有価証券報告書-第78期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。これらの将来予測には、不確定な変動要素が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
(1) グループ経営理念
ワコールグループは、純粋持株会社である当社のもと、日本、米国、欧州、中国、東南アジアを中心に、インナーウェア事業などを展開し、従前から「人々の美しさに貢献することで、広く社会に寄与すること」を目指して活動を続けてきました。そして、2022年には、「世界中のあらゆる人々の豊かな生活に貢献すること」、「画一的な外見美ではなく、内面も含めた自分らしさの実現をお手伝いすること」、「環境や人権などさまざまな社会課題の解決に努めること」を目指し、現代社会において私たちが果たすべき社会的使命を「ミッション」として定義しました。この「ミッション」及び70年を超える歴史の中で受け継いできた「創業の精神」を礎として、各事業会社が複雑化・多様化する社会課題への取り組みを将来の「成長機会」として捉え、事業を通じて「社会課題の解決」と「持続的成長」の両立を目指す「サステナビリティ経営」を推進することで、企業価値の向上に努めていきます。
また、私たちの事業活動は、一人ひとりのお客さまの声に耳を傾け、謙虚に自らを変革し、人と人とが互いに信頼し合う「相互信頼」を積み重ねることで成り立っています。企業経営の透明性を高めることに継続して取り組み、公正性、独立性を確保することを通じて、「株主」「顧客」「従業員」「取引先」「地域社会」など、すべてのステークホルダーと「相互信頼」の関係を構築することで、社会になくてはならない存在を目指していきます。
ひとりひとりが 自分らしく美しく いられるように
世の中が 自信と思いやりに あふれるように
からだに こころに
いちばん近いところで 寄り添い続けます
からだのここちよさ、こころの美しさ。それはまるで引力のように、自分と社会とを結びつけてくれる。
ありたい自分を知り、一歩ずつ近づくこと。そこで生まれた自信は、多様な人々を受け入れる優しさを育む。
その優しさは、やがて社会や地球へも広がり、思いやりあふれる豊かな未来へとつながっていく。
からだに こころに いちばん近いところで、一人ひとりの輝きに寄り添い続けてきたワコールだから。
変化に挑み、成長を続けることで、世界を美しくする力になれる。私たちは、そう信じています。
グローバル・コーポレートメッセージ
Comfortable inside. Confident outside.
※「グローバル・コーポレートメッセージ」は、ワコールグループ共通のコミュニケーションメッセージです。詳しくは、当社ウェブサイトの「ワコールグループについて」をご覧ください。
https://www.wacoalholdings.jp/group/
目標
世の女性に美しくなって貰う事によって
広く社会に寄与する事こそ
わが社の理想であり目標であります
社是
わが社は 相互信頼を基調とした
格調の高い社風を確立し
一丸となって 世界のワコールを目指し
不断の前進を続けよう
経営の基本方針
1. 愛される商品を作ります
2. 時代の要求する新製品を開発します
3. 大いなる将来を考え正々堂々と営業します
4. より良きワコールはより良き社員によって造られます
5. 失敗を恐れず成功を自惚れません
「誰かの幸せを想おう」
顧客、取引先、ともに働く社員など、周囲の人の幸せを考えられているだろうか
「好奇心を持って、五感を使い観察しよう」
最近、新たな発見や気づきはあっただろうか
「なぜ?何のために?を考えよう」
真意や根本原因を理解できているだろうか
「異なる意見を尊重しよう」
謙虚に人の意見に耳を傾け、忖度抜きで、建設的に議論をしているだろうか
「未来志向で判断しよう」
目先の結果だけではなく、豊かな未来の実現のために行動しているだろうか
「まずやってみよう」
リスクを恐れて立ち止まっていないだろうか 挑戦する人を応援しているだろうか
「仲間と力を合わせよう」
大きな成果を生むために、仲間と切磋琢磨し、共創できているだろうか
「誠実に、責任を持ち行動しよう」
相手に感謝を伝えているだろうか 人のせいにしていないだろうか
(2) 中長期経営戦略フレーム「VISION 2030」
①策定背景と目的
当社グループは、2022年6月に経営理念の実践に向けて、自社が抱える事業課題やお客さまの価値観、社会・環境の変化を見据えつつ、長期的なゴールからのバックキャスティングにより、2030年に向けたグループの将来ビジョンを示す「VISION 2030」を策定しました。「VISION 2030」では、「高い感性と品質で、ひとりひとりのからだとこころに、美しさと豊かさを提供し、『世界のワコールグループ』として進化・成長する」ことを中長期的に目指す姿として掲げています。また、「国内の収益性向上と事業領域拡大」「海外事業の拡大と高収益構造への変革」「グループ経営力の強化」「資本効率の高い経営への転換」に取り組むことで、持続的な成長と企業価値の向上を実現します。
②全体像
目指す姿:高い感性と品質で、ひとりひとりのからだとこころに、美しさと豊かさを提供し、『世界のワコールグループ』として進化・成長する
事業領域:「美」「快適」「健康」領域を、「高い感性と品質」で支えられた新たな商品・サービスで深耕・拡大していく
