有価証券報告書-第113期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/22 13:57
【資料】
PDFをみる
【項目】
172項目

有報資料

(1)方針・基本的な考え方
当社グループでは、クレハグループの経営に悪影響を及ぼすリスクを把握し、その顕在化を未然に防止し、また、リスクが顕在化した場合の影響を軽減して許容範囲に収めるよう、必要な対応策を予め講じ備えておくことを「クレハグループリスクマネジメント基本方針」としています。中長期的かつ継続的な視点に立ち、脅威を網羅的に俯瞰し、包括的・統合的にリスクマネジメントすることが必要不可欠であると考え、全社リスクマネジメント体制を整備しています。また、マネジメントシステムの有効性を定期的にレビューし、継続的に改善を図っています。
(2)体制・責任者
当社グループ全体のリスクマネジメント体制は、取締役会が監督しています。取締役会の監督の下、社長は、当社グループ全体のリスクマネジメントの責任者として、専門委員会である「リスクマネジメント委員会」を設置しています。
各部門長は、自身の所掌・担当する業務領域におけるリスクマネジメントを統括する責任を負い、各部会(人権部会、ITリスク管理部会およびレスポンシブル・ケア部会など)や自身が運営を主管する各会議体(コンプライアンス委員会など)を活用し、リスクマネジメントを以下の体制で取り組んでいます。
①第1線
各部署長は、自部門の日常的なリスクマネジメントを遂行します。具体的には、リスクに直接関連し実際に対応する「実施部署」として、自部署の担当領域に存在するリスクを適切に認識した上で、当該リスクへの対応策を検討し、実施します。
②第2線
各部署のリスク管理を確実にするため、専門知識を持つ主管部署長は、専門的見地から担当領域に存在するリスクの特定および分析・評価を行います。当該リスクの管理を統括する「主管部署」として、第1線の各部署(実施部署)、ならびに関係会社によるリスクマネジメントを支援するとともに、対応策の実施状況をモニタリングして必要な指示を行い、グループ横断的なリスクマネジメント施策を実行しています。
③第3線
内部監査部は、独立的立場から第1線と第2線の両方の業務について、管理体制などの適切性や有効性を評価・検証します。監査結果は、定期的に監査役会および取締役会へ報告します。
④リスクマネジメント委員会の任務
1. 当社のリスクマネジメントに関する年度計画の策定および進捗管理
2. 当社に存在するリスクの特定および分析・評価
3. 2.の分析・評価に基づき、「重要リスク」と評価されたリスクへの対応策の検討・実施、実施状況のモニタリング
4. 当社のリスクマネジメントシステム(体制、実施プロセスを含むリスクマネジメントの仕組み)の維持、是正・改善の実施
5. 当社グループ各社のリスクマネジメントの支援
6. 当社事業継続計画(BCP) 策定・具備、運用および改善の取組みの検討
7. その他リスクマネジメントに関すること
委員長代表取締役社長
リスク責任者委員長が指名した取締役または執行役員
委員会長、全執行役員、重要リスクの主管部門長および委員長が指名したグループ会社社長
事務局企画経理本部


(3)リスクマネジメントの実施プロセス
当社グループは、前述したリスクマネジメント体制をグループ全体に展開し、経営計画システムの中でPDCAサイクルを確実に実行する必要のある「最重要リスク」を特定しています。この最重要リスクの設定およびモニタリング状況の確認・改善等を行う一連のプロセス(「全社リスクレビュー」)を次の手順により年2回実行します。
① リスクマネジメント委員会は、クレハグループリスクマネジメント基本方針に従い、当社グループに存在するESGリスクを含む全てのリスクの分類を行います。
② リスクの主管部署は、網羅性を確保する観点から当社グループの事業環境等に即したリスク分類表を用いてリスクの抽出を行います。抽出されたリスクに対し、顕在化した場合のシナリオを想定した上で、当社グループの利益への影響額を基に算出する「影響度」と「発生可能性」の二軸で評価を行い、対応の優先度を判定した上で「重要リスク」を特定します。
③ リスクマネジメント委員会は、主管部署が行ったリスクの分析および評価の結果ならびに特定された「重要リスク」についてレビューを行い、俯瞰的・網羅的な観点から「最重要リスク案」を策定します。
