有価証券報告書-第57期(令和2年7月1日-令和3年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の方針
当社グループの社是「人生はやまびこである」のもと、全従業員は「正しきことは正しく報われる」という創業者の信念を受け継ぎ、「誠実」「謙虚」「感謝」の心で行動することとしております。また、経営理念「安全・安心を基本として、ユーザーに信頼され、愛され、感動される商品・サービスを提供することで社会になくてはならない企業として貢献します。」のもと、水産練製品・惣菜の製造販売及びきのこの生産販売を主体とした事業を展開し、常に「安全・安心な品質」と「お客さまに愛されるおいしさ」を追求することで事業の永続的な発展を図っております。
事業の展開に当たっては、法令の遵守、人権の尊重、公正な取引及び商品・サービスの安全・安心に取り組むとともにお客さま、お取引先さま、株主・投資家の皆さま及び従業員並びに地域社会から満足していただけるよう次の基本方針のもと企業価値の向上に努め、当社グループの一層の発展を目指してまいります。
① すべての事業分野において品質保証体制の強化を図り、お客さまに安全で安心な商品・サービスの提供を行ってまいります。
② 水産練製品・惣菜事業のマーケティング機能を強化することにより、お客さまに信頼され、愛され、感動される商品を開発、提供しブランド価値の向上を図ってまいります。
③ きのこ事業の技術研究並びに商品開発を強化し、事業規模及び事業領域の拡大を目指してまいります。
(2)超長期ビジョン
(3)第一次中期経営計画の総括
当社グループでは、2016年7月から2021年6月までの5か年の第一次中期経営計画を「成長基盤創りの5年」と位置づけ、財務基盤を強化するとともに、海外事業の構築にも積極的に取り組んでまいりました。
第一次中期経営計画の総括は、次のとおりであります。
1)定量目標の達成状況(第一次中期経営計画最終年度数値目標:連結ベース)
当連結会計年度の連結売上高は346億89百万円、連結営業利益は17億35百万円、自己資本利益率は21.7%となりました。
なお、自己資本利益率には中国きのこ事業の清算にともなう清算益及び税効果会計等の税金費用の減少による増益要因を含んでおります。
第一次中期経営計画期間中のセグメントの状況は、次のとおりであります。
(水産練製品・惣菜事業)
主力商品群のカニ風味かまぼこは、原料の白身魚のたんぱく質の効能がメディアに取り上げられ、主力商品の「サラダスティック」は、姉妹品を継続的に発売し、SNSなどを通じてファンづくりに努めた結果、企業・商品認知度も向上し、計画期間を通じて売上が伸長いたしました。価格の高騰が続くうなぎの代替品としての「うなる美味しさ うな次郎」は、消費者にサステナブルな意識が徐々に浸透するなかで支持を拡げました。計画期間の後半では新型コロナウイルス感染予防のための外出自粛や巣ごもり需要の増加により、どの料理にも簡単に使える汎用性の高い「ちくわ」や調理が簡単で長期保存が可能な「レトルトおでん」の販売が伸長いたしました。
一方、暖冬化傾向が続いていることや食の多様化が進むなかで、全般的におでん需要が不芳であったことから「揚物」の売上高は、計画期間を通じて低調に推移し、加えて収益力強化や効率化の観点から、不採算アイテムの削減を予算を大きく上回って実施したことから、売上高は想定を下回りました。
海外輸出は、北米、香港、中近東等を中心に大きく増加したものの、新型コロナウイルス感染拡大により海外での外食需要が落ち込んだことから、最終的には想定を下回りました。
利益面については、世界的に水産練製品需要が拡大したことから、すり身価格は計画期間を通じて上昇し、原価上昇の要因となり、厳しい状況が続きました。このような状況下、計画期間を通じて生産効率の向上を目指した生産ラインの人員配置の効率化や収益構造改革委員会によるコスト削減活動、不採算アイテムの削減や連結子会社であるマルス蒲鉾工業株式会社の清算など、収益・財務基盤の改善強化を図ってまいりました。しかしながら、売上高が想定を下回ったことから、営業利益も想定を下回りました。
(きのこ事業)
