有価証券報告書-第94期(2024/04/01-2025/03/31)
(2) 戦略
TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動が及ぼすリスク・機会に関して、1.5℃シナリオおよび4℃シナリオにて分析を行いました。1.5℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行に伴い、炭素税の導入や再生可能エネルギーへの転換などの施策・規制が進むことによる事業への影響が考えられます。4℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行が進まず、異常気象の激甚化による洪水被害などの物理的な面での影響を想定しております。
(A) 主要なリスクおよび機会と影響度
気候変動シナリオをもとに当社の全事業に与えるリスク・機会を分析し、以下の項目を抽出いたしました。抽出したリスク・機会の項目が事業に与える影響を定性・定量評価し、対応策を立案し、レジリエンスを高めております。
当社としては、気候変動リスクの時間軸を短期(1~3年)、中期(4~5年)、長期(6~25年)とし、リスク・機会が当社に与える影響度合としては、財務的影響額(大:売上高の20%以上、中:売上高の10%以上20%未満、小:売上高の10%未満)とし判断しております。
(B) 特に重要と認識したリスクおよび機会
洗い出したリスクおよび機会に関しては、それぞれにおいて影響度合いを評価しておりますが、主要項目についてはより掘り下げた分析を行い、その対応策を検討し、リスクの最小化および機会の最大化に努めております。
(a) 移行リスク:カーボンプライシングの導入
■リスク・機会の認識
1.5℃目標(2030年までに2013年比で温室効果ガス排出量を46%削減)達成に向けたCО2排出規制強化により、自社Scope1,2に対しての炭素税(カーボンプライシング)の負担の増加が想定されます。
■対応策:リスク回避
将来の炭素税リスクに対応すべく、中温化アスファルト混合物の製造を推進し、製造プロセスにおけるエネルギー使用量の削減に取り組んでまいります。さらに、省エネルギー設備の導入による生産効率の向上を図るとともに、太陽光発電設備の導入をはじめとする再生可能エネルギーの利用拡大を進め、GHG排出量の削減を目指してまいります。また、省エネルギーに貢献する製品・加工技術の開発や提供など、多様な視点から持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。
(b) 物理リスク:平均気温の上昇
■リスク・機会の認識
4℃シナリオにおける環境下では、気温上昇により熱中症被害が拡大することが想定されます。現状の熱中症対策コストに2030年の熱中症被害増加率を乗算し、リスク評価を実施いたしました。その結果、2023年と比較し、2030年時点で12百万円のコスト上昇が想定されます。
■対応策:リスク回避
将来の熱中症リスクの増加や酷暑時間帯の作業制限による生産性の低下に対応するため、作業従事者の健康管理の徹底を図り、適切な休憩時間の確保や作業環境の改善を推進してまいります。さらに、ICTを活用した施工の効率化を進めることで、酷暑時間帯を最小限に抑えつつ、生産性の維持・向上を目指してまいります。これらの施策を通じて、作業の安全性と効率性を両立し、持続可能な労働環境の確保に取り組んでまいります。
(c) 物理リスク:台風・洪水のような異常気象の深刻化・増加
■リスク・機会の認識
4℃シナリオにおける環境下では、異常気象の激甚化により洪水発生確率が最大になることが想定されます。対象範囲を全事業とし、国内全拠点におけるリスク評価を実施いたしました。その結果、8拠点に浸水リスクがあることが判明いたしました。
これにより、設備などの固定資産への被害、業務停止に伴う売上機会損失の可能性が想定されます。その他の拠点についても、リスクの程度を定量評価し、対策を検討しております。
■対応策:リスク回避
気候変動による物理リスクに対して、ハザードマップを活用した洪水リスクの調査や被害予想額の算定を実施し、設備に対する浸水を想定した対策を強化いたします。今後は、防災・減災対策の最新情報を収集して、洪水発生時の被害軽減と迅速な事業復旧のための予防策を検討してまいります。
