訂正有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
文中の将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「宿泊業界をUP DATEする」という企業理念を掲げ、宿泊業界で当たり前となっている「常識」をアップデートし、新たな「常識」を創り出すことを目指しております。「宿泊すること」よりも「宿泊・滞在自体を楽しむこと」をコンセプトとしており、宿泊施設での滞在自体が旅行の目的となるような施設づくりを支援し、それを旅行者(ユーザー)に適切にPRすることで、宿泊施設の売上最大化を図っております。
当社は、的確な施設情報や地方に潜在するコンテンツを一般消費者である旅行者(ユーザー)に届けるBtoC(一般消費者向け)の領域、施設の多様な課題をともに解決するべく施設運営者の支援を行うBtoB(企業間取引)の領域、この2軸を同時に行っており、以下の点に特徴があります。
① 旅行者(ユーザー)への効果的なPRによりサイトへのアクセスを誘導するマーケティング
ノウハウを持つ当社従業員が施設運営者に代わって掲載施設のPRを行うことで、掲載施設のマーケティングコストを削減し、施設運営者が施設運営に集中できる環境づくりをサポートしております。また、当社内にWebサイト制作チームを携え、検索エンジンに対するキーワード対策やアクセスの集中しやすいページの分析を行うことで、旅行者(ユーザー)が宿泊先に抱く不安要素(設備、持ち物、アクセス等)を可能な限り洗い出し、対策を行っております。これにより、サイト到達から予約獲得までのアプローチをストレスなく完了できるようデザインしております。
② 集客支援事業における掲載施設へのコンサルティングサービスの提供
当社は、宿泊施設の運営ノウハウを掲載施設に提供するとともに、人員配置、施設設備及び集客に寄与する施設のソフトコンテンツ創造を包括して提案・サポートすることで、施設開業から運営まで一貫してコンサルティングできることを特徴としております。一般消費者の目に留まりやすいソフトコンテンツの開発及び魅力造成等を掲載施設と協議しながら進め、掲載施設のWebサイトへ反映することで、旅行者(ユーザー)が行ってみたいと思える旅先を創り出し、予約獲得へと繋げております。これらのコンサルティングサービスを無償で行うことで、掲載施設の売上最大化を図っております。
③ 直営宿泊施設の運営
当社は、掲載施設が抱える課題は実際に宿泊施設を運営している事業者でないと的確に把握できないものであると考えております。掲載施設への改善や提案を行う上で、コンサルティングサービスを提供する当社が同様の宿泊施設の運営者であることは非常に重要な要素であり、運営面におけるヒト・モノ・カネの課題について実体験のある当社に対して相談することができる、という点は顧客から大きな信頼を得ております。
直営宿泊施設では、集客支援事業に転用できる予約獲得のためのソフトコンテンツ、施設設計ノウハウ、運営ノウハウ等を蓄積することに重きを置き、掲載施設の宿泊施設運営上の課題点を洗い出し、予約獲得のために旅行者(ユーザー)に訴えかけることができる魅力を造成する場としております。また旅行者(ユーザー)の声が直接聞ける場として、ニーズの察知、予約獲得に有用な新サービスの試験的な導入、設備や備品の仕入れ業者との関係構築等、掲載施設に対しノウハウの提供を行うことに役立てております。
直営宿泊施設では、集客支援事業のターゲットとなる市場に焦点を当て、ドッグヴィラ千葉南房総では「ペットツーリズム」「リゾート施設」を、「秩父リゾート」では「アウトドア」「リゾート施設」をテーマとしております。この市場で独自の予約プラットフォームを構築し、集客支援事業の新規顧客の取り込みを図っております。
(2) 中期的な会社の経営戦略
宿泊業界は、コロナ禍という外的要因により、拡大を続けたグランピング施設とニーズが減少したホテルや旅館施設とに二極化しておりましたが、現在は旅行に対する需要も回復し、宿泊を伴った旅行が戻りつつある状況にあります。当社においては、現在は顧客からの問い合わせへの対応が中心となっているところ、今後は人材を投入し積極的な営業を展開することで、グランピング施設やリゾートヴィラのみならずリゾートホテルや高級旅館も対象とした集客支援事業の更なる拡大を行うとともに、通常の旅館やホテルをリブランドし、高単価の高級旅館へ引き上げる施策などを検討しております。国内の宿泊施設数が68,000軒(注1)を超える中で、後継者問題や集客面に課題を抱える旅館及び小規模ホテルも存在するなど、当社事業の開拓余地が十分あるものと考えております。
