有価証券報告書-第44期(2024/04/01-2025/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、円安を背景とする訪日外国人数が過去最高の水準となったことから、インバウンド消費が復調し、また、雇用や所得環境の改善、設備投資の持ち直しなどの動きも見られ、景気は緩やかな回復基調となりました。
一方で、不安定な国際情勢、エネルギーコスト上昇や原材料価格の高騰に伴うインフレ懸念に加え、2025年1月に発足した米国トランプ政権による政策転換の影響が見えず、先行きは不透明な状況で推移いたしました。
このような経済状況の中で、当社グループは感染症対策や再生医療の発展のために、経営理念に掲げる「顧客第一主義・品質第一主義」のもと、全従業員がグループ全体の更なる成長とステークホルダーへの貢献に努めております。
当連結会計年度におきましては、国内外で再生医療市場の拡大が続いていることから、細胞培養用培地の売上高が増加いたしました。また、新型コロナウイルスが5月から感染者数が増加、7月に感染拡大のピークとなり、さらに11月から年末に向けてインフルエンザウイルス感染者数の急増と新型コロナウイルス感染者数の増加が同時に発生したことから、関連製品の販売が大きく増加いたしました。なお、同感染症関連製品については前連結会計年度に関連棚卸資産の評価損218百万円を計上しておりましたが、前述の事由により販売数量が増加したことから当連結会計年度において207百万円の戻入益を計上しております。一方、基幹システム変更に伴う支払手数料の増加等により販売費及び一般管理費が増加いたしましたが、利益につきましては概ね計画どおりとなりました。
当連結会計年度の売上高は5,206百万円(前年同期比9.1%の増加)となり、営業利益は991百万円(前年同期比66.1%の増加)、経常利益は1,065百万円(前年同期比67.6%の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は794百万円(前年同期比106.4%の増加)となりました。
セグメント別の経営成績を示すと、以下のとおりであります。
(組織培養事業)
当連結会計年度における組織培養事業は、国内外で再生医療の研究開発や臨床試験が活発に実施されており、ここで使用される細胞培養用培地の販売数量が増加いたしました。また、日本では自由診療による再生医療を受けるインバウンド患者数が高水準となっていることから、この分野で使用される培地の需要が増加しており、中国を中心として、アジア圏で細胞治療用培地の販売数量も増加いたしました。
これら再生医療市場の拡大を背景に、新規顧客からの培地の製造受託や既存顧客からの新たな製造受託案件も増加しており、同事業は順調に推移いたしました。
この結果、売上高は2,268百万円(前年同期比19.1%の増加)、セグメント利益(営業利益)は765百万円(前年同期比25.6%の増加)となりました。
(微生物事業)
当連結会計年度における微生物事業は、期中に新型コロナウイルス、及びインフルエンザウイルスの感染者数が増加したことにより、関連製品の販売が大きく増加、特にドラッグストア等で販売される一般用製品の売上が増加しました。加えて、同感染症関連製品について前述の事由により、当連結会計年度において関連棚卸資産の評価損207百万円の戻入益を計上しております。また、病院等の臨床細菌検査市場はこれまでと大きな変動はなく、製薬企業等の産業細菌検査市場は、競合する海外輸入品に対し安価で安定供給が可能な当社グループ製品のシェアが拡大しております。
この結果、売上高は1,781百万円(前年同期比7.6%の増加)、セグメント利益(営業利益)は441百万円(前年同期は69百万円の損失)となりました。
(細胞加工事業)
当連結会計年度における細胞加工事業は、細胞加工製品の原材料の見直しにより、期中に製品の販売を一時見合わせていたことから、同製品群の売上が期初計画を大きく下回りました。なお、同製品の販売は2025年2月より再開しております。一方、細胞加工受託については、インバウンドでの日本の医療サービスを目的とする外国人患者数が高い水準を維持しており、また、国内患者による細胞治療の需要も拡大したことで、細胞加工受託件数が大きく増加いたしました。既契約医療機関からの受託件数の増加と多数の医療機関との新たな細胞加工の委受託契約の締結により、細胞加工施設はフル稼働の状況となっておりますが、広島県の新たな細胞加工施設の稼働が始まったことにより、稼働率が落ち着く見込みとなっております。
この結果、売上高は1,155百万円(前年同期比4.5%の減少)、セグメント利益(営業利益)は313百万円(前年同期比33.6%の減少)となりました。
当連結会計年度における当社グループの財政状態は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,657百万円増加の5,066百万円となりました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への株式上場、及び第三者割当増資に伴う新株式発行による払込等により現金及び預金が1,422百万円増加したことや、原材料及び貯蔵品が121百万円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は、前連結会計年度末に比べ820百万円増加の3,999百万円となりました。これは主に、現在建設中の新倉庫に係る建設仮勘定の増加等により有形固定資産が666百万円増加したこと、及び持分法による投資利益98百万円の計上等により投資その他の資産が129百万円増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ2,477百万円増加の9,066百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ89百万円増加の2,487百万円となりました。これは主に、未払法人税等が57百万円増加したことによるものであります。また、固定負債は前連結会計年度末に比べ51百万円減少の797百万円となりました。これは主に、中国子会社の賃貸借契約更新によりリース債務が68百万円増加したものの、1年内返済予定の長期借入金150百万円を流動負債に振替えたことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ37百万円増加の3,284百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ2,439百万円増加の5,781百万円となりました。これは主に、剰余金の配当58百万円があったものの、上述にある新規上場及び第三者割当増資に伴う新株式発行により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ827百万円増加したこと、また、親会社株主に帰属する当期純利益794百万円の計上によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して1,222百万円増加の2,949百万円となりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果取得した資金は915百万円(前年同期比91百万円の収入増加)となりました。