有価証券報告書-第16期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 14:26
【資料】
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【項目】
141項目
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針と経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、生成AIから「AIエージェント」へと進化する急速なデジタル化により、構造的な変化の只中にあります。AIエージェントが定型的な業務を自律的に担う時代を迎え、人に求められる能力は根本から変化しており、知識や作業の習熟以上に、AIが代替しにくい「非認知能力」(やり抜く力、協働、創造性、主体性等)と、AIを使いこなす力が、個人と組織の競争力を左右するようになっています。一方で、AIや先端技術の活用を担う高度人材は国内で大幅に不足しており、政府試算ではIT・エンジニアリング分野において2030年に最大約79万人の人材が不足するとされ、企業がこの変化に対応するための人材を国内のみで確保することは一層困難になっています。こうした中、企業が求める人材と実際に提供される人的資本とのミスマッチは国内外で一層顕在化していますが、多くの企業・教育機関・自治体がこれを定量的に捉える仕組みを有していないことが、その解決を困難にしています。
このような経営環境のもと、当社グループは、「分断なき持続可能な社会を実現するための手段を提供する」ことをパーパスに、「人を幸せにする評価と教育で、幸せを作る人、をつくる」ことをビジョンに掲げ、企業と個人の双方を支える「AIエージェント全盛時代の人的資本パートナー」となることを基本方針としております。すなわち、約10年にわたり蓄積してきた独自の評価システム「GROW」と、2026年3月末時点で累計2億件を超える評価データ及び約130万人を超える登録ユーザーを基盤に、人の能力を公正に可視化する評価を起点として、AIエージェント時代に企業が真に必要とする能力を見極め、それを育成するとともに、国内で不足する先端人材については日本とインドを結ぶ連携を通じてグローバルに獲得・組織化することまでを一貫して支援し、人的資本の価値を最大化してまいります。
AIエージェントが業務を担う時代において、当社グループは、人の能力を「測り・育て・予測し・調達し・証明する」まで一気通貫で支援する人的資本のプラットフォームの構築を進めてまいります。具体的には、HR事業において、AIエージェントを前提として「人に求められるスキル・能力要件」を再設計し、評価(GROW360+・スキルマップ)と分析・コンサルティングを通じて、企業の経営戦略と連動した人的資本経営を支援いたします。教育事業においては、AIが代替しにくい非認知能力を、児童・生徒から社会人まで継続的に評価・育成し、次世代に求められる力を育みます。さらにグローバルプラットフォーム事業(旧 プラットフォーム/Web3事業)では、組織の集合知を活用した予測市場により将来必要となる能力・人材を予測するとともに、日本とインドを結ぶ連携を通じて国内で不足する先端人材のグローバルな獲得・組織化を支援し、加えてブロックチェーンを用いて、個人が自らの能力を生涯にわたり主体的に証明・活用できる基盤を整備いたします。これら3つの事業を一体的に展開し、事業間の連携によるネットワーク効果を競争優位の源泉としてまいります。
当社グループは、2026年3月期に構造改革を完了し、以降は「利益ある成長」のフェーズへと移行いたします。日本を起点に海外への展開を進め、当社グループが構築する人的資本システムを世界標準とすることを目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2026年3月期までに構造改革を完了し、以降は「利益ある成長」のフェーズへ移行します。中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)では、①HR事業の上流シフト(測定サービスから人的資本IRパートナーへ)、②教育事業のチャネル転換(個別校営業から自治体・パートナー連携による教育エコシステムへ)、③グローバルプラットフォーム事業のGCC設立支援と集合知プラットフォームの展開、という3つの構造転換を成長戦略の柱とし、2029年3月期に売上収益2,200百万円・営業利益率約16%を目指します。