有価証券報告書-第5期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスク、リスクの顕在化の可能性、顕在化の時期、連結業績等への影響度及びリスクへの対応は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営に関するリスク
① 半導体業界の需要変動に関わるリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)
当社グループの主力事業を取り巻く半導体業界は、需要変動が大きく、経済環境や地政学リスク等の影響を受けやすい事業環境にあります。世界経済の動向次第では、景気後退等を背景として半導体を使用する電子機器の需要が減少し、半導体市場全体の需要が縮小する可能性があります。また、IDMやファウンドリの事業戦略の変化により外販フォトマスクの需要が変動する可能性があるほか、特定地域における政治・経済的な不安定化や貿易摩擦等が半導体サプライチェーンに影響を及ぼした場合、フォトマスク需要に変動が生じる可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループはEUVマスクやCurvilinear技術等の次世代技術の開発及び設備投資を継続的に実施し、半導体市場の技術革新に対応しております。フォトマスク需要のうち、研究開発フェーズにおける需要は量産フェーズに比べて経済動向の影響を受けにくい特性があることから、顧客や装置ベンダー等との共同開発を通じて、研究開発段階から技術パートナーとして参画できる体制を構築することにより、量産前の段階から一定の需要を確保し、半導体市場の需要変動が業績に与える影響の低減に努めております。
② 競合に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)
フォトマスク市場は、半導体メーカーが自社で製造する「内製」と、外部ベンダーが供給する「外販」に大別され、外販市場は当社グループを含む比較的少数のフォトマスクベンダーにより構成されております。このため、主要な販売先であるIDMやファウンドリが内製による調達方針を強化した場合や、外販フォトマスクベンダー間における価格競争等が激化した場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
また、近年、中国において新興のフォトマスクベンダーが多数台頭しており、価格競争や技術競争の激化が懸念されております。加えて、将来的に半導体メーカーの内製部門が外販事業を展開する可能性も否定できず、これら競合環境の変化が当社グループの事業環境に不確実性をもたらすリスクがあります。
(リスクへの対応)
当社グループは、最先端ノードからレガシー領域まで幅広く対応可能な技術開発や設備投資を推進するとともに、生産効率の向上やコスト競争力の強化に取り組んでおります。また、研究開発段階から顧客と連携し、フォトマスク製造専業としての独立性と信頼性を活かすことで、継続的な取引関係の構築に努めております。さらに特定顧客への依存度を抑制するため、幅広い販売先との取引関係の構築を進めております。
③ サプライチェーンに関するリスク
(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:大)
当社グループは、事業に必要となる原材料、製造設備・部品及びエネルギー等を、外部のサプライヤーや協力企業から調達しております。半導体製造においては、特定の原材料や製造設備において限られたサプライヤーが大きなシェアを有する場合があり、これらの供給に支障が生じた場合、半導体サプライチェーン全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、フォトマスクの製造受託においては、使用する材料や製造設備が顧客の認定(使用許諾)により指定されるケースが多く、当社グループの判断のみで代替材料や設備へ切り替えることが困難な場合があります。加えて、認定範囲の拡大には、顧客による評価が必要となり、許諾取得までに一定の期間を要することがあります。このため、認定済みサプライヤーや協力企業が地政学的な事象や災害により被災、倒産、廃業した場合、又は品質問題が発生した場合には、原材料等の安定的な調達が困難となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料やエネルギー価格の高騰についても、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、顧客から提示されるフォーキャスト情報に基づき、サプライヤーや協力企業との間で密な情報共有を行い、安定的な調達体制の構築に努めております。また、BCPの観点から、需要の多い材料や使用設備について、代替となる認定対象や認定範囲の拡大を顧客に適宜提案する取り組みを進めております。加えて、不測の事態に備え、各拠点において適切な在庫水準を確保するとともに、拠点間で在庫を融通可能な体制を構築することで、供給リスクの低減を図っております。
④ 国際取引に伴う外部環境の変動によるリスク
(顕在化の可能性:中~高、顕在化の時期:短期~中期、影響度:大)
当社グループは、国内外において生産及び販売活動を展開しており、海外市場向けに製品・サービスを提供しております。このため、外貨建て取引に伴う為替相場の変動は、短期的に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性とともに、海外子会社の現地通貨建て財務諸表の円換算においても、為替相場の変動が影響する可能性があります。また、米国政府による関税措置の強化や輸出入規制の変更をはじめとする、各国・地域の安全保障政策や産業政策の変化によって、当社グループの競争力が相対的に低下し、売上高及び利益に悪影響を及ぼす可能性があり、輸出規制等に抵触した場合には、輸出禁止、罰金等の行政処分や刑事罰を受けるリスクがあります。