有価証券報告書-第63期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 13:14
【資料】
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【項目】
112項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、マイナス金利政策による金融機関の収益への影響の他、企業収益の改善には一部に足踏みの動きが見られましたが、全体としては緩やかな回復基調となりました。一方、英国のEU離脱問題、米国の政権交代などにより海外経済の不透明感はさらに高まり、不安定な状況で推移しました。
ビジネスフォーム業界におきましては、企業の経費削減の徹底や競争の激化による受注価格の下落、IT化・ネットワーク化の進展による紙媒体の需要減少や人件費の上昇などにより、厳しい経営環境となりました。
また標的型攻撃による個人情報漏えい事件などの影響もあり、情報セキュリティ対策の重要性がより一層高まりました。
このような状況の中、当社グループは持続的な成長の実現に向けて、国内においては、データ・プリント・サービス(DPS)を核としたビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)の受託拡大を図り、生産拠点のさらなる拡充を行いました。新事業・新サービスの拡販へも注力し、企業における帳票の運用管理を紙と電子の両面からトータルにサポートする「EFMS(Enterprise Form Management Service)」を推進しました。電子マネー決済関連ソリューションではアミューズメント業界大手やドラッグストアチェーンに加え、楽天株式会社が提供する楽天ペイ(実店舗決済)での採用が決定するなど、収益化に向けた事業基盤の拡充が進みました。
また中長期的な成長ビジョンの実現に向けてIT投資に取り組むとともに、積極的な事業投資を検討しました。この活動の一環として、最先端のAI研究を活用して技術開発を行う日本発のスタートアップ企業である株式会社Cogent Labsとの資本・業務提携を行いました。併せて機械化による生産性向上や内製化などによる製造コストのさらなる削減を推進し、収益力の強化に努めました。
海外においては、香港に新たな製造拠点を開設し、DPSならびにBPOの受託体制を拡充するなど、シンガポールも含めた市場の深耕を図りました。さらに、ベトナムへも新たな拠点を開設するとともにタイのデータ・プロダクツ・トッパン・フォームズ社との連携によるASEAN市場の開拓に努めました。またマレーシアやスリランカなどの関連会社との連携を強化しました。
以上の結果、前連結会計年度に比べ売上高は5.7%減の2,577億円、営業利益は30.7%減の94億円、経常利益は31.0%減の100億円、親会社株主に帰属する当期純利益は37.2%減の58億円となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
印 刷 事 業売 上 高2,008億円(対前連結会計年度 5.7%減)
セグメント利益(営業利益)114億円(対前連結会計年度 26.6%減)

ビジネスフォームでは、システム改定に伴う帳票改訂業務を一括で受託する企画・提案や、科学的アプローチによる印刷物の改善提案、海外市場における新たなニーズの取り込みを図りましたが、電子化に伴う需要量の減少、製品仕様の簡素化による単価下落の影響などにより、前年から減収となりました。
DPSは、プリント業務一括アウトソーシングや、自治体や金融機関などからのBPO受託が堅調に増加しました。さらに、コスト競争力のある製品開発による各種通知物の市場深耕や、デジタル印刷技術を活用したパーソナル印刷物の拡販などを図りましたが、企業の経費削減に伴う数量減や価格ダウン、マイナンバー関連を含む一部得意先における大型案件の縮小などの影響により、前年から減収となりました。
情報通信技術(ICT)は、海外市場における金融系カードの需要減の影響はあったものの、国内におけるカードおよび関連機器の他、製造業や医療分野で進むIoT(モノのインターネット) の導入に伴うICタグの拡販や、スマートフォンを活用したソリューションを推進しました。さらに電子マネー決済関連ソリューションの貢献などにより、前年から増収となりました。
なお製造コストの削減は順調に推移したものの、拡販に取り組んでいる新サービス「EFMS」の開発強化に伴う先行的なIT費用の増加などにより、営業利益における収益性は低下しました。
以上の結果、印刷事業では前年に比べて減収減益となりました。
商 品 事 業売 上 高569億円(対前連結会計年度 5.7%減)
セグメント利益(営業利益)30億円(対前連結会計年度 9.3%増)

サプライ品は、セキュリティや防災関連商品の拡販や、運輸・流通業界をターゲットとした高機能保冷剤などの開発商品の販売を推進しましたが、低差益案件の見直しなどにより、前年から減収となりました。
事務機器関連では、法制度改正に対応したセキュリティ関連機器やインバウンドニーズに対応したサイネージなど、高付加価値商品の拡販を図りましたが、アウトソーシングの進展に伴う事務機器需要の減少、香港市場における低差益案件の見直しや、為替の影響などにより、前年から減収となりました。
システム運用受託につきましては、ネットワーク管理など付加価値の高い技術領域への受託範囲の拡大を図るとともに、金融およびIT企業などからの受託拡大や新規案件の取り込みにより、前年から増収となりました。
なお、サプライ品における仕入先や販売価格の見直し、付加価値の高い事務機器の拡販などにより、営業利益における収益性は向上しました。
以上の結果、商品事業では前年に比べて減収増益となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ5億円減少し、589億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ34億円減少し109億円となりました。これは主に収入では税金等調整前当期純利益97億円、減価償却費89億円、支出においては法人税等の支払額又は還付額55億円、仕入債務の増減額29億円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ31億円増加し86億円となりました。これは主に収入では投資有価証券の売却及び償還による収入30億円、支出においては有形固定資産の取得による支出63億円、投資有価証券の取得による支出45億円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果支出した資金は28億円となりました。これは主に配当金の支払額27億円によるものであります。