訂正有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「The Support Tech Company」として「テクノロジーでサポートを新しく。」というミッションのもと、大手コンタクトセンター向けチャットサポートシステムを中心としたコミュニケーションプラットフォームの開発を行っております。
(2) 当社の強み
当社SaaSプロダクトは、下記に記載の強みから、金融、メーカー、運輸、情報通信、自治体など様々な業種、業態で導入され、3年連続でチャットボット市場シェア1位(出典:ITR「ITR Market View: ビジネスチャット市場2020」)を獲得しております。
① 大規模コンタクトセンターのオペレーションを効率化するテクノロジー
当社のSaaSプロダクトの開発プロセスにおいて、リリース前の段階から、当社製品のユーザーの大企業が機能性や仕様の検討に参画しております。メーカー、金融機関、BPO企業、システムインテグレータなど様々な業種の先進的な大企業から、コンタクトセンターのオペレーション視点での意見を取り入れることにより、大規模コンタクトセンターに最適な仕様を開発することが可能となります。具体的には、モニタリング・統計・レポーティング機能、管理者・スーパーバイザー支援機能、在宅オペレーション機能などがあります。
また、当社におきましては、コンタクトセンターのオペレーションを効率化するオペレーション支援AI「ムーア(MooA)」を独自開発しております。オペレーション支援AI「ムーア(MooA)」は、ユーザー企業の対話ログや操作ログを学習し、オペレータや管理者向けの様々な支援機能を担う、自社開発の独自アルゴリズムと、既存の外部オープンソースや外部AIを組み合わせたサポートテクノロジーのコアとなるAI技術です。問い合わせ内容を分析して、オペレータに向けて回答を提案する「接客サジェスト機能」や、外国語による問い合わせにも対応できる「自動翻訳機能」、チャットのやり取りに意図せず入り込んだ個人情報を自動で摘出する「自動個人情報抽出機能」などが搭載されております。
② システムとコンサルティングの両輪で顧客の成功まで支援するカスタマーサクセス
当社では、SaaSプロダクトの提供にとどまらず、初期導入サポート(初期診断支援・目標値設定・プロジェクト設計等)、カスタマイズ開発、オペレータおよび管理者向けトレーニング、コンサルティング、KPI分析サポート、AI教師データ作成、PDCA支援などのサービスを提供しております。コンタクトセンターの運営ノウハウを熟知したメンバーによって、企業ニーズをKPIにより可視化し、ROIの実現に向けた施策等をアドバイスしております。また、顧客企業からのリクエストに応じ、当社SaaSプロダクトと他システムとの連携機能の開発や複雑な自動応答の開発などをカスタマイズして提供しております。企業のニーズを理解し、様々なシステムとの連携に対応する事が可能です。顧客ニーズを機敏に実現できるチームを有していることは当社の差別化要素の一つであると考えております。このように、検討段階から運用後のすべての期間において幅広いサービスを提供することにより、顧客の成功を支援してまいります。
③ 業種・地域の垣根を越えた顧客企業へのアクセスを実現する商流網
当社は当社SaaSプロダクト及びサービスを顧客企業に提供しておりますが、直販営業に加えて、当社からパートナーにサービスを卸し、ユーザー企業に再販する販売代理店との協業を行っております。具体的には、株式会社ベルシステム24、りらいあコミュニケーションズ株式会社、株式会社TMJなどのコンタクトセンターのオペレーションを担うBPO企業、アイテック阪急阪神株式会社、NECネッツエスアイ株式会社、株式会社日立システムズ、岩崎通信機株式会社などのコンタクトセンターのシステム構築を担うシステムインテグレータ企業、そして株式会社PRAZNA、株式会社エーアイスクエア、株式会社BEDORE、株式会社Studio OusiaなどのAI・ツール提供企業と、40社を超える企業と販売代理店契約を締結しております。
また、エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社、富士通株式会社、トランス・コスモス株式会社へは当社商品をOEM供給しており、当該企業(又は関連会社)のブランドにてエンドユーザーへサービスを提供しております。この3つの商流を構築することにより、当社だけではアクセスが容易ではない、金融、メーカー、官公庁・自治体などの様々な業界、また様々な地域のお客様にサービスが提供できるようになります。また、大規模コンタクトセンターと関係性を構築しているBPO企業、システムインテグレータ企業、AI・ツール企業それぞれの業界トップ企業とのセールスパートナー網を構築することにより、顧客企業の各意思決定部門へ的確にアプローチすることが可能となります。特に、BPO企業においてはシェアトップ上位10社中7社(注1)が当社セールスパートナーとなっております。(矢野総研 コールセンター市場総覧2020)
