訂正有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
当社グループの事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。
これらの事項の中には当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項も含まれておりますが、投資判断上、もしくは当社グループの事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。
当社グループはこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、更にこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意頂く必要があると考えます。なお、文中の将来に関する記載は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。なお、社内の情報共有体制やリスク管理体制の整備状況については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの概要」を参照ください。
(1) 新製品開発の不確実性
(発生可能性:中、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:中~大)
細胞治療製品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要しますが、治験で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。また、国内への展開においては薬事関連法規等の法規制の適用を、また国外への展開においては国内薬事関連法規等と同様の法規制の適用を受けており、新製品の製造及び販売には当局の厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性、及び品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市ができず延期になる、または上市を断念する可能性があります。
これは当社グループの研究開発パイプラインを他社にライセンスアウトした場合も同様であり、当社グループが研究開発を行った細胞治療製品候補及び他社にライセンスアウトした細胞治療製品候補の上市が延期または中止された場合、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、現在の当社グループの研究開発パイプラインのうちICEF15とICES13は同じ種類の細胞(自家骨格筋由来細胞)を原料としており、ICEF16の原料細胞(骨格筋由来平滑筋細胞)の培養工程の一部はICEF15とICES13の原料細胞(自家骨格筋由来細胞)の培養工程と共通です。また作用機序も括約筋の再生において共通です。このように当社グループのパイプラインの開発を進めることは、製造技術、品質管理及び安全性情報の蓄積が図られ、これらは後発のプロジェクトへ活かされることから効果的なリスク回避策であると言えます。また、1つのパイプラインで有効性が確認されなかった場合でも各パイプラインにおける対象疾患の病態は異なることから、他のパイプラインの有効性に大きな懸念を生じさせるものではありません。
(2) 原材料由来ウイルス感染、副作用発現、製造物責任
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン治験開始以降、想定影響度:小)
当社グループが開発している細胞治療製品は、原材料や製造工程で使用する培地に動物由来原料を使用しており、この動物由来原料の使用によって未知のウイルスによる被害等が発生する可能性を否定できません。また、このリスクが当社グループの事業及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性は否定できません。
細胞治療製品には、治験段階から更には上市以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。当社グループは、自社で治験を実施する場合には、こうした事態に備えて賠償責任に対応するための適切な保険に加入しておりますが、最終的に当社グループが負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。また、当社グループに対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、当社グループ及び当社グループの研究開発活動及び製品に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。この結果、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 経営上の重要な契約等
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小~中)
当社の経営上重要と考えられる契約の概要は、「5 経営上の重要な契約等」に記載しておりますが、当該契約が解除やその他の理由に基づき終了した場合や、当社にとって不利な改定が行われた場合、又は契約の相手方の経営状態が悪化したり、経営方針が大きく変更されたりした場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を与える可能性があります。なお、「5 経営上の重要な契約等」に記載しているEIBローンの契約内容及び会計処理の概要については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
(4) 製造・販売体制に関する不確実性
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:小~中)
当社は、研究開発活動において成果をあげることにとどまらず、その後の商業化までを視野に入れて事業を推進していくことを計画しております。
細胞治療・再生医療製品の開発においてはCMC(製品規格設定、製造、品質管理)が重要とされておりますが、当社グループでは当社子会社Innovacell GmbHが自社でGMP製造施設を保有・運営して製品開発等に活用し、またICEF15第Ⅲ相国際共同治験用製品の製造を行なっております。また、当社は日本におけるICEF15の商業化を見据えた商業生産体制及び上市後物流体制の構築に向けた具体的な準備を行なっております。
しかしながら、細胞治療製品の製造や物流には、多種多様な技術が必要となり、今後、何らかの理由で製造・物流方法の確立、製造・物流体制の構築等が困難となった場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社はICEF15の販売・マーケティング体制の構築に着手しており、日本、欧州、米国の各地域に関する販売・マーケティング提携交渉を進めております。また、日本において複数の製造受託企業と守秘義務契約を締結して製造委託へ向けた交渉を行っているところです(現在の契約交渉状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」を参照ください。)。なお、上市から数年間は自社での製造を想定しております。しかしながら、こうした取り組みが当社の想定どおりに進まず相手先が決まらなかった場合、相手先との契約条件が当社の想定通りにならなかった場合、相手先が契約条件を変更した場合、製造委託後に相手先に品質管理・安全管理上の問題が生じた場合、あるいは相手先に何らかの問題が発生して販売・マーケティング・製造が当社の想定通りに進まない場合などには、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5) マイナスの繰越利益剰余金の計上及び債務超過
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