実行方針:重点戦略を実行し、事業の拡大や収益性の向上、経営基盤の強化などに取り組み、社会課題の解決と持続的成長の両立を目指すサステナビリティ経営を推進する
③定量目標(2031年3月期):
定量目標については、前中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)リバイズ(以下、中計リバイズ)の計画未達及び現状の市場環境変化や当社グループの戦略見直しを踏まえ、2022年6月に策定した定量目標から修正を行っています。
④重点戦略:
サステナビリティ経営の推進の方針及び4つの重点戦略については変更しておりませんが、それを実現する施策については現状の市場環境変化や当社グループの戦略見直しを踏まえ、2022年6月に策定した計画から修正を行っています。
(3) 中期経営計画2029(2027年3月期~2029年3月期)
①策定背景と目的
当社グループを取り巻く事業環境は、消費環境の変化や原材料価格の高騰、為替変動等の影響を受け、大きく変化しております。中計リバイズにおいては、一部施策の進展は見られたものの、売上収益及び事業利益は計画を下回り、事業全体としての収益力改善及び成長の実現には至りませんでした。この結果は、外部環境の見立ての甘さや変化への対応力に対する柔軟性の欠如に加え、実効力の不足による課題が顕在化したためであると認識しております。これらの事業環境及び経営課題を踏まえ、当社グループは、従来の事業構造を抜本的に見直し、変化する市場環境に対応した事業再構築を通じて、収益基盤の確立と新たな価値創造の両立を図るとともに、資本効率の向上を目指し、「中期経営計画2029」(以下、本中計)を策定しました。
本中計では、国内事業において事業ポートフォリオを見直し、チャネル環境の変化、多様化・高度化する顧客ニーズやトレンドに対応可能なビジネスモデルへの転換を進めるとともにデジタルと自社の強みを活用したブランド戦略及びチャネル戦略の強化に取り組みます。併せて、構造改革室によるモニタリング強化及び課題解決を通じ、施策の実効力向上を図ってまいります。さらに、将来を見据えた先行投資を実施し、新たな価値創造に取り組みます。海外事業では、従来のグローバル本部から欧米本部、中国・アジア本部の二本部体制にすることで、各地域特性を踏まえたエリア成長戦略の強化に加え、意思決定の迅速化、ガバナンス向上、実効力向上を図ってまいります。
また、これらの取り組みに加え、原価及び販管費率の低減や不採算事業の見直しを通じて収益力を向上させるとともに、資産効率の改善及び資本構成の最適化により資本効率の向上を図り、中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。
②全体像
基本方針:既存事業の再構築及び新価値創造の強化により収益力向上と成長基盤を固め、資本効率向上と両輪で中長期的な企業価値向上を目指す
重点戦略:
定量目標(2029年3月期):
本中計では、事業構造の再構築及び新たな価値創造の推進により、収益力の回復と資本効率の改善を図り、最終年度となる2029年3月期において、売上収益2,010億円、事業利益85億円、営業利益93億円、ROE 4.3%以上、ROIC 4.0%以上の達成を目標としています。当該目標は、中計リバイズにおける未達の要因を踏まえ、事業ポートフォリオの見直しやコスト構造改革の継続に加え、成長領域への資源配分の最適化等を通じた各施策の進展による収益性の改善を見込んでいます。
なお、資本効率性の改善を図り、筋肉質な企業体質を実現するために、当社グループではROICマネジメントの導入し、実践しております。全社としての財務目標管理として活用するだけでなく、各グループ会社や事業部門の投下資本に対する収益性を可視化し、事業ポートフォリオの最適化及び投資判断の高度化を図ることで、収益力及び資本効率の改善に取り組んでまいります。
財務方針:
1.収益力の改善を最優先課題として取り組むと同時に、棚卸資産(在庫)の圧縮や政策保有株式の縮減、企業価値向上に寄与しない不動産の整理を進めることで、資本効率を改善しROE向上を実現
2.将来成長への投資を優先すると同時に、資本効率の改善に向けて積極的な株主還元を実施
配当方針:
当社は、株主の皆さまへの利益配分について、収益力向上のための積極的な投資による企業価値の向上を図りながら、1株当たり当期利益(EPS)の増加を図るとともに、連結業績を考慮しつつ安定的な配当を実施させていただくことを基本方針としております。
キャッシュ・フロー・アロケーション(2027年3月期~2029年3月期):
本中計においては、収益力の向上に努めるとともに、引き続き、棚卸資産の圧縮や政策保有株式の縮減、企業価値向上に寄与しない不動産の整理を進めていきます。また、それにより創出したキャッシュについては、成長投資を優先しつつ、資本効率の向上に向けて、積極的な株主還元を実施する方針です。事業戦略と財務戦略の両面でROEやROIC目標の達成に向けて取り組んでまいります。
2029年3月期計画:
③「VISION 2030」における中計経営計画2029の位置づけ
中計リバイズ期間は、「VISION 2030」の達成に向けた体質改善フェーズと位置付け、事業構造の見直しやコスト構造改革等の施策を推進してまいりましたが、本業の収益力の回復には課題を残す結果となりました。
これを踏まえ、本中計は、「VISION 2030」の達成に向けた事業再構築フェーズと位置付けており、事業の再構築及び新たな価値創造並びにビジネスモデル改革を推進することで、収益性の改善及び持続的成長に向けた基盤の確立を図る計画です。
