有価証券届出書(新規公開時)

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2026/08/14 15:30
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有報資料

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は「Happy Creators,Happy Creation-クリエイターがもっと活躍できる世界に-」というビジョンのもと、素晴らしい創造物を生み出す「クリエイターの持続的な創作活動をサポートする」ことをミッションに掲げ、クリエイター収益の最大化と誰もが気軽に創作物を利用できる世の中を実現するべく事業を展開しております。4つのバリュー「be honest, be open」「self design, self control」「think logical, think essential」「move fast, move forward」の精神のもと、クリエイターがもっと輝ける世の中の実現を目指しております。

(2) 経営環境
当社は、音源のライセンスを軸に多層的なビジネスモデルを展開する音源ライツビジネスプラットフォームとして、クリエイターの制作する音源を活用した収益の多様化を図り、クリエイターが輝ける世界の実現を目指して各種事業を展開しております。当社ビジネスの基礎となる音源ライセンス販売サービス「Audiostock」でストックされた音源を活用し、著作権等収入など、新たなサービス領域へ展開していくことで、音源価値の最大化と市場領域の拡大を目指しております。
① ストックミュージック市場(課金収入)
ストックミュージック市場の規模は、国内で120億円、グローバルでは2,403億円となっております。関連市場として、年々拡大基調にあるSNS市場や動画コンテンツ市場が挙げられますが、同市場の成長に伴い、ストックミュージック市場は年間平均成長率8%以上で推移しており、2028年にはグローバルで3,147億円の市場規模になる見込みとなっております。
(注) ストックミュージック市場規模:arizton社レポート「STOCK MUSIC MARKET2023-2028」より当社算出、1ドル155円換算
② 著作権等収入に係る市場
著作権等収入のうち、売上の90%超を占める著作権及び著作隣接権収入については、当社で取り扱う音源がテレビ・ラジオ等放送で利用されることにより収益を獲得することができますが、テレビ・ラジオ等に係る放送領域の国内市場規模は472.4億円(注1)となっており、近年、安定的に推移しております。本サービスは、音源ライセンス販売サービス「Audiostock」でストックされた音源を、著作権等管理事業者へ管理委託することで収益化を図っておりますが、持続的に増加する音源ストックを背景に、今後も当社の市場シェアは拡大していくものと考えております。
また、今後成長が見込まれる市場として、動画配信等から収益を得られるインタラクティブ配信(注2)領域に注目しております。近年、情報技術の発展により、個人から法人まで誰でも気軽に動画による情報発信が可能となったこと、またその視聴方法も従来のテレビに加え、動画配信やコネクテッドTV(注3)等、動画視聴環境の多様化が進み動画配信市場は年々拡大基調にあります。現在、インタラクティブ配信領域における市場規模は650.1億円(注1)でありますが、動画配信市場の成長に伴い、インタラクティブ配信市場は毎年10%超の成長を続けており、今後もさらに拡大することが見込まれております。
なお、この成長著しいインタラクティブ配信領域において、人気YouTuberとコラボレーションするなど、収益化の可能性について検討を進めております。
(注) 1.(株)NexTone「2025年3月期決算説明資料」、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)「2024年度の事業」、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会 実演家著作隣接権センター(CPRA)「2024年度年次報告書」、一般社団法人日本レコード協会「令和6年度決算報告書」より当社算出
2.YouTubeやSNS動画など、インターネットを通じてパソコンやスマートフォンなど、様々な媒体で動画配信等の視聴が可能な各種サービス
3.テレビ端末をインターネット回線に接続することで、地上波や衛星放送等の番組のほか、NetflixやAmazon Prime Video、TVerなどの動画ストリーミングサービスを視聴することのできるテレビ端末
(3) 経営戦略等
当社の経営戦略は以下のとおりであります。
① 良質な音源の確保
当社の競争力の源泉ともなる良質な音源の継続的な獲得に取り組んでまいります。具体的には、毎月テーマ楽器を決め、登録クリエイターから候補者を募り、スタジオレコーディングによる高音質音源の制作をサポートしたり、著名なクリエイターの参入促進による話題性とクオリティの高い音源の確保、音楽関連事業者などからの音源買取、ユーザーニーズの高い音源の登録が促進されるようなクリエイター報酬制度設計等の各種施策を実施してまいります。また、当社の強みでもある和楽器などの日本らしさのあるコンテンツの更なる充実により、グローバルでの競争力を高めてまいります。
現在、当社サービスにおいて活躍している著名クリエイターの一例