(3) 人的資本への対応
当社グループは多様な人材が能力を活かして活躍できる、活力に満ちた働き甲斐のある職場づくりに努めております。特に「健康(心・身体)」と「教育」を中心に人材育成を行っております。
「健康(心・身体)」に関しましては、健康診断の100%実施、診断結果に基づく産業医によるフォローアップ状況の管理、ストレスチェックの実施、高ストレス者に対する第三者(外部)によるカウンセリング、ストレスの軽減対策を行い、社員の健康維持に努めております。また、あらゆるハラスメント行為、不正行為および企業倫理に反する行為の通報・相談窓口に、当社の総務部長直通および外部専門機関を内部通報窓口として設置しております。
「教育」に関しましては、社員教育実施規程に基づき新入社員教育(3年間のフォローアップ教育を含む)、初級社員教育、中級社員教育等の各年次による集合研修のほか、能力・専門知識の習得を目的とした外部講師による中堅社員教育、特別教育を行っております。また、資格取得のバックアップ体制を整え、各自のスキルアップを促しております。
多様性の確保につきまして、当社グループは、持続的な成長のためには多様な人材が活躍できることが不可欠であると考えておりますが、若年層を中心に就業意識も変化しており、人材の獲得に苦戦している状況であります。そのような状況のもと、多様な人材が仕事と家庭を両立し、最大限に能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取り組み、ワークライフバランス研修やパワーハラスメント研修等を行っております。
TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動が及ぼすリスク・機会に関して、1.5℃シナリオおよび4℃シナリオにて分析を行いました。1.5℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行に伴い、炭素税の導入や再生可能エネルギーへの転換などの施策・規制が進むことによる事業への影響が考えられます。4℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行が進まず、異常気象の激甚化による洪水被害などの物理的な面での影響を想定しております。
| 1.5℃シナリオ | 4℃シナリオ | |
| 社会像 | 2100年までの平均気温上昇を2℃未満に抑えるため、脱炭素社会を実現する施策・規制が実施される世界 | 2100年までの平均気温上昇が約4℃上昇することにより、気候変動による異常気象の激甚化が進行し、物理的影響が生じやすい世界 |
| 参照シナリオ | ● IPCC SSP1-1.9 ● IEA Net Zero Emission by 2050 Scenario | ● IPCC AR6 SSP5-8.5 |
| 対象 | 全事業 | |
(A) 主要なリスクおよび機会と影響度
気候変動シナリオをもとに当社の全事業に与えるリスク・機会を分析し、以下の項目を抽出いたしました。抽出したリスク・機会の項目が事業に与える影響を定性・定量評価し、対応策を立案し、レジリエンスを高めております。
当社としては、気候変動リスクの時間軸を短期(1~3年)、中期(4~5年)、長期(6~25年)とし、リスク・機会が当社に与える影響度合としては、財務的影響額(大:売上高の20%以上、中:売上高の10%以上20%未満、小:売上高の10%未満)とし判断しております。
| 社会の変化 | リスク項目 | 時間軸 | 影響度 | 対応策 | |
| 移行リスク | GHG排出に関する規制の強化 | 排出削減を目的とした設備や再生可能エネルギーの導入費用が増加 | 短~長期 | 中 | ・長期的な目線でコスト回収をしていく |
| 1.5℃シナリオ | カーボンプライシングの導入 | 操業時の排出量に対するカーボンプライシングや課税がコストを押し上げる要因となる | 中~長期 | 中 | ・中温化アスファルト混合物の製造 ・省エネルギー設備の導入 ・再生可能エネルギーの利用拡大 |
