訂正有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)オリオングループの経営理念
当社グループは「沖縄から、人を、場を、世界を、笑顔に。」というMission実現のため、Core Valuesの実践を通して企業文化の醸成を図り、Visionとしているそれぞれの具体的な価値を各ステークホルダーに提供いたします。

(2)経営環境及び経営の基本方針、経営戦略
当社グループでは、「オリオン」ブランドを掲げて沖縄に根差したビジネスを展開しており、マザーマーケットである沖縄県は、豊富な観光資源と地理的な優位性により、人口146.9万人(2023年)に対して、2024年の入域観光客数は995万人とハワイ(969万人)に匹敵する観光客が訪れるマーケットとなっています。沖縄への入域観光客数及び沖縄県の観光収入は、2011年より堅調に推移し2018年度のピーク後にコロナ禍の影響を受け大幅に減少しましたが、2020年度を底に回復基調にあり、今後も増加していくことが想定されています(出所:沖縄県「入域観光客統計概況」、「観光収入・経済効果波及」、南西地域産業活性化センター「沖縄県経済の2035年度までの長期見通し:過去投影ケース」(2025年4月25日))。また、2025年7月には沖縄県北部にテーマパーク「ジャングリア沖縄」が開業し、2026年度には火災により焼失した首里城正殿の復元等が予定されていることなど観光コンテンツの充実によりインバウンドの増加が見込まれることから、観光客一人当たりの消費金額や平均滞在日数は増加基調で推移することが想定されます(出所:沖縄県「令和5年版観光要覧」)。こうしたなか、当社グループは沖縄での強固なブランド力を強みに、インバウンドを含む観光需要を享受しつつ、沖縄県外及び海外市場開拓による高成長を実現する経営戦略として、2025年4月より5ヵ年の中期経営計画を推進しています。
中期経営計画では「沖縄と共に循環成長するビジネスモデルの強化」を目標として、a. 沖縄の魅力の詰まった商品・サービスの提供、b. 強固なグループ収益構造の構築、c. サステナビリティ経営基盤の整備とインパクトの創出を推進してまいります。

<オリオンビール全社基本方針>a.沖縄の魅力の詰まった製品、サービスの提供
「ブランド」「観光客」「地域とのつながり」という酒類清涼飲料事業と観光・ホテル事業の両事業に共通な資産を基盤として事業展開を行い、その基盤の増強と両事業のシナジーを強化することで持続可能な企業価値向上を実現し、沖縄の魅力向上に貢献してまいります。

b.強固な事業基盤の構築
収益性の改善を柱にROE15%以上を目標として、グループ・事業セグメントでの取組に注力してまいります。
c.サステナビリティ経営基盤の整備とインパクトの創出
当社グループは、沖縄と共に循環成長するビジネスモデルの土台を形成する優先取組事項として、サステナビリティ経営基盤の整備とインパクトの創出に取組み、具体的なアクションをとってまいります。詳細は、2.「サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
<両事業共通課題の全体像>当社グループのマザーマーケットである沖縄県は、米国のハワイ州に匹敵する年間約1,000万人*1の観光客が訪れる日本の南国リゾートであり、今後も観光需要の増加による成長が見込まれています。
オリオンブランドは、沖縄と共に育ち、沖縄県民そして観光客に強く認知されているブランドであり、沖縄の観光成長を取り込むことができる事業基盤を有しています。沖縄県内に所在する飲食店約7,400店*2のうち当社は5,800店にビールサーバーを設置しており、密度の高い消費者とのタッチポイントを有しています。沖縄県内でのビールの販売シェアはアサヒビール株式会社のライセンス商品の販売も含めると、83.8%*3と高水準となっています。観光客の認知度では、96.9%*4と多くの観光客がオリオンブランドを認知しているとのデータが出ています。また、オリオンブランドは、国内ビール5社を含む11業界の82ブランドにおいて「顧客幸福度」*5最上位のビールブランドとの調査結果もあり、結果として、当社の沖縄県内売上高は、既にコロナ禍前を上回る水準まで回復しており、堅調に推移しています。
沖縄県内市場における酒類清涼飲料事業は、コロナ禍以降の観光客の「戻り」に合わせて成長軌道に入り、堅調に推移しています。沖縄の風味を届けるRTD等の様々な酒類は沖縄県民や観光客の多様化するニーズを捉えております。今後も、沖縄県内で培ったブランド力を糧に沖縄県外にも積極的に展開していきます。
また、酒類清涼飲料事業における海外事業について、オリオンブランドは沖縄観光体験を通じて世界に広がりつつあり、成長を遂げています。従前から一定程度の認知度があったアジア圏と米国、豪州を中心に2021年3月期から2024年3月期にかけて、年率30%超の売上高成長を実現しており、今後の成長ドライバーとして推進して参ります。
2024年6月には近鉄グループホールディングス株式会社と資本業務提携契約を締結し、今後、同社グループとの連携による送客や、専門人材の派遣をはじめとした観光ノウハウの活用等、観光・ホテル事業の強化を図って参ります。また、2025年7月開業のテーマパーク(ジャングリア沖縄)との連携も進めており、更なる観光需要の拡大に備え準備をしております。