集客支援事業においては、旅行者(ユーザー)の動向にも注視し、多様化する旅行形態に対応するべく、宿泊施設に求められる要素の早期把握と旅行者(ユーザー)への提案力を強化するとともに、新規に掲載を望む宿泊施設及び旅行者(ユーザー)の獲得には、費用対効果を鑑みながら必要な広告宣伝費を投下することで獲得数の最大化を図ってまいります。
また、直営宿泊事業においては、引き続き施設の売上の最大化を図る一方、旅行者(ユーザー)に対するコンテンツのテストを重ね、集客支援事業の予約獲得に有用な施策の創出、設備の検討、会員制度の創出を行い、集客ノウハウの強化と当社の人材の成長を図り、掲載施設の売上最大化と当社の企業価値向上を目指してまいります。
注1「観光庁 宿泊旅行統計調査(2023年・年間値(確定値))」
(3) 経営環境
現在、当社が集客支援事業において対象としているリゾート施設について、当社は「宿泊滞在という体験を目的とする施設」「目的地化した宿泊施設」「自由滞在型の宿泊施設」と位置付けております。
2020年末から新型コロナウイルス感染症の影響を受け、接触の少ない旅行形態としてアウトドアが見直され、グランピングというキーワードを冠した宿泊施設が急速に拡大するとともに、「グランピング」がメディアの後押しを受け一般名詞化し、グランピング市場が急速に拡大しました。
2021年から中小企業庁が実施している、ポストコロナ時代における新市場進出及び事業や業種の転換を目的とした中小企業等への支援「事業再構築補助金」の第1回から第10回の採択結果によると、「グランピング」をキーワードとした新規事業進出は802件、また「アウトドア」及び「リゾート」を含めると1,872件もの新規事業が採択され、集客支援事業の対象とする市場の拡大に寄与いたしました(注1)。
また国内旅行及び宿泊については、新型コロナウイルス感染症の影響がなかった2019年と比較し2023年の日本人国内旅行消費額(宿泊旅行)は伸長しており、コロナ以前を上回る水準まで回復を見せております(注2)。
2023年度末時点での旅館業取得事業所数は92,947施設(注3)にのぼり、コロナ禍の中でもグランピング施設や1棟貸の宿泊施設等(リゾートヴィラ等)の簡易宿所営業を取得する施設の増加が要因となり、毎年施設の増加が見受けられます。
グランピング市場は、国内旅行市場における規模が拡大しているとはいえ、まだまだ一端を担っている程度に収まり、小さなシェアであることがうかがえることから、既存のコテージやバンガロー、キャンプ場からグランピング施設への転換、ホテルや旅館の遊休地を活かしたグランピング施設の展開がまだまだ行われるものと考えております。その一方で、一般名詞化の進んだグランピングというジャンルは、更なる市場規模の拡大や施設の増加と競争、市場内での淘汰も予見され、宿泊形態や名称が変化していくことは予測されますが、自由滞在型の宿泊形態は今後も引き続き需要が見込める市場であると考えております。
海外から日本への訪日旅行市場、インバウンド市場の規模についてもコロナ禍の落ち着いた2023年を目処に復調の兆しを見せており、現状では国外旅行者の需要が多い主要都市圏(東京、大阪、京都)に集中しているものの、複数回目の来日者や、国内で長期滞在をする国外旅行者の滞在先の1つとして、地方のリゾート施設が選ばれる傾向もあり、大きな潜在市場規模を持っていると考えております。
2023年から当社が手掛けている「いぬやど」では国内のペットツーリズム市場(ペット同伴旅行市場)を対象として事業展開しております。2023年度末時点で600万頭を超える犬の登録があり(注4)、家計におけるペット関連の支出は上昇傾向を示しております(注5)。それに伴い、ペット同伴旅行の需要も非常に高まっていることが推測されます。
