有価証券報告書-第154期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、高い技術力を活かした製品を顧客に提供し社会に貢献することを経営理念とし、この経営理念のもと以下の企業グループを目指してまいります。
・ 世界市場で顧客の信頼に応える企業グループ
・ 常に技術の先端を行く企業グループ
・ 地球環境保全、循環型社会に貢献する企業グループ
(2) 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略
「新しいステージに立った事業基盤の強化と多様化」を基本方針とし、以下を重点戦略とする「新中期経営計画」(2019年4月~2022年3月)を策定いたしました。王子グループとのアライアンスによる強固な経営基盤の確立、既存事業の再構築と充実及び新たな収益の柱の育成による事業基盤の多様化により、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ります。
① 王子グループとのアライアンスによる強固な経営基盤の確立
・王子グループ及び当社グループの経営資源及びノウハウを相互に活用して生産、販売、原材料調達、物流、エンジニアリング、設備投資、研究開発及び間接部門など全ての事業分野において強固な協業関係を構築することにより、効率化とコストダウン効果を早期に発現させ、競争力強化を図ります。また、財務基盤の強化により、経営基盤の安定化と有利子負債の一層の削減を進めます。
・洋紙事業は、王子グループとの相互OEMの強化、販売体制の転換、倉庫や物流の相互活用も含めた物流費の削減、需要動向に見合った生産体制の構築と生産効率の向上及び原燃料の購入コストの削減などを進め、収益安定化を進めてまいります。
② 既存事業の再構築と充実
・イメージング事業は、写真用原紙などで富士フイルムとのアライアンスによる事業基盤強化を進めながら、海外市場への積極的展開により、成熟化しつつある既存製品販売の充実を図ります。
・機能材事業は、独自の技術を活かし、中国を中心にアジア諸国及び欧米での販売拡大に努め、水処理膜支持体などの不織布、リライトメディア、化粧板原紙やテープ原紙などの事業で着実な前進を図ります。
③ 新たな収益の柱の育成による事業基盤の多様化
・八戸工場では、王子グループと共同による家庭紙事業やバイオマス発電事業を順次立ち上げており、事業構造の転換を進めながら黒字安定化を図ります。
・イメージング技術を用いた機能性フィルムやデジタル捺染紙、品質面で優位性を持つバッテリーセパレータや無機繊維紙、脱プラを目指した各種バリア紙の立上げ、などの成長分野での事業拡大と多様な新規事業の確立に向けた取り組みを進めます。
○ 経営数値目標
(3) 経営環境及び対処すべき課題
益々厳しさを増すことが予想される事業環境に対応すべく、「アライアンスによる収益の安定化」をキーワードとする「第2次中期経営計画」(2016年4月~2019年3月)を策定し、洋紙事業の構造改革、収益基盤の充実、新規事業の育成、収益基盤を支える業務基盤・財務基盤の強化を進めることで、外部環境に左右されにくい収益構造の実現・強化に取り組んでまいりました。
「第2次中期経営計画」の主要テーマの取り組み実績は以下の通りです。「新中期経営計画」でも引き続きこれらの課題に対処してまいります。
① 洋紙事業の構造改革
・高騰した物流費上昇分の一部をユーザーに負担していただく「輸送調整金制度」を新たに導入(2018年9月)したことに加え、八戸工場4号抄紙機を運転休止(2018年11月末)して需要動向に見合った生産体制の構築と生産効率向上を進めており、更に価格改定を実施して(2019年1月)、収益安定化を図っています。
② 収益基盤の充実
・イメージング事業は、写真用原紙などで富士フイルムとのアライアンスによる事業基盤強化を進めながら、海外市場への積極的展開により、成熟化しつつある既存製品販売の充実を図っています。
・機能材事業は、独自の技術を活かし、中国を中心にアジア諸国及び欧米での販売拡大に努め、水処理膜支持体等の不織布、リライトメディア、化粧板原紙やテープ原紙等の事業で着実な前進を見せています。
③ 新規事業の育成
・イメージング技術を用いた機能性フィルムや、デジタル捺染紙、品質面で優位性を持つバッテリーセパレータ、無機繊維紙等の成長分野での事業拡大と、次なる新規事業の確立に向けた取り組みを進めています。特に機能性フィルム製造新設備(京都工場)や無機繊維紙の新抄紙機(KJ特殊紙)は操業開始に向けた準備を進めました。
・八戸工場では、王子グループと共同による家庭紙事業(2019年4月営業運転開始)やバイオマス発電事業(2019年7月営業運転開始予定)を順次立ち上げており、事業構造の転換を進めながら収益基盤強化を図ってまいります。
④ 収益力を支える業務基盤・財務基盤の強化
・業務プロセス、IT基盤の再構築に向け、経営戦略に柔軟に対応できる業務基盤を整備する取り組みを進めています。
・今期末の有利子負債及びD/Eレシオは「第2次中期経営計画」の最終目標を達成しました。
