有価証券報告書-第111期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
(1)当社グループのリスクマネジメント
①リスクマネジメントの考え方
当社は、『リスクマネジメント規程』において、企業の存続に影響を与えると考えられる事象発生の不確実性を「リスク」、企業が経営を行っていく上で事業に関連する内外の様々なリスクを適切に管理する活動を「リスクマネジメント」と定義しており、適切な「リスクマネジメント」の実行が経営の重要課題であると認識しています。
②リスクマネジメントの基本方針
当社グループでは、事業活動の妨げとなるリスクの未然防止に努め、緊急時には人命尊重を第一に損失の発生を最小限に抑え、被災者支援など社会への配慮を行うとともに経営資源の保全と事業の継続に最善を尽くすことで、企業価値を維持・向上していくことをリスクマネジメントの基本方針として「リスクマネジメント規程」において定めています。
③リスクマネジメント体制
当社は、リスクマネジメントの実効性を高めるため、全社的リスクマネジメントシステムの構築とその維持・向上を任務とする、社長直轄の組織であるリスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会は全執行役員によって構成され、社長が委員長を務め、リスクマネジメント担当執行役員は、取締役会へ定期的に活動報告をしています。
また、当社のグループ経営において極めて重要度が高く優先的に対応すべきと判断したリスクを「重要リスク」として定義し、全社横断的なリスク対応計画の管理責任を負う「重要リスク管理組織」をそれぞれ設置しています。この重要リスク管理組織が各リスク対応の中心となって、グループ全体のリスクを適宜、的確に捉える体制を敷き、重要リスク対応を全社グループ視点で一元管理して経営戦略に落とし込み、将来の成長の機会とリスクの的確なマネジメントに取り組んでいます。
■リスクマネジメント推進体制図

④リスクマネジメントプロセス
当社グループでは、新しいリスクマネジメント体制において、中長期的な経営戦略を見据えた重要リスクを特定するため、外部環境の変化を踏まえたマテリアリティをリスクマネジメントの起点とし、年間のPDCAサイクルでリスクマネジメント活動を推進しています。重要リスクの見直しはマテリアリティを見直すタイミングで、定期的に実施しています。ただし大きな環境変化があった場合は、年度の進捗確認・評価で議論します。

⑤重要リスクの特定プロセス
当社グループは、中長期的に企業価値を維持・向上していくためには、政治・経済・社会・テクノロジーなどの外部環境の変化がもたらすリスクと機会に戦略的に対応することが重要と考えています。当社グループでは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記述のとおり、昨今の外部環境の変化を捉えたマテリアリティの見直しを行い、その過程でマテリアリティに関連するリスクを抽出・分析し、リスク属性で整理した結果、17のリスク項目を特定しました。それらを後述する基準で評価して中長期的な重要課題・事業戦略に重大な影響を及ぼすと認識するリスク項目を11の重要リスクとして特定しています。
■重要リスクの特定プロセス

また、プラスとマイナスの影響を持ち併せたリスクを「経営戦略リスク」(中長期的/攻め=機会に転化)、マイナスの影響を主とするリスクを「経営基盤リスク」(短期的/守り:抑制と最小限化)と分類して、それぞれ評価指標を整理しています。

⑥ リスク評価基準
リスク評価にあたっては、経営戦略リスクと経営基盤リスクの各リスク特性を考慮し、異なる評価軸でのリスクマトリックスとしています。特に経営戦略リスクは、今すぐに顕在化しないものの、中長期的な戦略上で対策開始の必要性が高いリスクを重要リスクとして特定するため、一般的な「発生可能性」でなく「緊急度」の評価軸としています。
■リスクマトリックス (※■のリスクを重要リスクとして特定)

⑦ リスクマネジメントの高度化に向けて
今後はリスクマネジメントの高度化に向けて、従来の経験や知見に基づいた定性的なリスク評価に加え、影響度を数値化して定量的に把握することで、リスクの客観的な可視化を図るため、現在、シナリオ分析を通じた定量的影響の評価に取り組んでいます。具体的には、気候・自然関連リスク、大規模災害リスク、情報セキュリティリスク、地政学リスク等について、顕在化した場合の財務的影響の算定・分析を進めています。
この結果を基に、優先順位に応じた具体的な低減策や初動対応計画の策定及びリソースの再配分を行っていくことで、不確実性に対する経営のレジリエンス強化と企業価値の向上に努めていきます。
(2)重要リスク
当社グループの戦略・事業その他を遂行する上での重要リスクについて、投資家の判断に重大な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。
以下に記載したリスクは、当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。なお、本文中における将来に関する事項は別段の記載がない限り当年度末において当社が判断した内容に基づきます。
■ニッスイグループ 重要リスク

≪経営戦略リスク≫
(戦略1)人的資本への対応に関するリスク
[概要]
当社グループの経営計画達成のために、事業創出・企画運営の能力のある経営を担う人財、海外国内を問わず活躍できるグローバル人財やプロフェッショナル人財、各生産拠点で成果を上げる人財の確保と育成が必要ですが、日本国内の少子高齢化と人口減少が進むにつれ、国内での優秀な人財確保が難しくなりつつあります。また、多様な人財が働けるダイバーシティ対応に後れをとると、必要な人財確保が困難になると想定されます。
本リスクへの対応体制として、当社グループでは、経営戦略と連動した人財戦略・人財育成を実行しており、人財育成・労働力確保については人財確保部会、ミッションへの共感とブランディングに関してはブランディング部会がそれぞれ中心となり、マテリアリティ・リスク対応活動を推進する体制を整備しています。
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[関連するマテリアリティ]
・人財育成と多様な人財の活躍
・労働力確保と生産性の向上
・ミッションへの共感とブランディング
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[主な機会]
・人財の確保・育成による事業拡大、生産性向上への貢献
・現場労働力の確保による生産性向上
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[主なリスクと影響]
・多様な人財が活躍する環境構築の遅れによって事業に必要な人財※の不足が顕在化し、生産性の停滞、事業拡大の停滞などの影響が想定されます。
・生産年齢人口減少への対応不足によって現場労働力の不足が発生し、生産性停滞、事業拡大の停滞などの影響が想定されます。
・社内外ブランディングの構築失敗によって従業員エンゲージメントの低下やレピュテーションの低下が顕在化し、人財確保の難化などの影響が想定されます。
※経営人財、グローバル人財、DX人財のほか、サステナビリティ人財、R&D人財など
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[主な対応策]
当社グループは、ミッションの実現及び中期経営計画の達成に向け、人的資本を最も重要な経営資源と位置付け、経営戦略と連動した人財マネジメントを推進してきました。特に、海外事業、養殖事業、ファインケミカル事業等の成長領域において必要となるグローバル人財及び高度な専門性を有する人財の確保・育成を重点課題と認識し、人財ポートフォリオの最適化に取り組んでいます。
人財の確保・育成にあたっては、グループ横断の推進体制である「人財確保部会」を中心に、事業戦略に基づく必要人財の質・量の定義、人財需給ギャップの把握及び人財ポートフォリオの最適化を進めるとともに、採用・育成・配置に関する方針の策定及び各社施策への展開を通じて、これらを一体的に推進しています。これにより、必要な人財の安定的な確保とグループ全体での人財確保力の強化を図るとともに、事業拡大及び生産性向上の実現を目指していきます。また、経営人財については「人財育成委員会」を中心に後継者育成及びパイプラインの強化を進めるとともに、グローバル人財については海外出向や短期派遣等の実践機会を通じて育成を強化してきました。
また、多様な人財が活躍できる環境整備及び従業員エンゲージメント向上についても重要な経営課題と位置付けています。当社では、経営と社員が経営テーマについて直接対話する「One Table Meeting」、エンゲージメントサーベイに基づく改善活動や「GOOD FOODS Talk」を通じて、ミッションへの理解・共感を主体的な行動へつなげる取り組みを推進しています。これらの取り組みについては、エンゲージメントスコアやミッション浸透度等の指標を継続的にモニタリングし、施策の改善につなげています。
さらに、当社グループにおいては、「One Table Meeting」や「GOOD FOODS Talk+」を通じて、グループ全体の共創を考え、企業価値向上に向けた施策浸透、ミッションの理解・共感及び行動への展開を進めています。今後は、グループ会社へのエンゲージメントサーベイの展開も予定しており、グループ全体での対話や実践活動を通じて、社員一人ひとりの主体的な行動を促すとともに、個人の行動を組織的な実践へとつなげる組織風土の醸成を図っていきます。
加えて、採用ブランディング活動として、当社グループが求める人財像と求職者が当社グループを選ぶ動機が一致するようなコミュニケーションを強化し、人財確保力の向上に取り組んでいます。また、少子高齢化に伴う労働力不足への対応として、多様な働き方の実現や労働環境の改善に加え、デジタル化・自動化による省人化・省力化を推進し、現場労働力の確保と生産性向上を図っていきます。
これらの取り組みを通じて、必要な人財の確保とリテンションの強化を図るとともに、環境変化に柔軟に対応可能な人財ポートフォリオの構築を推進しています。今後も、人的資本への投資を通じて事業成長及び収益性向上を実現し、企業価値の持続的向上を図っていきます。
※詳細は「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1)人材戦略に関する基本方針等」をご参照ください。
(戦略2)気候変動への対応に関するリスク
[概要]
近年、世界的に気候変動が深刻化しており、その影響はますます顕著になっています。温暖化に伴う異常気象や自然災害の激甚化は、当社グループの原材料調達、生産、物流、販売等のあらゆる事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動への対応を目的とした各国・各地域における規制の強化や市場動向の変化によって、対応コストの増加や事業環境の変化が生じ、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
本リスクへの対応体制として、サステナビリティ委員会傘下の環境部会が中心となり、マテリアリティ及びリスクへの対応活動を推進する体制を整備しています。
