有価証券報告書-第11期(2024/09/01-2025/08/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、創業以来「リモートワークを当たり前にする」というミッションに基づき、リモートワークの普及と、多様な人材がリモートで柔軟に働ける環境づくりに注力してまいりました。自らもフルリモートワークを実践し、取締役会、監査役会、内部監査等を含むあらゆる会議体や業務をオンラインで運営することで、次世代の働き方を体現しております。また、国内外のリモート人材によるマーケティングから商談・契約・サービス提供までの全てをオンラインで完結する体制を構築し、地理的・時間的な制約を超えた24時間365日の対応や、分単位でのサービス提供を実現することで、顧客企業に対してこれまでにない柔軟で高効率な業務支援を提供してまいりました。こうした取り組みを基盤としつつ、当社グループは2025年9月にミッションを「創り変える。働くの全てを。」に刷新しました。生成AIの劇的な進化により「働く」の概念が根本から変わりつつある今、リモートワークという働き方の選択肢にとどまらず、働き方そのものを再定義し、社会全体の労働構造のアップデートに貢献してまいります。あわせて、新たに掲げたビジョン「自然体で合理的な世界」は、社会がこれから向かう未来の景色を示すものであります。新しいミッションは、こうした未来を自らの手で創り出していくという当社の意思表示であり、全ての事業・サービスにおいてAI駆動開発を基本とする「AI FIRST」のストラテジーを通じ、働く仕組みを一段と合理化し、持続的な成長に繋げてまいります。
ビジョン :自然体で合理的な世界
ミッション :創り変える。働くの全てを。
Work. Created Anew
ストラテジー:AI FIRST
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの持続的な成長と企業価値向上を示す指標として、売上高、事業セグメント別売上高、売上総利益、売上総利益率、販管費、販管費比率、営業利益、営業利益率を経営上重要な指標として位置付けております。
また、売上高の拡大には、顧客企業稼働社数、解約率・継続期間、ARPU、MRR、広告費、CAC、LTV、獲得コスト(CAC)の回収期間、LTV/CAC(ユニットエコノミクス)の拡大・改善が必要であると考えております。
以下では、当社グループの全社及び事業セグメント別の売上高、売上総利益、販管費、営業利益及び各KPIの推移を掲載しており、収益性を維持、向上しつつ、成長性が拡大していることを示していると当社グループでは考えております。
財務指標の推移
(注) 当連結会計年度より、「WaaS事業」としていた報告セグメントの名称を「BPaaS事業」に変更しております。
KPIの推移
(注) 1.各数値はBPaaS事業・在宅派遣サービスにおいて、契約が3ヶ月以内に終了する顧客を除いた数値で算出しております。
2.各期8月末時点の数値であります。
3.解約率は、当期解約社数を各月の月初時点稼働社数の和と当期開始社数の和で除した数値であります。
4.ARPUは、BPaaS事業・在宅派遣サービスの年間売上を、前期末時点稼働社数に期中の開始社数の二分の一(月途中開始案件を鑑み概算値として算出)を加え解約社数を減じた数で除した数値であります。
5.MRRは、継続案件の月額売上であります。
6.広告費及び販促費は、会計上の広告宣伝費と販売促進費の和であります。
7.CACは、広告費及び販促費と顧客獲得に要した営業人員の人件費の和を、当期の受注数で除した数値であります。
8.LTVは、ARPUを粗利率で乗じた数値を、解約率で除したものであります。
9.獲得コスト(CAC)の回収期間は、CACを、ARPUと売上総利益率を乗じた数値で、除したものであります。
10.LTV/CACは、LTVをCACで除した数値であります。
なお、子会社の連結化や新規事業の拡大により事業構造が多様化するなか、従来開示していた一部のKPIについて、グループ全体の業績や成長性を代表するものとして受け取られる可能性があり、現状の事業実態との乖離が懸念される状況となっております。このため、情報の正確性及び投資家の皆さまへの公平な情報提供の観点から、第12期よりKPIの開示指標を見直し、主要事業であるBPaaS事業における顧客企業稼働社数及びARPU(顧客平均単価)のみを開示する方針といたしました。これにより、事業の成長性をより適切かつ明確に示してまいります。
(3) 経営環境
