有価証券報告書-第105期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 13:43
【資料】
PDFをみる
【項目】
120項目

業績等の概要

(1) 業績
当期のわが国経済は、中国市場をはじめとする新興国経済の成長鈍化や資源価格の下落など海外景気の下振れ懸念から輸出や生産に一部弱さがみられたが、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費が底堅く推移するとともに、好調な企業収益に支えられた設備投資が持ち直しの動きをみせるなど、総じて景気は緩やかな回復基調を辿った。
当社グループを取り巻く環境は、企業の好業績を背景にIT投資が堅調に推移するなか、パソコン市場も更新特需の反動が和らぎ徐々に回復の兆しがみられた。また、繊維事業では、衛生材用途でアジアを中心とした海外市場での需要が拡大した。産業機械事業での需要の低迷があったが、全体としては改善基調で推移した。
このような状況のもと、当社グループは中期経営計画「イノベーション21」第二次計画をスタートさせた。その初年度である当期は、「成長が見込める市場、地域での事業拡大」「顧客価値創造型ビジネスへの進化」「国際マーケットにおけるコーポレートブランドの価値向上」を基本方針に掲げ、新たな成長ステージを目指す事業展開とグループ全体の収益基盤の強化に努めた。
これらの結果、当期の連結業績については、売上高は前期に比べ12,311百万円増収の578,506百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は1,665百万円増益の9,912百万円(前年同期比20.2%増)、経常利益は1,711百万円増益の9,679百万円(前年同期比21.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は380百万円増益の5,266百万円(前年同期比7.8%増)となった。
セグメントの業績は次のとおりである。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更している。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりである。
ITインフラ流通事業
法人向け市場では、国内IT投資が企業業績の回復を背景に概ね堅調に推移するなか、地域密着の営業活動に注力した結果、首都圏を中心とした民間企業や文教市場向けの受注が伸長するとともに、モバイルデバイスをはじめ周辺機器、ソフトウェアなどの販売が拡大した。また、前年割れが続いていた主力のパソコン販売でも徐々に回復がみられたことにより、前年を上回る実績となった。
一方、個人向け市場では、主力商材のパソコンで、タブレットやスマートフォンの普及もあり買い替えサイクルが長期化しており、新OS登場以降も需要は伸び悩んだ。また、周辺機器や家電製品も消費者の購買意欲に改善がみられず、前年を下回る実績となった。
利益面では、他社との競争激化により厳しい状況で推移したが、増収効果もあり、前年を上回る結果となった。
以上の結果、当事業の売上高は494,939百万円(前年同期比2.1%増)、セグメント利益は6,127百万円(前年同期比6.2%増)となった。
繊維事業
合繊部門では、原綿はジャパン・クオリティ商品への高い評価を背景に需要拡大が続く衛生材用途で好調を維持し、不織布製品も除菌関連や新規用途開拓が進むコスメ分野での販売が拡大した。
また、レーヨン部門では、主力の不織布用原綿が旺盛な需要に支えられ売上を伸ばし、開発力の強化に努めた衣料用機能性原綿や対米向け防炎素材も収益を拡大した。
樹脂加工部門では、生活資材向けの帆布関連が売上を伸ばし、機能製品部門でも、フィルター商品群の国内向け販売が堅調に推移するなど、ともに前年並みの収益を確保した。
さらに、衣料製品部門では、カジュアル製品が企画提案型販売の推進により受注を拡大し、インナー製品は、Daiwabo Hong Kong Co.,Limited を基点とした欧米向け販売や海外生産拠点を活用したプライベートブランド向け販売が好調に推移した。また、ブランド製品では、専門店への営業強化により子ども向け・スポーツ向けが受注を伸ばした。
一方、海外紡績部門では、混迷が続く現地経済の影響から需要回復には至らず、苦戦を強いられた。
以上の結果、当事業の売上高は66,016百万円(前年同期比6.5%増)、セグメント利益は2,828百万円(前年同期比110.4%増)となった。
工作・自動機械事業
工作機械部門では、主力の立旋盤について、航空機分野は政府の投資促進策の効果もあり国内需要は堅調に推移し、米国でも新設した販売会社による市場開拓が進んだ。しかしながら、オイル・ガス分野は原油価格の下落に伴い米国を中心に売上が落ち込み、中国市場全般においては景気減速の煽りを受け低迷を余儀なくされた。
一方、自動機械部門では、国内外の展示会に新開発のロボット供給装置を搭載した最新鋭のスマートカートナーを出展するなど積極的な販売展開により、設備拡大が続く医薬品分野や生産性向上投資が旺盛な食品・製菓分野を中心に受注が増加した。
以上の結果、当事業の売上高は12,788百万円(前年同期比9.5%減)、セグメント利益は820百万円(前年同期比25.2%減)となった。
その他
ゴム部門では、主力のスポンジ分野が海外向けを中心に堅調に推移する一方、エンジニアリング部門では、設計から施工までの一貫したサポート体制の構築を推し進め、またホテル部門では、海外からの宿泊者向けのサービス向上に取り組み、それぞれ収益確保に努めた。
以上の結果、当事業の売上高は4,761百万円(前年同期比7.0%減)、セグメント利益は133百万円(前年同期比275.2%増)となった。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としている。
(2) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上等により、9,477百万円の収入超過(前期比3,787百万円の収入超過減少)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、2,645百万円の支出超過(前期比1,998百万円の支出超過増加)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出等により、4,920百万円の支出超過(前期比2,539百万円の支出超過減少)となった。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は前年度末に比べて1,737百万円増加し、16,161百万円となり、また、当連結会計年度末の借入金残高は前年度末に比べて4,139百万円減少し、43,378百万円となった。