有価証券報告書-第19期(2025/04/01-2026/06/30)
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針及び経営環境
当社は、「Make Wave, Make World 世界が知らない世界をつくれ」をミッションとして掲げ、独自技術を産業の現場で稼働する設備及び事業へと変えること、すなわち社会実装そのものを事業と位置付けております。
製造業を取り巻く事業環境は大きく変化しております。気候変動問題への対応に加え、資源の有効利用・循環利用、生産性の向上等、製造プロセスそのものの変革に対するニーズが高まっております。また、経済安全保障の重要性が高まる中、重要鉱物をはじめとする資源の安定確保及び循環利用の必要性も増しております。こうした環境の下、当社は、顧客基盤及び収益源の多様化を図りつつ、事業を推進してまいります。
こうした中でも、当社がこれまで対象としてきた化学産業等には、大規模な設備と多量のエネルギーを必要とする製造プロセスが存在します。他方、新たな技術を実際の産業プロセスとして導入するためには、基礎的な技術開発にとどまらず、実証開発、スケールアップ、設備設計・製作、顧客の生産設備への導入等、社会実装までの一連のプロセスが必要となり、優れた技術が生まれても産業の変革に至らない要因となっております。
当社は、2007年の創業以来、マイクロ波プロセスの産業化を通じてこの課題と向き合い、顧客の課題把握から技術開発、ラボ開発、実証開発及びエンジニアリングまでを一貫して行うことで、独自技術を産業プロセスとして社会実装するための知見及び体制を構築してまいりました。マイクロ波は、従来の加熱方法のように外部から間接的にエネルギーを伝達するのではなく、物質に直接エネルギーを伝達することが可能であり、適切なプロセス設計と組み合わせることで、「省エネルギー」・「高効率」・「コンパクト」等の特長を有する製造プロセスを実現する可能性があります。当社はこれまで、炭素素材、ケミカルリサイクル、金属製錬・鉱山プロセス、電子材料、医薬品等の幅広い領域において、マイクロ波を利用した製造プロセスの開発を進めてまいりました。
当社は、マイクロ波技術を引き続き当社の中核技術と位置付けながら、当社の競争力の源泉は特定の技術そのものではなく、独自技術を社会実装する一貫した機能にあると考えております。当事業年度においては、当該機能をマイクロ波以外の技術領域へ展開する最初の事業として、DualPoreソリューション事業を開始いたしました。今後も、産業が抱える課題に対して独自技術によるソリューションを提供し、その社会実装を通じて持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
(2) 経営戦略等
当社は、化学産業への依存度が高いこと及び大型プロジェクトが受注に占める割合が相対的に高いことが、短期的な業績変動の幅を大きくする要因であると認識しております。この認識のもと、顧客基盤と収益源の多様化を経営上の重要課題と位置づけ、①適用領域を拡大し、②技術プラットフォームを継続的に獲得してまいります。

① 適用領域の拡大
当社は、マイクロ波ソリューション及びDualPoreソリューションについて、既に事業化している領域を基盤として、両技術の特性を活かすことのできる新たな産業・用途への展開を進めてまいります。
マイクロ波ソリューション事業では、これまで化学・材料分野を中心に培ってきた技術・ノウハウを活用し、金属製錬・鉱山プロセス等の資源・金属分野への展開を進めるとともに、半導体分野をはじめとする新たな用途についても探索・検証を行います。また、DualPoreソリューション事業では、半導体製造工程等における低濃度貴金属回収の実績を基盤として、化学・材料分野や資源・金属分野を含む新たな回収対象領域への展開を進めるとともに、回収対象元素の拡大に取り組みます。
このように、既存の技術プラットフォームを複数の産業・用途へ横展開することで、顧客基盤及び収益機会の拡大を図ってまいります。あわせて、装置・設備の標準化及び共通化を進めることにより、案件ごとの開発工数及び調達コストを低減し、中長期的な収益性の改善並びに開発期間の短縮を図ります。
② 技術プラットフォームの継続的な獲得
当社は、マイクロ波技術及びDualPoreSystem技術に続く新たな技術プラットフォームを継続的に獲得・育成し、提供するソリューションの拡大を図ってまいります。