出所:沖縄県「入域観光客統計概況」、「観光収入・経済効果波及」、「観光収入・人泊数の概況
(速報)」、南西地域産業活性化センター「沖縄県経済の2035年度までの長期見通し(過去投影
ケース)」(2025年4月25日)
注:2023年度以前は「入域観光客統計概況」および「観光収入・経済効果波及」の数値を使用。
2024年度は、「入域観光客統計概況」および「観光収入・人泊数の概況(速報)」の数値を使用。
予測値は「沖縄県経済の2035年度までの長期見通し」の数値を使用。

出所:沖縄県「令和5年版観光要覧」

出所:沖縄県「令和5年版観光要覧」

*1 沖縄県「入域観光客統計概況」、「観光収入・経済効果波及」、「観光収入・人泊数の概況(速報)」、南西地域産業活性化センター「沖縄県経済の2035年度までの長期見通し(過去投影ケース)」(2025年4月25日)
*2 総務省統計局「令和3年経済センサス活動調査結果」における沖縄県の産業別民営事業所数(飲食店)から、「喫茶店」、「管理、補助的経済活動を行う事業所」及び「その他の飲食店」を除外した数
*3 国税庁「令和5年度間接税(酒税) - 酒類の販売(消費)数量」記載の沖縄県におけるビール販売数量(単位:kl)を分母、当社の「同年度の当社ビール販売数量(単位:kl)」を分子として算出。なお、当社ビール販売数量には、アサヒビールからのライセンスによって製造した商品、及び、仕入れした商品の販売も含む
*4 「観光客のオリオンビールの認知度」とは、沖縄観光市場におけるオリオンビールの実態を確認し今後のプレスリリース活動に活用する目的で、株式会社おきぎん経済研究所による「沖縄観光における県産酒類の価格需要に関する調査」(調査期間:2024年3月19日~2024年3月20日、調査対象:20歳以上の国内在住者で直近およそ5年以内の沖縄旅行経験者(帰省、仕事及び修学旅行目的を除く。)、調査対象人数:1,030名、調査手法:Webアンケート調査)において、(オリオンビールについて)「ご存知ですか。また、飲食したことがありますか。」との質問に対し、「飲食したことがある」又は「飲食したことはないが、知っている」と回答した割合
*5 「顧客幸福度」とは、「自己の幸せ」「周囲の幸せ」「ブランドの存在への感謝」の3点に関して、(1.まったくそう思わない)(2.そう思わない)(3.あまりそう思わない)(4.まあまあそう思う)(5.そう思う)(6.とてもそう思う)(×わからない・判断できない)の7件法で得点付けを実施。各設問の合計得点を100に換算し、ランキング化。国内ビール5社を含む11業界の82ブランドについて調査。
出所:日経クロストレンド「顧客幸福度」調査2024 調査時期:2023年12月、調査方法:インターネット調査(楽天インサイト)、回答者属性:全国・20~69歳・男女、有効回答数:延べ10,005,800件
<酒類清涼飲料事業>酒類市場では、人口減少や少子高齢化、若年層の飲酒離れ、酒類を提供する飲食店の減少によりコロナ収束後も国内需要の縮小が続くものとみられ、企業間での販売競争が激化することが予想されます。更に原材料コストや人件費の上昇に加え、エネルギーコストの大幅な上昇は製品原価の増大要因となっております。
また、2026年10月の酒税改正に伴う酒税軽減措置廃止は沖縄県内の酒類清涼飲料事業の収益に影響を与える可能性があります。
このような環境下及び見通しのもと、当社グループでは、ビールのみならず、沖縄の風味を活かした多様な商品ラインナップを提供しています。近年特に注力しているのが、RTDです。商品開発による差別化を図り、RTDの売上高過去6年CAGR(Compound Annual Growth Rate、年平均成長率)は36.8%と急速に成長しています。また、沖縄の伝統酒である泡盛やもろみ酢を製造する連結子会社である株式会社石川酒造場は26.6%(2025年3月期)と高い営業利益率となりますが足元は泡盛をベースとしたクラフトジンの提供を始めています。2024年3月に当社初のワインである沖縄県産のパッションフルーツを使用したフルーツワインSouthern Cross Wineryを販売開始しました。Southern Cross Wineryは、想定を上回るペースで販売となり、急遽増産対応するほど好調な販売となっています。また、近年需要が拡大するノンアルコールは「クリアフリー」というブランドを提供、消費者の多様なニーズを捉えるプロダクトを展開しています。
酒類清涼飲料事業では下記に記載のマーケティング戦略をベースに、a.「収益基盤の拡大」b.「収益性の向上」c.「新たな成長ドライバーの開発」を主要戦略として中長期的な収益構造の強化と持続的な事業価値の向上を図ってまいります。
マーケティング戦略
·ブランドスローガン「しぜんと、しぜんに」:沖縄ならではの魅力が詰まった製品やサービス、そこから得られる、自然体に戻れる心地よい時間と空間、そんなブランド体験を通じてお客様の日々を笑顔で満たしていく事がオリオンビールの目指すゴールです。
·ターゲット顧客:大前提として沖縄好きであること。また、生活の中で様々なストレスと闘う毎日を送り、そんな中でも自然体の自分で自分らしく人生を楽しみたいという思いを持った人たち。
·基幹商品:フラッグシップの「オリオン・ザ・ドラフト」をNo.1ブランドとして確立。
·カテゴリー成長:ビール市場において、当社としてカテゴリー成長を促進するため、ビールの概念を覆すような話題性のある新商品開発、新カテゴリーへの挑戦、コミュニケーションを通じて、ビール離れが進んでいる「若年層」を取り込む。
