訂正有価証券届出書(新規公開時)

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2026/02/12 15:30
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有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、ヒト細胞を用いた新たな治療製品・治療方法(細胞治療製品)を軸に幅広く医薬品・医療機器シーズを世界各国で探索・発掘し、それらのシーズを開発してグローバル市場において商業化することを通じて、患者さまの健康とQOLの向上に貢献することを目的としております。
細胞治療製品の研究開発を行う企業に多く見られるビジネスモデルとして、特定の技術やシーズ・パイプラインにフォーカスするモデルが挙げられます。これに対して当社は、必ずしも特定の技術やシーズ・パイプラインにこだわることなく、専門的知見・経験・人的ネットワークに基づいて有望な商業化ポテンシャルを有する細胞治療・再生医療シーズをグローバルに発掘し、当該シーズに必要な事業インフラをグローバルに調達して自社パイプラインに組入れて開発を進めながら各パイプラインに最適なビジネスモデルを構築した上で商業化していくことで自らの収益ポートフォリオを構築・拡充する「細胞治療・再生医療グローバルアグリゲーションモデル」を採用しております。
(2)経営環境
世界には、目覚ましい進歩を遂げてきた医薬品・医療技術を以てしてもなお充分な治療を施すことができない「アンメット・メディカル・ニーズ(未充足の治療ニーズ)」が存在します。このようなアンメット・メディカル・ニーズを解消するため、従来の低分子化合物だけでなく様々な新規モダリティ(創薬基盤技術)の研究開発が進められてきました。ヒト細胞を治療に用いる細胞治療・再生医療もそういった新規モダリティの1つです。
原料となる細胞や細胞加工技術に関する研究開発の進歩を背景として、21世紀に入って細胞治療・再生医療製品の商業化が世界各国で本格化しました。またこのような商業化の流れとともに、細胞治療・再生医療の商業化に必要な事業インフラ(薬事法規制、受託製造施設、各種専門人材など)の整備が進み、細胞治療・再生医療の研究開発を手掛ける企業は、必ずしも全ての事業インフラを自社で賄う必要がなく、外部から提供される事業インフラを活用することによって自らのパイプラインを商業化することが可能な環境が整ってきました。ただし、これらの事業インフラの多くはそれぞれの領域に特化した専門プレーヤーによって提供されており、さらに間断ない技術の進歩によって常に新しい事業インフラが登場する状況です。一方で、事業インフラを提供する事業会社においては、各社の重点領域への特化がトレンドになっております。従って、細胞治療・再生医療製品を患者さまに届けるために必要となる事業インフラの確保にあたっては、個々のシーズに最適なインフラ提供者を見極めることが重要となっております。換言すると、世界各国の細胞治療・再生医療研究開発企業に共通する課題は「どのようにしてこれらの外部事業インフラの中から最適なものを選定・調達して自社のパイプラインを商業化するか」であると言うことができます。
当社特有の事業環境を見ると、現在当社グループは失禁領域(尿失禁、便失禁)をターゲットとする3つの自家細胞治療パイプラインの開発・商業化に取り組んでおりますが、この失禁領域には多くの潜在患者さまの存在が想定され、かつアンメット・メディカル・ニーズが存在します。一方で、失禁領域には当社パイプラインと類似する承認済み競合品が現在見当たらない状況となっております。
なお、当社ではICEF15の対象市場規模(患者数)について以下のとおり考えております。
便失禁とは無意識または自分の意思に反して肛門から便が漏れる症状と定義され、日本国内には約500万人の便失禁に悩む患者さまが存在すると言われています(出所:一般社団法人日本大腸肛門病学会ウェブサイト)。
便失禁症状は切迫性便失禁と漏出性便失禁及び両者が併存する混合性便失禁に分類されます。このうち切迫性便失禁は、便意を感じるもののトイレに行くまでの短い時間を我慢できずに便が漏れてしまう状態を主な症状とし、外肛門括約筋の機能低下が原因となって生じやすいとされています。専門学会誌に発表された論文(味村俊樹ほか「本邦における便失禁診療の実態調査報告―診断と治療の現状―」日本大腸肛門病会誌 65:101-108,2012)によると、便失禁患者さまのうち半数強(約51%)が切迫性の症状を有しています。
当社は、日本における便失禁市場の実態を把握するために、当社の依頼により有償で実施された外部調査機関(株式会社マクロミル)によるインターネット調査を2022年9月に行いました。同アンケート結果に基づき、2ヶ月に1回以上(下着にシミ程度のみの場合を除く)便失禁がある方の人数をウェイトバック集計し、受診状況ごとに試算を行ないました。また、高頻度で便意を感じる方のうち、保存的治療の効果が不十分と回答した方の割合を受診状況ごとに算出し、それぞれの割合を乗じて合計することでICEF15の対象市場規模(患者数)を予測しました。
