有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/09/08 15:00
【資料】
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【項目】
160項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略
①社是・経営理念
当社グループは、「未晃道(みこうどう)」を社是とし、「事業を通じ、物心両面の幸福を追求すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献します」を経営理念に掲げており、未来の地球を照らし、輝き続ける事業を創造する"道"を常に追求するという思いが込められております。
②ビジョン
社是・経営理念のもと当社グループでは「環境社会をリードする」事業を展開することで社会に必要とされ続ける永続企業を目指しており、事業を通して地域に根差した企業として、環境に最大限配慮した事業活動を行っております。
③経営戦略
経営ビジョンを達成するため、当社グループでは社会的責任に関する国際規定(ISO26000)の7つの中核主題(注)1を基軸として推進しております。また、事業を通じ、社会的な課題を解決することで持続的な社会づくりに貢献し、企業価値を向上していくことを経営戦略としております。
このような経営戦略のもと当社グループでは公共サービス事業、環境事業、交通インフラ事業、その他事業の各セグメントにおいて環境をテーマとした横断的な事業展開を推進し、さらに事業領域の拡大、多角化を推進し、同業や関連事業分野で実績ある事業会社のM&A、資本業務提携等により、当社グループの事業の拡大と事業全体のグループシナジーを高める多角化に努めてまいります。
(注)1.ISO26000で提示される7つの中核主題とは、①組織統治、②人権、③労働慣行、④環境
⑤公正な事業慣行、⑥消費者課題、⑦コミュニティへの参画及びコミュニティの発展のことを指しま
す。
(2) 経営環境
公害、廃棄物、資源の枯渇等の環境問題は地域を越え、国境を越え地球規模になり、益々深刻化している状況であります。そのため、有限な資源の循環利用の促進や、廃棄物の発生の抑制及び環境の保全は、今や世界的な課題となっております。持続的な社会の発展のためには、このような社会的課題を解決し、地球環境を維持することが絶対的な必須事項であります。
当社グループでは、排水浄化処理及び再生可能エネルギーへの取組みを通じて自然環境の維持・保護を図っております。
また、公営競技場や高速道路といった公共インフラの耐久性向上への取り組みを通じて国、自治体及び公共事業体の負荷軽減のための民間委託を積極的に受けることで、生活者の快適性・利便性の維持を図っております。
(公共サービス事業)
公営競技場における、トータリゼータシステムの設計・製造・販売・機器設置や一般事業者も含めた空調衛生設備等のファシリティに関わる事業、並びにトータリゼータシステムのメンテナンスに関わる事業やAIによる競輪予想サービス・警備・清掃等の運営業務に関わる事業を通じて安心・安全・快適な環境社会の実現を推進しております。
今後も国、自治体及び公共事業体の公益事業等の財源となる公営競技が存続する限り、継続的に需要は存在します。特にネット販売の拡大、投票時間の拡大等により市場は拡大しており、また一方で、運営業務を民間に委託する動きもあり、需要拡大が見込まれます。
当社グループは、公共サービス事業を単に、トータリゼータシステムの設計・製造・販売・機器設置や公営競技施設の保守・運営・管理のみならず、包括受託や空調衛生設備等のファシリティ業務を含む、一気通貫のサービスを提供することで、収益の多様化を実現しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から公営競技場の入場制限や安全衛生の徹底等を図るなど、お客様・従業員・地域の安心・安全を第一に取り組んでおります。
(環境事業)
限りある地球資源を有効利用することが必須課題の現状下において、国が脱炭素社会の実現を目指すことで、再生可能エネルギー設備の建設需要の高まりが考えられます。また、排水浄化処理に関する事業では、法規制を背景にした環境対応の排水基準や廃棄物リサイクルニーズの高まりにより高度な廃棄物処理と再資源化技術が求められております。
当社が保有する特許技術により排水処理薬剤は、排水処理コストを削減し、高い排水処理能力を有し、工場全体のCO2排出量削減を可能にします。これにより当社の技術を通して限りある水資源の再利用、地球環境の維持に貢献してまいります。
(交通インフラ事業)
高度成長期に整備が進んだ高速道路は、経年劣化が顕在化しております。また、橋梁やトンネルも同様で、耐用年数を経過したインフラ設備の割合は益々増加しております。
これらのインフラ設備を再度建設するには、莫大なコストがかかる一方で、大量の建設廃棄物が発生し、環境上も望ましくありません。そのため、インフラ老朽化対策として、保守メンテナンスを行うことでインフラ設備の使用可能期間を延長させる「インフラ長寿命化基本計画」に国や地方自治体が取り組んでおります。具体的には、定期的な点検による劣化・損傷の程度や原因の把握、優先順位に基づく効率的かつ効果的な修繕、更新、ICT、センサー、ロボット、非破壊検査補修・補強等の新技術の開発導入などが挙げられます。
そのため、高度な安全技術をノウハウとして蓄積している当社グループとしては、機動的かつ柔軟な人材の確保、教育の充実による多能工化、大型橋梁点検車等を自社保有する対応力により、インフラ設備の長寿命化に貢献し、循環型社会であるエコシステムを目指しております。
(その他事業)
公共サービス事業・環境事業・交通インフラ事業における情報と、AI(人工知能)やICT等の最新技術を組み合わせることで、業務系基幹システムやアプリの開発(iOS、Android)、ベイジアンネットワークを活用した行動予測モデルの構築と運用サービスを提供しております。その他事業では、AIで競輪の着順を予想するAIソリューションサービス「AIcast」を開発しております。この他に、不動産賃貸・不動産仲介・販売を行っております。
このような背景から、未来の地球を照らし、輝き続ける事業の創造に引き続き邁進してまいります。

(3) 対処すべき課題
① 環境関連事業の強化
環境関連事業は、持続的な開発目標(SDGs)を通じ、「環境社会をリードする」というビジョン実現を図るうえで重要な事業であると認識しております。そのため、環境関連事業に関して積極的に研究開発を行い、特に排水浄化処理の事業化を進めてまいります。
② コンプライアンスの徹底及びリスクマネジメントの強化
社会的責任を果たし、持続的な成長と企業価値の向上を図るためには、コンプライアンスの徹底及びリスクマネジメントの実践が不可欠であると認識しております。そのため、社内における継続的な教育研修、啓蒙活動を実施し、一人ひとりが社会的良識を持って、持続的成長に向けて自主的に行動することのできる企業風土を形成してまいります。
③ 機動的かつ柔軟な人材の確保
業容拡大の中で、特に交通インフラ事業においては、人材確保が不可欠であると認識しております。そのため、積極的な採用活動のほか、適材適所に人材を配置し、教育研修を行っております。また、外部の協力業者との連携を含め、機動的かつ柔軟な人材確保が可能になるように取り組んでまいります。
④ 人材の教育
企業の礎と言われる人材教育こそが、企業の成長の要との認識のもと、働き甲斐のある職場づくり、環境整備、そして従業員の意識向上を図ることで人材教育を行ってまいります。また、当社グループの拡大のためにも、専門性の高い技術者の育成にも取り組んでまいります。
⑤ 経営管理体制の確立
当社グループの業容拡大については、現状分析と、将来に向けての事業方針・目標数字を明確にした中期経営計画を作成して積極果敢に取り組んでおります。今後も継続的な経営管理体制の確立が必要であるという認識のもと取り組んでまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業活動の成果を示す売上高、営業利益、営業利益率を重要な経営指標と位置付け、企業経営に取り組んでおります。また、財務的視点から自己資本比率についても重要な指標ととらえております。