また、2023年の1年間に旅行に行かなかった方へのアンケートによると、旅行の阻害要因として「ペットがいる」ことを挙げる方が18.2%となっております(注6)。ペットを飼っているが旅行に行きたい、旅行に行きたいのでペットを飼わない、という両者の望みを叶えるものがペット同伴旅行であり、大切な家族の一員であるペットを特別なお客様として迎え入れることができるペットファーストな宿泊施設という形態は拡大の余地があると考えられます。現在、多くの宿泊施設がペット同伴可能な施設へと転換しており、ホテルや旅館においても同様に施設の転換が行われております。当社の集客支援サービス「いぬやど」では、需要の高まるペット同伴旅行をターゲット市場として考えております。
注1「中小企業等事業再構築促進事業 各回補助金交付候補者の採択結果」
注2「観光庁 旅行・観光消費動向調査(2023年・年間値(確定値))」
注3「厚生労働省 令和5年度衛生行政報告例」
注4「厚生労働省 都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等(平成26年度~令和5年度)」
注5「総務省統計局 家計調査(2020年~2023年)」
注6「公益財団法人日本交通公社 旅行年報2024」
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社の集客支援事業における大きな特徴として、施設個別の予約サイト制作費用、PR費用、コンサルティング費用等を当社が負担し、獲得した予約獲得高に応じた成功報酬型の料金体系を採用していることが挙げられます。そのため、掲載施設の予約獲得高の合計である流通総額を増大させることが、当社売上高の継続的な成長に繋がります。また、当社の費用負担が先行するビジネスモデルであるため、適正かつ効率的な経費使用の下に利益を確保することが重要となります。
そこで当社は、「売上高成長率」、「経常利益率」、「自己資本利益率(ROE)」、「自己資本比率」を財務上の重要な経営指標とし、「サイトユーザー数」、「掲載客室数」、「予約獲得件数」、「平均客室単価(ADR)」を事業上の重要な経営指標として考えております。
① サイトユーザー数
「サイトユーザー数」は、当社が運営する予約プラットフォーム及び施設個別の予約サイトに訪問した1日あたりのユーザー数を表しております。この指標は、予約獲得件数の基礎となるもので、サービスの普及度合や旅行者(ユーザー)の利用動向を示すものであります。
② 掲載客室数
「掲載客室数」は、当社が運営する予約プラットフォーム上で掲載している施設の客室数を表しております。集客支援を行っている取引先は全て当社予約プラットフォームに掲載しているため、この指標は予約獲得件数の基礎となるものであり、市場の当社占有率を測るものであるとともに、旅行者(ユーザー)が安心して宿泊予約を行える予約プラットフォームであることを示すものであります。掲載客室数の増加は当社の認知度を高め、契約の新規獲得に繋がる要因となっております。
③ 予約獲得件数
「予約獲得件数」は、当社が予約プラットフォーム上で取り扱う客室数のうち、実際に予約を獲得した客室数を表しております。この指標は、当社のPR活動や施設個別の予約サイトの設計、SEO活動等により影響を受け、効果的なPR活動及びサイト構築が行われているかを示すものであります。
④ 平均客室単価(ADR)
「平均客室単価(ADR)」は、客室あたりの平均販売単価を表しております。掲載施設の商圏や設備レベル、提供するサービス、キャンペーン等により影響を受けます。
事業上の重要な経営指標について、各指標の足元の推移は以下のとおりであります。
サイトユーザー数は当社サービスの認知度及び掲載施設数の変動が主な推移理由であります。ただし、リゾート施設特化であることから季節による変動は避けられず、夏場に急増する傾向がある一方、逆に秋〜冬にかけては低下が顕著であります。掲載客室数及び予約獲得件数は当社サービスを通じた旅行者(ユーザー)及び掲載施設の変動が主な推移理由であります。平均客室単価は掲載施設の属性及び主に季節に応じた宿泊単価の変動が主な推移理由であります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が事業を展開する宿泊業界では、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され、社会活動や消費者の行動が正常化に向かう一方、エネルギー価格の高騰及び原材料の高騰、大幅な為替変動など国内経済並びに世界経済の先行きに不透明な状況が継続しております。また、気候変動や高齢化による人口構造の変化、都市化の問題など様々な変化が発生する中、変化により生ずる社会課題を解決するためのサービス、イノベーションが世界中で起きております。