鍋物需要の最盛期の暖冬化傾向は、まいたけの需要にも少なからず影響を及ぼし、計画期間の後半には他社生産能力の増強によりまいたけ市場の需給バランスに大きな変動が生じつつあると推定されます。一方、まいたけは健康志向の高まりに加えて、メディアで免疫力向上や高血糖改善といった機能性効果が取り上げられ、そのなかで当社グループは、お取引先さまに対してコロナ禍で増加する家庭内での調理需要に対するメニュー提案を強化した結果、売上高は想定を上回りました。また、連結子会社である一正農業科技(常州)有限公司は、2019年11月に生産を停止し、2021年5月に清算を完了するなど、不採算部門の解消により収益性が改善されたこともあり、営業利益は想定を上回りました。
(その他)
運送事業においては、お取引先さまの合理化による物流コスト削減が進むなか、輸送ニーズに対応すべく、安全や環境により一層配慮した物流品質向上に努めてまいりました。倉庫事業においては、新規貨物の獲得を推進するとともに効率的な保管体制の構築により収益向上に努めてまいりましたが、売上高・利益ともに想定を下回りました。
(主な財務指標)
最終年度の主な財務指標は、次のとおりであります。
上記のとおり、各セグメントとともに効率化、生産性向上やコスト削減など収益力強化に取り組むとともに不採算であった連結子会社2社を清算したことにより、営業利益率は計画期間初年度の3.8%から5.0%となりました。
また、計画期間を通じて、有利子負債の圧縮等を進めたことにより、自己資本比率は43.7%から61.2%に上昇、D/Eレシオは0.78から0.29に低減いたしました。
2)基本方針「成長基盤創り」「お客さまが中心」の主な取組み、成果と課題
「成長基盤創り」
「お客さまが中心」
(4) ESG経営宣言(2021年7月1日制定)
当社グループは、事業活動を通じて「持続可能な社会の実現への貢献と企業価値向上を両立する」ことを目指したESG経営を推進するために、「一正蒲鉾株式会社 ESG経営宣言」を制定いたしました。この宣言は「社是」「社訓」とともに全従業員の考え方・行動の根幹となるものです。SDGsに示されている環境・社会問題をはじめとするサステナビリティ(持続可能性)な視点を事業活動に取り込み、サステナブルな課題の解決に取り組んでまいります。
(5)第二次中期経営計画
当社グループでは、2021年7月から2026年6月までの5か年を第二次中期経営計画「成長軌道への5年」と位置づけ、引き続き収益力、財務基盤の強化に取り組むとともに、海外事業の更なる拡大を図ってまいります。
1)経営基本方針
「国内外のマーケットへの果敢なチャレンジを通じ、事業の成長力・収益力基盤を確立し、ファーストステージ「成長軌道」を確実に実現する。」
・国内マーケットは少子高齢化のもと縮小が予想されるが、商品力、生産力、販売力に磨きをかけ、競争優位性を実現しシェア拡大を目指す。
・海外マーケットでは成長マーケットを分析し、水産練製品・惣菜事業、きのこ事業ともに拡販を推進する。
2)全社戦略と主な戦術・施策
上記の経営基本方針のもと、5つの重要戦略キーワードから全社戦略を設定し、全従業員が戦略実行に向けた戦術を策定し、施策を実行してまいります。
3)第二次中期経営計画最終年度数値目標(連結ベース)
※収益認識に関する会計基準適用後の数値
当社グループの経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標は上記のとおりですが、各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(6)経営環境
① 国内外の市場環境
新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年度の出生数は、過去最低を記録するなど少子化が加速しており、少子高齢化の進展や市場の成熟化などを要因に、これまでにない厳しい経営環境が予想されます。少子化の加速は生産年齢人口の減少を加速させ、労働力不足に対応する省人化・合理化投資費用が大きな課題となっております。また、先進国や新興国の水産練製品需要が伸長することで様々な原材料価格が高止まりするなかで、日本の購買力の低下は他国に買い負ける事態を招くなど、原材料の確保は経営の根幹を脅かしかねない重要な課題となりつつあります。一方、海外では国内同様に健康志向が高まる米国や西欧諸国などの先進国、成長を続ける中国、東南アジア諸国などの新興国で水産練製品需要が拡大し、市場の拡大余地があると考えられます。
