有価証券報告書-第16期(2024/07/01-2025/06/30)
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における総資産は4,417百万円となり、前事業年度末と比較して316百万円増加いたしました。流動資産は4,162百万円となり、416百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が297百万円、契約資産が225百万円、仕掛品が37百万円増加した一方で、売掛金が136百万円減少したことによるものであります。固定資産は254百万円となり、100百万円減少いたしました。これは主に繰延税金資産が89百万円、ソフトウエアが4百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債は477百万円となり、前事業年度末と比較して14百万円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が35百万円、買掛金が17百万円、その他に含まれる仮受金が12百万円、賞与引当金が11百万円増加した一方で、長期借入金が65百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は3,940百万円となり、前事業年度末と比較して301百万円増加いたしました。これは主に当期純利益の計上により利益剰余金が298百万円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境が改善する下で緩やかに回復してきました。一方で、米国の関税交渉の進展により世界経済は落ち着きを見せ、エネルギー価格も増産方針等により下落基調にありましたが、再度の交渉期限が近づき中東情勢も混乱する中で不透明な状況が続きました。
エネルギー価格の変動の影響を大きく受ける電力に関しては、EVの普及やIT機器の利活用等により今後も旺盛な需要が続くと見込まれており、一層の安定的かつ経済的な供給体制が求められております。昨今は生成AIの需要の高まりに伴い、大規模な電力消費を伴うデータセンターの設置や増強が加速しています。また、大量のデータを必要とする社会全体のデジタル化に伴い、製造に膨大な電力を必要とする半導体の需要も急速に増加しています。電力広域的運営推進機関によると、データセンターや半導体工場の新増設に伴う需要電力量は2034年度までに514億kWh増加し、電力需要全体でも増加の見通しとなっております(出典:全国及び供給区域ごとの需要想定(2025年度)、電力広域的運営推進機関、2025年1月22日公表)。
このような状況下、当社は電力会社に対して、AI技術や数理最適化技術を用いた電力需給計画の最適化を提供しており、AIエンジン開発、システム開発、運用・サポートまで一貫したサービスを展開し、電力会社のエネルギー消費量の削減を実現してまいりました。今後も電力会社におけるサービス拡大を進めつつ、大口需要家に対しても蓄電池の充放電最適化のシステムを搭載した蓄電所を開発・提供し、社会全体のエネルギー消費量の削減に貢献してまいります。
また、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティの分野にも注力し、配船計画、生産計画、修繕計画等の最適化も提供してまいりました。
これまでの計画業務は、オペレーションを熟知した熟練人材による多大な労力により成立しておりましたが、AI技術や数理最適化技術を用いた当社の計画最適化サービスは、複雑かつ不確実性の高いビジネス環境下でも短時間で最適な計画を提供し、属人性を排することを可能としております。このことから、今後の労働人口減少から想定される社会インフラの人材不足とサービスの安定供給という課題に対して、当社のサービスは有力な解決方法と考えられ、当社の事業に対する期待は一層高まっております。
当事業年度は、引き続き電力・エネルギー、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティの3分野に注力いたしましたが、予算規模が大きい電力会社からの追加受注や本番導入開発が加速したため、電力・エネルギー分野の売上が全体の6割程度を占めることとなりました。物流・サプライチェーン分野についても、配船計画における運用・サポート売上の増加により全体の3割近くを占める売上となりました。また、都市交通・スマートシティについては、鉄道会社における修繕計画最適化のAIエンジン開発が進展し、堅調に推移しました。結果、3分野での取引先数は増加し、顧客平均売上も増加いたしました。
当社は、AIエンジン及びシステム開発をフロー型売上、運用・サポートをストック型売上として定義しておりますが、2025年6月期の電力・エネルギー分野の合計売上高は1,202百万円(前期比47.9%増)、うちフロー型売上は1,029百万円(前期比49.2%増)でストック型売上は172百万円(前期比40.4%増)、物流・サプライチェーン分野の合計売上高は564百万円(前期比11.4%減)、うちフロー型売上は303百万円(前期比24.5%減)でストック型売上は260百万円(前期比11.0%増)、都市交通・スマートシティ分野の合計売上高は215百万円(前期比21.4%増)、うちフロー型売上は138百万円(前期比2.5%増)でストック型売上は77百万円(前期比81.1%増)、社会インフラ3分野に分類されないその他の合計売上高は81百万円(前期比236.8%増)となりました。
また、当社は開発体制の強化に向けて優秀なエンジニアの積極採用を行うことで今後の事業拡大に向けた取り組みを進めており、当事業年度末におけるエンジニアは73名(前期比9.0%増)となりました。加えて、管理体制の強化も進めており、営業・管理部門は36名(前期比20.0%増)となりました。このことから、製造費用におけるエンジニアの人件費は758百万円(前期比22.1%増)、販管費における営業・管理部門の人件費は407百万円(前期比17.0%増)となりました。