成長分野のRTD市場については、競合との差別化を図りながら、売上と利益を成長させていく。
· 沖縄県をタッチポイントとして活用 :沖縄の価値を観光客や消費者にお届けし、沖縄ファン=オリオンファンを持続的に創出するビジネスモデルを構築。
a.収益基盤の拡大
過去5年間の実績推移にもありますように、沖縄県以外の国内及び海外の事業を拡大することで収益基盤の拡大を図り、収益構造の安定化を図ってまいります。
(酒類事業主要チャネル売上推移 ※1)
※1:売上は新収益認識基準適用前の数値
※2:CAGRは2021年3月期から2025年3月期が対象
(県外)
沖縄県内で培ったブランド力を活かし、沖縄県外への販売にも注力しています。沖縄観光体験を想起するマーケティングによって、全国のトレンドよりも高い数量成長を遂げて、着実に拡大しています。具体的なマーケティングの取り組みとしては、SNSマーケティングの強化や渋谷に期間限定で設置した沖縄旅行体験が味わえるイマーシブ型バーがあります。RTD販売については、代理店とのパートナーシップ強化を行い地域の有力なスーパーマーケットを最重要顧客と設定し一層の販売拡大を図り、沖縄料理店以外への販売を強化し、採用アイテムの拡大を図ってまいります。これらの活動によって、消費者による経験価値の共有・拡散がされるモデルを構築し、更なる県外売上拡大を目指していきます。
(EC)
EC事業においては、新たな販売チャネルとして開発を進めます。具体的には、定期会員の獲得、CRM(Customer Relation Management 顧客との関係構築)の強化、MD(Merchandising 商品の品ぞろえ・管理)の拡充等を進め、沖縄ブランド商品の販売拡大を図ります。
(海外)
海外事業は今後の成長ドライバーになると考えています。2021年に新たに海外事業担当者を選任して、本格的な海外展開拡大を開始しました。当社独自の強みを活かして競争優位を発揮できる市場を選定し、日本国内の同業他社とは異なる「リゾート×ジャパンクオリティ」ブランドであることを訴求することによって、オリオンの認知を高めてきました。また、各国のディストリビューターとの関係を強化し、有力な小売企業へのアクセスが可能になったほか、価格戦略も見直してきたことが奏功し、2023年3月期には営業黒字化(管理会計ベース)を達成しました。また、海外市場向けの「Orion The Dark」や「SHOKUNIN」の投入により、主力ブランドである「オリオン・ザ・ドラフト」だけでなく、複数のブランドポートフォリオで市場への訴求が可能になりました。今後は、各国で培った成功体験と実績を活かし、更なるブランド価値の訴求を行うことに加え、海外でのライセンス製造ビジネスも展開していくことにより、海外売上高の比率を更に拡大することを目指しています。
海外事業における展開エリアについての取り組みは以下のとおりです。
b.収益性の向上
事業の競争力強化、高付加価値商品の拡大販売を図り、収益構造の強化を図ってまいります。
沖縄県内事業については、主要チェーンとの取組強化、観光需要取込に向けたチェーン以外市場の対策強化、2026年10月の酒税改正に伴う酒税軽減措置廃止の影響を受けないウイスキー、ジン、テキーラといった仕入品の販売強化、店頭活動強化のためのマーケットスタッフの増強等、沖縄県内営業リソース強化による競争力強化を進めるとともに、高付加価値で収益性の高い製品群の拡大販売を進めます。また、収益性の高い石川酒造場事業の拡大を図ります。
生産、購買、物流、バックオフィス部門においては、オペレーションの効率化、環境マネジメントシステム強化、原価低減活動やバックオフィス業務のプラットフォーム化等による機能強化と効率化を進めます。
c.新たな成長ドライバーの開発
新たな成長ドライバーを開発することで事業ポートフォリオの選択肢を増やし、持続的な成長を図ってまいります。具体的には、フルーツワイン事業の成長、クラフトビール製造の強化、洋酒の開発、ブランドライセンスビジネス強化等を行います。
ライセンスビジネスの強化に向け、2024年3月期には専任のライセンスマネージャーを採用、ライセンス契約先及び展開商品数の拡大を図ると共に、ショップの拡充や海外展開を推進し、更なる事業の拡大を目指しております。
<観光・ホテル事業>(ホテル事業)
2024年度の沖縄県入域観光客数は995万2,400人と前年度比16.6%増となり、これまで最多を記録した2018年度の99.5%と同水準にまで回復し、過去2番目の入域観光客数となりました。国内客については、台風等の大きな影響もなく、航空会社による増便・臨時便・季節運航等の実績が好調に推移したことから前年度比で増加となり、過去最高を更新しました。また、外国客については、航空路線の再開・新規就航やクルーズ船の寄港回数の増加等により、前年度比81.4%増となりました。
このような環境下及び見通しのもと、当社グループでは、沖縄の価値を観光客や消費者に届けるため、ホテルを通じた体験機会を提供しています。「オリオンホテルモトブリゾート&スパ」は年間約350万人の集客力を誇る美ら海水族館に隣接するほか、2025年7月開業のテーマパーク「ジャングリア沖縄」に近接し、そのオフィシャルホテルに認定されるなど、観光需要を取り込む好条件に恵まれております。2024年3月期にリニューアル工事の効果を最大化すべく、レベニューマネジメントを強化し、一層の観光客の取り込みを図ります。