このような経営環境において当社が対処すべき課題は次のとおりであります。
① 新たな予約プラットフォームの創出
当社は、集客支援事業において、国内市場における継続的な事業の拡大を図っておりますが、更なる成長を遂げるためインバウンド需要を取り込む海外向け予約プラットフォームの展開が必要であると考えております。
新型コロナウイルス感染症の影響緩和及び大幅な為替変動の影響によりインバウンド旅行者が急増する一方、一部の地域を除き旅行先の偏りが見られております。また、国内宿泊施設においては、個々の施設が単独で海外に向けて発信することが難しく、また宿泊施設に対するインバウンド旅行者のニーズを把握することも困難であることなど、インバウンド旅行者の予約獲得に多くの課題が見受けられます。
現在当社サービスにより宿泊予約を行う訪日旅行者は香港・台湾を中心としたアジア圏からの来訪が中心であるところ、インバウンド旅行者に対する宿泊施設の課題解決のため、海外へ向けた新規の予約プラットフォームを早急に整備し、インバウンドユーザーの会員化を行うなど、集客支援事業の拡大を狙ったインバウンド向けの集客支援事業を始動させることが必要であると考えております。
② 提供サービスの多様化
小規模な宿泊施設も多くある中で、施設の後継者不足や運営者不足による経営問題など、現在当社で展開している集客支援サービスの拡大が必要であると考えております。
具体的には、施設の運営により深く介入した「運営管理」として人員の手配、旅行者の問い合わせ対応、予約管理業務などを担うことにより、獲得した予約に対し収受している成功報酬手数料(予約獲得高×集客手数料率)に加え、運営管理として手数料を収受するなど、宿泊施設の抱える課題解決を図るとともに集客支援のマネタイズポイントの拡大に取り組んでまいります。
③ エキスパート人材の採用及び成長
当社が展開する集客支援事業及び直営宿泊事業において、既存領域の更なる成長と新規領域への挑戦を踏まえ、専門性の高い人材の採用及び成長が必要不可欠であると考えております。
既存領域においては、宿泊施設の課題を解決する知識の習得、旅行者(ユーザー)にアプローチするマーケティング能力、旅行者(ユーザー)との接点となるWebサイトや予約プラットフォーム等の操作性を高め予約獲得に貢献するWebサイト制作、直営宿泊施設におけるお客様の満足度向上と独創性のあるサービスの提供等が必要であると考えております。また旅行者(ユーザー)の属性及び利用実績等に応じ、潜在的なニーズを拾い上げ、旅の提案や旅行の目的、旅行の動機付けを当社から働きかけ、旅行機会を創出することができるシステム開発等が必要と考えております。そのためには専門性の高い人材の確保が重要と認識しており、今後も社内における研修の充実や優秀な人材の採用強化に取り組んでまいります。
④ システムの開発
新規の予約プラットフォーム創出に加え、既存の予約プラットフォームについても旅行者(ユーザー)のサイト訪問から予約獲得までのコンバージョン(成約率)を高めるためのシステム開発が必要であると考えております。
具体的には、会員制度やリピーター分析に加え、より個別性の高い旅の提案を行うことができるシステム、閑散期並びに平日の稼働率アップという宿泊業に共通する困難な課題を解決するためのシステム開発に優先的に取り組んでまいります。
(1) 経営方針
当社は、「宿泊業界をUP DATEする」という企業理念を掲げ、宿泊業界で当たり前となっている「常識」をアップデートし、新たな「常識」を創り出すことを目指しております。「宿泊すること」よりも「宿泊・滞在自体を楽しむこと」をコンセプトとしており、宿泊施設での滞在自体が旅行の目的となるような施設づくりを支援し、それを旅行者(ユーザー)に適切にPRすることで、宿泊施設の売上最大化を図っております。
