有価証券報告書-第8期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
ビジョン(Vision) 「未来のインフラを創出し、HRの歴史を塗り替える」
当社は、AI・テクノロジーで企業の人材獲得力を高めるAI HRTechカンパニーとして、AIネイティブな統合型タレントアクイジションプラットフォーム「MyTalent Platform」を提供しています。
生成AIをはじめとするテクノロジーの急速な進化により、ソフトウェア業界の競争ルールは大きく変わり始めております。AI時代には、データを蓄積し自動化を実現するプラットフォームの価値が高まり、人材採用市場もまた大きな変革期を迎えております。既存の採用サービスではリーチしきれない潜在層を含め、新たな機会を求める転職等希望者数は過去最高の1,000万人を突破しております。このような環境下において、企業には一度接点を持ったすべての人材情報を継続的に蓄積し、企業独自の人材データベースを構築することが求められております。
TalentXの社名は、ビジョンである「未来のインフラを創出し、HRの歴史を塗り替える」の実現に向け、AIネイティブ採用により日本企業の採用を変革し、自社採用力を強化して競争優位を創るオールインワンプラットフォーム「MyTalent Platform」を通じて、日本の採用に変革(X)を起こす集団でありたいという決意を込めており、タレントを通じて人と組織のポテンシャルを最大化することを目指しています。
当社の事業の一つである「MyTalent Refer(MyRefer)」サービスは、HR業界の当たり前を変革し、転職・採用市場に新しい概念を創るという想いで2015年にスタートしました。その当時、リファラル採用という概念はまだ一般的に浸透しておらず、「採用は人事が担うもの」という考え方が主流でした。2023年の1年間の中で、「MyTalent Refer(MyRefer)」ご利用企業様や当社へ問い合わせをいただいた企業のうち62.0%の企業は何らかのリファラル制度を実施しており(注1)、企業の主要な採用チャネルのひとつとして定着しつつあります。そこからさらに少子高齢化による労働人口の減少や人材獲得競争の激化により、企業には従来の募集活動だけではなく、転職潜在層を含む幅広い人材との継続的な関係構築が求められるようになっております。当社は、こうした環境変化を背景に、リファラル採用支援にとどまらず、採用サイト、タレントプール、採用管理システムを統合した「MyTalent Platform」を提供しております。
当社は、採用活動を通じて得られる候補者データや採用ノウハウを企業の資産として蓄積・活用し、採用をコストが消えていく採用から資産が積みあがる採用へ転換することで、企業の採用競争力向上に貢献してまいります。
少子高齢化により労働人口減少に拍車がかかり、人材獲得競争が激化する中、企業には待ちの姿勢ではなく、自らタレントを惹きつける採用力が求められております。採用競争力が企業の成長や生産性を左右する時代において、当社は日本の採用のあり方を転換する新たな概念とサービスを提供し、企業の持続的な採用競争力の向上に取り組んでおります。
(注1) 当社調べ「リファラル採用の実施状況に関する企業規模・業界別統計レポート」
調査対象企業2,586社、有効回答2,174社、うち1,348社が実施
https://MyTalent.jp/lab/resource_337/
2023年の1年間の中で、MyTalent Refer(MyRefer)ご利用企業様や弊社へ問い合わせをいただいた企業様2,586社に対して、各社のリファラル実施状況を調査したものとなります。
パーパス(PURPOSE) 「人と組織のポテンシャルを解放する社会の創造」
当社は、タレントを通じて人と組織のポテンシャルを最大化(X)することを目指しています。あらゆる人には、自分固有の強みややりがいを発揮できる環境があり、あらゆる企業には自社固有の強みや働く魅力があります。
人や会社の「らしさ」を引き出し、本来巡り合えなかった本質的なマッチングを創出することで、自分たちの存在意義、介在価値、やりがいを感じられる。
このような、人と組織のポテンシャルを解放する社会を創造することが、私たちの存在意義です。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として、売上高、MyTalent PlatformMRRを含むサブスクリプション売上高比率、売上高総利益率、調整後営業利益率、ARR(Annual Recurring Revenue)(注1)、課金利用社数(注2)、MyTalent PlatformのARPA(注3)を重要な客観的な指標と捉えております。
(注1)ARR(Annual Recurring Revenue):年間経常収益(Annual Recurring Revenue)
各期末時点におけるMRR(Monthly Recurring Revenue、対象月の月末時点における管理会計上のサブスクリプション売上高)を12倍して算出しています。
(注2)課金利用社数:MyTalent Platformを課金利用していただいている社数です。複数アカウントを利用している企業もあります。
