有価証券報告書-第26期(2025/07/01-2026/06/30)
有報資料
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
Ⅰ 事業環境および事業戦略に関するリスク
① 事業環境及び顧客の動向について
当社グループは通信事業者(移動体通信キャリア)を主たる顧客の一つとしております。通信事業者の設備投資は5Gエリア展開の一巡に伴い抑制傾向が続いており、足元では回復の動きがみられるものの、その継続は見込まれておりません。また、投資の重点はAI・データセンター、光ネットワーク及び衛星通信といった新たな領域へ移りつつあり、基地局関連の投資は新規エリアの展開から既存設備の維持・更新及び運用の効率化へと性格が変わりつつあります。
このため、設備投資額の増減は当社グループが受託する工事量に直ちに連動するものではなく、投資の重点の変化、顧客内における内製化の進展、外注費の削減方針の継続等により当社グループの提供するサービス領域が縮小する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該状況は当面継続することが想定されます。
当社グループはIoTサービスへ事業領域を拡大しており、当連結会計年度のIoTエンジニアリングサービスの売上高はモバイルエンジニアリングサービスの売上高を上回っております。中期経営計画2030においても、2030年6月期のIoTサービスの売上高はネットワークサービスの売上高を上回る計画であり、通信事業者の設備投資の動向が当社グループの経営成績に及ぼす影響は相対的に低下していくものと見込んでおります。
もっとも、IoT及び社会インフラ領域における需要の拡大が想定を下回る場合には、通信事業者の設備投資の動向が当社グループの経営成績に及ぼす影響の低下が、想定どおりに進まない可能性があります。
② 特定取引先・業界に対する依存度が高いことについて
当社グループは情報通信ネットワークの構築・施工等を主な事業としていることから各通信事業者との取引比率が高く、特にソフトバンク株式会社に対する売上高が当連結会計年度の売上高に占める割合は18.2%であり、この傾向は今後も継続することが見込まれます。新たな業界における顧客の開拓が進まない場合、情報通信業界の市況動向や技術革新等により各通信事業者の設備投資行動が変化した場合、又は何らかの理由により継続的な取引が困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、対応する領域及び顧客を建物・設備の管理、AIカメラ・認証、社会インフラ、防災等へ拡大することにより、特定の取引先及び業界への依存の低減に努めております。
③ 中期経営計画の達成及び成長投資について
当社グループは、2026年8月に中期経営計画2030(2027年6月期から2030年6月期までの4か年)を公表しております。同計画に掲げる目標は「第2 1(4) 目標とする経営指標」に記載のとおりでありますが、当該計画は現時点で入手可能な情報及び一定の前提に基づき策定したものであり、その達成を保証するものではありません。
前中期経営計画(中期経営計画2026)における最終年度(2026年6月期)の売上高及びEBITDAの実績は、いずれも当初の目標を下回りました。中期経営計画2030においても、市場環境の変化、競合状況、人材及び協力会社の確保状況、重点戦略の進捗等により、計画と実績が乖離する可能性があります。
また、当社グループは重点戦略の推進に向けて先行的な投資を実行する方針であり、これらの投資は費用計上が先行する一方、収益への寄与には一定の期間を要します。想定した効果が得られない場合又は効果の発現が遅延した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ ストック型ビジネスへの転換について
当社グループは、中期経営計画2030において、機器の設置・施工にとどまらず稼働監視、定期点検、障害対応及び改善提案までを継続的に受託することにより、フロー型の受託案件をストック型の継続契約へ転換することを計画しております。当該転換はIoTサービス及びネットワークサービスの双方において進めるものであり、自社開発の現場作業DXクラウド「BLAS」は、現場業務の標準化と品質の確保を担う基盤として、またその外部への販売による収益源として、これを支えるものであります。
機器の設置後の運用・保守を継続的に受託できるか否かは、顧客の調達方針及び競合の状況に左右されます。想定した範囲又は期間の契約を獲得できない場合には、計画したストック収益の拡大が実現しない可能性があります。
また、「BLAS」の外部への販売は2023年9月に開始したものであり、その実績は限定的です。SaaSサービスの売上高が2030年6月期の売上高計画に占める割合は小さいため、当該計画の未達が全社の経営成績に及ぼす影響は限定的でありますが、「BLAS」の機能高度化のためのソフトウェア投資について将来の収益獲得が見込めないと判断される場合には、ソフトウェア又はソフトウェア仮勘定に係る減損損失が発生する可能性があります(提供したソフトウェアの品質に起因するリスクは、下記Ⅱ⑩に記載しております)。
