有価証券報告書-第154期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 14:00
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【項目】
145項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容につきましては、合理的に予見することが困難であることから記載しておりません。また、以下に記載したリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。そのため、記載されていないリスク要因によっても、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 為替の変動について
当社グループは、国内外において生産、調達および販売活動を行っており、製品の輸出、銅精鉱を中心とする原材料の輸入および製錬加工料収入について為替変動の影響を受けます。そのため、為替予約取引等を利用してリスクの軽減を図っておりますが、為替が大きく変動した場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(2) 非鉄金属市況の変動について
当社グループの主製品の一つである電気銅等非鉄金属の価格は、国際市況を反映したLME(London Metal Exchange:ロンドン金属取引所)で決定されたUSドル建ての国際価格であり、国際的な需給バランス、投機的取引、国際政治・経済情勢などにより変動します。そのため、先物取引を利用したヘッジ等によりLME価格の変動による影響の最小化を図っておりますが、LME価格が大きく変動した場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、銅精鉱調達のため海外鉱山に出資を行っておりますが、LME価格の変動は出資先の銅鉱山の経営成績等に影響を与え、その影響が当社グループにも及ぶ可能性があります。
(3) 金利について
当連結会計年度末における当社グループの借入金の連結貸借対照表計上額は696億83百万円と、総資産の31.9%を占めております。そのため、金利の上昇により負債コストが増加した場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。なお、市場金利が上昇した場合には資金調達コストが増加する可能性がありますが、当社グループでは、固定金利等の種々の借入条件を適宜組み合わせることで、急激な金利変動に備えております。
(4) 投資有価証券および土地、その他の固定資産について
当社グループは、歴史上の経緯から、その他有価証券で時価のあるもの、および土地を保有しております。その当連結会計年度末の連結貸借対照表計上額は、その他有価証券で時価のあるものが291億36百万円、土地が534億36百万円となっております。そのため、株価や地価が大きく下落した場合には、減損損失、評価損または売却損が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
なお、有価証券については、毎年、取締役会において個別の銘柄ごとに、保有に伴う便益やリスク等を定性面と定量面の両面から総合的に勘案のうえ、その保有の継続の適否を検証しております。検証の結果、保有の意義が認められないと判断したものについては、売却を進めることとしております。
また、当社グループが保有するその他の固定資産については、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。ロックドリル部門については、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を主因として、営業損失を計上しておりますが、今後、事業環境の変化に伴い、収益性の低下により、投資額の回収が見込まれなくなった場合には、減損損失を計上する可能性があります。
(5) 需要の変動について
当社グループの製品は、日本国内だけでなく海外でも販売されているため、日本、北米、欧州、アジアなどの主要市場において大きな景気変動があった場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループには、製品の特性上、売上高に占める国内の公共事業関連の割合が高い事業があるため、公共投資額に大きな変動があった場合も、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(6) カントリーリスクについて
当社グループは、販売網の拡大やコスト競争力の強化、為替リスク低減等のために、グローバルに生産、調達および販売活動を行っております。そのため、現地における政情不安、急激な経済の減速、治安の悪化、貿易上の制裁措置、文化や法制度の相違、特殊な労使関係、テロ等の要因により問題が発生し、事業の円滑な遂行に支障が生じた場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(7) 自然災害、感染症のまん延等の不可抗力について
