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有価証券報告書-第11期(2025/07/01-2026/06/30)

【提出】
2026/09/24 16:40
【資料】
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【項目】
133項目
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「私たちタウンズは、独自の体外診断用医薬品により、人々の生活に安心と潤いを届けます。そのために、技術・知識を集積し、新たな製品の開発、品質改善に取り組み続けます。」を経営理念としており、より良い製品を世界に向けて発信し続けることを方針としております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、体外診断用医薬品の競争力を強化し、業績を向上させていくことが重要であると認識していることから、中期経営計画策定に当たり重視している経営指標は、売上高、営業利益、当期純利益、営業利益率、EBITDA及びROEとしております。
(3)経営戦略等
当社は、「診断技術で、安心な毎日を。」をコーポレートスローガンとして、感染症POCT※1を中心として長年にわたりIVDの開発、製造及び販売に取り組み、幅広い製品ラインナップと製品供給能力、厳格な品質管理体制、医薬品卸・医療機関との良好な関係性を構築してまいりました。
当社は、中期経営計画において「診断技術とデータ・AIで、社会課題を解決する」というビジョンを掲げております。
今後も感染症POCTを重要な事業基盤と位置付け、その競争力を一層強化するとともに、受託検査、SaMD※2などの新たな検査プラットフォームを取り入れ、これらを支えるデータ・AI基盤を整備することで、次世代の検査技術を継続的に生み出す仕組みの構築を目指してまいります。
各検査プラットフォームを適切に組み合わせることで、病院、クリニック、在宅医療、ヘルスケアサービス等を含めた社会全体の診断フローの最適化に貢献するとともに、慢性疾患をはじめとする新たな疾患領域への事業展開を進め、事業基盤の強化を図ってまいります。
当社はこの方針のもと、以下の戦略を推進しております。
① 感染症抗原検査の強化
当社は、簡易かつ迅速な抗原検査を引き続き感染症戦略の主軸として位置付けております。
新型コロナウイルス及びインフルエンザウイルス等を同時に検査する「イムノエース®SARS-CoV-2/Flu」のローンチをはじめとした製品ラインアップの強化、キットの性能改善、販売体制の強化等を通じて、国内の呼吸器感染症POCT市場における更なるシェア拡大を目指してまいります。
また、富士山三島工場を中心とした抗原検査の生産体制強化、製造・検査ラインの自動化、データ・AI等を活用した生産計画の最適化を進めることで、生産性及び品質の向上を図るとともに、感染症の流行状況に伴う需要変動にも柔軟に対応できる安定的な供給体制の構築に取り組んでまいります。
② 新たなPOCTの導入
当社は、感染症抗原検査で培った技術、事業インフラを活用し、D-IA(デジタルイムノアッセイ)※3を始め、抗原検査を補完する新たなPOCTの開発及び導入を進めております。
D-IAは、検体中のバイオマーカー※4を高精度かつ定量的に測定する次世代POCTとして開発を進めており、感染症のみならず認知症、糖尿病等の慢性疾患を含む幅広い疾患領域への応用可能性を検討しております。
また、核酸検出や画像AI等を活用した新たなPOCTを外部企業との連携を通じて導入することで、検査精度向上、多項目測定、低侵襲※5性等の面から、医療現場の課題解決に貢献するPOCTのラインアップ拡充を図ってまいります。
③ 検査プラットフォームの拡張
当社は、主力のPOCTに加え、受託検査及びSaMDなど新たな検査プラットフォームを導入し、検査・診断事業の領域拡大を進めております。
受託検査については、自社保有の検査センターである「タウンズクリニカルラボ」に次世代シーケンサー(NGS)※6などの先進的な検査機器を導入し、全ゲノム解析※7等をはじめとする高度な受託検査サービスの提供を進めてまいります。また、大学病院、健診事業者、自治体その他の外部機関等との連携を通じて検体や医療データを収集・活用する新たなサービスの創出を進めております。
SaMDについては、AI等を用いて医療画像や検査データ等を解析し、疾病の診断や医療従事者の意思決定を支援する製品・サービスの導入及び開発を進めております。
POCTに加えて、受託検査、SaMDという複数の検査プラットフォームを疾患や診断フローに応じて適切に組み合わせることにより、リスク評価、スクリーニング、確定診断、治療方針策定及びモニタリング等のより広範な医療ニーズへの対応を目指してまいります。
④ データ・AI基盤の整備
当社は、次世代の検査技術を継続的に生み出すため、研究開発を支えるデータ・AI基盤の整備を進めております。
具体的には、バイオバンク※8検体、検査データ、医療画像データ等を含む多様な医療データについて、関連法令等を遵守し適切な管理のもとで利活用可能な形で集積するとともに、AI解析等に必要となる計算資源、アルゴリズム及びデータ運用環境等の整備を進めてまいります。