以上より、2025年6月期について、売上高は2,063百万円(前期比24.9%増)となり、営業利益428百万円(前期比17.1%増)、経常利益428百万円(前期比24.6%増)となりました。当期純利益は、主に繰越欠損金の解消により法人税、住民税及び事業税が36百万円、法人税等調整額が151百万円増加した影響で、298百万円(前期比26.1%減)となりました。また、ストック型売上比率は24.7%(前期比0.5ポイント増)、全体の顧客平均売上は48.0百万円(前期比1.2%減)、取引先数は43社(前期比26.5%増)、うちAI開発、システム開発、運用・サポートの3区分では、顧客平均売上は54.9百万円(前期比10.3%増)、取引先数は36社(前期比9.1%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は3,197百万円となり、前事業年度末と比較して297百万円増加いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は405百万円(前期は285百万円の資金の獲得)となりました。主な収入要因は、税引前当期純利益425百万円、減価償却費51百万円、仕入債務の増加17百万円、賞与引当金の増加11百万円である一方、主な支出要因は、売掛金及び契約資産の増加89百万円、棚卸資産の増加35百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は46百万円(前期は37百万円の資金の使用)となりました。支出要因は、有形固定資産の取得2百万円、無形固定資産の取得43百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は62百万円(前期は1,980百万円の資金の獲得)となりました。収入要因は、ストックオプションの行使による収入3百万円である一方、主な支出要因は、長期借入金の返済65百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
b 受注実績
当事業年度の受注実績は次のとおりであります。
c 販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社はAI開発事業の単一セグメントであるため、セグメントの記載を省略しております。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当事業年度における売上高は2,063百万円(前期比24.9%増)となり、前事業年度と比較して411百万円の増収となりました。これは主に本番導入の進展及び運用・サポートの開始、その後のアップセル・クロスセルによる既存顧客からの継続的な受注によるものであり、既存顧客への売上は1,720百万円と全体の83.4%を占めることとなりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は548百万円(前期比36.5%増)となりました。主な内訳は、エンジニアの人件費、ソフトウエア関連費用及び外注費であります。この結果、売上総利益は1,515百万円(前期比21.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は1,086百万円(前期比22.8%増)となりました。主な内訳は、営業・管理の人件費、研究開発費、技術販管費であります。この結果、営業利益は428百万円(前期比17.1%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度において、営業外収益は2百万円、営業外費用は2百万円発生しました。これは主に受取利息2百万円、補修費用2百万円が発生したことによるものであります。この結果、経常利益は428百万円(前期比24.6%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度において、税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を127百万円を計上した結果、当期純利益は298百万円(前期比26.1%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当、プロジェクトに必要なソフトウエア関連費用、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であり、営業活動によるキャッシュ・フローでまかなうことを基本としております。また、事業運営上必要な資金を安定的に確保するとともに、M&Aや新たな事業への投資を行っていく中で最適な資本構成を構築するため、その際には自己資金だけではなく金融機関からの借入も積極的に行っていくことを考えております。当社は3行の金融機関との間で合計900百万円の当座貸越契約を締結(当事業年度末現在で借入実行残高はありません)しており、手許資金の流動性が不足すると想定される場合には、当座貸越契約を活用し金融機関からの短期借入金を通じて、必要な資金残高を確保することを考えております。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズに合った製品やサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応してまいります。
④ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、様々な課題に対処していく必要があると認識しております。
それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の変化に関する情報を入手・分析し、現在及び将来における事業環境を認識した上で、当社の経営資源を最適に配分し、有効な解決策を実施していく方針であります。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、売上高成長率及び営業利益率を基本的な経営指標としております。過年度における当社の各指標等の進捗は次のとおりであります。
当社は2016年6月期よりAI開発事業を開始し、エネルギーソリューション事業からAI開発事業への事業転換に向け、2019年6月期よりエンジニア及び営業人員の人的資源をAI開発事業へ拡大集中させ、2021年6月期にエネルギーソリューション事業から撤退いたしました。結果、エネルギーソリューション事業の縮小に伴い全体の売上高は減少し、一方でエンジニア等の人件費は増加し、2020年6月期には営業損失644百万円を計上するとともに営業利益率は△93.1%まで低下いたしました。
