有株式の数

2021年2月9日現在
役名職名氏名生年月日職歴所有株式数
(株)
代表取締役松木 伸太郎1945年11月20日
1968年4月対象者入社
2001年6月対象者理事 合繊工場長
2004年6月対象者取締役
2005年6月対象者常務取締役
2006年6月対象者専務取締役
2007年4月対象者代表取締役社長(現任)
2021年1月公開買付者 代表取締役(現任)
1
1

経理の状況、公開買付者の状況

公開買付者は、2021年1月15日に設立された会社であり、設立後、事業年度が終了していないため、財務諸表は作成されておりません。

公開買付者及び特別関係者による株券等の所有状況の合計

(2021年2月9日現在)
所有する株券等の数令第7条第1項第2号に
該当する株券等の数
令第7条第1項第3号に
該当する株券等の数
株券355(個)―(個)―(個)
新株予約権証券117
新株予約権付社債券
株券等信託受益証券( )
株券等預託証券( )
合計472
所有株券等の合計数472
(所有潜在株券等の合計数)(117)

特別関係者による株券等の所有状況(特別関係者合計)

(2021年2月9日現在)
所有する株券等の数令第7条第1項第2号に
該当する株券等の数
令第7条第1項第3号に
該当する株券等の数
株券355(個)―(個)―(個)
新株予約権証券117
新株予約権付社債券
株券等信託受益証券( )
株券等預託証券( )
合計472
所有株券等の合計数472
(所有潜在株券等の合計数)(117)

特別関係者

(2021年2月9日現在)
氏名又は名称松木 伸太郎
住所又は所在地福井市花堂中2丁目15番1号(対象者所在地)
職業又は事業の内容サカイオーベックス株式会社 代表取締役社長
サカイ繊維株式会社 代表取締役
連絡先連絡者 弁護士 三木 亨
連絡場所 大阪市中央区北浜1丁目8番16号 大阪証券取引所ビル北浜法律事務所・外国法共同事業
電話番号 06-6202-1088(代表)
公開買付者との関係公開買付者の役員
公開買付者に対して特別資本関係を有する個人

所有株券等の数

松木 伸太郎(2021年2月9日現在)
所有する株券等の数令第7条第1項第2号に
該当する株券等の数
令第7条第1項第3号に
該当する株券等の数
株券355(個)―(個)―(個)
新株予約権証券117
新株予約権付社債券
株券等信託受益証券( )
株券等預託証券( )
合計472
所有株券等の合計数472
(所有潜在株券等の合計数)(117)

(注) 上記の「所有する株券等の数」には、松木氏が対象者の役員持株会を通じて間接的に所有する対象者株式410株に係る議決権の数4個が含まれております。

届出日前60日間の取引状況

氏名又は名称株券等の種類増加数減少数差引
松木 伸太郎(注)普通株式67株67株

(注) 松木氏は、対象者の役員持株会を通じての買付けにより、2020年12月30日に対象者株式34株(小数点以下を切り捨て。)、2021年1月29日に対象者株式33株(小数点以下を切り捨て。)を取得しております。

公開買付者と対象者又はその役員との間の合意の有無及び内容

(1) 公開買付者と対象者又はその役員との間の合意の有無及び内容
対象者プレスリリースによれば、対象者は、2021年2月9日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨、一方、本新株予約権者の皆様に対しては、本新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨の決議を行ったとのことです。
詳細については、対象者プレスリリース及び上記「第1 公開買付要項」の「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「④ 対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」をご参照ください。
(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針
上記「第1 公開買付要項」の「3 買付け等の目的」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」をご参照ください。
(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
上記「第1 公開買付要項」の「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」をご参照ください。

株価の状況

(単位:円)
金融商品取引所名
又は認可金融商品
取引業協会名
東京証券取引所 市場第一部
月別2020年
8月
2020年
9月
2020年
10月
2020年
11月
2020年
12月
2021年
1月
2021年
2月
最高株価2,2182,2122,1552,1482,2472,2372,220
最低株価2,0011,9301,8521,8322,0401,9342,081

(注) 2021年2月は、同月8日までのものです。

継続開示会社たる対象者に関する事項

(1) 【対象者が提出した書類】
① 【有価証券報告書及びその添付書類】
事業年度 第126期(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) 2019年6月24日 北陸財務局長に提出
事業年度 第127期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) 2020年6月29日 北陸財務局長に提出
② 【四半期報告書又は半期報告書】
事業年度 第128期第2四半期(自 2020年7月1日 至 2020年9月30日) 2020年11月12日 北陸財務局長に提出
事業年度 第128期第3四半期(自 2020年10月1日 至 2020年12月31日) 2021年2月10日 北陸財務局長に提出予定
③ 【臨時報告書】
該当事項はありません。
④ 【訂正報告書】
該当事項はありません。
(2) 【上記書類を縦覧に供している場所】
サカイオーベックス株式会社
(福井市花堂中2丁目15番1号)
株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

その他、対象者の状況

(1) 「令和3年3月期 第3四半期決算短信[日本基準](連結)」の公表
対象者は、2021年2月9日付で対象者四半期決算短信を公表しております。当該公表に基づく当該期の対象者の連結損益状況等は以下のとおりです。なお、当該内容につきましては、法第193条の2第1項の規定に基づく監査法人の四半期レビューを受けていないとのことです。また、以下の公表内容の概要は、対象者が公表した内容を一部抜粋したものであり、公開買付者はその正確性及び真実性について独自に検証し得る立場になく、また実際にかかる検証を行っておりません。詳細につきましては、当該公表の内容をご参照ください。
① 損益の状況(連結)
決算年月令和3年3月期第3四半期
売上高16,330,673千円
売上原価13,665,250千円
販売費及び一般管理費1,824,185千円
営業外収益1,050,813千円
営業外費用17,141千円
親会社株主に帰属する四半期純利益1,278,344千円


② 1株当たりの状況(連結)
決算年月令和3年3月期第3四半期
1株当たり四半期純利益207.69円
1株当たり配当額―円

(2) 「期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」の公表
対象者は、2021年2月9日開催の取締役会において、本公開買付けが成立することを条件に、令和3年3月期の期末配当を行わないことを決議したとのことです。詳細につきましては、対象者が2021年2月9日付で公表した「令和3年3月期の期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」をご参照ください。