④ 「最重要リスク案」は、取締役会の決議をもって当社グループの「最重要リスク」として設定されます。設定された「最重要リスク」は、当社グループの経営計画システムに展開され、各実施部署長の責任のもと、各部署が具体的な対応策を実行します。
⑤ リスクマネジメント委員会は「最重要リスク」への対応状況についてモニタリングを行い、環境変化に伴うリスクの変容に随時対応します。モニタリングの結果は、リスクマネジメント委員会を通じて、定期的に取締役会に報告され、監督を受けています。また、主な「最重要リスク」への対応状況等については、有価証券報告書およびコーポレートサイト等を通じて、適時かつ適切に情報開示を行っています。
(4)リスクマップ

(5)最重要リスク
当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある「最重要リスク」は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項および記載したリスクは、有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。
① 事業環境(地政学、市場環境)
〇リスク
当社グループはグローバルに様々な事業を展開しており、国内外の顧客動向、市場環境の変化、各国の経済政策の転換、または地政学リスクの顕在化等を背景とした原燃料の安定調達に支障が生じた場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。また、競合他社による生産能力増強や低価格販売等の事業展開により、当社グループの製品マーケットシェア低下や需給バランスが崩れることによる製品価格の下落が生じた場合は、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
〇対応策
当社グループの事業は5つのセグメントで構成され、様々な事業を展開しており、特定市場の変動に対するリスクの分散と軽減を図っています。また、事業環境の変化をモニタリングし、分析・評価を実施した上で、機動的な対応策の立案と実行に努めています。あわせて、原料調達先の複数購買化を推進することにより調達先の分散を図り、生産に必要な原燃料が十分に確保されるよう努めています。
② 経営戦略(ポートフォリオ、経営資源配分)
〇ポートフォリオ戦略に係るリスク
当社グループの事業は、特殊化学製品から一般消費者向けの最終製品まで幅広い製品群を有することで、景気変動の影響を受けにくい事業構造となっているものの、国内外の需給環境の変動、代替素材の登場、競合他社の販売戦略等によって、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
特に、セグメント別売上比率が高い機能製品事業は技術競争力が激しい領域であり、継続的な差別化への取り組みが不可欠であり、十分な差別化が図れない場合には、競争力の低下につながる可能性があります。
〇対応策
当社グループは『2035年度長期経営計画』-Technology to Value(技術の進化を更なる価値へ)- において、新事業・新製品の収益化によるバランスの取れた事業ポートフォリオの実現を目指しています。現在の主力である機能製品事業および樹脂製品事業の競争力強化を継続するとともに、ライフサイエンス領域を含む化学製品事業の育成・強化に向けた取り組みを進めています。また成長の加速を目的として、外部企業への出資をすでに実施しており、今後も企業価値の向上に資すると判断される案件に対しては、M&Aや他社との協業・アライアンスを積極的に検討・推進してまいります。
〇経営資源配分に係るリスク
当社グループは、今後の需要予測および損益等を総合的に勘案して、設備投資を含む経営資源の戦略的な投入を行っています。しかしながら、事業環境の著しい悪化等により計画通りの収益が得られないことにより、投資額の回収が見込めず、資産価値もしくは事業価値の下落が生じた場合は、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
〇対応策
設備投資の実施にあたっては、社内で設定した投資採算基準を満たすことを前提条件とし、営業上・技術上のリスクを多角的に検証したうえで、総合的な検討・判断を経て投資を決定しています。また、従来の投資判断プロセスを定期的に見直すことで、投資計画の精度向上および実効性の確保に取り組んでいます。さらに、事業環境の変化および技術革新のスピードが加速するなか、資本収益性向上を図るべくROICを活用した事業採算性の定期的なモニタリングを実施し、適切な経営資源の再配分に努めています。
