有価証券報告書-第90期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 11:50
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における世界経済を概観しますと、英国のEU離脱問題を抱える欧州経済への警戒感や、米国のトランプ新政権の発足を機に拡大する傾向にある自国第一主義・反グローバリズムの流れ、東アジアにおける地政学リスクも高まってきており先行きが見通せない状況にあります。
当社が事業展開するASEAN地域におきましては、まだら模様ではあるものの、総じて景気回復の足取りは重く、特にタイにおきましては、国民の信望が厚かったプミポン国王のご逝去に伴い、消費自粛等の喪服期間もあり、景気回復には時間を要する状態が続いております。
一方、国内におきましては、政府による経済施策や日銀による異次元の金融緩和策により景気の下支え効果があり雇用・所得環境は改善し、個人消費の改善にはやや遅れが見られるものの、年度を通じて緩やかな景気回復が続きました。
このような環境の下、当社は、昨年度に新中期経営計画を策定し、当初の3ヵ年をPhase1「収益拡大による財務基盤の強化を行う収穫期と次なる成長への種まき時期」として先行投下資金の回収を図り、後半2ヵ年をPhase2「次なる成長の展開時期」と位置付けました。当連結会計年度は新中期経営計画の初年度として、新中期経営計画に掲げた以下の方針と重点施策に着手いたしました。
① ASEAN地域での収益拡大と財務基盤強化
② ものづくり構造改革による収益力強化
③ ダイバーシティ推進およびグローバル人材育成とグローバル運営体制の確立
国内事業におきましては、全社一丸となったものづくり構造改革を加速し、成形、組立、塗装各工程の自動化と省人化、材料リサイクル率の向上、品質管理体制再構築による不良率低減ならびに直行率向上等により労働生産性が改善し、収益力強化につながりました。
また、当社の強みである真空成形/プレス成形を生かしたガラス繊維マットプレス工法による新製品および三次元加飾工法による高度加飾新製品等において量産化受注を獲得いたしました。
しかしながら、昨年6月末の株主総会で確定した前年度の決算において、東京証券取引所より同所の定める上場維持のための純資産基準に抵触した旨の通知を受け、上場廃止に係る猶予期間入り銘柄に指定されました。
そのため、当連結会計年度は新中期経営計画の遂行と並行して、上場維持基準抵触の解消対応が急務となり、以下の施策を実行いたしました。
① 赤字グループ会社の構造改革の実施
・平成28年12月にインドネシア子会社であるPT.ECHO ADVANCED TECHNOLOGY INDONESIAの株式の一部を譲渡することにより資本構造を転換し、同社を当社連結子会社から持分法適用関連会社へ変更いたしました。当連結会計年度は同社を連結子会社として会計処理いたしましたが、次連結会計年度からは持分法適用関連会社として扱います。なお、これに伴い、当連結会計年度に特別利益として3億21百万円を計上いたしました。
・中国の子会社である無錫普拉那塑膠有限公司におきましては、事業構造の転換を図りました。従来の主力事業であった農機向け部品事業は、価格水準の低迷による採算悪化に加えて、工場の稼働に季節変動(農繁期・農閑期)が大きく、農閑期のコスト負担が重く厳しい経営状態が続いておりました。
このため、季節変動が小さく、日本の生産拠点との連携を視野に入れつつ、近年、急速に需要が高まっている日本製トイレ関連部品の生産に事業構造を全面的に転換いたしました。
② 自己資本の増強
当社の自己資本は過年度の業績低迷を主因として、事業規模に比較し過小となっており、財務内容の改善が急務との認識のもと、新株予約権の発行による増資を実施いたしました。
一般に公募あるいは第三者割当による新株発行は、一度に多額の資金調達が可能である反面、将来の1株当たり利益の希釈化も一度に引き起こすこともあり、株価に対する直接的な影響の極小化を図れること、また、行使価額修正条項を付すことにより、株価の下落局面においても資金需要を一定程度満たしつつ、確実に自己資本の増強が望めることから新株予約権の発行による増資を選択いたしました。なお、増資資金は事業構造改革に充当いたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は213億31百万円(前連結会計年度比4.7%減)となり、経常損失は3億15百万円(前連結会計年度は経常損失5億11百万円)、税金等調整前当期純利益は4億円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失7億46百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億49百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失7億10百万円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
当社グループは製品別セグメントから構成されており、「自動車部品事業」、「住宅設備・冷機部品事業」及び「エンターテイメント事業」の3つを報告セグメントとしております。
① 自動車部品事業
当事業の国内自動車部門におきましては、第1四半期には熊本地震による大手自動車メーカーの操業停止による影響がありましたが、その影響は期中にはほぼ解消し、また、中東向け乗用車部品が堅調に推移したものの、売上高は前期より僅かながら減少いたしました。
一方、海外自動車部門におきましては、タイにおける需要の低迷が予想以上に長引き、売上高は減少いたしました。
また、インドネシア子会社であるPT.ECHO ADVANCED TECHNOLOGY INDONESIAにおきましては、新車種が立ち上がり、前連結会計年度と比較し売上高は大幅に増加いたしましたが、立上げに伴う費用の増加と人件費の高騰により収益は低迷いたしました。
この結果、売上高は117億31百万円(前連結会計年度比2.5%減)、セグメント利益は2億20百万円(前連結会計年度はセグメント損失3億92百万円)となりました。
② 住宅設備・冷機部品事業
当事業の国内住宅設備部門におきましては、低金利政策等が追い風となり新設住宅着工戸数は前年比6.4%増となりましたが、住宅リフォーム需要の低迷が続き当社の主力である高価格帯商品は伸び悩み、売上高は減少いたしました。
海外冷機部品部門におきましては、THAI KODAMA CO.,LTD.、THAI KODAMA (VIETNAM) CO.,LTD.は比較的堅調に推移しました。
また、中国の無錫普拉那塑膠有限公司におきましては、事業構造の転換に伴う農機向け部品の駆け込み需要により、売上高は増加いたしました。
この結果、売上高は85億19百万円(前連結会計年度比8.8%減)、セグメント利益は4億41百万円(前連結会計年度比30.8%減)となりました。
③ エンターテイメント事業
当事業におきましては、映像用ソフトパッケージならびに車両部品用物流資材の受注が堅調に推移し、 ゲーム用ソフトパッケージの受注減をカバーした結果、売上高は微増となりました。
この結果、売上高は10億80百万円(前連結会計年度比7.4%増)、セグメント利益は64百万円(前連結会計年度はセグメント損失46百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により16億12百万円増加し、投資活動により14億63百万円減少し、財務活動により1億45百万円増加いたしました。この結果、資金は前連結会計年度より2億50百万円増加し、13億68百万円(22.4%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は16億12百万円(前連結会計年度比3億35百万円の収入増)となりました。これは主に、保険金及び精算金の受取額等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は14億63百万円(前連結会計年度比5億71百万円の支出増)となりました。これは主に、貸付による支出等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は1億45百万円(前連結会計年度比3億46百万円の収入増)となりました。これは主に、非支配株主からの払込みによる収入等によるものであります。
(注)当社の消費税等の処理は、税抜処理によっているため、上記の概況に記載されている金額には消費税等は含まれておりません。