(注3)「MyTalent Platform」のARPA(1社当たりの月額サブスクリプション売上高)
(3)経営環境
生成AIの急速な進展により、ソフトウェア産業における競争環境は大きく変化しております。AI時代においては、データを蓄積し継続的に活用できるプラットフォームの重要性が高まっており、人材採用市場においてもAI活用が急速に進展しております。海外の調査では、AI導入企業の約70%が人事領域における活用を推進しており、採用活動はAIの先行活用領域の一つと位置付けられております。(注1)
(注1) 出典:Boston Consulting Group「How AI Is Changing Recruitment」
日本では労働人口の減少が進む中、AI活用の進展等を背景に企業の経験者採用ニーズは増加しており、求人数は増加の一途を辿っております。その結果概ね全ての職業で人材不足が顕在化し、採用コストの上昇や人材紹介会社への依存拡大、採用担当者の負荷増加といった課題が顕在化しており、企業には採用活動の変革が求められております。(注2)
(注2) 左図表 出典:みずほ総合研究所株式会社(現 みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)作成(総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」)
右図表 出典:パーソルキャリア株式会社「転職求人倍率レポート(2024年12月)」
日本の労働市場では労働力人口7,015万人のうち転職者は330万人と全体の5%程度である中で、既存の採用サービスではリーチしきれない潜在層を含め転職等希望者数が過去最高の1,000万人を突破しています(注3)。
(注3) 出典:総務省統計局「労働力調査2025年」
労働人口の減少が大きな社会課題となる中、当社が属する採用市場は、国内で2020年約0.9兆円から2025年約1.6兆円と増加しており、中途採用計画が未充足の企業が58%と半数以上となっております(注4)。なお、世界の採用マーケティング市場は2024年に約17兆円まで拡大しております(注5)。
当社はこの国内における1.6兆円の仲介採用市場(人材紹介及び求人広告の合算市場)に加え、転職を検討している潜在層を含む領域も事業領域としており、当社のService Available Marketは大手企業向けで約650億円、中小企業も対象とした場合は約1,661億円と推計しております(注6)。
(注4) 出典:リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2025年度上半期実績、正規社員)」。
(注5) 左図表 出典:厚生労働省「職業紹介事業報告書 令和6年度版」、全国求人情報協会「求人情報提供サービス市場規模調査結果 2026年」右図表 出典:Fortune Business Insights Online Recruitment Technology Market Size, Share & COVID-19 Impact Analysis,市場規模は日本円に換算しております。1米ドル当たり約159円(2026年3月31日時点)
(注6) Service Available Market:事業が獲得しうる最大の市場規模です。当社CRMで管理している日本国内の従業員数1,000名以上の企業3,738社のうち、「MyTalent Platform」がコアターゲットとしている企業数(中途採用において人材紹介または媒体を活用している企業)を算出しております。コアターゲット企業数を従業員数1,000~2,999名、3,000名以上に分類し、「MyTalent Platform(「MyTalent Refer(MyRefer)」、「MyTalent CRM」、「MyTalent Brand」)」の新規獲得時の月額利用料を積算し、これを1年間分(12か月分)に換算して推計しております。
(4) 中長期経営戦略等
当社を取り巻く採用市場は、少子高齢化による労働力不足や人材獲得競争の激化に加え、生成AI技術の
進展により大きな変革期を迎えております。企業においては、従来の求人広告や人材紹介会社を中心とした採用活
動から、自社が保有する候補者との継続的な関係構築やデータ活用を重視するタレントアクイジションへの転換
が進んでおります。
このような事業環境の中、当社はAIネイティブ採用を実現する、MyTalent Platformを通じて、人材獲得活動の変革を目指しております。
当社は、中長期的な企業価値向上に向けて、以下の中長期成長戦略を推進しております。
AIネイティブ戦略
当社は、AI Coreを軸に、採用プロセス全体をAIで統合・自動化することを推進しております。競合との差別化をプロダクト品質で実現し、AIファーストの採用体験を業界標準とすることを目指しております。具体的には、AI機能の継続的なリリース、精度向上に向けたデータ学習ループの構築、AI Agentへの段階的な進化を推進してまいります。これらを通じて、解約率の低下による粘着性の向上を図ってまいります。
統合プラットフォーム戦略