(注1)当該7社は、トランス・コスモス株式会社、株式会社ベルシステム24、りらいあコミュニケーションズ株式会社、株式会社KDDIエボルバ、株式会社TMJ、株式会社NTTネクシア、富士通コミュニケーションサービス株式会社です。
(3) 目標とする経営指標
当社は、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するために、当社のSaaSサービスから生み出されるサブスクリプション型のリカーリングレベニュー(経常的に得られる当社製品の利用料)を重視した経営を行っております。契約ドメイン数、顧客当たりのリカーリングレベニュー及び解約率を重要な指標とし、中長期の売上高及び利益の成長を実現し、継続的な企業価値の向上を目指します。
(4) 経営環境
当社のSaaSソリューション事業はコンタクトセンター向けCRMソリューション市場に属しています。2019年度の国内コンタクトセンター向けCRMソリューション市場は前年度比5.7%増の5,073億円となっております。同市場については今後もゆるやかに拡大基調が続くものと考えられており、2021年度予測では市場規模は5,285億円となる見通しです(矢野総研 コールセンター市場総覧2020)。
一方で、国内におけるオペレータ対応のチャットサポートを利用したことがある消費者の比率は6%であり、アメリカ合衆国47%、イギリス55%など欧米諸国と比較して低位となっています(出所:Microsoft 「 2017 STATE OF GLOBAL CUSTOMER SERVICEREPORT 」 WHICH OF THE FOLLOWING CUSTOMER SERVICECHANNELS HAVE YOU USED?)。こうした状況からも、チャットサポートの拡大余地の大きさが見て取れ、当社の成長余地も大きいものと考えております。
また、広義には当社のビジネスはコンタクトセンター向けBPOサービス市場を対象としておりますが、当該コンタクトセンター向けのBPOサービス市場においては、オペレータの採用難、局地的な風水害への対応、電話やメール離れによる旧来の問い合わせチャネル利用率の低下などの課題があります。また、今回のコロナ禍により、全国レベルでのBCP対応、店舗や対面窓口業務をコンタクトセンターで引き受ける必要性、3密の職場改善の必要性など、新たな課題が浮き彫りになりました。2021年度のコンタクトセンター向けのBPOサービス市場の市場規模は1兆281億円ほどに成長する見込みであり(矢野総研 コールセンター市場総覧2020)、チャットボット及びチャットサポートの導入によるコンタクトセンターのDX化により、オペレーションの効率化が図られ、今後、同市場の一部がコンタクトセンター向けCRMソリューション市場に取り込まれていくものと考えております。
さらに、チャット等のテキストのみならず音声対応(電話対応)においても応対の自動化が進んでいくと考えられております。音声(電話・AIスピーカー)をインターフェースとしたAIボットはこの先数年後から急速に発達していくと考えられており、電話システムのクラウド化と、音声認識技術の発達が音声領域におけるAI活用の場を拡大していくものと考えおります。
(5) 中長期的な成長戦略
① 既存事業ドメインでの顧客単価向上及び顧客数の拡大
当社は、安定的な収益の確保及び持続的な成長を目指すために、SaaSサービスから経常的に生み出されるサブスクリプション型のリカーリングレベニューを継続的に成長させていくことを基本方針としております。その達成状況を判断する上で、ARR(注1)、サブスクリプション売上高(注2)、サブスクリプション売上高比率、契約数、契約あたりの平均MRR(注4)、解約率(注8)を重要な指標としております。当該収益を継続的に成長させていくために、既存の契約あたりの平均MRRの向上及び契約数の拡大を図っていきます。具体的な方策としては、コンサルティング及びカスタマーサクセス活動の強化により、顧客の問い合わせ対応でのノンボイス(チャットをはじめとしたテキストベースのコミュニケーション)対応比率の上昇をサポートすることによるオペレータIDの追加(アップセル)、加えて、提案力強化によるサービス追加(クロスセル)、新規オプションの開発(クロスセル)などにより既存の契約あたりの平均MRRの向上を目指します。また、インサイドセールス及びフィールドセールスの人員増強による当社の営業体制の拡充、既存代理店の販売力向上サポート及び新規代理店の開拓による代理店商流の強化、カスタマーサクセス活動の強化によるチャーン抑止などにより、契約数の拡大を図ります。