⑤ M&Aについて
当社グループは、M&Aを重要な成長戦略の一つと位置付け、協力会社の取込による垂直統合、サービスラインの水平展開、及び保守・運用への拡張によるストック化を企図しております。しかしながら、当社グループはM&Aの実績が限定的であり、対象企業の選定、企業価値評価、買収後の統合(PMI)及びシナジーの創出には相応の経験とノウハウを要します。
想定した対象企業を適時に取得できない場合、取得価額が想定を上回る場合、又は統合が計画どおりに進捗しない場合には、中期経営計画2030に掲げる、M&Aによる成長を含めた調整後EBITDAの目標(「第2 1(4) 目標とする経営指標」に記載しております。)の達成が困難となる可能性があります。また、デュー・デリジェンスの限界等により取得後に新たな法的又は事業上のリスク要因が判明した場合、及び対象会社の収益性が当初の想定を下回りのれんその他の無形資産又は投資有価証券について減損損失を計上する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、投資判断の基準及び財務規律に基づく検討を行うとともに、既存事業とのシナジー及びリスクを十分に確認したうえでM&Aを実行する方針であります。
⑥ 競合について
当社グループが従来から事業を展開してきた通信インフラ及びリモートモニタリング関連の領域においては、全国規模の協力会社ネットワーク「ベイシスパートナーズ」及び現場のプロジェクトマネジメントにおいて蓄積してきたノウハウが優位性につながっているものと考えておりますが、これらの市場は今後も成長が見込まれることから、国内外の事業者が参入する可能性があります。
また、中期経営計画2030において拡大を図る新たな領域及び「BLAS」の外部への販売においては、当社グループは後発の参入者となり、既存の優位性が直接には及ばない場合があります。十分な差別化を図ることができない場合又は価格競争が生じた場合には、想定した事業の拡大が実現せず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ 事業運営に関するリスク
⑦ 業務委託先との取引関係について
当社グループは、業務の一部を個人又は法人に業務委託契約により委託しており、全国規模でのインフラの構築・運用は委託先であるベイシスパートナーズに支えられております。良好な関係を維持継続できなくなった場合や、今後見込まれる新規パートナー企業の開拓が困難となる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、労働需給の逼迫を背景に協力会社への外注単価は上昇傾向にあり、当社グループが受注価格へ適時に転嫁できない場合には、売上総利益率の低下を通じて同様の影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 優秀な人材の獲得、育成について
当社グループの事業は、プロジェクトマネージャー及びフィールドエンジニアをはじめとする人材に支えられており、事業規模の拡大には人材の継続的な確保と育成が前提となります。特に、中期経営計画2030の遂行にあたっては、これらの人材に加え、全社AXの推進を担うデジタル人材の確保が必要となります。
国内では労働力人口の減少を背景に人材の獲得競争が続いており、当社グループの求める人材を計画どおりに確保・育成できない場合又は人材の流出が進んだ場合には、重点戦略の進捗が遅延し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 重大な人身・設備事故等の発生について
当社グループの事業は建設工事現場における作業を伴うことから、不測の事態により重大な人身・設備事故が発生した場合には、顧客からの信頼の低下、損害賠償義務の発生及び受注機会の減少等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、安全衛生教育の徹底及び作業手順の標準化により、事故の未然防止に努めております。
⑩ システム及び提供サービスの品質について
当社グループが提供するシステム及びサービスについて、当社グループでは制御できない外部要因により重大なシステム障害その他の欠陥が生じた場合には、賠償費用の発生、取引の停止及び信用の失墜を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、外部の顧客に対して有償で提供している「BLAS」に障害、機能の不具合又はデータの毀損等が生じた場合には、契約に基づく損害賠償責任を負う可能性があるほか、解約の増加及び新規顧客の獲得の停滞を通じて、同様の影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、業務管理システム「BLAS」によるプロジェクトの進捗の一元管理、AI(画像認識)を用いた成果物の確認及び報告書の自動作成等により、作業ミス及び設備トラブルの低減に努めております。
