有価証券報告書-第113期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
(1) 方針の策定背景―前中長期経営計画『未来創造への挑戦』およびローリングプラン2025の振り返り―
当社グループは「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進して当社グループを一層発展させるべく、『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』および「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定し、当該経営計画の達成に向け取り組んできました。
当社を取り巻く外部環境は、欧米における環境政策の変化、中国製造業のグローバル市場における急速な台頭によって大きく変化しています。前提としていた自動車メーカーのEV化(電気自動車への移行)戦略は大幅に見直され、当社フッ化ビニリデン樹脂事業の販売伸長は著しく鈍化しました。内部要因としては、特定の技術・用途・地域への過度な依存を前提とした事業計画の策定、LFP系リチウムイオン電池の市場成長が拡大したことによる市場変化の見通しの誤り、および新商品開発に要する期間の見込み違いが、計画の達成を阻む要因となりました。結果として、前中期経営計画において掲げた事業目標は大幅な未達に終わり、フッ化ビニリデン樹脂事業においては多額の減損損失を計上するに至りました。
一方で、非財務施策については次のような成果がありました。
■ 経営基盤の強化
コンプライアンス問題撲滅を目標としていましたが、役員の不祥事が発生し、早急にコンプライアンス体制を強化しました。また、積極的なデジタル化投資により、DX基盤となるツール整備や社員教育を行った結果、2025年9月に経済産業省DX認定企業に選出されました。
■ 技術立社の再興
将来の成長が期待される新事業候補が着実に進展するなど、研究・技術開発力の強化を中心とする定性目標についてはおおむね達成しました。
■ 会社と社員の共生
社員のパフォーマンスと働きがいの最大化に向けて、経営層と従業員の対話、キャリア形成支援の強化、より柔軟な勤務制度の導入・拡充などを進めました。エンゲージメント向上施策実施は継続課題です。また、各種の心身健康増進策を推進した結果、健康経営の指標である「健康経営優良法人(大規模部門)」に当社は6年連続で認定されました。
■ 環境負荷の低減
CO₂排出量削減については、2050年度までのカーボンニュートラルの実現およびクレハグループ2030年度目標(2013年度比でCO₂排出量30%以上削減)に向けて、燃料転換の技術検討により、2030年度目標達成へ一定の目途がつきました。
また、クレハ2025年度目標(廃棄物ゼロエミ率1.5%)に向けて、廃棄物の再資源化や有価物化を進め、目標達成の見通しです。
また、資本政策の見直しを実施し、自己資本比率の適正化を図ることで、資本効率の改善に取り組みました。
以上の前中期経営計画の振り返りを踏まえ、新長期経営計画の策定を進めました。
(2) 2035年長期経営計画 - Technology to Value(技術の進化を更なる価値へ)-
前中期経営計画期間中から取り組んできた新事業・新製品の育成には従来想定していた以上の期間が必要であり、これらの収益貢献時期は概ね2030年以降となる見通しであることから、2030年度目標を撤回し、新たに2035年度のありたい姿を設定しました。
機能製品事業および樹脂製品事業の2つの主力事業に加え、化学製品事業におけるライフサイエンス領域を育成・強化することにより、3事業によるポートフォリオ体制を確立し、特定事業への過度な依存を回避しつつ、資本収益性に優れた事業ポートフォリオの構築を目指します。

■ ライフサイエンス領域の育成・強化
ライフサイエンス領域の各パイプラインについては、いずれも2035年度までに育成し、2035年度には、機能製品事業、樹脂製品事業、およびライフサイエンス領域を含む化学製品事業の利益がバランスの取れた構成となるよう、本領域における事業の育成を図ります。

■ 2035年度に目指すポートフォリオの姿
機能製品事業においては新グレード製品の創出、樹脂製品事業においては家庭用品のブランド力強化、化学製品事業においてはライフサイエンス領域のパイプライン育成を通じて、当社独自の市場創出を追求していきます。事業ポートフォリオを継続的に進化させることにより、外部環境の変化に対して耐性のある経営体質の基礎確立を目指します。