当社はこれまで、顧客課題の把握から事業開発、研究開発、実証、エンジニアリング、事業化・社会実装までを一貫して推進する機能を培ってまいりました。こうした機能を活用し、顧客が抱える産業プロセス上の課題を起点として、新たな技術及び事業機会の探索・検証を進めます。当事業年度に譲り受けたDualPoreソリューション事業は、当該取組の最初の成果であります。
技術プラットフォームの獲得にあたっては、自社による技術開発に加え、外部企業・研究機関との技術提携、事業譲受、M&A等も活用します。その実行に当たっては、後述の財務上の課題を踏まえ、収益基盤の確立及び財務基盤の強化を優先しつつ、財務負担が限定的な手法を中心に検討してまいります。
これにより、マイクロ波、DualPoreSystemに続く新たな独自技術を継続的に事業ポートフォリオへ加え、対応可能な顧客課題及び提供ソリューションを拡大することで、中長期的な成長を目指してまいります。
事業別の取組は以下の通りです。
③ マイクロ波ソリューション事業
当社は、これまでマイクロ波プロセスの研究開発及び実証開発を多数の顧客と共同で進め、幅広い産業領域へ適用範囲を拡大してまいりました。今後は、新規案件の獲得に加えて、既存の開発案件を研究開発段階から実証開発、実機導入及び事業化へと着実に進展させ、マイクロ波技術の社会実装を加速することを重要な戦略と位置付けております。
特に、経済安全保障の重要性が高まる中、重要鉱物に関連する金属製錬・鉱山プロセスを重点領域の一つと位置付け、標準化した実証設備等を活用することで開発効率を向上させ、複数案件への横展開を図ってまいります。
また、実証設備及び実機の大型化に伴い、機器・部材の調達コスト及びリードタイムが事業採算性に及ぼす影響が大きくなることから、装置・設備の標準化、共通化、主要機器に係る技術開発等を進め、開発期間の短縮及び収益性の向上を図ります。その一環として、当事業年度には、横浜ラボを開設し、マイクロ波発振器の内製化を目指すプロジェクトの本格稼働させております。
④ DualPoreソリューション事業
当社は、2025年9月に株式会社ディーピーエスより譲り受けたDualPoreソリューション事業を「DualPoreソリュー
ション事業」として展開しております。同事業については、譲受した技術、顧客基盤及び導入実績を基盤としなが
ら、当社が保有する事業開発、技術開発及びエンジニアリングの機能並びに顧客ネットワークを活用することで、顧
客への導入数、用途及び回収対象元素等の拡大を図ってまいります。
同事業は、顧客の生産工程に設置したカートリッジの交換・再生を継続的に受託するストック型(リカーリング
型)のビジネスモデルであり、顧客への導入数の積み上げが将来の収益基盤の拡大につながる構造となっておりま
す。プロジェクトの進捗及び検収時期により収益が変動するマイクロ波ソリューション事業と組み合わせることで、収益源の多様化及び収益基盤の安定化を図ってまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社のマイクロ波ソリューション事業においては、新規案件を獲得し共同開発からスタートをした案件が、実証開発へ、そして最終的には、実機導入にまでステージアップすることが重要となります。これをモニタリングするために重視をしている経営指標は、1)新規契約獲得数、2)契約総数、及び3)フェーズ別売上高であります。
DualPoreソリューション事業においては、顧客の既存排液ラインへDPSカートリッジを導入し、貴金属回収を通じた継続的な取引関係を構築することが重要となります。このため、事業の進捗を把握するため、DPSカートリッジ導入ライン数、貴金属回収量及び売上高等を継続的にモニタリングしております。なお、同事業は本格的な商用展開を開始して間もない段階にあることから、現時点ではこれらの指標について定量的な目標値を設定しておりません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が優先的に対処すべき課題は下記のように考えております。
1.事業上の課題
1) 全社共通の課題
① 顧客基盤及び収益源の多様化
当社のマイクロ波ソリューション事業は、化学産業への依存度が高く、また、売上規模の大きい大型プロジェクトの進捗及び検収時期によって、各事業年度の売上高及び損益が変動する傾向があります。2026年6月期においては、複数の大型プロジェクトにおいて顧客側の開発計画や投資時期の見直しによる受注遅延が生じており、当社は化学産業への依存度及び大型案件への売上集中を短期的な業績変動を大きくする要因と認識しております。