これらのデータ・AI基盤と当社が強みとする検査技術を組み合わせることで、新たなバイオマーカーの探索、検査・診断精度の向上、AIを活用したSaMD等の開発につなげることを目指しております。
⑤ 海外事業の拡大
当社は、海外事業を中長期的な成長を実現するための重要な事業領域と位置付けております。
アジアを中心として抗原検査製品のシェア拡大を目指すとともに、中南米等の新たな市場においても販売パートナーの開拓等を通じて事業拡大を図ってまいります。
D-IAについては、結核をはじめとするグローバルな医療課題への活用を目指し、国際機関等との連携に向けた取組みを進めてまいります。将来的には、慢性疾患分野でのグローバル市場への展開を検討してまいります。
⑥ AIX(AIトランスフォーメーション)及び人的資本戦略
当社は、AIの活用を前提として業務、組織及び人財を変革するAIX(AIトランスフォーメーション)を推進し、全社的な生産性の向上と新たな事業領域への経営資源の再配分を進めてまいります。
研究開発、生産、薬事・品質保証、営業、経営管理等の幅広い業務領域にAIを導入し、情報収集・分析、資料作成その他の定型・間接業務の効率化に加えて、業務品質の高度化にもAIを活用してまいります。
また、AIXによる業務効率化を通じて経営資源の有効活用を図るとともに、新規事業を含む成長領域への人財配置及び全社的なリスキリングを進めてまいります。
さらに、事業環境の変化に対応し、複数の領域で強みを発揮できる人財の育成、適切な評価・育成制度の構築及び組織の活性化を進めることで、既存事業の生産性向上と新たな事業領域への進出を両立できる組織基盤の構築を目指してまいります。
以上の戦略を通じて、当社は、感染症抗原検査を中心とする既存事業の競争力及び収益力を強化するとともに、新たなPOCT、受託検査及びSaMDへ検査プラットフォームを拡張し、データ・AIを組み合わせることで次世代の検査技術を継続的に生み出す仕組みを構築し、「診断技術とデータ・AIで、社会課題を解決する」というビジョンの実現と、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
※1 POCT:Point Of Care Testingの略になります。日本医療検査学会(旧:日本臨床検査自動化学会)POCTガイドラインによると、「臨床現場即時検査」として定義され、被検者の傍らで医療従事者が行う検査であり、検査時間の短縮及び被検者が検査を身近に感ずるという利点を活かし、迅速かつ適切な診療、看護・疾病の予防、健康増進に寄与し、ひいては医療の質、被検者のQOL(Quality of Lifeの略。生活の質の向上)及び満足度の向上に資する検査としております。
当社の製品群であれば、イムノクロマト法を原理とするインフルエンザやSARS-CoV-2等の抗原検査キットが該当しております。
※2 SaMD:Software as a Medical Deviceの略になります。医療データをAIなどで解析し、医療判断を支援するソフトウェアであります。
※3 D-IA(デジタルイムノアッセイ):デジタルイムノアッセイ(digital immunoassay)の略称であり造語であります。新規検出原理として研究開発を進めている検出プラットフォームの1つであります。金コロイド標識抗体を使用し、抗体抗原反応の後、専用チップ内の反応部位に金コロイド標識抗体と抗原の複合体を捕捉し、その後標識物である金コロイド粒子のみ科学的に遊離させます。遊離させた金コロイドのみ移動させ光学的に検出します。金コロイド標識抗体等の移動は専用チップを回転させることにより生じる遠心力を利用しております。従来の金コロイド粒子の検出方法は、イムノクロマト法に代表されるように金コロイド粒子の集積により生じる赤紫色の呈色を検出するものでありますが、D-IAにおいてはレーザーを照射し金コロイド1粒子からそれぞれ生じる散乱光を検出します。1粒子カウントを可能とすることから「デジタル」検出が可能となり、本検出原理名称の由来ともなっております。金コロイド粒子そのものを1粒子カウントすることで、抗原低濃度領域における高感度検出が可能となり、また粒子カウントによる定量検出も可能となります。
※4 バイオマーカー:病気の進行や薬の効果などを体内の分子によって定量的に評価するための指標であります。
※5 低侵襲:医療行為において、採血で静脈に針を刺す行為や胸部X線撮影において放射線で被曝させること、また手術で開腹するために切開すること、これはすべて侵襲性のある行為となります。これらの医療行為においては痛みや身体的負担を生じ、医療行為によりその程度は異なります。医療行為により侵襲性は異なり、身体へ与える影響が少ないものを低侵襲性又は非侵襲性と称しております。一般的に採血等の行為は最低限の侵襲性に留まっており、低侵襲性であるとされております。検体採取において無痛針を利用することで採血時の痛みを低減又は無痛にする等、より侵襲性の低い検体採取法の開発も進んでおります。