当社グループは、細胞治療・再生医療製品の研究開発を主軸とする企業グループです。細胞治療・再生医療製品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、研究開発段階の企業が当該事業に取り組む場合は一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあります。当社グループも創業以来継続的に営業損失及び当期純損失を計上しており、2024年12月期の連結営業損失額は1,872,608千円、同連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは△1,297,900千円です。
当社グループは、細胞治療・再生医療製品を中心とする研究開発パイプラインの開発を推し進めることにより、将来の利益拡大を目指しています。しかしながら、当社は設立以来当期純損失を計上しており、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社グループ事業が計画通りに進展せず当期純利益を獲得できない場合には、利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性や債務超過になる可能性があります。なお、2025年9月30日時点の連結貸借対照表上の純資産合計は316,149千円となっております。
(6) 資金繰り
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:大)
当社グループは、研究開発型企業として多額の研究開発資金を必要とし、また研究開発費用の負担により長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては継続的に営業損失を計上して営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があり、2024年12月期の連結営業損失額は1,872,608千円、同連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは△1,297,900千円です。当社グループにおいても営業キャッシュ・フローのマイナスが続いており、かつ現状では安定的な収益源を十分には有しておりません。
このため、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、毎月の必要資金を勘案、資金繰り管理に取り組みながら最も研究開発が進んでいるICEF15に注力し、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社グループ事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。なお、2025年9月30日時点の連結貸借対照表上の現金及び預金の残高は4,505,421千円となっております。
(7) 調達資金使途
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:小)
上場時の公募増資により調達する予定の資金は、細胞治療・再生医療製品の研究開発を中心とした事業費用(研究開発資金、ローン返済資金及び運転資金等)に充当する計画です。但し、新薬開発に関わる研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はありません。また、当社グループは、今後新規の研究開発パイプラインを獲得する場合にもその研究開発費用に上場時調達資金を充当していく方針です。ただし、急激な外部環境の変化などに対応するために現時点において想定している資金使途以外の使途に上場時調達資金を充当する可能性があります。公募増資による調達資金使途が変更になった場合には、適時適切に開示を行います。
これらの事象の結果として、調達した資金が期待される利益に結びつかない可能性があります。
(8) 収益が大きく変動する傾向
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:中~大)
当社グループの事業収益は、事業会社との新規提携契約の契約一時金、研究開発、製品販売の進捗に伴うマイルストーン収入や製品販売の売上推移等への依存度が高いため、当面の業績は不安定に推移することが見込まれます。この傾向は、当社グループの開発品が上市され安定的な収益基盤が確立するまで続く見込みです。
また、所定の成果達成に基づくマイルストーン収入などの発生時期は開発や製品販売の進捗などに依存した不確定なものであり、開発や製品販売に遅延が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループが手掛けている研究開発パイプラインの販売・マーケティングをライセンシングや販売提携等を通じて医薬品企業等に委ねる場合、ライセンシング先企業・提携先企業の販売・マーケティング実績が当社計画と乖離し、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは今後、複数の研究開発パイプラインの商業化・収益化に努め、最も開発が進捗しているICEF15への収益依存度を低減していく方針ですが、この方針もICEF15以外のパイプラインの開発の進捗に依存した不確実なものであり、これらの開発に遅延が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(9) 知的財産権及び職務発明
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
当社グループでは研究開発を始めとする事業展開において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社グループ所有の権利(旧社名名義での権利を含む)であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であります。
当社グループ会社が主導して研究開発を行なってきたICEF15などのパイプラインを日本国内で展開するにあたっては、当該パイプラインの事業化に必要な知的財産権を有する当社グループ会社(完全子会社)と当社との間でライセンス契約を締結する必要があります。ただし、これらのパイプラインは現時点でいずれも事業化以前の段階にあり、グループ内での適切な知的財産の管理方法等について検討を行なっているところであるため、当社グループ会社と当社との間で知的財産権に関するライセンス契約をまだ締結しておりません。各パイプライン事業化までの適切なタイミングで必要に応じて当該ライセンス契約を締結する予定です。事業化までの適切なタイミングで当該ライセンス契約に係る議論を終結できなかった場合には、当社グループの事業運営、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、一旦締結したライセンス契約や使用許諾契約が解除された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。(ただし、契約が解除されるのは、当社グループの債務不履行が発生し、その状態が改善されない場合などに原則として限定されると考えられます。)
一方、当社グループが保有している現在出願中の全ての特許が成立する保証はなく、また、特許権が成立した場合でも、当社グループの研究開発を超える優れた研究開発により、当社グループの特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しております。当社グループの特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは他社の特許権の侵害を未然に防止するための特許調査を第三者(特許事務所)を起用して実施しており、現時点で当社グループの開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で侵害訴訟は発生しておりません。しかし、当社グループのような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおける職務発明の取扱いに関しては、関連法規制を遵守し社内規程を適宜制定・運用して、当該規程に従い発明者に対して相当の対価を支払うこととしております。しかしながら、職務発明の対価の相当性についての係争が発生した場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を与える可能性があります。