地震、津波、洪水、台風等の自然災害や大規模火災等の事故により当社グループの生産拠点や調達先が重大な被害を受け、生産設備が損壊し、もしくは物流網に障害が発生する等の事態が生じた場合、または、新型ウイルス等の感染症の世界的なまん延により、当社グループの事業所や保有施設、調達先が操業・運営を行うことができない事態が生じた場合、製品およびサービスの安定的な供給・提供を行うことができなくなり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
なお、2020年初頭に顕在化した新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大について、一部の国や地域を除いて、依然として新型コロナウイルス感染症の感染拡大が継続しており、新型コロナウイルス禍が収束する時期のめどが立っておりません。当社グループは、従業員の感染を防止するために、衛生管理の徹底や在宅勤務等の措置を講じておりますが、このまん延が長期間にわたり継続した場合、従業員の感染による操業停止やサプライチェーンの停滞、顧客の事業活動の停止や縮小等による売上高の減少により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、従業員の安全を確保し、各事業の持続可能性を担保するため、以下の措置を講じております。
(新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた対応)
新型コロナウイルスの感染を最大限防止するため、自治体からの在宅勤務等の緊急要請があった該当地域の従業員に対し、2020年2月27日から時差出勤、3月27日から在宅勤務とし、政府の緊急事態宣言が発出された4月7日以降、都度、当社グループ従業員の新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた対応について、周知徹底するとともに、関連情報については、当社グループのウェブサイトにて公表しております。
感染防止のため講じている主な対策在宅勤務や時間短縮勤務、輪番制勤務などによる感染リスクの抑制
事務所内のデスクや会議室のパーテーション設置による飛沫感染の防止
生産工場と最寄り駅を結ぶ送迎バスの増便、社員食堂の入替制
感染防止のため定めている主な対応会議、各種イベント、会食、出張、勤務時間外の対応
健康確保への対応
風邪症状発症時、濃厚接触時の対応

(新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた資金繰りの対応)
当社グループでは、平素より運転資金の効率的な調達を行うため、取引金融機関との間で当座貸越契約および貸出コミットメント契約を締結しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響による万が一の資金需要に即応するため、手元流動性を確保すべく長期運転資金の調達および投資有価証券の売却を行いました。
長期運転資金の調達2020年5月に取引金融機関から長期運転資金100億円を調達(調達した運転資金のうち、80億円を2021年2月に返済)
投資有価証券の売却2020年8月に投資有価証券の売却により54億円の収入

当社グループは、産業機械、ロックドリル、ユニック、金属、電子、化成品、不動産、その他の8つのセグメントで構成されていますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は、セグメントごとに濃淡があり、その影響が及ぶ期間の見通しも不確実な状況です。そのため、感染拡大が当社グループの経営環境に及ぼす影響額を合理的に算定することは困難であります。なお、現段階で想定している当社グループの各セグメントへの主な影響は、以下のとおりです。
(新型コロナウイルス感染症がセグメントごとの経営成績等に与える可能性および主要なリスク)
産 業 機 械産業機械部門の製品の多くは、受注生産を基本とし、主に国内市場を対象としています。国土強靭化、防災、減災のための投資や老朽化した設備の更新、補修などの対策工事に関する需要は安定的であり、工事の中断や延期など新型コロナウイルスの感染拡大による影響も懸念されますが、限定的なものと想定しています。
ロックドリル国内では、ドリルジャンボの需要については、影響はないものの、機械の稼働率の低下や経済の先行き不透明感から新たな機械購入の一時的な見送りなどの影響があった油圧ブレーカ、油圧クローラドリルなどの需要は、2022年3月期半ば以降、徐々に回復することを想定しています。
海外では、中国など一部の国や地域を除いて、依然として経済活動のレベルが低く、機械の稼働率も低い状況が続いています。新型コロナウイルス感染症の収束の時期や回復のレベルに地域差はありますが、2022年3月期は若干の回復にとどまり、本格的な回復は、2023年3月期となることを想定しています。
ユニック国内では、2021年3月期半ば以降、ユニッククレーンの受注は回復傾向にあり、2022年3月期も新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であるものの、広域レンタル会社による投資や業者間取引における需要の本格的な回復には時間を要すると想定しています。
海外では、新型コロナウイルス感染症の影響が大きかった東南アジアや欧米においては回復傾向にあるものの、2022年3月期は若干の回復にとどまり、本格的な回復は、2023年3月期となることを想定しています。
