有価証券報告書-第5期(2023/04/01-2024/03/31)
有報資料
(1) 経営環境及び経営方針等
東京電力ホールディングスグループを取り巻く経営環境は、カーボンニュートラルの実現を目指す世界的な潮流、激甚化・広域化する自然災害に対応したレジリエンス強化の要請、ウクライナ情勢を受けた全世界的な燃料価格の高騰など、大きく変化している。
このような事業環境の変化に対応していくため、四次総特のもと、グループ一丸となって非連続の経営改革をやり遂げ、福島への責任を貫徹していく。加えて、カーボンニュートラルや防災を軸とした新たな価値を提供するビジネスモデルへと転換を図り、更なる収益力拡大と企業価値向上を実現していく。
(https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210804004/20210804004-1.pdf)
[東京電力ホールディングスグループ経営理念]

このような経営環境下、東京電力ホールディングスグループで四次総特に基づき掲げる「カーボンニュートラル」や「防災」を軸とする諸施策として、当社は、「経営ミッション」「経営ビジョン」を掲げ、再生可能エネルギーを通して、持続可能な社会の実現に貢献していく。
「ミッション/理念」
当社は、「自然の恵みをエネルギーに、そして社会に」を理念として掲げ、再生可能エネルギーを通して、地域に根ざした産業の発展と持続可能な社会の実現に貢献する。
「ビジョン/目指す姿」
当社は、東京電力ホールディングスグループの再生可能エネルギーの認知度向上を志向した再生可能エネルギー電源への特化や、国内外のパートナーとの連携、大規模な投資等に対する迅速な意思決定のための責任と権限の明確化、資金調達の柔軟化を実現し、再生可能エネルギー事業の成長を目指す。また、再生可能エネルギーを制度に依存しない自立した「主力電源」の1つと位置付けることを目指し、国内外で安定的かつ低廉な電気を供給することにより、持続可能な社会の実現に貢献していく。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
四次総特のとおり、早期かつ確実に再生可能エネルギーの開発を推進し、事業規模や収益を持続的に拡大することで、2030年度までに年間1,000億円規模の親会社株主に帰属する当期純利益を目指す。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
近年、再生可能エネルギーをめぐる状況は、大きく変貌している。世界的には、発電コストが急速に低減し、火力・原子力等の従来型電源と比較してもコスト競争力のある再生可能エネルギー電源が出現しており、その導入量は急増している。また、一部のグローバル企業が電力消費を再生可能エネルギーで100%賄うことを目指す動きが世界的にも高まってきており、カーボンニュートラルを図りつつ経済成長を実現できるとの期待もある。このような中、欧米のエネルギー主要プレーヤーは、世界的なカーボンニュートラルの潮流に対応すべく、非化石比率を高めるなど大幅な事業ポートフォリオの転換を断行している。
国内でも、第6次エネルギー基本計画(2021年10月)において2050年カーボンニュートラル及び2030年度の温室効果ガス排出削減目標の実現を目指し、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、再生可能エネルギーに最優先の原則で取り組むことが掲げられた。
これまで水力発電や風力発電を手掛けてきた当社にとって、再生可能エネルギーの拡大・カーボンニュートラルの流れは大きなビジネスチャンスであると捉えている。
現在、当社は総出力約1,000万kWの設備容量を保有するが、その大部分が国内水力発電設備となっている。目標の実現に向けて、当面の主力事業である国内水力発電事業の基盤強化を推進するとともに、将来の主力事業を目指して海外水力発電事業と国内外の洋上風力発電事業の更なる開発を進めていく。その上で、「(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、責任と権限の明確化の下、早期かつ確実に開発を推進し、事業規模や収益を持続的に拡大することで、2030年度までに年間1,000億円規模の親会社株主に帰属する当期純利益を目指す。
具体的な当年度における施策及び優先的に対処すべき課題は以下の通り。
① 当年度の施策
イ.国内水力発電事業の基盤強化