また、本中計期間においては、各施策の実効性を高め着実に推進することで、収益力の回復及び資本効率の向上を進めるとともに、その成果を踏まえ、「VISION 2030」の成長移行フェーズにおける持続的成長の実現につなげてまいります。本中計の推進を通じて、経営の実効性を高め、「VISION 2030」に掲げる目標の達成確度の向上を図ります。

④資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
当社グループは、本中計及びVISION 2030においても企業価値向上(PBR向上)に向けた施策を推進しています。企業価値向上に向けては、事業の再構築及び新価値創造並びにビジネスモデル改革により収益力の改善を図るとともに、ROICマネジメントの実践を通じた投下資本の効率化及び事業ポートフォリオの最適化を進め、資本効率の向上に取り組みます。
また、株主還元を継続しつつ、将来の成長に向けた投資を強化するとともに、資産及び資本構成の最適化を図ることで、バランスシートの改善も進めます。
これらの取り組みにより、資本コスト(7%程度)を上回るROEの創出及び持続的成長に対する期待の醸成を通じてPERの改善を図り、PBRの向上につなげます。なお、中長期的にはROE10%以上を達成することを目標としています。
(4) 2027年3月期の方針
当社グループは、中長期経営戦略フレーム「VISION 2030」で「高い感性と品質で、ひとりひとりのからだとこころに、美しさと豊かさを提供し、『世界のワコールグループ』として進化・成長する」ことを中長期的に目指す姿として掲げています。2027年3月期については、VISION 2030の重点戦略である「国内の収益性向上と事業領域拡大」「海外事業の拡大と高収益構造への変革」「グループ経営力の強化」「資本効率の高い経営への転換」の4つの取り組みを継続、着実に実行することで、持続的な成長と企業価値向上の実現を目指します。
国内事業においては、「CW-X」の強化や新規チャネル開拓に加え、デジタルサービスによる顧客データ活用を通じて顧客接点の拡大と販売力の強化を推進します。また、サプライチェーン改革を進めるとともに、コスト構造改革も継続し、基礎収益力の回復に取り組みます。加えて社長直轄の専属チーム「構造改革室」を新設し、これらの施策や改革について、モニタリングの強化に加え、課題発生時には組織横断的に解決を主導し、計画達成への実効性向上を図ります。
海外事業については、不透明な事業環境が継続する中、従来体制を見直し、欧米及び中国・アジアの2本部体制へ再編し、エリア戦略の推進、意思決定の迅速化とガバナンス強化を図ります。あわせて、デジタルマーケティング等による顧客接点の拡大を通じてEC成長を推進するとともに、M&A先のPMIによるシナジー創出により、収益性向上と競争力強化に取り組みます。
以上の取り組みにより、2027年3月期の連結業績は、売上収益1,876億円、事業利益5億円、営業利益15億円、税引前利益26億円、親会社の所有者に帰属する当期利益18億円を見込んでいます。売上収益は、国内における商品力強化や新規チャネルの開拓、海外においては買収効果等により増収を見込んでいます。事業利益は、増収による増益を予定しておりますが、営業利益は、前期における固定資産売却益等の計上による反動で、大幅な減益となる見込みです。年間の主要な為替レートは、1米ドル=155.00円、1英ポンド=210.00円、1中国元=22.00円として計画を策定しています。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの対処すべき課題は以下のとおりです。
①国内:市場環境の変化を踏まえた事業構造の変革
女性用インナーウェア市場は、人口動態の変化や消費行動の多様化を背景に縮小傾向にあり、加えて競争環境の激化や購買チャネルの変化が進んでいます。このような事業環境のもと、主力であるインナーウェア事業については、「成長回帰」を前提とするのではなく、市場規模に応じた適切な事業構造への転換を図っていきます。また、これまで培ってきた技術・知見や保有するボディデータなどの強みを生かし、当社グループだからこそ提供できる価値を通じて、利益を創出する事業モデルへの変革を進めてまいります。具体的には、従来の「インナーウェア」から、体型データに基づく「エンパワーメントソリューション」へと事業領域を再定義し、付加価値の高いソリューション提供を強化します。
②国内:収益力改善に向けたコスト構造改革の継続
基礎収益力の回復を図るため、コスト構造改革を継続します。プライシングについては、原材料費などのコスト動向や需要特性を踏まえ、売上への影響を最小化しながら価格の最適化を行うことで、粗利率の安定化及び改善を図ります。また、生産体制や調達の見直しを通じて、構造的に上昇する製造コストの増加影響を低減するとともに、定番・継続品の比率を高めることで返品等のロス削減や業務効率の向上につなげていきます。これらの取り組みを通じて、選択と集中を徹底し、事業環境の変化に対応した最適なコスト構造の実現を目指します。
③国内:デジタルと自社の強みを活かしたブランド・顧客戦略の強化