当社は、的確な施設情報や地方に潜在するコンテンツを一般消費者である旅行者(ユーザー)に届けるBtoC(一般消費者向け)の領域、施設の多様な課題をともに解決するべく施設運営者の支援を行うBtoB(企業間取引)の領域、この2軸を同時に行っており、以下の点に特徴があります。
① 旅行者(ユーザー)への効果的なPRによりサイトへのアクセスを誘導するマーケティング
ノウハウを持つ当社従業員が施設運営者に代わって掲載施設のPRを行うことで、掲載施設のマーケティングコストを削減し、施設運営者が施設運営に集中できる環境づくりをサポートしております。また、当社内にWebサイト制作チームを携え、検索エンジンに対するキーワード対策やアクセスの集中しやすいページの分析を行うことで、旅行者(ユーザー)が宿泊先に抱く不安要素(設備、持ち物、アクセス等)を可能な限り洗い出し、対策を行っております。これにより、サイト到達から予約獲得までのアプローチをストレスなく完了できるようデザインしております。
② 集客支援事業における掲載施設へのコンサルティングサービスの提供
当社は、宿泊施設の運営ノウハウを掲載施設に提供するとともに、人員配置、施設設備及び集客に寄与する施設のソフトコンテンツ創造を包括して提案・サポートすることで、施設開業から運営まで一貫してコンサルティングできることを特徴としております。一般消費者の目に留まりやすいソフトコンテンツの開発及び魅力造成等を掲載施設と協議しながら進め、掲載施設のWebサイトへ反映することで、旅行者(ユーザー)が行ってみたいと思える旅先を創り出し、予約獲得へと繋げております。これらのコンサルティングサービスを無償で行うことで、掲載施設の売上最大化を図っております。
③ 直営宿泊施設の運営
当社は、掲載施設が抱える課題は実際に宿泊施設を運営している事業者でないと的確に把握できないものであると考えております。掲載施設への改善や提案を行う上で、コンサルティングサービスを提供する当社が同様の宿泊施設の運営者であることは非常に重要な要素であり、運営面におけるヒト・モノ・カネの課題について実体験のある当社に対して相談することができる、という点は顧客から大きな信頼を得ております。
直営宿泊施設では、集客支援事業に転用できる予約獲得のためのソフトコンテンツ、施設設計ノウハウ、運営ノウハウ等を蓄積することに重きを置き、掲載施設の宿泊施設運営上の課題点を洗い出し、予約獲得のために旅行者(ユーザー)に訴えかけることができる魅力を造成する場としております。また旅行者(ユーザー)の声が直接聞ける場として、ニーズの察知、予約獲得に有用な新サービスの試験的な導入、設備や備品の仕入れ業者との関係構築等、掲載施設に対しノウハウの提供を行うことに役立てております。
直営宿泊施設では、集客支援事業のターゲットとなる市場に焦点を当て、ドッグヴィラ千葉南房総では「ペットツーリズム」「リゾート施設」を、「秩父リゾート」では「アウトドア」「リゾート施設」をテーマとしております。この市場で独自の予約プラットフォームを構築し、集客支援事業の新規顧客の取り込みを図っております。
(2) 中期的な会社の経営戦略
宿泊業界は、コロナ禍という外的要因により、拡大を続けたグランピング施設とニーズが減少したホテルや旅館施設とに二極化しておりましたが、現在は旅行に対する需要も回復し、宿泊を伴った旅行が戻りつつある状況にあります。当社においては、現在は顧客からの問い合わせへの対応が中心となっているところ、今後は人材を投入し積極的な営業を展開することで、グランピング施設やリゾートヴィラのみならずリゾートホテルや高級旅館も対象とした集客支援事業の更なる拡大を行うとともに、通常の旅館やホテルをリブランドし、高単価の高級旅館へ引き上げる施策などを検討しております。国内の宿泊施設数が68,000軒(注1)を超える中で、後継者問題や集客面に課題を抱える旅館及び小規模ホテルも存在するなど、当社事業の開拓余地が十分あるものと考えております。
集客支援事業においては、旅行者(ユーザー)の動向にも注視し、多様化する旅行形態に対応するべく、宿泊施設に求められる要素の早期把握と旅行者(ユーザー)への提案力を強化するとともに、新規に掲載を望む宿泊施設及び旅行者(ユーザー)の獲得には、費用対効果を鑑みながら必要な広告宣伝費を投下することで獲得数の最大化を図ってまいります。