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[関連するマテリアリティ]
・脱炭素・循環型社会への貢献
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[主な機会]
・省エネ、高効率設備の導入による生産性向上・コスト削減
・GHG排出量削減によるカーボンプライシング影響の軽減
・サステナブル、低カーボン製品への需要の高まりに伴う水産物の販売機会拡大
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[主なリスクと影響]
台風、豪雨、洪水等の風水害の激甚化や渇水等の発生によって、当社グループの生産拠点、物流機能、調達網等に被害や停滞が発生し、顕在化した場合には、事業停止に伴うビジネス機会の喪失、供給の遅延・中断、復旧対応コストの増加などの影響が想定されます。
また、異常気象や海洋環境の変化によって、天然魚及び養殖魚の漁獲量・生産量の減少や原材料調達の不安定化が発生し、顕在化した場合には、調達コストの増加、原料確保の難化、商品供給への影響などが想定されます。
さらに、カーボンプライシングの導入や、省エネルギー・GHG排出等に関する規制の強化によって、追加的な設備投資や運営対応が必要となり、顕在化した場合には、対応コストの増加や収益性の低下などの影響が想定されます。
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[主な対応策]
当社グループでは、2018年度比でCO2排出量を2030年までに30%削減する目標を設定し、その達成に向けた取り組みを継続的に推進しています。生産拠点においては、省エネルギーの推進、高効率機器への更新、自然冷媒への切り替え、燃料転換、魚油・廃油の燃料活用に加え、太陽光発電設備の導入や再生可能エネルギー由来電力への切り替えを進め、CO2排出量の削減に取り組んでいます。あわせて、CO2排出量の実績や各施策の進捗を継続的に確認し、必要に応じて施策の見直しを図っています。今後もこれらの取り組みを着実に推進し、脱炭素化に向けた対応を一層強化することで、目標達成を目指していきます。
また、気候変動に伴う漁獲量の減少や調達コストの上昇への対応として、産地の分散化、調達ネットワークの強化、代替原料の開発等を進め、サプライチェーンのレジリエンス向上を図っています。今後も、変化する事業環境への適応力を高め、安定的かつ持続可能な原材料調達体制の構築を推進していきます。
さらに、風水害の激甚化や渇水による事業停止リスクへの対応として、BCPの見直しやハザードマップ等を活用した詳細なリスク評価を実施するとともに、必要に応じて拠点の移転・分散を検討しています。今後も気候変動に伴うリスクを継続的に評価し、事業継続性の向上とレジリエンス強化を図っていきます。
※詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)テーマ別課題 気候変動への対応(TCFD提言への取組)」をご参照ください。
(戦略3)生物多様性への対応に関するリスク
[概要]
水産資源の減少や海洋環境の変化は、当社グループの漁業、養殖、原材料調達等の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、水産資源の減少に伴う漁獲制限等の規制強化や、水産物の流通量減少による価格上昇・消費行動の変化は、市場環境や販売機会に影響を及ぼす可能性があります。加えて、近年、容器包装や事業活動に伴うプラスチック使用が海洋環境へ与える影響が社会課題として注目されており、海洋汚染や生態系への影響に適切に対応できない場合には、当社グループの原料調達、食の安全性、企業評価等に影響を及ぼす可能性があります。
本リスクへの対応体制として、サステナビリティ委員会傘下の水産資源持続部会、海洋環境部会が中心となり、マテリアリティ及びリスクへの対応活動を推進する体制を整備しています。
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[関連するマテリアリティ]
・海洋の生物多様性の主流化
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[主な機会]
・水産物の持続的調達によるサプライチェーンの安定化
・消費者の購買行動変化(持続可能性に配慮した製品の需要増加)による売上の拡大
・サステナブルな養殖技術開発による事業のレジリエンス強化と競争優位性の確立
・対応策の推進によるステークホルダーからの評判の向上
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[主なリスクと影響]
水産資源の枯渇化や海洋環境の変化によって、従来の漁場や海面養殖場の不適地化、漁獲量の減少、調達難が発生し、顕在化した場合には、調達コストの増加、原料確保の不安定化、商品の供給制約などの影響が想定されます。また、漁業における漁獲制限や養殖における環境規制の強化、魚病の発生によって、事業活動上の制約や養殖魚の斃死等が発生し、顕在化した場合には、生産量の低下、収益性の悪化、安定供給への支障などの影響が想定されます。さらに、生物多様性や海洋環境への配慮に関する対応の遅れによって、ステークホルダーからの信頼低下や評判の低下が生じ、これが顕在化した場合には、販売機会の逸失や企業価値の毀損などの影響が想定されます。
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[主な対応策]
当社グループでは、TNFDのLEAPアプローチ(注1)を活用し、事業活動による自然への依存と影響の把握を進めることで、自然資本への負の影響の回避・軽減に取り組んでいます。今後も、分析結果を踏まえた対応の高度化を図るとともに、自然資本への負の影響の回避・軽減に向けた取り組みを推進していきます。
また、水産資源の持続的な利用に向け、持続可能な調達比率を2030年までに100%とする目標を設定し、3年ごとに「取り扱い水産物の資源状態調査」を実施しています。調査結果を踏まえ、調達の見直しや認証品の取扱比率向上等の対応策を講じることで、持続可能な水産物の利用につなげています。養殖事業においては、自動給餌制御システムの活用や養殖漁場の沖合化などにより海洋環境への負荷の軽減を図るとともに、天然種苗に依存しない完全養殖の拡大や陸上養殖の推進にも取り組んでいます。今後も、環境負荷のさらなる軽減と安定的な生産体制の構築に向け、技術開発と事業展開を推進していきます。
さらに、海洋のサステナビリティ課題への対応については、様々な業界イニシアティブを通じて、国内外のステークホルダーと連携した取り組みを進めています。今後も業界内外との協働を深め、海洋生態系の保全と水産資源の持続可能な利用に貢献していきます。
(注1)LEAPアプローチ: TNFDが開発した、自然関連のリスクと機会を評価するためのガイダンス。
分析プロセスであるLocate、Evaluate、Assess、Prepareの頭文字をとったもの。
※詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 自然資本の持続可能性向上に向けた対応 生物多様性への対応(TNFD提言への取組)」をご参照ください。
(戦略4)サプライチェーンの環境・人権に関するリスク
[概要]
企業活動のグローバル化が進む中、サプライチェーンにおける環境や人権への負の影響が顕在化しており、国際機関や各国政府による基準策定や法整備が進められています。当社グループにおいても、事業活動に関連して、環境及び人権に関するリスクを適切に把握し、対処することが求められています。サプライチェーン上で環境配慮や人権尊重が不十分な問題が発生した場合には、調達の困難化にとどまらず、訴訟、行政処分、企業イメージの低下、不買運動等につながる可能性があります。
本リスクへの対応体制として、サステナビリティ委員会傘下の人権部会、サステナブル調達部会が中心となり、マテリアリティ及びリスクへの対応活動を推進する体制を整備しています。
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[関連するマテリアリティ]
・持続可能なサプライチェーンの構築
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[主な機会]
・対応策の推進による安定的な調達、生産、供給の実現と競争力の向上
・対応策の推進によるステークホルダーからの評判の向上やグローバルなブランド価値の向上
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[主なリスクと影響]
サプライチェーンにおける環境・人権対応の強化や販売先からの調達基準の高度化によって、既存調達先の見直しや対応水準の引上げが必要となり、顕在化した場合には、調達コストの上昇や調達の不安定化、販売機会の逸失などの影響が想定されます。
また、環境問題や人権侵害等を直接引き起こし、又は間接的に関与したと認識される事案が発生し、顕在化した場合には、訴訟や行政罰の対象となるほか、評判低下やブランド価値の毀損などの影響が想定されます。
さらに、環境・人権デューデリジェンスの義務化や規制強化によって、調査・是正・管理体制の整備が必要となり、顕在化した場合には、追加的な対応コストの増加や事業運営への負荷増大などの影響が想定されます。
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[主な対応策]
当社グループでは、バリューチェーンにおける実際又は潜在的な人権リスクの把握と対応を継続的に進め、ライツホルダーへの負の影響の防止・軽減に努めています。今後も人権デューデリジェンスの実効性向上を図り、人権尊重の取り組みを継続的に強化していきます。また、サプライチェーン全体で環境・人権リスクを低減するため、サプライヤーとの協力関係を重視し、「サプライヤーガイドライン」を通じて、強制労働や児童労働の禁止に加え、IUU漁業に由来する水産物及び原材料の取り扱いを禁止するよう求めています。一次サプライヤーに対しては、ガイドラインの配布・説明を行い、同意確認書の回収を進めるとともに、SAQ(自己評価アンケート)や対話を通じて遵守状況を確認しています。あわせて、優先的に確認すべき原材料や産地の特定を進め、より詳細な確認体制の整備を図っています。
グループでは、年1回「外国人労働者の労働環境調査」を実施し、各事業所における外国人労働者の労働環境を確認することで、負の影響の防止・軽減に努めています。さらに、救済の仕組みとして、グループ内の内部通報制度とは別に、外部プラットフォームを活用した外国人労働者向け相談窓口を設置し、サプライヤーをはじめとするその他のステークホルダーに対しても同様の相談窓口を提供しています。
今後も、サプライチェーン全体における環境・人権リスクの低減を図るとともに、責任ある事業活動を推進していきます。
※詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)テーマ別課題 人権の尊重に関する取り組み」をご参照ください。
(戦略5)海外事業展開に関するリスク
[概要]
