有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
当社グループ(当社及び連結子会社)は、「産業の真価を、さらに拓く。」をパーパスに掲げ、商業用不動産業界の構造的課題をデータとテクノロジーの力で解決し、不動産事業者による意思決定の高度化と不動産取引の円滑化を通じた産業全体の発展を目指して事業に取り組んでおります。
(当社グループを巡る環境認識)
オフィス、物流施設、賃貸住宅等、利益の獲得を目的として保有・利用される商業用不動産は、企業活動と社会インフラを支える中核的資産です。一方で、不動産業界は、情報の非対称性、データの非構造化、業界横断的なデータ流通基盤の未整備といった構造的課題に直面していると当社グループは認識しております。Jones Lang LaSalle IP, Inc.公表の「不動産透明度インデックス2024」において、調査対象となった89の国・地域のうち、日本は「市場ファンダメンタルズ」が31位、「取引プロセス」が33位とされるなど、不動産情報の透明度は国際的に低い水準にあります。また、業界共通の「不動産ID」(※1)が十分に普及していないため、物件名や住所表記の揺れにより物件の名寄せ(※2)が困難となるほか、企業間の情報連携も人手を介したアナログな手法に依存しており、情報は分断され、業界横断的なデータ活用とデータに基づく円滑な不動産取引の実現が阻害されているものと認識しております。
(当社グループの取り組み)
こうした課題に対し、当社グループは、その解消にはデータとAIを活用したDX(※3)が不可欠であると判断し、不動産取引に関わる多様な情報を複数のデータソースから収集・統合し、様々な事業者が業界横断で活用できる共通の「土台」を整備することに一貫して取り組んでまいりました。当社グループが統合する情報には、一般に公開された情報のみならず、建物の稼働状況や賃料水準等、取引当事者間に偏在する情報が多く含まれます。これらは不動産取引に欠かせない情報でありながら、インターネット上や既存の情報提供サービスからは網羅的に入手することが困難なものです。当社グループは、分断されていた情報を統合し、データとして活用可能な状態に整備したうえで顧客に提供することで、不動産の売買・賃貸に関する様々なユースケースにおいて顧客の業務や意思決定を支援しております。
当社グループは、サービスの提供にあたり、建物の空室状況や募集賃料などの不動産情報を、不動産業界に関わる事業者等から仕入れるとともに、公開情報の収集及び当社グループによる現況確認等を通じて、独自に情報を収集しております。当社グループは、2020年のオフィスビルに関するデータベースの提供開始以降、物流施設や賃貸住宅等へと対象とするアセットを順次拡大し、アセット横断のデータベースを構築してまいりました。また、2020年から継続的に蓄積してきた空室状況、募集賃料等の時系列データは、過去に遡って取得することが困難な情報であることから、他社が短期間で再現することは困難であると考えております。
当社グループの各サービスは、データの収集・整備、分析、業務支援、取引支援といった機能の違いはあるものの、業界横断で蓄積・整備した独自のデータベースにおいて更新され続ける情報を提供価値の源泉とする点、および商業用不動産に関わる事業者を共通の顧客とする点において共通しております。当社グループは、不動産業界に従事するプロフェッショナルの業務高度化および業界全体の情報流通の促進という共通の目的のもと、これらのサービスを相互に連携・補完させながら一体的に開発・運営していることから、「不動産プラットフォーム事業」の単一セグメントとして運営しております。
(事業の内容)
当社グループは、上記の統合・整備したデータを、対象とする顧客や提供の形態に応じて、主に以下の方法で提供しております。
[事業系統図]

<用語説明>※1 不動産ID
国土交通省が推進する、不動産(土地・建物)に一意の識別番号を付与する仕組みをいう。不動産IDの普及により、物件情報の名寄せや複数データソース間での同一物件の紐付けが容易になることが期待されている。
※2 名寄せ
複数のデータソースに分散して存在する同一物件に関する情報を、統一的な識別子により同一物件として紐付け・統合する処理をいう。物件名・住所表記の揺れにより、同一物件が異なるデータとして扱われ、分析精度の低下が生じるケースがある。
※3 DX(Digital Transformation)
デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立することをいう。
※4 Vertical Data
特定業界に特化して収集・構造化されたデータ群。本書では主に当社グループが保有する商業用不動産市場に関するデータを指す。
※5 総合デベロッパーTop10社