(10) 小規模組織及び少数の事業推進者への依存
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:中)
当社は、2025年11月末現在、取締役5名、監査役3名及び従業員13名の小規模組織(グループ全体では取締役5名、監査役3名、従業員48名)であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっています。今後、業容拡大に応じて人員の増強や内部管理体制の拡充を図る方針ですが、想定どおりに人材の確保ができない場合や人材の流出が生じた場合、又は社内管理体制に不備が生じた場合には、研究開発の推進や社外との提携関係の構築に支障が生じるなど、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業活動は、当社代表取締役Co-CEOであるノビック・コーリン及びシーガー・ジェイソンをはじめとする現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に大きく依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(11) 世界的な事業展開
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:小~中)
当社は、当社が手掛けている各研究開発パイプラインが、それぞれアンメット・メディカル・ニーズを充足して、日本及び世界各国の患者さまの治療に貢献するものであると考えております。
また、当社グループはもともと国際的な出自を有しており、当初より世界的な事業展開を視野に入れております。既にICEF15の第Ⅲ相国際共同治験を欧州11ヶ国及び日本を対象とする国際共同治験として実施していることは、その端的な表れです。
しかしながら、このような世界的な事業展開や海外子会社管理に際しては、一般的に、海外子会社の所在国を含め、事業展開する各国特有の法的規制や外資規制、取引慣行等によって必要な業務提携や組織体制の構築に困難が伴うなど、当社グループの事業展開が何らかの制約を受ける可能性も考えられ、その場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、為替の変動に応じて、海外における開発費用や収益等が増減する可能性も考えられ、その場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、現時点において、当社グループが取り組んでいる研究開発パイプラインはいずれも商業化以前の段階にあり、臨床試験に関しては各地域の規制当局の指示に従って手続を行なっております。また、適宜法律の専門家を活用することで現地法規制に関する情報収集を行なっており、現時点において特段の問題は認識しておりません。
(12) 研究開発パイプライン導入の不確実性
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
当社は、当社グループの強みを活かして、有望な商業化ポテンシャルを有する細胞治療・再生医療研究開発シーズや医療機器を全世界から探索・発掘し、その商業化に必要な経営資源(スキル・人材、外部インフラ、事業パートナー、資金など)を見極めて全世界からそれらを調達して提供し、商業化への「出口」を確保することを自らのミッションとしております。
当社は、当社代表取締役Co-CEOを始めとする当社グループ役員・社員が構築している国内外細胞治療・再生医療関連企業とのネットワークを活用して、新しい研究開発パイプラインの導入に積極的に取り組む方針です。
ただし、新しい研究開発パイプラインの導入にあたっては相手先との交渉が必要であり、導入にあたっての各種条件(時期、対象地域、対価、費用分担など)も相手方との交渉に依存します。従って、パイプライン導入交渉が当社の想定どおりに進まず導入が実現しない場合、相手先との契約条件が当社の想定通りにならなかった場合、あるいは相手先に何らかの問題が発生して導入交渉が当社の想定通りに進捗しない場合などには、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(13) 風評上の問題の発生
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
当社グループは、研究開発における安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社に関してマスコミ報道などにおいて事実と異なる何らかの風評上の問題が発生した場合、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(14) 競合
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小~中)
最先端の医療の一種である細胞治療・再生医療については、盛んにイノベーションが生まれており、日々新しい知識や技術が発見されております。また、細胞治療・再生医療製品の研究開発は、国内外の製薬会社やバイオベンチャー企業との激しい競争の下で行われております。現在当社が手掛けている3種類の研究開発パイプラインについては現時点で有力な承認済み競合製品が見当たらないと認識しておりますが、今後競合製品が開発されたり上市されるリスクが存在いたします。またそういった競合品の上市後の販売価格や販売シェアによっては、当社が得る収入が減少するリスクや事業性の観点から提携先企業が当社グループとの契約を終了するリスクが存在いたします。このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(15) 為替変動
(発生可能性:中、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小~中)
当社グループの主たる研究開発は、現在オーストリア子会社を拠点として行なっております。オーストリア子会社の取引通貨はユーロであり財務諸表も当該通貨で作成されます。従いまして、連結財務諸表を作成する過程において、当該財務諸表は、外貨建取引等会計処理基準に沿って日本円に換算されるため、大幅な為替相場の変動があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(16) 国際税務
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:小~中)
当社グループは、2021年2月にコーポレート・インバージョンを実施し、現在は日本法人である当社とオーストリア法人であるInnovacell GmbHの2社で構成されております。このため、親子間の資本関係や取引関係から生ずる課税上の取扱いについては、国際税務、具体的には日本・オーストリア両国の税法及び日本・オーストリア間の租税条約の適用を受けることとなります。
当社グループは、日本・オーストリア双方の税務につき、税理士等の専門家と顧問契約を締結し、税務情報の収集や税務リスクの排除に努めておりますが、現状当社グループが想定していない国際税務リスクが潜在的に存在している可能性、及び将来的に当社グループに不利となる国際税務関連の税制改正が行われる可能性を否定できません。仮にこれらの可能性が顕在化した場合には、追徴税額を含めた将来の税負担額が増加し、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの状況に照らして、現時点においては特段の問題がないことを税理士等の専門家に確認しております。
(17) 医薬品に関する法規制への改正等
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
