有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
なお、当社が事業を行う市場の状況及び競合他社との競争優位性に関する経営者の認識については、上記「第1 企業の概況 第3 事業の内容」も併せてご参照ください。
(1)経営の基本方針
当社グループでは、医療福祉業界が直面している社会課題の解決により、人々が幸せに暮らせる社会の実現を使命としております。人材事業で培った経験・ノウハウ・強みを活かし、幅広いサービス及びソリューションを提供することで、医療福祉業界の従事者にとって充実した職場環境づくりを推進し、更には同業界に携わる全てのステークホルダーの課題解決に貢献したいと考えております。
医療福祉業界においては、社会保障費の増大や深刻な労働力不足のほか、医療福祉従事者及び求職者における医療福祉施設が持つ情報との非対称性、精神的・肉体的に負担のかかる職場環境、医療福祉施設側が求めるスキルとのミスマッチや給与水準の課題、また、医療福祉施設における労働生産性を高める取組みが不十分であること(他業種対比でオートメーション・ICT活用が進んでいない)や医療福祉従事者の早期離職等の課題があると認識しています。当社グループは、主軸サービスである人材紹介・人材派遣に合わせて人材採用支援、人材育成・キャリア支援機能の強化及びICT並びにDXを活用した医療福祉施設の経営効率化を支援することで、上記基本方針を実践します。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標として、売上収益、調整後EBITDA(※1)及び調整後営業利益(※2)を重視しており、併せて調整後当期利益及び調整後基本的1株当たり当期利益(※3)にも留意しています。調整後EBITDA、調整後営業利益及び調整後当期利益は、EBITDA、営業利益及び当期利益にIPO関連費用等の一時的な費用を足し戻した額であり、経常的な収益を測るための指標として重視しております。また、既存事業の成長加速、新規事業のインキュベーション、企業買収等の積極的な成長投資と、財務健全性の維持・向上を両立することを目指しており、かかる観点より、調整後アンレバード営業キャッシュ・フロー(※4)、調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フローコンバージョン率(※5)及び純有利子負債(※6)÷調整後EBITDAを重要な経営指標と考えています。
※1 調整後EBITDA=EBITDA+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+IPO関連費用
EBITDA=当期利益+法人税+金融費用-金融収益+償却費(使用権資産、顧客関連資産、その他資産を含む)+固定資産減損・除却損
2 調整後営業利益=営業利益+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+IPO関連費用
3 調整後当期利益=当期利益+顧客関連資産の償却費用+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+リファイナンス関連費用(金融費用)+IPO関連費用+税金及び税効果調整額
4 調整後アンレバード営業キャッシュ・フロー=営業活動によるキャッシュ・フロー+(支払利息-受取利息)×(1-適用税率)+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+IPO関連費用+税金及び税効果調整額
5 調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フローコンバージョン率=調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フロー÷調整後EBITDA
調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フロー=アンレバードフリー・キャッシュ・フロー+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+IPO関連費用+税金及び税効果調整額
アンレバードフリー・キャッシュ・フロー=営業活動によるキャッシュ・フロー-設備投資額(有形固定資産の取得額+無形固定資産の取得額)+(支払利息-受取利息)×(1-適用税率)
6 純有利子負債=借入金+リース負債-現金及び現金同等物
(3)経営環境
① 当連結会計年度の経営環境
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展により行動制限が緩和され、経済活動の再開・回復への期待が強まったものの、新たな変異株の流行が世界各国でみられたことなどにより、先行き不透明な状況が続きました。このような状況のもと、全職種の有効求人倍率は、当連結会計年度を通じて新型コロナウイルス流行前対比で低い状況で推移し、2022年通年の全職種における有効求人倍率は1.16倍(※)となりました。
当社グループが事業を営む医療福祉業界においても、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化及び2022年夏季に国内感染者数が急増したことに伴い、医療福祉業界における新規求職者数の増加が限定的となりました。このような状況の下、引き続き2022年通年の有効求人倍率は、医療福祉関連職種(※)において2.93倍(※)、建築・土木・測量技術者において5.51倍(※)となっており、いずれも全職種の1.16倍を大きく上回っています。
当社グループも、一日も早い収束を願い、一丸となって対応に力を尽くしていきます。
※ 厚生労働省「一般職業紹介状況 職業別労働市場関係指標(実数)」。全職種は、2022年通年の有効求人数(常用(パートタイムを含む))を有効求職者数(常用(パートタイム含む))で除して試算。また、介護・看護・保育は、介護サービスの職業、保健師、助産師、看護師等、社会福祉の専門的職業の2022年通年の有効求人数(常用(パートタイムを含む))の合計をそれらの有効求職者数(常用(パートタイム含む))の合計で除して試算(介護・看護・保育の2022年通年の有効求人倍率は以下の通り。介護(介護サービスの職業):3.64倍、看護(保健師、助産師、看護師等):2.11倍、保育(社会福祉の専門的職業):2.91倍)。
なお、厚生労働省「一般職業紹介状況 職業別労働市場関係指標(実数)」によれば、2006年以降、医療福祉関連職種の有効求人倍率は全職種の有効求人倍率を一貫して上回って推移しています。
② 中長期的な経営環境
当社グループが事業を営む医療福祉業界においては、中長期的には、少子高齢化(※)の進展により生産年齢人口が持続的に減少を続けることが予測され、構造的な採用難から労働力確保及び生産性改善が求められていくものと認識しています。
※ 内閣府「令和4年版高齢社会白書」(2022年6月14日)によれば、高齢化率(65歳以上人口割合)は、2019年で28.4%、2025年で30.0%、2040年で35.0%とされています。
特に医療福祉業界では、専門人材の獲得と非付加価値業務におけるDX推進による生産性改善への需要が今後も高まることが予測されます。
政府の計画ベースでは、医療福祉業界の従事者数は、2025年度には940万人になると見込まれています(※1)。他方で、2025年には約254万人、2040年には約291万人の介護従事者が必要とされ、2019年の介護職員数対比でそれぞれ約43万人、約80万人不足すると推計しており(※2、3)、当該領域での人材不足は業界の構造的な問題として解決が望まれます。
※1 厚生労働省「令和4年度版厚生労働白書」(2022年9月)図表1-1-6「医療・福祉分野における就業者の見通し」
2 かかる数値は、下記※3に記載の外部資料記載のデータ及び計算方法に基づき、当社が算出した推計値です。外部資料記載のデータの精度や推計に用いる計算方法には固有の限界があるため、実際の数値はかかる推計値と異なる可能性があります。下記「第2 事業の状況 2事業等のリスク (2)ビジネスに関するリスク ⑨ 市場規模等の推計に関するリスク」をご参照ください。
3 2019年度における介護職員の不足数(11万人)に、追加で必要となる介護職員の必要数(2025年度:約32万人、2040年度:約69万人)(厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)を加算して算出。
2019年度における介護職員の不足数(11万人)は、2019年の介護職員の必要数(2,220千人)から、2019年の介護職員数211万人(厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)を差し引いて算出。
2019年の介護職員の必要数(2,220千人)は、2019年3月31日時点の要介護者数6,670千人(厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)に、3分の1(介護職員の人員配置基準である要介護者3人当たり介護職員1人(厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会第190回資料「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の報酬・基準について(検討の方向性)」(2020年10月)に基づく)を乗じて算出。
医療福祉分野における就業者数及び介護従事者の必要数の見通しは以下のとおりです。