これらの国際取引に伴う外部環境の変動や為替相場の変動が顕在化した場合には、当社グループの事業活動、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、各国・地域における通商政策や安全保障政策の動向を継続的にモニタリングし、当社グループ事業への影響を分析するとともに、事前に対応策についての検討を行うことでリスク低減に努めております。為替変動については、グループ全体で受注・製造・出荷・売上等の財務情報や金利動向に係わる情報共有のもと、金融機関による市場分析を踏まえつつ、必要に応じて適時為替予約等のリスクヘッジ手段を活用しております。また、関税に関しては、各国・地域における需要に応じた製造拠点の見直しを通じた関税コストの最小化を図るとともに、必要なコストについては顧客との協議により販売価格への適正な反映を図っております。加えて、輸出規制や関連法令への対応については、政策当局や業界団体、並びに各国・地域の関係当局とのコミュニケーションを通して早期に情報収集を行い、輸出規制、技術開発に関する規制等をテーマとした教育を定期的に行うなど、グループ役職員の輸出規制等に対する知識習得と規制遵守への取り組みを強化しております。
⑤ 中期事業目標の未達に関わるリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当社グループが策定した中期事業目標は、顧客の需要見通しを踏まえた適切なタイミングでの設備投資や生産プロセスの立ち上げ、顧客の生産認定取得を通じた市場シェアの維持・拡大、並びに、業務効率の向上を通じた収益の拡大と収益性の向上を前提としております。しかしながら、外販フォトマスク市場における競争の激化等、市場環境が目標策定時の想定を超え変化した場合の他、関連法令・規制・税制の不利益な変更、エンジニア等の人財を確保・育成できない場合や、技術動向の変化への対応が十分に行えない場合、又は、こうしたリスクへの対応に想定を超える費用が発生した場合には、中期事業目標を達成できない可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、多様な顧客基盤とグローバルな生産体制を構築することにより、特定の顧客需要や特定拠点に過度に依存しない事業構造の構築を図っております。また、営業部門による顧客動向の継続的な把握に加え、工場及びスタッフ部門において各国・地域の政策、規制及び技術動向を注視し、定期的な情報共有を通じた戦略の見直し、実効施策の修正を適時適切に遂行可能とする、環境変化に柔軟に対応した政策立案・施策執行の仕組み、運用体制を整えております。
⑥ 労務管理に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)
当社グループは、各拠点が所在する国・地域において適用される労務関連法令及び規則に基づき、適正な労務管理を行っております。しかしながら、長時間労働、ハラスメント、差別や人権侵害等のコンプライアンス違反や、従業員の健康状態・メンタルヘルスの悪化等が発生した場合には、法令等に基づく処罰や制裁を受ける可能性があるほか、社会的信用や企業イメージの低下、補償等に係る費用の発生により、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、労務関連法令及び規則を遵守した適正な労働時間管理並びに安全衛生管理の徹底に取り組んでおります。また、労務管理に関する研修・教育の実施に加え、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本に関する戦略、指標及び目標」に記載のとおり、従業員のエンゲージメント向上や健康・安全の維持及び向上を目的とした各種制度や施策を継続的に展開しております。
⑦ 税務に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)
当社グループは、各拠点が所在する国・地域の税制に準拠した税務処理及び適正な納税に努めております。しかしながら、各国・地域における租税制度の改正、税務行政の運用変更、又は税務申告に関する税務当局との見解の相違等により、想定を超える税負担が生じる可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、税務が経営及び業績に与える影響を理解した上で、税務リスクを継続的かつ包括的に把握・評価する体制の整備に努めております。また、税務専門人財の育成及び知見の蓄積を進めるとともに、必要に応じて外部の税務専門家を活用することで、適切な税務対応の強化に取り組んでおります。
⑧ 環境規制に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)
当社グループは、各拠点が所在する国・地域において、水質汚染、大気・土壌汚染、化学物質の管理、騒音・振動等に関する環境関連法令及び規制の遵守が求められております。当社グループでは法令・規制の遵守に向けた対処策を講じておりますが、これら法令・規制に違反した場合や、法令・規制の強化又は環境負荷低減の追加的な対応が求められ、環境保全に係る費用が増加した場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、環境保全に係る規程・社内ルール等を整備するとともに、環境関連設備・機器について定期的な点検・修繕を実施するなど、各種環境保全活動に取り組んでおります。併せて、サステナビリティ委員会及び危機管理委員会において、マテリアリティの目標達成に向けた進捗管理を定期的に行うとともに、環境に係る問題発生時における事業への影響を最小化すべく迅速な対応が取れる体制整備を進めております。
⑨ 有形固定資産の減損損失リスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)
当社グループは、生産能力の維持及び拡大を目的として継続的に設備投資を行っており、多くの有形固定資産を保有しております。設備投資にあたっては、客観的な数値に基づき各種の承認プロセスでの慎重な検討を行った上で投資判断をしておりますが、想定を超える経営環境の変化や事業状況の悪化等により、有形固定資産の収益性(資産価値)が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合には、当該資産に対する減損損失を計上することにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、設備投資に関する投資基準の精度向上に取り組むとともに、適切な投資タイミングや収益性の検証を行っております。また、必要に応じて外部調査機関等の情報も活用し、市場環境の変化を継続的に把握することで、減損損失リスクの低減に努めております。