(3) 中期経営計画(2026~2028年度)- Technology to Value 2028 (技術を価値へ) -
2035年度のありたい姿を実現するため、2026年度から2028年度を対象期間とする新中期経営計画を策定しました。本中期経営計画は、種まき・基礎固めの期間と位置づけ、主力事業の競争力強化、事業ポートフォリオの進化、および経営基盤の強化を基本方針としています。
[概要]
■ 主力事業の競争力強化
・ 機能製品事業:新製品・新グレード製品の開発により既存設備を有効活用するとともに、主力製品であるフッ化ビニリデン樹脂およびPGA(ポリグリコール酸)樹脂の収益力回復を図ります。
・ 樹脂製品事業:家庭用品のブランド力強化および新ブランドの育成を通じ、収益力の強化を図ります。
・ 2事業共通:生産革新プロジェクトの推進により、生産体制の効率化と技術力強化によるコスト低減・新グレード開発等に取り組みます。
・ 技術部門:人財の選抜と育成による技術開発・マーケティングの高度化、イノベーション創出の基盤となる技術プラットフォームの導入、ならびに生成AIを含むDX技術基盤の整備による開発環境の強化を推進します。
■ 事業ポートフォリオの進化
・ 主力事業の競争力強化を通じた事業ポートフォリオの改善を図ります。
・ 化学製品事業:ライフサイエンス領域における農薬、農業資材および医療材料を重点領域に設定し、既存パイプラインの育成を推進します。
■ 経営基盤の強化
・ リスクマネジメント・サステナビリティの推進:取締役会の監督のもと、経営層が責任をもってKPIを活用し、リスクマネジメントおよびサステナビリティに関するPDCAを経営計画と一体的に実施します。重要リスクとマテリアリティを統合的に管理することにより、リスク低減と中長期的な成長機会の創出を同時に実現していきます。
・ 低環境負荷社会への貢献:環境リスクの低減と事業機会の最大化を両輪とする観点から、カーボンニュートラルの実現、資源循環への取組み、および環境負荷低減の3テーマに継続的に取り組みます。
・ 人的資本経営の推進:社員の成長と挑戦を促進し、お互いの信頼の下、安心して働ける環境を整備することにより、多様な人財が高いエンゲージメントをもって活躍できる体制を構築します。
■ 定量目標値(2028年度)
本中期経営計画を種まき・基礎固めの期間と位置づけ、ROE8%を達成し得る事業体制の早期構築を目指します。なお、営業利益から非経常的な要因により発生した損益(減損損失や構造改革費用、補助金収入等)を除いたコア営業利益およびEBITDAを、利益に関する管理指標として新たに採用します。

・ サステナビリティの推進に関する目標値
目標の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
■ キャッシュアロケーション
研究開発力の強化、主力事業の競争力強化に向けた投資、長期的な企業価値向上に資する戦略的投資(M&A等を含む)に対して優先的に資金配分しつつ、株主還元に対してもバランスよくキャッシュを配分することを計画しています。

(1) 方針の策定背景―前中長期経営計画『未来創造への挑戦』およびローリングプラン2025の振り返り―
当社グループは「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進して当社グループを一層発展させるべく、『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』および「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定し、当該経営計画の達成に向け取り組んできました。
当社を取り巻く外部環境は、欧米における環境政策の変化、中国製造業のグローバル市場における急速な台頭によって大きく変化しています。前提としていた自動車メーカーのEV化(電気自動車への移行)戦略は大幅に見直され、当社フッ化ビニリデン樹脂事業の販売伸長は著しく鈍化しました。内部要因としては、特定の技術・用途・地域への過度な依存を前提とした事業計画の策定、LFP系リチウムイオン電池の市場成長が拡大したことによる市場変化の見通しの誤り、および新商品開発に要する期間の見込み違いが、計画の達成を阻む要因となりました。結果として、前中期経営計画において掲げた事業目標は大幅な未達に終わり、フッ化ビニリデン樹脂事業においては多額の減損損失を計上するに至りました。
一方で、非財務施策については次のような成果がありました。
■ 経営基盤の強化
コンプライアンス問題撲滅を目標としていましたが、役員の不祥事が発生し、早急にコンプライアンス体制を強化しました。また、積極的なデジタル化投資により、DX基盤となるツール整備や社員教育を行った結果、2025年9月に経済産業省DX認定企業に選出されました。
■ 技術立社の再興
将来の成長が期待される新事業候補が着実に進展するなど、研究・技術開発力の強化を中心とする定性目標についてはおおむね達成しました。
■ 会社と社員の共生
社員のパフォーマンスと働きがいの最大化に向けて、経営層と従業員の対話、キャリア形成支援の強化、より柔軟な勤務制度の導入・拡充などを進めました。エンゲージメント向上施策実施は継続課題です。また、各種の心身健康増進策を推進した結果、健康経営の指標である「健康経営優良法人(大規模部門)」に当社は6年連続で認定されました。
■ 環境負荷の低減
CO₂排出量削減については、2050年度までのカーボンニュートラルの実現およびクレハグループ2030年度目標(2013年度比でCO₂排出量30%以上削減)に向けて、燃料転換の技術検討により、2030年度目標達成へ一定の目途がつきました。
また、クレハ2025年度目標(廃棄物ゼロエミ率1.5%)に向けて、廃棄物の再資源化や有価物化を進め、目標達成の見通しです。
また、資本政策の見直しを実施し、自己資本比率の適正化を図ることで、資本効率の改善に取り組みました。
以上の前中期経営計画の振り返りを踏まえ、新長期経営計画の策定を進めました。
(2) 2035年長期経営計画 - Technology to Value(技術の進化を更なる価値へ)-
前中期経営計画期間中から取り組んできた新事業・新製品の育成には従来想定していた以上の期間が必要であり、これらの収益貢献時期は概ね2030年以降となる見通しであることから、2030年度目標を撤回し、新たに2035年度のありたい姿を設定しました。
機能製品事業および樹脂製品事業の2つの主力事業に加え、化学製品事業におけるライフサイエンス領域を育成・強化することにより、3事業によるポートフォリオ体制を確立し、特定事業への過度な依存を回避しつつ、資本収益性に優れた事業ポートフォリオの構築を目指します。

