有価証券報告書-第102期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日において当社グループが判断したものであります。
Ⅰ 中東情勢への対応
中東情勢の緊迫化を背景に、各種原料の安定供給に対する懸念が生じております。また、原油価格の上昇や供給の不安定化に伴い、原料価格も上昇基調にあります。当社では、前中期経営計画期間中(2023~2025年度)に進めた海外サプライヤーを含む調達先の多様化を活かして原料の安定確保に努めるとともに、顧客への適切な価格転嫁を推進しております。現時点において、当社の生産活動に大きな制約が生じている状況にはありませんが、今後の情勢変化、サプライヤーの供給力、顧客の需要動向等を注視し、業績への影響を慎重に見極めてまいります。
Ⅱ 新たな成長に向けて
当社グループは、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」のもと、前中期経営計画において、不採算事業であった高吸水性樹脂(SAP)や中国での生産事業からの撤退を断行するとともに、サプライチェーン改革による基盤事業のコスト低減を進めてまいりました。しかしながら、中国での基礎化学品の増産による日本の化学業界への影響は不可逆的であり、製品の品質差別化が難しく価格競争に晒されることに加え、中東情勢の緊迫化等に伴う原油価格の高止まりや原材料の供給制約など、依然として厳しい事業環境が継続しています。
こうした事業環境のもと、持続的な成長と収益力の向上を実現するため、当社グループは現在、主として以下の3つの対処すべき課題に直面しております。
(1) 事業ポートフォリオの高度化と注力領域の再定義
不可逆的な外部環境の変化に対応するため、汎用品から当社独自の価値が提供できる高付加価値製品を中心としたポートフォリオへの転換を加速させ、SAP事業撤退後の当社の新たな注力領域を明確化することが急務となっています。
(2) 生産設備の老朽化に伴う保全投資・修繕費の高騰
既存の生産設備の老朽化が進んでおり、安全稼働に向けた保全投資や修繕費の増加が課題となっており、抜本的な生産体制の見直しが求められています。
(3) 環境変化に耐えうる経営基盤の構築
急速な事業環境の変化にいち早く対応するため、独自性のあるデジタル技術の活用や、経営基盤となる人的資本への投資を通じて、圧倒的なスピードで価値を創出できる強靭な組織を構築する必要があります。
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今般、これらの課題に対処し、前中計で進めてきた構造改革による収益力強化をさらに加速するため、2030年度を最終年度とする5年間の「中期経営計画 2030」(以下、『中計2030』といいます)を新たに策定いたしました。当社の強みの源泉である界面制御技術と独自のDXプラットフォームを掛け合わせ、顧客課題を迅速に解決する企業を目指してまいります。また、当社は、事業に関するマテリアリティに基づき、貢献領域を「カーボンニュートラル」と「QOL(生活の質)の向上」に設定しています。これを踏まえ、今後の注力領域を「環境負荷低減」「食・医療/くらし」「スマート社会」の3つに整理しました。また、これらの注力領域に対応する形で、報告セグメントを「コアマテリアル」「ウェルネス」「ICT(情報通信技術)」の3つに再編いたします。ウェルネスやICTといった、ナフサ等の石化原料への依存度が相対的に低く、かつ当社ならではの価値を提供できる領域へのシフトを進め、外部環境変化の影響を受けにくい収益構造への転換を図ります。
中計2030では、2028年度に連結営業利益140億円、ROE6.5%以上を目指し、最終年度の2030年度には連結営業利益200億円、ROE8%以上の達成を目指してまいります。
直面する課題を克服し、これらの目標を具現化していくための戦略として、以下の重点事項に取り組んでまいります。
(1) 長期的に目指す姿(新理念体系)
中計2030の始動と注力領域の再定義に合わせ、当社のMISSION、VISION、VALUESをピラミッド型で体系化し、VISIONとVALUESをアップデートいたしました。
● 社是(MISSION):企業を通じてよりよい社会を建設しよう
● 長期的に目指す姿(VISION):界面でイノベーションを起こす“必要不可欠企業” へ
● 大切にすること(VALUES):
・界面制御技術と圧倒的なスピードで、顧客課題を解決する
・化学のちからで化学の枠を越えたイノベーションを起こし、豊かな社会を共創する