王子グループとのアライアンスは、共同でバイオマス発電事業や家庭紙事業を進める一方、王子ホールディングス株式会社(以下「王子HD」といいます。)と包括的な資本提携契約を締結いたしました(2018年2月)。本提携は、2019年3月までに国内外の競争法当局のクリアランスを得て、王子HDによる当社第三者割当増資の引受け及び当社株式の取得が実行されました(2019年3月末)。これにより王子HDは当社の議決権の33%を保有する主要株主、主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社となりました。
今後は、王子グループ及び当社グループの経営資源及びノウハウを相互に活用して生産、販売、原材料調達、物流、エンジニアリング、設備投資、研究開発及び間接部門など全ての事業分野において強固な協業関係を構築することにより、既存事業の競争力強化及び新規事業の拡大を実現し、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ります。
[CSR(企業の社会的責任)について]
当社グループは、CSRの目的は皆様からの信頼と共感を得ることを通じて企業価値を向上し、環境面、社会面、財務面からの諸課題の解決につなげることにあると認識し、CSRを事業活動の中で取り組むべき重要な経営課題のひとつと位置づけております。
2019年3月期は、「安全衛生に関する活動の強化」と「顧客起点を意識した商品開発」及び「人材パフォーマンス向上のための諸施策の推進」を最重要課題として取り組みました。また、国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の達成に貢献するFSC森林認証紙をはじめとする環境配慮型商品の拡充等に努めてまいりました。
2020年3月期は、「安全衛生に関する活動の強化」及び「社会との共生を意識した商品開発」の2点を最重要課題に掲げ、引き続き企業価値の向上を目指し、特徴あるCSR活動を展開してまいります。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
[会社の支配に関する基本方針]
① 基本方針の内容
当社は、当社が生み出した利益を株主の皆様に還元していくことで企業価値ないし株主の皆様共同の利益を最大化することを本分とし、市場における自由な取引を通じ当社株主となられた方々にお支えいただくことを原則としつつも、当社の総議決権の20%以上の議決権を有する株式(以下「支配株式」といいます)の取得を目指す者及びそのグループの者(以下「買収者等」といいます)による支配株式の取得により、このような当社の企業価値又は株主の皆様共同の利益が毀損されるおそれが存する場合には、かかる買収者等は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であるものとして、法令及び定款によって許容される限度において、当社の企業価値及び株主の皆様共同の利益の確保・向上のための相当な措置を講じることをその基本方針といたします。
② 基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、企業価値ないし株主の皆様共同の利益のため、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を目指し2019年度に新たにスタートした「新中期経営計画」の諸施策を強力に推進しております。また、2015年10月に策定したコーポレートガバナンス基本方針に従い、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上に向けて、CSRを重視した企業グループ経営を推進し、経営の透明性を高めガラス張りの経営を行い、コーポレートガバナンスの充実にも取り組んでまいります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2019年5月27日開催の取締役会において、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの一つとして、2016年6月28日開催の当社第151回定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただいた上で、継続していた当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下「旧プラン」といいます)につき、所要の変更を行った上で継続することを決議し(以下、かかる変更後のプランを「本プラン」といいます)、2019年6月26日開催の当社第154回定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。また、当社は、上記継続に伴い、独立委員会委員として、従前と同様、片岡義広氏、品川知久氏、竹原相光氏の3氏を選任いたしました。
