有価証券報告書-第14期(2022/10/01-2023/09/30)

【提出】
2023/12/20 16:27
【資料】
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【項目】
107項目

対処すべき課題

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針及び経営戦略等
当社は「困っている人に「あんしん」を届けることで社会に貢献する!~ Quality of Life ~」を経営理念として掲げ、「ありがとう」と言っていただける、安心・快適なサービスを提供することで社会に貢献する企業を目指します。
■目標とする経営指標
当社は、事業の継続的な拡大を通じて企業価値の向上を目指すため、「営業利益」と「売上高」を特に重要視する経営指標としています。
また、事業拡大を計るKPIとして「有効会員数」を目標値として設定しております。「有効会員数」は、過去に当社サービスに登録された全会員から、保証期間が終了した会員を差し引いた、当社サービスの会員として有効な登録数であります。有効会員に係る業務受託料が当社サービスにおいて按分計上される売上となることから、有効会員数をKPIに設定しています。会員は1会員=1保証登録であり、同一ユーザーで複数登録の場合もあります。2023年9月30日現在において有効会員数は約160万件であり、2024年9月期までに190万件を目指しております。
なお、本KPIの目標数値につきましては、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の過程に基づいており、当社が独自に判断したものであります。
有効会員数は以下のとおり推移しています。
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■中長期的な経営戦略
当社は住宅設備機器の延長保証事業を展開しております。従いまして住宅設備機器の流通数が当社サービスにおける対象母数となります。営業戦略としては、住宅設備メーカーや住宅設備機器を扱う商社といった商流の川上に位置する事業者のほか、大手ハウスメーカーやマンションデベロッパーといった新築住宅事業者や、家電量販店、全国規模で展開する住宅仲介事業者、リフォーム事業者等の流通量の多い事業者への営業展開に注力しております。
0102010_002.pngまた、それらの事業者に対する当社サービスの付加価値を高め、更なるシェアの獲得のために以下に注力した新商品の開発も行って参ります。
① ドメインの拡大
当社サービスは事業者によって一般の消費者に案内・販売されるものが多いため、事業者の業績及び評判がよくなる新規商品を開発して参ります。現在は住宅設備機器の延長保証がメインですが、領域を「住まい」に拡大し、家全般、生活全般の課題解決となるサービスを開発して参ります。
② コールセンターを中心とした新サービス
当社サービスは住宅設備機器に関する不具合の受付、住宅設備メーカーへの修理依頼、住宅設備メーカーからの完了報告といった住宅設備機器の不具合に関する一連の情報が当社コールセンターに集約されます。これらの情報は事業者では入手が難しいものも含まれます。今後はこのような、ハブ機能となる当社だからこそ入手可能な情報を独自に分析し、会員、事業者に有益なサービスを開発して参ります。
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(2)経営環境
当社は住宅設備機器の保証を主サービスとしているため、住宅業界・不動産業界の市況に影響を受けると認識しております。新築住宅着工戸数は、2022年度は約86万戸となっておりますが、今後人口減少や住宅産業全体においてフローからストックへの転換がはかられる中、新築住宅着工戸数の減少が予想されております(※1)。2030年には新築着工戸数は74万戸程度になる見通しもありますが、一定数の需要は保たれる見込みです。中古住宅市場は、2018年の既存住宅流通戸数は約16万戸であり、ここ20年は概ね±10%の中で横ばい状態となっております(※2)。リフォーム市場は、2022年は約7.3兆円となっており、こちらもここ20年は概ね±10%の中で横ばい状態となっております(※3)。中古住宅及びリフォーム市場においては、2021年3月19日に国土交通省が発表した「住生活基本計画(全国計画)」において既存住宅流通及びリフォームの市場規模を2018年時点の12兆円から2030年までに14兆円市場に、長期的目標としては20兆円市場にすることを国家戦略として掲げており、今後の成長産業として期待されます。以上のことから、新築住宅、中古住宅、リフォームともに需要は安定的に推移するものと見通しております。
※1 出典:株式会社矢野経済研究所「2030年の住宅市場の展望」
