有価証券報告書-第106期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 13:28
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119項目

業績等の概要

(1) 業績
当期のわが国経済は、米国を中心とした世界経済の拡大と円安の進展により期の前半には低迷していた輸出や生産が増加傾向に転じるとともに、設備投資が好調な企業収益を背景に持ち直しの動きをみせるなど、総じて景気は緩やかな回復基調を辿った。
当社グループを取り巻く環境は、ITインフラ流通事業では、法人向けのパソコン市場が回復基調で推移するなど、国内企業の業績改善を背景にIT投資が底堅く推移した。また、繊維事業では、衛生材用途において、アジアを中心とした海外市場が拡大するとともに、国内市場でも期の前半は旺盛なインバウンド需要により活況を呈した。産業機械事業では米国のオイル・ガス業界の低迷の影響を受けたが、全体としては堅調に推移した。
このような環境において、ITインフラ流通事業では、「顧客第一主義」「地域密着」の販売戦略のもと、グループ一体でのサポート・サービスの提供やビジネスパートナーとの協業により、教育ICT化が進む文教市場やモバイルデバイス・クラウド・通信分野などの成長市場でのマーケットの創造とシェア拡大に努めた。繊維事業では、海外生産拠点の再編など事業構造改革に取り組む一方、戦略的アライアンスの実践によるアジア地域における事業拡大とマーケティングと連動した開発による機能性繊維の拡販に注力した。産業機械事業では、米国販売会社を軸に重点市場である航空機分野への販売拡大に取り組むとともに、国内外の展示会への新開発機の出展を通じた市場開拓を進めた。
これらの結果、当期の連結業績については、売上高は前期に比べ39,305百万円増収の617,811百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益は2,714百万円増益の12,626百万円(前年同期比27.4%増)、経常利益は2,893百万円増益の12,572百万円(前年同期比29.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,202百万円増益の7,469百万円(前年同期比41.8%増)となった。
セグメントの業績は次のとおりである。
ITインフラ流通事業
法人向け市場では、国内企業のIT投資が緩やかな回復基調で推移するなか、地域密着営業を推し進めた結果、首都圏をはじめ全ての地域で前期を上回る実績となった。なかでも民間企業向けでは通信事業者の需要を軸に受注が拡大し、官公庁向けでは情報セキュリティ対策の活発化も相俟ってサーバーやネットワーク機器などセキュリティ強化につながる商材の受注が拡大した。また、主力商材であるパソコンについては、モニタなどの周辺機器やソフトウェアを含めた複合提案の推進により、売上が伸長した。
一方、個人向け市場では、パソコンの国内出荷台数の減少傾向に伴い苦戦が続いたものの、SIMロックフリースマートフォンをはじめ、周辺機器等の取扱商材の拡充と新規販売先の開拓により、堅調に推移した。
以上の結果、当事業の売上高は536,073百万円(前年同期比8.3%増)、セグメント利益は8,976百万円(前年同期比46.5%増)となった。
繊維事業
合繊部門では、原綿はアジア向けの衛生材用途や米国向けの建材用途など海外市場を中心に販売が堅調に推移し、不織布も制汗・除菌関連やコスメ分野のフェイスマスクの販売が拡大した。また、レーヨン部門では、機能性原綿において衣料用途は旺盛な需要に支えられ販売が伸長し、不織布用途もグループ協業の進展により新規需要の開拓が進み、前期並みの収益を確保した。
樹脂加工部門では、生活資材向けの帆布関連が売上を伸ばし、機能製品部門でも、土木資材関連やフィルター商品群の国内向け販売に加えて、海外生産会社での地産地消ビジネスも含めた産業資材用途が堅調に推移した。
一方、衣料製品部門では、カジュアル製品やインナー製品は、主要顧客向けに自家開発素材を活用した機能性商品の販売が拡大した。また、ブランド製品は、子ども向け・スポーツ向けにおいて専門店への拡販が好調に推移し、リビング製品も寝装向けの高機能製品が売上を伸ばした。
以上の結果、当事業の売上高は65,533百万円(前年同期比0.7%減)、セグメント利益は2,922百万円(前年同期比3.3%増)となった。
工作・自動機械事業
工作機械部門では、主力の立旋盤について、国内は自社製品の特長を活かした開発機を見本市に出展するなど拡販に努め、政府の補助金等の投資促進策の効果もあり、航空機分野を中心に堅調に推移した。しかしながら海外では米国シカゴで開催された国際工作機械見本市に開発機を出展し航空機分野をターゲットに北米市場における市場開拓と自社ブランドの浸透を図ったが、資源価格の低迷の影響からエネルギー投資への慎重な姿勢が続き、受注は減少した。
一方、自動機械部門では、国内及び中国市場向けにカートニングマシンの販売を強化し、省力化投資の旺盛な医薬品分野や自動化投資の進む食品分野を中心とした幅広い業界で受注が増加した。
以上の結果、当事業の売上高は11,708百万円(前年同期比8.5%減)、セグメント利益は747百万円(前年同期比9.0%減)となった。
その他
エンジニアリング部門では、国内外での受注が増加し収益が向上したが、ゴム部門では、主力のスポンジ分野において、海外向け車両用途は堅調に推移したものの、スポーツ用素材は市況低迷の煽りを受け苦戦を強いられた。また、ホテル部門では、期の前半は自然災害や天候不順の影響により集客力は落ち込んだが、国の支援策もあり後半からは回復に転じた。
以上の結果、当事業の売上高は4,497百万円(前年同期比5.5%減)、セグメント損失は20百万円(前年同期は133百万円のセグメント利益)となった。
(2) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上等により、5,007百万円の収入超過(前期比4,469百万円の収入超過減少)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、1,838百万円の支出超過(前期比807百万円の支出超過減少)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出等により、5,201百万円の支出超過(前期比280百万円の支出超過増加)となった。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は前年度末に比べて2,118百万円減少し、14,042百万円となり、また、当連結会計年度末の借入金残高は前年度末に比べて3,925百万円減少し、39,452百万円となった。