また、二酸化炭素の削減や食品ロスの削減など、持続可能な社会を実現するために、ESG経営の実践やSDGs目標の達成に向けた社会的な要請は日増しに強まっております。
② 新型コロナウイルス
世界各国でワクチン接種が進んだことから、経済面では中国が新型コロナウイルス前の水準に回復し、米国も比較的早く回復する見込みであり、イギリスではマスクを外したウィズ・アフターコロナの生活様式への社会的実証実験を行うなど経済回復に向けた試みが始まっております。一方、日本を含めワクチン接種が遅れている国は経済回復に遅れが生じており、国ごとの回復スピードには差異が生じてきております。また、ワクチン接種が進んでいる国でも変異株の発生により感染が再拡大したり、ワクチン供給が少ない国では感染が拡大し続けるなど引続き深刻な状況が続いております。
日本国内においては、新型コロナウイルスによる経済への影響は、宿泊・飲食業や製造業といった業種間の差異が存在していることや、外食産業の需要減少による業務用商品の販売が低迷するなど、今後の動向を予測することが難しい状況になっております。
(7)対処すべき課題
① 国内市場
国内では少子高齢化の進展に加え、食の多様化、洋風化、ライフスタイルの変化などにより水産練製品市場は全体として伸び悩んでおり、国内各メーカーにとって新たな需要を創出するための商品開発、カニ風味かまぼこを中心に需要が拡大している海外市場の開拓などが共通の課題となっております。このような様々な市場変化に対応するために、水産練製品・惣菜事業においては、お客さまのニーズを丹念に探索するなかでニーズにマッチした新商品を開発するとともに、常に付加価値向上を図るための主力商品のリニューアルを継続し、競争力の維持向上を目指しております。
また、生産年齢人口の減少による労働力不足は一層深刻になると予想されており、安定した生産を継続し商品供給責任を果たすためにも、生産アイテムの削減を行うことで生産効率化を進め、収益及び競争優位性の向上を図ることとしております。加えて、ファクトリーオートメーションによる省人化が必須であるとの認識のもと、FAシステム部において本社第二工場の建設や工場でのAI 、IoT活用の検討を進めております。
商品開発・リニューアルに当たっては、安全・安心・健康・おいしさの観点から、減塩商品のラインナップの充実や簡単に食べられる高たんぱく商品、国産原材料にこだわった商品、まいたけサプリなど新しい発想による、これまでにない商品開発も行っております。新型コロナウイルスの感染予防の観点からも安全・安心・健康へのニーズはより高まることが予想され、さらなる健康機能の付加についても検討してまいります。
② 海外市場
国内市場は市場縮小が避けられない一方で、世界的な日本食ブ-ムから海外での水産練製品需要は伸長しており、欧米諸国からアジア全体に市場が拡大し輸出量は増加しております。当社グループでは、2017年9月にインドネシアに合弁会社を設立し、水産練製品の製造販売を開始しております。成長が続く東南アジアを中心に、合弁会社から北米、香港、中近東等への輸出を強化してまいります。
③ きのこ事業
当社グループを含めた大手メーカーによる大量生産・大量販売の仕組みが確立し、消費者の健康志向の高まりによる需要増加もあり、市場規模は年々拡大しております。これまでは素材そのものとしての提供でしたが、今後は消費者のニーズが高まっているデリカ惣菜用の食材として業務用需要も取り込んでいくなど、販売チャネルの拡大が重要であると考えております。また、高収益体質をより高めるために、まいたけ包装効率化ラインを設置し、収益の向上を図るとともに、技術研究並びに商品開発を強化し、事業領域の拡大を目指してまいります。
④ 環境対策
当社グループでは地球環境の維持は企業活動の持続的な発展・成長のためには不可欠であると認識し、2015年9月に国連総会で採択された17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs、Sustainable Development Goals)」の達成を目指し、ステークホルダーの皆さまと協力しながら、社会のサステナブルな課題の解決に取り組んでおります。
2016年7月に「環境方針」を制定、2021年3月にESG推進室をESG推進部に昇格、2021年7月に「一正蒲鉾株式会社ESG経営宣言」を制定するなど、サステナブルな課題への取組みは企業の新たな成長機会であると位置づけ、社会への貢献と企業価値の向上との両立を目指してまいります。
