有価証券報告書-第144期(2023/04/01-2024/03/31)
戦略
当社グループでは、TCFD提言に基づく気候変動のシナリオ分析を、事業部門を対象に2つのシナリオ(1.5℃/2℃及び4℃)を用いて実施しました。今後想定されるリスクと機会を幅広く洗い出したうえで、経営層や各セグメントを中心とした協議・検討を経て、最終的に当社グループの事業にとって影響を及ぼす可能性が高い事象とその影響度合いの評価と、その評価に基づく対応策の検討・策定を行いました。
◆対象シナリオ
シナリオ分析の結果、1.5℃/2℃シナリオでは炭素税の導入による操業コストや、エネルギー価格の変動による原材料コストへの影響が大きいことが確認できており、こちらに関しては温室効果ガス(GHG)排出量削減及び事業活動の効率化を進めます。一方で、環境配慮型製品・サービスの販売拡大など、環境負荷低減に貢献する新たな顧客需要を捉えることにより、事業成長につなげることが可能であることも確認しております。
また、4℃シナリオでは自然災害の激甚化に伴う物理リスクが事業継続の阻害要因となりますが、今回の分析の結果では、各生産拠点におけるリスクが比較的大きくないことが確認できました。今後もリスク分析の精緻化及び災害などへの事前対応を実施し、影響を最小化していきます。
2024年度以降も定期的かつ継続的にシナリオ分析を実施することでその精度を高め、想定されるリスクに柔軟に対応しながら、不確実な将来におけるいずれのシナリオにも耐えうるレジリエントな経営体制を構築していきます。機会については、気候変動の状況や市場動向、顧客との対話を重視しながら、持続的な企業価値向上につながるよう、柔軟に戦略を検討・展開していきます。
◆リスクと対応策
期間 短期:2023~2030年頃まで 中期:2030~2050年頃まで
影響度 リスク:基準=営業利益に対する影響額 5億円超(大)/ 2億円超(中)/ 2億円未満(小)
機会:基準=売上高に対する影響額 10億円超(大)/ 3億円超(中)/ 3億円未満(小)
※1 SBT:「Science Based Targets」の略、「科学的根拠に基づく目標」の意味。
SBT認定とは、パリ協定と整合性のある温室効果ガス排出削減目標を立てていることを示す国際認証です。
※2 LCA:資源採取から廃棄、リサイクルまでのライフサイクルを通じた環境影響評価手法。
当社グループでは、TCFD提言に基づく気候変動のシナリオ分析を、事業部門を対象に2つのシナリオ(1.5℃/2℃及び4℃)を用いて実施しました。今後想定されるリスクと機会を幅広く洗い出したうえで、経営層や各セグメントを中心とした協議・検討を経て、最終的に当社グループの事業にとって影響を及ぼす可能性が高い事象とその影響度合いの評価と、その評価に基づく対応策の検討・策定を行いました。
◆対象シナリオ
| シナリオ | 想定事象 | 主な参照シナリオ |
| 1.5℃/2℃ シナリオ | ・日本を含む世界各国でカーボンプライシングの導入が進み、世界的に炭素税が上昇する ・消費者の嗜好の変化により、低炭素・脱炭素の製品・サービスへの需要が拡大する ・ステークホルダーからの脱炭素化要求が高まり、対応できない企業が淘汰される ・サプライチェーン全体における脱炭素化の加速により、操業及び製造コストが増加する | IEAWorldEnergyOutlook2021 (SDS,NZE2050) IEAWorldEnergyOutlook2018 (SDS) IPCC (SSP1-1.9,SSP1-2.6) |
| 4℃シナリオ | ・日本を含む世界各国でカーボンプライシングの導入が進まない ・気温上昇に伴い、衛生ニーズなどの新たな消費者ニーズが創出される ・自然災害が激甚化し、生産拠点の被災による操業停止などのリスクが高まる | IEAWorldEnergyOutlook2021 (STEPS) IEAWorldEnergyOutlook2018 (NPS) IPCC (SSP5-8.5) |
シナリオ分析の結果、1.5℃/2℃シナリオでは炭素税の導入による操業コストや、エネルギー価格の変動による原材料コストへの影響が大きいことが確認できており、こちらに関しては温室効果ガス(GHG)排出量削減及び事業活動の効率化を進めます。一方で、環境配慮型製品・サービスの販売拡大など、環境負荷低減に貢献する新たな顧客需要を捉えることにより、事業成長につなげることが可能であることも確認しております。
また、4℃シナリオでは自然災害の激甚化に伴う物理リスクが事業継続の阻害要因となりますが、今回の分析の結果では、各生産拠点におけるリスクが比較的大きくないことが確認できました。今後もリスク分析の精緻化及び災害などへの事前対応を実施し、影響を最小化していきます。
2024年度以降も定期的かつ継続的にシナリオ分析を実施することでその精度を高め、想定されるリスクに柔軟に対応しながら、不確実な将来におけるいずれのシナリオにも耐えうるレジリエントな経営体制を構築していきます。機会については、気候変動の状況や市場動向、顧客との対話を重視しながら、持続的な企業価値向上につながるよう、柔軟に戦略を検討・展開していきます。