経年水力発電所について、発電電力量の増加と設備信頼度向上に向けたリパワリングを継続的に実施し、5箇所の発電所で工事を完了した。また、業務カイゼンやデジタル技術の活用等による水力発電所の運用・保守業務の高度化プロジェクトの推進や、IoTを活用した運転中発電所のリアルタイムデータによる設備トラブルの予兆監視など、DX推進に向けた取り組みを実施し、発電電力量の更なる増加や、国内水力発電事業の基盤強化を着実に図ってきた。
揚水式水力発電については、再生可能エネルギーの導入拡大に伴って重要性が増している調整電源としての強みを活かし、一般送配電事業者の調整力として活用するほか、その蓄電機能を活用し、新電力等のお客さまのオフピーク時間帯に余剰電力で揚水し、ピーク時間帯に発電してお客さまに送電する「電力預かりサービス」の提供を進めてきた。
ロ.事業領域の拡大に向けた取り組み
洋上風力発電事業については、国内の洋上風力発電事業者の公募において、当社を含むコンソーシアムが長崎県西海市江島沖における事業者に選定されたほか、2022年に子会社化した英国のフローテーション・エナジー社を通じてスコットランド海域における洋上風力発電事業に必要な海底リース権の独占交渉権を獲得するなど、国内外における洋上風力発電事業の拡大を図ってきた。
さらに、秋田県湯沢市で地熱発電開発を行う小安地熱株式会社に出資参画し、重要電源開発地点として指定を受けた地熱発電所の建設に当社として初めて携わるなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けた電源の多様化を推進してきた。
ハ.再生可能エネルギー発電事業の拡充に向けた資金調達
こうした取り組みを支えるため、2023年9月に300億円、2024年2月に200億円のグリーンボンドを発行し、また、グリーンボンドに加えグリーンローンを推進するため、2023年9月にグリーンボンド・フレームワークをグリーンファイナンス・フレームワークに改定する等、再生可能エネルギー発電事業の拡充に向けた資金確保策の実施に努めてきた。
② 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
イ.国内水力発電事業の基盤強化
国内水力発電事業については、引き続き計画的に、経年水力発電所のリパワリングによる発電電力量の増加と設備信頼度の向上の両立を図っていく。また、河川流量予測技術などを用いた効率的なダム運用、カイゼン活動を通じた作業停止期間の短縮、デジタル技術を活用した設備トラブル未然防止などの取り組みを進め、更なる発電電力量の増加を図っていく。また、電力新市場の動向を踏まえつつ、再生可能エネルギーの導入拡大に伴って重要性が増すと考えられる揚水式水力発電設備については、その強みである蓄電・調整力を最大限活用し、電力取引・ソリューションビジネスをさらに拡大していく。
ロ.海外水力発電事業の本格展開
海外水力発電事業については、長年の国内水力発電事業で培った技術力・ノウハウに加え、ベトナム、ジョージア、インドネシアでの水力発電事業出資を通じて得られた知見などを活用し、開発ポテンシャルが高い国や地域において、パートナーとの個別案件開発や事業者出資により事業拡大を推進していく。出資参画した海外の事業会社については、パイプライン案件の開発を進めるとともに、保有する水力発電所について、技術力を活かし、調整池運用方法のカイゼンや機器取替周期の最適化等のバリューアップを行うなどして、収益を拡大させていく。また、中長期的には新設・大規模案件へも参画・出資を実現し、成長を促進させていく。
ハ.洋上風力発電事業の拡大
着床式洋上風力発電については、長崎県西海市江島沖での事業開始に向けてパートナーと連携して着実に準備を進めるとともに、更なる国内案件獲得の積み上げを図っていく。
また、日本は遠浅の海が限定的であることや政府のグリーン成長戦略を踏まえると、今後拡大が見込まれる浮体式洋上風力発電の技術獲得が重要となる。NEDOのグリーンイノベーション基金事業やノルウェー沿岸での共同実証事業等を通じて、浮体式洋上風力発電の技術開発に引き続き取り組んでいく。加えて、子会社であるフローテーション・エナジー社とグローバルに案件開発を進め、実案件の設計・建設・O&Mを通じて洋上風力発電事業の技術・運営に関するノウハウを獲得することにより、国内外における事業拡大を加速していく。
ニ.O&Mノウハウとデジタル技術の融合によるDXの実現