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループの中長期的な成長戦略の基本は、約10年にわたり蓄積してきた評価データという模倣困難な資産を起点として、AIエージェント全盛時代における人的資本の価値連鎖、すなわち人の能力を「測る・育てる・予測する・調達する・証明する」という一連のプロセスを一貫して押さえ、人的資本領域の標準を構築することにあります。これにより、①顧客あたりの提供価値の最大化(上流化)、②事業領域の拡張(現在から未来へ、子どもから社会人へ、国内から世界へ)、③模倣困難な参入障壁の構築、を同時に追求してまいります。当社グループは、2026年3月期に構造改革を完了して「利益ある成長」のフェーズへ移行し、中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)においては、次の3つの構造転換を通じて不連続な成長を目指します。
第一は、提供価値の「上流シフト」であります。HR事業において、人材の測定という単発のサービスにとどまらず、AIエージェントを前提として企業が人に求める能力を再設計し、経営戦略と連動した人的資本経営を支援するパートナーへと提供価値を引き上げます。これにより顧客あたりの価値と顧客との関係深度を高め、収益性を向上させてまいります。
第二は、「非認知能力の標準化とエコシステム化」であります。教育事業において、AIが代替しにくい非認知能力の評価・育成を次世代教育の標準へと押し上げるとともに、個別の学校への労働集約的な営業から、自治体・パートナーとの連携によるスケールモデルへと転換します。これにより、高い収益性を維持しながら、営業人員に依存しない全国規模の成長を実現してまいります。
第三は、「価値連鎖の前方拡張と世界展開」であります。グローバルプラットフォーム事業において、当社の事業領域を「現在の人的資本を測る」ことから前方へと拡張いたします。具体的には、組織・サプライチェーン・エコシステムに分散する集合知を経営資源として活用し、需要・事業の成否・リスク、さらには将来必要となる人材・能力といった未来の事象を予測して、企業の経営判断の高度化に資する予測市場を展開いたします。あわせて、国内で不足する先端人材については、日本とインドを結ぶ連携を通じてグローバルに調達・組織化するとともに、ブロックチェーンを用いて、個人が自らの能力を生涯にわたり主体的に証明できる基盤を整備いたします。これらにより、ストック性の高い新たな収益基盤を構築するとともに、当社の人的資本システムの世界標準化を進めてまいります。
これら3つの構造転換は、相互に独立したものではなく、評価データという共通基盤の上で連携し合う点に本質的な強みがあります。評価データの蓄積がAIの精度を高め、提供価値と利用者の拡大が更なるデータの蓄積につながる「正の循環(データ・フライホイール)」と、3事業の連携によるネットワーク効果により、時間とコストでは追随し難い参入障壁を一層強固にしてまいります。さらに、ブロックチェーンを活用して個人が自らの能力データを主体的かつ安全に管理・流通できる仕組みや、トークンを媒介とした適切なインセンティブ設計を通じて、幼少期から社会人までをシームレスに繋ぐ持続可能な人的資本のエコシステムの構築を目指してまいります。
これらの戦略を推進するために、当社グループは、強力な参入障壁となるビッグデータ資産(約2億レコード)、独自開発のアルゴリズム・知的財産(特許取得済み7件・出願済み6件)、ネットワーク効果等を活用し競争優位性を高めています。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは、社会基盤たるプラットフォーマーへの変容を実現するために取り組むべき課題を下記のとおり認識しております。これら経営課題を克服するためにも、社会的信用度・知名度の向上、内部管理体制の整備・充実による経営管理体制の充実・強化等が重要と考えております。
① 収益化に向けた事業構造の確立
当社グループは、2027年3月期において連結営業損益の黒字転換を計画しており、当該目標の達成を最重要課題と認識しております。当連結会計年度より実行してきた全社的なコスト構造の最適化を通期で寄与させるとともに、AI活用による業務効率化を全社的に推進し、生産性の向上を図ってまいります。あわせて、収益性の高い領域への経営資源の集中配分を進めることで、持続的な黒字基盤の確立を目指してまいります。
② 優秀な人材の確保・育成
当社グループは、事業領域の拡大に伴い高度化する人材ニーズに応えるため、採用・育成・活用を一体で推進する統合タレント戦略を採っています。
