有価証券報告書-第83期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 14:29
【資料】
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【項目】
145項目
文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末において当社グループが判断しているものです。
(1)会社経営の基本方針
当社は「Hard+Soft+Heart」を経営理念に掲げ、顧客に満足いただける製品を生み出すためのハードウエア(Hard)と、それに付加されるサービスやアフターサポート、ソリューション提案などのソフトウエア(Soft)に加え、全ての活動に心を込めて顧客に感動やよろこびをお届けしようというハート(Heart)を、何より大切にしております。
(2)経営環境
当社グループが身を置く印刷業界は、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、印刷用紙の値上げによる原材料価格の高騰も重なり、市場全体として大変厳しい状況が続いております。日本国内における印刷製品出荷額は、1991年の8兆9,287億円をピークとして減少傾向にありましたが、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災以降その傾向が一段と加速し、2018年での出荷額は4兆9,829億円まで落ち込んでおります。(出典:「日本印刷技術協会発行 印刷白書2020」)
また、前事業年度末からの新型コロナウイルス感染拡大に伴う全国的な活動自粛により、顧客における社内広報活動および販売促進活動の中止・延期による商業印刷物の減少、イベントプロモーション受託などでも案件の中止や延期が続いております。また、顧客におけるテレワーク勤務の浸透により訪問機会(接触機会)の減少を余儀なくされており、新たな営業スタイルの構築が求められています。顧客における社内広報活動および販売促進活動は徐々に回復傾向にありますが、一方では景気減速による予算削減や媒体のデジタル化(紙離れ)が一層進むなど、先行きは依然として不透明となっております。以下に記載の今後の見通しや取り組みについては、新型コロナウイルス感染症による影響が2021年度中も継続することを前提としております。
印刷事業では冒頭に記載しましたとおり、市場環境の悪化に伴い印刷物(紙媒体)の受注が減少を続けており、価格も低下あるいは低位で推移する状況が長期化し、反転することが考えにくい市場環境となっております。そのため、今後は単なる印刷物の提供に留まらず、顧客の課題に対して様々なソリューションをワンストップで提供する「ワンストップソリューション」のビジネスモデルへの転換を急いでおります。
半導体関連マスク事業では、デジタル化の進展により電子部品業界の市場拡大が続いており、今後も第5世代移動通信システム(5G)の需要や企業でのテレワークの浸透によりパソコンなどのデジタル情報端末や周辺機器における需要が見込まれます。米中貿易摩擦の行方、世界経済の回復、そして新型コロナウイルス感染症の収束という不確定要素はありますが、市場環境は今後も順調に推移していくものと見込んでおります。
物販事業では、印刷市場の縮小による影響や顧客における大型設備投資への一服感はございますが、日本全国に展開する販売網や豊富な商品ラインナップを駆使し、高付加価値化や品質・環境性能を向上させた商品の提案、利益率の高い自社ブランド機械の販売強化、新規顧客獲得活動などを行う余地は十分に残っていると見ております。
(3)目標とする経営指標
当社は長期ビジョンとして、「顧客の圧倒的支持を得るワンストップソリューションを提供し、ロイヤルカスタマー比率を高め続ける」を掲げ、顧客にとっての価値を創出あるいは増大させることにより、顧客との長期的な信頼関係を築き、厳しい市場環境にあっても売上・利益を確保できる企業グループになることを目指しております。顧客価値を高め、その価値に見合った代金をいただくことで利益率を改善し、またそのようなソリューションビジネスの比率を高めることにより、グループ全体の営業利益率を高めることを目標としております。
(4)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、前述いたしましたように営業利益率の向上を経営指標としておりますが、それを可能にするための中長期的な経営戦略は、1)顧客にとっての価値の最大化、2)その価値の低コストでの実現、そしてその両方の前提となる、3)社員が健康で高いモチベーションを持って、困難な課題にも取り組む状況を作り出すこと、の3点です。これらは当社グループ各社が従事するすべての事業に共通するものであり、当社グループはこれらにフォーカスして経営を行ってまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