■ ライフサイエンス領域の育成・強化
ライフサイエンス領域の各パイプラインについては、いずれも2035年度までに育成し、2035年度には、機能製品事業、樹脂製品事業、およびライフサイエンス領域を含む化学製品事業の利益がバランスの取れた構成となるよう、本領域における事業の育成を図ります。

■ 2035年度に目指すポートフォリオの姿
機能製品事業においては新グレード製品の創出、樹脂製品事業においては家庭用品のブランド力強化、化学製品事業においてはライフサイエンス領域のパイプライン育成を通じて、当社独自の市場創出を追求していきます。事業ポートフォリオを継続的に進化させることにより、外部環境の変化に対して耐性のある経営体質の基礎確立を目指します。

(3) 中期経営計画(2026~2028年度)- Technology to Value 2028 (技術を価値へ) -
2035年度のありたい姿を実現するため、2026年度から2028年度を対象期間とする新中期経営計画を策定しました。本中期経営計画は、種まき・基礎固めの期間と位置づけ、主力事業の競争力強化、事業ポートフォリオの進化、および経営基盤の強化を基本方針としています。
[概要]
■ 主力事業の競争力強化
・ 機能製品事業:新製品・新グレード製品の開発により既存設備を有効活用するとともに、主力製品であるフッ化ビニリデン樹脂およびPGA(ポリグリコール酸)樹脂の収益力回復を図ります。
・ 樹脂製品事業:家庭用品のブランド力強化および新ブランドの育成を通じ、収益力の強化を図ります。
・ 2事業共通:生産革新プロジェクトの推進により、生産体制の効率化と技術力強化によるコスト低減・新グレード開発等に取り組みます。
・ 技術部門:人財の選抜と育成による技術開発・マーケティングの高度化、イノベーション創出の基盤となる技術プラットフォームの導入、ならびに生成AIを含むDX技術基盤の整備による開発環境の強化を推進します。
■ 事業ポートフォリオの進化
・ 主力事業の競争力強化を通じた事業ポートフォリオの改善を図ります。
・ 化学製品事業:ライフサイエンス領域における農薬、農業資材および医療材料を重点領域に設定し、既存パイプラインの育成を推進します。
■ 経営基盤の強化
・ リスクマネジメント・サステナビリティの推進:取締役会の監督のもと、経営層が責任をもってKPIを活用し、リスクマネジメントおよびサステナビリティに関するPDCAを経営計画と一体的に実施します。重要リスクとマテリアリティを統合的に管理することにより、リスク低減と中長期的な成長機会の創出を同時に実現していきます。
・ 低環境負荷社会への貢献:環境リスクの低減と事業機会の最大化を両輪とする観点から、カーボンニュートラルの実現、資源循環への取組み、および環境負荷低減の3テーマに継続的に取り組みます。
・ 人的資本経営の推進:社員の成長と挑戦を促進し、お互いの信頼の下、安心して働ける環境を整備することにより、多様な人財が高いエンゲージメントをもって活躍できる体制を構築します。
■ 定量目標値(2028年度)
本中期経営計画を種まき・基礎固めの期間と位置づけ、ROE8%を達成し得る事業体制の早期構築を目指します。なお、営業利益から非経常的な要因により発生した損益(減損損失や構造改革費用、補助金収入等)を除いたコア営業利益およびEBITDAを、利益に関する管理指標として新たに採用します。

・ サステナビリティの推進に関する目標値
目標の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
■ キャッシュアロケーション
研究開発力の強化、主力事業の競争力強化に向けた投資、長期的な企業価値向上に資する戦略的投資(M&A等を含む)に対して優先的に資金配分しつつ、株主還元に対してもバランスよくキャッシュを配分することを計画しています。
