有価証券報告書-第9期(2023/07/01-2024/06/30)

【提出】
2024/09/27 15:00
【資料】
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【項目】
118項目

研究開発活動

当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(1)研究開発への取り組み
体外診断用医薬品において化学発光法や核酸増幅法等の技術が普及し、市場における競争が激化するなか、当社は迅速かつ正確な検査を通した医療機関と患者双方への更なる価値提供を目指して、POCTの技術革新、新製品開発及び既存製品の性能改善等の研究開発を行っております。また、新たなコア技術の開発を目的とし、デジタルイムノアッセイや簡易尿検査システムに関する技術開発活動を行っております。並行して各製品に使用する抗体等、原料の創出に係る研究開発にも注力しております。
(2)研究開発体制
研究開発については、開発本部が開発計画を統括し、研究開発部にて研究開発活動を実施しております。
研究開発部には46名(臨時社員含む)が研究員として所属しており、正社員のうち約7割が博士・修士の学位を持ち、6割以上が5年以上の当社における研究開発実務経験を有しております。加えて、開発本部の各マネージャークラスの社員は化学反応、抗体反応、酵素反応、知的財産等の各技術分野において、豊富な業務経験、関連技術に係る専門資格を有しており、高度かつ多様な専門性を有する研究開発体制を構築しております。また社内に不足する知見を補うために、高い専門性を有する外部顧問を招聘し、一定の頻度で社内勉強会等を開催しております。
研究員は、担当技術分野ごとに、応用開発課、技術開発課及び基礎開発課の3つのグループに所属しております。研究開発活動においては、社内の開発案件会議で討議され承認された研究開発テーマごとに、研究開発部と各課を横断したメンバーからなるプロジェクトチームが組成され、研究開発活動に取り組んでおります。
また、臨床検査部では臨床検査受託(サービス)の開始に向けた準備をしており、受託検査を通して独自の検査サービスを提供する他、臨床現場の課題やニーズをより深く把握し、研究開発に活用してまいります。
(3)主な研究開発活動とその成果
当事業年度における主な研究開発活動とその成果は、以下のとおりであります。
2023年11月に、業務提携先であるiBody(株)のEcobody技術により開発した抗SARS-CoV-2ウサギモノクローナル抗体を適用した、新たな新型コロナウイルス抗原検査キットが承認されております。鼻腔及び鼻咽頭検体を使用する製品、また唾液を検体とする製品、双方に当該新抗体は適用されており、従来製品よりも更に性能を向上することを目的とした研究開発の成果になります。
新型コロナウイルス抗原検査キットについては、更なる性能向上を目的とした改良・改善を継続し、また新たなコア技術を活用したPOCTの開発に向け、研究開発に取り組んでおります。
2023年4月には、血中亜鉛濃度を簡便に測定する検査システムとして、亜鉛キット「アキュリード 亜鉛」とその測定機である「アキュリード」を開発し、ノーベルファーマ社より販売を開始しております。当該製品は医療現場にて血中亜鉛濃度の測定結果を速やかに把握し、治療方針の策定に寄与することを目的とした研究開発の成果として、製品化されたものであります。
本製品は、当社の今後の注力領域の一つである慢性疾患領域の製品であります。今後も、慢性疾患やヘルスケア分野における新製品の実現に向け、研究開発に取り組んでまいります。
(4)研究開発活動の総額
当事業年度における研究開発費の総額は1,001,164千円であります。