・多様な仲間とともに高い目標に挑み、持続的に価値と成長を創造する
(2) 成長戦略(ポートフォリオ高度化の課題への対応)
① ヘルスケア事業への積極投資(ウェルネス):ヘルスケア関連事業の米国新会社設立を検討するとともに、医療・医薬関連製品の展開を強化します。
② 高付加価値製品群の展開・創出(コアマテリアル・ICT):基盤製品群の高付加価値化や、新成長分野での新規ビジネス創出等により、新たな高付加価値製品群を創出し、利益成長を牽引します。
③ 新規事業の開拓・育成:コアマテリアル分野で培った化学技術を基盤に、顧客との共創や機動的なM&A等の投資により外部の知見を柔軟に取り込み、新成長分野での新規事業の開拓・育成に注力します。
(3) 構造改革(設備老朽化・修繕費高騰の課題への対応)
① ものづくり大改革:前中計期間で推進したソフト面(生産プロセス等)の改革に加え、ハード面(生産設備)の改革を新たに推進します。独自のDXプラットフォームを活用して生産最適化を実行し、少量多品種を支える生産設備の集約化・合理化を進めます。
(4) 経営基盤強化(環境変化に耐えうる経営基盤構築の課題への対応)
① デジタル活用戦略:業務フローやデータ基盤、知財、分析機器をデジタルでつなぐことで、研究開発からものづくり、顧客への価値提供までのスピードと再現性を向上させます。
② 人財戦略:リソース配分の最適化などの人財ポートフォリオ変革と主体的な挑戦に報いる環境づくりにより、全員が戦略実行の当事者として必要不可欠な価値提供に挑戦し続けます。
③ 研究開発戦略:デジタル活用による開発加速と新成長分野へのリソース重点配置等により研究開発基盤を強化し、新テーマの創出と界面制御技術の深化によりR&Dの価値創出サイクルを迅速化します。
(5) 資本戦略
資産の入れ替えなど資本を活かす経営を徹底して企業価値と資本効率を高め、ROEを向上させます。
① 投資計画:戦略的成長投資を中心に5箇年累計で約1,500億円の投資を見込んでおります。
② 株主還元方針:連結総還元性向40%以上を目標に、原則として累進配当を実施するとともに、中計期間中において機動的な自己株式取得を実施いたします。
③ B/S(貸借対照表)マネジメント:政策保有株の削減や財務レバレッジの強化を行います。
当社グループは、急速な外部環境の変化に先んじ、当社の提供価値を最大化することで、よりよい社会の建設に貢献し、持続的な成長を実現してまいります。
Ⅰ 中東情勢への対応
中東情勢の緊迫化を背景に、各種原料の安定供給に対する懸念が生じております。また、原油価格の上昇や供給の不安定化に伴い、原料価格も上昇基調にあります。当社では、前中期経営計画期間中(2023~2025年度)に進めた海外サプライヤーを含む調達先の多様化を活かして原料の安定確保に努めるとともに、顧客への適切な価格転嫁を推進しております。現時点において、当社の生産活動に大きな制約が生じている状況にはありませんが、今後の情勢変化、サプライヤーの供給力、顧客の需要動向等を注視し、業績への影響を慎重に見極めてまいります。
Ⅱ 新たな成長に向けて
当社グループは、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」のもと、前中期経営計画において、不採算事業であった高吸水性樹脂(SAP)や中国での生産事業からの撤退を断行するとともに、サプライチェーン改革による基盤事業のコスト低減を進めてまいりました。しかしながら、中国での基礎化学品の増産による日本の化学業界への影響は不可逆的であり、製品の品質差別化が難しく価格競争に晒されることに加え、中東情勢の緊迫化等に伴う原油価格の高止まりや原材料の供給制約など、依然として厳しい事業環境が継続しています。
こうした事業環境のもと、持続的な成長と収益力の向上を実現するため、当社グループは現在、主として以下の3つの対処すべき課題に直面しております。
(1) 事業ポートフォリオの高度化と注力領域の再定義
不可逆的な外部環境の変化に対応するため、汎用品から当社独自の価値が提供できる高付加価値製品を中心としたポートフォリオへの転換を加速させ、SAP事業撤退後の当社の新たな注力領域を明確化することが急務となっています。
(2) 生産設備の老朽化に伴う保全投資・修繕費の高騰
既存の生産設備の老朽化が進んでおり、安全稼働に向けた保全投資や修繕費の増加が課題となっており、抜本的な生産体制の見直しが求められています。
(3) 環境変化に耐えうる経営基盤の構築
急速な事業環境の変化にいち早く対応するため、独自性のあるデジタル技術の活用や、経営基盤となる人的資本への投資を通じて、圧倒的なスピードで価値を創出できる強靭な組織を構築する必要があります。