環境対策としてエネルギー使用量、食品リサイクル率、産業廃棄物排出量などの環境目標を設定するとともに、エコ包材の使用、モーダルシフトの利用などにより二酸化炭素の排出量削減にも取り組んでまいります。
(1)会社の経営の方針
当社グループの社是「人生はやまびこである」のもと、全従業員は「正しきことは正しく報われる」という創業者の信念を受け継ぎ、「誠実」「謙虚」「感謝」の心で行動することとしております。また、経営理念「安全・安心を基本として、ユーザーに信頼され、愛され、感動される商品・サービスを提供することで社会になくてはならない企業として貢献します。」のもと、水産練製品・惣菜の製造販売及びきのこの生産販売を主体とした事業を展開し、常に「安全・安心な品質」と「お客さまに愛されるおいしさ」を追求することで事業の永続的な発展を図っております。
事業の展開に当たっては、法令の遵守、人権の尊重、公正な取引及び商品・サービスの安全・安心に取り組むとともにお客さま、お取引先さま、株主・投資家の皆さま及び従業員並びに地域社会から満足していただけるよう次の基本方針のもと企業価値の向上に努め、当社グループの一層の発展を目指してまいります。
① すべての事業分野において品質保証体制の強化を図り、お客さまに安全で安心な商品・サービスの提供を行ってまいります。
② 水産練製品・惣菜事業のマーケティング機能を強化することにより、お客さまに信頼され、愛され、感動される商品を開発、提供しブランド価値の向上を図ってまいります。
③ きのこ事業の技術研究並びに商品開発を強化し、事業規模及び事業領域の拡大を目指してまいります。
(2)超長期ビジョン
| 当社グループでは、30年後のありたい姿で ある“ICHIMASA30ビジョン” (2016~2045 年度)を次のとおり制定し、30年後のありたい姿から今を変革していくというバックキャスティング思考をもとにグループ経営を行っております。 ①「“安全・安心”に“健康・環境”と “心の豊かさ”をプラスして世界中に日 本の“食”で貢献するグローバル企 業」 ②「常に技術を探求し、未来に向けてあ らゆる“食”の情報を発信する食品バ イオ企業」 ③「あらゆるステークホルダーの皆さま に“食”を中心に“幸せ”と“喜び” をお届けするあたたかい企業」 | ![]() |
(3)第一次中期経営計画の総括
当社グループでは、2016年7月から2021年6月までの5か年の第一次中期経営計画を「成長基盤創りの5年」と位置づけ、財務基盤を強化するとともに、海外事業の構築にも積極的に取り組んでまいりました。
第一次中期経営計画の総括は、次のとおりであります。
1)定量目標の達成状況(第一次中期経営計画最終年度数値目標:連結ベース)
| 項目 | 2021年6月期数値目標 | 実績 |
| 連結売上高 | 370億円 | 347億円(未達成) |
| 連結営業利益 | 14億円 | 17億円(達成) |
| 自己資本利益率(ROE) | 7.5% | 21.7%(達成) |
当連結会計年度の連結売上高は346億89百万円、連結営業利益は17億35百万円、自己資本利益率は21.7%となりました。
なお、自己資本利益率には中国きのこ事業の清算にともなう清算益及び税効果会計等の税金費用の減少による増益要因を含んでおります。
第一次中期経営計画期間中のセグメントの状況は、次のとおりであります。
(水産練製品・惣菜事業)
主力商品群のカニ風味かまぼこは、原料の白身魚のたんぱく質の効能がメディアに取り上げられ、主力商品の「サラダスティック」は、姉妹品を継続的に発売し、SNSなどを通じてファンづくりに努めた結果、企業・商品認知度も向上し、計画期間を通じて売上が伸長いたしました。価格の高騰が続くうなぎの代替品としての「うなる美味しさ うな次郎」は、消費者にサステナブルな意識が徐々に浸透するなかで支持を拡げました。計画期間の後半では新型コロナウイルス感染予防のための外出自粛や巣ごもり需要の増加により、どの料理にも簡単に使える汎用性の高い「ちくわ」や調理が簡単で長期保存が可能な「レトルトおでん」の販売が伸長いたしました。
