訂正有価証券届出書(新規公開時)

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2026/06/29 15:30
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157項目

有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「自動運転の民主化」というビジョンのもと、自動運転に資するあらゆるテクノロジーを開放し、様々な組織、個人がその発展に貢献できる開放的なエコシステムを構築することを目的としております。この実現に向け、オープンソース型の自動運転ソフトウェアである「Autoware(オートウェア)」をベースとして開発した当社プロダクトを活用し、「Mobility Service(モビリティサービス)」、「Development Service(デベロップメントサービス)」、「Solution Service(ソリューションサービス)」の3つのサービスで事業展開をしております。
(2) 経営戦略
① 自動運転の社会実装の推進
先ず、当社グループの主な事業領域である国内のモビリティ産業の市場規模について説明をします。以下に主な車種ごとの国内の市場規模を図解します。例えば、バスの領域においては、国内の稼働台数は6.2万台と推定しております。バス以外にも特殊用途車両、タクシー、トラックといった市場も存在しますが、これらについてはより大きな買替需要を見込んでおります。これに加えて、当社では海外展開も見据えて事業を実施しております。
国内の車両タイプ別市場規模:

(注) 1.車両タイプ別市場規模(既存の車両台数)のうち、バス・特殊用途車両・トラックの日本での稼働台数についてはArthur D Little(2024年5月、当社からの委託調査)を、タクシーについては全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI Today in Japan 2025」(2024年3月)の数値を参照。
2.年間買替需要は既存の車両台数が変化しないという前提のもと、車両タイプ別に既存の車両台数を想定耐用年数で除して算出。(想定耐用年数は、バス6年、特殊用途車両10年、タクシー4年、トラック5年と仮定)
こうした市場の中で、当社グループではコアコンピタンスである、マイクロオートノミー・アーキテクチャの考え方で、共通の要素技術をもとに、複数の事業領域・車種において、自動運転レベル4対応の自動運転車両を開発し実装を行っています。具体的には、バス、トラック、特殊用途車両(大型・小型・デリバリーロボット)、タクシー等の自動運転車両を開発しております。
また、当社グループは、事業領域・車種ごとに異なる事業戦略を採用しております。バス/シャトルはあらかじめ決められたルートで定期運行され、特殊用途車両は閉鎖された環境下において稼働することから、レベル4対応の自動運転の導入に適しており、また、これらの車両については特に人手不足の影響を受けております。これらの領域においては、「先行逃げ切り」(First-Mover)のアプローチを志向し、他社に先行してマーケットシェアを獲得することで、市場成熟段階においてもドメインリーダーとしての地位を維持する方針です。一方、タクシー、トラックや乗用車等の領域においては、海外他社を中心に多額の研究開発費を投下し、市場開拓を行っている状況にあります。そうした中、当社グループでは「後方追い上げ」(Fast-Follower)のアプローチを採用し、過度な投資は行うことなく、技術のコモディティ化の進展を見極めつつ、バス/シャトルや特殊用途車両市場での市場拡大を通じて蓄積した経験とノウハウ、並びに自動車OEMやその販売チャネルとのネットワークも活用することで、オープンソースに技術が開放された後に迅速に市場シェアの獲得を図る方針です。
なお、これらのいずれの事業領域・車種においても、研究開発や実証実験用途の取組みに留まらず、「社会実装」の実現を進めていくことを、重視しております。
当社グループが手掛ける自動運転車両の種類