これらの課題に対処するためホテル事業では、当社グループのリソースを有効活用し、保有アセットに「オリオン」ブランドを付加し、魅力的な沖縄体験の提供を通じてバリューアップを図ることでグループシナジーを創出してまいります。具体的には、a.「単価向上」、b.「客数向上」、c.「生産性向上」を主要戦略として事業価値の向上を図ってまいります。
a.単価向上
沖縄観光需要の増加による機会を獲得するべく、季節性・顧客属性・地域イベントや市場価格動向等の精緻な分析によるレベニューマネジメントの高度化に取り組むとともに、沖縄に訪れる観光客の多様な価値観を踏まえたファミリー向けコンテンツの拡充と沖縄コンテンツの深化を通じて、平均客室人数および館内滞在時間を拡大してまいります。
b.客数向上
ファミリー向けのルームタイプを拡充して宿泊者数の増加を図るとともに、ジャングリア沖縄等の新たな観光スポットへの需要を取り込んだ宿泊日数の増加も図ります。
c.生産性向上
顧客動線の整流化・効率化及び顧客接点のDX化を図り、生産性を向上してまいります。
(観光事業)
既存アセットの有効活用による収益性の向上を図り、テーマパーク「ジャングリア沖縄」との連携推進により、利益を伴う持続可能な成長を進めてまいります。
(1)オリオングループの経営理念
当社グループは「沖縄から、人を、場を、世界を、笑顔に。」というMission実現のため、Core Valuesの実践を通して企業文化の醸成を図り、Visionとしているそれぞれの具体的な価値を各ステークホルダーに提供いたします。