⑪ 情報セキュリティについて
当社グループは、事業の性質上、個宅を訪問してIoT機器を設置するなど顧客の機密情報及び個人情報に接する機会があり、また多くの顧客情報を保有しております。情報漏洩等の問題が発生した場合には、賠償費用の発生、取引の停止及び信用の失墜を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、中期経営計画2030における現場データの蓄積・活用及び全社AXの推進に伴い、取り扱う情報量の増加及びAIの業務利用の拡大が見込まれることから、情報の誤用又は不適切な出力に起因する新たなリスクが生じる可能性があります。
当社グループは、「情報システム管理規程」及び「個人情報保護規程」に基づく情報セキュリティ推進体制の整備、従業員に対する教育・啓発活動、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO27001(2009年12月)及びISO27017(2024年6月)の認証取得と定期監査の受審、情報漏洩時の損害を補填する保険への加入、並びにデータセンターの利用によるデータの保全及び不正アクセスへの対策により、これらのリスクの低減に努めております。AIの利用については、社内規程の整備及びAIの出力を人が評価・承認する統制(Human in the Loop)の組込みにより対応しております。
⑫ 自然災害・不測の事故等について
地震や津波、台風等の自然災害、パンデミック、テロリストによる攻撃等が発生した場合、また事業遂行上重要な要素となっている情報システム・通信ネットワークがこれらの要因や停電等により遮断・停止した場合には、円滑な事業運営の阻害や事業活動の中断を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、担当・責任者を定めて速やかに対策本部を設置する体制を構築するとともに、BCPの整備・運用を進めております。
Ⅲ 財務・資本に関するリスク
⑬ 借入及び財務制限条項への抵触について
当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結しており、2026年6月期末の当社グループ総資産に占める有利子負債比率は13.1%となっております。当該借入契約には財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には、貸付人の請求により当該契約上の期限の利益を喪失し、ただちに債務を弁済するための資金の確保が必要となります。当該資金を確保できない場合には、当社グループの財政状態及び資金繰りに重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、財務制限条項の内容は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載しております。
また、当社グループは中期経営計画2030において、M&Aによる成長投資を営業キャッシュ・フローと借入により実行する方針とし、レバレッジの上限をネット有利子負債/調整後EBITDA 2.5倍(M&A直後は3.0倍まで許容)を目安としております。M&Aの実行により有利子負債が増加した後に、対象会社の業績又は当社グループの調整後EBITDAが計画を下回った場合には、当該水準を維持できず、追加の資金調達の必要又は財務制限条項への抵触が生じる可能性があります。
⑭ 上場維持基準への適合について
当社株式は株式会社東京証券取引所グロース市場に上場しております。同取引所は、グロース市場の時価総額に関する上場維持基準について、従来の「上場から10年経過後に40億円以上」から「上場から5年経過後に100億円以上」へ引き上げることとし、2030年3月1日より適用することを公表しております。当社は2021年に上場し、かつ6月決算であることから、当該基準による判定は2030年6月30日を基準日として行われることとなります。
業績が計画を下回った場合、株式市場の動向により当社株式の評価が変動した場合その他の要因により当該基準に適合しない状態となり、所定の改善期間内に適合しない場合には、当社株式は監理銘柄・整理銘柄に指定された後、上場廃止となる可能性があります。この場合、当社株式の流動性及び株主価値に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、中期経営計画2030において2030年6月期までに時価総額100億円以上を目指すこととし、収益性及び成長性の向上とIR活動の充実に取り組んでおります。
Ⅳ ガバナンス・経営体制に関するリスク
⑮ 法的規制等について
当社グループは、施工業務において「一般建設業(電気工事業、電気通信工事業)」等の許認可を得てサービスを提供しているほか、顧客先への派遣業務について「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法)の規制を受けております。また、業務委託契約(準委任契約を含む)に基づき事業を行う場合には、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(1986年4月17日 労働省告示第37号)に従い運営しております。
