有価証券報告書-第155期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/25 15:22
【資料】
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【項目】
186項目
③-1気候変動に関する戦略
TCFD提言では、気候変動に起因するリスク・機会が企業の財務にどのような影響を及ぼすかを把握するため、シナリオ分析*を行うことを求めています。
当社は2020年に、脱炭素社会への移行が実現する2℃シナリオ(移行リスクが顕著)と気候変動が進展する4℃シナリオ(物理的リスクが顕著)における事業リスク・機会の選定、重要性の検討を行い、当社への影響と戦略などについて整理しましたが、2021年に行われた国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、平均気温の上昇を1.5℃に抑える努力を追求することが合意されたことをうけ、2023年7月にシナリオ分析の見直しを実施しました。
1.5℃シナリオを用いたシナリオ分析・財務影響の定量化を行った結果、カーボンプライシング導入による操業費の増加、低炭素製品を提供できないことによる売上減少などを重要なリスクとして特定しました。カーボンプライシング導入やライフサイクルCO2排出量の多い製品の需要減少に対しては、これまで取り組んできた工場の原燃料転換や再生可能エネルギーの導入を一層推進するとともに、インターナルカーボンプライシングの活用によりGHG排出削減を考慮した脱炭素投資をさらに推進し、リスクの低減を図ります。
また、環境配慮要請の高まりに伴うマーケットの変化については、環境への影響が小さい農薬や生物農薬、および二次電池材料などの低炭素製品の需要が拡大すると考えています。生物農薬については、2022年4月に生物科学研究所農薬研究部にバイオロジカルグループを立ち上げ、事業化に向けて研究開発を進めています。また、環境エネルギー分野において、二次電池材料や環境発電材料、CCS・CCUS材料の開発を加速し、実需化を目指します。
一方、4℃シナリオにおけるリスクとして認識している水害リスクについては、主要な生産・物流拠点の浸水の可能性を重要リスクとして特定しました。本リスクに対しては、工場および主要製品のBCPの策定および随時見直し、工場設備の高基礎化/高フロア化や、製品在庫の確保、重要原料の複数購買などを引き続き行っていきます。
また、気温上昇・異常気象に伴うマーケット変化において、害虫・雑草などの増加、水不足や感染症の拡大に向け、農業化学品や、飲料水などの殺菌消毒剤などの需要が増大すると考えています。市場成長の見通しを踏まえ、当社の機会の拡大を目指します。さらに、気候変動の影響を受けにくい事業ポートフォリオを構築することで事業活動のレジリエンスを高め、リスクの最小化・機会の最大化に努めます。
* シナリオ分析:地球温暖化や気候変動そのものの影響や、気候変動に関する長期的な政策動向による事業環境の変化などにはどのようなものがあるかを予想し、その変化が自社の事業や経営にどのような影響を及ぼし得るかを検討するための手法。
●参照したシナリオ
1.5℃シナリオ*14℃シナリオ*2
・IEA-WEO*3 ETP*4 ネットゼロシナリオ(NZE)・IEA-WEO 公表政策シナリオ(STEPS)
・IPCC SSP 5-8.5
・IPCC SSP*5 1-1.9, 1-2.6

*1 産業革命以前と比較して、気温上昇を1.5℃以下に抑えるために必要な対策が講じられた場合のシナリオ
*2 産業革命以前と比較して、21世紀末に世界の平均気温が4℃上昇するシナリオ
*3 国際エネルギー機関「World Energy Outlook」(2022)
*4 国際エネルギー機関「Energy Technology Perspectives」(2023)
*5 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「Shared Socio-economic Pathway」

分析対象範囲および分析対象期間
●分析対象範囲:化学品・機能性材料・農業化学品・ヘルスケア・企画本部
●分析対象期間:2030年および2050年
●リスク・機会の特定プロセス
Step1バリューチェーンやステークホルダーを明確化し、当社事業に影響を及ぼす要因を整理
Step2上記シナリオやその他外部情報に基づくリスク・機会の洗い出しを実施
Step3洗い出したリスク・機会から、発生の可能性、事業へのインパクト(人的損失、財務的インパクトなど)を踏まえ、特に重要なリスク・機会を特定

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