このため、受注遅延が生じている案件について顧客との協議を継続し、その進捗を図るとともに、マイクロ波ソリューション事業において金属製錬・鉱山プロセス等への展開を進め、加えて、DualPoreソリューション事業その他の新たな事業を育成することで、顧客基盤及び収益源の多様化を推進してまいります。
② 経営管理体制
当社が継続的な開発パイプラインの拡充及び新規事業創出を進める上で、パイプラインの進捗管理、予実管理等を行うための経営管理体制の強化は重要な課題と認識しております。当社は、組織が健全かつ有効、効率的に運営されるように、パイプラインの進捗モニタリングを行うための内部統制の整備、強化、見直しを行っていく方針です。
③ 人材確保
当社が展開する事業は、複数の技術分野や専門領域を組み合わせ、顧客の課題に応じたソリューションを開発・提供することを特徴としております。このため、事業の拡大にあたっては、研究開発、プロセス開発、エンジニアリング、生産技術等の幅広い専門性を有する人材をバランス良く確保し、事業環境や顧客ニーズの変化に応じた開発・事業推進体制を継続的に強化していく必要があります。
また、当社が持続的な成長を実現するためには、新たな事業機会及び案件の創出を継続するとともに、それらを着実に事業化につなげていくことが重要となります。そのため、専門的な知見に加え、顧客や社内外の関係者と連携しながら、研究開発から事業化までを一貫して推進・マネジメントできる人材の確保及び育成を重要な課題と位置付けております。特に、各事業及びプロジェクトを主体的に牽引できるプロジェクトリーダー級の即戦力人材の確保に努めてまいります。
2) マイクロ波ソリューション事業
① 技術開発体制
当社がマイクロ波ソリューション事業を拡大していくためには、技術プラットフォームの継続的な強化及び効率的な開発体制の構築が重要な課題であると認識しております。当社がテクノロジー企業として構築したマイクロ波プロセスに関する技術プラットフォームは当社の競争優位の源泉となっており、今後も継続的に充実を図ることが重要であると考えております。
このため、要素技術の開発、データベースの充実、ノウハウの整備、及びアカデミアとも協力をした技術の体系化をはかり効率的な開発体制を構築します。
当社の強みは、マイクロ波化学において、研究開発から実証開発・エンジニアリング迄をワンストップで提供できることですが、これを可能とする要素技術群で構成されるインフラの開発投資を進めます。顧客の開発に共通的に使用できる設備を持ち、かつ、ラボ装置は市販されているものでは不十分な為、当社で開発し整備することで、安価かつ高品質なソリューションを提供することが出来る体制を構築します。
さらに、当社の競争優位をより強固とするためには、研究開発を継続するとともに、それを可能とする体制の構築・強化が課題であると認識しており、継続的な人材採用及び育成に取り組んでまいります。
② 事業開発体制
当社がマイクロ波ソリューション事業を拡大していくためには、技術プラットフォームを幅広く顧客や業界が抱える課題のソリューションに適用し、研究開発から事業化・社会実装までを推進する事業開発体制の構築・強化が重要な課題であると認識しております。
当社は、技術プラットフォームを幅広く顧客や業界が抱える課題のソリューションに適用します。また、最終的に社会実装するために、資源・化学メーカーをはじめとした様々なプレイヤーとアライアンスを組むことにより事業を拡大します。このため、世界中の資源・化学メーカー等とのネットワークを構築し、常に顧客や業界ニーズ・トレンド情報を収集し咀嚼しております。このような取り組みを推進するためには、当社の技術を理解・発信し顧客や業界ニーズとマッチングさせることができるプロデューサー的な機能を持った事業開発体制を構築し強化を図るために、継続的な人材採用と組織づくりが必要となります。
また、顧客にとって、これまでに導入した実績がない技術であるマイクロ波化学プロセスを導入することは、経営的な判断となります。当社がスムーズな技術導入を実現するためには、開発の初期段階より顧客側経営層からの理解が必要となり、その為に経営レベルでの関係構築及び経営目線での価値提言に努めてまいります。
3) DualPoreソリューション事業
① 技術開発体制
当社がDualPoreソリューション事業を拡大していくためには、対象とする貴金属の拡大(パラジウムからプラチナ、ロジウム、イリジウム等)及びPCB/FPCめっき工程の難処理排液、化学合成排液、製錬工程液等への適用範囲拡大に向けた技術開発が重要な課題であると認識しており、これに取り組んで参ります。あわせて、事業拡大に伴うカートリッジ需要の増加への対応も必要な取り組みと認識しております。外部協力会社との連携強化により製造工程の高度化及び生産効率の向上を進め、安定的かつ高品質な供給体制を構築してまいります。