ARR(注1)の推移
(注1)ARR: Annual Recurring Revenueの略語であり、毎年経常的に得られる当社製品の月額利用料の合計額。四半期末月のMRR(毎月経常的に得られる当社製品の月額利用料の合計額)を12倍することにより算出。
サブスクリプション売上高(注2)の推移
(注2)経常的に得られる当社製品の利用料の12ヵ月間の合計額。
サブスクリプション型のリカーリングレベニューに関わる契約数(注3)及び契約あたりの平均MRR(注4、注5)の推移
(注3)OEMを除く。
(注4)MRR: Monthly Recurring Revenueの略語であり、毎月経常的に得られる当社製品の月額利用料の合計額。
(注5)OEMを除く。四半期末月のMRRを契約数で除することにより算出。
既存契約のMRRレンジ(注6)
(注6)2021年5月末時点。契約あたりの平均MRRを100とした場合。
(注7)複数の契約を締結している顧客がおります。
直近12ヵ月平均解約率(注8)の推移
(注8)OEMを除く。「当月の解約による減少したMRR÷前月末のMRR」の12ヵ月平均。
② 行政サービス、業務プロセス、セールス&マーケティングなどの新領域への展開
当社は、上記の通りコンタクトセンター向けCRMソリューション市場を主たるマーケットとしておりますが、当社のSaaSサービスはカスタマーサポート領域のみではなく、行政サービス、企業内業務プロセス改善、セールス&マーケティングでの利用も進んでおります。従いまして、当社としてはコンタクトセンター向けCRMソリューション市場に加えて、より広義の市場であるサポートテックを含むコンタクトセンター向けBPOサービス市場にも属しており、事業の拡大ポテンシャルがあると考えております。
③ 新製品の開発
AI自動対応・有人リモート対応可能なアバターでの接客を可能とするソリューションを開発中であり、POC(Proof of Concept、概念実証)案件を受注しております。一枚の写真から、表情豊かで自然なアバターを生成、AIによる自動ボット対応から有人オペレータ連携まで自由に組み合わせ、WebRTC(ビデオ会議を実現する技術)を利用して、カメラ&音声でリアルタイムにユーザーの状況を把握し、スムーズなアバター接客を実現します。銀行などを中心として実店舗での顧客対応を減らす動きがありますが、アバターでの顧客対応を導入することにより、遠隔での顧客対応が可能となり、同時に顧客満足度を高める効果があり、新しいマーケットを開拓できると考えております。
また、前述のアバター以外の領域に関しても、市場調査を含めたコンセプトリサーチを積極的に行い、新たな製品ラインナップを拡充していく方針です。
(6) 事業上及び財務上の対処すべき課題
① 新技術への対応、開発体制の強化
当社は、最先端のAIテクノロジーに対応した新しいサービスを開発することが、事業展開上重要な要素であると認識しており、新しいテクノロジーに対応できる開発体制を構築することが経営の重要な課題であると認識しております。そのため、最新テクノロジーの把握、エンジニアスタッフの教育、R&D(研究開発)専門の組織の強化など、技術習得活動、開発活動を強化してまいります。
② 認知度及びブランド力の向上
当社のSaaSサービスについては、導入企業から一定の評価を受けておりますが、認知度の向上及びブランド力の強化は重要な経営課題であると認識しております。顧客ニーズへの対応、サービスの強化に努める一方、営業活動、広告宣伝活動を積極的に展開し、認知度向上に取り組んでまいります。
③ カスタマーサクセスの実現について
当社の主力サービスである「モビエージェント(MOBI AGENT)」は、コンタクトセンター等の運営をサポートするチャットサポートシステムですが、AIの強み、人の強みを活かすことでコンタクトセンターの応対効率の改善、オペレータのストレス軽減を行い、効率的な運営を実現することが可能です。
当社サービス導入後も継続的に利用していただくためには、当社サービスを利用することによって顧客自身に成功体験、付加価値を提供できることが重要であると考えております。そのため、組織内にカスタマーサクセス実現を目的とした担当者を設置し、全社的に実現体制の構築、取り組み方の共有を行うなどを行ってまいりましたが、引き続き体制強化に取り組んでまいります。