少子高齢化が進行し、生産年齢人口が減少している昨今、中小企業の人材不足は継続して発生しております。スキルや経験があるにもかかわらず、労働時間や居住地などを理由に活躍できる機会を制約されている人材もいることから、リソース不足を課題とする顧客企業とワーカーとの間に立ち、それぞれに「労働機会」「リソース」を提供することで、双方の課題解決に寄与していきたいと考えております。

従来のBPO企業においては、オフィスや支店を構えることによる地代家賃や維持費用、出社や支店間移動に伴う通勤移動費用、ワーカーが作業をしていないアイドルタイムの給与等が生じるため、これらの費用を回収可能な価格設定とする必要があり、販売ロットが大きくなる傾向がございました。その結果として、顧客企業の資金事情によっては導入ハードルが高く、利用しにくいという側面があったものの、これらの課題をリモートワークの利点を活かし、最大限の費用排除を可能といたしました。この結果、販売ロットの小ロット化を実現し、資金事情によりBPO利用が難しかった中小企業や個人事業主などを中心にサービス導入が広がり、2025年8月末時点でサービス導入企業数累計は約5,800社となっております。実際に、顧客企業の8割以上が従業員数300人以下の中小企業になっており、幅広い顧客企業が利用できるビジネスモデルを実現しているといえます。
フルリモートワーク(注)を駆使することによる従前の企業との差別化要因は以下の3点であります。
(注) フルリモートワークとは1日も出社しない完全なリモートワーク形態のことであり、当社においては、重要書類・備品管理等に必要な人員を除き、2025年8月末日時点において従業員(臨時従業員含む)の98.5%がフルリモートで勤務しております。
① フルリモートワークは就業者にとって魅力があり、高い採用力を維持できている
コロナウイルスの蔓延を契機に多くの会社・職種でリモートワークの導入・活用が進みましたが、現在では社会状況や業務特性に応じて、対面でのコミュニケーションを重視し、出社を推奨する動きが見られています。一方で、テレワークに関する定量調査(注)によれば、今後もテレワークを継続したいという回答は全体の82%に上り、出社に戻したいという風潮とリモートワークを継続したいという風潮に大きなギャップが生まれているものと思われます。当社は、創業時からフルリモートで勤務する体制を維持しており、居住地やライフスタイルに制約されない柔軟な働き方を提供しております。こうした環境は多様な人材にとって高い魅力を有しており、全国各地から応募が寄せられるなど、高い採用力を維持しております。
(注) 株式会社パーソル総合研究所による「第10回・テレワークに関する定量調査」(2025年8月発表)
② フルリモート環境においては適した専門性を持つメンバーをすぐに見つけ登用できる
新規事業やプロジェクトの立ち上がりの際は、必要な人員を固定で求人・採用する必要があり、且つ案件の開始までに一定の時間が必要となります。当社においては、フルリモートにより、時間的・地理的な制約を最小限にすることで、多くのリモートワーカーが当社グループ事業に参画しております。当社に登録のあるリモートワーカーの中から専門性の高いスキルを有する登録者を、案件ごとにスピーディーかつ柔軟に活用することが可能であります。その結果、新たな取り組みの際、適した専門性を持つメンバーを早期に調査・アサインするなど、チームの組成がしやすく、スピード感をもった事業の推進を可能にしております。
③ 大規模組織におけるフルリモートワーク運営を実現するインフラ・運用を独自に構築
当社は2014年の創業以来、フルリモートによる企業経営を自ら実践し、事業面でも各種サービスをリモートで提供しております。その実現のため、採用メディア運営による人材集客をはじめ、ワーカー管理、セキュリティ管理フロー、業務マッチングプラットフォーム、ディレクションシステムなど、独自のインフラと運用を確立しております。さらに現在は、これらの運用基盤にAI技術を組み込み、ビジネス業務の大半を占めるコミュニケーションやディレクション領域の自動化を実装することで、従業員・顧客双方の業務生産性向上と、「AIプロダクトによる業務構造改革」を中核とした次世代のリモートワーク・BPaaSモデルの実現を目指しております。リモートワークを前提とした柔軟な組織運営とAI開発力を融合させることで、大規模組織におけるフルリモートワーク運営を可能とする独自のインフラと運用を確立しております。
(4) 経営戦略
当社は創業から今日に至るまで、既存事業からの独立、新しいサービスの立案をはじめとした新規事業の開発、M&Aを実施し、リモートワークを基盤とした各種サービスを展開してまいりました。「リモートワークを当たり前にする」というミッションの実現に向け、セグメント拡大による事業・サービスの多角化を進めてまいりましたが、生成AIの進展など急速な環境変化を踏まえ、2025年9月にミッションを「創り変える。働くの全てを。」へ刷新いたしました。