② 事業開発体制
当社がDualPoreソリューション事業を拡大していくためには、国内外の顧客・業界ニーズを踏まえた事業開発体制の構築・強化が重要な課題であると認識しております。
国内市場においては、顧客にとって最適な回収箇所、回収方法の提案が重要と認識しており、当社の提案力の向上を図ってまいります。また、顧客にとって新規技術となるDPS技術の導入は経営的な判断となる場合も想定されるため、初期段階から顧客側経営層との関係構築及び価値提言に努めてまいります。
東南アジアを中心とした海外展開にあたっては、対象国ごとの規制動向を踏まえた運用の構築が必要となります。当社は、これらの重要論点を、継続的な取り組みを通じて自社ノウハウとし、強固な組織づくりを進めます。
2.財務上の課題
1) 財務基盤の強化及び流動性の確保
2026年6月期において、複数の大型プロジェクトについて、顧客による開発計画及び投資時期の見直しに伴う受注遅延が生じたこと等により、売上高が当初予想を下回り、営業損失、経常損失及び当期純損失を計上いたしました。また、純資産が減少し、自己資本比率が低下しております。
このため、当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しており、財務基盤の強化及び事業推進に必要な流動性の確保を重要な課題と認識しております。
当社は、当該事象又は状況を解消又は改善するため、上述の顧客基盤及び収益源の多様化を通じた収益力の向上に取り組んでまいります。また、資金面では、当事業年度に総額5億円の長期借入を実行するとともに、総額5億円のコミットメントライン契約を更新し、事業推進に必要な流動性を確保しております。
今後も、事業計画及び資金計画の進捗を適切に管理するとともに、これらの対応策を着実に実行することにより、財務基盤の強化及び事業推進に必要な流動性の確保に取り組んでまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針及び経営環境
当社は、「Make Wave, Make World 世界が知らない世界をつくれ」をミッションとして掲げ、独自技術を産業の現場で稼働する設備及び事業へと変えること、すなわち社会実装そのものを事業と位置付けております。
製造業を取り巻く事業環境は大きく変化しております。気候変動問題への対応に加え、資源の有効利用・循環利用、生産性の向上等、製造プロセスそのものの変革に対するニーズが高まっております。また、経済安全保障の重要性が高まる中、重要鉱物をはじめとする資源の安定確保及び循環利用の必要性も増しております。こうした環境の下、当社は、顧客基盤及び収益源の多様化を図りつつ、事業を推進してまいります。
こうした中でも、当社がこれまで対象としてきた化学産業等には、大規模な設備と多量のエネルギーを必要とする製造プロセスが存在します。他方、新たな技術を実際の産業プロセスとして導入するためには、基礎的な技術開発にとどまらず、実証開発、スケールアップ、設備設計・製作、顧客の生産設備への導入等、社会実装までの一連のプロセスが必要となり、優れた技術が生まれても産業の変革に至らない要因となっております。
当社は、2007年の創業以来、マイクロ波プロセスの産業化を通じてこの課題と向き合い、顧客の課題把握から技術開発、ラボ開発、実証開発及びエンジニアリングまでを一貫して行うことで、独自技術を産業プロセスとして社会実装するための知見及び体制を構築してまいりました。マイクロ波は、従来の加熱方法のように外部から間接的にエネルギーを伝達するのではなく、物質に直接エネルギーを伝達することが可能であり、適切なプロセス設計と組み合わせることで、「省エネルギー」・「高効率」・「コンパクト」等の特長を有する製造プロセスを実現する可能性があります。当社はこれまで、炭素素材、ケミカルリサイクル、金属製錬・鉱山プロセス、電子材料、医薬品等の幅広い領域において、マイクロ波を利用した製造プロセスの開発を進めてまいりました。
当社は、マイクロ波技術を引き続き当社の中核技術と位置付けながら、当社の競争力の源泉は特定の技術そのものではなく、独自技術を社会実装する一貫した機能にあると考えております。当事業年度においては、当該機能をマイクロ波以外の技術領域へ展開する最初の事業として、DualPoreソリューション事業を開始いたしました。今後も、産業が抱える課題に対して独自技術によるソリューションを提供し、その社会実装を通じて持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