金 属国内の電線需要は、設備投資の抑制による影響で軟調となり、伸銅需要は、自動車生産の拡大に伴う回復により、堅調となることを想定しています。また、原料は、ほぼ予定どおりに調達ができているものの、鉱石買鉱条件については、新型コロナウイルス感染症の影響で新規銅鉱山プロジェクトが遅延し、供給が不足する一方、中国銅製錬メーカーの旺盛な需要を主因として、需給がひっ迫し、悪化しています。
電 子電子部門の製品の多くは、スマートフォンや各種電気機器、自動車、航空機などの原材料や部品であり、2021年3月期第2四半期以降、需要は回復傾向にあります。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、再びこれらの産業の生産活動に影響を及ぼす場合には、主力製品である高純度金属ヒ素や結晶製品、コイルなどの需要の減少につながる懸念はありますが、回復の傾向は継続するものと想定しています。
化 成 品新型コロナウイルス感染症の感染拡大が硫酸などの需要に影響を及ぼしたものの、化成品部門の製品の多くは、下水処理や排水処理用の薬剤などライフラインに関連するものであり、2022年3月期には、顧客の在庫調整も終了し、需要が回復するものと想定しています。なお、亜酸化銅や酸化銅などの一部の原料の調達面での影響は、2022年3月期前半まで継続するものと想定しています。
不 動 産主力ビルである室町古河三井ビルディング(商業施設名:COREDO室町2)の商業テナントに対し、賃料の一部減免を実施するなど、新型コロナウイルス感染症の影響下においても営業を継続するための支援を講じております。しかしながら、来館者が平常時の状況に戻るまでは時間を要し、また、契約が終了した店舗の後継テナントの入居には時間を要するものと想定しています。

(8) 品質について
当社グループは、世界的に認められている品質管理基準に従って製品を製造するとともに、その管理体制の確立および維持向上に努めております。しかしながら、全ての製品について、将来にわたって欠陥が発生しないという保証はありません。そのため、生産物賠償責任保険やリコール保険等に加入することでリスクに備えておりますが、想定を超える大規模な製造物責任やリコールにつながる製品の欠陥が発生した場合、または当社グループおよびその製品への信頼が失われた場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(9) 新製品開発について
当社グループは、顧客のニーズを満たす新技術、新機能を備えた製品を市場投入すべく、積極的に新製品の開発に取り組んでおります。しかしながら、一部の事業においては、製品ライフサイクル上の成熟期に位置する取扱製品があり、そのような製品は、競合他社製品との差別化を図ることが困難であることから、利益率が低下する可能性があります。そのため、そのような事業において、将来の柱となるような新製品を開発・市場投入できない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(10) 人材確保について
当社グループは、将来に向けて成長していくため、新卒、中途を問わず優秀な人材を採用し、戦力化するための育成を行っております。しかしながら、事業に必要とされる人材の確保等を十分に行うことができなかった場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(11) 環境保全について
当社グループは、国内外の各事業所において、関係法令に基づき環境保全および環境安全対策ならびに公害防止に努めており、特に、国内休鉱山における坑廃水による水質汚濁防止や集積場(堆積場)の保安等の鉱害防止については、必要な措置を講じております。しかしながら、関係法令の改正等により規制が強化された場合、また、各事業所において不測の事態が発生した場合、その対応に要するコストが増加し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(12) 公的規制について
当社グループは、国内外において事業を展開していることから、許認可、租税、環境、労務、独占禁止、輸出管理等に関する各国の法規制を受けております。当社グループは、これらの公的規制の遵守に努めておりますが、法令の改正等により規制が強化され、または新たな規制が制定された場合は、対応コストの増加や事業の継続への影響など、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(13) 退職給付債務について
当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、確定給付企業年金制度および退職一時金制度を設けており、当連結会計年度末における退職給付債務および年金資産に基づき退職給付に係る負債を計上しております。しかしながら、退職給付債務等の計算の基礎として採用した割引率や長期期待運用収益率等の前提条件と実際の結果との間に差異が生じた場合、または前提条件が変更された場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
なお、上記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月29日)現在において当社グループが判断したものです。