その結果、日本におけるICEF15の対象市場規模(患者数)を約12万人と推定しております。なお、同じ調査の結果に基づいて当社では年間新規発生率を人口の1.56%(新規発症患者数/対象市場規模(患者数)、2020年)と推定しており、アンメットメディカルニーズがある現状では新規発生者の多くが毎年市場に追加されており、市場規模は拡大基調にあるものと見ております。
欧州及び米国については、上述のようなインターネット調査を実施しておりませんが、日本との人口比(それぞれ約3.6倍(欧州連合(EU)、2025年)、約2.7倍(米国、2025年))を乗じて以下のとおり市場規模(対象患者)を推定しております。なお、欧州及び米国においても、アンメットメディカルニーズがある現状では新規発生者の多くが毎年市場に追加されており、市場規模は拡大基調にあるものと考えております。
●日本:約12万人
●欧州:約43万人
●米国:約32万人
(3)経営戦略等
当社は「細胞治療・再生医療グローバルアグリゲーションモデル」を基本的な事業モデルとして採用し、このモデルに基づいて個別のパイプラインの研究開発を推進し、さらにそれらパイプラインについて個々の開発に最適なモデルを選択してそれらの商業化を推進していく方針です。
現在当社グループが取り組む3つの自家細胞治療パイプラインにおいては、最優先課題として、まずは欧州及び日本で第Ⅲ相国際共同治験を実施しているICEF15の日欧薬事承認取得に注力いたします。また、世界最大の市場規模を有する米国においてもICEF15の第Ⅲ相国際共同治験の参加国として組み入れる準備を並行して進めており、ICEF15のグローバルな商業化による早期の事業収益獲得を目指します。
またICEF15に続くパイプラインの開発として、ICEF16の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験開始準備、既に後期第Ⅱ相臨床試験を実施したICES13の臨床開発推進に戦略的に取り組みます。ICEF15を上回る市場規模が期待される漏出性便失禁をターゲット疾患とするICEF16は、販売時に同じ便失禁の一種である切迫性便失禁をターゲット疾患とするICEF15とのクロスセリングが期待できるパイプラインです。腹圧性尿失禁をターゲットとするICES13は、ICEF15と同じ細胞ソース(自家骨格筋由来細胞)を用いて同じ種類の筋肉組織(骨格筋組織)に作用することを想定しており、開発が先行しているICEF15が先に薬事承認を取得した場合にはICES13の開発成功確率も高まると考えられます。
さらにこれらの活動と並行して、当社は研究開発パイプラインを拡充すべく新たなシーズ探索をグローバルレベルで継続しています。その第一弾として、2023年より開始された杉山庸一郎教授(現、佐賀大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座)との共同研究である「筋芽細胞移植による嚥下機能改善効果の検証についての基礎研究」があります。この共同研究はICEF15の適応拡大可能性を模索する活動の一環です。近年の人口高齢化に伴って、日本では加齢に伴う嚥下機能低下を有する高齢者が増加しており、高齢者が罹患する肺炎の約7割が誤嚥性肺炎であるとされています。またがんに対する化学療法や放射線療法の発達によってがん生存率が上昇傾向にある一方で、摂食嚥下障害を有するがんサバイバーの増加が予想されています。このような嚥下障害者の増加は、日本に限らず高齢化が進む世界各国の共通課題であると考えられます。
このような新しい研究開発パイプラインの拡充は「細胞治療・再生医療グローバルアグリゲーションモデル」における研究開発シーズの「仕入れ」にあたります。パイプラインの拡充については、将来期待収益の拡大、特定パイプラインへの依存の回避を通じたリスクヘッジ、細胞治療・再生医療製品に関する広範かつ深い知見・ノウハウの獲得など、多くの戦略的メリットが期待されます。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上述の経営戦略の推進にあたり、当社グループが優先的に対処すべき課題として以下のものが挙げられます。
① 日本におけるICEF15薬事承認取得及び承認取得後商業化体制の構築
日本におけるICEF15第Ⅲ相国際共同治験については、20~30例を目途とした患者さま組入れを現在進めているところであり、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページにおける主たる治験情報リスト(加工細胞等)に記載されております。
日本におけるICEF15の商業化については、事業価値最大化と実行難易度の両面から最適なモデルを検討しております。現在複数の医薬品関連企業と法的拘束力を有しない基本合意書を締結して具体的な販売・マーケティング提携交渉を進めており、また複数の製造受託企業と守秘義務契約を締結して製造委託へ向けた交渉を行っているところです。
