訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2026/02/04 15:30
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有報資料

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、“もっと物語を届ける――。”という経営理念のもと、作家・漫画家をはじめとする多くのクリエイターと共に物語を紡ぎ、それを多様な形で世の中へ届けてまいりました。
作品はまず、小説やコミックスとして「物語(ストーリー)」の形で誕生しますが、アニメ、映画・舞台、音声コンテンツ、グッズ、イベントなど、様々な体験を通して、読者や視聴者の記憶に残る「物語(ナラティブ)(注)」へと深化していきます。当社は、この“ストーリーからナラティブへ”と広がるプロセスそのものに、IP企業としての存在意義があると考えております。
この広がりをより確かなものとするために、当社は原作発掘・企画・編集を担う「紡ぐ」機能と、コミカライズ、アニメ企画、映画・舞台化、商品化、イベント運営などIPを世の中へ「届ける」機能を自社内に備え、創出から展開までを一体的に運用できる体制を築いてまいりました。両機能を用い、IPポートフォリオの質と量を拡大し、長く愛されるIPへと育てていくことを目指しております。
今後は、自社IPのメディアミックス展開をさらに強化するとともに、海外市場への展開、他社IPのメディア展開など、事業のフィールドを広げてまいります。これらを通じて、クリエイターとともに生み出したIPの価値を最大化し、国内外の読者・視聴者により多くの物語を届けることで、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。
(注)物語(ナラティブ):原作作品がアニメ・舞台・音声・イベント等の多様な体験を通じて、読者・視聴者の記憶や共感に残る物語として広がっていくことを指します。
(2) 経営環境
日本のコンテンツ産業全体は、出版物を起点としたアニメ化、キャラクター商品化、イベント展開など、IPを多面的に展開するビジネスモデルが定着しつつあり、近年も高い水準で推移しております。一般財団法人デジタルコンテンツ協会「デジタルコンテンツ白書2025」によれば、2024年の国内コンテンツ産業市場は約14.0兆円と過去最高を更新しており、特に動画配信・電子出版オンライン領域の成長が顕著で、市場全体の78.9%をデジタルが占める構造へと変化しております(出典:一般財団法人デジタルコンテンツ協会「デジタルコンテンツ白書2025」)。

また、人気IPの多角展開により、グッズ・イベントなど周辺収益の規模も拡大しており、キャラクタービジネス市場は2024年現在約2.7兆円規模と大きな存在感を示しています(出典:株式会社矢野経済研究所「2025年版 キャラクタービジネス年鑑~市場分析編~」)。国内アニメ市場では、映像配信や映画、ライブイベント、音楽、商品化などの二次利用分野の市場規模が、映像ソフト・放送等の一次収益の約2.8倍に達しており、IPを軸とした横断的な収益構造が確立しつつあります(出典:経済産業省「コンテンツ産業及び生活文化分野の海外展開規模に関する調査(2024年3月)」)。このような市場環境のもと、書籍発のIPが映像・商品・イベントなどへ展開する事例が増加しており、メディア横断での価値向上がより生まれやすい状況にあります。
一方、出版市場におきましては、紙出版物の縮小傾向が続くなか、電子出版の拡大が市場全体を下支えしております。出版科学研究所によると、2024年の電子出版市場は5,660億円(前年比5.8%増)に達し、出版市場全体の3分の1以上(36.0%)を占めるまでに成長しています。とりわけ電子コミックは電子出版市場の約9割を占め、過去5年間でほぼ倍増する急成長分野となっております。また、電子書籍はアニメ化した作品の原作ライトノベル等が牽引する例も多く、電子書籍市場とアニメ化などのメディアミックス展開の親和性の高さが改めて確認されております。(出典:出版科学研究所「出版指標年報2025」)。
電子コミック市場及びキャラクタービジネス市場の推移は以下のとおりであります。