(2) 経営戦略等
当社は、化学産業への依存度が高いこと及び大型プロジェクトが受注に占める割合が相対的に高いことが、短期的な業績変動の幅を大きくする要因であると認識しております。この認識のもと、顧客基盤と収益源の多様化を経営上の重要課題と位置づけ、①適用領域を拡大し、②技術プラットフォームを継続的に獲得してまいります。

① 適用領域の拡大
当社は、マイクロ波ソリューション及びDualPoreソリューションについて、既に事業化している領域を基盤として、両技術の特性を活かすことのできる新たな産業・用途への展開を進めてまいります。
マイクロ波ソリューション事業では、これまで化学・材料分野を中心に培ってきた技術・ノウハウを活用し、金属製錬・鉱山プロセス等の資源・金属分野への展開を進めるとともに、半導体分野をはじめとする新たな用途についても探索・検証を行います。また、DualPoreソリューション事業では、半導体製造工程等における低濃度貴金属回収の実績を基盤として、化学・材料分野や資源・金属分野を含む新たな回収対象領域への展開を進めるとともに、回収対象元素の拡大に取り組みます。
このように、既存の技術プラットフォームを複数の産業・用途へ横展開することで、顧客基盤及び収益機会の拡大を図ってまいります。あわせて、装置・設備の標準化及び共通化を進めることにより、案件ごとの開発工数及び調達コストを低減し、中長期的な収益性の改善並びに開発期間の短縮を図ります。
② 技術プラットフォームの継続的な獲得
当社は、マイクロ波技術及びDualPoreSystem技術に続く新たな技術プラットフォームを継続的に獲得・育成し、提供するソリューションの拡大を図ってまいります。
当社はこれまで、顧客課題の把握から事業開発、研究開発、実証、エンジニアリング、事業化・社会実装までを一貫して推進する機能を培ってまいりました。こうした機能を活用し、顧客が抱える産業プロセス上の課題を起点として、新たな技術及び事業機会の探索・検証を進めます。当事業年度に譲り受けたDualPoreソリューション事業は、当該取組の最初の成果であります。
技術プラットフォームの獲得にあたっては、自社による技術開発に加え、外部企業・研究機関との技術提携、事業譲受、M&A等も活用します。その実行に当たっては、後述の財務上の課題を踏まえ、収益基盤の確立及び財務基盤の強化を優先しつつ、財務負担が限定的な手法を中心に検討してまいります。
これにより、マイクロ波、DualPoreSystemに続く新たな独自技術を継続的に事業ポートフォリオへ加え、対応可能な顧客課題及び提供ソリューションを拡大することで、中長期的な成長を目指してまいります。
事業別の取組は以下の通りです。
③ マイクロ波ソリューション事業
当社は、これまでマイクロ波プロセスの研究開発及び実証開発を多数の顧客と共同で進め、幅広い産業領域へ適用範囲を拡大してまいりました。今後は、新規案件の獲得に加えて、既存の開発案件を研究開発段階から実証開発、実機導入及び事業化へと着実に進展させ、マイクロ波技術の社会実装を加速することを重要な戦略と位置付けております。
特に、経済安全保障の重要性が高まる中、重要鉱物に関連する金属製錬・鉱山プロセスを重点領域の一つと位置付け、標準化した実証設備等を活用することで開発効率を向上させ、複数案件への横展開を図ってまいります。
また、実証設備及び実機の大型化に伴い、機器・部材の調達コスト及びリードタイムが事業採算性に及ぼす影響が大きくなることから、装置・設備の標準化、共通化、主要機器に係る技術開発等を進め、開発期間の短縮及び収益性の向上を図ります。その一環として、当事業年度には、横浜ラボを開設し、マイクロ波発振器の内製化を目指すプロジェクトの本格稼働させております。
④ DualPoreソリューション事業
当社は、2025年9月に株式会社ディーピーエスより譲り受けたDualPoreソリューション事業を「DualPoreソリュー
ション事業」として展開しております。同事業については、譲受した技術、顧客基盤及び導入実績を基盤としなが
ら、当社が保有する事業開発、技術開発及びエンジニアリングの機能並びに顧客ネットワークを活用することで、顧
客への導入数、用途及び回収対象元素等の拡大を図ってまいります。
同事業は、顧客の生産工程に設置したカートリッジの交換・再生を継続的に受託するストック型(リカーリング
型)のビジネスモデルであり、顧客への導入数の積み上げが将来の収益基盤の拡大につながる構造となっておりま
す。プロジェクトの進捗及び検収時期により収益が変動するマイクロ波ソリューション事業と組み合わせることで、収益源の多様化及び収益基盤の安定化を図ってまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社のマイクロ波ソリューション事業においては、新規案件を獲得し共同開発からスタートをした案件が、実証開発へ、そして最終的には、実機導入にまでステージアップすることが重要となります。これをモニタリングするために重視をしている経営指標は、1)新規契約獲得数、2)契約総数、及び3)フェーズ別売上高であります。
DualPoreソリューション事業においては、顧客の既存排液ラインへDPSカートリッジを導入し、貴金属回収を通じた継続的な取引関係を構築することが重要となります。このため、事業の進捗を把握するため、DPSカートリッジ導入ライン数、貴金属回収量及び売上高等を継続的にモニタリングしております。なお、同事業は本格的な商用展開を開始して間もない段階にあることから、現時点ではこれらの指標について定量的な目標値を設定しておりません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が優先的に対処すべき課題は下記のように考えております。
1.事業上の課題
1) 全社共通の課題
① 顧客基盤及び収益源の多様化
当社のマイクロ波ソリューション事業は、化学産業への依存度が高く、また、売上規模の大きい大型プロジェクトの進捗及び検収時期によって、各事業年度の売上高及び損益が変動する傾向があります。2026年6月期においては、複数の大型プロジェクトにおいて顧客側の開発計画や投資時期の見直しによる受注遅延が生じており、当社は化学産業への依存度及び大型案件への売上集中を短期的な業績変動を大きくする要因と認識しております。
このため、受注遅延が生じている案件について顧客との協議を継続し、その進捗を図るとともに、マイクロ波ソリューション事業において金属製錬・鉱山プロセス等への展開を進め、加えて、DualPoreソリューション事業その他の新たな事業を育成することで、顧客基盤及び収益源の多様化を推進してまいります。
② 経営管理体制
当社が継続的な開発パイプラインの拡充及び新規事業創出を進める上で、パイプラインの進捗管理、予実管理等を行うための経営管理体制の強化は重要な課題と認識しております。当社は、組織が健全かつ有効、効率的に運営されるように、パイプラインの進捗モニタリングを行うための内部統制の整備、強化、見直しを行っていく方針です。
③ 人材確保
当社が展開する事業は、複数の技術分野や専門領域を組み合わせ、顧客の課題に応じたソリューションを開発・提供することを特徴としております。このため、事業の拡大にあたっては、研究開発、プロセス開発、エンジニアリング、生産技術等の幅広い専門性を有する人材をバランス良く確保し、事業環境や顧客ニーズの変化に応じた開発・事業推進体制を継続的に強化していく必要があります。
また、当社が持続的な成長を実現するためには、新たな事業機会及び案件の創出を継続するとともに、それらを着実に事業化につなげていくことが重要となります。そのため、専門的な知見に加え、顧客や社内外の関係者と連携しながら、研究開発から事業化までを一貫して推進・マネジメントできる人材の確保及び育成を重要な課題と位置付けております。特に、各事業及びプロジェクトを主体的に牽引できるプロジェクトリーダー級の即戦力人材の確保に努めてまいります。
2) マイクロ波ソリューション事業
① 技術開発体制
当社がマイクロ波ソリューション事業を拡大していくためには、技術プラットフォームの継続的な強化及び効率的な開発体制の構築が重要な課題であると認識しております。当社がテクノロジー企業として構築したマイクロ波プロセスに関する技術プラットフォームは当社の競争優位の源泉となっており、今後も継続的に充実を図ることが重要であると考えております。
このため、要素技術の開発、データベースの充実、ノウハウの整備、及びアカデミアとも協力をした技術の体系化をはかり効率的な開発体制を構築します。
当社の強みは、マイクロ波化学において、研究開発から実証開発・エンジニアリング迄をワンストップで提供できることですが、これを可能とする要素技術群で構成されるインフラの開発投資を進めます。顧客の開発に共通的に使用できる設備を持ち、かつ、ラボ装置は市販されているものでは不十分な為、当社で開発し整備することで、安価かつ高品質なソリューションを提供することが出来る体制を構築します。
| また、「電化」の製造技術という観点から競合技術の動向にも注意を払いながらスピードを落とさずに開発を行う必要があります。一方で、マイクロ波加熱以外の有力な手段となるIH加熱・電気ヒーター加熱は、従来の化石燃料による加熱と同様に伝熱を基本とする技術で、直接エネルギーを伝えるマイクロ波と比較して、エネルギー変換効率が低く、スケールアップ難易度が高いため、その優位性を活かして社会実装を進めることを目指します。 | ![]() |
さらに、当社の競争優位をより強固とするためには、研究開発を継続するとともに、それを可能とする体制の構築・強化が課題であると認識しており、継続的な人材採用及び育成に取り組んでまいります。
② 事業開発体制
当社がマイクロ波ソリューション事業を拡大していくためには、技術プラットフォームを幅広く顧客や業界が抱える課題のソリューションに適用し、研究開発から事業化・社会実装までを推進する事業開発体制の構築・強化が重要な課題であると認識しております。
当社は、技術プラットフォームを幅広く顧客や業界が抱える課題のソリューションに適用します。また、最終的に社会実装するために、資源・化学メーカーをはじめとした様々なプレイヤーとアライアンスを組むことにより事業を拡大します。このため、世界中の資源・化学メーカー等とのネットワークを構築し、常に顧客や業界ニーズ・トレンド情報を収集し咀嚼しております。このような取り組みを推進するためには、当社の技術を理解・発信し顧客や業界ニーズとマッチングさせることができるプロデューサー的な機能を持った事業開発体制を構築し強化を図るために、継続的な人材採用と組織づくりが必要となります。
また、顧客にとって、これまでに導入した実績がない技術であるマイクロ波化学プロセスを導入することは、経営的な判断となります。当社がスムーズな技術導入を実現するためには、開発の初期段階より顧客側経営層からの理解が必要となり、その為に経営レベルでの関係構築及び経営目線での価値提言に努めてまいります。
3) DualPoreソリューション事業
① 技術開発体制
当社がDualPoreソリューション事業を拡大していくためには、対象とする貴金属の拡大(パラジウムからプラチナ、ロジウム、イリジウム等)及びPCB/FPCめっき工程の難処理排液、化学合成排液、製錬工程液等への適用範囲拡大に向けた技術開発が重要な課題であると認識しており、これに取り組んで参ります。あわせて、事業拡大に伴うカートリッジ需要の増加への対応も必要な取り組みと認識しております。外部協力会社との連携強化により製造工程の高度化及び生産効率の向上を進め、安定的かつ高品質な供給体制を構築してまいります。
② 事業開発体制
当社がDualPoreソリューション事業を拡大していくためには、国内外の顧客・業界ニーズを踏まえた事業開発体制の構築・強化が重要な課題であると認識しております。
国内市場においては、顧客にとって最適な回収箇所、回収方法の提案が重要と認識しており、当社の提案力の向上を図ってまいります。また、顧客にとって新規技術となるDPS技術の導入は経営的な判断となる場合も想定されるため、初期段階から顧客側経営層との関係構築及び価値提言に努めてまいります。
東南アジアを中心とした海外展開にあたっては、対象国ごとの規制動向を踏まえた運用の構築が必要となります。当社は、これらの重要論点を、継続的な取り組みを通じて自社ノウハウとし、強固な組織づくりを進めます。
2.財務上の課題
1) 財務基盤の強化及び流動性の確保
2026年6月期において、複数の大型プロジェクトについて、顧客による開発計画及び投資時期の見直しに伴う受注遅延が生じたこと等により、売上高が当初予想を下回り、営業損失、経常損失及び当期純損失を計上いたしました。また、純資産が減少し、自己資本比率が低下しております。
このため、当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しており、財務基盤の強化及び事業推進に必要な流動性の確保を重要な課題と認識しております。
当社は、当該事象又は状況を解消又は改善するため、上述の顧客基盤及び収益源の多様化を通じた収益力の向上に取り組んでまいります。また、資金面では、当事業年度に総額5億円の長期借入を実行するとともに、総額5億円のコミットメントライン契約を更新し、事業推進に必要な流動性を確保しております。
今後も、事業計画及び資金計画の進捗を適切に管理するとともに、これらの対応策を着実に実行することにより、財務基盤の強化及び事業推進に必要な流動性の確保に取り組んでまいります。