細胞治療製品を含む医薬品に関する薬事法規制については、技術の革新の状況や予期し得ない事態の発生等に対応して、継続的に見直しがなされる可能性があります。当社グループは、そうした見直しにいち早く対応すべく体制の整備に努めておりますが、法規制の追加や法改正の内容如何によっては、これまで認められてきた品質管理基準を上回る品質管理が求められるなどの理由によって、研究開発計画の変更を余儀なくされたり、研究開発スケジュールが当初の計画から大幅に遅れたり、多額の設備投資が必要となるなどの事態が生じる可能性があります。このような場合においては、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(18) 市場規模
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:小~中)
現在当社が手掛けている主要研究開発パイプラインのターゲット疾患である便失禁・尿失禁には、「Silent Affliction(言葉にされないままの悩み)」と呼ばれるような特性から、潜在患者数が多いと推測されます。従って、大きな市場ポテンシャルが期待される一方で、市場規模について正確な見通しを立てることには困難が伴います。当社の見通しと将来顕在化する市場規模との間に乖離が生じた場合、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(19) 国家による医療費抑制策
(発生可能性:小~中、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:小~中)
世界の細胞治療・再生医療製品市場の主要国においては、医療費抑制策が強化されております。また、日本国内においても、政府は増加の続く医療費を抑制するため、定期的に薬価引き下げを実施するほか、後発品の使用促進策の導入を進めております。世界的な医療費抑制の流れの中で、薬価に係る法規制の改正により当社が想定している製品価格よりも低い薬価・保険償還価格となった場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(20) 感染症、災害等、エネルギー供給制約の発生に関する不確実性
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
当社グループが事業活動を行なっている地域において、感染症、自然災害や火災等の事故災害、電気・ガス・石油等のエネルギーに関する供給制約、急激な物価上昇等が発生した場合、当社グループの組織体制・設備・事業活動等に大きな被害・制限を受け、その一部又は全部の稼働が中断し、研究開発や治験推進を含めた事業活動が遅延する可能性があります。また、損害を被った組織体制や設備等の修復、エネルギー確保、価格が上昇した資材・サービス等購入などのために多額の費用が発生し、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(21) 情報管理
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
当社グループの事業において、研究又は開発途上の知見、技術、ノウハウ等は非常に重要な情報です。当社グループは、その流出リスクを軽減するため、必要に応じて取引先等との間で営業秘密、個人情報等につき目的外利用及び第三者提供の禁止等を定めた守秘義務契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めております。
しかしながら、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、このような場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(22) 株式価値の希薄化
(発生可能性:中、顕在化する可能性のある時期:上場後、想定影響度:小~中)
当社グループは細胞治療・再生医療製品の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
また、当社グループは、当社取締役、監査役、従業員、当社子会社従業員の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を採用しています。会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の承認を受け、当社取締役、監査役、従業員、当社子会社取締役、従業員に対して新株予約権の発行と付与を行なっています。また、ストック・オプションとは別に、当社グループでは資金調達の一環でラチェット型新株予約権を発行しております。本書提出日現在における当社の発行済株式総数は33,335,702株であり、これら新株予約権の権利が行使された場合は新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
また、優秀な人材の確保のため、今後もストック・オプションや株式関連報酬などのインセンティブ・プランを採用する可能性があります。従って、これらのインセンティブ・プランを通じて、当社株式が付与されたり付与した新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
(23) 配当政策
(発生可能性:大、顕在化する可能性のある時期:上場後、想定影響度:小)
細胞治療・再生医療製品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資回収も長期に及ぶ傾向にあり、当社グループも創業以来継続的に営業損失及び当期純損失を計上しています。このような状況下においては、積極的な開発推進によって企業価値を高めることこそが、株主利益の最大化に繋がると考えています。
2024年12月期末においては、会社法の規定上、配当可能な財政状態にはありません。また、2025年12月期についても配当は実施しない予定となっております。
株主への利益還元については重要な経営課題と認識しており、現時点では製品開発のための先行投資に備えた内部留保の充実を優先し、将来、現在開発中のパイプラインが上市されてその販売によって当期純利益が計上される時期においては、経営成績及び財政状態を勘案しながら、配当による利益還元の実施を検討したいと考えております。
(24) 継続企業の前提に関する重要事象等
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:大)
当社グループは、研究開発型企業として多額の研究開発資金を必要とし、長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては継続的な営業損失の発生や営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる傾向があり、2024年12月期の連結営業損失は1,872,608千円、同連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは△1,297,900千円となっています。そのため、安定的な収益が見込まれるまでは外部からの資金調達に依存せざるを得ない状況であり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると外形的に判断されると考えております。当該状況を改善するための対応策として、資本の増強、必要に応じた支出のコントロール及び開発が最も進んでいるパイプラインであるICEF15の第Ⅲ相国際共同治験の推進を行ない、財務状況の安定化と開発の進捗に取り組んで参りました。例えば、2024年12月期においては株式及び新株予約権の発行により2,215,825千円の資金調達を行ない、2025年度においても第3四半期連結会計期間末(2025年9月30日)までに株式及び新株予約権の発行により4,280,328千円の資金調達を行なうことで、2025年9月30日時点の連結貸借対照表上の現金及び預金の残高は4,505,421千円となっており、当面(一年超)の必要資金は十分に確保できていると考えております。これらを踏まえて、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、連結財務諸表等への注記は記載しておりません。