| 物理リスク | 平均気温の上昇 | 熱中症リスクの増加や酷暑時間帯の作業制限による生産性の低下 | 中~長期 | 中 | ・作業従事者の健康管理の徹底 ・ICTを活用した施工の効率化 |
| 降雨や気象パターンの変化 | 天候不良により工事工程が遅れ、工数と費用が増大 | 中~長期 | 小 | ・天候不良による作業ロスを踏まえた 作業計画による追加費用の回避 | |
| 4℃シナリオ | |||||
| 台風・洪水のような異常気象の深刻化・増加 | 工事現場や製造拠点の被災、サプライヤーの被害による原材料供給の停止 | 中~長期 | 大 | ・設備に対する浸水を想定した対策 | |
| 社会の変化 | 機会項目 | 時間軸 | 影響度 | 対応策 | |
| 機会 | 気候への適応策・保険リスク対応の開発 | CО2排出量を低減する中温化アスファルト混合物の需要が拡大 | 短~長期 | 中 | ・中温化アスファルト混合物の製造設備への投資 ・中温化アスファルト混合物の使用促進 |
| 低炭素製品・サービスの開発・拡大 | 中温化舗装の拡充に伴う市場拡大とコスト最適化 | 短~長期 | 中 | ・中温化舗装の供給体制の拡充 ・製品、施工の品質向上を契機とした事業 機会拡大 ・中温化舗装工事の設計提案 | |
| 研究開発・イノベーションによる新規商品・サービスの開発 | コンクリートにCО2を固定化させる技術による持続可能な事業の創出 | 中~長期 | 中 | ・CО2固定化の有効性を検証し、強度や 耐久性を確保 ・施工業者・材料メーカーとの協業を推進 | |
| 社会インフラの更新、国土強靭化対策 | 道路舗装の高耐久、長寿命化の重要性が高まる | 短~長期 | 大 | ・高耐久・長寿命化舗装工法の拡大 ・高耐久舗装やリサイクル製品の新規開発、販売 | |
| 降雨対策 | 流出抑制工法や雨水貯留浸透施設の重要性が高まる | 短~長期 | 大 | ・ポーラスコンクリート舗装「パーミアコン」や雨水貯留浸透施設「リ・タンスイシステム」の事業機会および市場の拡大 | |
(B) 特に重要と認識したリスクおよび機会
洗い出したリスクおよび機会に関しては、それぞれにおいて影響度合いを評価しておりますが、主要項目についてはより掘り下げた分析を行い、その対応策を検討し、リスクの最小化および機会の最大化に努めております。
(a) 移行リスク:カーボンプライシングの導入
■リスク・機会の認識
1.5℃目標(2030年までに2013年比で温室効果ガス排出量を46%削減)達成に向けたCО2排出規制強化により、自社Scope1,2に対しての炭素税(カーボンプライシング)の負担の増加が想定されます。
| 財務影響額試算 | |
| [財務影響額算出における前提条件] | |
| 2030年のGHG排出量を、2パターンで算定。 | |
| (A)想定される炭素税コスト | (A)2013年からの売上成長率と同様にCО2排出量も増加すると想定した場合 |
| (最大) | (B)削減目標を達成した場合 |
| 2030年時点:約900百万円 | |
| ■排出量 | |
| (B)想定される炭素税コスト | (A)2030年時点:45.5千t-CO2e |
| (最小) | (B)2030年目標:14.8千t-CO2e |
| 2030年時点:約300百万円 | |
| ■炭素税(※) | |
| 2030年の炭素税価格:$140/t-CO2e | |
| 為替レート:1ドル 141.56円 | |
| ※炭素税価格:「IEA WEO2024 Net Zero Emissions by 2025 Scenario」参照 | |
| 為替レート:2023年度の年間平均を使用 | |
■対応策:リスク回避
将来の炭素税リスクに対応すべく、中温化アスファルト混合物の製造を推進し、製造プロセスにおけるエネルギー使用量の削減に取り組んでまいります。さらに、省エネルギー設備の導入による生産効率の向上を図るとともに、太陽光発電設備の導入をはじめとする再生可能エネルギーの利用拡大を進め、GHG排出量の削減を目指してまいります。また、省エネルギーに貢献する製品・加工技術の開発や提供など、多様な視点から持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。