(2)経営環境及び経営の基本方針、経営戦略
当社グループでは、「オリオン」ブランドを掲げて沖縄に根差したビジネスを展開しており、マザーマーケットである沖縄県は、豊富な観光資源と地理的な優位性により、人口146.9万人(2023年)に対して、2024年の入域観光客数は995万人とハワイ(969万人)に匹敵する観光客が訪れるマーケットとなっています。沖縄への入域観光客数及び沖縄県の観光収入は、2011年より堅調に推移し2018年度のピーク後にコロナ禍の影響を受け大幅に減少しましたが、2020年度を底に回復基調にあり、今後も増加していくことが想定されています(出所:沖縄県「入域観光客統計概況」、「観光収入・経済効果波及」、南西地域産業活性化センター「沖縄県経済の2035年度までの長期見通し:過去投影ケース」(2025年4月25日))。また、2025年7月には沖縄県北部にテーマパーク「ジャングリア沖縄」が開業し、2026年度には火災により焼失した首里城正殿の復元等が予定されていることなど観光コンテンツの充実によりインバウンドの増加が見込まれることから、観光客一人当たりの消費金額や平均滞在日数は増加基調で推移することが想定されます(出所:沖縄県「令和5年版観光要覧」)。こうしたなか、当社グループは沖縄での強固なブランド力を強みに、インバウンドを含む観光需要を享受しつつ、沖縄県外及び海外市場開拓による高成長を実現する経営戦略として、2025年4月より5ヵ年の中期経営計画を推進しています。
中期経営計画では「沖縄と共に循環成長するビジネスモデルの強化」を目標として、a. 沖縄の魅力の詰まった商品・サービスの提供、b. 強固なグループ収益構造の構築、c. サステナビリティ経営基盤の整備とインパクトの創出を推進してまいります。

<オリオンビール全社基本方針>a.沖縄の魅力の詰まった製品、サービスの提供
「ブランド」「観光客」「地域とのつながり」という酒類清涼飲料事業と観光・ホテル事業の両事業に共通な資産を基盤として事業展開を行い、その基盤の増強と両事業のシナジーを強化することで持続可能な企業価値向上を実現し、沖縄の魅力向上に貢献してまいります。

b.強固な事業基盤の構築
収益性の改善を柱にROE15%以上を目標として、グループ・事業セグメントでの取組に注力してまいります。
c.サステナビリティ経営基盤の整備とインパクトの創出
当社グループは、沖縄と共に循環成長するビジネスモデルの土台を形成する優先取組事項として、サステナビリティ経営基盤の整備とインパクトの創出に取組み、具体的なアクションをとってまいります。詳細は、2.「サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
<両事業共通課題の全体像>当社グループのマザーマーケットである沖縄県は、米国のハワイ州に匹敵する年間約1,000万人*1の観光客が訪れる日本の南国リゾートであり、今後も観光需要の増加による成長が見込まれています。
オリオンブランドは、沖縄と共に育ち、沖縄県民そして観光客に強く認知されているブランドであり、沖縄の観光成長を取り込むことができる事業基盤を有しています。沖縄県内に所在する飲食店約7,400店*2のうち当社は5,800店にビールサーバーを設置しており、密度の高い消費者とのタッチポイントを有しています。沖縄県内でのビールの販売シェアはアサヒビール株式会社のライセンス商品の販売も含めると、83.8%*3と高水準となっています。観光客の認知度では、96.9%*4と多くの観光客がオリオンブランドを認知しているとのデータが出ています。また、オリオンブランドは、国内ビール5社を含む11業界の82ブランドにおいて「顧客幸福度」*5最上位のビールブランドとの調査結果もあり、結果として、当社の沖縄県内売上高は、既にコロナ禍前を上回る水準まで回復しており、堅調に推移しています。
沖縄県内市場における酒類清涼飲料事業は、コロナ禍以降の観光客の「戻り」に合わせて成長軌道に入り、堅調に推移しています。沖縄の風味を届けるRTD等の様々な酒類は沖縄県民や観光客の多様化するニーズを捉えております。今後も、沖縄県内で培ったブランド力を糧に沖縄県外にも積極的に展開していきます。
また、酒類清涼飲料事業における海外事業について、オリオンブランドは沖縄観光体験を通じて世界に広がりつつあり、成長を遂げています。従前から一定程度の認知度があったアジア圏と米国、豪州を中心に2021年3月期から2024年3月期にかけて、年率30%超の売上高成長を実現しており、今後の成長ドライバーとして推進して参ります。
2024年6月には近鉄グループホールディングス株式会社と資本業務提携契約を締結し、今後、同社グループとの連携による送客や、専門人材の派遣をはじめとした観光ノウハウの活用等、観光・ホテル事業の強化を図って参ります。また、2025年7月開業のテーマパーク(ジャングリア沖縄)との連携も進めており、更なる観光需要の拡大に備え準備をしております。

出所:沖縄県「入域観光客統計概況」、「観光収入・経済効果波及」、「観光収入・人泊数の概況
(速報)」、南西地域産業活性化センター「沖縄県経済の2035年度までの長期見通し(過去投影
ケース)」(2025年4月25日)
注:2023年度以前は「入域観光客統計概況」および「観光収入・経済効果波及」の数値を使用。
2024年度は、「入域観光客統計概況」および「観光収入・人泊数の概況(速報)」の数値を使用。
予測値は「沖縄県経済の2035年度までの長期見通し」の数値を使用。