外部採用については、専門性が不可欠なポジションに的を絞ることで採用単価の上昇を抑えつつ、既存社員のポテンシャル最大化を成長エンジンと位置付けております。European Skills, Competences, Qualifications and Occupations(ESCO)を基盤としたスキルマップに自社独自のジョブレベルを重ね、全社員のスキルと期待水準のギャップを継続的に可視化してまいりました。
特に、当連結会計年度においては、これまで2年間にわたり蓄積してきたスキルポートフォリオデータの分析を通じて、業績への影響度が高いコアスキルが明確化されつつあります。生成AIをはじめとする技術革新により求められるスキルが急速に変化する中、当社は業務及びスキル領域を、生成AIによる代替・補完が可能な領域と、人による継続的な能力向上が競争力の源泉となる領域に切り分け、後者へリスキリング投資を集中配分する一方、前者については生成AIの活用による生産性向上を推進してまいります。 これにより、人的資本と先端技術を最適に組み合わせ、自律的な学習と成長を促進する組織づくりとともに、組織全体の生産性向上を加速してまいります。
さらに、柔軟な働き方を支えるリモートワーク制度や福利厚生を活用し、エンゲージメントと生産性を高めながら、中長期的には採用依存度の低減と総人件費の最適化を実現し、企業価値の持続的向上につなげてまいります。
なお、こうした自社における人的資本データ活用の実践知見は、当社サービスの高度化及び顧客支援にも還元しております。
③ サービス開発とテクノロジー基盤の強化
当社グループは、評価・教育を軸に個々人の成長を支援する事業を展開しており、生成AI、ブロックチェーン/Web3、セキュアデータ基盤等の技術革新を、サービス進化の好機と捉えております。
具体的には、評価システム「Ai GROW」の大幅な機能アップデートをはじめとする既存サービスの継続的な機能拡充に加え、当連結会計年度にローンチした予測市場プラットフォーム「Signals」の本格展開、及びゼロ知識証明・秘密計算等の先端技術を活用したブロックチェーンコンサルティングの提供など、最新技術を取り込んだ新サービスを適時・迅速に開発し、市場へ提供してまいります。
これらを支える技術体制として、(イ)高度専門人材の確保・育成、(ロ)先端技術への継続的な投資及び外部連携 を二本柱に、開発管理体制及び品質管理体制の強化を進め、安定的かつ高品質なサービスを継続的に提供できる体制を整備してまいります。
④ 組織体制の強化
当社グループは、2027年3月期における収益化への転換、戦略的パートナーとの提携拡大及び海外展開の本格化を見据え、これらを支える組織・ガバナンス体制の一層の高度化を重要課題と認識しております。
具体的には、業務執行体制の効率化と意思決定の迅速化を図るとともに、外部パートナーとの連携拡大に対応した内部管理体制の整備、海外事業展開に対応したコンプライアンス及びリスク管理体制の構築、並びに生成AI・Web3等の先端技術活用に伴う情報セキュリティ管理の強化を進めてまいります。あわせて、コーポレート・ガバナンスの実効性向上を継続的に図り、持続的な成長と企業価値向上を支える経営基盤を確立してまいります。
⑤ 財務基盤の強化
当社グループは、持続的な成長及び安定的な事業運営を実現するため、収益構造の改善及びキャッシュ・フロー創出力の向上を重要課題と認識しております。
また、当連結会計年度においては、金融機関からの借入や戦略的パートナーとの提携を通じた資金調達を実施し、財務基盤の強化を進めてまいりました。
今後も継続的なコスト最適化に取り組むとともに、多様な資金調達手段及び外部パートナーとの連携を活用し、事業成長と財務健全性の両立を図ってまいります。
⑥ グローバル事業の確立
当社グループは、グローバル市場における事業機会の拡大を重要な成長戦略の一つとして位置付けております。これまで国際機関やグローバル企業との連携のもと、グローバルサウスを中心とした実証的取り組みを進めてまいりました。当連結会計年度においては、巨大な人材輩出市場であるインドにおける事業展開の立ち上げを進めるとともに、国際機関との連携を通じた新規案件の創出に注力し、将来的なグローバル人材データプラットフォームの構築を視野に事業基盤を拡大してまいります。
なお、事業展開にあたっては、各地域の市場ニーズ、法規制及び商習慣を踏まえた最適な事業モデルの構築、製品・サービスのローカライズ、及び現地パートナーとの協業体制の強化を進めてまいります。

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