また、直営宿泊事業においては、引き続き施設の売上の最大化を図る一方、旅行者(ユーザー)に対するコンテンツのテストを重ね、集客支援事業の予約獲得に有用な施策の創出、設備の検討、会員制度の創出を行い、集客ノウハウの強化と当社の人材の成長を図り、掲載施設の売上最大化と当社の企業価値向上を目指してまいります。
注1「観光庁 宿泊旅行統計調査(2023年・年間値(確定値))」
(3) 経営環境
現在、当社が集客支援事業において対象としているリゾート施設について、当社は「宿泊滞在という体験を目的とする施設」「目的地化した宿泊施設」「自由滞在型の宿泊施設」と位置付けております。
2020年末から新型コロナウイルス感染症の影響を受け、接触の少ない旅行形態としてアウトドアが見直され、グランピングというキーワードを冠した宿泊施設が急速に拡大するとともに、「グランピング」がメディアの後押しを受け一般名詞化し、グランピング市場が急速に拡大しました。
2021年から中小企業庁が実施している、ポストコロナ時代における新市場進出及び事業や業種の転換を目的とした中小企業等への支援「事業再構築補助金」の第1回から第10回の採択結果によると、「グランピング」をキーワードとした新規事業進出は802件、また「アウトドア」及び「リゾート」を含めると1,872件もの新規事業が採択され、集客支援事業の対象とする市場の拡大に寄与いたしました(注1)。
また国内旅行及び宿泊については、新型コロナウイルス感染症の影響がなかった2019年と比較し2023年の日本人国内旅行消費額(宿泊旅行)は伸長しており、コロナ以前を上回る水準まで回復を見せております(注2)。
2023年度末時点での旅館業取得事業所数は92,947施設(注3)にのぼり、コロナ禍の中でもグランピング施設や1棟貸の宿泊施設等(リゾートヴィラ等)の簡易宿所営業を取得する施設の増加が要因となり、毎年施設の増加が見受けられます。
グランピング市場は、国内旅行市場における規模が拡大しているとはいえ、まだまだ一端を担っている程度に収まり、小さなシェアであることがうかがえることから、既存のコテージやバンガロー、キャンプ場からグランピング施設への転換、ホテルや旅館の遊休地を活かしたグランピング施設の展開がまだまだ行われるものと考えております。その一方で、一般名詞化の進んだグランピングというジャンルは、更なる市場規模の拡大や施設の増加と競争、市場内での淘汰も予見され、宿泊形態や名称が変化していくことは予測されますが、自由滞在型の宿泊形態は今後も引き続き需要が見込める市場であると考えております。
海外から日本への訪日旅行市場、インバウンド市場の規模についてもコロナ禍の落ち着いた2023年を目処に復調の兆しを見せており、現状では国外旅行者の需要が多い主要都市圏(東京、大阪、京都)に集中しているものの、複数回目の来日者や、国内で長期滞在をする国外旅行者の滞在先の1つとして、地方のリゾート施設が選ばれる傾向もあり、大きな潜在市場規模を持っていると考えております。
2023年から当社が手掛けている「いぬやど」では国内のペットツーリズム市場(ペット同伴旅行市場)を対象として事業展開しております。2023年度末時点で600万頭を超える犬の登録があり(注4)、家計におけるペット関連の支出は上昇傾向を示しております(注5)。それに伴い、ペット同伴旅行の需要も非常に高まっていることが推測されます。
また、2023年の1年間に旅行に行かなかった方へのアンケートによると、旅行の阻害要因として「ペットがいる」ことを挙げる方が18.2%となっております(注6)。ペットを飼っているが旅行に行きたい、旅行に行きたいのでペットを飼わない、という両者の望みを叶えるものがペット同伴旅行であり、大切な家族の一員であるペットを特別なお客様として迎え入れることができるペットファーストな宿泊施設という形態は拡大の余地があると考えられます。現在、多くの宿泊施設がペット同伴可能な施設へと転換しており、ホテルや旅館においても同様に施設の転換が行われております。当社の集客支援サービス「いぬやど」では、需要の高まるペット同伴旅行をターゲット市場として考えております。
注1「中小企業等事業再構築促進事業 各回補助金交付候補者の採択結果」
注2「観光庁 旅行・観光消費動向調査(2023年・年間値(確定値))」
注3「厚生労働省 令和5年度衛生行政報告例」
