有価証券報告書-第60期(2024/05/01-2025/04/30)

【提出】
2025/07/23 13:30
【資料】
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【項目】
190項目
②戦略
当社グループは、中期経営計画の重点戦略と連動させて、7つのマテリアリティ(「食生活を通じたウェルビーイングの実現」「持続可能な農業・サプライチェーンの構築」「地球環境の健康」「地域社会との共創・つながりの深化」「人権の尊重」「多様な人財と全員活躍」「グループガバナンス」)の取り組みを推進しております。
<食生活を通じたウェルビーイングの実現>当社グループは、お客様のライフスタイルの変化に対応する多様な製品を開発し、健康的な生活習慣に寄与してきました。緑茶や抹茶などの素材の健康性に関する産官学連携の研究を継続的に行い、研究成果の発信や、特定保健用食品や機能性表示食品などのエビデンスに基づく製品を発売しています。
2024年度には、抹茶が認知機能に与える影響についての産官学連携の研究として、軽度認知障害(MCI)や主観的認知機能低下(SCD)の高齢者を対象とした臨床試験の結果を発表しました。研究では抹茶の継続摂取により、社会的認知機能(顔表情からの感情知覚)の改善が確認されました。また、カフェインを含む抹茶の摂取にもかかわらず、睡眠の質が向上する傾向が確認され、この研究結果は2024年8月30日付で学術雑誌PLOS ONEに掲載されました。緑茶・抹茶は日常的に摂取できるものであることから、さらに研究を重ねることで今後、自治体等の認知症予防プログラムなどでの活用を通じて、研究成果が社会実装されていくことが期待されます。
さらに新たな取り組みとして、京都大学iPS細胞研究所と産学共同研究を開始しました。京都大学iPS細胞研究所の技術を活用することで、動物実験(※)を行わずにお茶とその成分の有効性と安全性を検証する方法の開発を目指し、次世代の食品科学・食品産業の開拓を進める産学共同研究となります。動物実験の代替実験法としてヒトiPS細胞やオルガノイドが活用できるか検証し、最終的には動物実験を完全に代替する新たな研究方法の確立を目指します。なお2024年度に、これまでのマテリアリティ「食生活と健康への貢献」を見直し、身体的健康だけではなく、広くウェルビーイング(心身の健康・社会の健康)の実現への取り組みを重視するマテリアリティとしました。素材(緑茶、抹茶、コーヒー等)の研究と製品のおいしさ・健康性、ホスピタリティを通じて、国内・海外の人々と社会のウェルビーイングに貢献する、新たな食習慣の創出・浸透を目指していきます。
(※)当社グループでは製品開発において動物実験を行わない方針を掲げており、より持続可能な研究方法の採用に力を入れています。
伊藤園グループ動物実験方針 https://www.itoen.co.jp/company/policy/animal/
<持続可能な農業・サプライチェーンの構築>中期経営計画では「お~いお茶」のグローバルブランド化を成長戦略としています。その実現には、畑からの製品づくりによる技術革新とサプライヤーとの協働により、持続可能なグローバルサプライチェーンの構築が必要であり、これまでのマテリアリティ「持続可能な農業への貢献」と「持続可能なサプライチェーンへの貢献」の2つを統合して取り組んでいきます。
1976年から行っている茶産地育成事業では、高品質な原料茶の安定調達に加え、荒廃農地などの茶畑への転換や環境配慮型農業の推進により、持続可能な農業の実現に取り組んでいます。
緑茶・抹茶原料は、昨今の世界的な減糖・無糖意識や健康志向の高まりから、海外輸出機会の拡大が見込まれていますが、一方で、各国の残留農薬等の品質基準、気候変動や生物多様性への対応等も求められております。当社グループにとって、気候変動や自然資本/生物多様性等への対応は、重要課題と認識し、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言のフレームワークに沿って茶事業への影響等について分析を行い、リスクへの対応と機会の創出に向けた取り組みを進めています。例えば、農業のDX化の推進(営農支援ツールや当社独自の農薬適否判定システムの導入など)による適正な施肥量等の管理、減農薬、有機栽培の取り組みは、生物多様性や土壌環境の改善など環境課題への対応だけでなく、海外輸出可能な国産原料茶の生産拡大にもつながります。また、茶産地育成事業は、GAP認証(※)取得100%維持に加え、バイオ炭散布による土壌への炭素貯留の試験などの茶栽培時のGHG排出削減にも取り組んでいます。
また、茶生産者だけでなく飲料製造委託先や物流委託先などのサプライヤーとの強固なパートナーシップは当社グループにとって重要な資産であり事業基盤です。当社及びサプライヤーの双方の持続的な利益と社会・環境課題解決の両立、徹底した品質管理とトレーサビリティの確保など、サプライヤーとのエンゲージメントを強化しています。具体的にはサプライヤー供給者評価、製造委託先や原料調達先などとの品質会議、環境課題を主テーマとした環境品質会議など、年間を通じてエンゲージメントの向上を図っています。
今後、海外の製造委託先や物流網を含む国内・海外のサプライヤーを含めた、グローバルサプライチェーンを構築していきます。
(※)食の安全や環境保全に取り組む農業に与えられるGAP認証制度には、世界基準である「グローバルGAP」のほか、日本GAP協会が展開する「JGAP」「ASIAGAP」などがあります。GAP認証取得100%維持とは、この3つの認証のうちいずれかを取得した農園を指します。
<地球環境の健康>当社グループは、自然由来の製品を主軸とした事業活動を行う企業として、人類共有の地球環境を守り、次世代に継承することが最重要課題の一つと考えております。「伊藤園グループ環境方針」のもと中長期環境目標を設定し、グループの事業活動におけるバリューチェーンにおける気候変動、水資源、資源循環といった環境課題に取り組んでいます。
2024年度は外部環境の変化や社会的要請を受けて、中長期環境目標のGHG排出量削減目標と水資源の目標を見直しました。気候変動を含む環境課題の取り組みについては、「(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)」に記載しております。
<人権の尊重>人権の尊重は、当社グループ経営理念「お客様第一主義」の根幹をなすものであり、全ての事業活動の根幹となるものです。当社グループでは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、「伊藤園グループ人権方針」「伊藤園グループサプライヤー基本方針」等を制定し、バリューチェーンにおける全ての人々の人権尊重の取り組みを推進しています。また当社では、「伊藤園グループ人権方針」に基づき、ステークホルダーとの対話を行うとともに、人権に関する専門家に協力をいただき、人権リスクの特定・評価、予防・是正、モニタリング、救済に取り組む仕組みである人権デューデリジェンスを構築し、実施しています。人権尊重の取り組みの進捗状況については、当社ウェブサイトや統合レポート等で公開しています。
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なお、グローバルサプライチェーンの構築、ファブレス経営、従業員のウェルビーイングなどの観点から人権リスクへの対応の重要性は高まっています。そのため2024年度のマテリアリティの見直しにあたり、サプライチェーンにおいて重視すべき取り組みという位置づけから、マテリアリティ「人権の尊重」として独立させました。グローバルサプライチェーンや従業員の人権リスクの最小化を図りステークホルダーからの信頼を得るべく取り組んでいきます。
<人材への取り組み>後述の「(3)人的資本」に記載しております。

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