既設水力発電所については長年のO&M実績があるものの、自然環境の変化や水系一貫での制御といった観点から未だロスを減らす余地は残っている。これまでのO&MノウハウにAI等のデジタル技術を融合させることにより、河川流量予測技術などを用いた効率的なダム運用に向けた取り組み等を進め、発電所設備の制御・運用の最適化を通じたロスの低減を図り、よりエネルギー効率の良い発電を実現していく。この取り組みは、ロスの低減による生産性の向上に留まらず、事業環境の変化や社会のニーズにあわせて業務そのものを変革し、人財の育成や技術力・現場力の強化、さらには、企業文化・風土の変革に繋げて新たなビジネスモデルを創出していく。
ホ.組織体制の構築
成長の実現には、将来の主力事業と位置付ける海外水力発電事業と洋上風力発電事業の早期拡大が必要であり、そのための組織体制の充実化を図っていく。これらの成長事業に重点的に人財を充てる必要があり、一定規模の新卒採用、社外からの高度専門人財の獲得を進めていく。加えて、カイゼン活動により、事業運営に関わる業務の変革を推進することで、事業全体の更なる省力化を図り、要員効率性の向上と成長事業に必要な人財確保の両立を指向していく。また、海外事業の本格展開に向けて、各国における優良案件の獲得やカントリーリスク対応等の組織能力の獲得と事業基盤の構築が求められており、社外人財の積極的な登用を含め、早期に基盤を整備していく。
ヘ.中長期を見据えた更なる取り組み
将来の更なる再生可能エネルギー発電事業の拡大に向けて、再生可能エネルギー電源の多様化を検討していく。地熱発電事業については、出資参画している小安地熱株式会社のかたつむり山地熱発電所の建設を推進するとともに、水力発電事業で培った地下探査技術及び案件開発ノウハウを活かし、必要な許認可取得・調査を実施し、新規案件の早期事業化を目指していく。また、日本の地熱資源の有効活用に向け、新たな熱回収技術を適用した地熱発電事業にも取り組んでいく。
ト.資金調達基盤強化
これまでの取引金融機関からの融資に加えて、自立的かつ柔軟な資金調達を可能とするため、近年、急速に拡大するESG投資の潮流を適切に捉えつつ、当社が取り組む再生可能エネルギー発電事業との親和性を踏まえ、引き続き、グリーンボンドの発行等グリーンファイナンスを推進するとともに、多様な資金調達を検討し、成長投資を着実に実現していく。
(注) 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。
東京電力ホールディングスグループを取り巻く経営環境は、カーボンニュートラルの実現を目指す世界的な潮流、激甚化・広域化する自然災害に対応したレジリエンス強化の要請、ウクライナ情勢を受けた全世界的な燃料価格の高騰など、大きく変化している。
このような事業環境の変化に対応していくため、四次総特のもと、グループ一丸となって非連続の経営改革をやり遂げ、福島への責任を貫徹していく。加えて、カーボンニュートラルや防災を軸とした新たな価値を提供するビジネスモデルへと転換を図り、更なる収益力拡大と企業価値向上を実現していく。
(https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210804004/20210804004-1.pdf)
[東京電力ホールディングスグループ経営理念]

このような経営環境下、東京電力ホールディングスグループで四次総特に基づき掲げる「カーボンニュートラル」や「防災」を軸とする諸施策として、当社は、「経営ミッション」「経営ビジョン」を掲げ、再生可能エネルギーを通して、持続可能な社会の実現に貢献していく。
「ミッション/理念」
当社は、「自然の恵みをエネルギーに、そして社会に」を理念として掲げ、再生可能エネルギーを通して、地域に根ざした産業の発展と持続可能な社会の実現に貢献する。
「ビジョン/目指す姿」
当社は、東京電力ホールディングスグループの再生可能エネルギーの認知度向上を志向した再生可能エネルギー電源への特化や、国内外のパートナーとの連携、大規模な投資等に対する迅速な意思決定のための責任と権限の明確化、資金調達の柔軟化を実現し、再生可能エネルギー事業の成長を目指す。また、再生可能エネルギーを制度に依存しない自立した「主力電源」の1つと位置付けることを目指し、国内外で安定的かつ低廉な電気を供給することにより、持続可能な社会の実現に貢献していく。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
四次総特のとおり、早期かつ確実に再生可能エネルギーの開発を推進し、事業規模や収益を持続的に拡大することで、2030年度までに年間1,000億円規模の親会社株主に帰属する当期純利益を目指す。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