当社グループの主要戦略の一つとして、海外展開の加速を目指し、水産・食品事業における北米・欧州でのさらなる拡大とアジアでの事業基盤構築、ファインケミカル事業における医薬品原料の海外展開を掲げています。しかしながら、事業展開する国において、経済環境及び法規制の変更等の各国固有のリスクが顕在化した場合、当社グループの事業の基本的戦略や収支に影響を与える可能性があります。
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[関連するマテリアリティ]
・グローバル展開の加速
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[主な機会]
・販路拡大、市場開拓
・資源アクセス強化に伴うサプライチェーンの強靭化
・対応策の推進によるグローバルなブランド価値の向上
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[主なリスクと影響]
・税制、漁獲枠、賃金、規制など各国の政治的判断による方向性の変換によって、事業環境の変化が発生し、当社グループの事業の基本的戦略や収支に影響を与える可能性があります。
・海外子会社におけるガバナンス不全や社内管理の不備等によって不祥事が発生し、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。
・為替の急激な変動によって海外子会社の業績に影響が生じ、当社グループの収支に影響を与える可能性があります。
・その他の地域的特殊性及びこれらの諸要因の急激な変化によって事業環境の変化が生じ、当社グループの事業の基本的戦略や収支に影響を与える可能性があります。
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[主な対応策]
当社グループでは、2030年に海外所在地売上高比率50%を目指しており、グループガバナンスの取り組み強化を進めてきました。当社グループの強みの一つに「グローバルリンクス」があり、資源アクセスから生産・販売に至る各機能を担う国内外の企業ネットワークで、各社が独自の強みを生かしつつシナジーを発揮していることが特色です。食文化や価値観は世界各地で異なることから、意思決定の迅速性の観点などにおいて現地マネジメントに裁量を委ねるべきところは委ねる一方で、リスクコントロールや資本効率などの観点でグリップを利かせたグローバルガバナンスの強化を進めています。ガバナンスの実効性を高めるためには、ルールづくりや管理・監査などのシステムを強化することに加え、「新しい“食”の創造」というミッションを共有し、志を同じくすることが重要であると考え、ミッションや長期ビジョンの浸透に継続的に取り組んできました。今後も海外事業におけるリスクと機会の継続的な把握・評価及び適切な対応を通じて、これまで以上のシナジー創出や付加価値の向上に努めていきます。
≪経営基盤リスク≫
(基盤1)製品の安全安心・品質に関するリスク
[概要]
品質に対する消費者の関心が一層高まる中、国内外を問わず安全で安心な商品を提供していくことが強く求められています。食を取り扱う当社グループにおいても、より高い品質管理と安心につながる信頼性や透明性が求められていると認識しています。品質事故や表示偽装などのお客様の安全・安心を脅かす品質不正が発生した場合、当社グループ全体に対する信用が損なわれるとともに、ブランド価値が大きく毀損し、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。
本リスクへの対応体制として、お客様一人一人に安全・安心で、価値ある品質の商品をお届けし、健やかな生活とサステナブルな未来を実現するという品質保証の理念を達成するため、品質方針では食品安全文化の醸成に取り組みます。そのための行動指針では、全ての役職員がお客様起点で品質及び食品安全のリスクを考え、行動することとし、各種品質保証基準も定めています。
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[主なリスクと影響]
・製造物責任、リコール、自主回収による経済損失
・品質事故・トラブルによる顧客信頼の低下(ブランド価値毀損)
・新規事業、拡大事業(健康訴求商品等)における品質リスクの拡大
・グループ会社(国内外)のニッスイブランド以外の商品の品質保証水準の管理不十分
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[主な対応策]
当社グループでは、品質保証憲章に基づく食品安全文化の醸成と、品質保証理念のもと品質方針、行動指針を定め、品質保証体制の整備・強化を進めてきました。
製品の安全性を確保するため、関連法規より厳格な独自の「ニッスイ品質保証基準」を定め、HACCP(注1)管理を前提とした「ニッスイ工場認定基準」を核に、使用水・薬剤管理・防虫管理・樹脂部品・原材料・包材・アレルギー物質コンタミ防止・フードディフェンス等の各種基準を整備しています。ニッスイブランド商品はニッスイ工場認定基準により認定した工場のみで生産しており、認定後も品質保証部による定期的な監査を実施、工場指導を実施しています。
また工場間の情報共有や課題解決を目的とし、工場経営者会議、工場品質管理担当者会議などを定期的に開催するとともに、食品安全の第三者認証であるFSSC22000(注2)の認証取得を生産工場で推進してきました。加えて、原材料情報の一元管理体制の構築、グローバルでの検査体制の確立及びエクセレントラボによる検査精度の向上にも取り組んでいます。今後も、従業員への品質教育の強化に努め、食品安全文化の醸成を推進し、製品の安全・安心と品質の維持・向上に取り組んでいきます。
(注1) HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Pointの略。食中毒菌汚染や異物混入などの危害要因(ハザード)を把握し、原材料の入荷から製品出荷までの各工程において、それらの危害要因を除去又は低減するために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保する衛生管理手法。国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格(コーデックス)委員会が提唱し、各国に採用が推奨されています。日本では2020年の食品衛生法改正により、HACCPに基づく衛生管理が義務化されています。
(注2)FSSC22000 : Food Safety System Certificationの略。FSSC22000財団(Foundation FSSC22000)により開発された食品安全のためのマネジメントシステム規格。食品小売業界が中心の非営利団体、国際食品安全イニシアティブ(GFSI:Global Food Safety Initiative)により、食品安全の認証スキームの一つとして承認された規格です。
(基盤2)情報セキュリティに関するリスク
[概要]
今後、生産・物流・販売のシステム連携の進展に伴い、システム停止が事業活動に及ぼす影響は拡大する可能性があります。システム停止は、ハードウェア障害、ソフトウェアの不具合や脆弱性、人為的ミスなど様々な要因で発生しますが、近年は外部からのサイバー攻撃など情報セキュリティリスクが大きな懸念となっています。情報セキュリティインシデントが発生した場合、システム停止による影響に加え、信頼性の低下や損害賠償等の費用負担が生じ、当社グループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
本リスクへの対応体制として、情報セキュリティインシデントが発生した場合には、「情報セキュリティ基本方針」のもと、「情報セキュリティ部会」が中心となり迅速なシステム復旧対応を行う体制を整備しています。
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[主なリスクと影響]
・外部脅威(サイバー攻撃、フィッシング等)、内部過失(紛失/盗難、システム障害等)、内部不正 (不正操作、情報持ち出し等)により、システム停止に伴う製品供給・サービス提供の遅延・中断、ビジネス機会の損失による収益減少、信頼性の低下、損害賠償等の影響が想定されます。
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[主な対応策]
グループ経営を進める中、当社グループ内でデータ漏洩、システム破壊が発生した場合、グループ全体の事業に大きく影響を及ぼす可能性があります。このため、国内グループでは、個人情報や経営・事業・研究等に関する重要情報の漏洩・紛失の防止に向け、「情報セキュリティ基本方針」等の規程・ルールの徹底、システムの管理体制の強化、教育・訓練を含む人的対策を推進してきました。また、各対策の到達目標を具体的に設定するとともに、ニッスイグループIT部門会議を定期的に開催し、グループ全体におけるセキュリティ対策水準の向上と均質化を図っています。
さらに、2024年度からは海外グループを含む全グループを対象としてサイバー攻撃のリスクが高い社外公開サーバの脆弱性を検知するサービスを導入し、脆弱性等のリスクを検知した場合、グループ会社に通知し是正措置を促す体制を構築しました。是正措置の実施状況について定期的にモニタリングしています。加えて、サイバー攻撃の高度化・巧妙化を踏まえ、2025年度は強固なサイバーインシデント対応体制の構築やバックアップ環境保護、ネットワーク監視システムの構築、従業員へのセキュリティ教育の継続的な実施に取り組みました。今後は、グループ共通(海外含む)のセキュリティポリシー・ルールを整備するとともに、平時・有事のサイバーセキュリティ情報連携活動を通じて、子会社のガバナンスを強化することで、各社がリスクに応じて自律的にセキュリティを強化できる状態を目指します。
今後も、グループ会社の情報セキュリティ対策が有効に機能しているか定期的な確認や、情報セキュリティ対策の有効性の継続的な評価・改善を通じて、グループ全体のサイバーレジリエンス向上に取り組んでいきます。
(基盤3)コンプライアンスに関するリスク
[概要]
当社グループは、日本及び事業を行う海外における多岐にわたる法規制の適用を受けており、当社グループによる法令違反や社会規範に反した行動等により、営業停止等の制裁、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受ける可能性があります。また、お客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を失うことにより、レピュテーションやブランド価値が大きく毀損し、当社グループの事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。
本リスクへの対応体制として、当社グループでは、国内外の法令及び社内諸規程の遵守を徹底し、企業としての責任を果たすため、倫理憲章を制定したうえで、コンプライアンス向上施策の策定・実施を担う倫理部会を設置しています。また、法令等に違反している疑いのある行為について、当社グループの役職員が通報できる内部通報制度を設けており(社内外に窓口を設置)、倫理部会が内部通報制度の適正な運営を担っております。
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[主なリスクと影響]
