有価証券報告書(内国投資証券)-第26期(平成26年10月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/24 13:16
【資料】
PDFをみる
【項目】
48項目
(2)【投資法人の目的及び基本的性格】
a. 投資法人の目的及び基本的性格
本投資法人は、投信法、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)並びにその他の関係法令に基づき、資産を主として投信法第2条第1項に定める特定資産(以下「特定資産」といいます。)に対する投資として運用することを目的として設立された法人であり、資産運用における基本方針を規約において以下の(ⅰ)ないし(ⅳ)のとおり定め(規約第26条第1号)、これを旨とした資産運用を行うことを目的としています。
(ⅰ)本投資法人は、特定資産のうち不動産等及び不動産等を主たる投資対象とする資産対応証券等を投資対象とします(後記「2 投資方針/(2)投資対象/a. 規約に定める投資対象とする資産の種類」をご覧ください。)。
(ⅱ)投資対象とする不動産等の主な用途はオフィスとしますが、商業施設、ホテル、住宅等への分散投資も行います。また、投資対象とする不動産等の主な所在は東京都心部としますが、都心周辺部、及び地方都市等への分散投資も行います。
(ⅲ)前記等で定める投資対象について、安定したインカムゲインの確保と運用資産の着実な成長を目指し、中長期的な資産の安定運用を行うことを基本とします。
(ⅳ)本投資法人は、投資信託及び投資法人に関する法律施行規則(平成12年総理府令第129号。その後の改正を含みます。以下「投信法施行規則」といいます。)第105条第1号ヘに定める不動産等資産を主たる投資対象とします。
また、本投資法人は投信法上の資産運用会社である森トラスト・アセットマネジメント株式会社(以下「資産運用会社」といいます。)との間で資産運用業務委託契約(以下「資産運用業務委託契約」といいます。)を締結しています。
資産運用会社は、資産運用業務委託契約並びに投信法及び金融商品取引法に基づき本投資法人の委託を受けて行う資産運用業務を遂行するためのガイドラインとしての「森トラスト総合リート投資法人資産運用規程」(以下「資産運用規程」といいます。)を社内規程として制定して、本投資法人の投資不動産の投資方針及び財務方針を定めています(資産運用規程において規定される本投資法人の投資不動産の投資方針及び財務方針については、後記「2 投資方針/(1)投資方針/b. 投資不動産の投資及び運用方針」をご覧ください。)。
本投資法人は規約に基づいた運用を行うことを基本的性格としながらも、資産運用規程に基づく資産運用会社の投資判断により、本投資法人を取り巻く環境や経済情勢等に応じた機動的な資産運用を実施します。本投資法人の資産運用の特色(後記「b. 本投資法人の投資及び運用の特色」をご覧ください。)は、資産運用会社の当該投資判断を反映したものです。
なお、資産運用規程について、資産運用会社は国内の経済動向や不動産市場動向等の調査・分析等を踏まえ、適宜見直しを行い、規約及び資産運用業務委託契約の規定に反しない限度において、その変更を行うことがあります(後記「(4)投資法人の機構/c. 投資運用の意思決定機構/(ⅱ)」をご覧ください。)。
(注)投資法人に関する法的枠組みの大要は以下のとおりです。
投資法人は、投信法第66条第3項に定める一定の金融商品取引業者等である設立企画人により設立されます。投資法人を設立するには、設立企画人が規約を作成しなければなりません。規約とは、株式会社における定款に相当するものであり、投資法人の商号、投資法人が発行することができる投資口の総口数、設立に際して出資される金銭の額、資産運用の対象及び方針、金銭の分配の方針等を規定する投資法人の根本規則です。投資法人は、かかる規約に沿って運営されます。なお、規約は、投資法人の成立後には、投資主総会の特別決議により変更することができます。
投資法人は、投資口を発行し、投資家より出資を受けます。投資口を有する者を投資主といい、投資主は、投資主総会を通じて、投資法人の意思決定に参画できるほか、投資法人に対して一定の権利を行使することができますが、かかる権利は株式会社における株主の権利と必ずしも同一ではありません。投資主の権利については、後記「第二部 投資法人の詳細情報/第3 管理及び運営/3 投資主・投資法人債権者の権利」をご覧ください。