出版物を原点としつつアニメ・舞台・グッズ・イベント等へ横断展開するメディアミックス型のIP価値創出モデルが国内外で定着し、その重要性が高まっていると認識しております。当社は、原作発掘から出版、コミカライズ、アニメ、映像・舞台化、商品化、イベント運営に至るまで、IP展開に必要な機能を自社内に保有しており、こうした構造変化を追い風と捉え、IP価値の最大化に取り組んでまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、事業の中核を成す知的財産(IP)の創出及び育成が、企業価値の基盤を構成する重要な要素であると考えております。当社が経営判断上特に重要視している指標は、主要IP数(12ヶ月電子書籍売上高が1,000万円を超えるIP数)であります。
当該水準を超えるIPは、継続的な読者基盤を有することが多く、紙書籍、コミカライズ又はメディア展開等への展開について、一定の潜在的な可能性を有していると捉えております。そのため、主要IP数は、当社の収益構造に実質的な寄与をもたらし得るIPの数を把握する指標として位置付けております。
主要IP数の推移は以下のとおりであります。
2023年4月期2024年4月期2025年4月期
主要IP数666781


(4) 対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、IPを基盤とした事業を展開しておりますが、その持続的な成長に向け、以下の課題に優先的に取り組んでおります。なお、優先的に対処すべき財務上の課題はございません。
① IPの創出と展開を支える人材基盤の強化
当社の競争力は、作家と伴走する編集者・プロデューサーなどのクリエイティブ人材と、アニメ・舞台・商品化など多様な形でIPを展開する専門人材に支えられております。
より多くのファンに支持されるIPを生み出すには、編集者を中長期で育てる仕組みが欠かせず、作家と編集者が共に作品を磨き上げていくプロセスが当社における人材育成の中核であると考えております。加えて、メディアミックス展開の拡大に伴い、商品開発、アニメ・舞台・映画の企画プロデュース、海外出版社・配給会社と折衝できるグローバル人材など、多様な専門性のある人材の育成も不可欠となっております。
当社では、即戦力の中途採用の強化に加え、新卒・若手採用を継続的に実施し、OJTと専門研修を通じて育成体系の強化を図っています。優秀な人材の定着には、職場環境や教育体制の整備が不可欠であり、継続して投資してまいります。
② 自社IPによるメディアミックス戦略の深化
当社は、主要IPの価値最大化に向け、メディアミックス戦略を推進しております。コミカライズ、アニメ化、舞台化等を個別に進めるのではなく、書籍、音声、映像、舞台、グッズ、イベントといった複数の媒体を横断的に組み合わせ、ファンがIPに接する機会を継続的に設けている点に特徴があります。
作品が複数の媒体で繰り返しファンの目に触れることで、IPのヒットは一過性の消費にとどまらず、長期にわたって継続して収益を生み出せるよう運用することが可能となります。当社は、こうした運用を通じてファンとの接点を積み重ね、IPを中長期にわたり育成・成長させていく「エバーグリーン型(注1)」モデルの確立を進めてまいります。
このエバーグリーン型の運用において、アニメは認知拡大とファン層形成において影響の大きいメディアの一つであると位置付けております。アニメ領域では、単なる原作提供にとどまらず、製作委員会への主体的な出資や主幹事としての関与を強め、リスクを適切に負いながら当社自身がIP価値向上の中心的役割を担える体制を強化していく方針です。2025年4月期においては、自社IPのアニメ作品数に占める主幹事比率(注2)は33.3%となっており、企画・制作段階から主体的に関与する案件が一定程度存在しております。今後も、当社自らが関与度合いを高めた形でのアニメ展開を継続することで、主体的に市場の熱量をとらえたIP展開と収益機会の拡大の両立を図ってまいります。
(注1)エバーグリーン型:単発のブームに依存せず、継続的なメディア展開を通じてIPの寿命と収益機会を長期的に維持・拡張するモデルを指します。
(注2)主幹事比率 :主幹事比率とは、当社が製作委員会において主幹事として参画しているTVアニメ作品数を、自社IPに係るTVアニメ作品数で除した割合をいいます。主幹事とは、製作委員会の組成及び運営において中心的な役割を担い、収支計画の策定、制作体制の構築、進行管理等を主導する立場を指します。