本プランの概要は、以下に記載のとおりですが、詳細につきましては、当社ホームページに掲載の2019年5月27日付けプレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の一部変更及び継続に関するお知らせ」をご覧ください。
(参考URL:https://www.mpm.co.jp/company/news/pdf/2019/20190527-2.pdf)
イ.本プランの目的
本プランは、大規模買付者に対して事前に必要な情報の提供及び考慮・検討のための期間を確保することを求めることによって、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が適切に判断されること、取締役会が、独立委員会の勧告を受けて当該大規模買付行為に対する賛否の意見又は代替案を株主の皆様に対して提示すること、あるいは、株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とし、もって基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上を実現することを目的とします。
ロ.本プランに基づく対抗措置の発動に係る手続
(a) 対象となる大規模買付行為
当社株式に関して、大要、次の1)から3)までのいずれかに該当する行為若しくはその可能性がある行為がなされ、又はなされようとする場合に、本プランに基づく対抗措置が発動される場合があります。
1)当社の株券等に関する当社の特定の株主の株券等保有割合(金融商品取引法第27条の23第4項に定義される株券等保有割合をいいます。以下同じとします)が20%以上となる取得
2)当社の株券等に関する当社の特定の株主の株券等所有割合(金融商品取引法第27条の2第8項に定義される株券等所有割合をいいます。以下同じとします)とその特別関係者の株券等所有割合との合計が20%以上となる取得
3)当社の特定の株主が、当社の他の株主との間で行う行為であり、且つ当該行為の結果として当社の株券等の共同保有者に該当するに至るような合意その他の行為、又はかかる両株主の間に支配関係若しくは共同ないし協調して行動する関係を樹立する行為(ただし、当該両株主の株券等保有割合の合計が20%以上となる場合に限ります)
(b) 大規模買付者に対する情報提供要求
大規模買付者には、大規模買付行為の開始又は実行に先立ち、意向表明書及び大規模買付情報を提出・提供していただきます。
(c) 取締役会評価期間の設定等
取締役会は、対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社の全ての株券等の買付けが行われる場合には最長60日間、それ以外の態様による大規模買付行為の場合には最長90日間の期間を、取締役会評価期間として設定し、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上の観点から、企図されている大規模買付行為に関して評価、検討、意見形成、代替案立案及び大規模買付者との交渉を行うものとします。
(d) 独立委員会の勧告及び取締役会による決議
独立委員会は、大規模買付者が大規模買付ルールにつき重要な点において違反した場合で、取締役会がその是正を当該大規模買付者に対して要求した後5営業日以内に当該違反が是正されない場合には、原則として、取締役会に対して、大規模買付行為に対する対抗措置の発動を勧告します。
他方、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、独立委員会は、原則として、取締役会に対して、大規模買付行為に対する対抗措置の不発動を勧告しますが、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付者がいわゆるグリーンメイラーである場合等一定の事情を有していると認められる者である場合には、取締役会に対して、対抗措置の発動を勧告します。
取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重したうえで、対抗措置の発動又は不発動その他必要な決議を行うものとします。
(e) 対抗措置の具体的内容
当社が本プランに基づき発動する大規模買付行為に対する対抗措置は、原則として、新株予約権の無償割当てによるものとします。
ハ.本プランの特徴
(a) 基本方針の制定
本プランは、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を制定したうえで、導入されたものです。
(b) 独立委員会の設置
当社は、本プランの必要性及び相当性を確保するために独立委員会を設置し、取締役会が対抗措置を発動する場合は、その判断の公正を担保し、且つ、取締役会の恣意的な判断を排除するために、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとしています。
(c) 株主総会における本プランの承認
本プランによる買収防衛策の継続につきましては、2019年6月26日開催の第154回定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。