徹底した「顧客起点」でのブランドマネジメントを推進し、提供価値が明確で魅力あるブランドの育成に継続的に取り組みます。また、お客さまとの深く広く長い関係性を構築し、最適な顧客体験を提供するため、顧客起点のDXを推進します。「ワコールメンバーズ」の購買データに加え、「顧客の声」や「販売員の接客に基づく知見」についてもデジタルを活用して分析し、その知見を顧客体験の高度化に活かします。さらに、販売員によるコンサルティングサービスに加え、3D計測サービスやアプリを活用することで、リアルとオンラインを融合した顧客体験を提供するとともに、自社EC経由で実店舗へ取り置き・取り寄せするサービスの展開を強化するなど、多様な接点を通じた顧客体験の向上を図っていきます。
④海外:グループ経営強化を目的とした事業運営体制の強化
従来のグローバル本部から、HD社長直下の「欧米本部」及び「中国・アジア本部」の2本部体制へ再編し、意思決定から実行までのスピード向上を図るとともに、ガバナンス及びモニタリングの強化を推進します。米国については、2026年4月に買収したGlamorise Foundations, Inc.とのPMIの着実な実行に加え、ECの拡大や「CW-X」を中心とした成長ブランドの育成を進めます。欧州については、2024年9月に買収したBravissimo Group Limitedとのシナジーの最大化、また、新たなチャネルの開拓やEC拡大による成長基盤の強化に努めます。また、中国については、店舗損益管理の厳格化や赤字店舗への対処を徹底するとともに、売上規模に見合った機能・体制の見直しとコストコントロールを通じて、事業効率の向上を図ります。
⑤ガバナンス:経営管理基盤の強化を通じた収益力と資本効率の改善
資本効率性の改善を図り、筋肉質な企業体質を実現するために、当社グループではROICマネジメントを導入しております。ROICは、全社としての財務目標管理の指標として活用するとともに、成果を的確に測定するパフォーマンスマネジメントの手段として位置づけ、現場の改善活動と投資家をはじめとするステークホルダーが期待する収益力・資本効率の向上を定量的に結び付け、経営管理の実効性を高めることで、持続的な企業価値の向上に努めます。
⑥その他の課題
気候変動などの環境問題や人権問題の深刻さは増しており、適切な対応と予防が必要であると認識しております。当社グループは引き続き、複雑化・多様化する社会課題への取り組みを将来の「成長機会」と捉え、事業を通じて「社会課題の解決」と「持続的成長」を両立する「サステナビリティ経営」を推進してまいります。マテリアリティ(重要課題)の項目として定めた「顧客への提供価値の最大化」、「従業員ひとりひとりの成長と働きがいの高い組織の構築」、「次世代に向けた地球環境の保全」、「すべての人が自分らしく活躍できる社会の実現」、「持続的成長の実現に向けたガバナンスの強化」への取り組みを着実に推進することで、「社会課題の解決」と「持続的成長」の両立を図り、企業価値の向上に努めます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。これらの将来予測には、不確定な変動要素が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
(1) グループ経営理念
ワコールグループは、純粋持株会社である当社のもと、日本、米国、欧州、中国、東南アジアを中心に、インナーウェア事業などを展開し、従前から「人々の美しさに貢献することで、広く社会に寄与すること」を目指して活動を続けてきました。そして、2022年には、「世界中のあらゆる人々の豊かな生活に貢献すること」、「画一的な外見美ではなく、内面も含めた自分らしさの実現をお手伝いすること」、「環境や人権などさまざまな社会課題の解決に努めること」を目指し、現代社会において私たちが果たすべき社会的使命を「ミッション」として定義しました。この「ミッション」及び70年を超える歴史の中で受け継いできた「創業の精神」を礎として、各事業会社が複雑化・多様化する社会課題への取り組みを将来の「成長機会」として捉え、事業を通じて「社会課題の解決」と「持続的成長」の両立を目指す「サステナビリティ経営」を推進することで、企業価値の向上に努めていきます。
また、私たちの事業活動は、一人ひとりのお客さまの声に耳を傾け、謙虚に自らを変革し、人と人とが互いに信頼し合う「相互信頼」を積み重ねることで成り立っています。企業経営の透明性を高めることに継続して取り組み、公正性、独立性を確保することを通じて、「株主」「顧客」「従業員」「取引先」「地域社会」など、すべてのステークホルダーと「相互信頼」の関係を構築することで、社会になくてはならない存在を目指していきます。
| ミッション |
ひとりひとりが 自分らしく美しく いられるように
世の中が 自信と思いやりに あふれるように
からだに こころに
いちばん近いところで 寄り添い続けます
からだのここちよさ、こころの美しさ。それはまるで引力のように、自分と社会とを結びつけてくれる。
ありたい自分を知り、一歩ずつ近づくこと。そこで生まれた自信は、多様な人々を受け入れる優しさを育む。
その優しさは、やがて社会や地球へも広がり、思いやりあふれる豊かな未来へとつながっていく。
からだに こころに いちばん近いところで、一人ひとりの輝きに寄り添い続けてきたワコールだから。
変化に挑み、成長を続けることで、世界を美しくする力になれる。私たちは、そう信じています。
グローバル・コーポレートメッセージ
Comfortable inside. Confident outside.