② 国内外各社との事業連携
音源や映像、動画等のコンテンツを取り扱う、当社サービスと親和性の高い国内外事業者との販売代理店契約や、SNSや動画配信サービス、動画制作等のプラットフォームビジネスを営む事業者との事業連携により販売強化に取り組んでまいります。
主な事業連携先
年月概要
2020年5月TikTok Pte.Ltd.ショートムービープラットフォーム「TikTok」への音源提供(注1)
2024年6月Adobe Inc.コンテンツ制作アプリ「Adobe Express」と連携(注2)
2024年11月ソースネクスト(株)IoTやソフトなどを取り扱うECサイト「ソースネクスト」での音源販売(注3)

(注) 1.2020年5月の当社リリース「日本最大級のストックミュージックサービス「Audiostock」TikTokへ楽曲提供を開始」より(https://audiostock.co.jp/?p=2101)
2.2024年6月の当社リリース「コンテンツ制作アプリ「Adobe Express」とストックミュージックサービス「Audiostock」が連携を開始」より(https://audiostock.co.jp/?p=3914)
3.2024年11月の当社リリース「ソフトとIoTの「ソースネクスト・サイト」でAudiostockのBGM・効果音パッケージを販売開始!」より(https://audiostock.co.jp/?p=4021)
③ 海外展開
音源ライセンス販売サービス「Audiostock」について、2023年7月に主に北米市場を対象に定額制プランをリリースしております。まだ日も浅いことから業績への寄与度は低いものの、ストックミュージック市場におけるグローバルでの市場規模は2,403億円であり、今後の収益基盤とすべく、海外市場における当社及びサービスの認知度向上に向けた各種施策に取り組んでおります。北米市場を中心に事業展開する同業他社も複数いることから、海外市場においても音源ニーズは旺盛であり、当社の強みでもあるアニメやオタク、和楽器等の日本的な音楽など、海外で需要の高い日本文化を象徴するような音源を切り口にサービスを打ち出し、海外エリアでの事業基盤を確立してまいります。
④ 著作権及び著作隣接権収入に係る著作権管理楽曲数の増加
著作権及び著作隣接権収入(テレビ・ラジオ等の放送領域)における市場規模は472.4億円で安定的に推移しており、市場における当社サービスのシェアは約1.9%程度と、更なるシェア拡大の余地があると考えております。著作権及び著作隣接権収入は、著作権等管理事業者へ管理委託する著作権管理楽曲数の増加に比例して増加する傾向にあり、また、中長期にわたり継続的に利用されるものも多いため、継続的に音源の管理委託手続きを進めるとともに、手続きの効率化などにより、シェア拡大を加速させることを模索しております。
2025年9月末現在、当社では約4万組のクリエイターとのネットワークを有し、毎月3,000点超の音源が音源ライセンス販売サービス「Audiostock」に新規登録されており(注1)、管理委託可能な音源数は随時増加していることから、今後、中長期的に著作権及び著作隣接権収入の更なるシェア拡大が期待されると考えております(注2)。
さらに、当社で取扱う音源について、テレビ等放送での利用状況をモニタリング可能なツールを活用することで、放送利用されているものの、未だ著作権等管理事業者へ管理委託されておらず、収益化できていない音源を特定することができるため、そのような音源を優先的に管理委託することで、効率的に著作権及び著作隣接権収入の積み上げが可能な体制を整備しております。
(注) 1.2025年9月時点における過去1年間の平均音源登録件数
2.クリエイターが「Audiostock」に登録した音源のうち、著作権原盤権等譲渡契約を締結した作品が対象となります。
著作権管理楽曲数及び著作権等収入