(注) ダンプトラック、レーシングカー、監視用カートは参考イメージ。その他画像は当社技術を搭載した実際の車両を示している。
主な取組みとして、バスと物流車両・特殊用途車両における取組みを下記に記載します。
1.自動運転バス
バス型車両においては、2026年3月時点で、全国39都道府県127箇所の自治体において実証実験を行った実績を有します。また、長野県塩尻市及び石川県小松市において自動運転レベル4の認可を取得しております。
また、2026年5月時点で全国6自治体において、レベル2もしくはレベル4での通年運行の実績を有しております。自動運転の社会実装において重要になるのが自動運転の車両確保です。当社グループでは、BYD社製の小型EVバスをベースとして、自動運転に対応するための改造を行い、自ら小型EV自動運転バスの製造販売を行っております。2026年3月時点において、全国の自治体やバス事業者を主な顧客として、26台の販売実績がございます。これらの収益は、「Mobility Service(モビリティサービス)」に区分されております。
また、中長期的な量産化を見据え、いすゞ自動車株式会社と同社大型EVバスERGA EV(エルガEV)の自動運転共同開発プロジェクトを推進し、神奈川県平塚市において開発成果を用いた実証実験を実施しております。加えて、トヨタ自動車とは、次世代モビリティ「e-Palette」の自動運転化にかかる開発を進めております。これらの収益は、「Development Service(デベロップメントサービス)」に区分されております。

(左)長野県塩尻市で走行する自動運転小型EVバス
(右)神奈川県平塚市で走行する自動運転大型EVバス
当社グループが実証実験・実装実績を有する地域(2026年3月時点)

2.自動運転物流車両・特殊用途車両
小型自動運転物流車両に関しては、当社の持分法適用関連会社である株式会社eve autonomyにおいて当社の自動運転システムを組み込んだ車両の製造及び販売が行われております。株式会社eve autonomyにおいては、ヤマハ発動機株式会社の車両に対する知見と自動運転システムに関する当社グループの知見の双方を組み合わせ、小型の工場内搬送車両を用いた無人搬送サービスを展開しており、当社は当該車両の稼働台数に応じたライセンス料を受領しております。2026年3月現在、93台の車両が国内各地の工場内にて無人運行で稼働しております。当収益は「Development Service(デベロップメントサービス)」に区分されております。
無人搬送サービス eve autoの車両

また、建設機械の自動運転車両に関しては、株式会社小松製作所(以下「コマツ」という。)及びコマツの子会社である株式会社EARTHBRAINと、自動運転技術の実用化に向けた協業を開始しています。土木・砕石現場向けにコマツのアーティキュレートダンプトラックとリジッドダンプトラックの自動運転化を進め、2027年度までに自動運転システムの実用化を目指しています。自動運転の対象とする機種はアーティキュレートダンプトラック「HM400」(最大積載量40トン)及びリジッドダンプトラック「HD785」(最大積載量93.9トン)から取り組みを開始し、その他の機種への展開を視野に入れ、技術開発を進めます。製鉄やプラントなどの様々な現場への導入に加え、海外現場への市場展開も見据えています。
自動運転試験中のアーティキュレートダンプトラック(HM400)の走行の様子

加えて、警備用無人車両(Unmanned Ground Vehicle:UGV)の開発も行っております。具体的には、防衛省が実施する「警備用無人車両システムの導入検証に係る業務委託」において、技術提供パートナーとして参画をしています。全国の陸上自衛隊の駐屯地・分屯地(約160カ所)における警備業務の高度化及び効率化を目的とした初期検証として、朝霞駐屯地において2台のUGVを用いた実証運用を実施しています。実運用環境下における検証を通じて、全国の陸上自衛隊の駐屯地・分屯地への展開を見据えた実用的な運用モデルの確立を目指しています。
警備用無人車両のイメージ画像(実際の車両画像ではありません)