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今般、これらの課題に対処し、前中計で進めてきた構造改革による収益力強化をさらに加速するため、2030年度を最終年度とする5年間の「中期経営計画 2030」(以下、『中計2030』といいます)を新たに策定いたしました。当社の強みの源泉である界面制御技術と独自のDXプラットフォームを掛け合わせ、顧客課題を迅速に解決する企業を目指してまいります。また、当社は、事業に関するマテリアリティに基づき、貢献領域を「カーボンニュートラル」と「QOL(生活の質)の向上」に設定しています。これを踏まえ、今後の注力領域を「環境負荷低減」「食・医療/くらし」「スマート社会」の3つに整理しました。また、これらの注力領域に対応する形で、報告セグメントを「コアマテリアル」「ウェルネス」「ICT(情報通信技術)」の3つに再編いたします。ウェルネスやICTといった、ナフサ等の石化原料への依存度が相対的に低く、かつ当社ならではの価値を提供できる領域へのシフトを進め、外部環境変化の影響を受けにくい収益構造への転換を図ります。
中計2030では、2028年度に連結営業利益140億円、ROE6.5%以上を目指し、最終年度の2030年度には連結営業利益200億円、ROE8%以上の達成を目指してまいります。
直面する課題を克服し、これらの目標を具現化していくための戦略として、以下の重点事項に取り組んでまいります。
(1) 長期的に目指す姿(新理念体系)
中計2030の始動と注力領域の再定義に合わせ、当社のMISSION、VISION、VALUESをピラミッド型で体系化し、VISIONとVALUESをアップデートいたしました。
● 社是(MISSION):企業を通じてよりよい社会を建設しよう
● 長期的に目指す姿(VISION):界面でイノベーションを起こす“必要不可欠企業” へ
● 大切にすること(VALUES):
・界面制御技術と圧倒的なスピードで、顧客課題を解決する
・化学のちからで化学の枠を越えたイノベーションを起こし、豊かな社会を共創する
・多様な仲間とともに高い目標に挑み、持続的に価値と成長を創造する
(2) 成長戦略(ポートフォリオ高度化の課題への対応)
① ヘルスケア事業への積極投資(ウェルネス):ヘルスケア関連事業の米国新会社設立を検討するとともに、医療・医薬関連製品の展開を強化します。
② 高付加価値製品群の展開・創出(コアマテリアル・ICT):基盤製品群の高付加価値化や、新成長分野での新規ビジネス創出等により、新たな高付加価値製品群を創出し、利益成長を牽引します。
③ 新規事業の開拓・育成:コアマテリアル分野で培った化学技術を基盤に、顧客との共創や機動的なM&A等の投資により外部の知見を柔軟に取り込み、新成長分野での新規事業の開拓・育成に注力します。
(3) 構造改革(設備老朽化・修繕費高騰の課題への対応)
① ものづくり大改革:前中計期間で推進したソフト面(生産プロセス等)の改革に加え、ハード面(生産設備)の改革を新たに推進します。独自のDXプラットフォームを活用して生産最適化を実行し、少量多品種を支える生産設備の集約化・合理化を進めます。
(4) 経営基盤強化(環境変化に耐えうる経営基盤構築の課題への対応)
① デジタル活用戦略:業務フローやデータ基盤、知財、分析機器をデジタルでつなぐことで、研究開発からものづくり、顧客への価値提供までのスピードと再現性を向上させます。
② 人財戦略:リソース配分の最適化などの人財ポートフォリオ変革と主体的な挑戦に報いる環境づくりにより、全員が戦略実行の当事者として必要不可欠な価値提供に挑戦し続けます。
③ 研究開発戦略:デジタル活用による開発加速と新成長分野へのリソース重点配置等により研究開発基盤を強化し、新テーマの創出と界面制御技術の深化によりR&Dの価値創出サイクルを迅速化します。
(5) 資本戦略
資産の入れ替えなど資本を活かす経営を徹底して企業価値と資本効率を高め、ROEを向上させます。
① 投資計画:戦略的成長投資を中心に5箇年累計で約1,500億円の投資を見込んでおります。
② 株主還元方針:連結総還元性向40%以上を目標に、原則として累進配当を実施するとともに、中計期間中において機動的な自己株式取得を実施いたします。
③ B/S(貸借対照表)マネジメント:政策保有株の削減や財務レバレッジの強化を行います。
当社グループは、急速な外部環境の変化に先んじ、当社の提供価値を最大化することで、よりよい社会の建設に貢献し、持続的な成長を実現してまいります。