一方、暖冬化傾向が続いていることや食の多様化が進むなかで、全般的におでん需要が不芳であったことから「揚物」の売上高は、計画期間を通じて低調に推移し、加えて収益力強化や効率化の観点から、不採算アイテムの削減を予算を大きく上回って実施したことから、売上高は想定を下回りました。
海外輸出は、北米、香港、中近東等を中心に大きく増加したものの、新型コロナウイルス感染拡大により海外での外食需要が落ち込んだことから、最終的には想定を下回りました。
利益面については、世界的に水産練製品需要が拡大したことから、すり身価格は計画期間を通じて上昇し、原価上昇の要因となり、厳しい状況が続きました。このような状況下、計画期間を通じて生産効率の向上を目指した生産ラインの人員配置の効率化や収益構造改革委員会によるコスト削減活動、不採算アイテムの削減や連結子会社であるマルス蒲鉾工業株式会社の清算など、収益・財務基盤の改善強化を図ってまいりました。しかしながら、売上高が想定を下回ったことから、営業利益も想定を下回りました。
(きのこ事業)
鍋物需要の最盛期の暖冬化傾向は、まいたけの需要にも少なからず影響を及ぼし、計画期間の後半には他社生産能力の増強によりまいたけ市場の需給バランスに大きな変動が生じつつあると推定されます。一方、まいたけは健康志向の高まりに加えて、メディアで免疫力向上や高血糖改善といった機能性効果が取り上げられ、そのなかで当社グループは、お取引先さまに対してコロナ禍で増加する家庭内での調理需要に対するメニュー提案を強化した結果、売上高は想定を上回りました。また、連結子会社である一正農業科技(常州)有限公司は、2019年11月に生産を停止し、2021年5月に清算を完了するなど、不採算部門の解消により収益性が改善されたこともあり、営業利益は想定を上回りました。
(その他)
運送事業においては、お取引先さまの合理化による物流コスト削減が進むなか、輸送ニーズに対応すべく、安全や環境により一層配慮した物流品質向上に努めてまいりました。倉庫事業においては、新規貨物の獲得を推進するとともに効率的な保管体制の構築により収益向上に努めてまいりましたが、売上高・利益ともに想定を下回りました。
(主な財務指標)
最終年度の主な財務指標は、次のとおりであります。
上記のとおり、各セグメントとともに効率化、生産性向上やコスト削減など収益力強化に取り組むとともに不採算であった連結子会社2社を清算したことにより、営業利益率は計画期間初年度の3.8%から5.0%となりました。
また、計画期間を通じて、有利子負債の圧縮等を進めたことにより、自己資本比率は43.7%から61.2%に上昇、D/Eレシオは0.78から0.29に低減いたしました。
2)基本方針「成長基盤創り」「お客さまが中心」の主な取組み、成果と課題
「成長基盤創り」
| 主な取組み | 成果と課題 |
| ①収益力強化に向けた事業構造の展開 ・主力商品のリニューアル継続による付加価値向上と拡販 ・生産アイテム削減、工場内人員配置の見直し及び生産効率化 ・収益構造改革委員会設置による経費見直し | ・カニかま群を重点的に拡販強化、シーズンに合わせた姉妹品を6品発売し売上伸長 ・生産アイテムは64品削減し、生産効率化を推進 ・収益構造改革委員会を設置し、原価・一般管理費項目を中心に削減可能性を洗出し、コスト削減実施中 |
| ②コア事業の収益拡大と競争優位性の実現 ・減塩製品ラインナップ充実とサステナブルな商品の開発 ・国産原材料にこだわった商品開発と拡販 | ・技術研究部の新設によりサステナブル商品の開発強化 ・「純」シリーズを9品発売しラインナップ増加 |
| ③リスク・リターンに根ざした戦略的な投資実行 ・経営会議、取締役会における経済合理性を検証した投資判断 | ・長期的視点に立った議論や投資判断を実施し、合理化・省人化された本社第二工場建設を決議 |
| ④人事、人財育成体制の強化とダイバーシティの推進 ・ライフ・ワーク・バランスの充実に向けた取組み ・教育研修プログラムの充実による人財育成 ・女性幹部育成のための研修実施 | ・年間休日を増加、全部署テレワーク推進による新型コロナ対策を推進 ・eラーニング、オープン型研修等どこでも自発的に能力開発できる環境整備 ・女性幹部育成を積極的に実施し、女性管理職比率は6.4% |
| ⑤海外戦略の進展 ・インドネシア合弁会社設立、海外での水産練製品事業拡大 | ・インドネシア合弁会社から北米、香港、中近東等への輸出を開始し順調に輸出量増加中 |