注4「厚生労働省 都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等(平成26年度~令和5年度)」
注5「総務省統計局 家計調査(2020年~2023年)」
注6「公益財団法人日本交通公社 旅行年報2024」
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社の集客支援事業における大きな特徴として、施設個別の予約サイト制作費用、PR費用、コンサルティング費用等を当社が負担し、獲得した予約獲得高に応じた成功報酬型の料金体系を採用していることが挙げられます。そのため、掲載施設の予約獲得高の合計である流通総額を増大させることが、当社売上高の継続的な成長に繋がります。また、当社の費用負担が先行するビジネスモデルであるため、適正かつ効率的な経費使用の下に利益を確保することが重要となります。
そこで当社は、「売上高成長率」、「経常利益率」、「自己資本利益率(ROE)」、「自己資本比率」を財務上の重要な経営指標とし、「サイトユーザー数」、「掲載客室数」、「予約獲得件数」、「平均客室単価(ADR)」を事業上の重要な経営指標として考えております。
① サイトユーザー数
「サイトユーザー数」は、当社が運営する予約プラットフォーム及び施設個別の予約サイトに訪問した1日あたりのユーザー数を表しております。この指標は、予約獲得件数の基礎となるもので、サービスの普及度合や旅行者(ユーザー)の利用動向を示すものであります。
② 掲載客室数
「掲載客室数」は、当社が運営する予約プラットフォーム上で掲載している施設の客室数を表しております。集客支援を行っている取引先は全て当社予約プラットフォームに掲載しているため、この指標は予約獲得件数の基礎となるものであり、市場の当社占有率を測るものであるとともに、旅行者(ユーザー)が安心して宿泊予約を行える予約プラットフォームであることを示すものであります。掲載客室数の増加は当社の認知度を高め、契約の新規獲得に繋がる要因となっております。
③ 予約獲得件数
「予約獲得件数」は、当社が予約プラットフォーム上で取り扱う客室数のうち、実際に予約を獲得した客室数を表しております。この指標は、当社のPR活動や施設個別の予約サイトの設計、SEO活動等により影響を受け、効果的なPR活動及びサイト構築が行われているかを示すものであります。
④ 平均客室単価(ADR)
「平均客室単価(ADR)」は、客室あたりの平均販売単価を表しております。掲載施設の商圏や設備レベル、提供するサービス、キャンペーン等により影響を受けます。
事業上の重要な経営指標について、各指標の足元の推移は以下のとおりであります。
サイトユーザー数は当社サービスの認知度及び掲載施設数の変動が主な推移理由であります。ただし、リゾート施設特化であることから季節による変動は避けられず、夏場に急増する傾向がある一方、逆に秋〜冬にかけては低下が顕著であります。掲載客室数及び予約獲得件数は当社サービスを通じた旅行者(ユーザー)及び掲載施設の変動が主な推移理由であります。平均客室単価は掲載施設の属性及び主に季節に応じた宿泊単価の変動が主な推移理由であります。
| 期 | 期間 | サイトユーザー数(期間累計) (千人) | 掲載客室数 (期末時点) (室) | 予約獲得件数 (期間累計) (件) | 平均客室単価 (期間平均) (千円) |
| 2023年4月期 | 第1四半期 | 4,518 | 1,047 | 23,439 | 83 |
| 第2四半期 | 5,781 | 1,176 | 37,615 | 88 | |
| 第3四半期 | 3,591 | 1,265 | 22,099 | 75 | |
| 第4四半期 | 4,417 | 1,480 | 24,296 | 74 | |
| 通期 | 18,309 | 1,480 | 107,449 | 81 | |
| 2024年4月期 | 第1四半期 | 7,575 | 1,697 | 29,969 | 78 |
| 第2四半期 | 8,732 | 1,872 | 44,247 | 83 | |
| 第3四半期 | 7,212 | 1,929 | 27,963 | 73 | |
| 第4四半期 | 9,596 | 2,086 | 32,692 | 72 | |
| 通期 | 33,117 | 2,086 | 134,871 | 77 | |
| 2025年4月期 | 第1四半期 | 12,626 | 2,092 | 39,689 | 76 |
| 第2四半期 | 11,046 | 2,270 | 56,699 | 84 |
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が事業を展開する宿泊業界では、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され、社会活動や消費者の行動が正常化に向かう一方、エネルギー価格の高騰及び原材料の高騰、大幅な為替変動など国内経済並びに世界経済の先行きに不透明な状況が継続しております。また、気候変動や高齢化による人口構造の変化、都市化の問題など様々な変化が発生する中、変化により生ずる社会課題を解決するためのサービス、イノベーションが世界中で起きております。
このような経営環境において当社が対処すべき課題は次のとおりであります。
① 新たな予約プラットフォームの創出
当社は、集客支援事業において、国内市場における継続的な事業の拡大を図っておりますが、更なる成長を遂げるためインバウンド需要を取り込む海外向け予約プラットフォームの展開が必要であると考えております。
新型コロナウイルス感染症の影響緩和及び大幅な為替変動の影響によりインバウンド旅行者が急増する一方、一部の地域を除き旅行先の偏りが見られております。また、国内宿泊施設においては、個々の施設が単独で海外に向けて発信することが難しく、また宿泊施設に対するインバウンド旅行者のニーズを把握することも困難であることなど、インバウンド旅行者の予約獲得に多くの課題が見受けられます。
現在当社サービスにより宿泊予約を行う訪日旅行者は香港・台湾を中心としたアジア圏からの来訪が中心であるところ、インバウンド旅行者に対する宿泊施設の課題解決のため、海外へ向けた新規の予約プラットフォームを早急に整備し、インバウンドユーザーの会員化を行うなど、集客支援事業の拡大を狙ったインバウンド向けの集客支援事業を始動させることが必要であると考えております。
② 提供サービスの多様化
小規模な宿泊施設も多くある中で、施設の後継者不足や運営者不足による経営問題など、現在当社で展開している集客支援サービスの拡大が必要であると考えております。
具体的には、施設の運営により深く介入した「運営管理」として人員の手配、旅行者の問い合わせ対応、予約管理業務などを担うことにより、獲得した予約に対し収受している成功報酬手数料(予約獲得高×集客手数料率)に加え、運営管理として手数料を収受するなど、宿泊施設の抱える課題解決を図るとともに集客支援のマネタイズポイントの拡大に取り組んでまいります。
③ エキスパート人材の採用及び成長
当社が展開する集客支援事業及び直営宿泊事業において、既存領域の更なる成長と新規領域への挑戦を踏まえ、専門性の高い人材の採用及び成長が必要不可欠であると考えております。
既存領域においては、宿泊施設の課題を解決する知識の習得、旅行者(ユーザー)にアプローチするマーケティング能力、旅行者(ユーザー)との接点となるWebサイトや予約プラットフォーム等の操作性を高め予約獲得に貢献するWebサイト制作、直営宿泊施設におけるお客様の満足度向上と独創性のあるサービスの提供等が必要であると考えております。また旅行者(ユーザー)の属性及び利用実績等に応じ、潜在的なニーズを拾い上げ、旅の提案や旅行の目的、旅行の動機付けを当社から働きかけ、旅行機会を創出することができるシステム開発等が必要と考えております。そのためには専門性の高い人材の確保が重要と認識しており、今後も社内における研修の充実や優秀な人材の採用強化に取り組んでまいります。
④ システムの開発
新規の予約プラットフォーム創出に加え、既存の予約プラットフォームについても旅行者(ユーザー)のサイト訪問から予約獲得までのコンバージョン(成約率)を高めるためのシステム開発が必要であると考えております。
具体的には、会員制度やリピーター分析に加え、より個別性の高い旅の提案を行うことができるシステム、閑散期並びに平日の稼働率アップという宿泊業に共通する困難な課題を解決するためのシステム開発に優先的に取り組んでまいります。