(d) 適時開示
取締役会は、本プラン上必要な事項について、適用ある法令等及び金融商品取引所規則に従って、適時適切な開示を行います。
(e) 本プランの有効期間
本プランの有効期間は、2019年6月26日開催の第154回定時株主総会終了後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までとしております。
ニ.株主の皆様への影響
(a) 旧プランの本プランへの改定時における株主の皆様への影響
旧プランの本プランへの改定時には、株主の皆様の法的権利及び経済的利益に直接具体的な影響を与えておりません。
(b) 新株予約権の発行時に株主の皆様へ与える影響
対抗措置として新株予約権の無償割当てが行われた場合においても、株主の皆様が保有する当社株式1株当たりの価値の希釈化は生じるものの、株主の皆様が保有する当社株式全体の価値の希釈化は生じないことから、株主の皆様の法的権利及び経済的利益に対して直接的具体的な影響を与えることは想定しておりません。ただし、本プランの定める例外事由該当者については、対抗措置が発動された場合、結果的に、その法的権利又は経済的利益に何らかの影響が生じる可能性があります。
④ 上記の取組みに対する取締役会の判断及びその判断に係る理由
上記②に記載した、基本方針の実現に資する特別な取組みは、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を高めるための具体的方策であり、まさに当社の基本方針に沿うものと考えます。
また、当社取締役会は、前記③イ記載のとおり、本プランは企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上という目的をもって導入されたものであり、基本方針に沿うものと考えます。特に本プランは、1)株主総会において本プランを廃止する旨の議案が承認された場合にはその時点で廃止されるものとしており、その存続が株主の皆様の意思にかからしめられている点において株主の皆様のご意思を重視していること、2)独立性の高い独立委員会の設置を伴うものであり、対抗措置の発動に際しては必ず独立委員会の勧告を経る仕組みとなっていること、3)対抗措置の発動、不発動又は中止に関する判断の際に拠るべき基準が設けられていること等から、当社取締役会としては、本プランは当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、高い技術力を活かした製品を顧客に提供し社会に貢献することを経営理念とし、この経営理念のもと以下の企業グループを目指してまいります。
・ 世界市場で顧客の信頼に応える企業グループ
・ 常に技術の先端を行く企業グループ
・ 地球環境保全、循環型社会に貢献する企業グループ
(2) 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略
「新しいステージに立った事業基盤の強化と多様化」を基本方針とし、以下を重点戦略とする「新中期経営計画」(2019年4月~2022年3月)を策定いたしました。王子グループとのアライアンスによる強固な経営基盤の確立、既存事業の再構築と充実及び新たな収益の柱の育成による事業基盤の多様化により、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ります。
① 王子グループとのアライアンスによる強固な経営基盤の確立
・王子グループ及び当社グループの経営資源及びノウハウを相互に活用して生産、販売、原材料調達、物流、エンジニアリング、設備投資、研究開発及び間接部門など全ての事業分野において強固な協業関係を構築することにより、効率化とコストダウン効果を早期に発現させ、競争力強化を図ります。また、財務基盤の強化により、経営基盤の安定化と有利子負債の一層の削減を進めます。
・洋紙事業は、王子グループとの相互OEMの強化、販売体制の転換、倉庫や物流の相互活用も含めた物流費の削減、需要動向に見合った生産体制の構築と生産効率の向上及び原燃料の購入コストの削減などを進め、収益安定化を進めてまいります。
② 既存事業の再構築と充実
・イメージング事業は、写真用原紙などで富士フイルムとのアライアンスによる事業基盤強化を進めながら、海外市場への積極的展開により、成熟化しつつある既存製品販売の充実を図ります。
・機能材事業は、独自の技術を活かし、中国を中心にアジア諸国及び欧米での販売拡大に努め、水処理膜支持体などの不織布、リライトメディア、化粧板原紙やテープ原紙などの事業で着実な前進を図ります。
③ 新たな収益の柱の育成による事業基盤の多様化
・八戸工場では、王子グループと共同による家庭紙事業やバイオマス発電事業を順次立ち上げており、事業構造の転換を進めながら黒字安定化を図ります。
・イメージング技術を用いた機能性フィルムやデジタル捺染紙、品質面で優位性を持つバッテリーセパレータや無機繊維紙、脱プラを目指した各種バリア紙の立上げ、などの成長分野での事業拡大と多様な新規事業の確立に向けた取り組みを進めます。