当社は、「MyTalent CRM」「MyTalent Hire」「MyTalent Refer(MyRefer)」「MyTalent Brand」を単一の「MyTalent Platform」へ統合し、プラットフォームとしての価値向上を推進しております。各プロダクトを個別に利用する場合と比べ、統合的に利用することで採用活動全体を一元的に管理できるため、顧客にとっての利便性が高まります。また、複数プロダクトにまたがって採用データが蓄積・連携されることで、顧客の採用業務がプラットフォーム上に定着し、継続的な利用につながります。具体的には、プロダクト間のデータ連携の深化、蓄積される採用データ資産の拡大、外部パートナーとの連携によるエコシステムの構築を推進してまいります。これらを通じて、顧客単価の上昇を図ってまいります。
市場拡大戦略
当社は、これまで主に従業員数1,000名以上の大企業を中心に事業を展開してまいりました。大企業市場においては、既存顧客への深耕、複数プロダクト導入の推進及びコンサルティングサービスの強化を通じて、顧客単価の向上を図ってまいります。また、当社がこれまで培ってきた大企業向け営業ノウハウや顧客基盤を活用し、継続的な新規顧客開拓を推進してまいります。さらに、「MyTalent Platform」への統合を契機として、中堅・成長企業市場への展開を加速し、顧客基盤の拡大を図ってまいります。ブランド投資やマーケティング投資、販売体制の強化を通じて市場認知度の向上を図るとともに、新たな顧客層の獲得を推進してまいります。また当社は、システム利用料を中心としたリカーリング事業に加え、RXO(Recruitment Transformation Outsourcing)をはじめとするコンサルティング事業や成果報酬型サービス等のパフォーマンス事業を展開しております。リカーリング事業による安定的な収益基盤と、パフォーマンス事業による成長機会を組み合わせることで、持続的な成長を実現してまいります。
当社は、これらの中長期成長戦略を推進することで、AIネイティブ・タレントアクイジションプラットフォームとしての競争優位性を強化し、中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の主な課題は、以下の項目と認識しております。
①AIネイティブな統合型タレントアクイジションプラットフォームの推進
既にリリース済みの採用ブランディングサービス「MyTalent Brand」、AI採用MAサービス「MyTalent CRM」、リファラル採用支援ツール「MyTalent Refer(MyRefer)」、AIネイティブATS「MyTalent Hire」に加え、新たなサービスを順次導入することで、「MyTalent Platform」のサービスラインをさらに拡充してまいります。これにより、当社サービスのプラットフォーム化を一層強化し、既存顧客の深耕および新規顧客の獲得を推進してまいります。
② 収益性の追求
2023年3月期までは、③に記載の人材の確保・育成のための人件費や採用費等が積み重なった結果、営業損失が先行して発生しておりましたが、2024年3月期より利益に転じております。
AIネイティブ採用の観点で事業間シナジーを生み出すとともに、成長事業に対しては積極的に投資を実施しながら、全社的なコストの適正化を図ってまいります。
③ 優秀な人材の確保・育成
当社事業を成長させていくため、優秀な人材の確保・育成は不可欠であると認識しております。また、人員拡大とともに組織化を進め、教育制度も拡充し、従業員の成長をサポートしてまいります。
④ 情報管理体制の継続的な強化
当社の運営する事業においては、顧客情報や個人情報を取り扱っており、これらの情報管理体制を強化することが重要であると考えております。そのため、個人情報に関する社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施やセキュリティシステムの構築を行っております。また、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が運営するプライバシーマーク制度の認証を取得しており、引き続き、情報管理体制の強化、徹底を図ってまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
当社が継続的な成長を続けていくことができる強固な組織基盤の確立に向け、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の更なる強化を図ってまいります。
⑥ 財務上の課題
当社は金融機関から借入を行ってはおりますが、営業活動による安定的なキャッシュ・フローを源泉として健全な財務基盤を築いているため、現時点において優先的に対処すべき財務上の課題はありません。
しかしながら、今後の持続的な成長に向けて、M&A、資本業務提携、新規事業への投資その他の成長投資を実施した場合には、一時的に財務負担が増加する可能性があります。そのため、営業活動による安定したキャッシュ・フローの確保に加え、金融機関との一層の関係強化や資金調達手段の多様化を進めることで、財務基盤の更なる強化に努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