※2 出典:総務省「住宅・土地統計調査」2018年流通戸数は1月~9月の合計値に12/9を乗じて算出
※3 出典:株式会社矢野経済研究所「2023年版 住宅リフォーム市場の展望と戦略 」
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は住宅設備機器の延長保証事業を展開しております。市場全体として同事業の認知は拡大しており、住宅設備機器供給業界でのシェア確保や競合他社に対する優位性の継続的な確保が必要と考えております。
また、同事業はストック型ビジネスであり安定的な収益を上げることが可能ですが、当社の一層の成長のためには、同事業の拡大のみでなく、当社が培ったサービスのノウハウを活かしたフロー型ビジネスへの本格参入も必要と考えております。
なお、ストック型ビジネスとは一括にて収受した保証料を保証期間に応じ按分し収益を認識するビジネス、フロー型ビジネスとはサービス提供と同時に収益を認識するビジネスと当社は定義しております。
こうした方針のもと、当社の対処すべき課題は①新たな集客戦略・販路拡大、②新規事業の開発、③ITシステムの向上及び業務効率化、④優秀な人材の確保及び育成、⑤激甚災害等への対策と考えております。
① 新たな集客戦略・販路拡大
a 新築住宅市場における販売促進
当社は大手ハウスメーカーを中心とした新築住宅請負、分譲住宅供給会社、マンションデベロッパー等、戸建て・マンションにおける新築住宅事業者に対して、親和性の高い駆けつけサービス、申込方法簡略化、コールセンターの一括代理等を付帯することで差別化を図っております。
新築住宅市場においては、今後少子高齢化・人口減少に伴い着工戸数の減少が見込まれるため、当社サービスに新築住宅事業者とエンドユーザーのニーズをマッチさせる付加価値を付けることで、マーケットシェア拡大に取り組んで参ります。
b リフォーム市場における販売促進
住まいの選択肢の多様化に伴うリノベーションやサスティナブルな社会への関心の高まりを背景に、リフォーム需要が高まっています。リフォーム市場においても新築住宅市場と同様、カギ・水まわり・ガラスの緊急駆けつけサービスといった親和性の高い付加価値を付けたサービス等によりリフォーム専門事業者並びに新築住宅事業者のリフォーム部門への販路拡大、マーケットシェア拡大に取り組んで参ります。
c 中古住宅市場・既存住宅市場における販売促進
政府においても2021年3月に閣議決定された新たな「住生活基本計画(全国計画)」に示されているとおり、中古住宅の資産価値を高める取組みや既存住宅流通市場の環境整備が進められており、中古住宅市場の拡大が見込まれます。当社としても、新築及びリフォーム施工時に附帯する住宅設備保証に加え、中古住宅の売買契約時を保証始期とする保証サービスの導入を進めております。また、こちらのサービスは賃貸住宅オーナー等、多数の設備機器を所有するユーザーの設備機器修理代を平準化させるものとしても販売促進を行って参ります。
② 新規事業の開発
新築住宅の設備保証のみでは競合他社に明確な差別化戦略を取ることに限りがあるため、当社は今後、設備保証のみならず、設備保証運営において培ったノウハウを基に住宅、暮らしの全体をマーケットとしたサービス展開を推進して参ります。
直近においては、鍵・水回り・ガラスの緊急駆けつけサービスを付帯した保証や、中古住宅設備機器に対する保証サービスを展開しております。
③ ITシステムの向上及び業務効率化
当社は今後の会員数増加や事業拡大、事業環境の変化等に対応するためにITシステムに対する投資を行っております。また同時に保証登録から請求、エンドユーザーからの修理受付、メーカーへの修理依頼といった延長保証に関する一連の多様化した業務を見直し、システム化を進めることで業務効率化・迅速化を推進し、質・スピードの向上が実現できる環境整備を進めて参ります。
④ 優秀な人材の確保及び育成
当社は今後の事業拡大や継続した発展のために優秀な人材の確保及び育成が不可欠であると認識しております。そのため、当社の求める専門性や資質を兼ね備えた人材の登用を進めるとともに、各種社内研修の実施等による継続的な成長促進、働きやすい職場環境の整備に取り組むことで、優秀な人材の確保及び育成を進めて参ります。
⑤ 激甚災害等への対策
当社は、自然災害や事故に備え、コールセンター機能を業務委託先の提携会社に委託することでリスクを回避しております。またコールセンター以外の役割に関しても決議事項のデジタル化、テレワーク体制の整備等、様々なリスクに対応できる体制の整備を進めておりますが、今後も対応力を増強すべく、対策を進めて参ります。
⑥ 財務上の課題
当社は、契約時に業務受託料を一括にて受領しております。受領した業務受託料は前受収益及び長期前受収益として計上しており、当該受託料をもとに事業を展開しております。この事業モデルにおいて財務上のリスクは軽微と判断しております。