◆リスクと対応策
| 種別 | ドライバー | 概要 | 期間 | 1.5℃ シナリオ 影響度 | 4℃ シナリオ 影響度 | 対応策 |
| 物理リスク | サイクロン、洪水などの異常気象の激甚化 | 洪水・浸水による生産拠点操業に影響するリスクの増加 | 中長期 | 小 | 中 | ・BCPの高度化によるリスクマネジメントの推進や重要拠点における災害対策の実施 ・サプライヤーとの関係強化による生産協力体制の構築 ・在庫管理や分散調達、代替品の検討・準備による製造の安定化 |
| 降雨パターンの変化、気象パターンの極端な変動性 | 降水・気象パターン変化による災害対策コストの増加 | 中長期 | 小 | 小 | ||
| 移行リスク | GHG排出の価格付け進行 (カーボンプライシング) | 炭素税や排出権取引制度の導入によるコストの増加 | 短期 | 大 | 小 | ・GHG削減・省エネ機器導入による炭素税回避とエネルギーコストの削減 ・物流子会社及びサプライヤーと協働し輸送効率化の実施検討 ・ICP導入の検討及び各種クレジット動向調査 |
| GHG排出量の報告義務の強化 | 省エネ政策の強化による設備投資の増加 | 短期 | 中 | 中 | ・省エネ関連設備投資の早期計画化を実施(乾燥装置・照明のLED化、空調機の更新など) | |
| 既存製品/サービスに対する義務化/規制化 | 環境低負荷プラスチックへの切替によるコストの増加 | 短期 | 中 | 中 | ・プラスチック使用量の削減、リサイクル、廃棄削減などムダのない設計を推進 ・コスト抑制が可能な代替素材を調査・検討、サプライヤーとの連携による低コストな新素材の開発 | |
| 既存製品/サービスの低炭素オプションへの置換 | 低炭素化への対応遅延による市場の喪失と収益の減少 | 短期 | 小 | - | ・低炭素化製品の開発による既存製品の置き換え加速化 ・顧客との対話などを通じた低炭素化が必要な製品群や時期の見極めによる効率的な開発推進 | |
| 原材料コストの高騰 | サプライチェーン全体における脱炭素化の加速 | 短期 | 大 | 小 | ・太陽光発電設備の新設・増設などによるエネルギーコストの低減 ・サプライチェーンでの連携強化による製造コストの適切な価格転嫁 | |
| 顧客行動の変化 | CO2排出を伴う既存ペーパーメディアの減少 | 短期 | 中 | 中 | ・顧客行動の変化に合わせたデジタルメディア拡充及び、顧客のDX化支援の推進 ・印刷物を製造するビジネスから、BPOやコンテンツそのものを提供価値とするサービスへの転換 |
| 種別 | ドライバー | 概要 | 期間 | 1.5℃ シナリオ 影響度 | 4℃ シナリオ 影響度 | 対応策 |
| ステークホルダーの不安増大、又はマイナスのフィードバック | 投資対象からの除外、株価下落、資金調達の困難化 | 中長期 | 中 | - | ・ステークホルダーとのコミュニケーション強化と適時適切な情報開示の推進 ・SBT※1認定取得の検討 | |
| 機会 | 効率的な生産及び流通プロセスの使用 | エネルギー使用量削減及び製造コストの削減 | 短期 | 大 | 小 | ・より低炭素で製造できる印刷機など、低炭素の生産機器導入及び生産工程効率化の推進 ・製造ラインの見直しや自動化設備の導入による稼働率向上・効率的な生産体制の構築 |
| 低排出商品及びサービスの開発・拡大 | 環境要件への適合や製品ライフサイクルにおけるCO2排出量算定による市場優位性の確保 | 短期 | 中 | - | ・製品LCA※2の見える化を進め、低炭素製品の開発活用 ・出版商業印刷物のCFP算定における1次データ比率を高めた取り組みの推進 | |
| 消費者によるサステナブル志向な購買行動の拡大 | 短期 | 大 | 小 | ・環境負荷低減した原材料の情報収集及び、環境配慮製品の開発推進 | ||
| 消費者の嗜好の変化 | デジタルメディア需要の拡大 | 短期 | 中 | 中 | ・自社コンテンツの拡大による配信事業全体の成長とIP事業化の検討 | |
| 新しい市場へのアクセス | 気温上昇による消費者ニーズの変化 | 短期 | 中 | 中 | ・食材の鮮度保持につながる形状や酸素吸着などの機能を持ったフィルム、ボトルの開発 ・感染予防などのニーズに応える衛生材料の研究開発 | |
| 低炭素型ビジネスモデル開発の推進 | 短期 | 中 | 中 | ・低炭素を志向する生活様式に適応したサービス開発及び事業化の検討 |
期間 短期:2023~2030年頃まで 中期:2030~2050年頃まで
影響度 リスク:基準=営業利益に対する影響額 5億円超(大)/ 2億円超(中)/ 2億円未満(小)
機会:基準=売上高に対する影響額 10億円超(大)/ 3億円超(中)/ 3億円未満(小)
※1 SBT:「Science Based Targets」の略、「科学的根拠に基づく目標」の意味。
SBT認定とは、パリ協定と整合性のある温室効果ガス排出削減目標を立てていることを示す国際認証です。
※2 LCA:資源採取から廃棄、リサイクルまでのライフサイクルを通じた環境影響評価手法。