(注)2025年9月期第3四半期及び第4四半期に、著作隣接権収入が増加しております。これは2024年以降、当社のような商用CDなどを取り扱わない事業者も著作隣接権使用料を受領することが可能となり、2025年9月期までに各著作隣接権管理団体から著作隣接権使用料を受領できる体制が整ったことによるものであります。
⑤ インタラクティブ配信領域への新展開
これまで、著作権収入はテレビ・ラジオ等の放送事業をメイン市場としてサービス展開をしてまいりました。一方で、近年はYouTubeなどの動画配信媒体を通じて、全世界の誰もが情報発信することが可能になったことで、動画配信市場が急成長する中、テレビ等の既存媒体以外においても、著作権等収入を獲得できる機会が整いつつあります。当社で取り扱う音源についても、これまでにYouTube動画において4,000万件以上の動画でご利用いただいております(注)。そのような中で当社は、動画配信媒体などで音源利用された際に著作権等収入を獲得できるインタラクティブ配信領域での収益化について検討しております。現在は、人気Youtuberとのコラボレーションなどの取り組みや、2026年4月には、YouTubeなどの動画配信プラットフォームにおいて、無料で利用可能なBGM・効果音を提供する新サービス「ビートリ」ベータ版をリリースするなど、インタラクティブ配信領域における可能性について検討を進めております。
(注) 2026年3月時点
⑥ 音源数増加による各サービス間のシナジー効果
著作権等収入は、音源ライセンス販売サービス「Audiostock」に登録された音源のストックが基盤となっておりますが、クリエイターは自身が制作した音源がテレビ放送等で広く利用されることで、創作意欲が刺激され、新たな音源の創作につながる効果が期待できます。その結果、「Audiostock」のユーザーの増加と音源登録数や取引量の増加、ひいては著作権等収入サービスの利用機会の増加につながるなど、各サービス間における好循環が生まれやすい仕組みになっており、これらのサービスが有機的につながることで、事業全体の収益拡大に寄与しているものと考えております。
⑦ 事業領域の拡大
当社はこれまで、音源ライツビジネスのプラットフォームとして、クリエイターからお預かりした音源を、単品や定額制ライセンス販売にはじまり、その後、著作権等収入への進出のほか、他社企業との提携契約など、音源ライセンスを軸として事業領域を徐々に拡大してまいりました。
その結果、一つのクリエイター作品を複数チャネルで収益化することで、クリエイター収益の最大化を図ることが可能になりました。今後もクリエイターの制作する音源のライセンス販売を軸として、様々なサービスへとビジネスモデルを拡張していくことで、クリエイターの活躍の場を広げていきたいと考えております。
音源ライセンスを軸に多層的にビジネスを展開

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、営業利益及びそれらの成長率を重視しており、中期的な事業拡大と企業価値の向上を図ってまいります。加えて、各サービスの継続的な成長を実現するため当社ビジネスの土台となる音源ライセンス販売サービス「Audiostock」については主要な定額制契約件数(エンタープライズプラン及びスタンダードプラン)を、著作権等収入については著作権管理楽曲数をそれぞれ経営上重要な指標としております。
2023年9月期
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期
売上高(課金収入)(百万円)102106106113
売上高(著作権等収入)(百万円)27363248
四半期営業損失(△)(百万円)△32△17△30△9
定額制契約件数(累計)(千件)4.75.25.96.6
著作権管理楽曲数(累計)(千点)6.57.58.69.5

2024年9月期
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期
売上高(課金収入)(百万円)129126129136
売上高(著作権等収入)(百万円)681048394
四半期営業利益又は
四半期営業損失(△)
(百万円)11295△6
定額制契約件数(累計)(千件)6.97.27.78.2
著作権管理楽曲数(累計)(千点)11.112.415.217.3

2025年9月期
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期
売上高(課金収入)(百万円)149150151152
売上高(著作権等収入)(百万円)130185263306
四半期営業利益(百万円)4886120127
定額制契約件数(累計)(千件)8.68.99.49.7
著作権管理楽曲数(累計)(千点)22.630.832.434.2