新たなミッションの実現に向け、当社グループは2026年8月期から2028年8月期までの3年間を対象とする中期経営計画を策定し、収益性を高めながら経営基盤を固め、更なる成長を目指してまいります。最終年度にあたる2028年8月期に、親会社株主に帰属する当期純利益2億円の達成を目標としております。本計画のもと、2026年8月期より、事業の成長段階と役割に応じてセグメントを再編し、「BPaaS事業」「HR事業」「AI Tech事業」の3区分に報告セグメントを変更いたします。BPaaS事業は当社グループのコア事業として、業務プロセスの標準化とAI活用による生産性向上を通じ、安定した収益基盤の拡大を図ります。AI Tech事業は、グループ横断で培ったAI技術を基盤としたプロダクト群によって、BPaaSの付加価値向上と新たな市場創出を担います。一方、HR事業については、既存アセットを活かしつつ、利益確保を重視した運営を行い、必要に応じて再編を検討いたします。
これらの施策を通じて、ノンコア事業であるHR事業で安定的な利益を確保しつつ、コア事業であるBPaaS及びAI Tech領域へ重点的に投資を行い、AIファースト経営のもとで持続的な成長と企業価値の最大化を目指してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 成長領域への戦略的投資と収益性の改善
当社グループが展開する事業は、少子高齢化による人手不足や働き方の多様化を背景に、業務のアウトソーシングや効率化に対する企業の関心が高まっている環境下にあります。特にマイクロロット市場におけるサービスは、個人による利用の広がりとともに当社の顧客基盤拡大に寄与しております。こうした市場環境を踏まえ、引き続きサービスラインナップや提供体制の最適化を図りつつ、マーケティング投資の効率化や広告アロケーションの見直しによって、収益性の改善に取り組んでまいります。
② 生産性の向上と適正利益の確保
組織として統一した品質を提供するとともに、適正な営業利益を獲得する体制を整備していく方針であります。当社では、独自システムを活用したキャスティング業務の自動化により業務を効率化することでフロントの生産性を向上してまいりました。今後は、特に事業の中核を占めるコミュニケーション・ディレクション領域において、AI駆動開発による業務構造改革を推進し、適正な営業利益の確保に努めてまいります。また、専門性の高い領域における体制強化や、生成AI等の活用による業務効率化を通じて、利益率の改善と持続的な事業成長を目指します。
③ 情報管理の徹底
当社グループは、顧客から受託した業務に資する情報を取得し、当社グループ正社員及び業務委託先間で必要に応じて共有しながら業務を行うため、データ保護責任者(DPO)として専門家の登用、ISMSの取得などのオペレーションを確立するとともに、個人情報については、プライバシーマークを取得するなど、個人情報や機密情報の徹底した管理体制の構築・運用に努めております。当社グループは、これらの対策の重要性を認識した上で、今後も継続的に情報管理の徹底に努めてまいります。
④ 社内管理体制の強化
当社グループは成長段階にあるため、継続的な成長をしていくために、組織的な管理体制を整備・運用していくことが重要であり、経営の公正性や透明性を確保するために、内部統制システム強化に取り組んでおります。
当社グループでは、業務における属人性を排除し、組織規模の拡大に対応した社内管理体制の充実やシステム化が必要不可欠であると考えております。
(1) 経営方針
当社グループは、創業以来「リモートワークを当たり前にする」というミッションに基づき、リモートワークの普及と、多様な人材がリモートで柔軟に働ける環境づくりに注力してまいりました。自らもフルリモートワークを実践し、取締役会、監査役会、内部監査等を含むあらゆる会議体や業務をオンラインで運営することで、次世代の働き方を体現しております。また、国内外のリモート人材によるマーケティングから商談・契約・サービス提供までの全てをオンラインで完結する体制を構築し、地理的・時間的な制約を超えた24時間365日の対応や、分単位でのサービス提供を実現することで、顧客企業に対してこれまでにない柔軟で高効率な業務支援を提供してまいりました。こうした取り組みを基盤としつつ、当社グループは2025年9月にミッションを「創り変える。働くの全てを。」に刷新しました。生成AIの劇的な進化により「働く」の概念が根本から変わりつつある今、リモートワークという働き方の選択肢にとどまらず、働き方そのものを再定義し、社会全体の労働構造のアップデートに貢献してまいります。あわせて、新たに掲げたビジョン「自然体で合理的な世界」は、社会がこれから向かう未来の景色を示すものであります。新しいミッションは、こうした未来を自らの手で創り出していくという当社の意思表示であり、全ての事業・サービスにおいてAI駆動開発を基本とする「AI FIRST」のストラテジーを通じ、働く仕組みを一段と合理化し、持続的な成長に繋げてまいります。