これらの事項の中には当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項も含まれておりますが、投資判断上、もしくは当社グループの事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。
当社グループはこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、更にこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意頂く必要があると考えます。なお、文中の将来に関する記載は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。なお、社内の情報共有体制やリスク管理体制の整備状況については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの概要」を参照ください。
(1) 新製品開発の不確実性
(発生可能性:中、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:中~大)
細胞治療製品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要しますが、治験で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。また、国内への展開においては薬事関連法規等の法規制の適用を、また国外への展開においては国内薬事関連法規等と同様の法規制の適用を受けており、新製品の製造及び販売には当局の厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性、及び品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市ができず延期になる、または上市を断念する可能性があります。
これは当社グループの研究開発パイプラインを他社にライセンスアウトした場合も同様であり、当社グループが研究開発を行った細胞治療製品候補及び他社にライセンスアウトした細胞治療製品候補の上市が延期または中止された場合、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、現在の当社グループの研究開発パイプラインのうちICEF15とICES13は同じ種類の細胞(自家骨格筋由来細胞)を原料としており、ICEF16の原料細胞(骨格筋由来平滑筋細胞)の培養工程の一部はICEF15とICES13の原料細胞(自家骨格筋由来細胞)の培養工程と共通です。また作用機序も括約筋の再生において共通です。このように当社グループのパイプラインの開発を進めることは、製造技術、品質管理及び安全性情報の蓄積が図られ、これらは後発のプロジェクトへ活かされることから効果的なリスク回避策であると言えます。また、1つのパイプラインで有効性が確認されなかった場合でも各パイプラインにおける対象疾患の病態は異なることから、他のパイプラインの有効性に大きな懸念を生じさせるものではありません。
(2) 原材料由来ウイルス感染、副作用発現、製造物責任
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン治験開始以降、想定影響度:小)
当社グループが開発している細胞治療製品は、原材料や製造工程で使用する培地に動物由来原料を使用しており、この動物由来原料の使用によって未知のウイルスによる被害等が発生する可能性を否定できません。また、このリスクが当社グループの事業及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性は否定できません。
細胞治療製品には、治験段階から更には上市以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。当社グループは、自社で治験を実施する場合には、こうした事態に備えて賠償責任に対応するための適切な保険に加入しておりますが、最終的に当社グループが負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。また、当社グループに対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、当社グループ及び当社グループの研究開発活動及び製品に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。この結果、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 経営上の重要な契約等
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小~中)
当社の経営上重要と考えられる契約の概要は、「5 経営上の重要な契約等」に記載しておりますが、当該契約が解除やその他の理由に基づき終了した場合や、当社にとって不利な改定が行われた場合、又は契約の相手方の経営状態が悪化したり、経営方針が大きく変更されたりした場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を与える可能性があります。なお、「5 経営上の重要な契約等」に記載しているEIBローンの契約内容及び会計処理の概要については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
(4) 製造・販売体制に関する不確実性
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:小~中)
当社は、研究開発活動において成果をあげることにとどまらず、その後の商業化までを視野に入れて事業を推進していくことを計画しております。
細胞治療・再生医療製品の開発においてはCMC(製品規格設定、製造、品質管理)が重要とされておりますが、当社グループでは当社子会社Innovacell GmbHが自社でGMP製造施設を保有・運営して製品開発等に活用し、またICEF15第Ⅲ相国際共同治験用製品の製造を行なっております。また、当社は日本におけるICEF15の商業化を見据えた商業生産体制及び上市後物流体制の構築に向けた具体的な準備を行なっております。
しかしながら、細胞治療製品の製造や物流には、多種多様な技術が必要となり、今後、何らかの理由で製造・物流方法の確立、製造・物流体制の構築等が困難となった場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社はICEF15の販売・マーケティング体制の構築に着手しており、日本、欧州、米国の各地域に関する販売・マーケティング提携交渉を進めております。また、日本において複数の製造受託企業と守秘義務契約を締結して製造委託へ向けた交渉を行っているところです(現在の契約交渉状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」を参照ください。)。なお、上市から数年間は自社での製造を想定しております。しかしながら、こうした取り組みが当社の想定どおりに進まず相手先が決まらなかった場合、相手先との契約条件が当社の想定通りにならなかった場合、相手先が契約条件を変更した場合、製造委託後に相手先に品質管理・安全管理上の問題が生じた場合、あるいは相手先に何らかの問題が発生して販売・マーケティング・製造が当社の想定通りに進まない場合などには、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5) マイナスの繰越利益剰余金の計上及び債務超過
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