○ 経営数値目標
| 連結指標 | 目標値(2022年3月期) |
| 売上高 | 2,200億円 |
| 営業利益 | 55億円 |
| 経常利益 | 60億円 |
| 有利子負債 | 980億円 |
| D/Eレシオ | 1.3倍 |
(3) 経営環境及び対処すべき課題
益々厳しさを増すことが予想される事業環境に対応すべく、「アライアンスによる収益の安定化」をキーワードとする「第2次中期経営計画」(2016年4月~2019年3月)を策定し、洋紙事業の構造改革、収益基盤の充実、新規事業の育成、収益基盤を支える業務基盤・財務基盤の強化を進めることで、外部環境に左右されにくい収益構造の実現・強化に取り組んでまいりました。
「第2次中期経営計画」の主要テーマの取り組み実績は以下の通りです。「新中期経営計画」でも引き続きこれらの課題に対処してまいります。
① 洋紙事業の構造改革
・高騰した物流費上昇分の一部をユーザーに負担していただく「輸送調整金制度」を新たに導入(2018年9月)したことに加え、八戸工場4号抄紙機を運転休止(2018年11月末)して需要動向に見合った生産体制の構築と生産効率向上を進めており、更に価格改定を実施して(2019年1月)、収益安定化を図っています。
② 収益基盤の充実
・イメージング事業は、写真用原紙などで富士フイルムとのアライアンスによる事業基盤強化を進めながら、海外市場への積極的展開により、成熟化しつつある既存製品販売の充実を図っています。
・機能材事業は、独自の技術を活かし、中国を中心にアジア諸国及び欧米での販売拡大に努め、水処理膜支持体等の不織布、リライトメディア、化粧板原紙やテープ原紙等の事業で着実な前進を見せています。
③ 新規事業の育成
・イメージング技術を用いた機能性フィルムや、デジタル捺染紙、品質面で優位性を持つバッテリーセパレータ、無機繊維紙等の成長分野での事業拡大と、次なる新規事業の確立に向けた取り組みを進めています。特に機能性フィルム製造新設備(京都工場)や無機繊維紙の新抄紙機(KJ特殊紙)は操業開始に向けた準備を進めました。
・八戸工場では、王子グループと共同による家庭紙事業(2019年4月営業運転開始)やバイオマス発電事業(2019年7月営業運転開始予定)を順次立ち上げており、事業構造の転換を進めながら収益基盤強化を図ってまいります。
④ 収益力を支える業務基盤・財務基盤の強化
・業務プロセス、IT基盤の再構築に向け、経営戦略に柔軟に対応できる業務基盤を整備する取り組みを進めています。
・今期末の有利子負債及びD/Eレシオは「第2次中期経営計画」の最終目標を達成しました。
王子グループとのアライアンスは、共同でバイオマス発電事業や家庭紙事業を進める一方、王子ホールディングス株式会社(以下「王子HD」といいます。)と包括的な資本提携契約を締結いたしました(2018年2月)。本提携は、2019年3月までに国内外の競争法当局のクリアランスを得て、王子HDによる当社第三者割当増資の引受け及び当社株式の取得が実行されました(2019年3月末)。これにより王子HDは当社の議決権の33%を保有する主要株主、主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社となりました。
今後は、王子グループ及び当社グループの経営資源及びノウハウを相互に活用して生産、販売、原材料調達、物流、エンジニアリング、設備投資、研究開発及び間接部門など全ての事業分野において強固な協業関係を構築することにより、既存事業の競争力強化及び新規事業の拡大を実現し、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ります。
[CSR(企業の社会的責任)について]
当社グループは、CSRの目的は皆様からの信頼と共感を得ることを通じて企業価値を向上し、環境面、社会面、財務面からの諸課題の解決につなげることにあると認識し、CSRを事業活動の中で取り組むべき重要な経営課題のひとつと位置づけております。
2019年3月期は、「安全衛生に関する活動の強化」と「顧客起点を意識した商品開発」及び「人材パフォーマンス向上のための諸施策の推進」を最重要課題として取り組みました。また、国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の達成に貢献するFSC森林認証紙をはじめとする環境配慮型商品の拡充等に努めてまいりました。
2020年3月期は、「安全衛生に関する活動の強化」及び「社会との共生を意識した商品開発」の2点を最重要課題に掲げ、引き続き企業価値の向上を目指し、特徴あるCSR活動を展開してまいります。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
[会社の支配に関する基本方針]
① 基本方針の内容
