有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2025/01/17 15:30
【資料】
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【項目】
143項目
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 会社経営の基本方針
当社は「ヒラメキあふれる世界をつくる」をミッションに、「あらゆる『人』と『組織』が成長し、可能性がひらかれるプロダクトをつくる」をビジョンに掲げ、1冊約10分で読める本の要約コンテンツや、有識者による動画、インタビュー等の特集記事等を集約したプラットフォームを運営しています。法人における人材育成目的のSaaS型サービスが中心となっているため、サービス改善、新機能追加、セールス、カスタマーサクセス、コンテンツ編集が重要な役割を担っています。
会社運営においては、採用、育成、カルチャー浸透に特に力を入れています。行動指針にあたるバリューとして、「楽しむ」、「スピード」、「Self-starter」、「挑戦」、「Respect」、「三方良し」の6つをかかげ、事業成長を重視した上で、知の流通という社会的価値も追求しています。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は中長期における持続的な企業価値の向上を目指しており、KGIとして全社における売上高、営業損益、営業損益率、売上成長率、MRR(注1)、主要な成長セグメントであるエンタープライズ事業セグメントにおける売上高、売上成長率、エンタープライズ事業売上高比率を、KPIとしてエンタープライズ事業セグメントの主力サービスである「flier business」におけるMRR、契約社数(注2)、ARPA(注3)、Net Revenue Churn Rate(注4)を重視しています。また、それらの基盤となるステークホルダーとの信頼関係と提供するコンテンツの質を大切にしています。
(3) 経営環境
国内HRテックSaaS市場は2024年に1,442億円(※)となり、今後も成長率32.6%(※)で拡大することが予想されています(出所:デロイトトーマツミック経済研究所「HRTechクラウド市場の実態と展望2023年度版」)。加えて、グローバル環境下での人材獲得競争はますます激しくなっている中で、OJT以外の人材投資において日本の投資金額は大幅な劣位にあり、対GDP比でアメリカの20分の1程度と開きがあることから、今後は海外水準に近づけるべく国内でも一層の人材育成への投資が求められると考えられます。さらに2018年に発表されたISO30414(人的資本に関する情報開示の国際的ガイドライン)にあるように、人的資本経営への関心が海外だけでなく国内においても高まっております。このような状況を背景に、労働生産性向上やリスキリング等への関心が高まっており、従業員の自律的な学習機会の提供および自己研鑽の支援を行う法人内の人材育成需要が拡大していると考えております。

あわせて、事業構造を革新するDX化や生成AIの発展などのトレンドと、新型コロナウイルス感染の拡大をきっかけに、人材投資においてリアルの研修だけでなくオンラインの環境整備を進める機運が高まったことから、インターネットを通じたサービスを活用するSaaS(Software as a Service)の市場成長が継続しています。新型コロナウイルスの猛威が収束した現在においても、オフィス勤務とリモート勤務を合わせたハイブリッド出社が一般化したこともオンライン上の人材育成への投資が広がる一因となっており、今後もオンラインの人材育成市場は継続的に拡大するものと考えられます。
※ 「デロイトトーマツミック経済研究所「HRTechクラウド市場の実態と展望2023年度版」」
2021年から2027年を対象期間としたCAGR(年平均成長率)は32.6%
年度2021年2022年2023年2024年2025年2026年2027年
市場規模 (億円)5888051,1081,4421,8972,4883,200

(4) 経営戦略
このような環境認識の下、当社の中長期の経営戦略の軸はエンタープライズ事業の拡大となります。そのための主要な戦略の方向性は、「flier business」の顧客基盤の拡大、新規事業である「flier 成長組織ナビ」の展開本格化、両サービスのクロスセルの拡大となり、下記施策に注力していきます。
① エンタープライズ層の開拓
従業員500名以上のエンタープライズ企業への開拓を進めていくことにより、導入規模・案件の成約単価をともに大きなものとしていきます。
② 販売パートナー網の構築
中小規模の企業群にも顧客基盤を拡大していくために、代理店網の開拓にも取り組んでおり、今後より本格化していく方針です。
③ 法人向け新規事業の有償化
新規事業である「flier 成長組織ナビ」を通じて、企業の成長組織への変革を推進し、新たな収益の柱を確立していく方針です。
「flier business」の収益拡大のために、従業員500名以上のエンタープライズ企業への開拓を進めていくことにより、導入規模・案件の成約単価をともに大きなものとしていきます。また、中小規模の企業群にも顧客基盤を拡大していくために、代理店網の開拓にも取り組んでおり、今後より本格化していく方針です。
上記に加え、新規事業である「flier成長組織ナビ」を通じて、企業の成長組織への変革を促進し、新たな収益の柱を確立していく方針です。
このような営業戦略と合わせて、プロダクトのさらなる開発にも注力していきます。各社の要約閲覧情報が集約されることを見通して、業界別職種別階層別の読書傾向の把握や、要約のレコメンド機能の強化のため、自然言語処理・統計処理などの先端技術の活用を進めていく予定です。会社全体で幅広くAI(注5)を用いたサービス企画や業務改善を行うため、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)のディープラーニング資格の取得支援制度を設けており、役員および社員の約4割がG検定を既に取得しています(2024年11月末時点)。
また、知に対するリスペクトを大切にして、知の創出に関わる人々に対する価値も一層提供していき、出版社・著者等の著名人・全国の書店などのネットワークをさらに充実させ、コンテンツの充実やビジネスパーソンの学習の質を高めていくことを通じて顧客価値につなげていくよう努めてまいります。そして、その取り組みの中で培われた出版社・著者等の知の生産者との強固なネットワーク、3,800冊超におよぶ要約コンテンツ、さらに累計会員数121万人といった顧客基盤といった資産は、相互に作用しながら蓄積されることで高い参入障壁を形成し、当社の競争優位を築いています。このような当社が有する強みを引き続き磨き上げながら事業運営を行っていく方針です。