また、当社は、2024年11月19日付けでアルフレッサ株式会社と業務提携基本契約を締結し、ICEF15の日本国内における独占的卸売販売権等を同社に対して付与いたしました。これにより、開発が最終段階に入っているICEF15の日本における販売に向けた流通体制の整備を着実に進める方針です。さらに、アルフレッサ株式会社とは、当該提携を通じて、日本国内におけるICEF15の商業化及びICEF15以外のパイプライン製品の製造・卸売販売等に関する協業に向けた検討を進めていく方針です。
② 欧州におけるICEF15薬事承認取得及び承認取得後商業化体制の構築
欧州においては、日本に先行して、2022年5月よりICEF15第Ⅲ相国際共同治験への患者組み入れを進めております。
また、欧州におけるICEF15の商業化準備も推進しており、欧米において医薬品・再生医療等製品の商業化サービスを包括的に提供している企業との間でタームシートを締結した上で、現在本契約締結へ向けた交渉を行なっているところです。
③ 米国におけるICEF15第Ⅲ相国際共同治験の開始
世界最大の国別市場である米国におけるICEF15第Ⅲ相国際共同治験の実施については、2025年7月から米国FDA(Food and Drug Administration、アメリカ食品医薬品局)とのType B Meeting(臨床試験開始前段階の協議)及びType C Meeting(製造に関する協議)を開始しました。また、並行して米国におけるICEF15の商業化準備も推進しており、上述の欧州における交渉先企業との間でタームシートを締結した上で、現在本契約締結へ向けた交渉を行なっているところです。
④ ICEF16・ICES13の臨床開発の推進
漏出性便失禁をターゲット疾患とするICEF16については、2026年における第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の開始へ向けた準備作業が推進中です。
腹圧性尿失禁をターゲットとするICES13は、これまでに後期第Ⅱ相臨床試験まで完了しています。今後ピボタル試験(主たる試験)の実施へ向けた準備を進める予定です。
⑤ 研究開発パイプラインポートフォリオの拡充
当社グループの主要メンバーが日米欧の細胞治療・再生医療関連パートナリングイベント・学術会議等に積極的に参加し、最新情報の収集とパイプライン拡充機会の探索に努めております。
その第一弾として、2023年より開始された杉山庸一郎教授(現、佐賀大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座)との共同研究である「筋芽細胞移植による嚥下機能改善効果の検証についての基礎研究」があります。さらに、現在複数の研究開発シーズに関する導入交渉を行なっております。
⑥ 資金調達及び自己資本の充実
上述のICEF15商業化準備、自家細胞治療パイプラインの開発推進・加速、及び更なる研究開発パイプラインの拡充などを行うために、当社グループは適切なタイミングで着実に資金調達を行なっていく必要があります。また、債務超過状態を避けるために、当社グループはこういった研究開発投資及び商業化準備投資に応じて適切なタイミングで着実に自己資本の充実を図っていく必要があります。
当社グループはシリーズD資金調達活動を完了して当面の所要資金を確保しましたが、引き続き必要資金の調達、資金調達手段の拡充、及び自己資本の充実を図っていく方針です。なお、上述のICEF15の事業提携交渉は、契約一時金やマイルストーン収入を通じた資金調達活動及び自己資本充実活動としての側面も有します。
⑦ 組織体制の強化、人材の獲得
当社は、作業のデジタル化や外部リソースの活用に積極的に取り組むことで小規模な組織体制による効率的運営を実現しておりますが、今後上述のような事業活動をおこなっていくためには組織体制の強化と適切な人材の獲得を行なっていく必要があります。当社では継続的に必要な人材の採用を行ない、小規模組織の長所を維持しつつ組織体制の拡充に努めております。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
現在当社グループが取り組んでいる研究開発パイプラインはいずれも商業化以前の段階にあり、最も開発ステージが進んでいるICEF15については現在日本と欧州で第Ⅲ相国際共同治験を行なっているところです。
この状況を踏まえて、当社は、財務指標ではなく、研究開発パイプラインの進捗状況(特にICEF15第Ⅲ相国際共同治験をはじめとする開発ステージの進捗状況)によって、経営目標の達成状況を把握することとしております。
研究開発パイプラインの進捗状況につきましては、「3 事業の内容 (4)事業の内容 ②現在の当社グループ研究開発パイプラインの全体像」をご参照ください。

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