当社グループ会社や役職員による法令違反、社会規範に反した行為等の不祥事の発生及びそれらへの対応不足、対応遅れ等によって、営業停止等の事業への悪影響、損害賠償責任の発生、及び株価下落等の経済的な損失、並びに法令上の処罰、社会的制裁及びレピュテーション低下等の影響が想定されます。
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[主な対応策]
当社は、内部通報制度の適切な運営やコンプライアンスアンケートの実施等により、法令等に違反する疑いのある行為やコンプライアンス課題を早期発見し、関係する役員・部門と協働して、個別事象の是正はもちろん、必要な場合に再発防止策も含め検討のうえ実施しています。また、コンプライアンス向上施策として、コンプライアンス研修や法令改正等の動きに合わせた研修・周知等を実施しています。さらに、2020年度からは、当社グループの子会社と個別にコンプライアンスワークショップを実施しコンプライアンスに関するありたい姿を共有、各社のコンプライアンス課題・施策について協議を行い、施策の実施状況についてフォローすることにより、当社グループ全体のコンプライアンス向上を推進しています。今後は、グローバル・コンプライアンス体制を構築することを目指し、ニッスイグループの統一的な行動規範の整備及びグローバル内部通報制度の導入等の検討を進め、今後も当社グループ全体のコンプライアンス向上に取り組んでいきます。
(基盤4)大規模自然災害・事故に関するリスク
[概要]
大規模な地震、津波、台風、洪水等の自然災害は近年激甚化・頻発化の傾向にあり、国内外を問わず各地で大規模災害が発生しています。国内においても、首都直下地震や南海トラフ地震等の発生が高い確率で想定されており、今後も中長期的に自然災害による影響が懸念されています。これらの大規模災害が発生した場合、当社グループ従業員及びその家族への被害、事務所・工場等の拠点設備の損壊、電力・ガス・水道等のユーティリティーの停止、物流の停滞等により、重要な経営資源が損失し、事業活動の停止又は縮小が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業継続及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
本リスクへの対応体制として、当社グループでは、大規模災害に直面した場合でも人命を第一とした上で、従業員・お客様・ステークホルダーにとって必要な支援・サービス等を継続するため、「災害BCP基本方針」のもと、速やかに災害対策本部を立ち上げる体制を整備しています。
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[主なリスクと影響]
大規模な自然災害(地震、噴火、津波、風災、水災等)や火災・爆発事故等が発生した場合、当社グループの従業員及び施設設備に人的・物的被害が生じる可能性があります。これに伴い、生産設備の停止、物流機能の停滞、サプライチェーンの分断等が発生し、製品供給やサービス提供の遅延・中断、ビジネス機会の損失による収益減少など、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
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[主な対応策]
当社グループでは、大規模自然災害や事故等の発生時に迅速かつ適切な対応を行うため、災害対策本部を中心とした危機管理体制の整備を進めてきました。災害発生時には、各拠点やグループ各社から迅速に情報を収集し、適切な判断・対応を行うため、安否確認や拠点被害報告等の情報収集システムを活用し、初動対応及び事業継続対応を実施しています。
また、オールハザード型BCP(注1)への更新に向け、災害対策本部初動対応マニュアルの見直しや、BCP策定のための事業影響度分析を実施するとともに、自然災害リスク(地震等)の定量評価を行い、当社への影響の把握に取り組んでいます。
さらに、社内教育としては、拠点訓練の実効性向上に向けた支援のほか、定期的な災害対策本部訓練や従業員向けのシステム操作確認訓練及び防災教育e-learningを実施し、初動対応力の強化を図ってきました。今後も、災害リスクの継続的な評価とBCPの高度化を進めるとともに、訓練・教育の充実及び危機管理体制の強化を通じて、事業継続能力とレジリエンスのさらなる向上に取り組んでいきます。
(注1) オールハザード型BCP : リスク(原因事象)を問わず、必要な経営資源が何らかの理由で被害を受けた場合の(結果事象)の影響に基づき、対応策を考える事業継続計画
(基盤5)労働安全衛生に関するリスク
[概要]
近年、企業における労働災害や各種ハラスメント、労働時間管理に対する社会的監視は一層厳しさを増しており、情報化社会の進展により不祥事は瞬時に顕在化し、その対応の適否が企業価値に直結する可能性があります。また、労働者の権利意識の高まりは潜在的課題を顕在化させ、社会的責任の履行が一層強く求められています。当社グループにおいても、これらの問題は単なる法令遵守にとどまらず、経営基盤に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクとして認識しております。
本リスクへの対応体制として、企業価値向上に最も重要な要素である「人財」を守り、その多様性を尊重して働きやすい職場環境の維持向上を図るため、当社グループ各事業の統括責任者により構成する「労務安全衛生部会」が中心となり、グループ横断的にリスクを把握・共有し、適切な対策を迅速に講じることができる体制を整備しております。
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[主なリスクと影響]
・労働災害の発生によって、従業員の生命・身体に重大な被害を及ぼすとともに事業運営への支障が発生し、これらが継続的に発生した場合には、操業停止等の行政処分、社会的評価や生産性の著しい低下などの影響が生じる可能性があります。
・法令違反となる労働慣行、過労による疾病及びハラスメントの発生によって、休職・退職の増加及び社会的信用の毀損が生じ、人財確保への影響が生じる可能性があります。
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[主な対応策]
当社グループでは、従業員を守る「安全」を最優先とすることを不変の基本方針として位置付け、「ニッスイグループ安全宣言」のもと、各社・各事業所における安全活動を推進してきました。2025年度からは、安全最優先の考え方を改めて徹底し、管理者のみならず従業員一人ひとりが自ら及び同僚の安全を守るという意識のもと、安全活動に主体的に参画し、それが定着した「安全文化の醸成」に取り組んでいます。
2026年度は、全事業所・全従業員参画による「安全宣言」の継続的な実践に加え、安全文化をグループ共通の価値観として浸透させるための教育ツールの整備・展開を進めます。また職長教育やリスクアセスメント実践者教育等の階層別教育の強化に加え、管理者や安全担当者に限らず全従業員が安全パトロールに参画できる体制の構築を進め、他職場とのクロスパトロールの拡充を図り、従業員一人ひとりの意識向上及び安全活動全体の高度化を図ります。昨年度は国内グループ全体で1ヶ月休業災害ゼロを達成しましたので、2026年度は2ヶ月連続の達成を目指し、最終的には労災ゼロという理想に近づけていきます。
ハラスメントについては、2022年に経営トップから国内グループ全体に発信した「ハラスメント撲滅宣言」に基づき、「ハラスメントをしない、させない、許さない、そして見過ごさない」という強力な企業風土づくりに取り組んでいます。2026年度は引き続き実態を把握・分析し、その結果を踏まえた対応体制の整備及び必要な教育研修を実施するとともに、カスタマーハラスメント防止に関する法令の動向も踏まえてグループとしての対応方針を明確化し、周知徹底を図っていきます。
労働時間管理についても、毎月の勤怠状況の確認を通じて、法令及び労使協定の遵守を徹底しており、これを継続します。加えて、当社グループに対しては、各社の課題への対応状況及び運営の適切性を確認するため、定期的な実態調査を実施するとともに、必要に応じて個別対応を実施していきます。その結果として、36協定等の順守に加えて、労働時間全体の対前年比削減の実現を目指します。
当社海外グループに対する活動は、各地域の法規制や運用状況の把握を起点とした基盤整備が課題であると認識しており、安全宣言に示す安全最優先の理念を改めて海外グループ会社にも展開し、それを契機として安全活動に関する海外各社との情報共有・連携の具体化を図ります。
今後も、安全文化のさらなる定着と労働災害の未然防止に向けて、安全管理体制及び教育体制の高度化を進めるとともに、ハラスメント防止や適正な労務管理の徹底を通じて、従業員が安心して働くことのできる職場環境の整備を推進します。また、海外グループ会社を含めたグループ共通の安全基準の整備と運用の強化を進め、グローバルベースでの労働安全衛生水準の向上に取り組んでいきます。
(基盤6)地政学的問題に関するリスク
[概要]
近年、地政学的な要因が事業に影響を及ぼす可能性を考慮する必要性が高まっていると認識されています。例えば、当社グループが事業を展開するエリアにおいて、国境封鎖、制裁、輸出入規制、主要輸送ルートの遮断など国際貿易が阻害されるリスクが想定され、これらが顕在化した場合には、当社グループの中長期経営方針の実行や業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
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[主なリスクと影響]
・サプライチェーンにおける政治的・軍事的・社会的な情勢変化等によって、製品供給・サービス提供の遅延や中断・停止が発生し、ビジネス機会の喪失などの影響が想定されます。
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[主な対応策]
当社グループでは、紛争、経済制裁、輸出規制の強化等の地政学的リスクに関する動向について、国内外の情報源を活用した継続的な情報収集及び分析を行ってきました。加えて、複数のリスクシナリオに基づく影響評価を実施しています。現状、主に事業展開国・地域におけるカントリーリスクの調査及び評価を中心に対応を進めておりますが、地政学リスクは地域を超えてサプライチェーンや物流網、エネルギー価格等へ影響を及ぼすことから、海外拠点を含めたリスク把握及び対応体制のさらなる強化が重要課題であると認識しています。
これを踏まえ、主要原材料・製品について調達先の分散化や代替調達先の確保、複数拠点からの供給体制の構築を進めるとともに、海外拠点を含めた情報収集ネットワークの整備や、有事を想定した対応方針の策定・訓練の実施等に取り組んでいます。また、サプライチェーンの可視化及び在庫戦略の見直しを通じて供給途絶リスクの低減を図るほか、定期的なモニタリングにより対応策の高度化を進めています。
今後も、中東情勢をはじめとするグローバルな情勢変化を注視しながら、海外を含むリスク管理体制の強化とサプライチェーンの強靭化を推進し、事業活動への影響の最小化に努めていきます。
①リスクマネジメントの考え方