総合デベロッパーTop10社は東京証券取引所上場・非上場の総合デベロッパーのうち、オフィス(一部オフィス+他アセットも含む)の賃貸有効面積を公表している企業トップ10(各社の公表資料を基にした当社調べ)をいう。
※6 信託業務を営む大手銀行5行
信託業務を営む大手銀行5行とは、一般社団法人信託協会の加盟社員である三井住友信託銀行株式会社(三井住友トラストグループ株式会社)、三菱UFJ信託銀行株式会社、みずほ信託銀行株式会社、株式会社りそな銀行の4行に加えて、メガバンクグループである株式会社SMBC信託銀行を加えた5行を指す。
※7 2026年8月時点の数値
※8 AI-Ready
企業内に散在する非構造化データ等を、AI(人工知能)による検索、分析及び推論に利用可能な形式に整理・構造化した状態をいう。
(当社グループを巡る環境認識)
オフィス、物流施設、賃貸住宅等、利益の獲得を目的として保有・利用される商業用不動産は、企業活動と社会インフラを支える中核的資産です。一方で、不動産業界は、情報の非対称性、データの非構造化、業界横断的なデータ流通基盤の未整備といった構造的課題に直面していると当社グループは認識しております。Jones Lang LaSalle IP, Inc.公表の「不動産透明度インデックス2024」において、調査対象となった89の国・地域のうち、日本は「市場ファンダメンタルズ」が31位、「取引プロセス」が33位とされるなど、不動産情報の透明度は国際的に低い水準にあります。また、業界共通の「不動産ID」(※1)が十分に普及していないため、物件名や住所表記の揺れにより物件の名寄せ(※2)が困難となるほか、企業間の情報連携も人手を介したアナログな手法に依存しており、情報は分断され、業界横断的なデータ活用とデータに基づく円滑な不動産取引の実現が阻害されているものと認識しております。
(当社グループの取り組み)
こうした課題に対し、当社グループは、その解消にはデータとAIを活用したDX(※3)が不可欠であると判断し、不動産取引に関わる多様な情報を複数のデータソースから収集・統合し、様々な事業者が業界横断で活用できる共通の「土台」を整備することに一貫して取り組んでまいりました。当社グループが統合する情報には、一般に公開された情報のみならず、建物の稼働状況や賃料水準等、取引当事者間に偏在する情報が多く含まれます。これらは不動産取引に欠かせない情報でありながら、インターネット上や既存の情報提供サービスからは網羅的に入手することが困難なものです。当社グループは、分断されていた情報を統合し、データとして活用可能な状態に整備したうえで顧客に提供することで、不動産の売買・賃貸に関する様々なユースケースにおいて顧客の業務や意思決定を支援しております。
当社グループは、サービスの提供にあたり、建物の空室状況や募集賃料などの不動産情報を、不動産業界に関わる事業者等から仕入れるとともに、公開情報の収集及び当社グループによる現況確認等を通じて、独自に情報を収集しております。当社グループは、2020年のオフィスビルに関するデータベースの提供開始以降、物流施設や賃貸住宅等へと対象とするアセットを順次拡大し、アセット横断のデータベースを構築してまいりました。また、2020年から継続的に蓄積してきた空室状況、募集賃料等の時系列データは、過去に遡って取得することが困難な情報であることから、他社が短期間で再現することは困難であると考えております。
当社グループの各サービスは、データの収集・整備、分析、業務支援、取引支援といった機能の違いはあるものの、業界横断で蓄積・整備した独自のデータベースにおいて更新され続ける情報を提供価値の源泉とする点、および商業用不動産に関わる事業者を共通の顧客とする点において共通しております。当社グループは、不動産業界に従事するプロフェッショナルの業務高度化および業界全体の情報流通の促進という共通の目的のもと、これらのサービスを相互に連携・補完させながら一体的に開発・運営していることから、「不動産プラットフォーム事業」の単一セグメントとして運営しております。
(事業の内容)
当社グループは、上記の統合・整備したデータを、対象とする顧客や提供の形態に応じて、主に以下の方法で提供しております。