株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(平成16年法律第88号)の施行日である平成21年1月5日をもって、本投資法人の投資口(以下「本投資口」といいます。)は、社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号。その後の改正を含みます。以下「社債株式等振替法」といいます。)第226条第1項に定める振替投資口(以下「本振替投資口」といいます。)となっています。本振替投資口の処分権等については、後記「第二部 投資法人の詳細情報/第3 管理及び運営/3 投資主・投資法人債権者の権利」をご覧ください。
投資法人の業務の執行は、執行役員により行われます。執行役員は、投資法人を代表します。また、執行役員の職務の執行を監督する機関として、監督役員が存在します。執行役員と監督役員は、役員会を構成し、かかる役員会は、執行役員の一定の重要な職務の執行に対する承認、計算書類等(金銭の分配に係る計算書を含みます。)の承認等、投資法人の業務の執行にかかる重要な意思決定を行います。さらに、投資法人には、会計監査を行う者として、会計監査人が存在します。以上の執行役員、監督役員及び会計監査人はいずれも投資主総会の決議によって選任されます(但し、設立の際には設立時募集投資口の引受けの申込みをしようとする者に対する通知において通知された者が選任されたものとみなされます。)。投資主総会、執行役員、監督役員、役員会及び会計監査人については、後記「(4)投資法人の機構/a. 投資法人の機構」をご覧ください。
投資法人は、規約に定める額を限度として、借入れを行うことができるほか、投資主の請求により投資口の払戻しをしない旨を規約に定めた投資法人の場合には、規約に定める額を限度として、投資法人債を発行することもできます。
投資法人は、投資口及び投資法人債の発行による手取金並びに借入金を、規約に定める資産運用の対象及び方針に従い、運用します。なお、投資法人がこのような資産の運用を行うためには、内閣総理大臣の登録を受ける必要があります(以下、この登録を受けた投資法人を「登録投資法人」といいます。)。本投資法人の資産運用の対象及び方針については、後記「2 投資方針/(1)投資方針及び(2)投資対象」をご覧ください。
投資法人は、投資主に対して、規約で定めた金銭の分配の方針に従って、金銭の分配を行います。本投資法人の投資主に対する分配方針については、後記「2 投資方針/(3)分配方針」をご覧ください。
登録投資法人は、金融商品取引業者として内閣総理大臣の登録を受けた資産運用会社にその資産の運用にかかる業務を委託しなければなりません。また、登録投資法人は、信託銀行等の一定の資格を有する資産保管会社にその資産の保管にかかる業務を委託しなければなりません。さらに、投資法人は、一般事務受託者に投資口及び投資法人債を引き受ける者の募集に関する事務及び投資主名簿及び投資法人債原簿の作成及び備置きその他の投資主名簿及び投資法人債原簿に関する事務その他の業務にかかる事務を委託しなければなりません。本投資法人の資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者については、後記「(3)投資法人の仕組み」及び「第二部 投資法人の詳細情報/第4 関係法人の状況」をご覧ください。
b. 本投資法人の投資及び運用の特色
本投資法人の規約及び資産運用会社の社内規程である資産運用規程に基づき、資産運用会社の投資判断により行われる本投資法人の投資及び運用の特色は、概ね以下のとおりです。
(ⅰ)本投資法人は、投資不動産の属性を地域(立地)の観点から商業・産業・人口の集積地である「東京都心部」を中心に、資産総額の60~80%を目途に投資を行います。一方で、ポートフォリオのキャッシュ・フローの変動リスクを軽減させるため、首都圏及びその他主要都市へ資産総額の20~40%を目途に投資を行い、地域分散します。
また、投資不動産の属性を用途の観点から、「オフィスビル」を中核的な投資対象とし、資産総額の70~90%を目途に投資を行います。なお、可能な限り「東京都心部」の利便性が良く市場競争力の高い大型ビルへ投資します。一方で、ポートフォリオの用途集中リスクを軽減させるため、「商業施設」その他に対し、資産総額の10~30%を目途に投資を行い、用途分散します(本項の記載内容についての詳細は、後記「2 投資方針/(1)投資方針/b. 投資不動産の投資及び運用方針/(ⅰ)ポートフォリオのアロケーション方針」をご覧ください。)。