近年、再生可能エネルギーをめぐる状況は、大きく変貌している。世界的には、発電コストが急速に低減し、火力・原子力等の従来型電源と比較してもコスト競争力のある再生可能エネルギー電源が出現しており、その導入量は急増している。また、一部のグローバル企業が電力消費を再生可能エネルギーで100%賄うことを目指す動きが世界的にも高まってきており、カーボンニュートラルを図りつつ経済成長を実現できるとの期待もある。このような中、欧米のエネルギー主要プレーヤーは、世界的なカーボンニュートラルの潮流に対応すべく、非化石比率を高めるなど大幅な事業ポートフォリオの転換を断行している。
国内でも、第6次エネルギー基本計画(2021年10月)において2050年カーボンニュートラル及び2030年度の温室効果ガス排出削減目標の実現を目指し、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、再生可能エネルギーに最優先の原則で取り組むことが掲げられた。
これまで水力発電や風力発電を手掛けてきた当社にとって、再生可能エネルギーの拡大・カーボンニュートラルの流れは大きなビジネスチャンスであると捉えている。
現在、当社は総出力約1,000万kWの設備容量を保有するが、その大部分が国内水力発電設備となっている。目標の実現に向けて、当面の主力事業である国内水力発電事業の基盤強化を推進するとともに、将来の主力事業を目指して海外水力発電事業と国内外の洋上風力発電事業の更なる開発を進めていく。その上で、「(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、責任と権限の明確化の下、早期かつ確実に開発を推進し、事業規模や収益を持続的に拡大することで、2030年度までに年間1,000億円規模の親会社株主に帰属する当期純利益を目指す。
具体的な当年度における施策及び優先的に対処すべき課題は以下の通り。
① 当年度の施策
イ.国内水力発電事業の基盤強化
経年水力発電所について、発電電力量の増加と設備信頼度向上に向けたリパワリングを継続的に実施し、5箇所の発電所で工事を完了した。また、業務カイゼンやデジタル技術の活用等による水力発電所の運用・保守業務の高度化プロジェクトの推進や、IoTを活用した運転中発電所のリアルタイムデータによる設備トラブルの予兆監視など、DX推進に向けた取り組みを実施し、発電電力量の更なる増加や、国内水力発電事業の基盤強化を着実に図ってきた。
揚水式水力発電については、再生可能エネルギーの導入拡大に伴って重要性が増している調整電源としての強みを活かし、一般送配電事業者の調整力として活用するほか、その蓄電機能を活用し、新電力等のお客さまのオフピーク時間帯に余剰電力で揚水し、ピーク時間帯に発電してお客さまに送電する「電力預かりサービス」の提供を進めてきた。
ロ.事業領域の拡大に向けた取り組み
洋上風力発電事業については、国内の洋上風力発電事業者の公募において、当社を含むコンソーシアムが長崎県西海市江島沖における事業者に選定されたほか、2022年に子会社化した英国のフローテーション・エナジー社を通じてスコットランド海域における洋上風力発電事業に必要な海底リース権の独占交渉権を獲得するなど、国内外における洋上風力発電事業の拡大を図ってきた。
さらに、秋田県湯沢市で地熱発電開発を行う小安地熱株式会社に出資参画し、重要電源開発地点として指定を受けた地熱発電所の建設に当社として初めて携わるなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けた電源の多様化を推進してきた。
ハ.再生可能エネルギー発電事業の拡充に向けた資金調達
こうした取り組みを支えるため、2023年9月に300億円、2024年2月に200億円のグリーンボンドを発行し、また、グリーンボンドに加えグリーンローンを推進するため、2023年9月にグリーンボンド・フレームワークをグリーンファイナンス・フレームワークに改定する等、再生可能エネルギー発電事業の拡充に向けた資金確保策の実施に努めてきた。
② 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
イ.国内水力発電事業の基盤強化