※「グローバル・コーポレートメッセージ」は、ワコールグループ共通のコミュニケーションメッセージです。詳しくは、当社ウェブサイトの「ワコールグループについて」をご覧ください。
https://www.wacoalholdings.jp/group/
| 創業の精神 |
目標
世の女性に美しくなって貰う事によって
広く社会に寄与する事こそ
わが社の理想であり目標であります
社是
わが社は 相互信頼を基調とした
格調の高い社風を確立し
一丸となって 世界のワコールを目指し
不断の前進を続けよう
経営の基本方針
1. 愛される商品を作ります
2. 時代の要求する新製品を開発します
3. 大いなる将来を考え正々堂々と営業します
4. より良きワコールはより良き社員によって造られます
5. 失敗を恐れず成功を自惚れません
| 役員・従業員の行動指針(アクション) |
「誰かの幸せを想おう」
顧客、取引先、ともに働く社員など、周囲の人の幸せを考えられているだろうか
「好奇心を持って、五感を使い観察しよう」
最近、新たな発見や気づきはあっただろうか
「なぜ?何のために?を考えよう」
真意や根本原因を理解できているだろうか
「異なる意見を尊重しよう」
謙虚に人の意見に耳を傾け、忖度抜きで、建設的に議論をしているだろうか
「未来志向で判断しよう」
目先の結果だけではなく、豊かな未来の実現のために行動しているだろうか
「まずやってみよう」
リスクを恐れて立ち止まっていないだろうか 挑戦する人を応援しているだろうか
「仲間と力を合わせよう」
大きな成果を生むために、仲間と切磋琢磨し、共創できているだろうか
「誠実に、責任を持ち行動しよう」
相手に感謝を伝えているだろうか 人のせいにしていないだろうか
(2) 中長期経営戦略フレーム「VISION 2030」
①策定背景と目的
当社グループは、2022年6月に経営理念の実践に向けて、自社が抱える事業課題やお客さまの価値観、社会・環境の変化を見据えつつ、長期的なゴールからのバックキャスティングにより、2030年に向けたグループの将来ビジョンを示す「VISION 2030」を策定しました。「VISION 2030」では、「高い感性と品質で、ひとりひとりのからだとこころに、美しさと豊かさを提供し、『世界のワコールグループ』として進化・成長する」ことを中長期的に目指す姿として掲げています。また、「国内の収益性向上と事業領域拡大」「海外事業の拡大と高収益構造への変革」「グループ経営力の強化」「資本効率の高い経営への転換」に取り組むことで、持続的な成長と企業価値の向上を実現します。
②全体像
目指す姿:高い感性と品質で、ひとりひとりのからだとこころに、美しさと豊かさを提供し、『世界のワコールグループ』として進化・成長する
| 『世界のワコールグループ』の定義 |
| ・グループの商品・サービスや社会的課題に係る取組みが、全てのステークホルダーから高い信頼を得ている |
| ・グループの人材、資産、ノウハウ、ネットワークを最大限活用し、世界的規模で競争優位性のある事業展開を行っている |
| ・革新的且つ高品質な商品・サービスで、新たな顧客体験を創造し続け、世界中のお客さまの生活を豊かに美しくし続けている |
| ・全世界の従業員がグループの目標、使命を理解し、その実現に向け、常識や過去にとらわれずに挑戦している |
事業領域:「美」「快適」「健康」領域を、「高い感性と品質」で支えられた新たな商品・サービスで深耕・拡大していく
実行方針:重点戦略を実行し、事業の拡大や収益性の向上、経営基盤の強化などに取り組み、社会課題の解決と持続的成長の両立を目指すサステナビリティ経営を推進する
③定量目標(2031年3月期):
定量目標については、前中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)リバイズ(以下、中計リバイズ)の計画未達及び現状の市場環境変化や当社グループの戦略見直しを踏まえ、2022年6月に策定した定量目標から修正を行っています。
| 当初計画 | 修正計画 | |
| 売上収益 | 2,700億円 | 2,170億円 |
| 事業利益(事業利益率) | 270億円(10%) | 130億円(6.0%) |
| 営業利益(営業利益率) | 270億円(10%) | 138億円(6.4%) |
| ROE | 10% | 7%以上 |
| ROIC | 10% | 6.5%以上 |
| 棚卸資産(㈱ワコール:在庫回転率) | - | 2.1回転 |
④重点戦略:
サステナビリティ経営の推進の方針及び4つの重点戦略については変更しておりませんが、それを実現する施策については現状の市場環境変化や当社グループの戦略見直しを踏まえ、2022年6月に策定した計画から修正を行っています。
| 重点戦略 | マテリアリティ(重要課題) | |
| サステナビリティ 経営の推進 | 国内の収益性向上と事業領域拡大 | 収益性向上に向けた事業の再構築及び新規事業の創出 ・ECシフトの加速と新規チャネル開拓による成長基盤の強化 ・事業ポートフォリオの見直し及びSCM・コスト構造改革の継続による収益性向上 ・「美・快適・健康」領域における事業領域拡大と新たな価値創出 |