当社は、『リスクマネジメント規程』において、企業の存続に影響を与えると考えられる事象発生の不確実性を「リスク」、企業が経営を行っていく上で事業に関連する内外の様々なリスクを適切に管理する活動を「リスクマネジメント」と定義しており、適切な「リスクマネジメント」の実行が経営の重要課題であると認識しています。
②リスクマネジメントの基本方針
当社グループでは、事業活動の妨げとなるリスクの未然防止に努め、緊急時には人命尊重を第一に損失の発生を最小限に抑え、被災者支援など社会への配慮を行うとともに経営資源の保全と事業の継続に最善を尽くすことで、企業価値を維持・向上していくことをリスクマネジメントの基本方針として「リスクマネジメント規程」において定めています。
③リスクマネジメント体制
当社は、リスクマネジメントの実効性を高めるため、全社的リスクマネジメントシステムの構築とその維持・向上を任務とする、社長直轄の組織であるリスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会は全執行役員によって構成され、社長が委員長を務め、リスクマネジメント担当執行役員は、取締役会へ定期的に活動報告をしています。
また、当社のグループ経営において極めて重要度が高く優先的に対応すべきと判断したリスクを「重要リスク」として定義し、全社横断的なリスク対応計画の管理責任を負う「重要リスク管理組織」をそれぞれ設置しています。この重要リスク管理組織が各リスク対応の中心となって、グループ全体のリスクを適宜、的確に捉える体制を敷き、重要リスク対応を全社グループ視点で一元管理して経営戦略に落とし込み、将来の成長の機会とリスクの的確なマネジメントに取り組んでいます。
| ・重要リスクの特定 (重要リスク管理組織の特定) ・重要リスク対応計画の審議 (重要リスク管理組織が策定・報告) ・重要リスク対応計画実行のレビュー (過年度総括・評価・是正) ・重要リスク対応計画の網羅的な把握・確認 (次年度計画の全社集約・一元化) |
■リスクマネジメント推進体制図

④リスクマネジメントプロセス
当社グループでは、新しいリスクマネジメント体制において、中長期的な経営戦略を見据えた重要リスクを特定するため、外部環境の変化を踏まえたマテリアリティをリスクマネジメントの起点とし、年間のPDCAサイクルでリスクマネジメント活動を推進しています。重要リスクの見直しはマテリアリティを見直すタイミングで、定期的に実施しています。ただし大きな環境変化があった場合は、年度の進捗確認・評価で議論します。

⑤重要リスクの特定プロセス
当社グループは、中長期的に企業価値を維持・向上していくためには、政治・経済・社会・テクノロジーなどの外部環境の変化がもたらすリスクと機会に戦略的に対応することが重要と考えています。当社グループでは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記述のとおり、昨今の外部環境の変化を捉えたマテリアリティの見直しを行い、その過程でマテリアリティに関連するリスクを抽出・分析し、リスク属性で整理した結果、17のリスク項目を特定しました。それらを後述する基準で評価して中長期的な重要課題・事業戦略に重大な影響を及ぼすと認識するリスク項目を11の重要リスクとして特定しています。
■重要リスクの特定プロセス

また、プラスとマイナスの影響を持ち併せたリスクを「経営戦略リスク」(中長期的/攻め=機会に転化)、マイナスの影響を主とするリスクを「経営基盤リスク」(短期的/守り:抑制と最小限化)と分類して、それぞれ評価指標を整理しています。

⑥ リスク評価基準
リスク評価にあたっては、経営戦略リスクと経営基盤リスクの各リスク特性を考慮し、異なる評価軸でのリスクマトリックスとしています。特に経営戦略リスクは、今すぐに顕在化しないものの、中長期的な戦略上で対策開始の必要性が高いリスクを重要リスクとして特定するため、一般的な「発生可能性」でなく「緊急度」の評価軸としています。
■リスクマトリックス (※■のリスクを重要リスクとして特定)

⑦ リスクマネジメントの高度化に向けて
今後はリスクマネジメントの高度化に向けて、従来の経験や知見に基づいた定性的なリスク評価に加え、影響度を数値化して定量的に把握することで、リスクの客観的な可視化を図るため、現在、シナリオ分析を通じた定量的影響の評価に取り組んでいます。具体的には、気候・自然関連リスク、大規模災害リスク、情報セキュリティリスク、地政学リスク等について、顕在化した場合の財務的影響の算定・分析を進めています。
この結果を基に、優先順位に応じた具体的な低減策や初動対応計画の策定及びリソースの再配分を行っていくことで、不確実性に対する経営のレジリエンス強化と企業価値の向上に努めていきます。
(2)重要リスク
当社グループの戦略・事業その他を遂行する上での重要リスクについて、投資家の判断に重大な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。
以下に記載したリスクは、当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。なお、本文中における将来に関する事項は別段の記載がない限り当年度末において当社が判断した内容に基づきます。
■ニッスイグループ 重要リスク

≪経営戦略リスク≫
(戦略1)人的資本への対応に関するリスク
[概要]
当社グループの経営計画達成のために、事業創出・企画運営の能力のある経営を担う人財、海外国内を問わず活躍できるグローバル人財やプロフェッショナル人財、各生産拠点で成果を上げる人財の確保と育成が必要ですが、日本国内の少子高齢化と人口減少が進むにつれ、国内での優秀な人財確保が難しくなりつつあります。また、多様な人財が働けるダイバーシティ対応に後れをとると、必要な人財確保が困難になると想定されます。
本リスクへの対応体制として、当社グループでは、経営戦略と連動した人財戦略・人財育成を実行しており、人財育成・労働力確保については人財確保部会、ミッションへの共感とブランディングに関してはブランディング部会がそれぞれ中心となり、マテリアリティ・リスク対応活動を推進する体制を整備しています。
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[関連するマテリアリティ]
・人財育成と多様な人財の活躍
・労働力確保と生産性の向上
・ミッションへの共感とブランディング
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[主な機会]
・人財の確保・育成による事業拡大、生産性向上への貢献
・現場労働力の確保による生産性向上
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[主なリスクと影響]
・多様な人財が活躍する環境構築の遅れによって事業に必要な人財※の不足が顕在化し、生産性の停滞、事業拡大の停滞などの影響が想定されます。
・生産年齢人口減少への対応不足によって現場労働力の不足が発生し、生産性停滞、事業拡大の停滞などの影響が想定されます。
・社内外ブランディングの構築失敗によって従業員エンゲージメントの低下やレピュテーションの低下が顕在化し、人財確保の難化などの影響が想定されます。
※経営人財、グローバル人財、DX人財のほか、サステナビリティ人財、R&D人財など
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[主な対応策]
当社グループは、ミッションの実現及び中期経営計画の達成に向け、人的資本を最も重要な経営資源と位置付け、経営戦略と連動した人財マネジメントを推進してきました。特に、海外事業、養殖事業、ファインケミカル事業等の成長領域において必要となるグローバル人財及び高度な専門性を有する人財の確保・育成を重点課題と認識し、人財ポートフォリオの最適化に取り組んでいます。
人財の確保・育成にあたっては、グループ横断の推進体制である「人財確保部会」を中心に、事業戦略に基づく必要人財の質・量の定義、人財需給ギャップの把握及び人財ポートフォリオの最適化を進めるとともに、採用・育成・配置に関する方針の策定及び各社施策への展開を通じて、これらを一体的に推進しています。これにより、必要な人財の安定的な確保とグループ全体での人財確保力の強化を図るとともに、事業拡大及び生産性向上の実現を目指していきます。また、経営人財については「人財育成委員会」を中心に後継者育成及びパイプラインの強化を進めるとともに、グローバル人財については海外出向や短期派遣等の実践機会を通じて育成を強化してきました。
また、多様な人財が活躍できる環境整備及び従業員エンゲージメント向上についても重要な経営課題と位置付けています。当社では、経営と社員が経営テーマについて直接対話する「One Table Meeting」、エンゲージメントサーベイに基づく改善活動や「GOOD FOODS Talk」を通じて、ミッションへの理解・共感を主体的な行動へつなげる取り組みを推進しています。これらの取り組みについては、エンゲージメントスコアやミッション浸透度等の指標を継続的にモニタリングし、施策の改善につなげています。
さらに、当社グループにおいては、「One Table Meeting」や「GOOD FOODS Talk+」を通じて、グループ全体の共創を考え、企業価値向上に向けた施策浸透、ミッションの理解・共感及び行動への展開を進めています。今後は、グループ会社へのエンゲージメントサーベイの展開も予定しており、グループ全体での対話や実践活動を通じて、社員一人ひとりの主体的な行動を促すとともに、個人の行動を組織的な実践へとつなげる組織風土の醸成を図っていきます。
加えて、採用ブランディング活動として、当社グループが求める人財像と求職者が当社グループを選ぶ動機が一致するようなコミュニケーションを強化し、人財確保力の向上に取り組んでいます。また、少子高齢化に伴う労働力不足への対応として、多様な働き方の実現や労働環境の改善に加え、デジタル化・自動化による省人化・省力化を推進し、現場労働力の確保と生産性向上を図っていきます。
これらの取り組みを通じて、必要な人財の確保とリテンションの強化を図るとともに、環境変化に柔軟に対応可能な人財ポートフォリオの構築を推進しています。今後も、人的資本への投資を通じて事業成長及び収益性向上を実現し、企業価値の持続的向上を図っていきます。
※詳細は「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1)人材戦略に関する基本方針等」をご参照ください。
(戦略2)気候変動への対応に関するリスク
[概要]
近年、世界的に気候変動が深刻化しており、その影響はますます顕著になっています。温暖化に伴う異常気象や自然災害の激甚化は、当社グループの原材料調達、生産、物流、販売等のあらゆる事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動への対応を目的とした各国・各地域における規制の強化や市場動向の変化によって、対応コストの増加や事業環境の変化が生じ、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
本リスクへの対応体制として、サステナビリティ委員会傘下の環境部会が中心となり、マテリアリティ及びリスクへの対応活動を推進する体制を整備しています。