出所:沖縄県「令和5年版観光要覧」

出所:沖縄県「令和5年版観光要覧」

*1 沖縄県「入域観光客統計概況」、「観光収入・経済効果波及」、「観光収入・人泊数の概況(速報)」、南西地域産業活性化センター「沖縄県経済の2035年度までの長期見通し(過去投影ケース)」(2025年4月25日)
*2 総務省統計局「令和3年経済センサス活動調査結果」における沖縄県の産業別民営事業所数(飲食店)から、「喫茶店」、「管理、補助的経済活動を行う事業所」及び「その他の飲食店」を除外した数
*3 国税庁「令和5年度間接税(酒税) - 酒類の販売(消費)数量」記載の沖縄県におけるビール販売数量(単位:kl)を分母、当社の「同年度の当社ビール販売数量(単位:kl)」を分子として算出。なお、当社ビール販売数量には、アサヒビールからのライセンスによって製造した商品、及び、仕入れした商品の販売も含む
*4 「観光客のオリオンビールの認知度」とは、沖縄観光市場におけるオリオンビールの実態を確認し今後のプレスリリース活動に活用する目的で、株式会社おきぎん経済研究所による「沖縄観光における県産酒類の価格需要に関する調査」(調査期間:2024年3月19日~2024年3月20日、調査対象:20歳以上の国内在住者で直近およそ5年以内の沖縄旅行経験者(帰省、仕事及び修学旅行目的を除く。)、調査対象人数:1,030名、調査手法:Webアンケート調査)において、(オリオンビールについて)「ご存知ですか。また、飲食したことがありますか。」との質問に対し、「飲食したことがある」又は「飲食したことはないが、知っている」と回答した割合
*5 「顧客幸福度」とは、「自己の幸せ」「周囲の幸せ」「ブランドの存在への感謝」の3点に関して、(1.まったくそう思わない)(2.そう思わない)(3.あまりそう思わない)(4.まあまあそう思う)(5.そう思う)(6.とてもそう思う)(×わからない・判断できない)の7件法で得点付けを実施。各設問の合計得点を100に換算し、ランキング化。国内ビール5社を含む11業界の82ブランドについて調査。
出所:日経クロストレンド「顧客幸福度」調査2024 調査時期:2023年12月、調査方法:インターネット調査(楽天インサイト)、回答者属性:全国・20~69歳・男女、有効回答数:延べ10,005,800件
<酒類清涼飲料事業>酒類市場では、人口減少や少子高齢化、若年層の飲酒離れ、酒類を提供する飲食店の減少によりコロナ収束後も国内需要の縮小が続くものとみられ、企業間での販売競争が激化することが予想されます。更に原材料コストや人件費の上昇に加え、エネルギーコストの大幅な上昇は製品原価の増大要因となっております。
また、2026年10月の酒税改正に伴う酒税軽減措置廃止は沖縄県内の酒類清涼飲料事業の収益に影響を与える可能性があります。
このような環境下及び見通しのもと、当社グループでは、ビールのみならず、沖縄の風味を活かした多様な商品ラインナップを提供しています。近年特に注力しているのが、RTDです。商品開発による差別化を図り、RTDの売上高過去6年CAGR(Compound Annual Growth Rate、年平均成長率)は36.8%と急速に成長しています。また、沖縄の伝統酒である泡盛やもろみ酢を製造する連結子会社である株式会社石川酒造場は26.6%(2025年3月期)と高い営業利益率となりますが足元は泡盛をベースとしたクラフトジンの提供を始めています。2024年3月に当社初のワインである沖縄県産のパッションフルーツを使用したフルーツワインSouthern Cross Wineryを販売開始しました。Southern Cross Wineryは、想定を上回るペースで販売となり、急遽増産対応するほど好調な販売となっています。また、近年需要が拡大するノンアルコールは「クリアフリー」というブランドを提供、消費者の多様なニーズを捉えるプロダクトを展開しています。
酒類清涼飲料事業では下記に記載のマーケティング戦略をベースに、a.「収益基盤の拡大」b.「収益性の向上」c.「新たな成長ドライバーの開発」を主要戦略として中長期的な収益構造の強化と持続的な事業価値の向上を図ってまいります。
マーケティング戦略
·ブランドスローガン「しぜんと、しぜんに」:沖縄ならではの魅力が詰まった製品やサービス、そこから得られる、自然体に戻れる心地よい時間と空間、そんなブランド体験を通じてお客様の日々を笑顔で満たしていく事がオリオンビールの目指すゴールです。
·ターゲット顧客:大前提として沖縄好きであること。また、生活の中で様々なストレスと闘う毎日を送り、そんな中でも自然体の自分で自分らしく人生を楽しみたいという思いを持った人たち。
·基幹商品:フラッグシップの「オリオン・ザ・ドラフト」をNo.1ブランドとして確立。
·カテゴリー成長:ビール市場において、当社としてカテゴリー成長を促進するため、ビールの概念を覆すような話題性のある新商品開発、新カテゴリーへの挑戦、コミュニケーションを通じて、ビール離れが進んでいる「若年層」を取り込む。
成長分野のRTD市場については、競合との差別化を図りながら、売上と利益を成長させていく。
· 沖縄県をタッチポイントとして活用 :沖縄の価値を観光客や消費者にお届けし、沖縄ファン=オリオンファンを持続的に創出するビジネスモデルを構築。
a.収益基盤の拡大
過去5年間の実績推移にもありますように、沖縄県以外の国内及び海外の事業を拡大することで収益基盤の拡大を図り、収益構造の安定化を図ってまいります。
(酒類事業主要チャネル売上推移 ※1)
| 2021年3月期 (百万円) | 2022年3月期 (百万円) | 2023年3月期 (百万円) | 2024年3月期 (百万円) | 2025年3月期 (百万円) | CAGR ※2 (%) | |
| 県内事業 | 15,320 | 15,113 | 18,166 | 19,677 | 20,163 | 7.1 |
| 県外事業 | 1,719 | 2,409 | 2,833 | 3,423 | 3,719 | 21.3 |
| 海外事業 | 562 | 892 | 1,205 | 1,436 | 2,032 | 37.9 |