当社グループは、細胞治療・再生医療製品の研究開発を主軸とする企業グループです。細胞治療・再生医療製品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、研究開発段階の企業が当該事業に取り組む場合は一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあります。当社グループも創業以来継続的に営業損失及び当期純損失を計上しており、2024年12月期の連結営業損失額は1,872,608千円、同連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは△1,297,900千円です。
当社グループは、細胞治療・再生医療製品を中心とする研究開発パイプラインの開発を推し進めることにより、将来の利益拡大を目指しています。しかしながら、当社は設立以来当期純損失を計上しており、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社グループ事業が計画通りに進展せず当期純利益を獲得できない場合には、利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性や債務超過になる可能性があります。なお、2025年9月30日時点の連結貸借対照表上の純資産合計は316,149千円となっております。
(6) 資金繰り
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:大)
当社グループは、研究開発型企業として多額の研究開発資金を必要とし、また研究開発費用の負担により長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては継続的に営業損失を計上して営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があり、2024年12月期の連結営業損失額は1,872,608千円、同連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは△1,297,900千円です。当社グループにおいても営業キャッシュ・フローのマイナスが続いており、かつ現状では安定的な収益源を十分には有しておりません。
このため、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、毎月の必要資金を勘案、資金繰り管理に取り組みながら最も研究開発が進んでいるICEF15に注力し、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社グループ事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。なお、2025年9月30日時点の連結貸借対照表上の現金及び預金の残高は4,505,421千円となっております。
(7) 調達資金使途
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:小)
上場時の公募増資により調達する予定の資金は、細胞治療・再生医療製品の研究開発を中心とした事業費用(研究開発資金、ローン返済資金及び運転資金等)に充当する計画です。但し、新薬開発に関わる研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はありません。また、当社グループは、今後新規の研究開発パイプラインを獲得する場合にもその研究開発費用に上場時調達資金を充当していく方針です。ただし、急激な外部環境の変化などに対応するために現時点において想定している資金使途以外の使途に上場時調達資金を充当する可能性があります。公募増資による調達資金使途が変更になった場合には、適時適切に開示を行います。
これらの事象の結果として、調達した資金が期待される利益に結びつかない可能性があります。
(8) 収益が大きく変動する傾向
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:中~大)
当社グループの事業収益は、事業会社との新規提携契約の契約一時金、研究開発、製品販売の進捗に伴うマイルストーン収入や製品販売の売上推移等への依存度が高いため、当面の業績は不安定に推移することが見込まれます。この傾向は、当社グループの開発品が上市され安定的な収益基盤が確立するまで続く見込みです。
また、所定の成果達成に基づくマイルストーン収入などの発生時期は開発や製品販売の進捗などに依存した不確定なものであり、開発や製品販売に遅延が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループが手掛けている研究開発パイプラインの販売・マーケティングをライセンシングや販売提携等を通じて医薬品企業等に委ねる場合、ライセンシング先企業・提携先企業の販売・マーケティング実績が当社計画と乖離し、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは今後、複数の研究開発パイプラインの商業化・収益化に努め、最も開発が進捗しているICEF15への収益依存度を低減していく方針ですが、この方針もICEF15以外のパイプラインの開発の進捗に依存した不確実なものであり、これらの開発に遅延が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(9) 知的財産権及び職務発明
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
当社グループでは研究開発を始めとする事業展開において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社グループ所有の権利(旧社名名義での権利を含む)であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であります。
当社グループ会社が主導して研究開発を行なってきたICEF15などのパイプラインを日本国内で展開するにあたっては、当該パイプラインの事業化に必要な知的財産権を有する当社グループ会社(完全子会社)と当社との間でライセンス契約を締結する必要があります。ただし、これらのパイプラインは現時点でいずれも事業化以前の段階にあり、グループ内での適切な知的財産の管理方法等について検討を行なっているところであるため、当社グループ会社と当社との間で知的財産権に関するライセンス契約をまだ締結しておりません。各パイプライン事業化までの適切なタイミングで必要に応じて当該ライセンス契約を締結する予定です。事業化までの適切なタイミングで当該ライセンス契約に係る議論を終結できなかった場合には、当社グループの事業運営、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、一旦締結したライセンス契約や使用許諾契約が解除された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。(ただし、契約が解除されるのは、当社グループの債務不履行が発生し、その状態が改善されない場合などに原則として限定されると考えられます。)
一方、当社グループが保有している現在出願中の全ての特許が成立する保証はなく、また、特許権が成立した場合でも、当社グループの研究開発を超える優れた研究開発により、当社グループの特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しております。当社グループの特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは他社の特許権の侵害を未然に防止するための特許調査を第三者(特許事務所)を起用して実施しており、現時点で当社グループの開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で侵害訴訟は発生しておりません。しかし、当社グループのような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおける職務発明の取扱いに関しては、関連法規制を遵守し社内規程を適宜制定・運用して、当該規程に従い発明者に対して相当の対価を支払うこととしております。しかしながら、職務発明の対価の相当性についての係争が発生した場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を与える可能性があります。