② 着実な研究開発の推進
当社グループでは、研究開発や実証実験に留まることなく、自動運転技術を社会実装することを目標に事業を推進しております。自動運転レベル4の許認可取得実績を有するなど当社グループ製品は一定の技術水準を達成しておりますが、より社会実装を拡大するためには、適用可能な地域の拡大をはじめとした技術開発が必要になると考えております。当社グループではオープンソース型の自動運転プラットフォームである「Autoware(オートウェア)」を基盤にし、リファレンスデザインの考え方を採用して、効率的に研究開発を推進しております。また、我が国の政府より研究開発費に対する補助を受けながら研究開発を行っております。昨今の主な開発テーマとしては以下のようなものが挙げられます。
・既存のプロダクトにおける量産水準への品質向上
・ODD(Operational Design Domain)拡大のためのE2E(End to End)AI自動運転の推進
・自動運転向け半導体の研究開発
・大規模データ収集プラットフォームの構築
③ 中期的な売上拡大及び利益率の改善
当社グループはこれまで売上拡大を実現してまいりましたが、同時に研究開発活動を加速させることが企業価値の最大化に繋がると考え、研究開発投資も拡大させて参りました。今後に向けては、研究開発の成果がより事業に繋がり、研究開発投資の拡大を上回るペースで売上拡大を図ることにより、中長期的な売上及び利益率の改善を実現し、ひいては企業価値の最大化を企図します。
また、現在自動運転の市場は黎明期にあるため、当社では「Mobility Service(モビリティサービス)」の収益構成が大きく、また、「Development Service(デベロップメントサービス)」においては、共同開発に係るエンジニアリングサービスの収入や開発ライセンス料収入の構成が主たるものとなっております。今後市場拡大につれて、「Development Service(デベロップメントサービス)」における量産車販売に伴うリカーリング収入へと収益の主軸を移していくことにより、売上拡大及び利益率の改善を図ります。
④ 中長期的なロードマップ
国内事業基盤を盤石なものとしたうえで、培ったノウハウや実績を活かし、海外市場の展開を段階的に推進します。さらに、周辺領域への事業展開を図って、持続的に成長をしてまいります。
具体的には、先ず海外市場への開拓を段階的に進めてまいります。すでに、当社連結子会社であるTierIV North America Inc.を中心として、自動運転技術の世界の研究開発の中心である米国カーネギーメロン大学や独国ミュンヘン工科大学といった研究機関との共同研究を進行しており、また、Mobility Service(モビリティサービス)やSolution Service(ソリューションサービス)においては、豪州・英国をはじめ10カ国以上への展開実績があります。
さらには、技術を提供するテクノロジープロバイダーとしての立ち位置のみならず、ソリューションプロバイダーとして自動運転技術の周辺領域での事業機会も模索します。具体的には保険や金融機能といった法人ソリューションの事業、鉄道等幹線輸送の二次交通、宇宙における自動運転等を想定しております。また、自動運転ソフトウェアに限らず、半導体など周辺技術のオープン化も進め、さらなる事業機会の開拓にも取り組みます。
(3) 目標とする経営指標等
当社グループにおいては、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、事業規模の成長並びに適正な財務規律の中で研究開発投資を行うことが重要であると考えております。そのため、主な経営指標として、売上高、事業利益(売上高から売上原価並びに事業経費を差し引いたもの)に加え、経常利益を重視しております。また、KPIとして、実証実験・実装地域数、車両運用台数、開発プロジェクト顧客数を重視しております。
実証実験・実装地域数は、当社グループの自動運転車両が各地の公道での実証実験で使用されている、あるいは、公共交通路線に投入されている地域数の合計を表します(なお、双方に該当する場合でも1地域として計上)。当社グループの技術及びサービスが各地域において展開されている状況を示す指標であり、将来的な事業拡大及び収益機会の拡大に直結します。
車両運用台数は、当社の自動運転車両の実稼働台数のことです。当社グループの自動運転システムの普及規模を示す指標であります。運用実績の蓄積による技術高度化及びサービス品質の向上に加え、車両1台当たりの収益水準の動向を把握する上でも重要な指標であると認識しております。また、当指標はリカーリング売上とも連動することから、当社全体の収益性を把握する上でも重要な指標であります。
また、開発プロジェクト顧客数は、自動車OEMや特殊用途車両メーカーと進める共同開発・受託開発のプロジェクト数のことです。顧客ニーズに基づく研究開発及び実証実験案件の広がりを示すとともに、自動運転車両の量産化に向けた顧客基盤の拡大状況を把握するための指標であり、中長期的な事業成長の源泉を把握する上で重要です。以下に、「Mobility Service(モビリティサービス)」及び「Development Service(デベロップメントサービス)」における主要なプロジェクトの概要並びに、当社の想定する自動運転車両の実装台数のイメージを示します。