許認可が取消となり業務の全部若しくは一部の停止処分を受けた場合、新たな許可を取得することができなくなった場合、法的規制が変更となった場合、又は請負と労働者派遣の区分に関する判断が当局の解釈と異なることとなった場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、M&Aにより工事会社等を取得する場合には、対象会社が保有する許認可の承継及び維持が前提となり、取得後にその維持が困難となった場合には、当該事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、顧問弁護士事務所による許認可維持要件の定期確認、セルフチェックリストの運用並びに入社研修及び定期講習の実施により法令遵守に努めており、当該法的規制等に抵触する事実はないものと認識しております。M&Aの実行にあたりましては、デュー・デリジェンスにおいて許認可の状況を確認する方針であります。
⑯ 内部管理体制について
当社グループは、現在の規模においては適正な内部管理体制を構築していると考えておりますが、今後の事業拡大に合わせて一層の充実・強化を図る必要があると認識しております。特に、M&Aの実行により子会社が増加した場合には、グループとしての内部管理体制の構築及び運用が必要となります。体制の整備が事業規模の拡大に追いつかない場合には、業務の適正性の確保に支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 経営者への依存について
当社グループの創業者である代表取締役社長の吉村公孝は、創業以来、経営方針や事業戦略の決定をはじめ当社グループの企業運営全般にわたり重要な役割を果たしております。何らかの理由により同氏が当社グループの経営の執行を継続することが困難となる事態が生じた場合には、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、取締役会その他の重要な会議における情報共有及び権限委譲を進めるとともに、次世代の幹部人材を育成するための研修を継続することにより、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、当該体制が十分に機能するまでには一定の期間を要するものと認識しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
Ⅰ 事業環境および事業戦略に関するリスク
① 事業環境及び顧客の動向について
当社グループは通信事業者(移動体通信キャリア)を主たる顧客の一つとしております。通信事業者の設備投資は5Gエリア展開の一巡に伴い抑制傾向が続いており、足元では回復の動きがみられるものの、その継続は見込まれておりません。また、投資の重点はAI・データセンター、光ネットワーク及び衛星通信といった新たな領域へ移りつつあり、基地局関連の投資は新規エリアの展開から既存設備の維持・更新及び運用の効率化へと性格が変わりつつあります。
このため、設備投資額の増減は当社グループが受託する工事量に直ちに連動するものではなく、投資の重点の変化、顧客内における内製化の進展、外注費の削減方針の継続等により当社グループの提供するサービス領域が縮小する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該状況は当面継続することが想定されます。
当社グループはIoTサービスへ事業領域を拡大しており、当連結会計年度のIoTエンジニアリングサービスの売上高はモバイルエンジニアリングサービスの売上高を上回っております。中期経営計画2030においても、2030年6月期のIoTサービスの売上高はネットワークサービスの売上高を上回る計画であり、通信事業者の設備投資の動向が当社グループの経営成績に及ぼす影響は相対的に低下していくものと見込んでおります。
もっとも、IoT及び社会インフラ領域における需要の拡大が想定を下回る場合には、通信事業者の設備投資の動向が当社グループの経営成績に及ぼす影響の低下が、想定どおりに進まない可能性があります。
② 特定取引先・業界に対する依存度が高いことについて
当社グループは情報通信ネットワークの構築・施工等を主な事業としていることから各通信事業者との取引比率が高く、特にソフトバンク株式会社に対する売上高が当連結会計年度の売上高に占める割合は18.2%であり、この傾向は今後も継続することが見込まれます。新たな業界における顧客の開拓が進まない場合、情報通信業界の市況動向や技術革新等により各通信事業者の設備投資行動が変化した場合、又は何らかの理由により継続的な取引が困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、対応する領域及び顧客を建物・設備の管理、AIカメラ・認証、社会インフラ、防災等へ拡大することにより、特定の取引先及び業界への依存の低減に努めております。