そのような状況下、2021年6月期以降のAI開発事業の売上高は堅調に推移しており、2025年6月期は2,063百万円へと売上が拡大し、売上高成長率は24.9%、営業利益率は20.8%となりました。また、2021年6月期から2025年6月期にかけての売上高年平均成長率(CAGR)も43.3%となっており、AIの実装が今後も進んでいくと見込まれる中、売上高の成長を目指してまいります。
また、当社はAIエンジンや業務システムの開発について、顧客間で横展開するとともに標準化やモジュール化を進めており、継続して開発のリードタイムを短縮していることから、今後も売上高の成長に加えて生産効率の向上も目指してまいります。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、当社が行っております会計上の見積りのうち特に重要なものは次のとおりであります。
(進捗度に基づく収益認識)
財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合には、進捗度に基づき収益を認識しております。
進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工数が、総工数の見積りに占める割合に基づいて行っております。
進捗度に基づく収益計上の基礎となる総工数の見積りはプロジェクトごとに行っております。各プロジェクトは顧客の重要な業務システムの構築を請け負うことになり、特に顧客のニーズの多様化に応えるため、総工数の見積りの基礎となる作業内容に不確実性を伴っております。
総工数の見積りはプロジェクトの進行に応じて適宜見直しが行われ、総工数の見積り時点では予見できなかった仕様変更や納期変更等により、総工数の変更が発生し、その結果進捗度が変動する可能性があり、翌事業年度の財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産の計上)
当社は繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることに加え、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提となる条件や仮説に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額が変動し、当期純利益に影響を与える可能性があり、重要と考えております。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における総資産は4,417百万円となり、前事業年度末と比較して316百万円増加いたしました。流動資産は4,162百万円となり、416百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が297百万円、契約資産が225百万円、仕掛品が37百万円増加した一方で、売掛金が136百万円減少したことによるものであります。固定資産は254百万円となり、100百万円減少いたしました。これは主に繰延税金資産が89百万円、ソフトウエアが4百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債は477百万円となり、前事業年度末と比較して14百万円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が35百万円、買掛金が17百万円、その他に含まれる仮受金が12百万円、賞与引当金が11百万円増加した一方で、長期借入金が65百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は3,940百万円となり、前事業年度末と比較して301百万円増加いたしました。これは主に当期純利益の計上により利益剰余金が298百万円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境が改善する下で緩やかに回復してきました。一方で、米国の関税交渉の進展により世界経済は落ち着きを見せ、エネルギー価格も増産方針等により下落基調にありましたが、再度の交渉期限が近づき中東情勢も混乱する中で不透明な状況が続きました。
エネルギー価格の変動の影響を大きく受ける電力に関しては、EVの普及やIT機器の利活用等により今後も旺盛な需要が続くと見込まれており、一層の安定的かつ経済的な供給体制が求められております。昨今は生成AIの需要の高まりに伴い、大規模な電力消費を伴うデータセンターの設置や増強が加速しています。また、大量のデータを必要とする社会全体のデジタル化に伴い、製造に膨大な電力を必要とする半導体の需要も急速に増加しています。電力広域的運営推進機関によると、データセンターや半導体工場の新増設に伴う需要電力量は2034年度までに514億kWh増加し、電力需要全体でも増加の見通しとなっております(出典:全国及び供給区域ごとの需要想定(2025年度)、電力広域的運営推進機関、2025年1月22日公表)。
このような状況下、当社は電力会社に対して、AI技術や数理最適化技術を用いた電力需給計画の最適化を提供しており、AIエンジン開発、システム開発、運用・サポートまで一貫したサービスを展開し、電力会社のエネルギー消費量の削減を実現してまいりました。今後も電力会社におけるサービス拡大を進めつつ、大口需要家に対しても蓄電池の充放電最適化のシステムを搭載した蓄電所を開発・提供し、社会全体のエネルギー消費量の削減に貢献してまいります。
また、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティの分野にも注力し、配船計画、生産計画、修繕計画等の最適化も提供してまいりました。
これまでの計画業務は、オペレーションを熟知した熟練人材による多大な労力により成立しておりましたが、AI技術や数理最適化技術を用いた当社の計画最適化サービスは、複雑かつ不確実性の高いビジネス環境下でも短時間で最適な計画を提供し、属人性を排することを可能としております。このことから、今後の労働人口減少から想定される社会インフラの人材不足とサービスの安定供給という課題に対して、当社のサービスは有力な解決方法と考えられ、当社の事業に対する期待は一層高まっております。