(注) 1.パイプラインの状況は2026年4月時点。デベロップメントサービスについては量産展開に向け、台数・時期・車種について協議中の主要OEMを掲載。
2.NRE(Non Recurring Engineering)とは、継続ではなく一度だけ行われる設計や試作、検証等の工程のこと。
3.車両運用台数は累計値
4.掲載しているデベロップメントサービスの顧客群は一例であり、網羅的な一覧ではありません。
5.2026年9月期以降のプロジェクトについては、2026年4月時点における契約済みプロジェクト及び想定されるプロジェクトスケジュールを示しており、実際のスケジュールは、顧客との協議により変更される可能性があります。
6.上記の図は参考イメージであり、当社が目標とする車両販売の展開規模を示します。

① 売上高の中長期的な成長
自動運転は成長が期待される技術であり、当社グループの目指す社会実装の進捗を示すため、売上高を重要な経営指標の一つとして認識しております。
(単位:百万円)
回次第9期第10期第11期
中間連結会計期間
決算年月2024年9月2025年9月2026年3月
売上
Mobility Service
(モビリティサービス)
1,8032,2671,428
Development Service
(デベロップメントサービス)
7441,3301,141
Solution Service
(ソリューションサービス)
1,3232,8121,799

② 経常利益の推移
技術開発においては、世界における競争環境を認識し研究開発目標を立てつつも、過度に投資をしないことが重要であると考えております。政府補助金による支援を踏まえながら、財務規律をもって研究開発投資を行う必要があると考えており、当社グループでは利益指標として経常利益を重視しております。
(単位:百万円)
回次第9期第10期第11期
中間連結会計期間
決算年月2024年9月2025年9月2026年3月
経常利益(損失)△4,834△5,504△2,385

③ 非財務KPIの推移
事業進捗、開発進捗を計るための指標として、以下の非財務KPIを定め、定期的にモニタリングしております。
回次第9期第10期第11期
中間連結会計期間
決算年月2024年9月2025年9月2026年3月
実証実験・実装地域数(地域)295040
車両運用台数(台)公道152526
閉鎖空間528993
開発プロジェクト顧客数(社)7913

(注)1.「実証実験・実装地域数」には、当社グループ車両を使用しての実証実験を実施、もしくは定常的に走行が行われている地域が含まれます。当該期間中の単年での数値であります。
2.「車両運用台数」には、以下の車両が含まれます。当該期間の期末時点での累計の台数であります。
・公道:当社グループが販売する小型EV自動運転バスの車両台数
・閉鎖空間:当社の持分法適用関連会社である、株式会社eve autonomyが顧客に導入したeve autoの車両台数
3.「開発プロジェクト顧客数」には、当社グループが受託済みの開発プロジェクトに係る当該期間中単年での顧客数が含まれます。
(4) 経営環境
① 社会環境
世界各国では、タクシー型車両のほか、港湾、鉱山や工場といった現場でも自動運転車の利用が進んでいます。
我が国においては、高齢化・過疎化が進行し、特に自家用車による移動に頼らざるを得ない地方部を中心に、高齢者等の移動弱者の生活機能(医療・買い物等)へのアクセスが深刻な社会課題となっております。例えば、株式会社帝国データバンクの2023年11月発表によると、全国のバス事業者の約8割が路線の削減を検討中であり、国土交通省「令和7年版 国土交通白書 概要」では、2030年には3.6万人(28%)のバスドライバーが不足するとの試算が発表されております。また同白書では、なにも対策を講じなかった場合、物流分野においても、2030年に34%の輸送力不足を見込んでおります。こうした社会課題を解決するための手段の一つとして、自動運転レベル4の自動運転に対する期待が高まっているものと考えております。