ビジョン(Vision) 「未来のインフラを創出し、HRの歴史を塗り替える」
当社は、AI・テクノロジーで企業の人材獲得力を高めるAI HRTechカンパニーとして、AIネイティブな統合型タレントアクイジションプラットフォーム「MyTalent Platform」を提供しています。
生成AIをはじめとするテクノロジーの急速な進化により、ソフトウェア業界の競争ルールは大きく変わり始めております。AI時代には、データを蓄積し自動化を実現するプラットフォームの価値が高まり、人材採用市場もまた大きな変革期を迎えております。既存の採用サービスではリーチしきれない潜在層を含め、新たな機会を求める転職等希望者数は過去最高の1,000万人を突破しております。このような環境下において、企業には一度接点を持ったすべての人材情報を継続的に蓄積し、企業独自の人材データベースを構築することが求められております。
TalentXの社名は、ビジョンである「未来のインフラを創出し、HRの歴史を塗り替える」の実現に向け、AIネイティブ採用により日本企業の採用を変革し、自社採用力を強化して競争優位を創るオールインワンプラットフォーム「MyTalent Platform」を通じて、日本の採用に変革(X)を起こす集団でありたいという決意を込めており、タレントを通じて人と組織のポテンシャルを最大化することを目指しています。
当社の事業の一つである「MyTalent Refer(MyRefer)」サービスは、HR業界の当たり前を変革し、転職・採用市場に新しい概念を創るという想いで2015年にスタートしました。その当時、リファラル採用という概念はまだ一般的に浸透しておらず、「採用は人事が担うもの」という考え方が主流でした。2023年の1年間の中で、「MyTalent Refer(MyRefer)」ご利用企業様や当社へ問い合わせをいただいた企業のうち62.0%の企業は何らかのリファラル制度を実施しており(注1)、企業の主要な採用チャネルのひとつとして定着しつつあります。そこからさらに少子高齢化による労働人口の減少や人材獲得競争の激化により、企業には従来の募集活動だけではなく、転職潜在層を含む幅広い人材との継続的な関係構築が求められるようになっております。当社は、こうした環境変化を背景に、リファラル採用支援にとどまらず、採用サイト、タレントプール、採用管理システムを統合した「MyTalent Platform」を提供しております。
当社は、採用活動を通じて得られる候補者データや採用ノウハウを企業の資産として蓄積・活用し、採用をコストが消えていく採用から資産が積みあがる採用へ転換することで、企業の採用競争力向上に貢献してまいります。
少子高齢化により労働人口減少に拍車がかかり、人材獲得競争が激化する中、企業には待ちの姿勢ではなく、自らタレントを惹きつける採用力が求められております。採用競争力が企業の成長や生産性を左右する時代において、当社は日本の採用のあり方を転換する新たな概念とサービスを提供し、企業の持続的な採用競争力の向上に取り組んでおります。
(注1) 当社調べ「リファラル採用の実施状況に関する企業規模・業界別統計レポート」
調査対象企業2,586社、有効回答2,174社、うち1,348社が実施
https://MyTalent.jp/lab/resource_337/
2023年の1年間の中で、MyTalent Refer(MyRefer)ご利用企業様や弊社へ問い合わせをいただいた企業様2,586社に対して、各社のリファラル実施状況を調査したものとなります。
パーパス(PURPOSE) 「人と組織のポテンシャルを解放する社会の創造」
当社は、タレントを通じて人と組織のポテンシャルを最大化(X)することを目指しています。あらゆる人には、自分固有の強みややりがいを発揮できる環境があり、あらゆる企業には自社固有の強みや働く魅力があります。
人や会社の「らしさ」を引き出し、本来巡り合えなかった本質的なマッチングを創出することで、自分たちの存在意義、介在価値、やりがいを感じられる。
このような、人と組織のポテンシャルを解放する社会を創造することが、私たちの存在意義です。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として、売上高、MyTalent PlatformMRRを含むサブスクリプション売上高比率、売上高総利益率、調整後営業利益率、ARR(Annual Recurring Revenue)(注1)、課金利用社数(注2)、MyTalent PlatformのARPA(注3)を重要な客観的な指標と捉えております。
(注1)ARR(Annual Recurring Revenue):年間経常収益(Annual Recurring Revenue)
各期末時点におけるMRR(Monthly Recurring Revenue、対象月の月末時点における管理会計上のサブスクリプション売上高)を12倍して算出しています。
(注2)課金利用社数:MyTalent Platformを課金利用していただいている社数です。複数アカウントを利用している企業もあります。