③ 中期経営計画の達成及び成長投資について
当社グループは、2026年8月に中期経営計画2030(2027年6月期から2030年6月期までの4か年)を公表しております。同計画に掲げる目標は「第2 1(4) 目標とする経営指標」に記載のとおりでありますが、当該計画は現時点で入手可能な情報及び一定の前提に基づき策定したものであり、その達成を保証するものではありません。
前中期経営計画(中期経営計画2026)における最終年度(2026年6月期)の売上高及びEBITDAの実績は、いずれも当初の目標を下回りました。中期経営計画2030においても、市場環境の変化、競合状況、人材及び協力会社の確保状況、重点戦略の進捗等により、計画と実績が乖離する可能性があります。
また、当社グループは重点戦略の推進に向けて先行的な投資を実行する方針であり、これらの投資は費用計上が先行する一方、収益への寄与には一定の期間を要します。想定した効果が得られない場合又は効果の発現が遅延した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ ストック型ビジネスへの転換について
当社グループは、中期経営計画2030において、機器の設置・施工にとどまらず稼働監視、定期点検、障害対応及び改善提案までを継続的に受託することにより、フロー型の受託案件をストック型の継続契約へ転換することを計画しております。当該転換はIoTサービス及びネットワークサービスの双方において進めるものであり、自社開発の現場作業DXクラウド「BLAS」は、現場業務の標準化と品質の確保を担う基盤として、またその外部への販売による収益源として、これを支えるものであります。
機器の設置後の運用・保守を継続的に受託できるか否かは、顧客の調達方針及び競合の状況に左右されます。想定した範囲又は期間の契約を獲得できない場合には、計画したストック収益の拡大が実現しない可能性があります。
また、「BLAS」の外部への販売は2023年9月に開始したものであり、その実績は限定的です。SaaSサービスの売上高が2030年6月期の売上高計画に占める割合は小さいため、当該計画の未達が全社の経営成績に及ぼす影響は限定的でありますが、「BLAS」の機能高度化のためのソフトウェア投資について将来の収益獲得が見込めないと判断される場合には、ソフトウェア又はソフトウェア仮勘定に係る減損損失が発生する可能性があります(提供したソフトウェアの品質に起因するリスクは、下記Ⅱ⑩に記載しております)。
⑤ M&Aについて
当社グループは、M&Aを重要な成長戦略の一つと位置付け、協力会社の取込による垂直統合、サービスラインの水平展開、及び保守・運用への拡張によるストック化を企図しております。しかしながら、当社グループはM&Aの実績が限定的であり、対象企業の選定、企業価値評価、買収後の統合(PMI)及びシナジーの創出には相応の経験とノウハウを要します。
想定した対象企業を適時に取得できない場合、取得価額が想定を上回る場合、又は統合が計画どおりに進捗しない場合には、中期経営計画2030に掲げる、M&Aによる成長を含めた調整後EBITDAの目標(「第2 1(4) 目標とする経営指標」に記載しております。)の達成が困難となる可能性があります。また、デュー・デリジェンスの限界等により取得後に新たな法的又は事業上のリスク要因が判明した場合、及び対象会社の収益性が当初の想定を下回りのれんその他の無形資産又は投資有価証券について減損損失を計上する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、投資判断の基準及び財務規律に基づく検討を行うとともに、既存事業とのシナジー及びリスクを十分に確認したうえでM&Aを実行する方針であります。
⑥ 競合について
当社グループが従来から事業を展開してきた通信インフラ及びリモートモニタリング関連の領域においては、全国規模の協力会社ネットワーク「ベイシスパートナーズ」及び現場のプロジェクトマネジメントにおいて蓄積してきたノウハウが優位性につながっているものと考えておりますが、これらの市場は今後も成長が見込まれることから、国内外の事業者が参入する可能性があります。
また、中期経営計画2030において拡大を図る新たな領域及び「BLAS」の外部への販売においては、当社グループは後発の参入者となり、既存の優位性が直接には及ばない場合があります。十分な差別化を図ることができない場合又は価格競争が生じた場合には、想定した事業の拡大が実現せず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ 事業運営に関するリスク
⑦ 業務委託先との取引関係について