⑩ 知的財産に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)
当社グループは、事業競争力の維持・強化の観点から、保有技術や製品に関する知的財産権の保護及び権利化に取り組んでおります。しかしながら、第三者による当社グループの知的財産権の侵害、又は当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、研究開発部門、技術部門、事業戦略部門及び法務部門が連携し、必要に応じて外部専門家の支援を得ながら、知的財産戦略の策定及び運用を行っております。また、役職員に対する知的財産に関する教育を定期的に実施し、リスク低減に努めております。
⑪ 製品の品質等に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)
当社グループが製造する半導体用フォトマスクに対しては、顧客である半導体メーカーから高度な品質管理が要求されております。当社グループでは、製品品質の維持・向上に向けた教育制度を整備するとともに、内部監査の実施により潜在的な品質に係る問題を顕在化させ是正する品質管理体制の強化に努めております。また、品質に係る設備トラブル等が発生した場合を想定し、各製造拠点における情報伝達・対応フローを明確に定めております。しかしながら、製品品質に起因する不具合や設備トラブル等を起因として、万が一、顧客に損失が発生した場合には、損害賠償費用の発生等により、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、各製造拠点における作業の標準化や製造レシピの整理を進めるとともに、MES(製造実行システム)を活用した生産・品質管理を行っております。また、製造拠点間の製造連携においては、高精度なデータマッチング技術を活用し、拠点間で均質な品質を確保する体制を構築しております。加えて、品質問題発生時には、他拠点の知見も活用することで、早期是正及び再発防止に取り組んでおります。
⑫ 情報セキュリティ等に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:大)
当社グループにおいて、不正アクセスやサイバー攻撃、その他不測の事態により、情報システムの障害や重要なデータの破壊、改ざん又は漏洩等が発生した場合には、社会的信用の低下、ノウハウの流出、対応・復旧に係る多額の費用の発生、さらには事業活動の一時的な停止を余儀なくされる可能性があります。これらの事象が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、「情報セキュリティ基本方針」に基づき、情報セキュリティに関する規程類の整備及び運用を行っております。また、各国・地域に所在する拠点におけるセキュリティ対策状況を定期的に評価・改善するとともに、サイバー攻撃への技術的対策や、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証の取得、全役職員を対象とした教育を通じて、情報セキュリティへの意識向上とリスク低減に取り組んでおります。
⑬ コンプライアンスに関するリスク
(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:中~大)
当社グループは、国内外において事業を展開するにあたり、各国・地域の法令・規制、業界ルール及び社会的規範の遵守徹底を図るため、危機管理委員会、コンプライアンス委員会等の会議体において業務執行状況の検証を行う等の対策を講じております。しかしながら、これら法令・規範等に反する事象が生じた場合、法令等に基づく処分や事業活動に対する制約等が課せられるほか、レピュテーションの低下等により、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、コンプライアンス委員会を中心として、社内規程の整備、教育・研修の実施、内部通報制度の運用を図るほか、経営監査室による監査体制の強化に取り組んでおります。また、法令・規範等に反する事象が生じた場合には、事実関係の早期把握並びに再発防止策の策定を適切に行う体制を整備し、コンプライアンスリスクの低減に努めております。
⑭ 訴訟等に関わるリスク
(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:小~中)
当社グループは、法令及び契約の遵守に努めておりますが、事業活動を遂行する過程において、取引先等から訴訟を提起される可能性や、訴訟に至らないものの紛争や請求等を受ける可能性があります。これらには、労働問題、製品の品質に関する保証又は責任、知的財産権の侵害、機密情報の漏洩等に関連するものが含まれます。これらの訴訟や紛争については、当社グループが必ずしも有利な結果を得られる保証はなく、その内容や結果によっては、当社グループの事業活動、社会的評価、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、法務部門を中心として関係部門が連携し、必要に応じて外部専門家の助言を得ながら、訴訟や紛争の未然防止及び発生時の適切な対応に取り組んでおります。
⑮ 朝霞工場等、事業用資産及びユーティリティ供給設備に関わるリスク
(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:大)
当社グループは、当社朝霞工場の他、事業活動に必要な土地・建物の一部について、TOPPANホールディングス株式会社等の第三者から賃借しており、事業活動に必要な電力、ガス、水等のユーティリティ供給設備の一部について、その運営を外部事業者に委託しております。