これは主に、法人税等の支払額201百万円(前年同期比274百万円の支出減少)や、棚卸資産の増加による減少188百万円(前年同期比613百万円の減少)があったものの、税金等調整前当期純利益1,015百万円(前年同期比379百万円の増加)や、減価償却費360百万円(前年同期比61百万円の増加)の計上があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は1,090百万円(前年同期比513百万円の支出増加)となりました。これは主に、現在建設中の新倉庫を始めとする有形固定資産の取得による支出861百万円(前年同期比298百万円の支出増加)、及び定期預金の預入による支出200百万円(前年同期は無し)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果取得した資金は1,376百万円(前年同期比1,377百万円の収入増加)となりました。これは主に、新規上場及び第三者割当増資に伴う株式の発行による収入1,653百万円(前年同期は無し)があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前期比(%) |
| 組織培養事業 | 1,028,050 | +14.5 |
| 微生物事業 | 1,066,196 | +21.2 |
| 細胞加工事業 | 17,838 | △37.6 |
| 合計 | 2,112,085 | +16.9 |
(注) 金額は、製造原価によっております。
b. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(千円) | 前期比(%) |
| 組織培養事業 | 112,041 | +9.9 |
| 微生物事業 | 186,395 | +10.6 |
| 細胞加工事業 | - | △100.0 |
| 合計 | 298,437 | +10.3 |
(注) 金額は、仕入価格によっております。
c. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前期比(%) | 受注残高(千円) | 前期比(%) |
| 組織培養事業 | - | - | - | - |
| 微生物事業 | - | - | - | - |
| 細胞加工事業 | 1,090,612 | +10.7 | 72,387 | +133.2 |
| 合計 | 1,090,612 | +10.7 | 72,387 | +133.2 |
(注) 組織培養事業及び微生物事業については見込生産であり、該当事項はありません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前期比(%) |
| 組織培養事業 | 2,268,951 | +19.1 |
| 微生物事業 | 1,781,984 | +7.6 |
| 細胞加工事業 | 1,155,350 | △4.5 |
| 合計 | 5,206,287 | +9.1 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
なお、前連結会計年度の販売実績は、総販売実績の10%未満であるため記載を省略しております。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 康宁生命科学(吴江)有限公司 | - | - | 581,249 | 11.2 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に記載のとおりであります。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ 経営戦略の現状と見直し及び経営者の問題認識と今後の方針
経営戦略の現状と見通し及び経営者の問題認識と今後の方針については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
④ 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
財政状態とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b. 経営成績
(売上高)
売上高は、5,206百万円(前年同期比9.1%の増加)となりました。これは主に、細胞加工事業において、前述のとおり製品の販売を一時見合わせていた影響により同製品群の売上が大きく減少したものの、組織培養事業において、細胞培養用培地、細胞治療用培地共に国内外を問わず需要が増加したことにより、関連製品の売上が増加したためであります。
(売上原価及び売上総利益)
売上原価は、2,840百万円(前年同期比1.7%の減少)となりました。売上原価率は54.6%となり、前連結会計年度と比して6.0%減少いたしました。これは主に、微生物事業において、前述のとおり新型コロナウイルス感染症関連棚卸資産の評価損207百万円の戻入益を計上したためであります。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
販売費及び一般管理費は、1,374百万円(前年同期比7.0%の増加)となりました。これは主に、基幹システム変更に伴う支払手数料が増加したことによります。この結果、営業利益は991百万円(前年同期比66.1%の増加)となりました。
営業外損益は、持分法による投資利益98百万円と受取賃貸料11百万円の計上により営業外収益は117百万円となり、支払利息30百万円と支払手数料10百万円の計上により営業外費用は43百万円となりました。この結果、経常利益は1,065百万円(前年同期比67.6%の増加)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損益は、固定資産売却益1百万円の計上により特別利益は1百万円となり、基幹システム変更に伴う損失51百万円の計上により特別損失は51百万円となりました。法人税、住民税及び事業税を246百万円、法人税等調整額を△26百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は794百万円(前年同期比106.4%の増加)となりました。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,949百万円となっており、主に製品製造に必要な原材料の仕入及び生産設備の維持管理費用、従業員に支払う給与、各事業所等の賃借料等といった事業成長に伴う運転資金、並びに新規事業案件への投資に備えております。なお、資金調達の機動性及び安定性の確保を目的として、取引金融機関と当座貸越契約を締結しております。