当社は、当社が生み出した利益を株主の皆様に還元していくことで企業価値ないし株主の皆様共同の利益を最大化することを本分とし、市場における自由な取引を通じ当社株主となられた方々にお支えいただくことを原則としつつも、当社の総議決権の20%以上の議決権を有する株式(以下「支配株式」といいます)の取得を目指す者及びそのグループの者(以下「買収者等」といいます)による支配株式の取得により、このような当社の企業価値又は株主の皆様共同の利益が毀損されるおそれが存する場合には、かかる買収者等は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であるものとして、法令及び定款によって許容される限度において、当社の企業価値及び株主の皆様共同の利益の確保・向上のための相当な措置を講じることをその基本方針といたします。
② 基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、企業価値ないし株主の皆様共同の利益のため、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を目指し2019年度に新たにスタートした「新中期経営計画」の諸施策を強力に推進しております。また、2015年10月に策定したコーポレートガバナンス基本方針に従い、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上に向けて、CSRを重視した企業グループ経営を推進し、経営の透明性を高めガラス張りの経営を行い、コーポレートガバナンスの充実にも取り組んでまいります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2019年5月27日開催の取締役会において、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの一つとして、2016年6月28日開催の当社第151回定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただいた上で、継続していた当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下「旧プラン」といいます)につき、所要の変更を行った上で継続することを決議し(以下、かかる変更後のプランを「本プラン」といいます)、2019年6月26日開催の当社第154回定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。また、当社は、上記継続に伴い、独立委員会委員として、従前と同様、片岡義広氏、品川知久氏、竹原相光氏の3氏を選任いたしました。
本プランの概要は、以下に記載のとおりですが、詳細につきましては、当社ホームページに掲載の2019年5月27日付けプレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の一部変更及び継続に関するお知らせ」をご覧ください。
(参考URL:https://www.mpm.co.jp/company/news/pdf/2019/20190527-2.pdf)
イ.本プランの目的
本プランは、大規模買付者に対して事前に必要な情報の提供及び考慮・検討のための期間を確保することを求めることによって、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が適切に判断されること、取締役会が、独立委員会の勧告を受けて当該大規模買付行為に対する賛否の意見又は代替案を株主の皆様に対して提示すること、あるいは、株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とし、もって基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上を実現することを目的とします。
ロ.本プランに基づく対抗措置の発動に係る手続
(a) 対象となる大規模買付行為
当社株式に関して、大要、次の1)から3)までのいずれかに該当する行為若しくはその可能性がある行為がなされ、又はなされようとする場合に、本プランに基づく対抗措置が発動される場合があります。
1)当社の株券等に関する当社の特定の株主の株券等保有割合(金融商品取引法第27条の23第4項に定義される株券等保有割合をいいます。以下同じとします)が20%以上となる取得
2)当社の株券等に関する当社の特定の株主の株券等所有割合(金融商品取引法第27条の2第8項に定義される株券等所有割合をいいます。以下同じとします)とその特別関係者の株券等所有割合との合計が20%以上となる取得
3)当社の特定の株主が、当社の他の株主との間で行う行為であり、且つ当該行為の結果として当社の株券等の共同保有者に該当するに至るような合意その他の行為、又はかかる両株主の間に支配関係若しくは共同ないし協調して行動する関係を樹立する行為(ただし、当該両株主の株券等保有割合の合計が20%以上となる場合に限ります)
(b) 大規模買付者に対する情報提供要求
大規模買付者には、大規模買付行為の開始又は実行に先立ち、意向表明書及び大規模買付情報を提出・提供していただきます。
(c) 取締役会評価期間の設定等