事業用資産の賃借、並びにユーティリティ設備の運営委託に際しては、契約に基づき長期安定的に使用を可能とする法的な権利を確保しておりますが、契約更新時の条件変更や賃料の改定、又は契約更新がなされない場合には、事業活動の継続に影響が生じる可能性があります。また、契約相手先との関係の変化、法令の改正、周辺環境の変化等により、事業用資産、並びにユーティリティ設備の継続利用が困難となった場合や、原状回復義務や代替地確保に係る追加的な費用が発生した場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、事業用資産に係る契約締結に際しては事業運営の安定性を担保する契約条項を確保する他、更新時期を踏まえ事前に対処策について十分な検討を行うとともに、賃貸借契約の相手先との継続的なコミュニケーションを通じて安定した関係の維持に努めております。また、ユーティリティ供給設備については、委託先の運営状況を定期的に確認するとともに、事業継続上の影響を最小化する観点から、必要に応じて、当社グループ自らが保守運営管理可能な体制整備に努め、併せて、代替策の検討やリスク分散にも取り組んでおります。
(2) 災害等のリスク
自然災害・伝染病リスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、各製造拠点の所在する各国・地域において、地震や台風等の自然災害が発生した場合、又は重篤な伝染病の蔓延等により、当社グループの生産設備やクリーンルーム等の主要施設に被害が生じ、あるいは生産・営業活動の停滞を余儀なくされる可能性があります。また、これらの事象が外部のサプライヤーや協力会社、顧客を含むサプライチェーン全体に混乱をもたらした場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、BCPの観点から、各国・地域に所在する複数の製造拠点において顧客認定を取得し、特定の拠点に過度に依存しない生産体制の構築を進めております。また、需要の多い原材料や設備については、各拠点で適切な在庫水準を確保するとともに、拠点間で在庫を適時融通可能な体制を整備しております。併せて、重大な災害の発生に備え、各種マニュアルや行動手順、緊急連絡体制の整備を行うなど、事業の継続及び早期復旧に向けた対策に取り組んでおります。
(3) 主要株主との関係について
(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)
当連結会計年度末現在、TOPPANホールディングス株式会社は当社議決権の46.55%を保有しており、取締役1名を当社へ派遣しております。当社では、経営方針及び事業運営に関する重要な事項のほか取締役会等の会社機関における意思決定に際しては十分な審議を行い、当社独自の判断に基づき決議事項を決定しておりますが、TOPPANホールディングス株式会社は株主総会における議決権行使や取締役会での意見表明を通じて、当社の経営方針や重要な意思決定に一定の影響を及ぼす可能性があります。また、同社との関係性の変化や利害の不一致が生じた場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社は、様々な専門知識と見識を有し、豊富な経験と経営手腕を発揮された独立社外役員を選任し、当社を含めたグローバル全体の企業運営・管理、業務執行の管理監督機能の維持・向上を図り、企業経営の健全性、並びに少数株主利益に十分に配慮した事業運営を担保するガバナンス体制を構築しております。また、TOPPANグループとの取引にあたっては、社外取締役を中心にした特別委員会において取引条件の妥当性、経済的な合理性等を検証し、検証の結果、これらの要件が担保されている場合に限り取引を実施する手続き、体制を整備しております。併せて、検証された取引が、検証された条件により実行されていることを内部監査により確認する仕組みを設け、当社グループの経営の健全性、事業運営の独立性を確保しております。
(4) 上海徐匯科盛徳半導体有限公司が工場として使用する賃借物件について
(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)
当社のグループ会社である上海徐匯科盛徳半導体有限公司において、同社が工場として使用する賃借物件に関して、下記のとおり現地の法令、行政手続きに関する問題が生じております。
なお、当社は本件に付き法律顧問である現地弁護士事務所より意見書を取得しており、賃借人である上海徐匯科盛徳半導体有限公司に直接責任があると考えられる事項は、下記4項目のうち「4.建屋増設時の行政手続きの不備」に限られ、その他の事項に対する責任は基本的には賃貸人にあると認識しております。本件に起因して現地当局が上海徐匯科盛徳半導体有限公司の生産活動に何らかの制約を課すことになった場合、操業停止や工場移転が必要となることで当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
1.割当土地上の建築物の賃貸に関して必要となる要件(行政手続きを含む)の不備
2.土地使用用途の相違
3.建屋建設時の行政手続きの未完
4.建屋増設時の行政手続きの不備
(リスクへの対応)
当社及び上海徐匯科盛徳半導体有限公司では、問題事項の解決に向け、現地法律事務所の知見を得ながら、賃貸人との協議を重ねてまいりました。しかしながら、同敷地内に賃貸人が所有する別の違法建築物が複数存在するなどの理由から、上海徐匯科盛徳半導体有限公司が借用する物件のみに正規手続きを追完することは困難であるとの結論に至りました。一方で、行政手続きを未完のまま放置しておくことは、行政当局から立ち退きや工場の取り壊しを要求されるリスクも考えられることから、当該リスクの低減を図るため、行政当局との協議を行ってまいりました。
その結果、2024年2月に、本件土地が所在する地区の産業政策を所管する徐匯区商務委員会より、上海徐匯科盛徳半導体有限公司に対して「貴社が賃貸借契約期間内において、引き続き、既存の範囲内で、賃借した経営場所を使用し、既存の生産経営用途を維持し、合法的に経営活動を展開することを支持する」という見解が書面で示されたことから、当社グループといたしましては、上海徐匯科盛徳半導体有限公司の立ち退きや取り壊しを求められるリスクは低減されたものと判断し、現工場での生産を継続する方針としております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営に関するリスク