※6 次世代シーケンサー(NGS):Next Generation Sequencingの略称であり、大量のDNA/RNA配列を同時並行で解析する技術であります。
※7 全ゲノム解析:ゲノム全域を対象に遺伝子情報を解析する手法であります。
※8 バイオバンク:血液などの検体と、それに紐づく各種医療データを保管し、研究開発に活用する仕組みであります。
(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
体外診断用医薬品業界においては、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、医療現場におけるPOCT(臨床即時検査)の有用性が広く認識されました。
また、高齢化の進展に伴う慢性疾患患者の増加や医療の高度化が進むなか、医療従事者をはじめとする医療リソースの不足が深刻化しており、限られた資源で質の高い医療を提供するための診断技術の重要性が一層高まっています。
このような事業環境のもと、当社は、POCT、受託検査、SaMD(プログラム医療機器)等の検査プラットフォームを適切に組み合わせることで、病院、クリニック、在宅医療及びヘルスケアサービスを含む社会全体の診断フローの最適化に貢献することを目指しております。さらに、診断技術とデータ・AIを融合し、次世代の検査技術を継続的に創出する仕組みの構築を推進しております。
こうした事業環境の変化を成長機会と捉え、当社は「診断技術で、安心な毎日を。」というコーポレートスローガンのもと、自社一貫体制による開発・製造・販売の強みを活かしながら、社会全体の診断フローの最適化に貢献する製品・サービスの提供を推進しております。今後も持続的な成長と企業価値の向上の実現に向け、以下の課題に取り組んでまいります。
① 特定製品・分野への売上依存
当社の売上は、感染症関連製品、とりわけ新型コロナウイルス感染症関連製品への依存度が高く、感染症の流行状況によって業績が大きく変動する状況にあります。このため、当社は次世代検査技術及び新製品の継続的な開発に加え、新たな市場の開拓を進めることで、感染症関連製品以外の売上拡大に取り組んでおります。また、新製品の早期市場投入に向けて、薬事申請を含む規制対応体制の強化や量産体制への移行プロセスの最適化を推進しております。
これらの取り組みを通じて収益源の多様化を図り、特定製品・分野への依存度低減に努めてまいります。
② 新たなコア技術の開発と新領域への進出
当社は、「次世代の検査技術を継続的に生み出す仕組みの構築」を成長戦略の中核に据え、主力のPOCTに加え、次世代POCTであるD-IA(デジタルイムノアッセイ。高精度に抗原・バイオマーカー等を定量検出する当社独自の次世代POCT技術)、受託検査及びSaMD等、新たな検査プラットフォームの構築を推進しております。また、これらを支えるデータ・AI基盤の整備を進めるとともに、慢性疾患領域への進出に向けた取り組みを具体化しております。さらに、当社単独で事業展開を行うのではなく、各分野に強みを有する企業との業務提携や協業を積極的に推進することで、研究開発力や事業基盤の強化を図り、持続的な成長の実現を目指しております。
③ 国内外の営業戦略の強化・拡充
国内市場においては、営業体制の更なる拡充と適切な人員配置を進めることで、新規及び既存の医療機関との関係強化を図り、呼吸器感染症POCTのシェア拡大並びに新規領域における売上拡大を推進してまいります。また、現状では十分にアプローチできていない医療機関も存在することから、当社製品を取扱う主要卸売業者との連携強化に加え、製薬会社との共同販売を推進し、営業チャネルの拡大に取り組んでおります。さらに、大手検査センターとの提携を通じて、新たな検査の普及促進を進めてまいります。
海外市場においては、各地域の販売代理店を通じて事業を展開しておりますが、更なる成長に向けて、抗原検査分野ではアジア市場を中心とした販売拡大に加え、中南米及びアフリカ市場の開拓を進めてまいります。また、D-IA及びSaMDを活用した新たな結核対策製品の投入を進めるとともに、D-IAの慢性疾患領域への展開を通じてグローバルな事業拡大を図り、営業チャネルの更なる拡充に取り組んでまいります。
④ AIの活用と人員・組織体制の強化
当社は、全社的なAI活用を推進し、業務の効率化及び生産性の向上に取り組んでまいります。営業、マーケティング、研究開発、品質管理、管理部門等幅広い領域においてAIを活用することで、情報収集・分析、資料作成、データ処理等の定型業務の効率化を図り、業務品質の向上と意思決定の迅速化を実現してまいります。また、AI活用により創出された人的リソースについては、新規事業の企画・推進、製品開発、市場開拓、顧客対応等の高付加価値業務へ重点的に再配分し、事業成長を支える人員・組織体制の強化を進めてまいります。あわせて、AIを効果的に活用できる組織基盤の構築に向け、社員のデジタルリテラシー向上や専門スキルの習得を目的とした教育・研修体制の充実を図るとともに、事業拡大や技術革新を担う専門人材の積極的な採用を継続してまいります。

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