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[関連するマテリアリティ]
・脱炭素・循環型社会への貢献
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[主な機会]
・省エネ、高効率設備の導入による生産性向上・コスト削減
・GHG排出量削減によるカーボンプライシング影響の軽減
・サステナブル、低カーボン製品への需要の高まりに伴う水産物の販売機会拡大
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[主なリスクと影響]
台風、豪雨、洪水等の風水害の激甚化や渇水等の発生によって、当社グループの生産拠点、物流機能、調達網等に被害や停滞が発生し、顕在化した場合には、事業停止に伴うビジネス機会の喪失、供給の遅延・中断、復旧対応コストの増加などの影響が想定されます。
また、異常気象や海洋環境の変化によって、天然魚及び養殖魚の漁獲量・生産量の減少や原材料調達の不安定化が発生し、顕在化した場合には、調達コストの増加、原料確保の難化、商品供給への影響などが想定されます。
さらに、カーボンプライシングの導入や、省エネルギー・GHG排出等に関する規制の強化によって、追加的な設備投資や運営対応が必要となり、顕在化した場合には、対応コストの増加や収益性の低下などの影響が想定されます。
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[主な対応策]
当社グループでは、2018年度比でCO2排出量を2030年までに30%削減する目標を設定し、その達成に向けた取り組みを継続的に推進しています。生産拠点においては、省エネルギーの推進、高効率機器への更新、自然冷媒への切り替え、燃料転換、魚油・廃油の燃料活用に加え、太陽光発電設備の導入や再生可能エネルギー由来電力への切り替えを進め、CO2排出量の削減に取り組んでいます。あわせて、CO2排出量の実績や各施策の進捗を継続的に確認し、必要に応じて施策の見直しを図っています。今後もこれらの取り組みを着実に推進し、脱炭素化に向けた対応を一層強化することで、目標達成を目指していきます。
また、気候変動に伴う漁獲量の減少や調達コストの上昇への対応として、産地の分散化、調達ネットワークの強化、代替原料の開発等を進め、サプライチェーンのレジリエンス向上を図っています。今後も、変化する事業環境への適応力を高め、安定的かつ持続可能な原材料調達体制の構築を推進していきます。
さらに、風水害の激甚化や渇水による事業停止リスクへの対応として、BCPの見直しやハザードマップ等を活用した詳細なリスク評価を実施するとともに、必要に応じて拠点の移転・分散を検討しています。今後も気候変動に伴うリスクを継続的に評価し、事業継続性の向上とレジリエンス強化を図っていきます。
※詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)テーマ別課題 気候変動への対応(TCFD提言への取組)」をご参照ください。
(戦略3)生物多様性への対応に関するリスク
[概要]
水産資源の減少や海洋環境の変化は、当社グループの漁業、養殖、原材料調達等の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、水産資源の減少に伴う漁獲制限等の規制強化や、水産物の流通量減少による価格上昇・消費行動の変化は、市場環境や販売機会に影響を及ぼす可能性があります。加えて、近年、容器包装や事業活動に伴うプラスチック使用が海洋環境へ与える影響が社会課題として注目されており、海洋汚染や生態系への影響に適切に対応できない場合には、当社グループの原料調達、食の安全性、企業評価等に影響を及ぼす可能性があります。
本リスクへの対応体制として、サステナビリティ委員会傘下の水産資源持続部会、海洋環境部会が中心となり、マテリアリティ及びリスクへの対応活動を推進する体制を整備しています。
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[関連するマテリアリティ]
・海洋の生物多様性の主流化
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[主な機会]
・水産物の持続的調達によるサプライチェーンの安定化
・消費者の購買行動変化(持続可能性に配慮した製品の需要増加)による売上の拡大
・サステナブルな養殖技術開発による事業のレジリエンス強化と競争優位性の確立
・対応策の推進によるステークホルダーからの評判の向上
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[主なリスクと影響]
水産資源の枯渇化や海洋環境の変化によって、従来の漁場や海面養殖場の不適地化、漁獲量の減少、調達難が発生し、顕在化した場合には、調達コストの増加、原料確保の不安定化、商品の供給制約などの影響が想定されます。また、漁業における漁獲制限や養殖における環境規制の強化、魚病の発生によって、事業活動上の制約や養殖魚の斃死等が発生し、顕在化した場合には、生産量の低下、収益性の悪化、安定供給への支障などの影響が想定されます。さらに、生物多様性や海洋環境への配慮に関する対応の遅れによって、ステークホルダーからの信頼低下や評判の低下が生じ、これが顕在化した場合には、販売機会の逸失や企業価値の毀損などの影響が想定されます。
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[主な対応策]
当社グループでは、TNFDのLEAPアプローチ(注1)を活用し、事業活動による自然への依存と影響の把握を進めることで、自然資本への負の影響の回避・軽減に取り組んでいます。今後も、分析結果を踏まえた対応の高度化を図るとともに、自然資本への負の影響の回避・軽減に向けた取り組みを推進していきます。
また、水産資源の持続的な利用に向け、持続可能な調達比率を2030年までに100%とする目標を設定し、3年ごとに「取り扱い水産物の資源状態調査」を実施しています。調査結果を踏まえ、調達の見直しや認証品の取扱比率向上等の対応策を講じることで、持続可能な水産物の利用につなげています。養殖事業においては、自動給餌制御システムの活用や養殖漁場の沖合化などにより海洋環境への負荷の軽減を図るとともに、天然種苗に依存しない完全養殖の拡大や陸上養殖の推進にも取り組んでいます。今後も、環境負荷のさらなる軽減と安定的な生産体制の構築に向け、技術開発と事業展開を推進していきます。
さらに、海洋のサステナビリティ課題への対応については、様々な業界イニシアティブを通じて、国内外のステークホルダーと連携した取り組みを進めています。今後も業界内外との協働を深め、海洋生態系の保全と水産資源の持続可能な利用に貢献していきます。
(注1)LEAPアプローチ: TNFDが開発した、自然関連のリスクと機会を評価するためのガイダンス。
分析プロセスであるLocate、Evaluate、Assess、Prepareの頭文字をとったもの。
※詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 自然資本の持続可能性向上に向けた対応 生物多様性への対応(TNFD提言への取組)」をご参照ください。
(戦略4)サプライチェーンの環境・人権に関するリスク
[概要]
企業活動のグローバル化が進む中、サプライチェーンにおける環境や人権への負の影響が顕在化しており、国際機関や各国政府による基準策定や法整備が進められています。当社グループにおいても、事業活動に関連して、環境及び人権に関するリスクを適切に把握し、対処することが求められています。サプライチェーン上で環境配慮や人権尊重が不十分な問題が発生した場合には、調達の困難化にとどまらず、訴訟、行政処分、企業イメージの低下、不買運動等につながる可能性があります。
本リスクへの対応体制として、サステナビリティ委員会傘下の人権部会、サステナブル調達部会が中心となり、マテリアリティ及びリスクへの対応活動を推進する体制を整備しています。
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[関連するマテリアリティ]
・持続可能なサプライチェーンの構築
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[主な機会]
・対応策の推進による安定的な調達、生産、供給の実現と競争力の向上
・対応策の推進によるステークホルダーからの評判の向上やグローバルなブランド価値の向上
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[主なリスクと影響]
サプライチェーンにおける環境・人権対応の強化や販売先からの調達基準の高度化によって、既存調達先の見直しや対応水準の引上げが必要となり、顕在化した場合には、調達コストの上昇や調達の不安定化、販売機会の逸失などの影響が想定されます。
また、環境問題や人権侵害等を直接引き起こし、又は間接的に関与したと認識される事案が発生し、顕在化した場合には、訴訟や行政罰の対象となるほか、評判低下やブランド価値の毀損などの影響が想定されます。
さらに、環境・人権デューデリジェンスの義務化や規制強化によって、調査・是正・管理体制の整備が必要となり、顕在化した場合には、追加的な対応コストの増加や事業運営への負荷増大などの影響が想定されます。
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[主な対応策]
当社グループでは、バリューチェーンにおける実際又は潜在的な人権リスクの把握と対応を継続的に進め、ライツホルダーへの負の影響の防止・軽減に努めています。今後も人権デューデリジェンスの実効性向上を図り、人権尊重の取り組みを継続的に強化していきます。また、サプライチェーン全体で環境・人権リスクを低減するため、サプライヤーとの協力関係を重視し、「サプライヤーガイドライン」を通じて、強制労働や児童労働の禁止に加え、IUU漁業に由来する水産物及び原材料の取り扱いを禁止するよう求めています。一次サプライヤーに対しては、ガイドラインの配布・説明を行い、同意確認書の回収を進めるとともに、SAQ(自己評価アンケート)や対話を通じて遵守状況を確認しています。あわせて、優先的に確認すべき原材料や産地の特定を進め、より詳細な確認体制の整備を図っています。
グループでは、年1回「外国人労働者の労働環境調査」を実施し、各事業所における外国人労働者の労働環境を確認することで、負の影響の防止・軽減に努めています。さらに、救済の仕組みとして、グループ内の内部通報制度とは別に、外部プラットフォームを活用した外国人労働者向け相談窓口を設置し、サプライヤーをはじめとするその他のステークホルダーに対しても同様の相談窓口を提供しています。
今後も、サプライチェーン全体における環境・人権リスクの低減を図るとともに、責任ある事業活動を推進していきます。
※詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)テーマ別課題 人権の尊重に関する取り組み」をご参照ください。
(戦略5)海外事業展開に関するリスク
[概要]