| 海外事業の拡大と高収益構造への変革 | 欧州・インド市場での成長、EC強化による収益性向上 ・デジタルマーケティング高度化による認知拡大 ・M&A企業に対するPMI推進とシナジー創出 ・海外の事業運営体制を変更し、実行スピード向上及びエリア戦略を推進 | |
| グループ経営力の強化 | グループガバナンスの強化、多様な人材の獲得、育成、活用 ・ROIC経営実践による事業ポートフォリオマネジメントの推進とガバナンス強化 ・成長循環につながる人的資本投資の継続、経営戦略に連動したリソースの最適配分 | |
| 資本効率の高い経営への転換 | 資本コストを上回るROE創出及びステークホルダーへの価値配分最適化 ・ROE7%以上、資本構成の最適化への取り組み ・株主還元と成長投資のバランス最適化 | |
(3) 中期経営計画2029(2027年3月期~2029年3月期)
①策定背景と目的
当社グループを取り巻く事業環境は、消費環境の変化や原材料価格の高騰、為替変動等の影響を受け、大きく変化しております。中計リバイズにおいては、一部施策の進展は見られたものの、売上収益及び事業利益は計画を下回り、事業全体としての収益力改善及び成長の実現には至りませんでした。この結果は、外部環境の見立ての甘さや変化への対応力に対する柔軟性の欠如に加え、実効力の不足による課題が顕在化したためであると認識しております。これらの事業環境及び経営課題を踏まえ、当社グループは、従来の事業構造を抜本的に見直し、変化する市場環境に対応した事業再構築を通じて、収益基盤の確立と新たな価値創造の両立を図るとともに、資本効率の向上を目指し、「中期経営計画2029」(以下、本中計)を策定しました。
本中計では、国内事業において事業ポートフォリオを見直し、チャネル環境の変化、多様化・高度化する顧客ニーズやトレンドに対応可能なビジネスモデルへの転換を進めるとともにデジタルと自社の強みを活用したブランド戦略及びチャネル戦略の強化に取り組みます。併せて、構造改革室によるモニタリング強化及び課題解決を通じ、施策の実効力向上を図ってまいります。さらに、将来を見据えた先行投資を実施し、新たな価値創造に取り組みます。海外事業では、従来のグローバル本部から欧米本部、中国・アジア本部の二本部体制にすることで、各地域特性を踏まえたエリア成長戦略の強化に加え、意思決定の迅速化、ガバナンス向上、実効力向上を図ってまいります。
また、これらの取り組みに加え、原価及び販管費率の低減や不採算事業の見直しを通じて収益力を向上させるとともに、資産効率の改善及び資本構成の最適化により資本効率の向上を図り、中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。
②全体像
基本方針:既存事業の再構築及び新価値創造の強化により収益力向上と成長基盤を固め、資本効率向上と両輪で中長期的な企業価値向上を目指す
重点戦略:
| (1)国内の収益性向上と事業領域拡大 (2)海外事業の拡大と高収益構造への変革 |
| ■事業の再構築(国内事業/海外事業) ・インナーウェアを軸にボディデータを活用しからだとこころのソリューションビジネス 「エンパワーメント ソリューション」への進化 ・コンディショニングウエア「CW-X」の国内外での売上拡大 ・B2B(卸主体)からD2C(直営/EC)へのチャネル転換 ・不採算事業の構造的な見直し ・ビジネスモデル改革の継続 ■新価値創造(国内事業) ・「SCANBE」の価値創出領域の拡大 ・「Melooop」研究開発強化、ビジネス拡大、量産化検証 ・「SPIRAL」唯一無二のワコール文化資産を活用したビジネス拡大 |
| (3)グループ経営力の強化 |
| ・ROIC経営実践による事業ポートフォリオマネジメントの推進とガバナンス強化 ・成長循環につながる人的資本投資の継続、経営戦略に連動したリソースの最適配分 |
| (4)資本効率の高い経営への転換 |
| ・ROE7%以上、資本構成の最適化への取り組み ・株主還元と成長投資のバランス最適化 |
定量目標(2029年3月期):
本中計では、事業構造の再構築及び新たな価値創造の推進により、収益力の回復と資本効率の改善を図り、最終年度となる2029年3月期において、売上収益2,010億円、事業利益85億円、営業利益93億円、ROE 4.3%以上、ROIC 4.0%以上の達成を目標としています。当該目標は、中計リバイズにおける未達の要因を踏まえ、事業ポートフォリオの見直しやコスト構造改革の継続に加え、成長領域への資源配分の最適化等を通じた各施策の進展による収益性の改善を見込んでいます。
なお、資本効率性の改善を図り、筋肉質な企業体質を実現するために、当社グループではROICマネジメントの導入し、実践しております。全社としての財務目標管理として活用するだけでなく、各グループ会社や事業部門の投下資本に対する収益性を可視化し、事業ポートフォリオの最適化及び投資判断の高度化を図ることで、収益力及び資本効率の改善に取り組んでまいります。
| 2029年3月期 | |
| 売上収益 | 2,010億円 |
| 事業利益(事業利益率) | 85億円(4.2%) |
| 営業利益(営業利益率) | 93億円(4.6%) |
| ROE | 4.3%以上 |