(10) 小規模組織及び少数の事業推進者への依存
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:中)
当社は、2025年11月末現在、取締役5名、監査役3名及び従業員13名の小規模組織(グループ全体では取締役5名、監査役3名、従業員48名)であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっています。今後、業容拡大に応じて人員の増強や内部管理体制の拡充を図る方針ですが、想定どおりに人材の確保ができない場合や人材の流出が生じた場合、又は社内管理体制に不備が生じた場合には、研究開発の推進や社外との提携関係の構築に支障が生じるなど、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業活動は、当社代表取締役Co-CEOであるノビック・コーリン及びシーガー・ジェイソンをはじめとする現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に大きく依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(11) 世界的な事業展開
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:小~中)
当社は、当社が手掛けている各研究開発パイプラインが、それぞれアンメット・メディカル・ニーズを充足して、日本及び世界各国の患者さまの治療に貢献するものであると考えております。
また、当社グループはもともと国際的な出自を有しており、当初より世界的な事業展開を視野に入れております。既にICEF15の第Ⅲ相国際共同治験を欧州11ヶ国及び日本を対象とする国際共同治験として実施していることは、その端的な表れです。
しかしながら、このような世界的な事業展開や海外子会社管理に際しては、一般的に、海外子会社の所在国を含め、事業展開する各国特有の法的規制や外資規制、取引慣行等によって必要な業務提携や組織体制の構築に困難が伴うなど、当社グループの事業展開が何らかの制約を受ける可能性も考えられ、その場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、為替の変動に応じて、海外における開発費用や収益等が増減する可能性も考えられ、その場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、現時点において、当社グループが取り組んでいる研究開発パイプラインはいずれも商業化以前の段階にあり、臨床試験に関しては各地域の規制当局の指示に従って手続を行なっております。また、適宜法律の専門家を活用することで現地法規制に関する情報収集を行なっており、現時点において特段の問題は認識しておりません。
(12) 研究開発パイプライン導入の不確実性
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
当社は、当社グループの強みを活かして、有望な商業化ポテンシャルを有する細胞治療・再生医療研究開発シーズや医療機器を全世界から探索・発掘し、その商業化に必要な経営資源(スキル・人材、外部インフラ、事業パートナー、資金など)を見極めて全世界からそれらを調達して提供し、商業化への「出口」を確保することを自らのミッションとしております。
当社は、当社代表取締役Co-CEOを始めとする当社グループ役員・社員が構築している国内外細胞治療・再生医療関連企業とのネットワークを活用して、新しい研究開発パイプラインの導入に積極的に取り組む方針です。
ただし、新しい研究開発パイプラインの導入にあたっては相手先との交渉が必要であり、導入にあたっての各種条件(時期、対象地域、対価、費用分担など)も相手方との交渉に依存します。従って、パイプライン導入交渉が当社の想定どおりに進まず導入が実現しない場合、相手先との契約条件が当社の想定通りにならなかった場合、あるいは相手先に何らかの問題が発生して導入交渉が当社の想定通りに進捗しない場合などには、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(13) 風評上の問題の発生
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
当社グループは、研究開発における安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社に関してマスコミ報道などにおいて事実と異なる何らかの風評上の問題が発生した場合、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(14) 競合
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小~中)
最先端の医療の一種である細胞治療・再生医療については、盛んにイノベーションが生まれており、日々新しい知識や技術が発見されております。また、細胞治療・再生医療製品の研究開発は、国内外の製薬会社やバイオベンチャー企業との激しい競争の下で行われております。現在当社が手掛けている3種類の研究開発パイプラインについては現時点で有力な承認済み競合製品が見当たらないと認識しておりますが、今後競合製品が開発されたり上市されるリスクが存在いたします。またそういった競合品の上市後の販売価格や販売シェアによっては、当社が得る収入が減少するリスクや事業性の観点から提携先企業が当社グループとの契約を終了するリスクが存在いたします。このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(15) 為替変動
(発生可能性:中、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小~中)
当社グループの主たる研究開発は、現在オーストリア子会社を拠点として行なっております。オーストリア子会社の取引通貨はユーロであり財務諸表も当該通貨で作成されます。従いまして、連結財務諸表を作成する過程において、当該財務諸表は、外貨建取引等会計処理基準に沿って日本円に換算されるため、大幅な為替相場の変動があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(16) 国際税務
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:小~中)
当社グループは、2021年2月にコーポレート・インバージョンを実施し、現在は日本法人である当社とオーストリア法人であるInnovacell GmbHの2社で構成されております。このため、親子間の資本関係や取引関係から生ずる課税上の取扱いについては、国際税務、具体的には日本・オーストリア両国の税法及び日本・オーストリア間の租税条約の適用を受けることとなります。
当社グループは、日本・オーストリア双方の税務につき、税理士等の専門家と顧問契約を締結し、税務情報の収集や税務リスクの排除に努めておりますが、現状当社グループが想定していない国際税務リスクが潜在的に存在している可能性、及び将来的に当社グループに不利となる国際税務関連の税制改正が行われる可能性を否定できません。仮にこれらの可能性が顕在化した場合には、追徴税額を含めた将来の税負担額が増加し、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの状況に照らして、現時点においては特段の問題がないことを税理士等の専門家に確認しております。
(17) 医薬品に関する法規制への改正等
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