| ⑥コーポレート・ガバナンスの浸透 ・監査等委員会による経営の監督 ・取締役会の実効性評価によるコーポレート・ガバナンスの一層の充実 | ・報告等の簡素化による議論すべき時間の確保と取締役会実効性評価による取締役会運営の刷新 ・中長期的経営の方向性に関する議論を実施 |
「お客さまが中心」
| 主な取組み | 成果と課題 |
| ①“全てはお客さまのために”の徹底と発想力アップ ・「サラダフィッシュ」での新しいたんぱく摂取提案 ・「サラダスティック」姉妹品を継続販売(SNSで話題) ・「スポちく」の販売(ちくわでの運動後のたんぱく摂取) | ・日本かまぼこ協会のフィッシュプロテインマークを22品に貼付し、たんぱく摂取の効能を広くアピール中 ・「サラダスティック」の姉妹品6品発売し商品認知度向上 ・「スポちく」は今後常温商品での販売を検討 |
| ②愛され、感動される商品の開発と領域拡大 ・おいしい減塩商品の開発(減塩ラインナップ11種) ・サステナブル商品の開発(「うなる美味しさ うな次郎」) | ・減塩ラインナップ13種に2種増加 ・健康課題については引続き研究開発中 ・サステナブル商品の領域拡大、商用化を研究・推進 |
| ③国内外での“ICHIMASA”ブランドの強化 ・ホームページやSNS等での情報発信の強化、マーケティング機能(お客さまニーズの把握)の強化 ・個人投資家向けIR実施 | ・SNS等フォロワー数は約9.5万人に増加 ・企業認知度約5%アップ ・コロナ禍により個人投資家向けIRは未開催、今後ネット配信での実施検討 |
| ④社会変化や多様化する市場ニーズへの「変化対応力」の強化 ・サプライチェーンとの協働、継続的改善への取組強化 | ・お取引先さまへ「いちまさ通信」を通じて当社グループ情報や食品業界の法改正などを定期的に発信 ・「一正やまびこ会」にてHACCPに関するウェビナー開催 |
(4) ESG経営宣言(2021年7月1日制定)
当社グループは、事業活動を通じて「持続可能な社会の実現への貢献と企業価値向上を両立する」ことを目指したESG経営を推進するために、「一正蒲鉾株式会社 ESG経営宣言」を制定いたしました。この宣言は「社是」「社訓」とともに全従業員の考え方・行動の根幹となるものです。SDGsに示されている環境・社会問題をはじめとするサステナビリティ(持続可能性)な視点を事業活動に取り込み、サステナブルな課題の解決に取り組んでまいります。
| 「一正蒲鉾株式会社 ESG経営宣言」 |
| 当社グループは「人生はやまびこである 正しきことは正しく報われる」という 創業者 野崎正平の信念を受け継ぎ、環境・社会の課題解決に取り組み、 「持続可能な社会の実現への貢献と企業価値向上を両立する」ESG経営を推進します |
| ■人と組織を大切にします ■食の安全・安心と新たな価値をお届けします ■「海の命」「山の命」を守り、自然の「恵み」を大切に活用します ■地球温暖化防止に向けた取組みを進めます ■すべてのステークホルダーの皆さまとの協働を重視した経営を行います ■透明性の高い健全経営を行います |
(5)第二次中期経営計画
当社グループでは、2021年7月から2026年6月までの5か年を第二次中期経営計画「成長軌道への5年」と位置づけ、引き続き収益力、財務基盤の強化に取り組むとともに、海外事業の更なる拡大を図ってまいります。
1)経営基本方針
「国内外のマーケットへの果敢なチャレンジを通じ、事業の成長力・収益力基盤を確立し、ファーストステージ「成長軌道」を確実に実現する。」
・国内マーケットは少子高齢化のもと縮小が予想されるが、商品力、生産力、販売力に磨きをかけ、競争優位性を実現しシェア拡大を目指す。
・海外マーケットでは成長マーケットを分析し、水産練製品・惣菜事業、きのこ事業ともに拡販を推進する。
2)全社戦略と主な戦術・施策
上記の経営基本方針のもと、5つの重要戦略キーワードから全社戦略を設定し、全従業員が戦略実行に向けた戦術を策定し、施策を実行してまいります。
| 全社戦略 | 主な戦術・施策 |