ビジョン :自然体で合理的な世界
ミッション :創り変える。働くの全てを。
Work. Created Anew
ストラテジー:AI FIRST
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの持続的な成長と企業価値向上を示す指標として、売上高、事業セグメント別売上高、売上総利益、売上総利益率、販管費、販管費比率、営業利益、営業利益率を経営上重要な指標として位置付けております。
また、売上高の拡大には、顧客企業稼働社数、解約率・継続期間、ARPU、MRR、広告費、CAC、LTV、獲得コスト(CAC)の回収期間、LTV/CAC(ユニットエコノミクス)の拡大・改善が必要であると考えております。
以下では、当社グループの全社及び事業セグメント別の売上高、売上総利益、販管費、営業利益及び各KPIの推移を掲載しており、収益性を維持、向上しつつ、成長性が拡大していることを示していると当社グループでは考えております。
財務指標の推移
| (単位:千円) | |||||
| 2021年8月期 (単体) | 2022年8月期 (単体) | 2023年8月期 (単体) | 2024年8月期 (連結) | 2025年8月期 (連結) | |
| 売上高 | 2,235,478 | 3,338,001 | 4,179,385 | 4,440,248 | 4,588,129 |
| BPaaS事業 | 1,783,627 | 2,653,315 | 3,320,505 | 3,597,132 | 3,571,367 |
| その他事業 | 451,851 | 684,685 | 858,879 | 843,115 | 1,016,761 |
| 売上総利益 (売上総利益率) | 922,669 (41.3%) | 1,281,953 (38.4%) | 1,618,564 (38.7%) | 1,776,734 (40.0%) | 1,680,506 (36.6%) |
| 販管費 (販管費比率) | 1,284,802 (57.5%) | 1,444,715 (43.3%) | 1,615,639 (38.7%) | 1,927,993 (43.4%) | 2,063,488 (45.0%) |
| 営業利益 (営業利益率) | △362,132 (△16.2%) | △162,762 (△4.9%) | 2,925 (0.1%) | △151,258 (△3.4%) | △382,982 (△8.3%) |
(注) 当連結会計年度より、「WaaS事業」としていた報告セグメントの名称を「BPaaS事業」に変更しております。
KPIの推移
| 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 | |
| 顧客企業稼働社数 (注)1、2 | 1,168社 | 1,192社 | 1,316社 |
| 解約率 (注)1、3 | 4.0% | 3.7% | 3.6% |
| ARPU (注)4 | 299千円 | 313千円 | 280千円 |
| MRR (注)1、2、5 | 3.3億円 | 3.5億円 | 3.3億円 |
| 広告費及び販促費 (注)1、6 | 253百万円 | 389百万円 | 230百万円 |
| CAC (注)1、7 | 40万円 | 71万円 | 39万円 |
| LTV (注)1、8 | 287万円 | 328万円 | 276万円 |
| 獲得コスト(CAC)の回収期間 (注)1、9 | 3.6ヶ月 | 5.8ヶ月 | 3.9ヶ月 |
| LTV /CAC (注)1、10 | 703% | 461% | 700% |
(注) 1.各数値はBPaaS事業・在宅派遣サービスにおいて、契約が3ヶ月以内に終了する顧客を除いた数値で算出しております。
2.各期8月末時点の数値であります。
3.解約率は、当期解約社数を各月の月初時点稼働社数の和と当期開始社数の和で除した数値であります。
4.ARPUは、BPaaS事業・在宅派遣サービスの年間売上を、前期末時点稼働社数に期中の開始社数の二分の一(月途中開始案件を鑑み概算値として算出)を加え解約社数を減じた数で除した数値であります。
5.MRRは、継続案件の月額売上であります。
6.広告費及び販促費は、会計上の広告宣伝費と販売促進費の和であります。