③ 研究開発力・技術競争力
〇リスク
当社グループにおいては、持続的な成長に向けて研究開発力および技術競争力の維持・強化が重要でありますが、開発テーマの進捗管理や技術開発の方向性の適切な判断が十分に機能しない場合、新製品の開発遅延や商品開発力の低下を招き、市場競争力の低下につながる可能性があります。また、当社の基盤技術やノウハウの継承・発展、人財育成が適切に行われない場合、中長期的な技術優位性の確保が困難となるリスクがあります。
〇対応策
当社グループでは、中長期経営計画に基づく開発テーマの進捗状況を定期的にモニタリングしています。また、技術会議等を通じて、技術開発の方向性や重要課題の審議を行うとともに、研究開発・生産・技術部門が連携した推進体制のもと、技術開発力の強化を図っています。さらに技術戦略や人財育成方針の共有を通じて、基盤技術の継承および研究開発力の強化を図っています。
④ 気候変動
〇リスク
当社グループは、世界規模で活発化している脱炭素社会実現への取り組みにより、気候変動における移行リスクと物理リスクの影響を受ける可能性があります。
・移行リスク
当社グループは、カーボンニュートラルに向けた施策を進めていますが、カーボンプライシングや、原燃料・エネルギー価格の上昇に伴うコストの増加、自社石炭火力発電所からの移行コストの増加、GHG排出削減計画が遅延することでレピュテーションが低下し、製品付加価値の低下・販売の伸び悩み等により、収益の低下が生じる可能性があります。
・物理リスク
気温の上昇によって異常気象に伴う大雨や洪水などの自然災害の発生、製造工場やライフラインの被災による生産遅延や生産の停止、当社グループの売上低下や製造工場の修繕費などのコストの増加が生じる可能性があります。
〇対応策
当社グループは、「低環境負荷社会への貢献」と「エネルギーの多様化への貢献」をマテリアリティに設定し、『2035年度長期経営計画』-Technology to Value(技術の進化を更なる価値へ)- のもと、サステナビリティ推進委員会とグリーントランスフォーメーション部会を中心に、2050年度までのカーボンニュートラルの実現を目指して、当社グループからのCO₂排出量削減と製品を通じたCO₂排出量削減の両面から、気候変動の緩和に取り組んでいます。
気候変動に関する戦略の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
⑤ 環境関連規制
〇リスク
当社グループは、気候変動問題や循環型経済への関心が高まる中、事業活動において環境負荷軽減の対策を実施していますが、環境に係る新たな規制等の導入や当社事業活動が環境に対して重大な負荷を発生させた場合、これらへの対応のために当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。特に、当社グループでは、フッ化ビニリデン樹脂を販売していますが、欧州では、1万種類以上に及ぶ有機フッ素化合物(PFAS)を原則一括して規制しようとする提案の審査プロセスが進行中です。当社としては、物質ごとに有害性やリスクが異なるPFASを一律に規制するアプローチは、個別のリスク評価を十分に反映していないと考えており、科学的な根拠に基づいた適切な制度設計となるよう、業界団体等を通じて働きかけを行っています。規制の最終的な対象や内容次第では、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
〇対応策
当社グループでは、不断に事業活動での環境負荷低減に努めるとともに、レスポンシブル・ケア部会を中心に、環境関連情報を収集し諸規制の状況を監視し、事業部門・生産部門・研究開発部門と対応策を立案しリスク軽減を図っています。
⑥ 人財開発・活用
〇リスク
当社グループにおいては、事業環境の変化や技術革新の進展に対応するため、専門技術に精通した多様な人財および経営戦略やグローバルな組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保・育成を継続的に推進していくことが重要となっています。しかしながら、日本国内においては、少子高齢化や労働人口の減少等、また海外拠点においても、雇用環境の変化が進んでおり、人財の確保や育成が計画通りに進まない場合、長期的視点から、事業展開、業績および事業の成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。