出典:厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)(内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省 平成30年5月21日)」
出典:厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2021年7月9日)
上記のとおり国内の生産年齢人口が減少する状況下においても、医療福祉業界における構造的な人材不足に照らせば、他業種からの流入が見込まれるものの、医療福祉業界における人材サービス事業への需要は、今後より一層増加することが予想されます。
また、労働力不足が深刻化する中、生産性改善・効率化の推進のために「採用・人材育成」、「経営効率化」等の分野におけるDX推進が一層求められるとともに、中小事業者及び従事者に対する「財務支援」に対する需要も顕在化していると認識しています。
一方、建設業界では急速に高齢化が進んでいます。2021年における労働者全体に占める30歳未満の労働者の割合が16.6%、54歳超の労働者の割合が31.2%であるのに対し、建設業界の労働者に占める30歳未満の労働者の割合は12.0%、54歳超の労働者の割合は35.5%となっています(※2)。他方、日本国内における建設投資は上昇しており、2012年の建設投資約42.4兆円に対して、2022年の建設投資は約67.0兆円となる見通しです(※3)。このため、人材需給ギャップは今後さらに拡大することが予想されます。2022年の全業種の有効求人倍率は、全職種が1.16倍であったのに対し、建設・土木・測量技術者については5.51倍でした(※4)。
※1 厚生労働省「平成12年度 介護保険事業状況報告(年報)」(2017年3月28日)、「令和2年度 介護保険事業状況報告」(2022年8月31日)
2 総務省「令和3年 労働力調査年報–年齢階級別, 産業別就業者数」(2022年5月31日)
3 国土交通省「令和4年度(2022年度)建設投資見通し」(2022年10月12日)
4 厚生労働省「一般職業紹介状況 職業別労働市場関係指標(実数)」
③ 競争環境
当社グループは、法人顧客の現場に精通した豊富な営業社員を有することで職種ごとに異なる法人顧客のニーズに対応できるとともに、豊富な登録求職者データベース及び法人顧客との強固な関係性を有することから、強い競争力を有していると考えています。これらに加えて、デジタルマーケティングによる求職者の獲得ノウハウが競争力の源泉になると考えています。
これらの結果、当社グループは、2022年の介護・看護・保育領域の有料人材紹介サービス分野でトップクラスのシェア(介護分野で約28%(1位)、看護分野で約18%(2位)、保育分野で約33%(1位))を実現しております(※1、2)。
※1 医療福祉業界に特化した人材紹介市場の認知・利用数の実態を確認し、今後のプレスリリース活動に活用する目的で、当社の依頼により有償で実施された、外部調査会社による「医療福祉業界の人材紹介市場に関する実態調査」(調査期間:2023年3月28日(火)~2023年4月10日(月)、調査手法:クロス・マーケティング+提携パネルモニタへのインターネット定量調査)に基づきます。対象者は18-69歳の男女で、過去5年以内で正社員(常勤)として①介護系業種・②看護系業種・③保育系業種に転職して勤務している/していた人を対象に、それぞれ直近2回分の実績(ただし、過去5年以内の医療福祉業界への転職の実績が1回のみの場合は1回)を調査しました。調査対象人数は、それぞれ①介護系業種:647名、②看護系業種:671名、③保育系業種:422名で、最終的なシェアの内訳については、それぞれの回答数である①介護系業種:715回、②看護系業種:673回、③保育系業種:349回の内、有料職業紹介事業者の有料職業紹介サービスを利用して最終的に転職した人の利用回数の総数(①介護系業種:159回、②看護系業種:340回、③保育系業種:118回)を母数として試算しています。
また、対象職種は「第5回改訂厚生労働省編職業分類」を参照し、それぞれ、①介護:職種は介護支援専門員(ケアマネジャー)、訪問介護サービス提供責任者、施設介護員(介護福祉士・ヘルパー・ケアワーカー等)、訪問介護員(介護福祉士・ホームヘルパー等)、訪問入浴介助員、福祉相談・指導専門員、福祉施設指導専門員(社会、老人、障害者、児童、その他)、障害福祉サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者、福祉用具専門相談員、福祉・介護のその他職業、②看護:職種は看護師、准看護師、及び看護師、准看護師の資格保有者、③保育:職種は保育士、幼稚園教諭、保育教諭、及び保育士、幼稚園教諭の資格保有者です。
有料職業紹介事業の占有率を算定するため、①介護:介護ワーカー:トライト、カイゴジョブエージェント:エス・エム・エス、マイナビ介護職:マイナビ、ナイス介護:ネオキャリア、ミラクス介護(旧:スマイルSUPPORT介護):ミラクス、きらケア:レバレジーズ、リクルートエージェント、その他(有料職業紹介事業者)、②看護:医療ワーカー:トライト、ナース人材バンク:エス・エム・エス、マイナビ看護師:マイナビ、看護roo:クイック、ナースではたらこ:ディップ、レバウェル看護(旧:看護のお仕事):レバレジーズ、ナースパワー、メディカルコンシェルジュ、その他(有料職業紹介事業者)、③保育:保育士ワーカー:トライト(旧ウェルクス分含む)、保育士人材バンク:エス・エム・エス、マイナビ保育士:マイナビ、ヒトシア保育(旧:保育ひろば):ネオキャリア、保育士バンク:ネクストビート、アスカ、その他(有料職業紹介事業者)の有料職業紹介サービスを対象とし、調査回答のうち、公共職業安定所(ハローワーク)、無料職業紹介事業者並びにダイレクト・リクルーティング等の募集情報等提供事業に該当するサービス及びこれを事業の大部分とする事業者については、占有率算定の分母及び分子から除外しています。
対象期間は2018年-2023年(2023年は内定後の入職待ちを含む)です。
2 2022年の介護・看護・保育領域の有料人材紹介サービス分野におけるシェアは、上記※1に記載のアンケート結果に基づき算出された占有率の推計値であり、アンケート等の基礎となる調査範囲や推計に用いる計算方法に固有の限界があるため、実際のシェアはかかる推計値と異なる可能性があります。下記「第2事業の状況 2事業等のリスク (2)ビジネスに関するリスク ⑨ 市場規模等の推計に関するリスク」をご参照ください。
④ 当社グループの取り組む市場の規模
当社グループが事業を営む医療福祉の人材紹介及びDR型採用支援サービス事業の潜在市場規模(TAM)は、2022年時点で既にそれぞれ約1,149億円及び約215億円であると当社グループでは推計しています。この潜在市場規模(TAM)は、有料紹介市場の拡大により2040年には約7,948億円及び約1,517億円まで成長すると当社グループでは見込んでおります。2022年における有料紹介サービスの利用者は、介護分野で約19%、看護分野で約30%、保育分野で約48%と推計しており(※2)、これらも踏まえると、非常に大きな市場機会が存在すると考えています(※1、2、3、4、5)。
さらに、当社グループは、人材紹介とDR型採用支援サービスにおける強みを活かし、医療福祉業界の顧客に対する採用支援、経営効率化支援などの潜在市場(※6)への更なる展開を目指します。
※1 潜在市場規模(TAM)及び有料紹介サービスの利用割合は、公開情報をもとに下記※2から※6に記載の方法により計算した推計値です。統計調査の精度には限界があるほか、過去トレンドを含む推計に基づいて算出された推計値であるため、実際の市場規模及び有料紹介サービスの利用割合とは異なる可能性があります。また、ダイレクト・リクルーティング事業の市場規模は、大規模施設が経験年数の浅い人材を採用するにあたりダイレクト・リクルーティングを使用するという当社の設定した想定に基づいて算出したものであり、かかる想定は実際の市場の状況と異なる可能性があります。下記「第2 事業の状況 2事業等のリスク (2)ビジネスに関するリスク ⑨ 市場規模等の推計に関するリスク」をご参照ください。
2 有料紹介サービスの利用者数は、各分野における全体の転職者数が、有料紹介サービスの利用者数、無料紹介サービスの利用者数、及びその他(自社採用など)により構成されるとの想定の下、各分野の全体の転職者数から無料紹介サービスの利用者数及びその他の合計を差し引くことで算出しています。2022年の各分野の全体の転職者数は、①介護分野については2022年の実績値から2023年の推計値までの年平均成長率を適用して算出した全介護従事者数に推計離職率を乗じることにより算出した介護人材市場規模、②看護分野については2012年から2018年の看護従事者の転職者数の実績値の線形外挿に基づき算出した看護人材市場規模、③保育分野については保育所等利用者数の予想成長率に基づいて全保育従事者数を算出し、全保育従事者数の増分と離職者数の合計から新卒数を差し引いた数値に対して2022年の転職者数の実績との差分を調整することにより算出した保育人材市場規模です。無料紹介サービスの利用者数及びその他の合計は、2020年から2022年の実績値の線形外挿に基づき算出しています。なお、線形外挿は市場規模の推計のみを目的として行っており、転職者の動向又は労働市場及び紹介事業全体の外因性の変化に関する当社又は第三者の見解を反映するものではありません。