(ⅱ)本投資法人は、投資不動産の取得にあたり、的確な投資判断を行うため、不動産鑑定評価書及び各種デューデリジェンスレポート等を精査し、経済的調査・物理的調査・法律的調査の各調査項目について十分検討します。また、投資不動産の建物規模・築年数・耐震性能及び環境等の基本的な項目に関し基準を設け、当該基準と同等以上もしくは当該基準に準じるスペックを有する大型の投資不動産を取得するよう努めます。
特に、投資不動産の前所有者が投資不動産を本投資法人に売却後、引き続き賃借人(あるいは転借人)として賃借(あるいは転借)する所謂セール・アンド・リースバックを希望する場合、本投資法人は積極的に検討します。前記の検討においては、前所有者の信用度・財務健全性・テナントリーシング能力等、本投資法人のリーシング方針を考慮するものとします(本項の記載内容についての詳細は、後記「2 投資方針/(1)投資方針/b. 投資不動産の投資及び運用方針/(ⅱ)投資不動産の取得方針」をご覧ください。)。
(ⅲ)本投資法人は、投資不動産から中長期にわたり安定的な収益を確保するために、中長期の賃貸借契約を賃借人と締結することを基本とします。また、可能な限り借地借家法(平成3年法律第90号。その後の改正を含みます。)第38条に定める定期建物賃貸借契約(以下「定期建物賃貸借契約」といいます。)、その他賃料の固定化または契約期間の長期化に配慮した賃貸借契約を締結するよう努めるものとします。
さらに、投資不動産の賃貸にかかる契約形態については、投資不動産を直接テナントに賃貸する形態のほか、本投資法人とテナントとの間に賃借人(マスターレッシー)を介在させ、投資不動産を賃貸する契約形態(マスターリース契約)がありますが、マスターリース契約については、投資不動産の規模、用途、テナント構成等を考慮のうえ、賃料収入の安定性または運営管理の効率性等といった経済効果が直接テナントと賃貸借契約を締結する場合と同等もしくはそれ以上に得られると認められる場合には、積極的に検討するものとします。なお、マスターリース契約において、利害関係人等が有するテナントリーシング能力・プロパティマネジメント能力を活用することが、投資不動産の運用上最良であると判断される場合、マスターレッシーに利害関係人等を選択することがあります。なお、利害関係人等とのマスターリース契約におけるマスターリース方針は、「東京都心部」の「オフィスビル」・「商業施設」を対象とし、当該契約が定期建物賃貸借契約(契約期間3~5年程度)にプロパティマネジメントを含む契約形態を基本とします(本項の記載内容についての詳細は、後記「2 投資方針/(1)投資方針/b. 投資不動産の投資及び運用方針/(ⅲ)投資不動産のリーシング方針」をご覧ください。)。
(ⅳ)本投資法人は、投資不動産にかかるプロパティマネジメント業務(以下「PM業務」といいます。)については、プロパティマネジメント方針に基づき、資産価値の維持向上、収益の最大化を実現し、その内部成長を図るよう努めるものとします。
投資不動産のPM業務は、プロパティマネジメント会社(以下「PM会社」といいます。)が各投資不動産について、施設運営管理、賃貸営業管理及び工事・営繕管理を統括することを基本とします。本投資法人がPM業務を委託する場合、PM会社の選定を各投資不動産の特性に応じて個別に検討し、PM会社審査項目に定める審査内容に基づき総合的に判断し選定します。
また、本投資法人の保有する投資不動産においては、マスターリース契約に基づきマスターレッシーがPM業務を行う場合、あるいは、セール・アンド・リースバック等により、前所有者が引き続き賃借(あるいは転借)し、自己の費用負担でPM業務を行うことを希望して実施する場合があります。これらの場合においては、前記同様に、PM会社審査項目に定める審査内容を考慮し、かつ外部の第三者へPM業務を委託することと同等以上の経済的効果が得られると総合的に判断した場合にこれを行わせるものとします(本項の記載内容についての詳細は、後記「2 投資方針/(1)投資方針/b. 投資不動産の投資及び運用方針/(ⅳ)投資不動産のプロパティマネジメント方針」をご覧ください。)。
(v)借入れその他の資金調達に際しては、本投資法人の資産総額のうち、借入金額及び投資法人債発行残高が占める割合は、最大50%を目安とします。なお、資金調達先の決定に際しては、金融環境変化による影響を抑えつつ、低廉な資金調達コストを実現するよう、固定金利の割合、期間、担保設定の有無等の諸条件を、複数の適格機関投資家と交渉のうえ、比較し決定します。また、余資の運用は、安全性、換金性等を考慮し、金利環境及び資金繰りを十分に鑑みたうえで慎重に行います(本項の記載内容についての詳細は、後記「2 投資方針/(1)投資方針/b. 投資不動産の投資及び運用方針/(ⅸ)財務方針」をご覧ください。)。