④ コーポレート・ガバナンス体制の強化
当社が継続的な成長を維持するためには、事業拡大だけではなく、コーポレート・ガバナンス体制の強化と内部管理体制、コンプライアンス体制を強化することが重要であると認識しております。そのため経営の公平性、透明性、健全性を確保すべく、社外取締役、監査役監査体制、内部監査、会計監査及び内部統制システムの整備等によりその強化を図ってまいります。
⑤ 人材の確保、育成について
当社の展開しているSaaSサービスは、自社開発を行っており、優秀な人材による開発体制が構築できておりますが、今後事業規模を更に拡大していくためには、優秀な人材の獲得と育成が必要であります。特に技術力のあるエンジニアについては、採用が困難であります。そのため、人事専任者を設置して採用を強化するとともに、評価制度、社内キャリアパス制度を構築することで人材の育成に努め、更なる経営体制の強化に努めてまいります。
(1) 経営方針
当社は、「The Support Tech Company」として「テクノロジーでサポートを新しく。」というミッションのもと、大手コンタクトセンター向けチャットサポートシステムを中心としたコミュニケーションプラットフォームの開発を行っております。
(2) 当社の強み
当社SaaSプロダクトは、下記に記載の強みから、金融、メーカー、運輸、情報通信、自治体など様々な業種、業態で導入され、3年連続でチャットボット市場シェア1位(出典:ITR「ITR Market View: ビジネスチャット市場2020」)を獲得しております。
① 大規模コンタクトセンターのオペレーションを効率化するテクノロジー
当社のSaaSプロダクトの開発プロセスにおいて、リリース前の段階から、当社製品のユーザーの大企業が機能性や仕様の検討に参画しております。メーカー、金融機関、BPO企業、システムインテグレータなど様々な業種の先進的な大企業から、コンタクトセンターのオペレーション視点での意見を取り入れることにより、大規模コンタクトセンターに最適な仕様を開発することが可能となります。具体的には、モニタリング・統計・レポーティング機能、管理者・スーパーバイザー支援機能、在宅オペレーション機能などがあります。
また、当社におきましては、コンタクトセンターのオペレーションを効率化するオペレーション支援AI「ムーア(MooA)」を独自開発しております。オペレーション支援AI「ムーア(MooA)」は、ユーザー企業の対話ログや操作ログを学習し、オペレータや管理者向けの様々な支援機能を担う、自社開発の独自アルゴリズムと、既存の外部オープンソースや外部AIを組み合わせたサポートテクノロジーのコアとなるAI技術です。問い合わせ内容を分析して、オペレータに向けて回答を提案する「接客サジェスト機能」や、外国語による問い合わせにも対応できる「自動翻訳機能」、チャットのやり取りに意図せず入り込んだ個人情報を自動で摘出する「自動個人情報抽出機能」などが搭載されております。
② システムとコンサルティングの両輪で顧客の成功まで支援するカスタマーサクセス
当社では、SaaSプロダクトの提供にとどまらず、初期導入サポート(初期診断支援・目標値設定・プロジェクト設計等)、カスタマイズ開発、オペレータおよび管理者向けトレーニング、コンサルティング、KPI分析サポート、AI教師データ作成、PDCA支援などのサービスを提供しております。コンタクトセンターの運営ノウハウを熟知したメンバーによって、企業ニーズをKPIにより可視化し、ROIの実現に向けた施策等をアドバイスしております。また、顧客企業からのリクエストに応じ、当社SaaSプロダクトと他システムとの連携機能の開発や複雑な自動応答の開発などをカスタマイズして提供しております。企業のニーズを理解し、様々なシステムとの連携に対応する事が可能です。顧客ニーズを機敏に実現できるチームを有していることは当社の差別化要素の一つであると考えております。このように、検討段階から運用後のすべての期間において幅広いサービスを提供することにより、顧客の成功を支援してまいります。
③ 業種・地域の垣根を越えた顧客企業へのアクセスを実現する商流網