出所:(左図)帝国データバンク「全国「主要路線バス」運行状況調査(2023年)」(2023年11月発表)を基に当社作成、(右図)日本バス協会「国土幹線道路部会 ヒアリング資料」(2023年5月発表)を基に当社作成。
② 自動車業界の動向
自動車業界においてはデジタル技術の進展に伴い、自動車産業のバリューチェーンや産業構造に大きな変化がもたらされ、自動車を巡る競争は、グローバルなゲームチェンジが起こりつつあります。こうした中、自動車のDXは、電動化と並ぶ競争軸となり、今後もSDVの実装が進展していくものと認識しております。
③ 政府の動向
自動車業界の動向を背景に、日本政府は自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト「RoAD to the L4」を立ち上げ、自動運転レベル4に代表される、高度な自動運転を用いた移動・物流サービスの実現・普及に向けた活動に取り組んでいます。また、2022年2月に閣議決定されたデジタル田園都市国家構想総合戦略において、2027年度100か所以上においての自動運転移動サービスを実現することが定められています。
また、2024年には、経済産業省及び国土交通省により、2030~2035年に向けた我が国の勝ち筋として、「モビリティDX戦略」が策定され、官民連携による取組みを進めるべき3領域の一つとして、「モビリティサービス(自動運転等)領域」が特定されています。
加えて、2025年6月6日には、第7回経済財政諮問会議において、「経済財政運営と改革の基本方針 2025(原案)」が発表され、当社の事業領域である自動運転の領域では、地方交通の課題解消に向けた自動運転移動サービスの社会実装の加速、関係制度の整備及び実証実験・事業化の全国展開等が盛り込まれた内容となっており、また、2026年1月に閣議決定された「交通政策基本計画」では、2030年度までに自動運転サービス車両10,000台を導入する目標が発表されております。加えて、2026年4月公表の日本成長戦略会議分科会においては、2030年代に日本企業による自動運転車両の販売台数で世界シェア約25%を目指すことが発表されております。以上の動向を踏まえ、引き続き政府による支援は継続するものと見込んでおります。
上記の自動運転市場に対する政策を背景として、当社は複数の政府助成事業・委託事業への採択を受けております。各事業の詳細は、「5重要な契約等(1)政府助成事業、委託事業に関する契約」をご参照ください。
④ 自動運転市場におけるポジショニング
当社は国内の自動運転市場を開拓してきたリーディングプレイヤーであると認識しており、日本政府や自治体との関係性を強みとして、日本全国における多数の実績を有します。また、国内法規制に適合したレベル4自動運転の許認可取得実績も有しております。
他方で、自動運転市場をグローバルにみると、国内外に他プレイヤーが存在します。他社は特定領域に特化し、ソースコードはブラックボックスのままサービス化を進めているのに対し、当社は、オープンソースに基づく透明性の高さや、対応可能なハードウェアの幅を強みにして、自動車OEM等の法人を主な顧客として、多様なユースケースにおいて自動運転を実現できることが強みであります。
自動運転市場における当社のポジショニング図(1)