| ROIC | 4.0%以上 |
| EPS | 145円以上 |
| 棚卸資産(㈱ワコール:在庫回転率) | 2.0回転 |
財務方針:
1.収益力の改善を最優先課題として取り組むと同時に、棚卸資産(在庫)の圧縮や政策保有株式の縮減、企業価値向上に寄与しない不動産の整理を進めることで、資本効率を改善しROE向上を実現
2.将来成長への投資を優先すると同時に、資本効率の改善に向けて積極的な株主還元を実施
配当方針:
当社は、株主の皆さまへの利益配分について、収益力向上のための積極的な投資による企業価値の向上を図りながら、1株当たり当期利益(EPS)の増加を図るとともに、連結業績を考慮しつつ安定的な配当を実施させていただくことを基本方針としております。
キャッシュ・フロー・アロケーション(2027年3月期~2029年3月期):
本中計においては、収益力の向上に努めるとともに、引き続き、棚卸資産の圧縮や政策保有株式の縮減、企業価値向上に寄与しない不動産の整理を進めていきます。また、それにより創出したキャッシュについては、成長投資を優先しつつ、資本効率の向上に向けて、積極的な株主還元を実施する方針です。事業戦略と財務戦略の両面でROEやROIC目標の達成に向けて取り組んでまいります。
2029年3月期計画:
| キャッシュイン | 有利子負債、アセットライト | 450億円 |
| 政策保有株式売却 | 200億円 | |
| 営業キャッシュ・フロー | 300億円 | |
| 3カ年 創出キャッシュ 約950億円 | ||
| キャッシュアウト | 配当還元 | 150億円 |
| 自己株式取得 | 350億円 | |
| 成長投資 | 450億円 | |
③「VISION 2030」における中計経営計画2029の位置づけ
中計リバイズ期間は、「VISION 2030」の達成に向けた体質改善フェーズと位置付け、事業構造の見直しやコスト構造改革等の施策を推進してまいりましたが、本業の収益力の回復には課題を残す結果となりました。
これを踏まえ、本中計は、「VISION 2030」の達成に向けた事業再構築フェーズと位置付けており、事業の再構築及び新たな価値創造並びにビジネスモデル改革を推進することで、収益性の改善及び持続的成長に向けた基盤の確立を図る計画です。
また、本中計期間においては、各施策の実効性を高め着実に推進することで、収益力の回復及び資本効率の向上を進めるとともに、その成果を踏まえ、「VISION 2030」の成長移行フェーズにおける持続的成長の実現につなげてまいります。本中計の推進を通じて、経営の実効性を高め、「VISION 2030」に掲げる目標の達成確度の向上を図ります。

④資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
当社グループは、本中計及びVISION 2030においても企業価値向上(PBR向上)に向けた施策を推進しています。企業価値向上に向けては、事業の再構築及び新価値創造並びにビジネスモデル改革により収益力の改善を図るとともに、ROICマネジメントの実践を通じた投下資本の効率化及び事業ポートフォリオの最適化を進め、資本効率の向上に取り組みます。
また、株主還元を継続しつつ、将来の成長に向けた投資を強化するとともに、資産及び資本構成の最適化を図ることで、バランスシートの改善も進めます。
これらの取り組みにより、資本コスト(7%程度)を上回るROEの創出及び持続的成長に対する期待の醸成を通じてPERの改善を図り、PBRの向上につなげます。なお、中長期的にはROE10%以上を達成することを目標としています。
(4) 2027年3月期の方針
当社グループは、中長期経営戦略フレーム「VISION 2030」で「高い感性と品質で、ひとりひとりのからだとこころに、美しさと豊かさを提供し、『世界のワコールグループ』として進化・成長する」ことを中長期的に目指す姿として掲げています。2027年3月期については、VISION 2030の重点戦略である「国内の収益性向上と事業領域拡大」「海外事業の拡大と高収益構造への変革」「グループ経営力の強化」「資本効率の高い経営への転換」の4つの取り組みを継続、着実に実行することで、持続的な成長と企業価値向上の実現を目指します。
国内事業においては、「CW-X」の強化や新規チャネル開拓に加え、デジタルサービスによる顧客データ活用を通じて顧客接点の拡大と販売力の強化を推進します。また、サプライチェーン改革を進めるとともに、コスト構造改革も継続し、基礎収益力の回復に取り組みます。加えて社長直轄の専属チーム「構造改革室」を新設し、これらの施策や改革について、モニタリングの強化に加え、課題発生時には組織横断的に解決を主導し、計画達成への実効性向上を図ります。
海外事業については、不透明な事業環境が継続する中、従来体制を見直し、欧米及び中国・アジアの2本部体制へ再編し、エリア戦略の推進、意思決定の迅速化とガバナンス強化を図ります。あわせて、デジタルマーケティング等による顧客接点の拡大を通じてEC成長を推進するとともに、M&A先のPMIによるシナジー創出により、収益性向上と競争力強化に取り組みます。