3 人材紹介及びダイレクト・リクルーティングの割合は、大型施設で勤務する従事者の人数及び介護・看護・保育の実務年数をもとに算出しています。ダイレクト・リクルーティング市場にカウントされる施設規模及び経験年数の下限は、施設規模が従事者数100人、経験年数が10年未満であり、それ以外の人材を人材紹介市場としてカウントしています。割合は、このようにカウントした各人数を、人材紹介及びダイレクト・リクルーティングの従事者の人数の合計でそれぞれ割ることにより算出しています。
4 2022年における市場規模は、以下4項目の数値を試算の上、①~④の数値を乗じて推計しています。:①有料紹介サービスの利用者数(※2を参照)、②人材紹介及びダイレクト・リクルーティングの割合(※3を参照)、③年収(介護413万円/看護496万円/保育391万円、いずれも2022年)、④紹介手数料(人材紹介30%、ダイレクト・リクルーティング10%と想定)
5 2040年における市場規模は、以下5項目の数値を試算の上、それぞれの数値を乗じて推計しています。:①求職者数(※2を参照)、②人材紹介及びダイレクト・リクルーティングの割合(※3を参照)、③年収(※4と同じ)、④紹介手数料(※4と同じ)、⑤2021年から2040年の期間中における介護・看護・保育それぞれの分野に充当する社会保障給付費の予想増加率(2018年に示された見通しから、2018-2022年の増加分を差し引いて算出)
6 「経済センサス・活動調査・調査の結果」が示す、医療・福祉業界に属する事業者が2016年に負担している費用の一部である外注費の合計は約2兆円です。
出典:労働者数:厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2021年7月9日)、「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(2022年1月27日)、「令和元年社会福祉施設等調査」(2021年1月22日)、「保育所等関連状況取りまとめ(令和3年4月1日)」(2021年8月27日)、「保育課関係」(2017年12月21日)。離職率:介護労働安定センター「介護労働実態調査」(2021年8月23日)、日本看護協会「2021年 病院看護・外来看護実態調査 報告書」(2022年3月)、厚生労働省「令和元年社会福祉施設等調査」(2021年1月22日)。有料サービス利用率:厚生労働省「職業紹介事業の事業報告の集計結果について」(2022年3月31日)、「一般職業紹介状況」(2021年5月28日)。平均給与額:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概要」(2023年3月17日)。施設規模・実務経験年数別の医療従事者の数:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」(2021年3月31日)。長期成長率:厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」(2018年5月21日)。外注費総額:総務省・経済産業省「平成28年(2016年)経済センサス・活動調査・調査の結果」(2018年6月28日)
また、より効率的に成約数を増やすためには、登録求職者数の増加が重要であると考えています。2022年12月末時点において、当社グループの登録求職者数が約170万人、契約施設数が約7万件であるのに対して、潜在求職者数は約940万人、潜在施設数は約46万件と推計しています(※)。有料人材紹介サービスを利用していない医療福祉従事者は依然として多く、マーケティング施策の最適化及び人材紹介サービス利用率の改善による登録者数の増加余地、また既存エリアの契約数拡大及び新規出店の継続による紹介先となる契約施設数の拡大余地は十分にあると考えています。
※ 潜在求職者数は、2025年時点の医療・介護・その他社会福祉サービス従事者数見通しの合計、潜在施設数は2021年時点の病院・診療所・指定地域密着型介護予防サービス事業者・居宅介護支援事業所・訪問介護事務所・介護保険施設・保育施設の合計です。
出典:潜在求職者数:厚生労働省「令和4年度版厚生労働白書」(2022年9月)図表1-1-6「医療・福祉分野における就業者の見通し」、潜在施設数: 厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査の概況(令和3年)」、厚生労働省「医療施設(動態)調査・病院報告の概況(令和3年)」、厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(令和3年4月1日)保育士の現状と主な取組」
(4)中長期的な経営戦略
当社グループでは、医療福祉業界が直面している社会課題の解決により、人々が幸せに暮らせる社会の実現を使命としております。人材事業で培った経験・ノウハウ・強みを活かし、幅広いサービス及びソリューションを提供することで、医療福祉業界の従事者にとって充実した職場環境づくりを推進し、更には同業界に携わる全てのステークホルダーの課題解決に貢献したいと考えております。
当社グループは、これまで「超高齢社会への進展」及び「女性の社会進出」といった社会構造の変化を契機として、強い求人需要が見込まれる介護・看護・保育領域を中心とした医療福祉分野の人材事業を積極的に拡大してまいりました。
上記のような経営環境の中、当社グループは2023-2025年度中期経営計画において、①人材ソリューション、②ICTソリューション、③データ活用などの複合的なサービスを提供することで、連結売上収益、調整後EBITDA、調整後当期利益の成長を目指し、以下の各施策を実行してまいります。
① CA型人材紹介サービス事業のさらなる成長の加速
当社グループの医療福祉業界におけるCA型人材紹介サービスの成長には、営業社員数と営業社員1人当たり売上高(※1)の向上が必要不可欠です。したがって、営業社員の離職率(※2)を適切に低減し、育成することが重要となります。また、営業社員1人当たり売上高については、求職者を効率的に施設との面談・成約へと導くことが鍵であり、各営業社員に対する生産性向上施策に加え、登録求職者数・契約施設数を拡大させることも重要となります。
当社グループはCA型人材紹介サービスの成長のため、以下の施策を実行することを計画しています。
・営業社員数:離職率の低下及び継続的な採用により、営業社員数の着実な増加を推進します。なお、離職率の低下により、キャリアアドバイザー全体に占める当社在籍期間が1年を超える者の割合は、2023年5月末時点で67%となっており、2021年及び2022年の同時点における割合である61%、50%から上昇しています。
・営業社員1人当たり売上高:ITシステムの導入を通じた営業プロセスの自動化、高パフォーマンスの営業社員の定着率(※3)向上を推進し、営業社員1人当たりの生産性向上を目指しております。
・登録求職者数:当社グループの約170万人の登録求職者に対し、2025年に見込まれる約940万人(※4)の医療福祉業界の従事者数を鑑みると、当社グループの登録求職者数が増加する余地が大きいと想定します。
・契約施設数:出店する都道府県を2022年12月末時点の25から拡大することにより、登録求職者数と同様に契約施設数を拡大いたします。
※1 医療福祉紹介売上高÷医療福祉紹介事業における年平均営業社員数。なお、営業社員にはキャリアアドバイザーの他、営業企画に係る人員が含まれています。
2 離職率:当年退職者数/(前年末の在籍人数+当年入社数)
3 定着率:1-離職率
4 厚生労働省「令和4年度版厚生労働白書」(2022年9月)図表1-1-6「医療・福祉分野における就業者の見通し」
② DR型採用支援サービスの一体提供による成長拡大
上記のとおり、人材紹介市場は今後も拡大傾向で推移することを見込んでいますが、その中でもDR型採用支援サービスは、CA型人材紹介サービスでは対応が難しい低コストでの採用という契約施設のニーズに合致しており、今後成長すると見込んでいます。DR型採用支援サービスの本格化は当社グループの更なる成長に貢献すると期待しています。
当社グループは、2021年8月の株式会社HAB&Co.買収を通じて、開発・エンジニアリングリソースを確保し、HAB&Co.社の自社プロダクトである「SHIRAHA」をベースとしたDR型採用支援サービスの機能を実装することで、迅速な事業の立ち上げを実現しました。また、2022年1月には、保育領域において8万人の登録求職者数を擁してDR型採用支援サービスを展開していた株式会社ウェルクス(※)を買収することで更なる事業拡大に取り組んでおります。
これらの施策に加えて、今後は、登録求職者数が鍵になると考えており、当社グループは既存の約170万人(2022年12月末時点)の豊富な登録求職者のデータベースを活かした成長を目指します。CA型人材紹介サービスへの登録求職者は求職意欲が高い傾向があり、そこで培われたデータベースは量・質共に競争優位性が高いと当社では考えています。したがって、CA型人材紹介サービスにより今後も拡大する登録求職者数をDR型採用支援サービスと連携させることで、成長が可能と考えています。なお、2023年3月末時点におけるDR型採用支援サービスの対象となる登録求職者数は約15万人です。
※ 株式会社ウェルクスは、2022年7月1日付で、株式会社トライトキャリアを存続会社、株式会社ウェルクスを消滅会社とする吸収合併により消滅しています。
③ 更なる成長ドライバーとしてのICTソリューション事業への取り組み
当社グループは、中期経営計画の期間において、これまでの人材紹介及び採用支援事業で培ってきた豊富な登録求職者データベース、豊富な契約施設とのネットワーク、強固な営業体制を基に、ICTを活用した医療福祉現場の業務効率化支援事業を加速させていく予定です。介護ソフトウエアや介護ロボットの導入等を通じた介護関連業務を支援するサービス展開を検討してまいります。
また、ICTソリューション及び、データ活用のサービスを迅速に拡大・展開するために、M&A・事業提携・共同研究等の機会を積極的に追求してまいります。既に、当該分野において2021年から本書提出日時点までの期間において5件のM&A・事業提携等を実施しております(各M&A・事業提携等の概要については、上記「第1 企業の概況 3 事業の内容 (4)ICT及び(5)データ活用」をご参照ください)。中期経営計画の期間中においても引き続き積極的にM&A・事業提携の実現を模索いたします。
④ 非医療福祉事業の持続的な成長
非医療福祉事業である建設人材派遣事業においては、派遣社員数(※)の向上をドライバーとして持続的な成長を目指します。
※ 建設派遣事業における年平均月末在籍派遣人数。
⑤ 継続的な成長投資に向けた潤沢なキャッシュ・フローの創出
上記「(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標」に記載のとおり、当社グループは、既存事業の成長加速、新規事業のインキュベーション、企業買収等の積極的な成長投資と、財務健全性の維持・向上を両立することを目指します。かかる観点より、調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フローコンバージョン率(※1)及び純有利子負債(※2)÷調整後EBITDA(※3)を重要な経営指標と考えています。なお、当社が想定する定期弁済額は中期経営計画期間内において年平均約15億円(2022年12月期の調整後EBITDAの約0.2倍)と非常に限定的であることから、同期間内においても資金戦略の高い柔軟性を有しています。
※1 調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フローコンバージョン率=調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フロー÷調整後EBITDA
調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フロー=アンレバードフリー・キャッシュ・フロー+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+IPO関連費用+税金及び税効果調整額
アンレバードフリー・キャッシュ・フロー=営業活動によるキャッシュ・フロー-設備投資額(有形固定資産の取得額+無形固定資産の取得額)+(支払利息-受取利息)×(1-適用税率)
2 純有利子負債=借入金+リース負債-現金及び現金同等物
3 調整後EBITDA=EBITDA+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+IPO関連費用
EBITDA=当期利益+法人税+金融費用-金融収益+償却費(使用権資産、顧客関連資産、その他資産を含む)+固定資産減損・除却損
⑥ サステナビリティへの取組み
当社グループは、社会を支えるエッセンシャルワーカーの方々や当社グループの従業員等、関わる全てのステークホルダーとともに人々の安心安全な暮らしを支える取組みを行っています。
a. ダイバーシティ&インクルージョン:時代の変化に伴い、ライフスタイルや人々の価値観の多様性が認められるようになりました。当社グループは、異なるバックグラウンドの従業員一人一人が能力を最大限発揮することで、大きなイノベーションがもたらされると考えています。自らの限界を決めず挑戦し続ける人を尊重し、仕事の成果を年齢・性別・学歴・国籍などに関係なく公正に測り、働きがいのある環境や機会の提供と、能力向上のための支援をしていきます。
b. 業界の働き方改善:2025年、国民の4人に1人が65歳以上になる超高齢化社会が訪れると言われており、ケアをする側とケアを受ける側の人材の需給ギャップは今後も広がることが予測されています。そこで当社グループは、働く場所としての医療・福祉業界に関心を持つ人を増やし、専門職として活躍できる人材を育成・輩出することで、医療や福祉に関わる一人一人が自分の仕事に誇りを持った世界の実現を目指すとともに、人材の需給ギャップの解消に取り組んでいきます。
c. 持続可能な医療・福祉の実現に向けたDX支援事業の推進:医療・福祉業界における労働人口の減少を補うために、テクノロジーの力を通じて現場を変えていく必要があると考えています。当社グループは、医療・福祉現場に寄り添ったDXを推進することで、働く人がより働きやすく、ケアを受ける人がより安心できる社会を目指していきます。
d. 医療・福祉人材の雇用と地域偏在の課題の補完:地域間での人口格差による人材の地域偏在の課題は、医療・福祉業界でも生じています。当社グループは、どの地域にも必要なケアを届けることができるよう、地方での雇用創出を通じて人々が活躍できる環境づくりに取り組んでいきます。
(5)対処すべき課題
当社グループは、上記の経営戦略を遂行することで、以下の課題の解決を目指します。
① 医療・介護・保育人材のキャリア支援
医療・介護・保育業界では、年々深刻化する人材不足により一人当たりの業務量が増加したことで退職者が増え、さらなる人材不足を生むという悪循環が生じています。このように、これまでは安定して長く務めることができると言われていた専門職においても、長期にわたって勤務することに不安を覚える人が増加しています。
今後、さらなる人材の流出を防ぐためには、働く人々がどのような人生を歩んでいけるのか、長期的なキャリアの形成を支援していく必要があります。また、人生100年時代と言われている現代において、当社グループとしてもパラレルワークや仕事と育児の両立支援といった新しい働き方の価値観の創造に取組んでいます。
② 地方部の医療・介護・保育人材不足解消
医療施設、介護施設及び保育施設における人材不足は年々深刻化し、特に都市部と地方部では介護士、看護師及び保育士の数に差があり、一般利用者が受けられるサービスに地域格差が生じています。当社グループの提供する人材紹介サービスにおいても、地方の医療施設、介護施設及び保育施設による求人は増加しています。当社グループが新たに営業支社を地方に設立することにより、それら地域の医療施設、介護施設及び保育施設に対し、法人訪問によるニーズの把握や面接への動向など、より地域に根ざしたサービス提供をすることが可能となります。
当社グループは今後も事業拡大を推進するとともに、人材不足解消や地域経済への貢献に取組みます。
③ 労働移動支援
新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の収縮で、企業が内部に抱える休職者が増加していることを受け、政府の雇用政策の軸足は雇用維持から人手不足の産業への移動支援に移り始めています。
このような状況において、資格を活かして長く安定的に働ける介護職への関心が高まっており、当社グループでは、介護業界への転職希望者向けに提携先を通じて介護の理念から食事・入浴・排せつの支援などの実務講義の受講機会を提供しています。
当社グループでは、今後も慢性的な人材不足が課題となっている介護業界への異業種からの労働力移動支援に積極的に取組みます。
④ 建設派遣における安定的な雇用確保
当社グループとしては特定の派遣先の需要が減少した場合にも、別の法人へ派遣するなどの柔軟な対応により、派遣従業員の非稼働時間が可能な限り起こらないように努めています。また健全な事業成長のために、業法遵守は今後より重要なテーマになるものと認識しています。特に契約内容と実務上の作業の齟齬を防止するため、定期的な監査、当社グループ営業担当者による派遣先への訪問・確認作業を行うなど、より強固な管理体制の構築に取組みます。
⑤ 業務改善の更なる推進
ここ数年、システムの導入を積極的に進めた結果、業務改善が大幅に進みました。しかし、派遣先企業との情報連携が重要な派遣事業においては、現在においても一部の派遣先企業との間ではエクセルによる管理やFaxによる情報連携が残っており、その後の作業工程での非効率な作業が発生しやすい状況です。当社グループとしては、これらに代表される事務業務・管理業務のシステム化を引き続き促進することで、効率性の改善のみならず統制の強化をも実現できるよう取組みます。
⑥ ダイバーシティ等への対応
近年、女性社員の活用について会社を挙げた戦略的な施策が社会的な要請となっています。これまで当社グループでは多くの女性社員を採用してきました。現在でも約4割は女性の社員であり、その比率は本社部門においてより大きくなっています。また、営業部門においても、管理部門でも大きな活躍を上げてきた女性社員も多く存在します。常勤の取締役、監査役及び執行役員においては、10名中3名が女性(30%)とダイバーシティが進んだ状況にあります。一方、非執行役員の管理職レベルにおいては、依然として女性比率は低く、採用・育成・登用の観点から制度の見直しを図っています。2021年3月に、女性が活躍する企業の実現を目的として代表取締役社長直轄の女性活躍推進室を設置しました。女性活躍推進室では定期的な研修会を実施するなどさまざまな施策により女性が活躍する組織の実現を目指します。
なお、当社が事業を行う市場の状況及び競合他社との競争優位性に関する経営者の認識については、上記「第1 企業の概況 第3 事業の内容」も併せてご参照ください。
(1)経営の基本方針
当社グループでは、医療福祉業界が直面している社会課題の解決により、人々が幸せに暮らせる社会の実現を使命としております。人材事業で培った経験・ノウハウ・強みを活かし、幅広いサービス及びソリューションを提供することで、医療福祉業界の従事者にとって充実した職場環境づくりを推進し、更には同業界に携わる全てのステークホルダーの課題解決に貢献したいと考えております。
医療福祉業界においては、社会保障費の増大や深刻な労働力不足のほか、医療福祉従事者及び求職者における医療福祉施設が持つ情報との非対称性、精神的・肉体的に負担のかかる職場環境、医療福祉施設側が求めるスキルとのミスマッチや給与水準の課題、また、医療福祉施設における労働生産性を高める取組みが不十分であること(他業種対比でオートメーション・ICT活用が進んでいない)や医療福祉従事者の早期離職等の課題があると認識しています。当社グループは、主軸サービスである人材紹介・人材派遣に合わせて人材採用支援、人材育成・キャリア支援機能の強化及びICT並びにDXを活用した医療福祉施設の経営効率化を支援することで、上記基本方針を実践します。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標として、売上収益、調整後EBITDA(※1)及び調整後営業利益(※2)を重視しており、併せて調整後当期利益及び調整後基本的1株当たり当期利益(※3)にも留意しています。調整後EBITDA、調整後営業利益及び調整後当期利益は、EBITDA、営業利益及び当期利益にIPO関連費用等の一時的な費用を足し戻した額であり、経常的な収益を測るための指標として重視しております。また、既存事業の成長加速、新規事業のインキュベーション、企業買収等の積極的な成長投資と、財務健全性の維持・向上を両立することを目指しており、かかる観点より、調整後アンレバード営業キャッシュ・フロー(※4)、調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フローコンバージョン率(※5)及び純有利子負債(※6)÷調整後EBITDAを重要な経営指標と考えています。
※1 調整後EBITDA=EBITDA+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+IPO関連費用
EBITDA=当期利益+法人税+金融費用-金融収益+償却費(使用権資産、顧客関連資産、その他資産を含む)+固定資産減損・除却損
2 調整後営業利益=営業利益+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+IPO関連費用
3 調整後当期利益=当期利益+顧客関連資産の償却費用+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+リファイナンス関連費用(金融費用)+IPO関連費用+税金及び税効果調整額
4 調整後アンレバード営業キャッシュ・フロー=営業活動によるキャッシュ・フロー+(支払利息-受取利息)×(1-適用税率)+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+IPO関連費用+税金及び税効果調整額
5 調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フローコンバージョン率=調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フロー÷調整後EBITDA
調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フロー=アンレバードフリー・キャッシュ・フロー+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+IPO関連費用+税金及び税効果調整額
アンレバードフリー・キャッシュ・フロー=営業活動によるキャッシュ・フロー-設備投資額(有形固定資産の取得額+無形固定資産の取得額)+(支払利息-受取利息)×(1-適用税率)
6 純有利子負債=借入金+リース負債-現金及び現金同等物
(3)経営環境
① 当連結会計年度の経営環境
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展により行動制限が緩和され、経済活動の再開・回復への期待が強まったものの、新たな変異株の流行が世界各国でみられたことなどにより、先行き不透明な状況が続きました。このような状況のもと、全職種の有効求人倍率は、当連結会計年度を通じて新型コロナウイルス流行前対比で低い状況で推移し、2022年通年の全職種における有効求人倍率は1.16倍(※)となりました。
当社グループが事業を営む医療福祉業界においても、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化及び2022年夏季に国内感染者数が急増したことに伴い、医療福祉業界における新規求職者数の増加が限定的となりました。このような状況の下、引き続き2022年通年の有効求人倍率は、医療福祉関連職種(※)において2.93倍(※)、建築・土木・測量技術者において5.51倍(※)となっており、いずれも全職種の1.16倍を大きく上回っています。
当社グループも、一日も早い収束を願い、一丸となって対応に力を尽くしていきます。
※ 厚生労働省「一般職業紹介状況 職業別労働市場関係指標(実数)」。全職種は、2022年通年の有効求人数(常用(パートタイムを含む))を有効求職者数(常用(パートタイム含む))で除して試算。また、介護・看護・保育は、介護サービスの職業、保健師、助産師、看護師等、社会福祉の専門的職業の2022年通年の有効求人数(常用(パートタイムを含む))の合計をそれらの有効求職者数(常用(パートタイム含む))の合計で除して試算(介護・看護・保育の2022年通年の有効求人倍率は以下の通り。介護(介護サービスの職業):3.64倍、看護(保健師、助産師、看護師等):2.11倍、保育(社会福祉の専門的職業):2.91倍)。
なお、厚生労働省「一般職業紹介状況 職業別労働市場関係指標(実数)」によれば、2006年以降、医療福祉関連職種の有効求人倍率は全職種の有効求人倍率を一貫して上回って推移しています。
② 中長期的な経営環境
当社グループが事業を営む医療福祉業界においては、中長期的には、少子高齢化(※)の進展により生産年齢人口が持続的に減少を続けることが予測され、構造的な採用難から労働力確保及び生産性改善が求められていくものと認識しています。
※ 内閣府「令和4年版高齢社会白書」(2022年6月14日)によれば、高齢化率(65歳以上人口割合)は、2019年で28.4%、2025年で30.0%、2040年で35.0%とされています。
特に医療福祉業界では、専門人材の獲得と非付加価値業務におけるDX推進による生産性改善への需要が今後も高まることが予測されます。
政府の計画ベースでは、医療福祉業界の従事者数は、2025年度には940万人になると見込まれています(※1)。他方で、2025年には約254万人、2040年には約291万人の介護従事者が必要とされ、2019年の介護職員数対比でそれぞれ約43万人、約80万人不足すると推計しており(※2、3)、当該領域での人材不足は業界の構造的な問題として解決が望まれます。
※1 厚生労働省「令和4年度版厚生労働白書」(2022年9月)図表1-1-6「医療・福祉分野における就業者の見通し」
2 かかる数値は、下記※3に記載の外部資料記載のデータ及び計算方法に基づき、当社が算出した推計値です。外部資料記載のデータの精度や推計に用いる計算方法には固有の限界があるため、実際の数値はかかる推計値と異なる可能性があります。下記「第2 事業の状況 2事業等のリスク (2)ビジネスに関するリスク ⑨ 市場規模等の推計に関するリスク」をご参照ください。
3 2019年度における介護職員の不足数(11万人)に、追加で必要となる介護職員の必要数(2025年度:約32万人、2040年度:約69万人)(厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)を加算して算出。
2019年度における介護職員の不足数(11万人)は、2019年の介護職員の必要数(2,220千人)から、2019年の介護職員数211万人(厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)を差し引いて算出。
2019年の介護職員の必要数(2,220千人)は、2019年3月31日時点の要介護者数6,670千人(厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)に、3分の1(介護職員の人員配置基準である要介護者3人当たり介護職員1人(厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会第190回資料「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の報酬・基準について(検討の方向性)」(2020年10月)に基づく)を乗じて算出。
医療福祉分野における就業者数及び介護従事者の必要数の見通しは以下のとおりです。
| 2018年度 | 2025年度 (計画ベース) | 2040年度 (計画ベース) | |
| 医療福祉分野における就業者数(万人) | 823 | 931 | 1,065 |
| 就業者数全体(万人) | 6,580 | 6,353 | 5,654 |
| 就業者数全体に対する医療福祉分野における就業者数の割合(%) | 12.5 | 14.7 | 18.8 |
出典:厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)(内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省 平成30年5月21日)」
| 2019年度 | 2023年度 | 2025年度 | 2040年度 | |
| 介護従事者の必要数(万人) | 約211 | 約233 | 約243 | 約280 |
| 追加で必要となる介護従事者数 (万人、2019年度比) | ― | 約22 | 約32 | 約69 |
出典:厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2021年7月9日)
上記のとおり国内の生産年齢人口が減少する状況下においても、医療福祉業界における構造的な人材不足に照らせば、他業種からの流入が見込まれるものの、医療福祉業界における人材サービス事業への需要は、今後より一層増加することが予想されます。
また、労働力不足が深刻化する中、生産性改善・効率化の推進のために「採用・人材育成」、「経営効率化」等の分野におけるDX推進が一層求められるとともに、中小事業者及び従事者に対する「財務支援」に対する需要も顕在化していると認識しています。
一方、建設業界では急速に高齢化が進んでいます。2021年における労働者全体に占める30歳未満の労働者の割合が16.6%、54歳超の労働者の割合が31.2%であるのに対し、建設業界の労働者に占める30歳未満の労働者の割合は12.0%、54歳超の労働者の割合は35.5%となっています(※2)。他方、日本国内における建設投資は上昇しており、2012年の建設投資約42.4兆円に対して、2022年の建設投資は約67.0兆円となる見通しです(※3)。このため、人材需給ギャップは今後さらに拡大することが予想されます。2022年の全業種の有効求人倍率は、全職種が1.16倍であったのに対し、建設・土木・測量技術者については5.51倍でした(※4)。
※1 厚生労働省「平成12年度 介護保険事業状況報告(年報)」(2017年3月28日)、「令和2年度 介護保険事業状況報告」(2022年8月31日)
2 総務省「令和3年 労働力調査年報–年齢階級別, 産業別就業者数」(2022年5月31日)
3 国土交通省「令和4年度(2022年度)建設投資見通し」(2022年10月12日)
4 厚生労働省「一般職業紹介状況 職業別労働市場関係指標(実数)」
③ 競争環境
当社グループは、法人顧客の現場に精通した豊富な営業社員を有することで職種ごとに異なる法人顧客のニーズに対応できるとともに、豊富な登録求職者データベース及び法人顧客との強固な関係性を有することから、強い競争力を有していると考えています。これらに加えて、デジタルマーケティングによる求職者の獲得ノウハウが競争力の源泉になると考えています。
これらの結果、当社グループは、2022年の介護・看護・保育領域の有料人材紹介サービス分野でトップクラスのシェア(介護分野で約28%(1位)、看護分野で約18%(2位)、保育分野で約33%(1位))を実現しております(※1、2)。
※1 医療福祉業界に特化した人材紹介市場の認知・利用数の実態を確認し、今後のプレスリリース活動に活用する目的で、当社の依頼により有償で実施された、外部調査会社による「医療福祉業界の人材紹介市場に関する実態調査」(調査期間:2023年3月28日(火)~2023年4月10日(月)、調査手法:クロス・マーケティング+提携パネルモニタへのインターネット定量調査)に基づきます。対象者は18-69歳の男女で、過去5年以内で正社員(常勤)として①介護系業種・②看護系業種・③保育系業種に転職して勤務している/していた人を対象に、それぞれ直近2回分の実績(ただし、過去5年以内の医療福祉業界への転職の実績が1回のみの場合は1回)を調査しました。調査対象人数は、それぞれ①介護系業種:647名、②看護系業種:671名、③保育系業種:422名で、最終的なシェアの内訳については、それぞれの回答数である①介護系業種:715回、②看護系業種:673回、③保育系業種:349回の内、有料職業紹介事業者の有料職業紹介サービスを利用して最終的に転職した人の利用回数の総数(①介護系業種:159回、②看護系業種:340回、③保育系業種:118回)を母数として試算しています。
また、対象職種は「第5回改訂厚生労働省編職業分類」を参照し、それぞれ、①介護:職種は介護支援専門員(ケアマネジャー)、訪問介護サービス提供責任者、施設介護員(介護福祉士・ヘルパー・ケアワーカー等)、訪問介護員(介護福祉士・ホームヘルパー等)、訪問入浴介助員、福祉相談・指導専門員、福祉施設指導専門員(社会、老人、障害者、児童、その他)、障害福祉サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者、福祉用具専門相談員、福祉・介護のその他職業、②看護:職種は看護師、准看護師、及び看護師、准看護師の資格保有者、③保育:職種は保育士、幼稚園教諭、保育教諭、及び保育士、幼稚園教諭の資格保有者です。
有料職業紹介事業の占有率を算定するため、①介護:介護ワーカー:トライト、カイゴジョブエージェント:エス・エム・エス、マイナビ介護職:マイナビ、ナイス介護:ネオキャリア、ミラクス介護(旧:スマイルSUPPORT介護):ミラクス、きらケア:レバレジーズ、リクルートエージェント、その他(有料職業紹介事業者)、②看護:医療ワーカー:トライト、ナース人材バンク:エス・エム・エス、マイナビ看護師:マイナビ、看護roo:クイック、ナースではたらこ:ディップ、レバウェル看護(旧:看護のお仕事):レバレジーズ、ナースパワー、メディカルコンシェルジュ、その他(有料職業紹介事業者)、③保育:保育士ワーカー:トライト(旧ウェルクス分含む)、保育士人材バンク:エス・エム・エス、マイナビ保育士:マイナビ、ヒトシア保育(旧:保育ひろば):ネオキャリア、保育士バンク:ネクストビート、アスカ、その他(有料職業紹介事業者)の有料職業紹介サービスを対象とし、調査回答のうち、公共職業安定所(ハローワーク)、無料職業紹介事業者並びにダイレクト・リクルーティング等の募集情報等提供事業に該当するサービス及びこれを事業の大部分とする事業者については、占有率算定の分母及び分子から除外しています。
対象期間は2018年-2023年(2023年は内定後の入職待ちを含む)です。
2 2022年の介護・看護・保育領域の有料人材紹介サービス分野におけるシェアは、上記※1に記載のアンケート結果に基づき算出された占有率の推計値であり、アンケート等の基礎となる調査範囲や推計に用いる計算方法に固有の限界があるため、実際のシェアはかかる推計値と異なる可能性があります。下記「第2事業の状況 2事業等のリスク (2)ビジネスに関するリスク ⑨ 市場規模等の推計に関するリスク」をご参照ください。
④ 当社グループの取り組む市場の規模
当社グループが事業を営む医療福祉の人材紹介及びDR型採用支援サービス事業の潜在市場規模(TAM)は、2022年時点で既にそれぞれ約1,149億円及び約215億円であると当社グループでは推計しています。この潜在市場規模(TAM)は、有料紹介市場の拡大により2040年には約7,948億円及び約1,517億円まで成長すると当社グループでは見込んでおります。2022年における有料紹介サービスの利用者は、介護分野で約19%、看護分野で約30%、保育分野で約48%と推計しており(※2)、これらも踏まえると、非常に大きな市場機会が存在すると考えています(※1、2、3、4、5)。
さらに、当社グループは、人材紹介とDR型採用支援サービスにおける強みを活かし、医療福祉業界の顧客に対する採用支援、経営効率化支援などの潜在市場(※6)への更なる展開を目指します。
※1 潜在市場規模(TAM)及び有料紹介サービスの利用割合は、公開情報をもとに下記※2から※6に記載の方法により計算した推計値です。統計調査の精度には限界があるほか、過去トレンドを含む推計に基づいて算出された推計値であるため、実際の市場規模及び有料紹介サービスの利用割合とは異なる可能性があります。また、ダイレクト・リクルーティング事業の市場規模は、大規模施設が経験年数の浅い人材を採用するにあたりダイレクト・リクルーティングを使用するという当社の設定した想定に基づいて算出したものであり、かかる想定は実際の市場の状況と異なる可能性があります。下記「第2 事業の状況 2事業等のリスク (2)ビジネスに関するリスク ⑨ 市場規模等の推計に関するリスク」をご参照ください。
2 有料紹介サービスの利用者数は、各分野における全体の転職者数が、有料紹介サービスの利用者数、無料紹介サービスの利用者数、及びその他(自社採用など)により構成されるとの想定の下、各分野の全体の転職者数から無料紹介サービスの利用者数及びその他の合計を差し引くことで算出しています。2022年の各分野の全体の転職者数は、①介護分野については2022年の実績値から2023年の推計値までの年平均成長率を適用して算出した全介護従事者数に推計離職率を乗じることにより算出した介護人材市場規模、②看護分野については2012年から2018年の看護従事者の転職者数の実績値の線形外挿に基づき算出した看護人材市場規模、③保育分野については保育所等利用者数の予想成長率に基づいて全保育従事者数を算出し、全保育従事者数の増分と離職者数の合計から新卒数を差し引いた数値に対して2022年の転職者数の実績との差分を調整することにより算出した保育人材市場規模です。無料紹介サービスの利用者数及びその他の合計は、2020年から2022年の実績値の線形外挿に基づき算出しています。なお、線形外挿は市場規模の推計のみを目的として行っており、転職者の動向又は労働市場及び紹介事業全体の外因性の変化に関する当社又は第三者の見解を反映するものではありません。
3 人材紹介及びダイレクト・リクルーティングの割合は、大型施設で勤務する従事者の人数及び介護・看護・保育の実務年数をもとに算出しています。ダイレクト・リクルーティング市場にカウントされる施設規模及び経験年数の下限は、施設規模が従事者数100人、経験年数が10年未満であり、それ以外の人材を人材紹介市場としてカウントしています。割合は、このようにカウントした各人数を、人材紹介及びダイレクト・リクルーティングの従事者の人数の合計でそれぞれ割ることにより算出しています。
4 2022年における市場規模は、以下4項目の数値を試算の上、①~④の数値を乗じて推計しています。:①有料紹介サービスの利用者数(※2を参照)、②人材紹介及びダイレクト・リクルーティングの割合(※3を参照)、③年収(介護413万円/看護496万円/保育391万円、いずれも2022年)、④紹介手数料(人材紹介30%、ダイレクト・リクルーティング10%と想定)
5 2040年における市場規模は、以下5項目の数値を試算の上、それぞれの数値を乗じて推計しています。:①求職者数(※2を参照)、②人材紹介及びダイレクト・リクルーティングの割合(※3を参照)、③年収(※4と同じ)、④紹介手数料(※4と同じ)、⑤2021年から2040年の期間中における介護・看護・保育それぞれの分野に充当する社会保障給付費の予想増加率(2018年に示された見通しから、2018-2022年の増加分を差し引いて算出)
6 「経済センサス・活動調査・調査の結果」が示す、医療・福祉業界に属する事業者が2016年に負担している費用の一部である外注費の合計は約2兆円です。
出典:労働者数:厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2021年7月9日)、「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(2022年1月27日)、「令和元年社会福祉施設等調査」(2021年1月22日)、「保育所等関連状況取りまとめ(令和3年4月1日)」(2021年8月27日)、「保育課関係」(2017年12月21日)。離職率:介護労働安定センター「介護労働実態調査」(2021年8月23日)、日本看護協会「2021年 病院看護・外来看護実態調査 報告書」(2022年3月)、厚生労働省「令和元年社会福祉施設等調査」(2021年1月22日)。有料サービス利用率:厚生労働省「職業紹介事業の事業報告の集計結果について」(2022年3月31日)、「一般職業紹介状況」(2021年5月28日)。平均給与額:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概要」(2023年3月17日)。施設規模・実務経験年数別の医療従事者の数:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」(2021年3月31日)。長期成長率:厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」(2018年5月21日)。外注費総額:総務省・経済産業省「平成28年(2016年)経済センサス・活動調査・調査の結果」(2018年6月28日)
また、より効率的に成約数を増やすためには、登録求職者数の増加が重要であると考えています。2022年12月末時点において、当社グループの登録求職者数が約170万人、契約施設数が約7万件であるのに対して、潜在求職者数は約940万人、潜在施設数は約46万件と推計しています(※)。有料人材紹介サービスを利用していない医療福祉従事者は依然として多く、マーケティング施策の最適化及び人材紹介サービス利用率の改善による登録者数の増加余地、また既存エリアの契約数拡大及び新規出店の継続による紹介先となる契約施設数の拡大余地は十分にあると考えています。
※ 潜在求職者数は、2025年時点の医療・介護・その他社会福祉サービス従事者数見通しの合計、潜在施設数は2021年時点の病院・診療所・指定地域密着型介護予防サービス事業者・居宅介護支援事業所・訪問介護事務所・介護保険施設・保育施設の合計です。
出典:潜在求職者数:厚生労働省「令和4年度版厚生労働白書」(2022年9月)図表1-1-6「医療・福祉分野における就業者の見通し」、潜在施設数: 厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査の概況(令和3年)」、厚生労働省「医療施設(動態)調査・病院報告の概況(令和3年)」、厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(令和3年4月1日)保育士の現状と主な取組」
(4)中長期的な経営戦略
当社グループでは、医療福祉業界が直面している社会課題の解決により、人々が幸せに暮らせる社会の実現を使命としております。人材事業で培った経験・ノウハウ・強みを活かし、幅広いサービス及びソリューションを提供することで、医療福祉業界の従事者にとって充実した職場環境づくりを推進し、更には同業界に携わる全てのステークホルダーの課題解決に貢献したいと考えております。
当社グループは、これまで「超高齢社会への進展」及び「女性の社会進出」といった社会構造の変化を契機として、強い求人需要が見込まれる介護・看護・保育領域を中心とした医療福祉分野の人材事業を積極的に拡大してまいりました。
上記のような経営環境の中、当社グループは2023-2025年度中期経営計画において、①人材ソリューション、②ICTソリューション、③データ活用などの複合的なサービスを提供することで、連結売上収益、調整後EBITDA、調整後当期利益の成長を目指し、以下の各施策を実行してまいります。
① CA型人材紹介サービス事業のさらなる成長の加速
当社グループの医療福祉業界におけるCA型人材紹介サービスの成長には、営業社員数と営業社員1人当たり売上高(※1)の向上が必要不可欠です。したがって、営業社員の離職率(※2)を適切に低減し、育成することが重要となります。また、営業社員1人当たり売上高については、求職者を効率的に施設との面談・成約へと導くことが鍵であり、各営業社員に対する生産性向上施策に加え、登録求職者数・契約施設数を拡大させることも重要となります。
当社グループはCA型人材紹介サービスの成長のため、以下の施策を実行することを計画しています。
・営業社員数:離職率の低下及び継続的な採用により、営業社員数の着実な増加を推進します。なお、離職率の低下により、キャリアアドバイザー全体に占める当社在籍期間が1年を超える者の割合は、2023年5月末時点で67%となっており、2021年及び2022年の同時点における割合である61%、50%から上昇しています。
・営業社員1人当たり売上高:ITシステムの導入を通じた営業プロセスの自動化、高パフォーマンスの営業社員の定着率(※3)向上を推進し、営業社員1人当たりの生産性向上を目指しております。
・登録求職者数:当社グループの約170万人の登録求職者に対し、2025年に見込まれる約940万人(※4)の医療福祉業界の従事者数を鑑みると、当社グループの登録求職者数が増加する余地が大きいと想定します。
・契約施設数:出店する都道府県を2022年12月末時点の25から拡大することにより、登録求職者数と同様に契約施設数を拡大いたします。
※1 医療福祉紹介売上高÷医療福祉紹介事業における年平均営業社員数。なお、営業社員にはキャリアアドバイザーの他、営業企画に係る人員が含まれています。
2 離職率:当年退職者数/(前年末の在籍人数+当年入社数)
3 定着率:1-離職率
4 厚生労働省「令和4年度版厚生労働白書」(2022年9月)図表1-1-6「医療・福祉分野における就業者の見通し」
② DR型採用支援サービスの一体提供による成長拡大
上記のとおり、人材紹介市場は今後も拡大傾向で推移することを見込んでいますが、その中でもDR型採用支援サービスは、CA型人材紹介サービスでは対応が難しい低コストでの採用という契約施設のニーズに合致しており、今後成長すると見込んでいます。DR型採用支援サービスの本格化は当社グループの更なる成長に貢献すると期待しています。
当社グループは、2021年8月の株式会社HAB&Co.買収を通じて、開発・エンジニアリングリソースを確保し、HAB&Co.社の自社プロダクトである「SHIRAHA」をベースとしたDR型採用支援サービスの機能を実装することで、迅速な事業の立ち上げを実現しました。また、2022年1月には、保育領域において8万人の登録求職者数を擁してDR型採用支援サービスを展開していた株式会社ウェルクス(※)を買収することで更なる事業拡大に取り組んでおります。
これらの施策に加えて、今後は、登録求職者数が鍵になると考えており、当社グループは既存の約170万人(2022年12月末時点)の豊富な登録求職者のデータベースを活かした成長を目指します。CA型人材紹介サービスへの登録求職者は求職意欲が高い傾向があり、そこで培われたデータベースは量・質共に競争優位性が高いと当社では考えています。したがって、CA型人材紹介サービスにより今後も拡大する登録求職者数をDR型採用支援サービスと連携させることで、成長が可能と考えています。なお、2023年3月末時点におけるDR型採用支援サービスの対象となる登録求職者数は約15万人です。