上記の経営方針、経営環境などを踏まえまして、当社グループが優先的に対処すべき課題は以下のとおりです。
① ワンストップソリューションの強化
顧客ニーズを的確に把握し、「顧客にとっての価値の最大化」を実現する最適なソリューションを提供するビジネスモデルの強化が当社の業績拡大には必須であり、最重要課題です。
具体的には、単なる印刷物の提供だけに留まらず、システム構築、データ収集・分析、ロジスティクスサービス、事務局運営、各種BPO、販促イベント支援などのサービスをワンストップで提供し、顧客の課題を解決することで顧客価値を創出・増大させ、その価値に見合った代金をいただくことで利益率を改善します。
また、これらの取り組みを通じまして、年間を通して継続受注できるベース案件を増やすことにより、事業の閑散リスクを低減し、安定した収益構造に改革してまいります。
② 顧客の置かれている状況とビジネスモデルを深く理解すること
これが「顧客にとっての価値の最大化」のために最も大切であると考えております。当社は印刷業であり、幅広い業界・業種に顧客を持っておりますが、顧客との接触機会を増やし、常に顧客の立場に立って考えます。これを高い次元で実現することが何よりも重要であり、顧客満足度向上のベースとなります。
この取り組みを通じまして、長期ビジョンである「顧客の圧倒的支持を得るワンストップソリューションを提供し、ロイヤルカスタマー比率を高め続ける」の実現をめざしてまいります。
③ 低コスト生産体制の構築
顧客にとっての価値を創造出来ても、価格競争力がなければビジネスにはつながりません。紙媒体の縮小という社会の変化に対応し、生産性向上による適正利益を確保するためには、全体最適での設備集約は避けて通れません。
また、仕入価格の低減や経費削減などが併せて必要ですが、そのためには社員の持つ知恵やノウハウについてデジタルトランスフォーメーション(DX)を用いて総動員するほか、外部とのネットワークも最大限に活用し、価格競争力の向上に取り組みます。
④ 半導体関連マスク事業の強化
デジタル化の進展は印刷事業には逆風となりますが、半導体関連マスク事業においては追風となります。印刷事業の業績悪化を補完できる事業ポートフォリオを実現するため、半導体関連マスク事業においては、国内での事業強化は勿論のこと、海外事業を速やかに軌道に乗せ、当社グループを牽引できるレベルまで高めることが課題です。
その実現に向けて、当社、㈱プロセス・ラボ・ミクロン、東京プロセスサービス㈱の3社によるグループ全体最適とシナジーの最大化をめざします。会社の垣根を越えた人事交流や情報共有による課題解決、新製品開発を組織的に取り組みます。
⑤ 新事業の開発
印刷市場の縮小は今後も続くことが予想されており、印刷事業、半導体関連マスク事業、物販事業に続く、新事業の開発が課題です。現在進めております不動産事業開発のほか、既存事業との関連性が高く、実現性が高い新たな事業領域への拡大に向けまして、M&Aを含め積極的に挑戦をしてまいります。
⑥ 情報セキュリティの強化
当社グループでは、顧客から機密情報や個人情報をお預かりし、さまざまな製品やサービスをご提供しております。情報管理を徹底し、顧客からの信頼にお応えするためには、情報セキュリティの強化は継続的に追求する課題です。
⑦ 人材育成
人材育成は、社員が健康で高いモチベーションを持って、困難な課題にも取り組む状況を作り出すために必要な、大変重要な課題です。全社員総活躍のための取り組みとして、女性活躍のための制度の充実と社員の意識改革、実労働時間の短縮、スマートワーク(生産性を高め場所や時間に縛られない柔軟な働き方)、ワーク・ライフ・インテグレーション(仕事とプライベートの両立と質的向上の確立)などの働き方改革を推進しています。
⑧ 社会的価値創造企業への進化
当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて基盤となるコーポレート・ガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底、内部統制システムの構築、顧客の価値を創造するワンストップソリューションの提供、環境配慮活動の推進などのSDGsへと繋がるゴール(課題)に積極的に取り組み、これまで以上に社会から信頼され、顧客から期待される企業へと成長をめざしてまいります。
また、新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえ、BCP(事業継続計画)の強化を図るとともに、当社独自のニューノーマル(新常態)の創出に取り組み、コロナ禍の収束後も、過去の姿に戻すのではなく、より良いガバナンスを形成し、環境・社会の形成に向けて貢献してまいります。

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