以上の取り組みにより、2027年3月期の連結業績は、売上収益1,876億円、事業利益5億円、営業利益15億円、税引前利益26億円、親会社の所有者に帰属する当期利益18億円を見込んでいます。売上収益は、国内における商品力強化や新規チャネルの開拓、海外においては買収効果等により増収を見込んでいます。事業利益は、増収による増益を予定しておりますが、営業利益は、前期における固定資産売却益等の計上による反動で、大幅な減益となる見込みです。年間の主要な為替レートは、1米ドル=155.00円、1英ポンド=210.00円、1中国元=22.00円として計画を策定しています。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの対処すべき課題は以下のとおりです。
①国内:市場環境の変化を踏まえた事業構造の変革
女性用インナーウェア市場は、人口動態の変化や消費行動の多様化を背景に縮小傾向にあり、加えて競争環境の激化や購買チャネルの変化が進んでいます。このような事業環境のもと、主力であるインナーウェア事業については、「成長回帰」を前提とするのではなく、市場規模に応じた適切な事業構造への転換を図っていきます。また、これまで培ってきた技術・知見や保有するボディデータなどの強みを生かし、当社グループだからこそ提供できる価値を通じて、利益を創出する事業モデルへの変革を進めてまいります。具体的には、従来の「インナーウェア」から、体型データに基づく「エンパワーメントソリューション」へと事業領域を再定義し、付加価値の高いソリューション提供を強化します。
②国内:収益力改善に向けたコスト構造改革の継続
基礎収益力の回復を図るため、コスト構造改革を継続します。プライシングについては、原材料費などのコスト動向や需要特性を踏まえ、売上への影響を最小化しながら価格の最適化を行うことで、粗利率の安定化及び改善を図ります。また、生産体制や調達の見直しを通じて、構造的に上昇する製造コストの増加影響を低減するとともに、定番・継続品の比率を高めることで返品等のロス削減や業務効率の向上につなげていきます。これらの取り組みを通じて、選択と集中を徹底し、事業環境の変化に対応した最適なコスト構造の実現を目指します。
③国内:デジタルと自社の強みを活かしたブランド・顧客戦略の強化
徹底した「顧客起点」でのブランドマネジメントを推進し、提供価値が明確で魅力あるブランドの育成に継続的に取り組みます。また、お客さまとの深く広く長い関係性を構築し、最適な顧客体験を提供するため、顧客起点のDXを推進します。「ワコールメンバーズ」の購買データに加え、「顧客の声」や「販売員の接客に基づく知見」についてもデジタルを活用して分析し、その知見を顧客体験の高度化に活かします。さらに、販売員によるコンサルティングサービスに加え、3D計測サービスやアプリを活用することで、リアルとオンラインを融合した顧客体験を提供するとともに、自社EC経由で実店舗へ取り置き・取り寄せするサービスの展開を強化するなど、多様な接点を通じた顧客体験の向上を図っていきます。
④海外:グループ経営強化を目的とした事業運営体制の強化
従来のグローバル本部から、HD社長直下の「欧米本部」及び「中国・アジア本部」の2本部体制へ再編し、意思決定から実行までのスピード向上を図るとともに、ガバナンス及びモニタリングの強化を推進します。米国については、2026年4月に買収したGlamorise Foundations, Inc.とのPMIの着実な実行に加え、ECの拡大や「CW-X」を中心とした成長ブランドの育成を進めます。欧州については、2024年9月に買収したBravissimo Group Limitedとのシナジーの最大化、また、新たなチャネルの開拓やEC拡大による成長基盤の強化に努めます。また、中国については、店舗損益管理の厳格化や赤字店舗への対処を徹底するとともに、売上規模に見合った機能・体制の見直しとコストコントロールを通じて、事業効率の向上を図ります。
⑤ガバナンス:経営管理基盤の強化を通じた収益力と資本効率の改善
資本効率性の改善を図り、筋肉質な企業体質を実現するために、当社グループではROICマネジメントを導入しております。ROICは、全社としての財務目標管理の指標として活用するとともに、成果を的確に測定するパフォーマンスマネジメントの手段として位置づけ、現場の改善活動と投資家をはじめとするステークホルダーが期待する収益力・資本効率の向上を定量的に結び付け、経営管理の実効性を高めることで、持続的な企業価値の向上に努めます。
⑥その他の課題
気候変動などの環境問題や人権問題の深刻さは増しており、適切な対応と予防が必要であると認識しております。当社グループは引き続き、複雑化・多様化する社会課題への取り組みを将来の「成長機会」と捉え、事業を通じて「社会課題の解決」と「持続的成長」を両立する「サステナビリティ経営」を推進してまいります。マテリアリティ(重要課題)の項目として定めた「顧客への提供価値の最大化」、「従業員ひとりひとりの成長と働きがいの高い組織の構築」、「次世代に向けた地球環境の保全」、「すべての人が自分らしく活躍できる社会の実現」、「持続的成長の実現に向けたガバナンスの強化」への取り組みを着実に推進することで、「社会課題の解決」と「持続的成長」の両立を図り、企業価値の向上に努めます。