(注3)「MyTalent Platform」のARPA(1社当たりの月額サブスクリプション売上高)
(3)経営環境
生成AIの急速な進展により、ソフトウェア産業における競争環境は大きく変化しております。AI時代においては、データを蓄積し継続的に活用できるプラットフォームの重要性が高まっており、人材採用市場においてもAI活用が急速に進展しております。海外の調査では、AI導入企業の約70%が人事領域における活用を推進しており、採用活動はAIの先行活用領域の一つと位置付けられております。(注1)
(注1) 出典:Boston Consulting Group「How AI Is Changing Recruitment」
日本では労働人口の減少が進む中、AI活用の進展等を背景に企業の経験者採用ニーズは増加しており、求人数は増加の一途を辿っております。その結果概ね全ての職業で人材不足が顕在化し、採用コストの上昇や人材紹介会社への依存拡大、採用担当者の負荷増加といった課題が顕在化しており、企業には採用活動の変革が求められております。(注2)
(注2) 左図表 出典:みずほ総合研究所株式会社(現 みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)作成(総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」)右図表 出典:パーソルキャリア株式会社「転職求人倍率レポート(2024年12月)」
日本の労働市場では労働力人口7,015万人のうち転職者は330万人と全体の5%程度である中で、既存の採用サービスではリーチしきれない潜在層を含め転職等希望者数が過去最高の1,000万人を突破しています(注3)。
(注3) 出典:総務省統計局「労働力調査2025年」労働人口の減少が大きな社会課題となる中、当社が属する採用市場は、国内で2020年約0.9兆円から2025年約1.6兆円と増加しており、中途採用計画が未充足の企業が58%と半数以上となっております(注4)。なお、世界の採用マーケティング市場は2024年に約17兆円まで拡大しております(注5)。
当社はこの国内における1.6兆円の仲介採用市場(人材紹介及び求人広告の合算市場)に加え、転職を検討している潜在層を含む領域も事業領域としており、当社のService Available Marketは大手企業向けで約650億円、中小企業も対象とした場合は約1,661億円と推計しております(注6)。
(注4) 出典:リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2025年度上半期実績、正規社員)」。
(注5) 左図表 出典:厚生労働省「職業紹介事業報告書 令和6年度版」、全国求人情報協会「求人情報提供サービス市場規模調査結果 2026年」右図表 出典:Fortune Business Insights Online Recruitment Technology Market Size, Share & COVID-19 Impact Analysis,市場規模は日本円に換算しております。1米ドル当たり約159円(2026年3月31日時点)(注6) Service Available Market:事業が獲得しうる最大の市場規模です。当社CRMで管理している日本国内の従業員数1,000名以上の企業3,738社のうち、「MyTalent Platform」がコアターゲットとしている企業数(中途採用において人材紹介または媒体を活用している企業)を算出しております。コアターゲット企業数を従業員数1,000~2,999名、3,000名以上に分類し、「MyTalent Platform(「MyTalent Refer(MyRefer)」、「MyTalent CRM」、「MyTalent Brand」)」の新規獲得時の月額利用料を積算し、これを1年間分(12か月分)に換算して推計しております。
(4) 中長期経営戦略等
当社を取り巻く採用市場は、少子高齢化による労働力不足や人材獲得競争の激化に加え、生成AI技術の
進展により大きな変革期を迎えております。企業においては、従来の求人広告や人材紹介会社を中心とした採用活
動から、自社が保有する候補者との継続的な関係構築やデータ活用を重視するタレントアクイジションへの転換
が進んでおります。
このような事業環境の中、当社はAIネイティブ採用を実現する、MyTalent Platformを通じて、人材獲得活動の変革を目指しております。
当社は、中長期的な企業価値向上に向けて、以下の中長期成長戦略を推進しております。
AIネイティブ戦略
当社は、AI Coreを軸に、採用プロセス全体をAIで統合・自動化することを推進しております。競合との差別化をプロダクト品質で実現し、AIファーストの採用体験を業界標準とすることを目指しております。具体的には、AI機能の継続的なリリース、精度向上に向けたデータ学習ループの構築、AI Agentへの段階的な進化を推進してまいります。これらを通じて、解約率の低下による粘着性の向上を図ってまいります。
統合プラットフォーム戦略