① 半導体業界の需要変動に関わるリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)
当社グループの主力事業を取り巻く半導体業界は、需要変動が大きく、経済環境や地政学リスク等の影響を受けやすい事業環境にあります。世界経済の動向次第では、景気後退等を背景として半導体を使用する電子機器の需要が減少し、半導体市場全体の需要が縮小する可能性があります。また、IDMやファウンドリの事業戦略の変化により外販フォトマスクの需要が変動する可能性があるほか、特定地域における政治・経済的な不安定化や貿易摩擦等が半導体サプライチェーンに影響を及ぼした場合、フォトマスク需要に変動が生じる可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループはEUVマスクやCurvilinear技術等の次世代技術の開発及び設備投資を継続的に実施し、半導体市場の技術革新に対応しております。フォトマスク需要のうち、研究開発フェーズにおける需要は量産フェーズに比べて経済動向の影響を受けにくい特性があることから、顧客や装置ベンダー等との共同開発を通じて、研究開発段階から技術パートナーとして参画できる体制を構築することにより、量産前の段階から一定の需要を確保し、半導体市場の需要変動が業績に与える影響の低減に努めております。
② 競合に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期~長期、影響度:大)
フォトマスク市場は、半導体メーカーが自社で製造する「内製」と、外部ベンダーが供給する「外販」に大別され、外販市場は当社グループを含む比較的少数のフォトマスクベンダーにより構成されております。このため、主要な販売先であるIDMやファウンドリが内製による調達方針を強化した場合や、外販フォトマスクベンダー間における価格競争等が激化した場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
また、近年、中国において新興のフォトマスクベンダーが多数台頭しており、価格競争や技術競争の激化が懸念されております。加えて、将来的に半導体メーカーの内製部門が外販事業を展開する可能性も否定できず、これら競合環境の変化が当社グループの事業環境に不確実性をもたらすリスクがあります。
(リスクへの対応)
当社グループは、最先端ノードからレガシー領域まで幅広く対応可能な技術開発や設備投資を推進するとともに、生産効率の向上やコスト競争力の強化に取り組んでおります。また、研究開発段階から顧客と連携し、フォトマスク製造専業としての独立性と信頼性を活かすことで、継続的な取引関係の構築に努めております。さらに特定顧客への依存度を抑制するため、幅広い販売先との取引関係の構築を進めております。
③ サプライチェーンに関するリスク
(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:―、影響度:大)
当社グループは、事業に必要となる原材料、製造設備・部品及びエネルギー等を、外部のサプライヤーや協力企業から調達しております。半導体製造においては、特定の原材料や製造設備において限られたサプライヤーが大きなシェアを有する場合があり、これらの供給に支障が生じた場合、半導体サプライチェーン全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、フォトマスクの製造受託においては、使用する材料や製造設備が顧客の認定(使用許諾)により指定されるケースが多く、当社グループの判断のみで代替材料や設備へ切り替えることが困難な場合があります。加えて、認定範囲の拡大には、顧客による評価が必要となり、許諾取得までに一定の期間を要することがあります。このため、認定済みサプライヤーや協力企業が地政学的な事象や災害により被災、倒産、廃業した場合、又は品質問題が発生した場合には、原材料等の安定的な調達が困難となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料やエネルギー価格の高騰についても、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、顧客から提示されるフォーキャスト情報に基づき、サプライヤーや協力企業との間で密な情報共有を行い、安定的な調達体制の構築に努めております。また、BCPの観点から、需要の多い材料や使用設備について、代替となる認定対象や認定範囲の拡大を顧客に適宜提案する取り組みを進めております。加えて、不測の事態に備え、各拠点において適切な在庫水準を確保するとともに、拠点間で在庫を融通可能な体制を構築することで、供給リスクの低減を図っております。
④ 国際取引に伴う外部環境の変動によるリスク
(顕在化の可能性:中~高、顕在化の時期:短期~中期、影響度:大)
当社グループは、国内外において生産及び販売活動を展開しており、海外市場向けに製品・サービスを提供しております。このため、外貨建て取引に伴う為替相場の変動は、短期的に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性とともに、海外子会社の現地通貨建て財務諸表の円換算においても、為替相場の変動が影響する可能性があります。また、米国政府による関税措置の強化や輸出入規制の変更をはじめとする、各国・地域の安全保障政策や産業政策の変化によって、当社グループの競争力が相対的に低下し、売上高及び利益に悪影響を及ぼす可能性があり、輸出規制等に抵触した場合には、輸出禁止、罰金等の行政処分や刑事罰を受けるリスクがあります。これらの国際取引に伴う外部環境の変動や為替相場の変動が顕在化した場合には、当社グループの事業活動、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、各国・地域における通商政策や安全保障政策の動向を継続的にモニタリングし、当社グループ事業への影響を分析するとともに、事前に対応策についての検討を行うことでリスク低減に努めております。為替変動については、グループ全体で受注・製造・出荷・売上等の財務情報や金利動向に係わる情報共有のもと、金融機関による市場分析を踏まえつつ、必要に応じて適時為替予約等のリスクヘッジ手段を活用しております。また、関税に関しては、各国・地域における需要に応じた製造拠点の見直しを通じた関税コストの最小化を図るとともに、必要なコストについては顧客との協議により販売価格への適正な反映を図っております。加えて、輸出規制や関連法令への対応については、政策当局や業界団体、並びに各国・地域の関係当局とのコミュニケーションを通して早期に情報収集を行い、輸出規制、技術開発に関する規制等をテーマとした教育を定期的に行うなど、グループ役職員の輸出規制等に対する知識習得と規制遵守への取り組みを強化しております。