当社は当社SaaSプロダクト及びサービスを顧客企業に提供しておりますが、直販営業に加えて、当社からパートナーにサービスを卸し、ユーザー企業に再販する販売代理店との協業を行っております。具体的には、株式会社ベルシステム24、りらいあコミュニケーションズ株式会社、株式会社TMJなどのコンタクトセンターのオペレーションを担うBPO企業、アイテック阪急阪神株式会社、NECネッツエスアイ株式会社、株式会社日立システムズ、岩崎通信機株式会社などのコンタクトセンターのシステム構築を担うシステムインテグレータ企業、そして株式会社PRAZNA、株式会社エーアイスクエア、株式会社BEDORE、株式会社Studio OusiaなどのAI・ツール提供企業と、40社を超える企業と販売代理店契約を締結しております。
また、エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社、富士通株式会社、トランス・コスモス株式会社へは当社商品をOEM供給しており、当該企業(又は関連会社)のブランドにてエンドユーザーへサービスを提供しております。この3つの商流を構築することにより、当社だけではアクセスが容易ではない、金融、メーカー、官公庁・自治体などの様々な業界、また様々な地域のお客様にサービスが提供できるようになります。また、大規模コンタクトセンターと関係性を構築しているBPO企業、システムインテグレータ企業、AI・ツール企業それぞれの業界トップ企業とのセールスパートナー網を構築することにより、顧客企業の各意思決定部門へ的確にアプローチすることが可能となります。特に、BPO企業においてはシェアトップ上位10社中7社(注1)が当社セールスパートナーとなっております。(矢野総研 コールセンター市場総覧2020)
(注1)当該7社は、トランス・コスモス株式会社、株式会社ベルシステム24、りらいあコミュニケーションズ株式会社、株式会社KDDIエボルバ、株式会社TMJ、株式会社NTTネクシア、富士通コミュニケーションサービス株式会社です。
(3) 目標とする経営指標
当社は、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するために、当社のSaaSサービスから生み出されるサブスクリプション型のリカーリングレベニュー(経常的に得られる当社製品の利用料)を重視した経営を行っております。契約ドメイン数、顧客当たりのリカーリングレベニュー及び解約率を重要な指標とし、中長期の売上高及び利益の成長を実現し、継続的な企業価値の向上を目指します。
(4) 経営環境
当社のSaaSソリューション事業はコンタクトセンター向けCRMソリューション市場に属しています。2019年度の国内コンタクトセンター向けCRMソリューション市場は前年度比5.7%増の5,073億円となっております。同市場については今後もゆるやかに拡大基調が続くものと考えられており、2021年度予測では市場規模は5,285億円となる見通しです(矢野総研 コールセンター市場総覧2020)。
一方で、国内におけるオペレータ対応のチャットサポートを利用したことがある消費者の比率は6%であり、アメリカ合衆国47%、イギリス55%など欧米諸国と比較して低位となっています(出所:Microsoft 「 2017 STATE OF GLOBAL CUSTOMER SERVICEREPORT 」 WHICH OF THE FOLLOWING CUSTOMER SERVICECHANNELS HAVE YOU USED?)。こうした状況からも、チャットサポートの拡大余地の大きさが見て取れ、当社の成長余地も大きいものと考えております。
また、広義には当社のビジネスはコンタクトセンター向けBPOサービス市場を対象としておりますが、当該コンタクトセンター向けのBPOサービス市場においては、オペレータの採用難、局地的な風水害への対応、電話やメール離れによる旧来の問い合わせチャネル利用率の低下などの課題があります。また、今回のコロナ禍により、全国レベルでのBCP対応、店舗や対面窓口業務をコンタクトセンターで引き受ける必要性、3密の職場改善の必要性など、新たな課題が浮き彫りになりました。2021年度のコンタクトセンター向けのBPOサービス市場の市場規模は1兆281億円ほどに成長する見込みであり(矢野総研 コールセンター市場総覧2020)、チャットボット及びチャットサポートの導入によるコンタクトセンターのDX化により、オペレーションの効率化が図られ、今後、同市場の一部がコンタクトセンター向けCRMソリューション市場に取り込まれていくものと考えております。
さらに、チャット等のテキストのみならず音声対応(電話対応)においても応対の自動化が進んでいくと考えられております。音声(電話・AIスピーカー)をインターフェースとしたAIボットはこの先数年後から急速に発達していくと考えられており、電話システムのクラウド化と、音声認識技術の発達が音声領域におけるAI活用の場を拡大していくものと考えおります。