当事業年度は、引き続き電力・エネルギー、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティの3分野に注力いたしましたが、予算規模が大きい電力会社からの追加受注や本番導入開発が加速したため、電力・エネルギー分野の売上が全体の6割程度を占めることとなりました。物流・サプライチェーン分野についても、配船計画における運用・サポート売上の増加により全体の3割近くを占める売上となりました。また、都市交通・スマートシティについては、鉄道会社における修繕計画最適化のAIエンジン開発が進展し、堅調に推移しました。結果、3分野での取引先数は増加し、顧客平均売上も増加いたしました。
当社は、AIエンジン及びシステム開発をフロー型売上、運用・サポートをストック型売上として定義しておりますが、2025年6月期の電力・エネルギー分野の合計売上高は1,202百万円(前期比47.9%増)、うちフロー型売上は1,029百万円(前期比49.2%増)でストック型売上は172百万円(前期比40.4%増)、物流・サプライチェーン分野の合計売上高は564百万円(前期比11.4%減)、うちフロー型売上は303百万円(前期比24.5%減)でストック型売上は260百万円(前期比11.0%増)、都市交通・スマートシティ分野の合計売上高は215百万円(前期比21.4%増)、うちフロー型売上は138百万円(前期比2.5%増)でストック型売上は77百万円(前期比81.1%増)、社会インフラ3分野に分類されないその他の合計売上高は81百万円(前期比236.8%増)となりました。
また、当社は開発体制の強化に向けて優秀なエンジニアの積極採用を行うことで今後の事業拡大に向けた取り組みを進めており、当事業年度末におけるエンジニアは73名(前期比9.0%増)となりました。加えて、管理体制の強化も進めており、営業・管理部門は36名(前期比20.0%増)となりました。このことから、製造費用におけるエンジニアの人件費は758百万円(前期比22.1%増)、販管費における営業・管理部門の人件費は407百万円(前期比17.0%増)となりました。
以上より、2025年6月期について、売上高は2,063百万円(前期比24.9%増)となり、営業利益428百万円(前期比17.1%増)、経常利益428百万円(前期比24.6%増)となりました。当期純利益は、主に繰越欠損金の解消により法人税、住民税及び事業税が36百万円、法人税等調整額が151百万円増加した影響で、298百万円(前期比26.1%減)となりました。また、ストック型売上比率は24.7%(前期比0.5ポイント増)、全体の顧客平均売上は48.0百万円(前期比1.2%減)、取引先数は43社(前期比26.5%増)、うちAI開発、システム開発、運用・サポートの3区分では、顧客平均売上は54.9百万円(前期比10.3%増)、取引先数は36社(前期比9.1%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は3,197百万円となり、前事業年度末と比較して297百万円増加いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は405百万円(前期は285百万円の資金の獲得)となりました。主な収入要因は、税引前当期純利益425百万円、減価償却費51百万円、仕入債務の増加17百万円、賞与引当金の増加11百万円である一方、主な支出要因は、売掛金及び契約資産の増加89百万円、棚卸資産の増加35百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は46百万円(前期は37百万円の資金の使用)となりました。支出要因は、有形固定資産の取得2百万円、無形固定資産の取得43百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は62百万円(前期は1,980百万円の資金の獲得)となりました。収入要因は、ストックオプションの行使による収入3百万円である一方、主な支出要因は、長期借入金の返済65百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
b 受注実績
当事業年度の受注実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (千円) | 前期比(%) | 受注残高 (千円) | 前期比(%) |
| AI開発事業 | 2,400,078 | 33.1 | 1,459,761 | 30.0 |
c 販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 売上高(千円) | 前期比(%) |
| AI開発事業 | 2,063,415 | 24.9 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) | 当事業年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 北海道電力株式会社 | 317,696 | 19.2 | 550,348 | 26.7 |
| 四国電力株式会社 | 306,885 | 18.6 | 166,987 | 8.1 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社はAI開発事業の単一セグメントであるため、セグメントの記載を省略しております。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当事業年度における売上高は2,063百万円(前期比24.9%増)となり、前事業年度と比較して411百万円の増収となりました。これは主に本番導入の進展及び運用・サポートの開始、その後のアップセル・クロスセルによる既存顧客からの継続的な受注によるものであり、既存顧客への売上は1,720百万円と全体の83.4%を占めることとなりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は548百万円(前期比36.5%増)となりました。主な内訳は、エンジニアの人件費、ソフトウエア関連費用及び外注費であります。この結果、売上総利益は1,515百万円(前期比21.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は1,086百万円(前期比22.8%増)となりました。主な内訳は、営業・管理の人件費、研究開発費、技術販管費であります。