⑤ 中期事業目標の未達に関わるリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
当社グループが策定した中期事業目標は、顧客の需要見通しを踏まえた適切なタイミングでの設備投資や生産プロセスの立ち上げ、顧客の生産認定取得を通じた市場シェアの維持・拡大、並びに、業務効率の向上を通じた収益の拡大と収益性の向上を前提としております。しかしながら、外販フォトマスク市場における競争の激化等、市場環境が目標策定時の想定を超え変化した場合の他、関連法令・規制・税制の不利益な変更、エンジニア等の人財を確保・育成できない場合や、技術動向の変化への対応が十分に行えない場合、又は、こうしたリスクへの対応に想定を超える費用が発生した場合には、中期事業目標を達成できない可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、多様な顧客基盤とグローバルな生産体制を構築することにより、特定の顧客需要や特定拠点に過度に依存しない事業構造の構築を図っております。また、営業部門による顧客動向の継続的な把握に加え、工場及びスタッフ部門において各国・地域の政策、規制及び技術動向を注視し、定期的な情報共有を通じた戦略の見直し、実効施策の修正を適時適切に遂行可能とする、環境変化に柔軟に対応した政策立案・施策執行の仕組み、運用体制を整えております。
⑥ 労務管理に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)
当社グループは、各拠点が所在する国・地域において適用される労務関連法令及び規則に基づき、適正な労務管理を行っております。しかしながら、長時間労働、ハラスメント、差別や人権侵害等のコンプライアンス違反や、従業員の健康状態・メンタルヘルスの悪化等が発生した場合には、法令等に基づく処罰や制裁を受ける可能性があるほか、社会的信用や企業イメージの低下、補償等に係る費用の発生により、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、労務関連法令及び規則を遵守した適正な労働時間管理並びに安全衛生管理の徹底に取り組んでおります。また、労務管理に関する研修・教育の実施に加え、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本に関する戦略、指標及び目標」に記載のとおり、従業員のエンゲージメント向上や健康・安全の維持及び向上を目的とした各種制度や施策を継続的に展開しております。
⑦ 税務に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)
当社グループは、各拠点が所在する国・地域の税制に準拠した税務処理及び適正な納税に努めております。しかしながら、各国・地域における租税制度の改正、税務行政の運用変更、又は税務申告に関する税務当局との見解の相違等により、想定を超える税負担が生じる可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、税務が経営及び業績に与える影響を理解した上で、税務リスクを継続的かつ包括的に把握・評価する体制の整備に努めております。また、税務専門人財の育成及び知見の蓄積を進めるとともに、必要に応じて外部の税務専門家を活用することで、適切な税務対応の強化に取り組んでおります。
⑧ 環境規制に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)
当社グループは、各拠点が所在する国・地域において、水質汚染、大気・土壌汚染、化学物質の管理、騒音・振動等に関する環境関連法令及び規制の遵守が求められております。当社グループでは法令・規制の遵守に向けた対処策を講じておりますが、これら法令・規制に違反した場合や、法令・規制の強化又は環境負荷低減の追加的な対応が求められ、環境保全に係る費用が増加した場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、環境保全に係る規程・社内ルール等を整備するとともに、環境関連設備・機器について定期的な点検・修繕を実施するなど、各種環境保全活動に取り組んでおります。併せて、サステナビリティ委員会及び危機管理委員会において、マテリアリティの目標達成に向けた進捗管理を定期的に行うとともに、環境に係る問題発生時における事業への影響を最小化すべく迅速な対応が取れる体制整備を進めております。
⑨ 有形固定資産の減損損失リスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)
当社グループは、生産能力の維持及び拡大を目的として継続的に設備投資を行っており、多くの有形固定資産を保有しております。設備投資にあたっては、客観的な数値に基づき各種の承認プロセスでの慎重な検討を行った上で投資判断をしておりますが、想定を超える経営環境の変化や事業状況の悪化等により、有形固定資産の収益性(資産価値)が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合には、当該資産に対する減損損失を計上することにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、設備投資に関する投資基準の精度向上に取り組むとともに、適切な投資タイミングや収益性の検証を行っております。また、必要に応じて外部調査機関等の情報も活用し、市場環境の変化を継続的に把握することで、減損損失リスクの低減に努めております。