(5) 中長期的な成長戦略
① 既存事業ドメインでの顧客単価向上及び顧客数の拡大
当社は、安定的な収益の確保及び持続的な成長を目指すために、SaaSサービスから経常的に生み出されるサブスクリプション型のリカーリングレベニューを継続的に成長させていくことを基本方針としております。その達成状況を判断する上で、ARR(注1)、サブスクリプション売上高(注2)、サブスクリプション売上高比率、契約数、契約あたりの平均MRR(注4)、解約率(注8)を重要な指標としております。当該収益を継続的に成長させていくために、既存の契約あたりの平均MRRの向上及び契約数の拡大を図っていきます。具体的な方策としては、コンサルティング及びカスタマーサクセス活動の強化により、顧客の問い合わせ対応でのノンボイス(チャットをはじめとしたテキストベースのコミュニケーション)対応比率の上昇をサポートすることによるオペレータIDの追加(アップセル)、加えて、提案力強化によるサービス追加(クロスセル)、新規オプションの開発(クロスセル)などにより既存の契約あたりの平均MRRの向上を目指します。また、インサイドセールス及びフィールドセールスの人員増強による当社の営業体制の拡充、既存代理店の販売力向上サポート及び新規代理店の開拓による代理店商流の強化、カスタマーサクセス活動の強化によるチャーン抑止などにより、契約数の拡大を図ります。
ARR(注1)の推移
| 2020年 8月期 第1四半期 | 2020年 8月期 第2四半期 | 2020年 8月期 第3四半期 | 2020年 8月期 第4四半期 | 2021年 8月期 第1四半期 | 2021年 8月期 第2四半期 | 2021年 8月期 第3四半期 | |
| ARR(千円) | 305,337 | 331,373 | 419,560 | 460,777 | 490,933 | 526,741 | 580,420 |
| うち直販 (千円) | 76,353 | 89,651 | 105,807 | 137,101 | 145,800 | 179,343 | 201,695 |
| うち代理店(千円) | 123,022 | 135,666 | 146,635 | 154,783 | 174,738 | 192,981 | 207,171 |
| うちOEM (千円) | 105,963 | 106,055 | 167,118 | 168,894 | 170,395 | 154,417 | 171,553 |
(注1)ARR: Annual Recurring Revenueの略語であり、毎年経常的に得られる当社製品の月額利用料の合計額。四半期末月のMRR(毎月経常的に得られる当社製品の月額利用料の合計額)を12倍することにより算出。
サブスクリプション売上高(注2)の推移
| 2019年8月期 | 2020年8月期 | 2021年8月期 第3四半期累計 | |
| サブスクリプション売上高 (千円) | 226,630 | 364,379 | 391,174 |
| 売上高全体に占める割合 | 31% | 38% | 44% |
(注2)経常的に得られる当社製品の利用料の12ヵ月間の合計額。
サブスクリプション型のリカーリングレベニューに関わる契約数(注3)及び契約あたりの平均MRR(注4、注5)の推移
| 2020年 8月期 第1四半期 | 2020年 8月期 第2四半期 | 2020年 8月期 第3四半期 | 2020年 8月期 第4四半期 | 2021年 8月期 第1四半期 | 2021年 8月期 第2四半期 | 2021年 8月期 第3四半期 | |
| 契約数 | 106 | 114 | 128 | 146 | 163 | 184 | 209 |
| 契約当たりのMRR (千円) | 157 | 165 | 164 | 167 | 164 | 169 | 163 |
(注3)OEMを除く。
(注4)MRR: Monthly Recurring Revenueの略語であり、毎月経常的に得られる当社製品の月額利用料の合計額。
(注5)OEMを除く。四半期末月のMRRを契約数で除することにより算出。
既存契約のMRRレンジ(注6)
| 契約あたりの 平均MRR | 既存契約中 最少額のMRR | 既存契約中 最大額のMRR | (参考) 顧客あたり 最大額(注7) |
| 100 | 13 | 496 | 657 |
(注6)2021年5月末時点。契約あたりの平均MRRを100とした場合。
(注7)複数の契約を締結している顧客がおります。
直近12ヵ月平均解約率(注8)の推移