| ①Vertical Data ソリューション | 不動産事業者及び金融機関等に対し、当社グループが整備したVertical Data(※4)及びその活用を支援するアプリケーション群を提供しております。現在では、総合デベロッパーTop10社の9割以上(※5)、J-REIT全58銘柄の5割以上、信託業務を営む大手銀行5行(※6)にて導入されております。(※7) 顧客企業は、これらの利活用を通じて、自社が取引を検討している不動産の売買や賃貸について、従来の勘や経験に頼った方法ではなく、データに基づいて、最適な価格・タイミング・物件選定に関する意思決定を行うことが可能になります。これにより、顧客企業の取引機会の拡大、価格の最適化による利潤の最大化、市場分析に要する時間の効率化に資するものと考えております。 顧客企業のニーズへの対応例としては、①総合デベロッパー及び資産運用会社における物件取得の検討に際し、類似物件の募集賃料・空室の推移及び取引事例と比較することによる取得価格の妥当性の検証、②不動産管理会社及び物件所有者における保有物件のリーシングに際し、周辺の空室状況、募集賃料水準及び入居テナントの業種構成の分析に基づく募集条件の設定、③不動産仲介会社における物件概要書等の資料のAIによる読み取り及び案件情報の一元管理、並びに所有者情報に基づく売買案件の創出、④金融機関における融資審査及び担保評価に際しての市場データの参照、等があります。 主なサービスは、以下のとおりです。 ・estie オフィスリサーチ:オフィス市場に関するデータ分析基盤 ・estie レジリサーチ:賃貸住宅市場に関するデータ分析基盤 ・estie 物流リサーチ:物流施設に関するデータ分析基盤 ・estie 所有者リサーチ:不動産所有者情報等に関するデータ分析基盤 ・estie J-REIT:J-REIT物件情報等に関するデータ分析基盤 ・estie 案件管理:不動産売買取引における案件管理を支援する業務高度化基盤 |
| ②エンタープライズ実装 | 主に大規模な不動産事業者及び金融機関等を対象に、顧客企業が保有するデータとVertical Dataを統合したデータ基盤及びアプリケーションを個社別に開発・実装するシステム開発サービスであります。具体的には、顧客企業内に蓄積された過去の不動産取引や商談状況等の情報を一元化し、AIによる検索、分析及び推論に利用可能な形式に構造化した(AI-Ready(※8)な)データ基盤を構築したうえで、これに当社グループの独自データを統合し、顧客の業務に最適化されたAI・ソフトウェアを実装しております。当該開発・実装にあたっては、顧客現場に深く入り込み、業務理解、データ整備からAI・アプリケーションの実装までを一貫して推進するエンジニア(Forward Deployed Engineer)を派遣し、顧客個別のニーズに応じた実装支援を行っております。これにより、Vertical Dataソリューションのみでは実現できない、顧客固有の情報とワークフローを踏まえた業務の高度化を支援しております。 |
| ③専門情報サービス | 不動産業界に関する制度・法令の改正、市況及び企業動向等に関するニュース及び解説記事を、専門紙(紙媒体)、ポータルサイト及びWeb媒体等を通じて、不動産業界に関わる幅広い個人・企業や全国の不動産業界団体等に対して提供するとともに、宅地建物取引業法に基づく登録講習等の教育サービスを提供しております。 これらの提供サービスは、いずれも当社グループが統合・整備したデータと、長年にわたり築いてきた業界内の情報流通基盤を土台とし、不動産業界に従事するプロフェッショナルの業務高度化および不動産業界全体の情報流通の促進という共通の目的の実現に資するものであります。 |
[事業系統図]

<用語説明>※1 不動産ID
国土交通省が推進する、不動産(土地・建物)に一意の識別番号を付与する仕組みをいう。不動産IDの普及により、物件情報の名寄せや複数データソース間での同一物件の紐付けが容易になることが期待されている。
※2 名寄せ
複数のデータソースに分散して存在する同一物件に関する情報を、統一的な識別子により同一物件として紐付け・統合する処理をいう。物件名・住所表記の揺れにより、同一物件が異なるデータとして扱われ、分析精度の低下が生じるケースがある。
※3 DX(Digital Transformation)
デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立することをいう。
※4 Vertical Data
特定業界に特化して収集・構造化されたデータ群。本書では主に当社グループが保有する商業用不動産市場に関するデータを指す。
※5 総合デベロッパーTop10社
総合デベロッパーTop10社は東京証券取引所上場・非上場の総合デベロッパーのうち、オフィス(一部オフィス+他アセットも含む)の賃貸有効面積を公表している企業トップ10(各社の公表資料を基にした当社調べ)をいう。
※6 信託業務を営む大手銀行5行
信託業務を営む大手銀行5行とは、一般社団法人信託協会の加盟社員である三井住友信託銀行株式会社(三井住友トラストグループ株式会社)、三菱UFJ信託銀行株式会社、みずほ信託銀行株式会社、株式会社りそな銀行の4行に加えて、メガバンクグループである株式会社SMBC信託銀行を加えた5行を指す。
※7 2026年8月時点の数値
※8 AI-Ready
企業内に散在する非構造化データ等を、AI(人工知能)による検索、分析及び推論に利用可能な形式に整理・構造化した状態をいう。