⑩ 知的財産に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:小)
当社グループは、事業競争力の維持・強化の観点から、保有技術や製品に関する知的財産権の保護及び権利化に取り組んでおります。しかしながら、第三者による当社グループの知的財産権の侵害、又は当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、研究開発部門、技術部門、事業戦略部門及び法務部門が連携し、必要に応じて外部専門家の支援を得ながら、知的財産戦略の策定及び運用を行っております。また、役職員に対する知的財産に関する教育を定期的に実施し、リスク低減に努めております。
⑪ 製品の品質等に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)
当社グループが製造する半導体用フォトマスクに対しては、顧客である半導体メーカーから高度な品質管理が要求されております。当社グループでは、製品品質の維持・向上に向けた教育制度を整備するとともに、内部監査の実施により潜在的な品質に係る問題を顕在化させ是正する品質管理体制の強化に努めております。また、品質に係る設備トラブル等が発生した場合を想定し、各製造拠点における情報伝達・対応フローを明確に定めております。しかしながら、製品品質に起因する不具合や設備トラブル等を起因として、万が一、顧客に損失が発生した場合には、損害賠償費用の発生等により、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、各製造拠点における作業の標準化や製造レシピの整理を進めるとともに、MES(製造実行システム)を活用した生産・品質管理を行っております。また、製造拠点間の製造連携においては、高精度なデータマッチング技術を活用し、拠点間で均質な品質を確保する体制を構築しております。加えて、品質問題発生時には、他拠点の知見も活用することで、早期是正及び再発防止に取り組んでおります。
⑫ 情報セキュリティ等に関するリスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:大)
当社グループにおいて、不正アクセスやサイバー攻撃、その他不測の事態により、情報システムの障害や重要なデータの破壊、改ざん又は漏洩等が発生した場合には、社会的信用の低下、ノウハウの流出、対応・復旧に係る多額の費用の発生、さらには事業活動の一時的な停止を余儀なくされる可能性があります。これらの事象が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、「情報セキュリティ基本方針」に基づき、情報セキュリティに関する規程類の整備及び運用を行っております。また、各国・地域に所在する拠点におけるセキュリティ対策状況を定期的に評価・改善するとともに、サイバー攻撃への技術的対策や、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証の取得、全役職員を対象とした教育を通じて、情報セキュリティへの意識向上とリスク低減に取り組んでおります。
⑬ コンプライアンスに関するリスク
(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:中~大)
当社グループは、国内外において事業を展開するにあたり、各国・地域の法令・規制、業界ルール及び社会的規範の遵守徹底を図るため、危機管理委員会、コンプライアンス委員会等の会議体において業務執行状況の検証を行う等の対策を講じております。しかしながら、これら法令・規範等に反する事象が生じた場合、法令等に基づく処分や事業活動に対する制約等が課せられるほか、レピュテーションの低下等により、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、コンプライアンス委員会を中心として、社内規程の整備、教育・研修の実施、内部通報制度の運用を図るほか、経営監査室による監査体制の強化に取り組んでおります。また、法令・規範等に反する事象が生じた場合には、事実関係の早期把握並びに再発防止策の策定を適切に行う体制を整備し、コンプライアンスリスクの低減に努めております。
⑭ 訴訟等に関わるリスク
(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期~長期、影響度:小~中)
当社グループは、法令及び契約の遵守に努めておりますが、事業活動を遂行する過程において、取引先等から訴訟を提起される可能性や、訴訟に至らないものの紛争や請求等を受ける可能性があります。これらには、労働問題、製品の品質に関する保証又は責任、知的財産権の侵害、機密情報の漏洩等に関連するものが含まれます。これらの訴訟や紛争については、当社グループが必ずしも有利な結果を得られる保証はなく、その内容や結果によっては、当社グループの事業活動、社会的評価、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、法務部門を中心として関係部門が連携し、必要に応じて外部専門家の助言を得ながら、訴訟や紛争の未然防止及び発生時の適切な対応に取り組んでおります。
⑮ 朝霞工場等、事業用資産及びユーティリティ供給設備に関わるリスク
(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:大)
当社グループは、当社朝霞工場の他、事業活動に必要な土地・建物の一部について、TOPPANホールディングス株式会社等の第三者から賃借しており、事業活動に必要な電力、ガス、水等のユーティリティ供給設備の一部について、その運営を外部事業者に委託しております。