| ①「変革」と「創造」 持続的成長と働きがい向上のために人財投資を積極的に行うとともに、「変革」と「創造」を基軸とした考動を通じ経営環境の変化を克服します。 | ・IWS(いちまさワークスタイル)、新しい働き方の確立 ・働きがいのある・働きやすい・多様な人財が活躍する会社づくり ・風通しが良く誰もが自由に発想し、創造的な意見が飛び交う組織風土への変革 ・成長する意志ある誰もが成長できる能力開発環境の構築 ・すり身原料にとらわれない商品の研究開発 ・魚肉たんぱく、まいたけの機能性共同研究 |
| ②「選択」と「集中」 水産練製品・惣菜事業は商品・市場・生産等の「選択」と「集中」を徹底し、魚肉たんぱく製品の強みを活かした攻めの販売施策を通じ国内において圧倒的な基盤をつくります。 | ・魚肉たんぱく製品の強みを活かした主力商品のリニューアル継続やサステナブルな商品の開発強化 ・主力商品である「サラダスティック」の販売強化と新設する本社第二工場の合理化・省人化・量産体制の確立 ・販売・廃止の生産アイテム選択を着実に実施し、生産効率化・生産性向上と販売の強化・効率化の両立を実現 ・販売地域の「選択」と「集中」による海外拡販強化 ・多様な国際ニーズに対応した商品開発と市場開拓 |
| ③「デジタルトランスフォーメーション(DX)」 全社で「DX」の推進に取り組み、ニューノーマルでの競争優位性を確立し、事業収益の最大化を実現します。 | (顧客価値の創出) ・DXを活用した市場データの深度ある収集、分析と提供 ・フードテックによる応用、実現の可能性の探求 (生産性向上・働き方改革) ・全社業務プロセスの見直しによるデータのデジタル化、業務の自動化・省人化推進 ・DXによる新しい製造方法の研究開発 ・スマートファクトリーを目指した生産データのデジタル化とデータの有効活用による生産性向上 ・生産管理システムによる品質向上と効率化推進 ・SFA・CRM、オンライン商談などによる営業活動の効率化 ・ゼロトラストモデルによるサイバーセキュリティ対策構築 |
| ④「新規事業」 「新規事業」への取組みは、第二次中期経営計画期間中に探索を行い事業化に着手します。 | ・水産練製品・惣菜事業+きのこ事業+「第3の事業」の主力3事業の構築を指向 ・新規先担部署の設置 |
| ⑤「アライアンス」 お取引先さまと強固かつ高品質な「アライアンス」体制を構築し、ともに環境・経済・社会等の変化に対応します。 | ・品質向上の技術・知的サポート実施 ・「一正やまびこ会」等を通じたアライアンス活動の実施 ・「いちまさ通信」による情報提供の継続 ・運行管理システムの構築・運営 |
3)第二次中期経営計画最終年度数値目標(連結ベース)
| 項目 | 2026年6月期数値目標 |
| 売上高 | 400億円(※) |
| 営業利益 | 26億円 |
| 自己資本利益率(ROE) | 10% |
| 投下資本利益率(ROIC) | 9% |
| 自己資本比率 | 60%台 |
※収益認識に関する会計基準適用後の数値
当社グループの経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標は上記のとおりですが、各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(6)経営環境
① 国内外の市場環境
新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年度の出生数は、過去最低を記録するなど少子化が加速しており、少子高齢化の進展や市場の成熟化などを要因に、これまでにない厳しい経営環境が予想されます。少子化の加速は生産年齢人口の減少を加速させ、労働力不足に対応する省人化・合理化投資費用が大きな課題となっております。また、先進国や新興国の水産練製品需要が伸長することで様々な原材料価格が高止まりするなかで、日本の購買力の低下は他国に買い負ける事態を招くなど、原材料の確保は経営の根幹を脅かしかねない重要な課題となりつつあります。一方、海外では国内同様に健康志向が高まる米国や西欧諸国などの先進国、成長を続ける中国、東南アジア諸国などの新興国で水産練製品需要が拡大し、市場の拡大余地があると考えられます。
また、二酸化炭素の削減や食品ロスの削減など、持続可能な社会を実現するために、ESG経営の実践やSDGs目標の達成に向けた社会的な要請は日増しに強まっております。
② 新型コロナウイルス