| 2020年 8月期 第1四半期 | 2020年 8月期 第2四半期 | 2020年 8月期 第3四半期 | 2020年 8月期 第4四半期 | 2021年 8月期 第1四半期 | 2021年 8月期 第2四半期 | 2021年 8月期 第3四半期 | |
| 解約率 | 2.00% | 1.79% | 1.70% | 1.19% | 1.23% | 1.16% | 1.02% |
(注8)OEMを除く。「当月の解約による減少したMRR÷前月末のMRR」の12ヵ月平均。
② 行政サービス、業務プロセス、セールス&マーケティングなどの新領域への展開
当社は、上記の通りコンタクトセンター向けCRMソリューション市場を主たるマーケットとしておりますが、当社のSaaSサービスはカスタマーサポート領域のみではなく、行政サービス、企業内業務プロセス改善、セールス&マーケティングでの利用も進んでおります。従いまして、当社としてはコンタクトセンター向けCRMソリューション市場に加えて、より広義の市場であるサポートテックを含むコンタクトセンター向けBPOサービス市場にも属しており、事業の拡大ポテンシャルがあると考えております。
③ 新製品の開発
AI自動対応・有人リモート対応可能なアバターでの接客を可能とするソリューションを開発中であり、POC(Proof of Concept、概念実証)案件を受注しております。一枚の写真から、表情豊かで自然なアバターを生成、AIによる自動ボット対応から有人オペレータ連携まで自由に組み合わせ、WebRTC(ビデオ会議を実現する技術)を利用して、カメラ&音声でリアルタイムにユーザーの状況を把握し、スムーズなアバター接客を実現します。銀行などを中心として実店舗での顧客対応を減らす動きがありますが、アバターでの顧客対応を導入することにより、遠隔での顧客対応が可能となり、同時に顧客満足度を高める効果があり、新しいマーケットを開拓できると考えております。
また、前述のアバター以外の領域に関しても、市場調査を含めたコンセプトリサーチを積極的に行い、新たな製品ラインナップを拡充していく方針です。
(6) 事業上及び財務上の対処すべき課題
① 新技術への対応、開発体制の強化
当社は、最先端のAIテクノロジーに対応した新しいサービスを開発することが、事業展開上重要な要素であると認識しており、新しいテクノロジーに対応できる開発体制を構築することが経営の重要な課題であると認識しております。そのため、最新テクノロジーの把握、エンジニアスタッフの教育、R&D(研究開発)専門の組織の強化など、技術習得活動、開発活動を強化してまいります。
② 認知度及びブランド力の向上
当社のSaaSサービスについては、導入企業から一定の評価を受けておりますが、認知度の向上及びブランド力の強化は重要な経営課題であると認識しております。顧客ニーズへの対応、サービスの強化に努める一方、営業活動、広告宣伝活動を積極的に展開し、認知度向上に取り組んでまいります。
③ カスタマーサクセスの実現について
当社の主力サービスである「モビエージェント(MOBI AGENT)」は、コンタクトセンター等の運営をサポートするチャットサポートシステムですが、AIの強み、人の強みを活かすことでコンタクトセンターの応対効率の改善、オペレータのストレス軽減を行い、効率的な運営を実現することが可能です。
当社サービス導入後も継続的に利用していただくためには、当社サービスを利用することによって顧客自身に成功体験、付加価値を提供できることが重要であると考えております。そのため、組織内にカスタマーサクセス実現を目的とした担当者を設置し、全社的に実現体制の構築、取り組み方の共有を行うなどを行ってまいりましたが、引き続き体制強化に取り組んでまいります。
④ コーポレート・ガバナンス体制の強化
当社が継続的な成長を維持するためには、事業拡大だけではなく、コーポレート・ガバナンス体制の強化と内部管理体制、コンプライアンス体制を強化することが重要であると認識しております。そのため経営の公平性、透明性、健全性を確保すべく、社外取締役、監査役監査体制、内部監査、会計監査及び内部統制システムの整備等によりその強化を図ってまいります。
⑤ 人材の確保、育成について
当社の展開しているSaaSサービスは、自社開発を行っており、優秀な人材による開発体制が構築できておりますが、今後事業規模を更に拡大していくためには、優秀な人材の獲得と育成が必要であります。特に技術力のあるエンジニアについては、採用が困難であります。そのため、人事専任者を設置して採用を強化するとともに、評価制度、社内キャリアパス制度を構築することで人材の育成に努め、更なる経営体制の強化に努めてまいります。