取締役会は、対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社の全ての株券等の買付けが行われる場合には最長60日間、それ以外の態様による大規模買付行為の場合には最長90日間の期間を、取締役会評価期間として設定し、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上の観点から、企図されている大規模買付行為に関して評価、検討、意見形成、代替案立案及び大規模買付者との交渉を行うものとします。
(d) 独立委員会の勧告及び取締役会による決議
独立委員会は、大規模買付者が大規模買付ルールにつき重要な点において違反した場合で、取締役会がその是正を当該大規模買付者に対して要求した後5営業日以内に当該違反が是正されない場合には、原則として、取締役会に対して、大規模買付行為に対する対抗措置の発動を勧告します。
他方、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、独立委員会は、原則として、取締役会に対して、大規模買付行為に対する対抗措置の不発動を勧告しますが、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付者がいわゆるグリーンメイラーである場合等一定の事情を有していると認められる者である場合には、取締役会に対して、対抗措置の発動を勧告します。
取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重したうえで、対抗措置の発動又は不発動その他必要な決議を行うものとします。
(e) 対抗措置の具体的内容
当社が本プランに基づき発動する大規模買付行為に対する対抗措置は、原則として、新株予約権の無償割当てによるものとします。
ハ.本プランの特徴
(a) 基本方針の制定
本プランは、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を制定したうえで、導入されたものです。
(b) 独立委員会の設置
当社は、本プランの必要性及び相当性を確保するために独立委員会を設置し、取締役会が対抗措置を発動する場合は、その判断の公正を担保し、且つ、取締役会の恣意的な判断を排除するために、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとしています。
(c) 株主総会における本プランの承認
本プランによる買収防衛策の継続につきましては、2019年6月26日開催の第154回定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。
(d) 適時開示
取締役会は、本プラン上必要な事項について、適用ある法令等及び金融商品取引所規則に従って、適時適切な開示を行います。
(e) 本プランの有効期間
本プランの有効期間は、2019年6月26日開催の第154回定時株主総会終了後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までとしております。
ニ.株主の皆様への影響
(a) 旧プランの本プランへの改定時における株主の皆様への影響
旧プランの本プランへの改定時には、株主の皆様の法的権利及び経済的利益に直接具体的な影響を与えておりません。
(b) 新株予約権の発行時に株主の皆様へ与える影響
対抗措置として新株予約権の無償割当てが行われた場合においても、株主の皆様が保有する当社株式1株当たりの価値の希釈化は生じるものの、株主の皆様が保有する当社株式全体の価値の希釈化は生じないことから、株主の皆様の法的権利及び経済的利益に対して直接的具体的な影響を与えることは想定しておりません。ただし、本プランの定める例外事由該当者については、対抗措置が発動された場合、結果的に、その法的権利又は経済的利益に何らかの影響が生じる可能性があります。
④ 上記の取組みに対する取締役会の判断及びその判断に係る理由
上記②に記載した、基本方針の実現に資する特別な取組みは、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を高めるための具体的方策であり、まさに当社の基本方針に沿うものと考えます。
また、当社取締役会は、前記③イ記載のとおり、本プランは企業価値ないし株主の皆様共同の利益の確保・向上という目的をもって導入されたものであり、基本方針に沿うものと考えます。特に本プランは、1)株主総会において本プランを廃止する旨の議案が承認された場合にはその時点で廃止されるものとしており、その存続が株主の皆様の意思にかからしめられている点において株主の皆様のご意思を重視していること、2)独立性の高い独立委員会の設置を伴うものであり、対抗措置の発動に際しては必ず独立委員会の勧告を経る仕組みとなっていること、3)対抗措置の発動、不発動又は中止に関する判断の際に拠るべき基準が設けられていること等から、当社取締役会としては、本プランは当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。