世界各国でワクチン接種が進んだことから、経済面では中国が新型コロナウイルス前の水準に回復し、米国も比較的早く回復する見込みであり、イギリスではマスクを外したウィズ・アフターコロナの生活様式への社会的実証実験を行うなど経済回復に向けた試みが始まっております。一方、日本を含めワクチン接種が遅れている国は経済回復に遅れが生じており、国ごとの回復スピードには差異が生じてきております。また、ワクチン接種が進んでいる国でも変異株の発生により感染が再拡大したり、ワクチン供給が少ない国では感染が拡大し続けるなど引続き深刻な状況が続いております。
日本国内においては、新型コロナウイルスによる経済への影響は、宿泊・飲食業や製造業といった業種間の差異が存在していることや、外食産業の需要減少による業務用商品の販売が低迷するなど、今後の動向を予測することが難しい状況になっております。
(7)対処すべき課題
① 国内市場
国内では少子高齢化の進展に加え、食の多様化、洋風化、ライフスタイルの変化などにより水産練製品市場は全体として伸び悩んでおり、国内各メーカーにとって新たな需要を創出するための商品開発、カニ風味かまぼこを中心に需要が拡大している海外市場の開拓などが共通の課題となっております。このような様々な市場変化に対応するために、水産練製品・惣菜事業においては、お客さまのニーズを丹念に探索するなかでニーズにマッチした新商品を開発するとともに、常に付加価値向上を図るための主力商品のリニューアルを継続し、競争力の維持向上を目指しております。
また、生産年齢人口の減少による労働力不足は一層深刻になると予想されており、安定した生産を継続し商品供給責任を果たすためにも、生産アイテムの削減を行うことで生産効率化を進め、収益及び競争優位性の向上を図ることとしております。加えて、ファクトリーオートメーションによる省人化が必須であるとの認識のもと、FAシステム部において本社第二工場の建設や工場でのAI 、IoT活用の検討を進めております。
商品開発・リニューアルに当たっては、安全・安心・健康・おいしさの観点から、減塩商品のラインナップの充実や簡単に食べられる高たんぱく商品、国産原材料にこだわった商品、まいたけサプリなど新しい発想による、これまでにない商品開発も行っております。新型コロナウイルスの感染予防の観点からも安全・安心・健康へのニーズはより高まることが予想され、さらなる健康機能の付加についても検討してまいります。
② 海外市場
国内市場は市場縮小が避けられない一方で、世界的な日本食ブ-ムから海外での水産練製品需要は伸長しており、欧米諸国からアジア全体に市場が拡大し輸出量は増加しております。当社グループでは、2017年9月にインドネシアに合弁会社を設立し、水産練製品の製造販売を開始しております。成長が続く東南アジアを中心に、合弁会社から北米、香港、中近東等への輸出を強化してまいります。
③ きのこ事業
当社グループを含めた大手メーカーによる大量生産・大量販売の仕組みが確立し、消費者の健康志向の高まりによる需要増加もあり、市場規模は年々拡大しております。これまでは素材そのものとしての提供でしたが、今後は消費者のニーズが高まっているデリカ惣菜用の食材として業務用需要も取り込んでいくなど、販売チャネルの拡大が重要であると考えております。また、高収益体質をより高めるために、まいたけ包装効率化ラインを設置し、収益の向上を図るとともに、技術研究並びに商品開発を強化し、事業領域の拡大を目指してまいります。
④ 環境対策
当社グループでは地球環境の維持は企業活動の持続的な発展・成長のためには不可欠であると認識し、2015年9月に国連総会で採択された17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs、Sustainable Development Goals)」の達成を目指し、ステークホルダーの皆さまと協力しながら、社会のサステナブルな課題の解決に取り組んでおります。
2016年7月に「環境方針」を制定、2021年3月にESG推進室をESG推進部に昇格、2021年7月に「一正蒲鉾株式会社ESG経営宣言」を制定するなど、サステナブルな課題への取組みは企業の新たな成長機会であると位置づけ、社会への貢献と企業価値の向上との両立を目指してまいります。
環境対策としてエネルギー使用量、食品リサイクル率、産業廃棄物排出量などの環境目標を設定するとともに、エコ包材の使用、モーダルシフトの利用などにより二酸化炭素の排出量削減にも取り組んでまいります。