(注) 1.現時点で他の市場参加者と比較した際の自社の市場ポジションに関する当社の認識・考えに基づくものであり、図は各社の実際の状況を反映したものではありません。
2.ADAS(Advanced Driver Assistance Systems) : ドライバーが引き続き車両操作の責任を負う前提のもと、運転を支援する各種機能を提供するシステム。車両が自律的に運転を行う自動運転システムとは明確に区別されます。
3.ここでは、SoCへの対応を指します。 SoC (System on Chip) とは、自動運転やADASに必要なCPU、GPU、AIアクセラレータ、メモリ制御などの主要機能を1つの半導体チップに統合した車載向け集積回路をいいます。
以上のような社会的要請、業界構造の変化及び政策動向を背景に、自動運転分野においては、官民連携の枠組みのもとで市場形成が進展しているものと当社グループでは認識しております。こうした中、当社は政府主導のプロジェクトへの参画等を通じて、自動運転に関する制度整備やルールメイキングの議論にも関与し、市場形成の初期段階から関与しております。加えて、オープンソースのアプローチのユニークさを活用しながら、競合他社と差別化を図りつつ、地方自治体、交通事業者、自動車OEM等との広範なパートナーシップを構築し、全国各地における実証実験及び社会実装を推進しております。これらの取組みにより、我が国の自動運転分野において一定のプレゼンスを有しているものと認識しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 技術力の強化
当社グループは「自動運転の民主化」という経営方針のもと、国内外において自動運転レベル4の事業化に取り組んでおり、既に一部の車両・地域においては、商用運行を実施しています。また、テスト走行距離に関しては、創業から2026年3月時点までで約46.9万キロの走行実績を有しますが(当社システムによる記録に基づく自動運転システムによる累積走行距離)、さらなる事業拡大のためにはODDの拡大、安全性・信頼性の向上や、自動車OEMとの量産に向けた開発などの技術開発が求められます。これまでと同様に今後も技術開発を重要視して取り組む方針であります。
② 優秀な人材の確保
当社グループは研究開発を遂行するために、多様な開発領域において高度な専門性と能力を備えた人材を国内外から継続的に雇用しております。2026年4月現在、当社内には、307名のエンジニアが在籍し、また、「Autoware(オートウェア)」への社外貢献者(当社及びパートナー企業に属さないエンジニアを含むGitHubにおけるコード・コントリビューター数)を合計すると、716名のエンジニアが従事しています。当社グループが掲げる「自動運転の民主化」及び複数の事業領域・車種における社会実装を達成、推進するためには、引き続き、優秀な人材の確保は重要な課題であります。リファラル採用の推奨や採用エージェントの活用などに加えて、産学官連携を進め、業界における当社グループの認知向上に努めることで継続的に人材を確保する方針です。また、新卒採用を強化し社員の育成にも重点を置いていきます。また、2025年9月期には採用競争力を高めることに加え、優秀な人材の流出を防ぐことを目的とし、人事制度の刷新を実施しました。
③ 内部統制システムの構築及び運用
当社グループは成長段階にあり、コンプライアンスの徹底、業務の効率性及び適正の確保及びリスク管理の強化が重要な課題であると考えております。これまでも内部統制システムの体制整備を進めてまいりましたが、今後も事業規模の拡大に応じて人的拡充を行うと共に、内部監査及び監査役監査の結果に基づく改善の実施により、内部統制システムの充実を図っていく方針であります。
④ 規律ある先行投資の実行
自動運転業界では一般的に多額の研究開発投資が必要とされるところ、当社のプロダクトはオープンソース型の自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」を基盤としていることから、当社グループ独自で開発する項目は限定的であり、効率的な技術開発が実現できております。また、日本政府からの補助金による支援を受けながら研究開発を実施しております。当社グループが安定的な事業基盤を構築するためには、技術水準の向上が不可欠であり、規律をもって先行投資を実施していきます。
⑤ 財務基盤の強化
当社グループでは、経営戦略の達成のために肝要である技術水準の向上のため、収益化に先行し研究開発投資を行う必要があります。そのため、手許資金確保が重要であると認識しております。当社グループでは、金融機関3社との間で総額6,000百万円の当座貸越契約を締結しており、1,000百万円の長期借入を実行していることから、提出日現在において優先的に対処すべき財務上の課題はないと考えておりますが、今後の事業拡大に備えて、営業キャッシュ・フローの改善等により財務基盤の強化を図ってまいります。
また、政府による補助金や委託事業等の公的支援も適切に活用しながら、効率的かつ持続可能な事業運営を図っており、こうした取り組みを通じて、自社の財務基盤の一層の強化に努めております。
⑥ 先行投資負担を踏まえた収益性改善に向けた課題
当社グループは、研究開発投資及び事業基盤構築に係る先行費用が継続的に発生していることから、現時点において業績は赤字となっております。当社グループの目指す方向性を実現するためには、現時点において先行投資を行うことが最善であると判断をしております。また、足元で事業・開発は順調に進捗しておりますが、自動運転市場は黎明期にあり、技術開発及び社会実装に一定の期間を要する特性を有していることから、当社グループにおいても、黒字化に至るまでには一定の期間を要する可能性があると認識しております。規律ある研究開発投資を継続することと、売上を中心に事業規模を拡大することのバランスを取りながら事業運営を行うことで、経常損益の赤字幅の改善、黒字化に向けて取り組んで参ります。

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