この結果、営業利益は428百万円(前期比17.1%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度において、営業外収益は2百万円、営業外費用は2百万円発生しました。これは主に受取利息2百万円、補修費用2百万円が発生したことによるものであります。この結果、経常利益は428百万円(前期比24.6%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度において、税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を127百万円を計上した結果、当期純利益は298百万円(前期比26.1%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当、プロジェクトに必要なソフトウエア関連費用、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であり、営業活動によるキャッシュ・フローでまかなうことを基本としております。また、事業運営上必要な資金を安定的に確保するとともに、M&Aや新たな事業への投資を行っていく中で最適な資本構成を構築するため、その際には自己資金だけではなく金融機関からの借入も積極的に行っていくことを考えております。当社は3行の金融機関との間で合計900百万円の当座貸越契約を締結(当事業年度末現在で借入実行残高はありません)しており、手許資金の流動性が不足すると想定される場合には、当座貸越契約を活用し金融機関からの短期借入金を通じて、必要な資金残高を確保することを考えております。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズに合った製品やサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応してまいります。
④ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、様々な課題に対処していく必要があると認識しております。
それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の変化に関する情報を入手・分析し、現在及び将来における事業環境を認識した上で、当社の経営資源を最適に配分し、有効な解決策を実施していく方針であります。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、売上高成長率及び営業利益率を基本的な経営指標としております。過年度における当社の各指標等の進捗は次のとおりであります。
| 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 | ||
| 売上高 成長率 | (全社) | 2.0% | 28.8% | 48.7% | 22.0% | 24.9% |
| (事業別) AI開発事業 | 99.4% | 33.8% | 48.7% | 22.0% | 24.9% | |
| (事業別) エネルギーソリューション事業 | △92.6% | △100.0% | ― | ― | ― | |
| 営業利益率 | △31.5% | 7.8% | 15.4% | 22.1% | 20.8% | |
当社は2016年6月期よりAI開発事業を開始し、エネルギーソリューション事業からAI開発事業への事業転換に向け、2019年6月期よりエンジニア及び営業人員の人的資源をAI開発事業へ拡大集中させ、2021年6月期にエネルギーソリューション事業から撤退いたしました。結果、エネルギーソリューション事業の縮小に伴い全体の売上高は減少し、一方でエンジニア等の人件費は増加し、2020年6月期には営業損失644百万円を計上するとともに営業利益率は△93.1%まで低下いたしました。
そのような状況下、2021年6月期以降のAI開発事業の売上高は堅調に推移しており、2025年6月期は2,063百万円へと売上が拡大し、売上高成長率は24.9%、営業利益率は20.8%となりました。また、2021年6月期から2025年6月期にかけての売上高年平均成長率(CAGR)も43.3%となっており、AIの実装が今後も進んでいくと見込まれる中、売上高の成長を目指してまいります。
また、当社はAIエンジンや業務システムの開発について、顧客間で横展開するとともに標準化やモジュール化を進めており、継続して開発のリードタイムを短縮していることから、今後も売上高の成長に加えて生産効率の向上も目指してまいります。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、当社が行っております会計上の見積りのうち特に重要なものは次のとおりであります。
(進捗度に基づく収益認識)
財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合には、進捗度に基づき収益を認識しております。
進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工数が、総工数の見積りに占める割合に基づいて行っております。
進捗度に基づく収益計上の基礎となる総工数の見積りはプロジェクトごとに行っております。各プロジェクトは顧客の重要な業務システムの構築を請け負うことになり、特に顧客のニーズの多様化に応えるため、総工数の見積りの基礎となる作業内容に不確実性を伴っております。
総工数の見積りはプロジェクトの進行に応じて適宜見直しが行われ、総工数の見積り時点では予見できなかった仕様変更や納期変更等により、総工数の変更が発生し、その結果進捗度が変動する可能性があり、翌事業年度の財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産の計上)
当社は繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることに加え、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提となる条件や仮説に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額が変動し、当期純利益に影響を与える可能性があり、重要と考えております。