当社グループの主要戦略の一つとして、海外展開の加速を目指し、水産・食品事業における北米・欧州でのさらなる拡大とアジアでの事業基盤構築、ファインケミカル事業における医薬品原料の海外展開を掲げています。しかしながら、事業展開する国において、経済環境及び法規制の変更等の各国固有のリスクが顕在化した場合、当社グループの事業の基本的戦略や収支に影響を与える可能性があります。
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[関連するマテリアリティ]
・グローバル展開の加速
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[主な機会]
・販路拡大、市場開拓
・資源アクセス強化に伴うサプライチェーンの強靭化
・対応策の推進によるグローバルなブランド価値の向上
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[主なリスクと影響]
・税制、漁獲枠、賃金、規制など各国の政治的判断による方向性の変換によって、事業環境の変化が発生し、当社グループの事業の基本的戦略や収支に影響を与える可能性があります。
・海外子会社におけるガバナンス不全や社内管理の不備等によって不祥事が発生し、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。
・為替の急激な変動によって海外子会社の業績に影響が生じ、当社グループの収支に影響を与える可能性があります。
・その他の地域的特殊性及びこれらの諸要因の急激な変化によって事業環境の変化が生じ、当社グループの事業の基本的戦略や収支に影響を与える可能性があります。
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[主な対応策]
当社グループでは、2030年に海外所在地売上高比率50%を目指しており、グループガバナンスの取り組み強化を進めてきました。当社グループの強みの一つに「グローバルリンクス」があり、資源アクセスから生産・販売に至る各機能を担う国内外の企業ネットワークで、各社が独自の強みを生かしつつシナジーを発揮していることが特色です。食文化や価値観は世界各地で異なることから、意思決定の迅速性の観点などにおいて現地マネジメントに裁量を委ねるべきところは委ねる一方で、リスクコントロールや資本効率などの観点でグリップを利かせたグローバルガバナンスの強化を進めています。ガバナンスの実効性を高めるためには、ルールづくりや管理・監査などのシステムを強化することに加え、「新しい“食”の創造」というミッションを共有し、志を同じくすることが重要であると考え、ミッションや長期ビジョンの浸透に継続的に取り組んできました。今後も海外事業におけるリスクと機会の継続的な把握・評価及び適切な対応を通じて、これまで以上のシナジー創出や付加価値の向上に努めていきます。
≪経営基盤リスク≫
(基盤1)製品の安全安心・品質に関するリスク
[概要]
品質に対する消費者の関心が一層高まる中、国内外を問わず安全で安心な商品を提供していくことが強く求められています。食を取り扱う当社グループにおいても、より高い品質管理と安心につながる信頼性や透明性が求められていると認識しています。品質事故や表示偽装などのお客様の安全・安心を脅かす品質不正が発生した場合、当社グループ全体に対する信用が損なわれるとともに、ブランド価値が大きく毀損し、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。
本リスクへの対応体制として、お客様一人一人に安全・安心で、価値ある品質の商品をお届けし、健やかな生活とサステナブルな未来を実現するという品質保証の理念を達成するため、品質方針では食品安全文化の醸成に取り組みます。そのための行動指針では、全ての役職員がお客様起点で品質及び食品安全のリスクを考え、行動することとし、各種品質保証基準も定めています。
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[主なリスクと影響]
・製造物責任、リコール、自主回収による経済損失
・品質事故・トラブルによる顧客信頼の低下(ブランド価値毀損)
・新規事業、拡大事業(健康訴求商品等)における品質リスクの拡大
・グループ会社(国内外)のニッスイブランド以外の商品の品質保証水準の管理不十分
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[主な対応策]
当社グループでは、品質保証憲章に基づく食品安全文化の醸成と、品質保証理念のもと品質方針、行動指針を定め、品質保証体制の整備・強化を進めてきました。
製品の安全性を確保するため、関連法規より厳格な独自の「ニッスイ品質保証基準」を定め、HACCP(注1)管理を前提とした「ニッスイ工場認定基準」を核に、使用水・薬剤管理・防虫管理・樹脂部品・原材料・包材・アレルギー物質コンタミ防止・フードディフェンス等の各種基準を整備しています。ニッスイブランド商品はニッスイ工場認定基準により認定した工場のみで生産しており、認定後も品質保証部による定期的な監査を実施、工場指導を実施しています。
また工場間の情報共有や課題解決を目的とし、工場経営者会議、工場品質管理担当者会議などを定期的に開催するとともに、食品安全の第三者認証であるFSSC22000(注2)の認証取得を生産工場で推進してきました。加えて、原材料情報の一元管理体制の構築、グローバルでの検査体制の確立及びエクセレントラボによる検査精度の向上にも取り組んでいます。今後も、従業員への品質教育の強化に努め、食品安全文化の醸成を推進し、製品の安全・安心と品質の維持・向上に取り組んでいきます。
(注1) HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Pointの略。食中毒菌汚染や異物混入などの危害要因(ハザード)を把握し、原材料の入荷から製品出荷までの各工程において、それらの危害要因を除去又は低減するために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保する衛生管理手法。国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格(コーデックス)委員会が提唱し、各国に採用が推奨されています。日本では2020年の食品衛生法改正により、HACCPに基づく衛生管理が義務化されています。
(注2)FSSC22000 : Food Safety System Certificationの略。FSSC22000財団(Foundation FSSC22000)により開発された食品安全のためのマネジメントシステム規格。食品小売業界が中心の非営利団体、国際食品安全イニシアティブ(GFSI:Global Food Safety Initiative)により、食品安全の認証スキームの一つとして承認された規格です。
(基盤2)情報セキュリティに関するリスク
[概要]
今後、生産・物流・販売のシステム連携の進展に伴い、システム停止が事業活動に及ぼす影響は拡大する可能性があります。システム停止は、ハードウェア障害、ソフトウェアの不具合や脆弱性、人為的ミスなど様々な要因で発生しますが、近年は外部からのサイバー攻撃など情報セキュリティリスクが大きな懸念となっています。情報セキュリティインシデントが発生した場合、システム停止による影響に加え、信頼性の低下や損害賠償等の費用負担が生じ、当社グループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
本リスクへの対応体制として、情報セキュリティインシデントが発生した場合には、「情報セキュリティ基本方針」のもと、「情報セキュリティ部会」が中心となり迅速なシステム復旧対応を行う体制を整備しています。
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[主なリスクと影響]
・外部脅威(サイバー攻撃、フィッシング等)、内部過失(紛失/盗難、システム障害等)、内部不正 (不正操作、情報持ち出し等)により、システム停止に伴う製品供給・サービス提供の遅延・中断、ビジネス機会の損失による収益減少、信頼性の低下、損害賠償等の影響が想定されます。
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[主な対応策]
グループ経営を進める中、当社グループ内でデータ漏洩、システム破壊が発生した場合、グループ全体の事業に大きく影響を及ぼす可能性があります。このため、国内グループでは、個人情報や経営・事業・研究等に関する重要情報の漏洩・紛失の防止に向け、「情報セキュリティ基本方針」等の規程・ルールの徹底、システムの管理体制の強化、教育・訓練を含む人的対策を推進してきました。また、各対策の到達目標を具体的に設定するとともに、ニッスイグループIT部門会議を定期的に開催し、グループ全体におけるセキュリティ対策水準の向上と均質化を図っています。
さらに、2024年度からは海外グループを含む全グループを対象としてサイバー攻撃のリスクが高い社外公開サーバの脆弱性を検知するサービスを導入し、脆弱性等のリスクを検知した場合、グループ会社に通知し是正措置を促す体制を構築しました。是正措置の実施状況について定期的にモニタリングしています。加えて、サイバー攻撃の高度化・巧妙化を踏まえ、2025年度は強固なサイバーインシデント対応体制の構築やバックアップ環境保護、ネットワーク監視システムの構築、従業員へのセキュリティ教育の継続的な実施に取り組みました。今後は、グループ共通(海外含む)のセキュリティポリシー・ルールを整備するとともに、平時・有事のサイバーセキュリティ情報連携活動を通じて、子会社のガバナンスを強化することで、各社がリスクに応じて自律的にセキュリティを強化できる状態を目指します。
今後も、グループ会社の情報セキュリティ対策が有効に機能しているか定期的な確認や、情報セキュリティ対策の有効性の継続的な評価・改善を通じて、グループ全体のサイバーレジリエンス向上に取り組んでいきます。
(基盤3)コンプライアンスに関するリスク
[概要]
当社グループは、日本及び事業を行う海外における多岐にわたる法規制の適用を受けており、当社グループによる法令違反や社会規範に反した行動等により、営業停止等の制裁、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受ける可能性があります。また、お客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を失うことにより、レピュテーションやブランド価値が大きく毀損し、当社グループの事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。
本リスクへの対応体制として、当社グループでは、国内外の法令及び社内諸規程の遵守を徹底し、企業としての責任を果たすため、倫理憲章を制定したうえで、コンプライアンス向上施策の策定・実施を担う倫理部会を設置しています。また、法令等に違反している疑いのある行為について、当社グループの役職員が通報できる内部通報制度を設けており(社内外に窓口を設置)、倫理部会が内部通報制度の適正な運営を担っております。