7.CACは、広告費及び販促費と顧客獲得に要した営業人員の人件費の和を、当期の受注数で除した数値であります。
8.LTVは、ARPUを粗利率で乗じた数値を、解約率で除したものであります。
9.獲得コスト(CAC)の回収期間は、CACを、ARPUと売上総利益率を乗じた数値で、除したものであります。
10.LTV/CACは、LTVをCACで除した数値であります。
なお、子会社の連結化や新規事業の拡大により事業構造が多様化するなか、従来開示していた一部のKPIについて、グループ全体の業績や成長性を代表するものとして受け取られる可能性があり、現状の事業実態との乖離が懸念される状況となっております。このため、情報の正確性及び投資家の皆さまへの公平な情報提供の観点から、第12期よりKPIの開示指標を見直し、主要事業であるBPaaS事業における顧客企業稼働社数及びARPU(顧客平均単価)のみを開示する方針といたしました。これにより、事業の成長性をより適切かつ明確に示してまいります。
(3) 経営環境
少子高齢化が進行し、生産年齢人口が減少している昨今、中小企業の人材不足は継続して発生しております。スキルや経験があるにもかかわらず、労働時間や居住地などを理由に活躍できる機会を制約されている人材もいることから、リソース不足を課題とする顧客企業とワーカーとの間に立ち、それぞれに「労働機会」「リソース」を提供することで、双方の課題解決に寄与していきたいと考えております。

従来のBPO企業においては、オフィスや支店を構えることによる地代家賃や維持費用、出社や支店間移動に伴う通勤移動費用、ワーカーが作業をしていないアイドルタイムの給与等が生じるため、これらの費用を回収可能な価格設定とする必要があり、販売ロットが大きくなる傾向がございました。その結果として、顧客企業の資金事情によっては導入ハードルが高く、利用しにくいという側面があったものの、これらの課題をリモートワークの利点を活かし、最大限の費用排除を可能といたしました。この結果、販売ロットの小ロット化を実現し、資金事情によりBPO利用が難しかった中小企業や個人事業主などを中心にサービス導入が広がり、2025年8月末時点でサービス導入企業数累計は約5,800社となっております。実際に、顧客企業の8割以上が従業員数300人以下の中小企業になっており、幅広い顧客企業が利用できるビジネスモデルを実現しているといえます。
フルリモートワーク(注)を駆使することによる従前の企業との差別化要因は以下の3点であります。
(注) フルリモートワークとは1日も出社しない完全なリモートワーク形態のことであり、当社においては、重要書類・備品管理等に必要な人員を除き、2025年8月末日時点において従業員(臨時従業員含む)の98.5%がフルリモートで勤務しております。
① フルリモートワークは就業者にとって魅力があり、高い採用力を維持できている
コロナウイルスの蔓延を契機に多くの会社・職種でリモートワークの導入・活用が進みましたが、現在では社会状況や業務特性に応じて、対面でのコミュニケーションを重視し、出社を推奨する動きが見られています。一方で、テレワークに関する定量調査(注)によれば、今後もテレワークを継続したいという回答は全体の82%に上り、出社に戻したいという風潮とリモートワークを継続したいという風潮に大きなギャップが生まれているものと思われます。当社は、創業時からフルリモートで勤務する体制を維持しており、居住地やライフスタイルに制約されない柔軟な働き方を提供しております。こうした環境は多様な人材にとって高い魅力を有しており、全国各地から応募が寄せられるなど、高い採用力を維持しております。
(注) 株式会社パーソル総合研究所による「第10回・テレワークに関する定量調査」(2025年8月発表)
② フルリモート環境においては適した専門性を持つメンバーをすぐに見つけ登用できる
新規事業やプロジェクトの立ち上がりの際は、必要な人員を固定で求人・採用する必要があり、且つ案件の開始までに一定の時間が必要となります。当社においては、フルリモートにより、時間的・地理的な制約を最小限にすることで、多くのリモートワーカーが当社グループ事業に参画しております。当社に登録のあるリモートワーカーの中から専門性の高いスキルを有する登録者を、案件ごとにスピーディーかつ柔軟に活用することが可能であります。その結果、新たな取り組みの際、適した専門性を持つメンバーを早期に調査・アサインするなど、チームの組成がしやすく、スピード感をもった事業の推進を可能にしております。
③ 大規模組織におけるフルリモートワーク運営を実現するインフラ・運用を独自に構築