(b) 物理リスク:平均気温の上昇
■リスク・機会の認識
4℃シナリオにおける環境下では、気温上昇により熱中症被害が拡大することが想定されます。現状の熱中症対策コストに2030年の熱中症被害増加率を乗算し、リスク評価を実施いたしました。その結果、2023年と比較し、2030年時点で12百万円のコスト上昇が想定されます。
■対応策:リスク回避
将来の熱中症リスクの増加や酷暑時間帯の作業制限による生産性の低下に対応するため、作業従事者の健康管理の徹底を図り、適切な休憩時間の確保や作業環境の改善を推進してまいります。さらに、ICTを活用した施工の効率化を進めることで、酷暑時間帯を最小限に抑えつつ、生産性の維持・向上を目指してまいります。これらの施策を通じて、作業の安全性と効率性を両立し、持続可能な労働環境の確保に取り組んでまいります。
(c) 物理リスク:台風・洪水のような異常気象の深刻化・増加
■リスク・機会の認識
4℃シナリオにおける環境下では、異常気象の激甚化により洪水発生確率が最大になることが想定されます。対象範囲を全事業とし、国内全拠点におけるリスク評価を実施いたしました。その結果、8拠点に浸水リスクがあることが判明いたしました。
これにより、設備などの固定資産への被害、業務停止に伴う売上機会損失の可能性が想定されます。その他の拠点についても、リスクの程度を定量評価し、対策を検討しております。
| 財務影響額試算 | |
| ● リスク評価は、洪水発生時の想定浸水深について、国土交通省が提供する | |
| パターン(A):50.5百万円 | 『重ねるハザードマップ』を活用して検証しております。 |
| パターン(B):3,367百万円 | ● 想定される浸水リスクに関しては、以下の2つの前提※に基づき財務影響額を |
| 試算しております。 | |
| パターン(A):年超過確率および発生確率を考慮した試算 | |
| パターン(B):年超過確率および発生確率を考慮しない試算 | |
| ※パターン(A)は年超過確率や発生確率を加味した期待値ベースの影響額であり、 | |
| パターン(B)は確率的要素を考慮せずに想定最大影響額を試算した結果となります。 | |
■対応策:リスク回避
気候変動による物理リスクに対して、ハザードマップを活用した洪水リスクの調査や被害予想額の算定を実施し、設備に対する浸水を想定した対策を強化いたします。今後は、防災・減災対策の最新情報を収集して、洪水発生時の被害軽減と迅速な事業復旧のための予防策を検討してまいります。
(3) 人的資本への対応
当社グループは多様な人材が能力を活かして活躍できる、活力に満ちた働き甲斐のある職場づくりに努めております。特に「健康(心・身体)」と「教育」を中心に人材育成を行っております。
「健康(心・身体)」に関しましては、健康診断の100%実施、診断結果に基づく産業医によるフォローアップ状況の管理、ストレスチェックの実施、高ストレス者に対する第三者(外部)によるカウンセリング、ストレスの軽減対策を行い、社員の健康維持に努めております。また、あらゆるハラスメント行為、不正行為および企業倫理に反する行為の通報・相談窓口に、当社の総務部長直通および外部専門機関を内部通報窓口として設置しております。
「教育」に関しましては、社員教育実施規程に基づき新入社員教育(3年間のフォローアップ教育を含む)、初級社員教育、中級社員教育等の各年次による集合研修のほか、能力・専門知識の習得を目的とした外部講師による中堅社員教育、特別教育を行っております。また、資格取得のバックアップ体制を整え、各自のスキルアップを促しております。
多様性の確保につきまして、当社グループは、持続的な成長のためには多様な人材が活躍できることが不可欠であると考えておりますが、若年層を中心に就業意識も変化しており、人材の獲得に苦戦している状況であります。そのような状況のもと、多様な人材が仕事と家庭を両立し、最大限に能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取り組み、ワークライフバランス研修やパワーハラスメント研修等を行っております。