| EC事業 | 170 | 636 | 924 | 968 | 1,053 | 57.8 |
※1:売上は新収益認識基準適用前の数値
※2:CAGRは2021年3月期から2025年3月期が対象
(県外)
沖縄県内で培ったブランド力を活かし、沖縄県外への販売にも注力しています。沖縄観光体験を想起するマーケティングによって、全国のトレンドよりも高い数量成長を遂げて、着実に拡大しています。具体的なマーケティングの取り組みとしては、SNSマーケティングの強化や渋谷に期間限定で設置した沖縄旅行体験が味わえるイマーシブ型バーがあります。RTD販売については、代理店とのパートナーシップ強化を行い地域の有力なスーパーマーケットを最重要顧客と設定し一層の販売拡大を図り、沖縄料理店以外への販売を強化し、採用アイテムの拡大を図ってまいります。これらの活動によって、消費者による経験価値の共有・拡散がされるモデルを構築し、更なる県外売上拡大を目指していきます。
(EC)
EC事業においては、新たな販売チャネルとして開発を進めます。具体的には、定期会員の獲得、CRM(Customer Relation Management 顧客との関係構築)の強化、MD(Merchandising 商品の品ぞろえ・管理)の拡充等を進め、沖縄ブランド商品の販売拡大を図ります。
(海外)
海外事業は今後の成長ドライバーになると考えています。2021年に新たに海外事業担当者を選任して、本格的な海外展開拡大を開始しました。当社独自の強みを活かして競争優位を発揮できる市場を選定し、日本国内の同業他社とは異なる「リゾート×ジャパンクオリティ」ブランドであることを訴求することによって、オリオンの認知を高めてきました。また、各国のディストリビューターとの関係を強化し、有力な小売企業へのアクセスが可能になったほか、価格戦略も見直してきたことが奏功し、2023年3月期には営業黒字化(管理会計ベース)を達成しました。また、海外市場向けの「Orion The Dark」や「SHOKUNIN」の投入により、主力ブランドである「オリオン・ザ・ドラフト」だけでなく、複数のブランドポートフォリオで市場への訴求が可能になりました。今後は、各国で培った成功体験と実績を活かし、更なるブランド価値の訴求を行うことに加え、海外でのライセンス製造ビジネスも展開していくことにより、海外売上高の比率を更に拡大することを目指しています。
海外事業における展開エリアについての取り組みは以下のとおりです。
| エリア | 成長戦略 |
| 台湾 | ・収益性の高い「オリオン・ザ・ドラフト」樽瓶への集中投資 ・ビアフェストの開催等、ブランド認知向上のためのタッチポイント拡大 ・「Orion The Dark」、「SHOKUNIN」をはじめとする製品ポートフォリオ拡充 |
| オーストラリア | ・「オリオン・ザ・ドラフト」の小売店での取り扱い拡大 ・ホテル、カフェ、アジア系以外のレストランにおける取り扱い拡大 ・RTDや「SHOKUNIN」の更なる売上拡大 |
| アメリカ | ・戦略的プロモーションによる主要小売店(non-Asia)での販売拡大 ・NYや南カリフォルニア以外でのディストリビューター開拓 ・ハワイと南カリフォルニアを起点とした米軍兵への“Okinawa Beer”の訴求 |
| 韓国 | ・2024年4月に販売ブランドを変更した「オリオン・ザ・ドラフト」のプレミアム商品としての地位確立 ・認知度向上による、オンプレミスでの樽瓶販売の拡大 ・RTD等におけるSKUの拡大 |
| その他 | ・UKでの協力企業によるライセンス製造(2025年開始)を起点とした欧州市場開拓 ・香港、中国本土における展開加速 |
b.収益性の向上
事業の競争力強化、高付加価値商品の拡大販売を図り、収益構造の強化を図ってまいります。
沖縄県内事業については、主要チェーンとの取組強化、観光需要取込に向けたチェーン以外市場の対策強化、2026年10月の酒税改正に伴う酒税軽減措置廃止の影響を受けないウイスキー、ジン、テキーラといった仕入品の販売強化、店頭活動強化のためのマーケットスタッフの増強等、沖縄県内営業リソース強化による競争力強化を進めるとともに、高付加価値で収益性の高い製品群の拡大販売を進めます。また、収益性の高い石川酒造場事業の拡大を図ります。
生産、購買、物流、バックオフィス部門においては、オペレーションの効率化、環境マネジメントシステム強化、原価低減活動やバックオフィス業務のプラットフォーム化等による機能強化と効率化を進めます。
c.新たな成長ドライバーの開発
新たな成長ドライバーを開発することで事業ポートフォリオの選択肢を増やし、持続的な成長を図ってまいります。具体的には、フルーツワイン事業の成長、クラフトビール製造の強化、洋酒の開発、ブランドライセンスビジネス強化等を行います。
ライセンスビジネスの強化に向け、2024年3月期には専任のライセンスマネージャーを採用、ライセンス契約先及び展開商品数の拡大を図ると共に、ショップの拡充や海外展開を推進し、更なる事業の拡大を目指しております。
<観光・ホテル事業>(ホテル事業)
2024年度の沖縄県入域観光客数は995万2,400人と前年度比16.6%増となり、これまで最多を記録した2018年度の99.5%と同水準にまで回復し、過去2番目の入域観光客数となりました。国内客については、台風等の大きな影響もなく、航空会社による増便・臨時便・季節運航等の実績が好調に推移したことから前年度比で増加となり、過去最高を更新しました。また、外国客については、航空路線の再開・新規就航やクルーズ船の寄港回数の増加等により、前年度比81.4%増となりました。
このような環境下及び見通しのもと、当社グループでは、沖縄の価値を観光客や消費者に届けるため、ホテルを通じた体験機会を提供しています。「オリオンホテルモトブリゾート&スパ」は年間約350万人の集客力を誇る美ら海水族館に隣接するほか、2025年7月開業のテーマパーク「ジャングリア沖縄」に近接し、そのオフィシャルホテルに認定されるなど、観光需要を取り込む好条件に恵まれております。2024年3月期にリニューアル工事の効果を最大化すべく、レベニューマネジメントを強化し、一層の観光客の取り込みを図ります。