③ 安定的なIP創出
当社は、編集体制の拡充と育成の強化を通じて、IP創出の基盤を継続的に積み上げております。主要IP数の増加は編集人員数の増加に支えられており、人材投資がIP創出に結び付く構造となっております。
育成プロセスの標準化及びチーム運用により、編集者の立ち上がりを早め、編集者一人当たりの担当可能作品数の拡大を図っております。また、電子書店等とのアライアンスを通じた共同展開により、作品立ち上がり段階における露出や展開スピードを高め、市場動向に即した企画や独占・先行施策を組み合わせることで、IPの認知拡大を進めております。
これらの取り組みを通じて、人材育成による創出力の底上げと、アライアンスを活用した初期展開の加速を両立させ、IPを安定的に創出していく体制の強化を進めてまいります。
④ 他社IPの活用
当社では、自社IPを中心に制作・流通に関する各種機能(アニメ製作委員会の組成、映画の劇場配給・宣伝、オーディオブックやTVアニメ音響制作、舞台、グッズ・イベント関連など)を蓄積してまいりました。こうした機能は既に他社IPでも活用が進んでおり、稼働率の向上や収益機会の拡大につながっております。
今後は、これらの機能を基盤とし、他社IPを対象としたメディア展開にも取り組みを広げてまいります。具体的には、以下の領域での展開を視野に入れております。
・他社IPのアニメ化企画、アニメ化作品への製作出資・ライセンス運用
・他社IPの映画化・劇場配給、舞台化・ミュージカル化等
・他社IPや人気タレント・キャラクターのメディア展開・グッズ企画・イベント運営
自社IPと他社IPの双方を取り扱うことで、当社の制作・流通・メディア展開機能の稼働を最大化させ、自社IPのみでは得られない新たな収益機会の創出につなげてまいります。
⑤ 取り扱いジャンルの拡大
当社の主要領域は、異世界・ファンタジー分野が中心ですが、電子書籍市場は読者の嗜好変化が速く、ジャンルの多様化が不可欠です。今後は、現代を舞台にした作品やホラー・サスペンスジャンルなど、より幅広い物語にも取り組み、当社が紡ぐフィールドを広げてまいります。
また、当社では、WEB小説の読者評価を活用することで、市場の動きや読者ニーズを早期に把握できる体制を整えております。さらに、市場の声を踏まえた取り組みとして、電子書店と連携した賞の創設、電子書店との協働によるオリジナル作品の開発、裾野拡大に向けた女性向けレーベルの立ち上げなど、自社の発想だけに偏らない取り組みも進めております。今後も、市場のトレンドを迅速に捉えつつ、幅広いジャンルに対応できる体制を強化してまいります。
⑥ 海外展開の加速
当社は、IPを起点とした事業の成長機会として、海外市場への展開を重要なテーマの一つと位置付けております。これまで、北米を中心とした電子書籍配信や海外出版社との取引等を通じて、海外におけるIP展開の基盤を構築してまいりました。
出版分野においては、北米の海外版元を中心とした直接取引に加え、海外出版エージェントと連携した出版展開を行うことで、地域特性や商慣行を踏まえた形でのIP展開を進めております。また、海外の主要展示会への出展等を通じて、当社自らが海外出版社や関係事業者とのネットワーク構築に取り組んでおります。
アニメ分野においては、海外のアニメ配信事業者を製作委員会に迎え共同製作を実施するなど、海外市場を意識した企画・製作体制の構築にも取り組んでおります。
今後は、海外市場における出版・配信・映像展開の経験を積み重ねるとともに、地域ごとの特性に応じた展開手法を整理・高度化することで、自社IPの海外展開を段階的に拡大していく方針です。
⑦ 内部管理体制の整備・強化
当社を取り巻く事業環境は、著作権管理の複雑化、AI技術の急速な進展、海賊版の増加、海外取引の増加、そしてメディアミックス展開による取引の多様化など、これまで以上に複雑化しています。
これらに対応し、クリエイターの権利とIP価値を守るため、契約・権利管理の精度向上、業務プロセスの標準化、AIや海外基準を踏まえた内部統制の強化を進めております。
リスクを適切に管理しつつ、迅速かつ透明性の高い経営判断を可能とする体制の構築に取り組んでまいります。

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