※ 株式会社ウェルクスは、2022年7月1日付で、株式会社トライトキャリアを存続会社、株式会社ウェルクスを消滅会社とする吸収合併により消滅しています。
③ 更なる成長ドライバーとしてのICTソリューション事業への取り組み
当社グループは、中期経営計画の期間において、これまでの人材紹介及び採用支援事業で培ってきた豊富な登録求職者データベース、豊富な契約施設とのネットワーク、強固な営業体制を基に、ICTを活用した医療福祉現場の業務効率化支援事業を加速させていく予定です。介護ソフトウエアや介護ロボットの導入等を通じた介護関連業務を支援するサービス展開を検討してまいります。
また、ICTソリューション及び、データ活用のサービスを迅速に拡大・展開するために、M&A・事業提携・共同研究等の機会を積極的に追求してまいります。既に、当該分野において2021年から本書提出日時点までの期間において5件のM&A・事業提携等を実施しております(各M&A・事業提携等の概要については、上記「第1 企業の概況 3 事業の内容 (4)ICT及び(5)データ活用」をご参照ください)。中期経営計画の期間中においても引き続き積極的にM&A・事業提携の実現を模索いたします。
④ 非医療福祉事業の持続的な成長
非医療福祉事業である建設人材派遣事業においては、派遣社員数(※)の向上をドライバーとして持続的な成長を目指します。
※ 建設派遣事業における年平均月末在籍派遣人数。
⑤ 継続的な成長投資に向けた潤沢なキャッシュ・フローの創出
上記「(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標」に記載のとおり、当社グループは、既存事業の成長加速、新規事業のインキュベーション、企業買収等の積極的な成長投資と、財務健全性の維持・向上を両立することを目指します。かかる観点より、調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フローコンバージョン率(※1)及び純有利子負債(※2)÷調整後EBITDA(※3)を重要な経営指標と考えています。なお、当社が想定する定期弁済額は中期経営計画期間内において年平均約15億円(2022年12月期の調整後EBITDAの約0.2倍)と非常に限定的であることから、同期間内においても資金戦略の高い柔軟性を有しています。
※1 調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フローコンバージョン率=調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フロー÷調整後EBITDA
調整後アンレバードフリー・キャッシュ・フロー=アンレバードフリー・キャッシュ・フロー+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+IPO関連費用+税金及び税効果調整額
アンレバードフリー・キャッシュ・フロー=営業活動によるキャッシュ・フロー-設備投資額(有形固定資産の取得額+無形固定資産の取得額)+(支払利息-受取利息)×(1-適用税率)
2 純有利子負債=借入金+リース負債-現金及び現金同等物
3 調整後EBITDA=EBITDA+M&A関連費用+リファイナンス関連費用(金融費用以外)+IPO関連費用
EBITDA=当期利益+法人税+金融費用-金融収益+償却費(使用権資産、顧客関連資産、その他資産を含む)+固定資産減損・除却損
⑥ サステナビリティへの取組み
当社グループは、社会を支えるエッセンシャルワーカーの方々や当社グループの従業員等、関わる全てのステークホルダーとともに人々の安心安全な暮らしを支える取組みを行っています。
a. ダイバーシティ&インクルージョン:時代の変化に伴い、ライフスタイルや人々の価値観の多様性が認められるようになりました。当社グループは、異なるバックグラウンドの従業員一人一人が能力を最大限発揮することで、大きなイノベーションがもたらされると考えています。自らの限界を決めず挑戦し続ける人を尊重し、仕事の成果を年齢・性別・学歴・国籍などに関係なく公正に測り、働きがいのある環境や機会の提供と、能力向上のための支援をしていきます。
b. 業界の働き方改善:2025年、国民の4人に1人が65歳以上になる超高齢化社会が訪れると言われており、ケアをする側とケアを受ける側の人材の需給ギャップは今後も広がることが予測されています。そこで当社グループは、働く場所としての医療・福祉業界に関心を持つ人を増やし、専門職として活躍できる人材を育成・輩出することで、医療や福祉に関わる一人一人が自分の仕事に誇りを持った世界の実現を目指すとともに、人材の需給ギャップの解消に取り組んでいきます。
c. 持続可能な医療・福祉の実現に向けたDX支援事業の推進:医療・福祉業界における労働人口の減少を補うために、テクノロジーの力を通じて現場を変えていく必要があると考えています。当社グループは、医療・福祉現場に寄り添ったDXを推進することで、働く人がより働きやすく、ケアを受ける人がより安心できる社会を目指していきます。
d. 医療・福祉人材の雇用と地域偏在の課題の補完:地域間での人口格差による人材の地域偏在の課題は、医療・福祉業界でも生じています。当社グループは、どの地域にも必要なケアを届けることができるよう、地方での雇用創出を通じて人々が活躍できる環境づくりに取り組んでいきます。
(5)対処すべき課題
当社グループは、上記の経営戦略を遂行することで、以下の課題の解決を目指します。
① 医療・介護・保育人材のキャリア支援
医療・介護・保育業界では、年々深刻化する人材不足により一人当たりの業務量が増加したことで退職者が増え、さらなる人材不足を生むという悪循環が生じています。このように、これまでは安定して長く務めることができると言われていた専門職においても、長期にわたって勤務することに不安を覚える人が増加しています。
今後、さらなる人材の流出を防ぐためには、働く人々がどのような人生を歩んでいけるのか、長期的なキャリアの形成を支援していく必要があります。また、人生100年時代と言われている現代において、当社グループとしてもパラレルワークや仕事と育児の両立支援といった新しい働き方の価値観の創造に取組んでいます。
② 地方部の医療・介護・保育人材不足解消
医療施設、介護施設及び保育施設における人材不足は年々深刻化し、特に都市部と地方部では介護士、看護師及び保育士の数に差があり、一般利用者が受けられるサービスに地域格差が生じています。当社グループの提供する人材紹介サービスにおいても、地方の医療施設、介護施設及び保育施設による求人は増加しています。当社グループが新たに営業支社を地方に設立することにより、それら地域の医療施設、介護施設及び保育施設に対し、法人訪問によるニーズの把握や面接への動向など、より地域に根ざしたサービス提供をすることが可能となります。
当社グループは今後も事業拡大を推進するとともに、人材不足解消や地域経済への貢献に取組みます。
③ 労働移動支援
新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の収縮で、企業が内部に抱える休職者が増加していることを受け、政府の雇用政策の軸足は雇用維持から人手不足の産業への移動支援に移り始めています。
このような状況において、資格を活かして長く安定的に働ける介護職への関心が高まっており、当社グループでは、介護業界への転職希望者向けに提携先を通じて介護の理念から食事・入浴・排せつの支援などの実務講義の受講機会を提供しています。
当社グループでは、今後も慢性的な人材不足が課題となっている介護業界への異業種からの労働力移動支援に積極的に取組みます。
④ 建設派遣における安定的な雇用確保
当社グループとしては特定の派遣先の需要が減少した場合にも、別の法人へ派遣するなどの柔軟な対応により、派遣従業員の非稼働時間が可能な限り起こらないように努めています。また健全な事業成長のために、業法遵守は今後より重要なテーマになるものと認識しています。特に契約内容と実務上の作業の齟齬を防止するため、定期的な監査、当社グループ営業担当者による派遣先への訪問・確認作業を行うなど、より強固な管理体制の構築に取組みます。
⑤ 業務改善の更なる推進
ここ数年、システムの導入を積極的に進めた結果、業務改善が大幅に進みました。しかし、派遣先企業との情報連携が重要な派遣事業においては、現在においても一部の派遣先企業との間ではエクセルによる管理やFaxによる情報連携が残っており、その後の作業工程での非効率な作業が発生しやすい状況です。当社グループとしては、これらに代表される事務業務・管理業務のシステム化を引き続き促進することで、効率性の改善のみならず統制の強化をも実現できるよう取組みます。
⑥ ダイバーシティ等への対応
近年、女性社員の活用について会社を挙げた戦略的な施策が社会的な要請となっています。これまで当社グループでは多くの女性社員を採用してきました。現在でも約4割は女性の社員であり、その比率は本社部門においてより大きくなっています。また、営業部門においても、管理部門でも大きな活躍を上げてきた女性社員も多く存在します。常勤の取締役、監査役及び執行役員においては、10名中3名が女性(30%)とダイバーシティが進んだ状況にあります。一方、非執行役員の管理職レベルにおいては、依然として女性比率は低く、採用・育成・登用の観点から制度の見直しを図っています。2021年3月に、女性が活躍する企業の実現を目的として代表取締役社長直轄の女性活躍推進室を設置しました。女性活躍推進室では定期的な研修会を実施するなどさまざまな施策により女性が活躍する組織の実現を目指します。