当社は2014年の創業以来、フルリモートによる企業経営を自ら実践し、事業面でも各種サービスをリモートで提供しております。その実現のため、採用メディア運営による人材集客をはじめ、ワーカー管理、セキュリティ管理フロー、業務マッチングプラットフォーム、ディレクションシステムなど、独自のインフラと運用を確立しております。さらに現在は、これらの運用基盤にAI技術を組み込み、ビジネス業務の大半を占めるコミュニケーションやディレクション領域の自動化を実装することで、従業員・顧客双方の業務生産性向上と、「AIプロダクトによる業務構造改革」を中核とした次世代のリモートワーク・BPaaSモデルの実現を目指しております。リモートワークを前提とした柔軟な組織運営とAI開発力を融合させることで、大規模組織におけるフルリモートワーク運営を可能とする独自のインフラと運用を確立しております。
(4) 経営戦略
当社は創業から今日に至るまで、既存事業からの独立、新しいサービスの立案をはじめとした新規事業の開発、M&Aを実施し、リモートワークを基盤とした各種サービスを展開してまいりました。「リモートワークを当たり前にする」というミッションの実現に向け、セグメント拡大による事業・サービスの多角化を進めてまいりましたが、生成AIの進展など急速な環境変化を踏まえ、2025年9月にミッションを「創り変える。働くの全てを。」へ刷新いたしました。
新たなミッションの実現に向け、当社グループは2026年8月期から2028年8月期までの3年間を対象とする中期経営計画を策定し、収益性を高めながら経営基盤を固め、更なる成長を目指してまいります。最終年度にあたる2028年8月期に、親会社株主に帰属する当期純利益2億円の達成を目標としております。本計画のもと、2026年8月期より、事業の成長段階と役割に応じてセグメントを再編し、「BPaaS事業」「HR事業」「AI Tech事業」の3区分に報告セグメントを変更いたします。BPaaS事業は当社グループのコア事業として、業務プロセスの標準化とAI活用による生産性向上を通じ、安定した収益基盤の拡大を図ります。AI Tech事業は、グループ横断で培ったAI技術を基盤としたプロダクト群によって、BPaaSの付加価値向上と新たな市場創出を担います。一方、HR事業については、既存アセットを活かしつつ、利益確保を重視した運営を行い、必要に応じて再編を検討いたします。
これらの施策を通じて、ノンコア事業であるHR事業で安定的な利益を確保しつつ、コア事業であるBPaaS及びAI Tech領域へ重点的に投資を行い、AIファースト経営のもとで持続的な成長と企業価値の最大化を目指してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 成長領域への戦略的投資と収益性の改善
当社グループが展開する事業は、少子高齢化による人手不足や働き方の多様化を背景に、業務のアウトソーシングや効率化に対する企業の関心が高まっている環境下にあります。特にマイクロロット市場におけるサービスは、個人による利用の広がりとともに当社の顧客基盤拡大に寄与しております。こうした市場環境を踏まえ、引き続きサービスラインナップや提供体制の最適化を図りつつ、マーケティング投資の効率化や広告アロケーションの見直しによって、収益性の改善に取り組んでまいります。
② 生産性の向上と適正利益の確保
組織として統一した品質を提供するとともに、適正な営業利益を獲得する体制を整備していく方針であります。当社では、独自システムを活用したキャスティング業務の自動化により業務を効率化することでフロントの生産性を向上してまいりました。今後は、特に事業の中核を占めるコミュニケーション・ディレクション領域において、AI駆動開発による業務構造改革を推進し、適正な営業利益の確保に努めてまいります。また、専門性の高い領域における体制強化や、生成AI等の活用による業務効率化を通じて、利益率の改善と持続的な事業成長を目指します。
③ 情報管理の徹底
当社グループは、顧客から受託した業務に資する情報を取得し、当社グループ正社員及び業務委託先間で必要に応じて共有しながら業務を行うため、データ保護責任者(DPO)として専門家の登用、ISMSの取得などのオペレーションを確立するとともに、個人情報については、プライバシーマークを取得するなど、個人情報や機密情報の徹底した管理体制の構築・運用に努めております。当社グループは、これらの対策の重要性を認識した上で、今後も継続的に情報管理の徹底に努めてまいります。
④ 社内管理体制の強化
当社グループは成長段階にあるため、継続的な成長をしていくために、組織的な管理体制を整備・運用していくことが重要であり、経営の公正性や透明性を確保するために、内部統制システム強化に取り組んでおります。
当社グループでは、業務における属人性を排除し、組織規模の拡大に対応した社内管理体制の充実やシステム化が必要不可欠であると考えております。