当社グループは、業務の一部を個人又は法人に業務委託契約により委託しており、全国規模でのインフラの構築・運用は委託先であるベイシスパートナーズに支えられております。良好な関係を維持継続できなくなった場合や、今後見込まれる新規パートナー企業の開拓が困難となる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、労働需給の逼迫を背景に協力会社への外注単価は上昇傾向にあり、当社グループが受注価格へ適時に転嫁できない場合には、売上総利益率の低下を通じて同様の影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 優秀な人材の獲得、育成について
当社グループの事業は、プロジェクトマネージャー及びフィールドエンジニアをはじめとする人材に支えられており、事業規模の拡大には人材の継続的な確保と育成が前提となります。特に、中期経営計画2030の遂行にあたっては、これらの人材に加え、全社AXの推進を担うデジタル人材の確保が必要となります。
国内では労働力人口の減少を背景に人材の獲得競争が続いており、当社グループの求める人材を計画どおりに確保・育成できない場合又は人材の流出が進んだ場合には、重点戦略の進捗が遅延し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 重大な人身・設備事故等の発生について
当社グループの事業は建設工事現場における作業を伴うことから、不測の事態により重大な人身・設備事故が発生した場合には、顧客からの信頼の低下、損害賠償義務の発生及び受注機会の減少等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、安全衛生教育の徹底及び作業手順の標準化により、事故の未然防止に努めております。
⑩ システム及び提供サービスの品質について
当社グループが提供するシステム及びサービスについて、当社グループでは制御できない外部要因により重大なシステム障害その他の欠陥が生じた場合には、賠償費用の発生、取引の停止及び信用の失墜を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、外部の顧客に対して有償で提供している「BLAS」に障害、機能の不具合又はデータの毀損等が生じた場合には、契約に基づく損害賠償責任を負う可能性があるほか、解約の増加及び新規顧客の獲得の停滞を通じて、同様の影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、業務管理システム「BLAS」によるプロジェクトの進捗の一元管理、AI(画像認識)を用いた成果物の確認及び報告書の自動作成等により、作業ミス及び設備トラブルの低減に努めております。
⑪ 情報セキュリティについて
当社グループは、事業の性質上、個宅を訪問してIoT機器を設置するなど顧客の機密情報及び個人情報に接する機会があり、また多くの顧客情報を保有しております。情報漏洩等の問題が発生した場合には、賠償費用の発生、取引の停止及び信用の失墜を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、中期経営計画2030における現場データの蓄積・活用及び全社AXの推進に伴い、取り扱う情報量の増加及びAIの業務利用の拡大が見込まれることから、情報の誤用又は不適切な出力に起因する新たなリスクが生じる可能性があります。
当社グループは、「情報システム管理規程」及び「個人情報保護規程」に基づく情報セキュリティ推進体制の整備、従業員に対する教育・啓発活動、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO27001(2009年12月)及びISO27017(2024年6月)の認証取得と定期監査の受審、情報漏洩時の損害を補填する保険への加入、並びにデータセンターの利用によるデータの保全及び不正アクセスへの対策により、これらのリスクの低減に努めております。AIの利用については、社内規程の整備及びAIの出力を人が評価・承認する統制(Human in the Loop)の組込みにより対応しております。
⑫ 自然災害・不測の事故等について
地震や津波、台風等の自然災害、パンデミック、テロリストによる攻撃等が発生した場合、また事業遂行上重要な要素となっている情報システム・通信ネットワークがこれらの要因や停電等により遮断・停止した場合には、円滑な事業運営の阻害や事業活動の中断を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、担当・責任者を定めて速やかに対策本部を設置する体制を構築するとともに、BCPの整備・運用を進めております。
Ⅲ 財務・資本に関するリスク
⑬ 借入及び財務制限条項への抵触について
当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結しており、2026年6月期末の当社グループ総資産に占める有利子負債比率は13.1%となっております。当該借入契約には財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には、貸付人の請求により当該契約上の期限の利益を喪失し、ただちに債務を弁済するための資金の確保が必要となります。当該資金を確保できない場合には、当社グループの財政状態及び資金繰りに重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、財務制限条項の内容は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載しております。