当社は、「MyTalent CRM」「MyTalent Hire」「MyTalent Refer(MyRefer)」「MyTalent Brand」を単一の「MyTalent Platform」へ統合し、プラットフォームとしての価値向上を推進しております。各プロダクトを個別に利用する場合と比べ、統合的に利用することで採用活動全体を一元的に管理できるため、顧客にとっての利便性が高まります。また、複数プロダクトにまたがって採用データが蓄積・連携されることで、顧客の採用業務がプラットフォーム上に定着し、継続的な利用につながります。具体的には、プロダクト間のデータ連携の深化、蓄積される採用データ資産の拡大、外部パートナーとの連携によるエコシステムの構築を推進してまいります。これらを通じて、顧客単価の上昇を図ってまいります。
市場拡大戦略
当社は、これまで主に従業員数1,000名以上の大企業を中心に事業を展開してまいりました。大企業市場においては、既存顧客への深耕、複数プロダクト導入の推進及びコンサルティングサービスの強化を通じて、顧客単価の向上を図ってまいります。また、当社がこれまで培ってきた大企業向け営業ノウハウや顧客基盤を活用し、継続的な新規顧客開拓を推進してまいります。さらに、「MyTalent Platform」への統合を契機として、中堅・成長企業市場への展開を加速し、顧客基盤の拡大を図ってまいります。ブランド投資やマーケティング投資、販売体制の強化を通じて市場認知度の向上を図るとともに、新たな顧客層の獲得を推進してまいります。また当社は、システム利用料を中心としたリカーリング事業に加え、RXO(Recruitment Transformation Outsourcing)をはじめとするコンサルティング事業や成果報酬型サービス等のパフォーマンス事業を展開しております。リカーリング事業による安定的な収益基盤と、パフォーマンス事業による成長機会を組み合わせることで、持続的な成長を実現してまいります。
当社は、これらの中長期成長戦略を推進することで、AIネイティブ・タレントアクイジションプラットフォームとしての競争優位性を強化し、中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の主な課題は、以下の項目と認識しております。
①AIネイティブな統合型タレントアクイジションプラットフォームの推進
既にリリース済みの採用ブランディングサービス「MyTalent Brand」、AI採用MAサービス「MyTalent CRM」、リファラル採用支援ツール「MyTalent Refer(MyRefer)」、AIネイティブATS「MyTalent Hire」に加え、新たなサービスを順次導入することで、「MyTalent Platform」のサービスラインをさらに拡充してまいります。これにより、当社サービスのプラットフォーム化を一層強化し、既存顧客の深耕および新規顧客の獲得を推進してまいります。
② 収益性の追求
2023年3月期までは、③に記載の人材の確保・育成のための人件費や採用費等が積み重なった結果、営業損失が先行して発生しておりましたが、2024年3月期より利益に転じております。
AIネイティブ採用の観点で事業間シナジーを生み出すとともに、成長事業に対しては積極的に投資を実施しながら、全社的なコストの適正化を図ってまいります。
③ 優秀な人材の確保・育成
当社事業を成長させていくため、優秀な人材の確保・育成は不可欠であると認識しております。また、人員拡大とともに組織化を進め、教育制度も拡充し、従業員の成長をサポートしてまいります。
④ 情報管理体制の継続的な強化
当社の運営する事業においては、顧客情報や個人情報を取り扱っており、これらの情報管理体制を強化することが重要であると考えております。そのため、個人情報に関する社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施やセキュリティシステムの構築を行っております。また、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が運営するプライバシーマーク制度の認証を取得しており、引き続き、情報管理体制の強化、徹底を図ってまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
当社が継続的な成長を続けていくことができる強固な組織基盤の確立に向け、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の更なる強化を図ってまいります。
⑥ 財務上の課題
当社は金融機関から借入を行ってはおりますが、営業活動による安定的なキャッシュ・フローを源泉として健全な財務基盤を築いているため、現時点において優先的に対処すべき財務上の課題はありません。
しかしながら、今後の持続的な成長に向けて、M&A、資本業務提携、新規事業への投資その他の成長投資を実施した場合には、一時的に財務負担が増加する可能性があります。そのため、営業活動による安定したキャッシュ・フローの確保に加え、金融機関との一層の関係強化や資金調達手段の多様化を進めることで、財務基盤の更なる強化に努めてまいります。