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[主なリスクと影響]
当社グループ会社や役職員による法令違反、社会規範に反した行為等の不祥事の発生及びそれらへの対応不足、対応遅れ等によって、営業停止等の事業への悪影響、損害賠償責任の発生、及び株価下落等の経済的な損失、並びに法令上の処罰、社会的制裁及びレピュテーション低下等の影響が想定されます。
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[主な対応策]
当社は、内部通報制度の適切な運営やコンプライアンスアンケートの実施等により、法令等に違反する疑いのある行為やコンプライアンス課題を早期発見し、関係する役員・部門と協働して、個別事象の是正はもちろん、必要な場合に再発防止策も含め検討のうえ実施しています。また、コンプライアンス向上施策として、コンプライアンス研修や法令改正等の動きに合わせた研修・周知等を実施しています。さらに、2020年度からは、当社グループの子会社と個別にコンプライアンスワークショップを実施しコンプライアンスに関するありたい姿を共有、各社のコンプライアンス課題・施策について協議を行い、施策の実施状況についてフォローすることにより、当社グループ全体のコンプライアンス向上を推進しています。今後は、グローバル・コンプライアンス体制を構築することを目指し、ニッスイグループの統一的な行動規範の整備及びグローバル内部通報制度の導入等の検討を進め、今後も当社グループ全体のコンプライアンス向上に取り組んでいきます。
(基盤4)大規模自然災害・事故に関するリスク
[概要]
大規模な地震、津波、台風、洪水等の自然災害は近年激甚化・頻発化の傾向にあり、国内外を問わず各地で大規模災害が発生しています。国内においても、首都直下地震や南海トラフ地震等の発生が高い確率で想定されており、今後も中長期的に自然災害による影響が懸念されています。これらの大規模災害が発生した場合、当社グループ従業員及びその家族への被害、事務所・工場等の拠点設備の損壊、電力・ガス・水道等のユーティリティーの停止、物流の停滞等により、重要な経営資源が損失し、事業活動の停止又は縮小が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業継続及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
本リスクへの対応体制として、当社グループでは、大規模災害に直面した場合でも人命を第一とした上で、従業員・お客様・ステークホルダーにとって必要な支援・サービス等を継続するため、「災害BCP基本方針」のもと、速やかに災害対策本部を立ち上げる体制を整備しています。
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[主なリスクと影響]
大規模な自然災害(地震、噴火、津波、風災、水災等)や火災・爆発事故等が発生した場合、当社グループの従業員及び施設設備に人的・物的被害が生じる可能性があります。これに伴い、生産設備の停止、物流機能の停滞、サプライチェーンの分断等が発生し、製品供給やサービス提供の遅延・中断、ビジネス機会の損失による収益減少など、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
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[主な対応策]
当社グループでは、大規模自然災害や事故等の発生時に迅速かつ適切な対応を行うため、災害対策本部を中心とした危機管理体制の整備を進めてきました。災害発生時には、各拠点やグループ各社から迅速に情報を収集し、適切な判断・対応を行うため、安否確認や拠点被害報告等の情報収集システムを活用し、初動対応及び事業継続対応を実施しています。
また、オールハザード型BCP(注1)への更新に向け、災害対策本部初動対応マニュアルの見直しや、BCP策定のための事業影響度分析を実施するとともに、自然災害リスク(地震等)の定量評価を行い、当社への影響の把握に取り組んでいます。
さらに、社内教育としては、拠点訓練の実効性向上に向けた支援のほか、定期的な災害対策本部訓練や従業員向けのシステム操作確認訓練及び防災教育e-learningを実施し、初動対応力の強化を図ってきました。今後も、災害リスクの継続的な評価とBCPの高度化を進めるとともに、訓練・教育の充実及び危機管理体制の強化を通じて、事業継続能力とレジリエンスのさらなる向上に取り組んでいきます。
(注1) オールハザード型BCP : リスク(原因事象)を問わず、必要な経営資源が何らかの理由で被害を受けた場合の(結果事象)の影響に基づき、対応策を考える事業継続計画
(基盤5)労働安全衛生に関するリスク
[概要]
近年、企業における労働災害や各種ハラスメント、労働時間管理に対する社会的監視は一層厳しさを増しており、情報化社会の進展により不祥事は瞬時に顕在化し、その対応の適否が企業価値に直結する可能性があります。また、労働者の権利意識の高まりは潜在的課題を顕在化させ、社会的責任の履行が一層強く求められています。当社グループにおいても、これらの問題は単なる法令遵守にとどまらず、経営基盤に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクとして認識しております。
本リスクへの対応体制として、企業価値向上に最も重要な要素である「人財」を守り、その多様性を尊重して働きやすい職場環境の維持向上を図るため、当社グループ各事業の統括責任者により構成する「労務安全衛生部会」が中心となり、グループ横断的にリスクを把握・共有し、適切な対策を迅速に講じることができる体制を整備しております。
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[主なリスクと影響]
・労働災害の発生によって、従業員の生命・身体に重大な被害を及ぼすとともに事業運営への支障が発生し、これらが継続的に発生した場合には、操業停止等の行政処分、社会的評価や生産性の著しい低下などの影響が生じる可能性があります。
・法令違反となる労働慣行、過労による疾病及びハラスメントの発生によって、休職・退職の増加及び社会的信用の毀損が生じ、人財確保への影響が生じる可能性があります。
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[主な対応策]
当社グループでは、従業員を守る「安全」を最優先とすることを不変の基本方針として位置付け、「ニッスイグループ安全宣言」のもと、各社・各事業所における安全活動を推進してきました。2025年度からは、安全最優先の考え方を改めて徹底し、管理者のみならず従業員一人ひとりが自ら及び同僚の安全を守るという意識のもと、安全活動に主体的に参画し、それが定着した「安全文化の醸成」に取り組んでいます。
2026年度は、全事業所・全従業員参画による「安全宣言」の継続的な実践に加え、安全文化をグループ共通の価値観として浸透させるための教育ツールの整備・展開を進めます。また職長教育やリスクアセスメント実践者教育等の階層別教育の強化に加え、管理者や安全担当者に限らず全従業員が安全パトロールに参画できる体制の構築を進め、他職場とのクロスパトロールの拡充を図り、従業員一人ひとりの意識向上及び安全活動全体の高度化を図ります。昨年度は国内グループ全体で1ヶ月休業災害ゼロを達成しましたので、2026年度は2ヶ月連続の達成を目指し、最終的には労災ゼロという理想に近づけていきます。
ハラスメントについては、2022年に経営トップから国内グループ全体に発信した「ハラスメント撲滅宣言」に基づき、「ハラスメントをしない、させない、許さない、そして見過ごさない」という強力な企業風土づくりに取り組んでいます。2026年度は引き続き実態を把握・分析し、その結果を踏まえた対応体制の整備及び必要な教育研修を実施するとともに、カスタマーハラスメント防止に関する法令の動向も踏まえてグループとしての対応方針を明確化し、周知徹底を図っていきます。
労働時間管理についても、毎月の勤怠状況の確認を通じて、法令及び労使協定の遵守を徹底しており、これを継続します。加えて、当社グループに対しては、各社の課題への対応状況及び運営の適切性を確認するため、定期的な実態調査を実施するとともに、必要に応じて個別対応を実施していきます。その結果として、36協定等の順守に加えて、労働時間全体の対前年比削減の実現を目指します。
当社海外グループに対する活動は、各地域の法規制や運用状況の把握を起点とした基盤整備が課題であると認識しており、安全宣言に示す安全最優先の理念を改めて海外グループ会社にも展開し、それを契機として安全活動に関する海外各社との情報共有・連携の具体化を図ります。
今後も、安全文化のさらなる定着と労働災害の未然防止に向けて、安全管理体制及び教育体制の高度化を進めるとともに、ハラスメント防止や適正な労務管理の徹底を通じて、従業員が安心して働くことのできる職場環境の整備を推進します。また、海外グループ会社を含めたグループ共通の安全基準の整備と運用の強化を進め、グローバルベースでの労働安全衛生水準の向上に取り組んでいきます。
(基盤6)地政学的問題に関するリスク
[概要]
近年、地政学的な要因が事業に影響を及ぼす可能性を考慮する必要性が高まっていると認識されています。例えば、当社グループが事業を展開するエリアにおいて、国境封鎖、制裁、輸出入規制、主要輸送ルートの遮断など国際貿易が阻害されるリスクが想定され、これらが顕在化した場合には、当社グループの中長期経営方針の実行や業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
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[主なリスクと影響]
・サプライチェーンにおける政治的・軍事的・社会的な情勢変化等によって、製品供給・サービス提供の遅延や中断・停止が発生し、ビジネス機会の喪失などの影響が想定されます。
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[主な対応策]
当社グループでは、紛争、経済制裁、輸出規制の強化等の地政学的リスクに関する動向について、国内外の情報源を活用した継続的な情報収集及び分析を行ってきました。加えて、複数のリスクシナリオに基づく影響評価を実施しています。現状、主に事業展開国・地域におけるカントリーリスクの調査及び評価を中心に対応を進めておりますが、地政学リスクは地域を超えてサプライチェーンや物流網、エネルギー価格等へ影響を及ぼすことから、海外拠点を含めたリスク把握及び対応体制のさらなる強化が重要課題であると認識しています。
これを踏まえ、主要原材料・製品について調達先の分散化や代替調達先の確保、複数拠点からの供給体制の構築を進めるとともに、海外拠点を含めた情報収集ネットワークの整備や、有事を想定した対応方針の策定・訓練の実施等に取り組んでいます。また、サプライチェーンの可視化及び在庫戦略の見直しを通じて供給途絶リスクの低減を図るほか、定期的なモニタリングにより対応策の高度化を進めています。
今後も、中東情勢をはじめとするグローバルな情勢変化を注視しながら、海外を含むリスク管理体制の強化とサプライチェーンの強靭化を推進し、事業活動への影響の最小化に努めていきます。