また、当社グループは中期経営計画2030において、M&Aによる成長投資を営業キャッシュ・フローと借入により実行する方針とし、レバレッジの上限をネット有利子負債/調整後EBITDA 2.5倍(M&A直後は3.0倍まで許容)を目安としております。M&Aの実行により有利子負債が増加した後に、対象会社の業績又は当社グループの調整後EBITDAが計画を下回った場合には、当該水準を維持できず、追加の資金調達の必要又は財務制限条項への抵触が生じる可能性があります。
⑭ 上場維持基準への適合について
当社株式は株式会社東京証券取引所グロース市場に上場しております。同取引所は、グロース市場の時価総額に関する上場維持基準について、従来の「上場から10年経過後に40億円以上」から「上場から5年経過後に100億円以上」へ引き上げることとし、2030年3月1日より適用することを公表しております。当社は2021年に上場し、かつ6月決算であることから、当該基準による判定は2030年6月30日を基準日として行われることとなります。
業績が計画を下回った場合、株式市場の動向により当社株式の評価が変動した場合その他の要因により当該基準に適合しない状態となり、所定の改善期間内に適合しない場合には、当社株式は監理銘柄・整理銘柄に指定された後、上場廃止となる可能性があります。この場合、当社株式の流動性及び株主価値に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、中期経営計画2030において2030年6月期までに時価総額100億円以上を目指すこととし、収益性及び成長性の向上とIR活動の充実に取り組んでおります。
Ⅳ ガバナンス・経営体制に関するリスク
⑮ 法的規制等について
当社グループは、施工業務において「一般建設業(電気工事業、電気通信工事業)」等の許認可を得てサービスを提供しているほか、顧客先への派遣業務について「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法)の規制を受けております。また、業務委託契約(準委任契約を含む)に基づき事業を行う場合には、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(1986年4月17日 労働省告示第37号)に従い運営しております。
許認可が取消となり業務の全部若しくは一部の停止処分を受けた場合、新たな許可を取得することができなくなった場合、法的規制が変更となった場合、又は請負と労働者派遣の区分に関する判断が当局の解釈と異なることとなった場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、M&Aにより工事会社等を取得する場合には、対象会社が保有する許認可の承継及び維持が前提となり、取得後にその維持が困難となった場合には、当該事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、顧問弁護士事務所による許認可維持要件の定期確認、セルフチェックリストの運用並びに入社研修及び定期講習の実施により法令遵守に努めており、当該法的規制等に抵触する事実はないものと認識しております。M&Aの実行にあたりましては、デュー・デリジェンスにおいて許認可の状況を確認する方針であります。
⑯ 内部管理体制について
当社グループは、現在の規模においては適正な内部管理体制を構築していると考えておりますが、今後の事業拡大に合わせて一層の充実・強化を図る必要があると認識しております。特に、M&Aの実行により子会社が増加した場合には、グループとしての内部管理体制の構築及び運用が必要となります。体制の整備が事業規模の拡大に追いつかない場合には、業務の適正性の確保に支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 経営者への依存について
当社グループの創業者である代表取締役社長の吉村公孝は、創業以来、経営方針や事業戦略の決定をはじめ当社グループの企業運営全般にわたり重要な役割を果たしております。何らかの理由により同氏が当社グループの経営の執行を継続することが困難となる事態が生じた場合には、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、取締役会その他の重要な会議における情報共有及び権限委譲を進めるとともに、次世代の幹部人材を育成するための研修を継続することにより、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、当該体制が十分に機能するまでには一定の期間を要するものと認識しております。