有価証券報告書-第105期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/29 13:43
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対処すべき課題

今後の経済見通しについては、景気は回復基調を保っているものの、為替相場や株式市場が不安定な情勢の影響を受け、設備投資の抑制や個人消費の低迷など、景気を下支えしていた国内需要の推進力低下に加え、新興国での経済減速の進行による海外経済の一段の下振れが懸念され、極めて不透明な状況にある。
こうしたなか、当社グループは昨年4月からスタートさせた中期経営計画「イノベーション21」第二次計画のもと、計画第2年度の事業方針として、「戦略的なパートナーとの協業とサプライチェーンの構築によるグローバルな成長市場・地域での事業領域の拡大」「市場創造型マーケティングやグループの優位性のある独自機能を強化した顧客価値創造型企業への進化」「変革突破力、価値創造力、コミュニケーション力を備え、成長戦略を切り拓き、新たなステージに挑戦できるグローバル人材の育成」を掲げ、さらなる連結企業価値の向上に努める。
(1)当面の対処すべき課題の内容等
事業別の施策としては、ITインフラ流通事業においては、主力のパソコン市場では旧OS搭載パソコンの更新需要の反動による低成長が続くものの、マルチベンダー・ワンストップサービスなどの従来からの強みを活かしたタブレット・スマートフォンを含めた端末の拡販に拘り、ディストリビューターとしての地位を確固たるものとすべく、既存事業の強化を進める。また、全国の営業拠点を駆使した地域密着の販売活動とビジネスパートナーとの協業体制をさらに深化させ、モバイル・クラウド・教育ICT化・SIMフリーなどの成長市場の変化を的確に捉え、スピーディーな構造改革とシステム投資の実践により、新たなマーケットの創造と販売シェアの拡大に努める。
繊維事業においては、合繊部門では旺盛な衛生材分野の需要に対応するため、外部企業とのアライアンスを進めながら国内生産基盤の増強を図るとともに、マーケティングと連動した開発を加速させ、インドネシアにある生産拠点を中心にアジア市場における事業拡大に取り組む。また、レーヨン部門ではグループ協業体制の構築による機能性レーヨンの開発強化と顧客との取組みによる川下戦略の展開により、国内外において事業領域の拡大を図る。さらに機能資材部門では、インフラ投資が進み資材需要が高まるアセアン地域に対して、国内外の生産・販売拠点の連携による地産地消ビジネスの展開を推進するとともに、生活・環境などの成長分野への販売を強化する。一方、衣料製品部門では、産学連携による独自素材の開発やグループ各社が保有する機能性素材の活用により新市場・新商品の創出を進めるとともに、海外生産拠点の再編や Daiwabo Hong Kong Co.,Limited を基点とした海外販売の強化により安定した収益基盤の確立に取り組む。
産業機械事業においては、工作機械部門では、主力の長岡工場の生産体制の見直しと技術・技能伝承のための人材育成により現場力向上を推し進め、品質安定・コスト削減・納期短縮を図り、収益拡大に努める。また、グローバル展開の加速に対応すべく、成長が見込める北米地域においては、昨年設立した販売会社を軸に合弁パートナーとの戦略的連携を強化し、重点市場である航空機分野への販売拡大に取り組む。さらに、自動機械部門では、積極的な国内外の展示会等への新開発機の出展を通じて、ジャパン・クオリティの追求により自社ブランドを浸透させ、医薬品・食品・製菓分野を中心に販売を拡大させる。
また、当社は、コーポレートガバナンスを経営上の最重要課題の一つとして認識しており、グループ各社の連携のもと、内部統制機能の一段の充実とより最適なガバナンス体制の確立に努め、株主をはじめ各ステークホルダーとの良好な信頼関係を保ちながら、尚一層の自己変革に取り組み、企業の社会的責任を果たしていく所存である。
(2)当社株式の大量買付行為に関する対応プラン(買収防衛策)について
当社は、平成27年6月26日開催の当社定時株主総会において、株主の承認により、「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下、「本プラン」という。)を継続することを決定した。
Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保、向上していくことを可能とする者であるべきと考えている。
当社は、金融商品取引所に株式を上場していることから、市場における当社株式の取引については株主の自由な意思によって行われるべきであり、たとえ当社株式等の大規模買付行為がなされる場合であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これをすべて否定するものではない。また、経営の支配権の移転を伴う株式の大規模買付提案に応じるかどうかは、最終的には株主の判断に委ねられるべきだと考えている。
しかしながら、資本市場における株式の大規模買付提案の中には、その目的等から見て、例えばステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができないことが予測されるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言いがたいもの、あるいは株主が最終的に判断されるために必要な時間や情報が十分に提供されずに、大規模買付行為が行われる可能性も否定できない。
そのような提案に対して、当社取締役会は、株主から負託された者の責務として、株主のために必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉、場合によっては必要かつ相当な対抗措置を取る必要があると考えている。
Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み
当社は、上記方針の実現、つまり企業価値向上及び株主共同の利益のために、次の取組みを実施している。
① 経営体制の改革
当社は、昭和16年に紡績会社の4社合併により大和紡績株式会社として設立されたが、純粋持株会社への移行、ITインフラ流通事業の再編、ダイワボウホールディングス株式会社への商号変更、繊維事業を統括する中間持株会社の設立、産業機械事業の再編と、継続して事業構造の改革を実行してきた。