(5) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
① サービスの付加価値創出
当社は「ヒラメキあふれる世界をつくる」をミッションに、「あらゆる『人』と『組織』が成長し、可能性がひらかれるプロダクトをつくる」をビジョンに掲げており、それを実現するためにも顧客から期待されていることは、第一に質の高い要約・動画等のコンテンツであり、第二に人材育成や自己啓発に導きやすいサービス機能の充実だと考えています。そのため、コンテンツの企画や編集力を磨きながら、連続的に新しい質の高いコンテンツを提供してまいります。また、エンタープライズユーザの人材育成を促すため、社内学習を促すSNS機能(学びメモ)の充実や、人材研修機能(読書プログラム)の改善を図ります。さらに会社横断の学びの促進のため、自然言語処理・統計処理などの先端のテクノロジーを扱う組織能力を磨きます。
② サービス認知度向上
当社のユーザ数は累計で121万人となっていますが、6,000万人を超えると言われるビジネスパーソンに対してはわずかな割合に留まっています。また、今後の重点戦略であるエンタープライズ事業の拡大に向けても、サービス認知度の向上は重要なテーマとなります。広報活動やデジタル広告などのマーケティング施策に加えて、書店における露出の継続的な拡大やビジネス書などの出版物との共同プロモーションなど、様々な露出の強化に努めます。
③ 販売力、価値提供力の向上
当社の事業成長の中核となっているエンタープライズ事業セグメントにおける販売力および価値提供力の向上は重要な領域であり、顧客からの期待に応えることが必須の課題だと認識しています。顧客の多様な人材育成ニーズに対応するため、セールスおよびカスタマーサクセス人員への継続的な投資を行うとともに、全国的な展開スピードを早めるため、販売パートナー網の構築にも注力していきます。
④ 外部サービスとの連携拡大
当社の経営戦略としてサービスの展開を進めることに加え、プロダクト開発も重要なテーマとなっています。そのため、当社サービスを通じた人材育成施策の検証を促すため、人事評価や1on1などの仕組みを提供する他人事系SaaSとの連携先を増やすことを追求していきます。さらに、Slack等の社内コミュニケーションツールとの連携を強めて、日々の業務の中でのさらなる学習機会を増やし、サービス浸透を図ります。
⑤ 優秀な人材の確保
当社の持続的な事業拡大においては、優秀な人材の確保が重要な課題であると認識しております。組織内において「楽しむ」、「スピード」、「Self-starter」、「挑戦」、「Respect」、「三方良し」の6つのバリューの浸透に努め、メンバーの成長機会を多く提供できる魅力的な事業を継続的に行うとともに、それぞれのメンバーがフラットな関係で高い目標に向かう組織文化を醸成し、離職率を抑えて優秀な人材が定着することに注力します。
⑥ システムの安定的な稼働
当社のサービスは、インターネットを通じて提供されており、通信ネットワークやシステムの安定稼働が重要であると考えております。そのため、当社ではシステム投資、メンテナンス投資およびセキュリティ対策の強化に努めてまいります。
⑦ ステークホルダーの期待に応えるコーポレート・ガバナンスの実現
各方面でのステークホルダーの期待に応え、事業成長を健全な形で持続していく上で、コーポレート・ガバナンス機能の強化は必須であると考えております。常にステークホルダーとの対話を行うことで客観的な状況把握に努めるとともに、会社経営においても適切な牽制機能が働く経営体制の構築に取り組んでまいります。
(注) 1.MRR(Monthly Recurring Revenue)
当社が提供する月額課金サービスにおいて、顧客から毎月継続的に得ることのできる月次収益額。
2.契約社数
「flier business 」の契約のうち、3か月以上の継続取引における契約社数。
3.ARPA(Average Revenue Per Account)
「flier business」の契約における月次平均単価。
4.Net Revenue Churn Rate
(月次の新規受注額+既存顧客の金額変更―既存顧客の解約額)/(前月末の既存顧客に対する継続課金残高)によって算出される月次解約率の指標。販売契約のうち「flier business」の契約を対象とする。
5.Artificial Intelligenceの略。知的活動を人間に代わってコンピューターに行わせる技術。

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