国内水力発電事業については、引き続き計画的に、経年水力発電所のリパワリングによる発電電力量の増加と設備信頼度の向上の両立を図っていく。また、河川流量予測技術などを用いた効率的なダム運用、カイゼン活動を通じた作業停止期間の短縮、デジタル技術を活用した設備トラブル未然防止などの取り組みを進め、更なる発電電力量の増加を図っていく。また、電力新市場の動向を踏まえつつ、再生可能エネルギーの導入拡大に伴って重要性が増すと考えられる揚水式水力発電設備については、その強みである蓄電・調整力を最大限活用し、電力取引・ソリューションビジネスをさらに拡大していく。
ロ.海外水力発電事業の本格展開
海外水力発電事業については、長年の国内水力発電事業で培った技術力・ノウハウに加え、ベトナム、ジョージア、インドネシアでの水力発電事業出資を通じて得られた知見などを活用し、開発ポテンシャルが高い国や地域において、パートナーとの個別案件開発や事業者出資により事業拡大を推進していく。出資参画した海外の事業会社については、パイプライン案件の開発を進めるとともに、保有する水力発電所について、技術力を活かし、調整池運用方法のカイゼンや機器取替周期の最適化等のバリューアップを行うなどして、収益を拡大させていく。また、中長期的には新設・大規模案件へも参画・出資を実現し、成長を促進させていく。
ハ.洋上風力発電事業の拡大
着床式洋上風力発電については、長崎県西海市江島沖での事業開始に向けてパートナーと連携して着実に準備を進めるとともに、更なる国内案件獲得の積み上げを図っていく。
また、日本は遠浅の海が限定的であることや政府のグリーン成長戦略を踏まえると、今後拡大が見込まれる浮体式洋上風力発電の技術獲得が重要となる。NEDOのグリーンイノベーション基金事業やノルウェー沿岸での共同実証事業等を通じて、浮体式洋上風力発電の技術開発に引き続き取り組んでいく。加えて、子会社であるフローテーション・エナジー社とグローバルに案件開発を進め、実案件の設計・建設・O&Mを通じて洋上風力発電事業の技術・運営に関するノウハウを獲得することにより、国内外における事業拡大を加速していく。
ニ.O&Mノウハウとデジタル技術の融合によるDXの実現
既設水力発電所については長年のO&M実績があるものの、自然環境の変化や水系一貫での制御といった観点から未だロスを減らす余地は残っている。これまでのO&MノウハウにAI等のデジタル技術を融合させることにより、河川流量予測技術などを用いた効率的なダム運用に向けた取り組み等を進め、発電所設備の制御・運用の最適化を通じたロスの低減を図り、よりエネルギー効率の良い発電を実現していく。この取り組みは、ロスの低減による生産性の向上に留まらず、事業環境の変化や社会のニーズにあわせて業務そのものを変革し、人財の育成や技術力・現場力の強化、さらには、企業文化・風土の変革に繋げて新たなビジネスモデルを創出していく。
ホ.組織体制の構築
成長の実現には、将来の主力事業と位置付ける海外水力発電事業と洋上風力発電事業の早期拡大が必要であり、そのための組織体制の充実化を図っていく。これらの成長事業に重点的に人財を充てる必要があり、一定規模の新卒採用、社外からの高度専門人財の獲得を進めていく。加えて、カイゼン活動により、事業運営に関わる業務の変革を推進することで、事業全体の更なる省力化を図り、要員効率性の向上と成長事業に必要な人財確保の両立を指向していく。また、海外事業の本格展開に向けて、各国における優良案件の獲得やカントリーリスク対応等の組織能力の獲得と事業基盤の構築が求められており、社外人財の積極的な登用を含め、早期に基盤を整備していく。
ヘ.中長期を見据えた更なる取り組み
将来の更なる再生可能エネルギー発電事業の拡大に向けて、再生可能エネルギー電源の多様化を検討していく。地熱発電事業については、出資参画している小安地熱株式会社のかたつむり山地熱発電所の建設を推進するとともに、水力発電事業で培った地下探査技術及び案件開発ノウハウを活かし、必要な許認可取得・調査を実施し、新規案件の早期事業化を目指していく。また、日本の地熱資源の有効活用に向け、新たな熱回収技術を適用した地熱発電事業にも取り組んでいく。
ト.資金調達基盤強化
これまでの取引金融機関からの融資に加えて、自立的かつ柔軟な資金調達を可能とするため、近年、急速に拡大するESG投資の潮流を適切に捉えつつ、当社が取り組む再生可能エネルギー発電事業との親和性を踏まえ、引き続き、グリーンボンドの発行等グリーンファイナンスを推進するとともに、多様な資金調達を検討し、成長投資を着実に実現していく。
(注) 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。