事業用資産の賃借、並びにユーティリティ設備の運営委託に際しては、契約に基づき長期安定的に使用を可能とする法的な権利を確保しておりますが、契約更新時の条件変更や賃料の改定、又は契約更新がなされない場合には、事業活動の継続に影響が生じる可能性があります。また、契約相手先との関係の変化、法令の改正、周辺環境の変化等により、事業用資産、並びにユーティリティ設備の継続利用が困難となった場合や、原状回復義務や代替地確保に係る追加的な費用が発生した場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、事業用資産に係る契約締結に際しては事業運営の安定性を担保する契約条項を確保する他、更新時期を踏まえ事前に対処策について十分な検討を行うとともに、賃貸借契約の相手先との継続的なコミュニケーションを通じて安定した関係の維持に努めております。また、ユーティリティ供給設備については、委託先の運営状況を定期的に確認するとともに、事業継続上の影響を最小化する観点から、必要に応じて、当社グループ自らが保守運営管理可能な体制整備に努め、併せて、代替策の検討やリスク分散にも取り組んでおります。
(2) 災害等のリスク
自然災害・伝染病リスク
(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、各製造拠点の所在する各国・地域において、地震や台風等の自然災害が発生した場合、又は重篤な伝染病の蔓延等により、当社グループの生産設備やクリーンルーム等の主要施設に被害が生じ、あるいは生産・営業活動の停滞を余儀なくされる可能性があります。また、これらの事象が外部のサプライヤーや協力会社、顧客を含むサプライチェーン全体に混乱をもたらした場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社グループは、BCPの観点から、各国・地域に所在する複数の製造拠点において顧客認定を取得し、特定の拠点に過度に依存しない生産体制の構築を進めております。また、需要の多い原材料や設備については、各拠点で適切な在庫水準を確保するとともに、拠点間で在庫を適時融通可能な体制を整備しております。併せて、重大な災害の発生に備え、各種マニュアルや行動手順、緊急連絡体制の整備を行うなど、事業の継続及び早期復旧に向けた対策に取り組んでおります。
(3) 主要株主との関係について
(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)
当連結会計年度末現在、TOPPANホールディングス株式会社は当社議決権の46.55%を保有しており、取締役1名を当社へ派遣しております。当社では、経営方針及び事業運営に関する重要な事項のほか取締役会等の会社機関における意思決定に際しては十分な審議を行い、当社独自の判断に基づき決議事項を決定しておりますが、TOPPANホールディングス株式会社は株主総会における議決権行使や取締役会での意見表明を通じて、当社の経営方針や重要な意思決定に一定の影響を及ぼす可能性があります。また、同社との関係性の変化や利害の不一致が生じた場合には、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応)
当社は、様々な専門知識と見識を有し、豊富な経験と経営手腕を発揮された独立社外役員を選任し、当社を含めたグローバル全体の企業運営・管理、業務執行の管理監督機能の維持・向上を図り、企業経営の健全性、並びに少数株主利益に十分に配慮した事業運営を担保するガバナンス体制を構築しております。また、TOPPANグループとの取引にあたっては、社外取締役を中心にした特別委員会において取引条件の妥当性、経済的な合理性等を検証し、検証の結果、これらの要件が担保されている場合に限り取引を実施する手続き、体制を整備しております。併せて、検証された取引が、検証された条件により実行されていることを内部監査により確認する仕組みを設け、当社グループの経営の健全性、事業運営の独立性を確保しております。
(4) 上海徐匯科盛徳半導体有限公司が工場として使用する賃借物件について
(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)
当社のグループ会社である上海徐匯科盛徳半導体有限公司において、同社が工場として使用する賃借物件に関して、下記のとおり現地の法令、行政手続きに関する問題が生じております。
なお、当社は本件に付き法律顧問である現地弁護士事務所より意見書を取得しており、賃借人である上海徐匯科盛徳半導体有限公司に直接責任があると考えられる事項は、下記4項目のうち「4.建屋増設時の行政手続きの不備」に限られ、その他の事項に対する責任は基本的には賃貸人にあると認識しております。本件に起因して現地当局が上海徐匯科盛徳半導体有限公司の生産活動に何らかの制約を課すことになった場合、操業停止や工場移転が必要となることで当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
1.割当土地上の建築物の賃貸に関して必要となる要件(行政手続きを含む)の不備
2.土地使用用途の相違
3.建屋建設時の行政手続きの未完
4.建屋増設時の行政手続きの不備
(リスクへの対応)
当社及び上海徐匯科盛徳半導体有限公司では、問題事項の解決に向け、現地法律事務所の知見を得ながら、賃貸人との協議を重ねてまいりました。しかしながら、同敷地内に賃貸人が所有する別の違法建築物が複数存在するなどの理由から、上海徐匯科盛徳半導体有限公司が借用する物件のみに正規手続きを追完することは困難であるとの結論に至りました。一方で、行政手続きを未完のまま放置しておくことは、行政当局から立ち退きや工場の取り壊しを要求されるリスクも考えられることから、当該リスクの低減を図るため、行政当局との協議を行ってまいりました。
その結果、2024年2月に、本件土地が所在する地区の産業政策を所管する徐匯区商務委員会より、上海徐匯科盛徳半導体有限公司に対して「貴社が賃貸借契約期間内において、引き続き、既存の範囲内で、賃借した経営場所を使用し、既存の生産経営用途を維持し、合法的に経営活動を展開することを支持する」という見解が書面で示されたことから、当社グループといたしましては、上海徐匯科盛徳半導体有限公司の立ち退きや取り壊しを求められるリスクは低減されたものと判断し、現工場での生産を継続する方針としております。