細胞治療製品を含む医薬品に関する薬事法規制については、技術の革新の状況や予期し得ない事態の発生等に対応して、継続的に見直しがなされる可能性があります。当社グループは、そうした見直しにいち早く対応すべく体制の整備に努めておりますが、法規制の追加や法改正の内容如何によっては、これまで認められてきた品質管理基準を上回る品質管理が求められるなどの理由によって、研究開発計画の変更を余儀なくされたり、研究開発スケジュールが当初の計画から大幅に遅れたり、多額の設備投資が必要となるなどの事態が生じる可能性があります。このような場合においては、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(18) 市場規模
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:小~中)
現在当社が手掛けている主要研究開発パイプラインのターゲット疾患である便失禁・尿失禁には、「Silent Affliction(言葉にされないままの悩み)」と呼ばれるような特性から、潜在患者数が多いと推測されます。従って、大きな市場ポテンシャルが期待される一方で、市場規模について正確な見通しを立てることには困難が伴います。当社の見通しと将来顕在化する市場規模との間に乖離が生じた場合、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(19) 国家による医療費抑制策
(発生可能性:小~中、顕在化する可能性のある時期:各パイプライン市販後、想定影響度:小~中)
世界の細胞治療・再生医療製品市場の主要国においては、医療費抑制策が強化されております。また、日本国内においても、政府は増加の続く医療費を抑制するため、定期的に薬価引き下げを実施するほか、後発品の使用促進策の導入を進めております。世界的な医療費抑制の流れの中で、薬価に係る法規制の改正により当社が想定している製品価格よりも低い薬価・保険償還価格となった場合には、当社の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(20) 感染症、災害等、エネルギー供給制約の発生に関する不確実性
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
当社グループが事業活動を行なっている地域において、感染症、自然災害や火災等の事故災害、電気・ガス・石油等のエネルギーに関する供給制約、急激な物価上昇等が発生した場合、当社グループの組織体制・設備・事業活動等に大きな被害・制限を受け、その一部又は全部の稼働が中断し、研究開発や治験推進を含めた事業活動が遅延する可能性があります。また、損害を被った組織体制や設備等の修復、エネルギー確保、価格が上昇した資材・サービス等購入などのために多額の費用が発生し、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(21) 情報管理
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:小)
当社グループの事業において、研究又は開発途上の知見、技術、ノウハウ等は非常に重要な情報です。当社グループは、その流出リスクを軽減するため、必要に応じて取引先等との間で営業秘密、個人情報等につき目的外利用及び第三者提供の禁止等を定めた守秘義務契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めております。
しかしながら、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、このような場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(22) 株式価値の希薄化
(発生可能性:中、顕在化する可能性のある時期:上場後、想定影響度:小~中)
当社グループは細胞治療・再生医療製品の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
また、当社グループは、当社取締役、監査役、従業員、当社子会社従業員の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を採用しています。会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の承認を受け、当社取締役、監査役、従業員、当社子会社取締役、従業員に対して新株予約権の発行と付与を行なっています。また、ストック・オプションとは別に、当社グループでは資金調達の一環でラチェット型新株予約権を発行しております。本書提出日現在における当社の発行済株式総数は33,335,702株であり、これら新株予約権の権利が行使された場合は新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
また、優秀な人材の確保のため、今後もストック・オプションや株式関連報酬などのインセンティブ・プランを採用する可能性があります。従って、これらのインセンティブ・プランを通じて、当社株式が付与されたり付与した新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
(23) 配当政策
(発生可能性:大、顕在化する可能性のある時期:上場後、想定影響度:小)
細胞治療・再生医療製品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資回収も長期に及ぶ傾向にあり、当社グループも創業以来継続的に営業損失及び当期純損失を計上しています。このような状況下においては、積極的な開発推進によって企業価値を高めることこそが、株主利益の最大化に繋がると考えています。
2024年12月期末においては、会社法の規定上、配当可能な財政状態にはありません。また、2025年12月期についても配当は実施しない予定となっております。
株主への利益還元については重要な経営課題と認識しており、現時点では製品開発のための先行投資に備えた内部留保の充実を優先し、将来、現在開発中のパイプラインが上市されてその販売によって当期純利益が計上される時期においては、経営成績及び財政状態を勘案しながら、配当による利益還元の実施を検討したいと考えております。
(24) 継続企業の前提に関する重要事象等
(発生可能性:小、顕在化する可能性のある時期:随時、想定影響度:大)
当社グループは、研究開発型企業として多額の研究開発資金を必要とし、長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては継続的な営業損失の発生や営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる傾向があり、2024年12月期の連結営業損失は1,872,608千円、同連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは△1,297,900千円となっています。そのため、安定的な収益が見込まれるまでは外部からの資金調達に依存せざるを得ない状況であり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると外形的に判断されると考えております。当該状況を改善するための対応策として、資本の増強、必要に応じた支出のコントロール及び開発が最も進んでいるパイプラインであるICEF15の第Ⅲ相国際共同治験の推進を行ない、財務状況の安定化と開発の進捗に取り組んで参りました。例えば、2024年12月期においては株式及び新株予約権の発行により2,215,825千円の資金調達を行ない、2025年度においても第3四半期連結会計期間末(2025年9月30日)までに株式及び新株予約権の発行により4,280,328千円の資金調達を行なうことで、2025年9月30日時点の連結貸借対照表上の現金及び預金の残高は4,505,421千円となっており、当面(一年超)の必要資金は十分に確保できていると考えております。これらを踏まえて、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、連結財務諸表等への注記は記載しておりません。