これらの課題に対処するためホテル事業では、当社グループのリソースを有効活用し、保有アセットに「オリオン」ブランドを付加し、魅力的な沖縄体験の提供を通じてバリューアップを図ることでグループシナジーを創出してまいります。具体的には、a.「単価向上」、b.「客数向上」、c.「生産性向上」を主要戦略として事業価値の向上を図ってまいります。
a.単価向上
沖縄観光需要の増加による機会を獲得するべく、季節性・顧客属性・地域イベントや市場価格動向等の精緻な分析によるレベニューマネジメントの高度化に取り組むとともに、沖縄に訪れる観光客の多様な価値観を踏まえたファミリー向けコンテンツの拡充と沖縄コンテンツの深化を通じて、平均客室人数および館内滞在時間を拡大してまいります。
b.客数向上
ファミリー向けのルームタイプを拡充して宿泊者数の増加を図るとともに、ジャングリア沖縄等の新たな観光スポットへの需要を取り込んだ宿泊日数の増加も図ります。
c.生産性向上
顧客動線の整流化・効率化及び顧客接点のDX化を図り、生産性を向上してまいります。
(観光事業)
既存アセットの有効活用による収益性の向上を図り、テーマパーク「ジャングリア沖縄」との連携推進により、利益を伴う持続可能な成長を進めてまいります。