〇対応策
当社グループでは、「人的資本経営の推進」をマテリアリティに設定し、『2035年度長期経営計画』-Technology to Value(技術の進化を更なる価値へ)- のもと、サステナビリティ推進委員会と人的資本部会を中心としたガバナンス体制で取組みを進めています。具体的には、「人財の育成・活用」「挑戦意欲の醸成」「働きやすい社内環境整備」「健康経営の推進」を重要施策として掲げ、これらを通じてエンゲージメントの継続的な向上を図ることを最終的な目標としています。
戦略の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
⑦ ITリスク、個人情報漏洩
〇リスク
当社グループは、事業活動においてITシステムおよび情報ネットワークを活用しており、サイバー攻撃、不正アクセス、システム障害等が発生した場合、情報漏洩やデータ消失、システム停止により、事業活動や生産活動に支障が生じる可能性があります。また、個人情報や営業秘密の漏洩が発生した場合には、損害賠償や社会的信用低下につながる可能性があります。
〇対応策
当社グループでは、アクセス権管理や操作ログ監視等の基本的なセキュリティ対策を徹底するとともに、クラウドストレージの活用等によりデータの消失防止および操作履歴の可視化を図り、バックアップ・復元体制を整備しています。また、従業員への情報セキュリティ教育や標的型メール訓練の実施、生成AI利用ガイドラインの整備、委託先に対する管理・監査を通じて、情報管理体制の強化を進めています。さらに、製造運転制御システムについてはバックアップ体制の整備や訓練を実施し、障害発生時の迅速な復旧と事業継続の確保に努めています。
⑧ DX
〇リスク
当社グループにおいては、事業環境の変化や業務の高度化に対応するためDX推進が重要となっていますが、既存システムの継続利用や新技術の導入・活用が進まない場合、業務効率の低下やヒューマンエラーの発生、対応工数の増大等により、生産性向上や競争力強化が実現できない可能性があります。また、DX推進に必要な人財や体制が十分に確保できない場合、有効なサービスの導入・定着が進まず、競争優位性の確保に支障をきたす可能性があります。
〇対応策
当社グループでは、DX実行委員会を中心にDXロードマップの策定・見直しを行うとともに、経営課題と連動した優先施策の明確化および推進体制の整備を進めています。また、生成AI等の新技術については、ガイドラインの整備およびリスク評価を踏まえた導入判断を行い、業務への適用と定着を図っています。さらに、IT人財の採用や外部リソースの活用により推進体制の強化を図るとともに、各部門と連携した活用促進を通じて、DXによる業務効率化と競争力向上に努めています。
⑨ コンプライアンス
〇リスク
当社グループは、各種業法、独占禁止法、取適法、労働関連法令等の適用を受けており、これらに違反した場合、刑事罰や行政制裁、損害賠償請求等を受ける可能性があります。また、ハラスメント等の不適切な行為が発生した場合には、社会的信用の低下や企業価値の毀損につながる可能性があります。加えて、サプライチェーンにおける人権・コンプライアンス上の問題が発生した場合には、取引停止やレピュテーションの低下につながる可能性があります。
〇対応策
当社グループはコンプライアンス体制のさらなる強化を目的として、2025年10月にコンプライアンス委員会およびコンプライアンス部を新たに設置しました。代表取締役社長を委員長とする同委員会が、法令違反の発生状況のモニタリングおよび是正対応を行っています。また、専門部署であるコンプライアンス部が同委員会の事務局を担い、役員・従業員に対する階層別研修やeラーニング等を通じて、法令遵守およびハラスメント防止に関する意識の向上を図るとともに、相談窓口の整備・運用により不正の未然防止と早期発見に努めています。さらに、サプライヤーに対する調査やフィードバック等を通じて、サプライチェーン全体でのコンプライアンス強化を図っています。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。