2026年9月期
第1四半期第2四半期第3四半期
売上高(課金収入)(百万円)161163162
売上高(著作権等収入)(百万円)161267381
四半期営業利益(百万円)64117163
定額制契約件数(累計)(千件)9.89.910.1
著作権管理楽曲数(累計)(千点)36.941.844.5

(注) 定額制契約件数(累計)は、主要な定額制契約件数(エンタープライズプラン及びスタンダードプラン)を記載しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が今後事業を拡大し、継続的な成長を行うために、当社は以下に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、継続的なユーザー開拓及びサービスの開発・改良による顧客満足の向上、利用顧客規模の拡大に応じた内部管理体制強化等の整備を進め、企業価値の更なる向上を目指して取り組んでまいります。
① サービス機能の継続的向上とシステムの安定稼働
ユーザーにとって使いやすく且つ安定的にサービスを提供していくためには、開発力の強化及びシステムの稼働体制を整備することが重要課題であると認識しております。近年は、クリエイターからの音源登録数が毎月3,000点(注1)を超えるペースとなっており、ユーザー及びクリエイター登録数も増加傾向にあることから、サーバー設備の管理・強化などによる、システムの安定性確保に継続的に取り組んでおります。
また、クリエイター及びユーザー体験の向上のため、過去の取引履歴などのデータ分析や利用者からの意見を収集し、サービス機能の強化やUI/UX(注2,3)の改善に継続的に取り組むとともに、新たな情報技術やサービスに関する情報収集とタイムリーな採用による更なるサービス機能の向上に取り組んでまいります。
(注) 1.2025年9月時点における過去1年間の平均音源登録件数
2.UI(UserInterface)とは、サービスサイトのデザインなどの操作画面・操作方法などを指します。
3.UX(UserExperience)とは、システムやサービスなどの利用を通じてユーザーが得られるユーザー体験を指します。
② 優秀な人材の採用と育成
当社事業の持続的な成長を実現するためには、当社のコーポレートビジョンに共感する優秀な人材の採用・育成が不可欠であると認識しております。当社では、従業員の生産性を最大化し、人材の定着率を高めるための労働環境の整備、及び勤務地に縛られることなく優秀な人材が採用できるようリモートワークによる勤務体制を整備しております。また、複数の採用媒体の活用や採用広報の強化、採用イベントへの登壇等、多様な採用チャネルを活用し、採用人数の安定的な確保のため、労働時間の管理、社内外の勉強会等によるスキルアップ支援等、やりがいのある働きやすい環境作りに取り組んでおります。
③ 内部管理体制の強化
当社は成長段階にあり、業務運営の効率化やコーポレート・ガバナンスの強化を図るためには、更なる内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。そのため、これまでも内部管理体制の整備を進めてまいりましたが、今後も経営の透明性・健全性を確保するため、実効性ある内部監査の実施による内部管理体制の強化、監査役監査によるコーポレート・ガバナンスの充実に努めてまいります。
④ 財務基盤の強化
当社は現在、安定的に営業キャッシュ・フローを創出しており、事業継続に支障を来すような財務上の課題は認識しておりません。また、資金需要が生じた場合は自己資金を充当する方針でおりますが、必要に応じて金融機関からの借入による資金調達も可能であることから、提出日現在において優先的に対処すべき財務上の課題はないと考えております。今後の事業拡大に備えて、内部留保の確保と営業キャッシュ・フローの改善等による財務基盤の更なる強化を図ってまいります。
⑤ 新サービス・新規事業の立ち上げ
急速な進化、拡大を続けているデジタル音源領域において、当社が企業価値を向上させ、高い成長を継続させていくためには、事業規模の拡大と収益源の多様化を図っていくことが必要と認識しております。そのため、これまでも音源ライセンスを軸として様々なサービスへとビジネスモデルを拡張してまいりましたが、今後も当社の強みである音源及びライセンス管理に関するノウハウを活かしたサービス領域の拡大及び新規事業の創出に積極的に取り組んでまいります。
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