これらの施策により、当社グループはITインフラ流通事業、繊維事業、産業機械事業を3つのコア事業に据え、「ITインフラ」「生活インフラ」「産業インフラ」という「社会インフラ」の領域において地球環境との共生と持続可能な社会の創造に貢献することをグループビジョンに掲げ、バリュー・イノベーション(価値革新)を推進する創造革新企業へと変貌を遂げた。
② 中期経営3ヵ年計画
当社は平成27年4月1日から中期経営計画「イノベーション21」第二次計画をスタートさせた。本中期経営計画では「成長が見込める市場、地域での事業拡大」「顧客価値創造型ビジネスへの進化」「国際マーケットにおけるコーポレートブランドの価値向上」を基本方針に掲げ、新たな成長ステージを目指す事業展開とグループ全体の収益基盤の強化に努めている。
Ⅲ.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、平成27年6月26日開催の定時株主総会において株主の承認を得て、本プランを継続することを決定した。
当社取締役会は、当社株式等の大規模買付行為が行われようとする場合には、当該買付けが当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであるか否かを株主が適切に判断するために、買付者等及び当社の双方から十分な情報が提供され、検討のための十分な期間が確保されることが不可欠であると考えている。
本プランは、当社株式等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを明確にし、株主及び投資家が適切な判断をするために必要かつ十分な情報及び時間、並びに大規模買付行為を行おうとする者との交渉の機会を確保することを目的としたものである。
本プランの内容は、当社株式等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを策定するとともに、一定の場合には当社が対抗措置をとることによって大規模買付行為を行おうとする者に損害が発生する可能性があることを明らかにし、これらを適切に開示することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない当社株式等の大規模買付行為を行おうとする者に対して、警告を行うものである。
なお、本プランの詳細については、当社ホームページ(http://www.daiwabo-holdings.com/)に掲載されている平成27年5月8日付プレスリリース「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」に記載のとおりである。
Ⅳ.前記取組みが、基本方針に従い、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものでないこと及びその理由
本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しており、かつ、企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の内容を踏まえている。
さらに、本プランは以下の理由により、基本方針に従うものであり、株主共同の利益を損なうものではなく、また役員の地位の維持を目的としているものではない。
① 企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則
本プランは、上記Ⅲに記載のとおり、当社株式等に対する大規模買付け等がなされた際に、当該大規模買付け等に応じるべきか否かを株主が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や期間を確保し、株主のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としている。
② 事前開示・株主意思の原則
本プランは、平成27年6月26日開催の定時株主総会において株主の承認を得たうえで継続されたものである。また、その後の当社株主総会において本プランの変更又は廃止の決議がなされた場合には、本プランも当該決議に従い変更又は廃止されることになる。従って、本プランの継続及び廃止には、株主の意思が十分反映される仕組みとなっている。
③ 必要性・相当性確保の原則
ア.独立委員会による判断の重視と情報開示
本プランは、大規模買付け等への対抗措置の発動等に関する取締役会の恣意的判断を排し、取締役会の判断及び対応の客観性及び合理性を確保することを目的として独立委員会を設置している。
独立委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している、当社社外取締役、当社社外監査役又は社外の有識者(実績のある会社経営者、官庁出身者、弁護士、公認会計士もしくは学識経験者又はこれらに準じる者)から選任される委員3名以上により構成される。
また、当社は、その判断の概要については株主及び投資家に情報開示を行うこととし、当社の企業価値・株主共同の利益に資するよう本プランの透明な運営が行われる仕組みを確保している。
イ.合理的かつ客観的な発動要件の設定
本プランは、合理的かつ客観的な発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保している。
ウ.デッドハンド型もしくはスローハンド型の買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により、いつでも廃止することができる。従って、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させても、なお発動を阻止できない買収防衛策)ではない。
また、当社は、取締役の任期を1年としており、取締役選任議案に関する議決権行使を通じ、本プランの継続、本方針に基づき取締役会決議により発動された対抗措置に対し、株主の意思が反映できることになるため、本プランはスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもない。